次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示のバッテリ管理装置10を搭載した車両100を示す概略構成図である。同図に示す車両100は、バッテリ管理装置10により管理されるバッテリ1と、システムメインリレーや、インバータ等を含む電力制御装置(何れも図示省略)を介してバッテリ1に接続されると共に当該バッテリ1と電力をやり取りして走行用の動力や回生制動力を出力可能なモータジェネレータ(三相交流電動機)MGを含む電気自動車(BEV)である。また、車両100では、図示しない外部充電装置からの電力によりバッテリ1を充電することができる。
バッテリ1は、図示するように、例えば直列に接続される複数の電池セル2を含む、いわゆる高電圧バッテリである。複数の電池セル2は、図示しない複数の電池モジュールのモジュールケース内に分散して収容されてもよく、当該複数の電池モジュールは、例えば直列に接続されてもよい。電池モジュールを構成する電池セル2は、例えばLiFePO4であるオリビン型の結晶構造を有するリン酸鉄リチウムにより形成された正極(LiFePO正極)と、黒鉛系炭素材料等により形成された負極とを含むリン酸鉄リチウムイオン電池である。電池セル2の正極および負極は、セパレータや有機溶媒等である電解液と共に外装体の内部に収容される。
図2は、電池セル2のSOC(充電率)とOCV(開路電圧)との関係を示す図表である。同図において、実線は、電池セル2の放電時におけるSOCとOCVとの関係を示し、破線は、電池セル2の充電時におけるSOCとOCVとの関係を示す。図示するように、リン酸鉄リチウムにより形成された正極を有する電池セル2では、広いSOC範囲においてSOCの変化量に対するOCVの変化量が非常に小さくなる。すなわち、図2における範囲r2と当該範囲r2よりも高SOC側の範囲r4とでは、SOCの変化量に対するOCVの変化量が概ねゼロになる。以下、範囲r2およびr4を総称して「プラトー範囲(第1のSOC範囲)」という。これに対して、範囲r2の低SOC側の範囲r1、範囲r2の高SOC側かつ範囲r4の低SOC側(範囲r2およびr4の間)の範囲r3、および範囲r4の高SOC側の範囲r5では、SOCの変化量に対するOCVの変化量が大きくなる(傾きが急峻になる)。以下、範囲r1,r3およびr5を総称して「非プラトー範囲(第2のSOC範囲)」という。
車両100のバッテリ管理装置10は、図3に示すように、CPU,ROM,RAM等を含むマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という。)11と、バッテリ1の電池セル2の総数と同数(複数)のセルバランス回路15と、複数の管理IC17とを含む。各セルバランス回路15は、1つのフライバックトランスTfと、例えばFET等である2つのスイッチング素子SW1,SW2と、2つの抵抗R1,R2とを含み、複数の電池セル2の各々に対して1つのセルバランス回路15が接続される。
図3に示すように、各フライバックトランスTfの一次側コイルL1は、スイッチング素子SW1および抵抗R1を介して対応する電池セル2に並列に接続される。また、各フライバックトランスTfの二次側コイルL2は、SOC(電圧)が均等化される1つのグループを形成する複数(図3の例では、4個)の電池セル2に対して並列に接続される。すなわち、各フライバックトランスTfの二次側コイルL2の一端は、電力線を介して当該複数の電池セル2の一端(例えば正極)に接続される。更に、各フライバックトランスTfの二次側コイルL2の他端は、スイッチング素子SW2、抵抗R2および電力線を介して当該複数の電池セル2の他端(例えば負極)に接続される。
これにより、1つのグループに対応した複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2をオンオフ制御することにより、当該グループ内の少なくとも何れか1つの電池セル2からの放電電力で他の少なくとも何れか1つの電池セル2を充電することが可能となる。例えば1つのグループにおいて何れか1つの電池セル2からの放電電力により残余の電池セル2を充電する場合には、当該何れか1つの電池セル2に対応したセルバランス回路15のスイッチング素子SW1をオンする。次いで、当該スイッチング素子SW1をオフすると共に当該グループの全セルバランス回路15のスイッチング素子SW2をオンする。更に、全セルバランス回路15のスイッチング素子SW2をオフすると共に上記何れか1つの電池セル2以外の電池セル2に対応したセルバランス回路15のスイッチング素子SW1をオンし、以後、これらの処理を繰り返し実行する。
