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JP7619235B2 - 走路逸脱防止装置 - Google Patents
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JP7619235B2 - 走路逸脱防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両が左右の逸脱規制ラインにより区画される走路(例えば、走行レーン)から逸脱しないように自車両の舵角を変更する走路逸脱防止操舵制御を実行可能な走路逸脱防止装置に関する。
従来の車線逸脱防止装置の一つ(以下、単に「従来装置」と称呼する。)は、例えば図9に示したように、自車両SVの前方且つ左側に障害物OBが存在する場合、障害物OBの走行レーンLs内の