また、1つのグループにおいて、何れか1つの電池セル2を残余の電池セル2の放電電力により充電する場合には、当該何れか1つの電池セル2以外の電池セル2に対応したセルバランス回路15のスイッチング素子SW1をオンする。次いで、これらのスイッチング素子SW1をオフすると共に当該グループの全セルバランス回路15のスイッチング素子SW2をオンする。更に、全セルバランス回路15のスイッチング素子SW2をオフすると共に上記何れか1つの電池セル2に対応したセルバランス回路15のスイッチング素子SW1をオンし、以後、これらの処理を繰り返し実行する。
複数の管理IC17は、それぞれマイコン11と情報をやり取りすると共に対応するセルバランス回路15を制御するものである。本実施形態では、SOC(電圧)が均等化される複数(4個)の電池セル2により形成される1つのグループに対して1つの管理IC17が設けられる。各管理IC17は、マイコン11からの指令信号に従って該当する複数(4個)のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2をオンオフ制御する。更に、各管理IC17は、対応する複数(4個)の電池セル2の各々の電圧を検出する複数(4個)の電圧センサ(図示省略)を有しており、各電圧センサに予め定められた周期で対応する電池セル2の電圧を検出させ、各電圧センサの検出値をマイコン11に送信する。また、各管理IC17は、対応する複数(4個)の電池セル2の各々を流れる電流を検出する複数(4個)の電流センサ(図示省略)を有しており、各電流センサに予め定められた周期で対応する電池セル2を流れる電流を検出させ、各電流センサの検出値をマイコン11に送信する。
マイコン11は、管理IC17の各電流センサにより検出された各電池セル2を流れる電流を積算して各電池セル2のSOCを算出する。また、マイコン11は、各電池セル2のSOCが非プラトー範囲すなわち上述の範囲r1,r3またはr5内にあることを含む所定の実行条件が成立したときに、管理IC17の各電圧センサの検出値に基づいて各電池セル2のOCVを算出すると共に、非プラトー範囲におけるSOCとOCVとの関係(図2参照)から当該OCVに対応した各電池セル2のSOCを導出する。そして、OCVに基づいて導出された各電池セル2のSOCを用いて、電流に基づいて算出された各電池セル2のSOCを補正する。更に、マイコン11は、予め定められたセルバランス制御の実行条件が成立したときに、複数の電池セル2のSOC(電圧)を均等化するように管理IC17との協働により複数のセルバランス回路15を制御する。また、車両100では、図示しないインストルメントパネルにバッテリ1のSOCを表示させるSOC表示部が設けられており、車両100の図示しない表示制御部は、バッテリ管理装置10のマイコン11により算出された各電池セル2のSOCのうちの最小値である最小SOCをSOC表示部に表示させる。
続いて、図4から図6等を参照しながら、バッテリ管理装置10による各電池セル2のSOCの算出手順について説明する。図4は、図示しない車両100のスタートスイッチ(IGスイッチ)がオンされて当該車両100がシステム起動されている間に、各電池セル2のSOCを算出するためにバッテリ管理装置10のマイコン11(CPU)により所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4のルーチンの開始に際して、マイコン11は、フラグF1の値を取得し(ステップS100)、フラグF1の値がゼロであるか否かを判定する(ステップS110)。フラグF1の値がゼロであると判定した場合(ステップS110:YES)、マイコン11は、SOCの算出に用いられる係数kに“1”を設定する(ステップS120)。これに対して、フラグF1の値が“1”であると判定した場合(ステップS110:NO)、マイコン11は、SOCの算出に用いられる係数kに予め定められた“1”よりも小さい正の値αを設定する(ステップS125)。値αは、電流センサの誤差(1~5%程度)を考慮した、例えば0.95-0.99程度の値とされる。ステップS120またはS125の処理の後、マイコン11は、各管理IC17の各電流センサにより検出される複数の電池セル2の各々を流れる電流In(ただし、“n”は、電池セル2の番号を示し、“N”を電池セル2の総数としたときに、n=1,2,…,N-1,Nである。)を取得する(ステップS130)。
次いで、マイコン11は、変数n(電池セル2の番号)に“1”を設定し(ステップS140)、n番目の電池セル2のSOCを算出する(ステップS150)。ステップS150において、マイコン11は、係数kとステップS130にて取得したn番目の電池セル2の電流Inとの積値を別途算出されるn番目の電池セル2の満充電容量で除した値を図4のルーチンの前回実行時に算出されたn番目の電池セル2のSOC(前回値)に加算して当該n番目の電池セル2の今回のSOCを算出する。なお、各電池セル2の満充電容量は、各電池セル2のSOCが非プラトー範囲に含まれるときに算出された値を温度頻度情報に基づいて補正することにより算出される。更に、マイコン11は、変数nをインクリメントし(ステップS160)、変数nが上述の電池セル2の総数Nを上回っているか否かを判定する(ステップS170)。変数nが総数N以下であると判定した場合(ステップS170:NO)、マイコン11は、上述のステップS150以降の処理を繰り返し実行する。
すべて(N個)の電池セル2についてステップS150にてSOCが算出されると、ステップS170にて、変数nが総数Nを上回っていると判定される。マイコン11は、変数nが総数Nを上回っていると判定した場合(ステップS170:YES)、全電池セル2のSOCの中の最大値である最大SOCおよび最小SOCを取得する(ステップS180)。更に、マイコン11は、最大SOCおよび最小SOCの両方が上記プラトー範囲すなわち範囲r2またはr4に含まれているか否かを判定する(ステップS190)。最大SOCおよび最小SOCの両方がプラトー範囲に含まれていないと判定した場合(ステップS190:NO)、マイコン11は、カウンタCをリセットした上で(ステップS195)、図4のルーチンを一旦終了させる。カウンタCがリセットされており、予め定められた他の実行条件が成立している場合、マイコン11は、各電池セル2の電圧に応じたOCVに基づいて各電池セル2のSOCを導出し、導出したOCVに基づくSOCで電流Inに基づいて算出された各電池セル2のSOCを補正する。
また、最大SOCおよび最小SOCの両方がプラトー範囲に含まれていると判定した場合(ステップS190:YES)、マイコン11は、カウンタCをインクリメントした上で(ステップS200)、カウンタCが予め定められた第1閾値Cref1以上であるか否かを判定する(ステップS210)。本実施形態において、ステップS210にて用いられる第1閾値Cref1は、当該第1閾値Cref1と図4のルーチンの実行周期との積値が例えば1週間(168時間)になるように定められる。すなわち、カウンタCは、各電池セル2のSOCのプラトー範囲(範囲r2またはr4)への滞留時間を示す。カウンタCが第1閾値Cref1未満であると判定した場合(ステップS210:NO)、マイコン11は、その時点で図4のルーチンを一旦終了させる。
一方、カウンタCが第1閾値Cref1以上であると判定した場合(ステップS210:YES)、マイコン11は、カウンタCが予め定められた第2閾値Cref2未満であるか否かを判定する(ステップS220)。本実施形態において、ステップS220にて用いられる第2閾値Cref2は、当該第2閾値Cref2と図4のルーチンの実行周期との積値が例えば1ヶ月(720時間)になるように定められる。カウンタCが第2閾値Cref2未満であると判定した場合(ステップS220:YES)、マイコン11は、フラグF1に“1”を設定し(ステップS230)。その時点で図4のルーチンを一旦終了させる。
カウンタCが第2閾値Cref2未満である場合には、各電池セル2のSOCのプラトー範囲(範囲r2またはr4)への滞留時間が1週間以上であり、かつ1ヶ月未満であることになる。この場合、ステップS230にてフラグF1に“1”が設定されることで、図4のルーチンの実行時にステップS125にて係数kに“1”よりも小さい値αが設定され、ステップS150では、複数の電池セル2の各々のSOCがステップS140にてSOCが算出されるときに比べて低く見積もられることになる。
また、カウンタCが第2閾値Cref2以上であると判定した場合(ステップS220:NO)、マイコン11は、フラグF1にゼロを設定すると共にフラグF2に“1”を設定し(ステップS235)。その時点で図4のルーチンを一旦終了させる。ここで、カウンタCが第2閾値Cref2以上である場合には、各電池セル2のSOCのプラトー範囲(範囲r2またはr4)への滞留時間が1ヶ月以上であることになる。すなわち、車両100の使用パターンが、例えば、ユーザの自宅での外部充電装置を用いたバッテリ1の充電と、自宅から比較的近い職場への通勤とを日々繰り返すようなものである場合、バッテリ1の各電池セル2のSOCがプラトー範囲(例えば、範囲r4)に1ヶ月以上滞留してしまうことがある。そして、各電池セル2のSOCがプラトー範囲に長期に亘って滞留してしまうと、電流センサによる各電池セル2を流れる電流Inの検出誤差が積算され続けることで各電池セル2のSOCの算出精度が低下し、車両100のSOC表示部に表示されるバッテリ1のSOCと複数の電池セル2における最小SOCとが乖離してしまう。
これを踏まえて、バッテリ管理装置10のマイコン11は、ステップS235にてフラグF2に“1”を設定して図4のルーチンを終了させた後、複数の電池セル2のSOCを補正すべく、図5のルーチンを実行する。図5のルーチンの開始に際して、マイコン11は、複数の電池セル2の中の1つをSOC強制変更セル2x(対象電池セル、図6参照)として選択する(ステップS300)。SOC強制変更セル2xは、SOCをプラトー範囲から非プラトー範囲へと強制的に移行させる電池セル2であり、基本的に、複数の電池セル2のSOCが含まれているプラトー範囲に隣り合う非プラトー範囲におけるSOCの最大値または最小値に最も近いSOC(図2における丸印参照)をもった電池セル2である。
また、ステップS300において、当該非プラトー範囲におけるSOCの最大値または最小値に最も近いSOCをもった電池セル2が図5のルーチンの前回実行時にSOC強制変更セル2xとして選択されている場合、当該電池セル2は、今回のSOC強制変更セル2xとして選択されない。この場合、例えば、非プラトー範囲におけるSOCの最大値または最小値に2番目に近いSOCをもった電池セル2がSOC強制変更セル2xとして選択される。すなわち、ステップS300では、同一の電池セル2が連続してSOC強制変更セル2xとして選択されることはない。
ステップS300の処理の後、マイコン11は、SOC強制変更セル2xのSOCが該当する非プラトー範囲に含まれるように(図2における三角印参照)、管理IC17と協働してSOC強制変更セル2xを含むグループに対応した複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2を制御する(ステップS310)。例えば、図6に示すように、1つのグループを形成する電池セル21,22,23および24のうちの電池セル22がSOC強制変更セル2xとして選択され、かつ当該電池セル22のSOCを範囲r4から高SOC側の範囲r5へと移行させる場合には、電池セル22以外の電池セル21,23および24からの放電電力によりSOC強制変更セル2xである電池セル23が充電されるように複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2が制御される。また、例えば、図7に示すように、1つのグループを形成する電池セル21,22,23および24のうちの電池セル22がSOC強制変更セル2xとして選択され、かつ当該電池セル22のSOCを範囲r4から低SOC側の範囲r3へと移行させる場合には、SOC強制変更セル2xである電池セル22からの放電電力により当該電池セル22以外の電池セル21,23および24が充電されるように複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2が制御される。
ステップS310の処理が実行される間、マイコン11は、図4のステップS150と同様にして、SOC強制変更セル2xを流れる電流を積算して当該SOC強制変更セル2xのSOCを算出する(ステップS320)。更に、マイコン11は、ステップS320にて算出したSOCが非プラトー範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS330)。マイコン11は、ステップS320にて算出したSOCが非プラトー範囲に含まれていないと判定した場合(ステップS330:NO)、上記ステップS310-S330の処理を再度実行する。
ステップS320にて算出したSOCが非プラトー範囲に含まれていると判定した場合(ステップS330:YES)、マイコン11は、管理IC17の電圧センサにより検出されたSOC強制変更セル2xの電圧に基づいてOCVを算出すると共に、SOCとOCVとの関係(図2参照)に基づいて作成された図示しないマップから当該OCVに対応したSOC強制変更セル2xのSOCを導出する(ステップS340)。次いで、マイコン11は、ステップS340の処理の直前にステップS320にて算出されたSOC強制変更セル2xのSOCと、ステップS340にて導出したSOC強制変更セル2xのSOCとの差に基づいて各電池セル2のSOC補正量を算出する(ステップS350)。ステップS350において、マイコン11は、ステップS320にて算出されたSOCとステップS340にて導出されたSOCとの差に、SOC強制変更セル2xの満充電容量と各電池セル2の満充電容量との比の基づく係数を乗じることにより、各電池セル2のSOC補正量を算出する。そして、マイコン11は、図5のルーチンの実行直前に図4のステップS150にて算出された各電池セル2のSOCをステップS350にて算出したSOC補正量で補正する(ステップS360)。
ステップS360の処理の後、マイコン11は、SOC強制変更セル2xと該当する他の電池セル2との間で授受された電気エネルギを元に戻すように、管理IC17と協働してSOC強制変更セル2xを含むグループに対応した複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2を制御する(ステップS370)。また、ステップS370の処理が実行される間、マイコン11は、図4のステップS150と同様にして、SOC強制変更セル2xを流れる電流を積算して当該SOC強制変更セル2xのSOCを算出する(ステップS380)。
更に、マイコン11は、ステップS380にて算出したSOCが図5のルーチンの実行直前に図4のステップS150にて算出されたSOC強制変更セル2xの強制変更前のSOCに概ね一致したか否かを判定する(ステップS390)。マイコン11は、ステップS380にて算出したSOC強制変更セル2xのSOCが強制変更前のSOCに概ね一致していないと判定した場合(ステップS390:NO)、上記ステップS370-S390の処理を再度実行する。また、ステップS380にて算出したSOC強制変更セル2xのSOCが強制変更前のSOCに概ね一致したと判定した場合(ステップS390:YES)、マイコン11は、フラグF2にゼロを設定し(ステップS400)、図5のルーチンを終了させる。
以上説明したように、車両100のバッテリ管理装置10は、それぞれプラトー範囲(第1のSOC範囲)でSOCの変化量に対するOCVの変化量が小さくなると共に非プラトー範囲(第2のSOC範囲)でSOCの変化量に対するOCVの変化量が大きくなる複数の電池セル2を含むバッテリ1を管理する。また、バッテリ管理装置10は、複数のセルバランス回路15を含み、複数のセルバランス回路15は、対応するグループ内の少なくとも何れか1つの電池セル2からの放電電力で他の少なくとも何れか1つの電池セル2を充電可能である。
更に、SOC算出部としてのマイコン11は、電池セル2に流れる電流Inを積算して複数の電池セル2の各々のSOCを算出する(図4のステップS150)。また、セルバランス制御部としてのマイコン11は、算出されたSOCのプラトー範囲(第1のSOC範囲)への滞留時間が例えば1ヶ月(所定期間)以上になったときに、複数の電池セル2の何れか1つであるSOC強制変更セル2x(対象電池セル)のSOCが非プラトー範囲(第2のSOC範囲)に含まれるように該当する複数のセルバランス回路15を制御する(図5のステップS310-S330)。そして、SOC補正部としてのマイコン11は、非プラトー範囲におけるSOCとOCVとの関係に基づいてSOC強制変更セル2xのSOCを導出すると共に、導出したSOCに基づいてSOC補正量を算出し、当該SOC補正量により複数の電池セル2の各々のSOCを補正する(図5のステップS340-S360)。
これにより、バッテリ管理装置10によれば、バッテリ1(複数の電池セル2)における電気エネルギの損失を大幅低減しながら複数のセルバランス回路15を用いてSOC強制変更セル2xのSOCを非プラトー範囲と移行させることができる。また、非プラトー範囲におけるSOCとOCVとの関係に基づいてSOC強制変更セル2xのSOCを精度よく導出すると共に、当該SOC強制変更セル2xのSOCから各電池セル2のSOC補正量を適正に算出することが可能となる。更に、SOC強制変更セル2xのSOCを非プラトー範囲へと移行させるのに、バッテリ1の電力を消費するモータジェネレータMG等の電力機器および電力を生成する発電機を用いる必要がなくなる。従って、バッテリ管理装置10の適用対象における効率の悪化を抑制すると共に、バッテリ管理装置10の適用範囲を電気自動車(BEV)等の発電機等を含まないものまで拡大することができる。この結果、バッテリ管理装置10によれば、エンジンにより駆動される発電機を含まない車両100の効率の悪化を抑制しつつ、プラトー範囲でSOCの変化量に対するOCVの変化量が小さくなると共に非プラトー範囲でSOCの変化量に対するOCVの変化量が大きくなる複数の電池セル2を含むバッテリ1のSOCの推定精度を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態において、セルバランス制御部としてのマイコン11は、ステップS340にて非プラトー範囲におけるSOCとOCVとの関係に基づくSOCが導出された後に、SOC強制変更セル2xと他の電池セル2との間で授受された電気エネルギを元に戻すように該当する複数のセルバランス回路15を制御する(図5のステップS370-S390)。これにより、SOC強制変更セル2xのSOCを非プラトー範囲へと移行させた後に、当該SOC強制変更セル2xのSOCが別途設定される上限SOCまたは下限SOCに達したと判定されるのを抑制することが可能となる。
更に、セルバランス制御部としてのマイコン11は、同一の電池セル2が連続してSOC強制変更セル2xにならないように、複数の電池セル2の中から予め定められた制約(例えば、非プラトー範囲におけるSOCの最大値または最小値に近い順)に従ってSOC強制変更セル2xとなる電池セル2を選択する(図5のステップS300)。これにより、特定の電池セル2がSOC強制変更セル2xとして常時選択されることで劣化するのを抑制することが可能となる。また、複数の電池セル2に複数の交換済み電池セルが含まれる場合、図5のステップS300では、当該複数の交換済み電池セルの中からのみSOC強制変更セル2xが選択されてもよい。更に、図5のステップS300において、複数の電池セル2の温度頻度情報に基づいて、劣化が促進しているおそれのある高温側の頻度が多い電池セル2をSOC強制変更セル2xの選択対象から除外してもよい。
また、上記実施形態において、SOC補正部としてのマイコン11は、複数のセルバランス回路15によりSOC強制変更セル2xが充電または放電される間に、ステップS320にて算出されたSOCと、ステップS340にて導出されたSOCとOCVとの関係に基づくSOCとの差と、各電池セル2の満充電容量とに基づいて複数の電池セル2の各々のSOC補正量を算出する(図5のステップS350)。これにより、複数の電池セル2の各々のSOC補正量を適正に算出することが可能となる。
更に、SOC算出部としてのマイコン11は、電池セル2のSOCのプラトー範囲(範囲r2またはr4)への滞留時間が所定期間としての1ヶ月よりも短い第1期間としての1週間以上かつ1ヶ月未満であるときに、滞留時間が1週間未満であるときに比べて複数の電池セル2の各々のSOCを低く見積もる(図4のステップS125,S130-S170)。これにより、SOC強制変更セル2xのSOCをプラトー範囲(範囲r2またはr4)よりも低SOC側の非プラトー範囲(範囲r1またはr3)に移行させる場合、その直前に複数の電池セル2の最小SOCが見た目上ある程度低下していることになる。この結果、非プラトー範囲に移行させたSOC強制変更セル2xのSOCがSOC表示部を介してユーザに報知されても、バッテリ1のSOCが想定よりも急速に低下したという違和感をユーザに与えてしまうのを抑制することが可能となる。加えて、上記滞留時間が1週間以上かつ1ヶ月未満であるときに複数の電池セル2のSOCを低く見積もることで、図4のステップS150にて算出されるSOCを非プラトー範囲(範囲r1またはr3)に近づけて、図5の処理におけるSOC強制変更セル2xのSOCの変化量が大きくなるのを抑制することができる。
また、バッテリ管理装置10は、エンジンおよびエンジンにより駆動される発電機を含まない電気自動車である車両100に搭載され、バッテリ1の電力を消費するモータジェネレータMG等の電力機器および電力を生成する発電機を用いることなく、バッテリ1のSOCの推定精度を向上させ得るものである。従って、バッテリ管理装置10は、電気自動車である車両100に搭載されるバッテリ1を管理するのに極めて有用である。ただし、バッテリ1およびバッテリ管理装置10がエンジンおよびエンジンにより駆動される発電機を含むハイブリッド車両(HEV,PHEV)に搭載されてもよいことはいうまでもない。
なお、上記実施形態において、バッテリ1の各電池セル2は、リン酸鉄リチウムイオン二次電池であるが、これに限られるものではない。すなわち、バッテリ管理装置10により管理されるバッテリ1の電池セル2は、プラトー範囲でSOCの変化量に対するOCVの変化量が小さくなると共に非プラトー範囲でSOCの変化量に対するOCVの変化量が大きくなるものであれば、リン酸鉄リチウムイオン二次電池以外のものであってもよい。
また、バッテリ管理装置10では、複数の電池セル2ごとにセルバランス回路15が1つずつ設けられるが、これに限られるものではなく、図8に示すバッテリ管理装置10Bでは、それぞれ複数の電池セル2を含む複数の電池ブロックBごとにセルバランス回路15が1つずつ設けられる。すなわち、バッテリ管理装置10Bは、電池セル2の総数よりも少ない電池ブロックBの総数と同数(複数)のセルバランス回路15とを含み、当該バッテリ管理装置10Bでは、セルバランス回路15の数を減らしてコストアップを抑制することが可能となる。そして、バッテリ管理装置10Bでは、例えば4つの電池ブロックBにより形成される1つのグループに対応した4つのセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2をオンオフ制御することで、当該グループの少なくとも何れか1つの電池ブロックB(複数の電池セル2)からの放電電力で他の少なくとも何れか1つの電池ブロックB(複数の電池セル2)を充電することができる。
更に、図8のバッテリ管理装置10Bにおいて、SOC算出部としてのマイコン11は、管理IC17の図示しない電流センサにより検出される電池ブロックBに流れる電流を積算して複数の電池ブロックBの各々のSOCを算出する。また、セルバランス制御部としてのマイコン11は、例えば複数の電池ブロックBの最大SOCおよび最小SOCのプラトー範囲への滞留時間が所定期間(例えば、1ヶ月)以上になったときに、複数の電池ブロックBの何れか1つであるSOC強制変更電池ブロック(対象電池ブロック)のSOCが非プラトー範囲に含まれるように該当する複数のセルバランス回路15のスイッチング素子SW1,SW2を制御する、更に、SOC補正部としてのマイコン11は、非プラトー範囲におけるSOCとOCVとの関係に基づいてSOC強制変更電池ブロックのSOCを導出すると共に、導出したSOCに基づいてSOC補正量を算出し、当該SOC補正量により複数の電池ブロックBの各々のSOCを補正する。これにより、バッテリ管理装置10Bによっても、適用対象の効率の悪化や適用対象が限定されるのを抑制しつつ、複数の電池セル2を含むバッテリ1BのSOCの推定精度を向上させることが可能となる。
また、バッテリ管理装置10,10Bにおいて、セルバランス回路15の構成は、図3に示すものに限られない。すなわち、セルバランス回路15は、例えば双方向DC/DCコンバータを含むものであってもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。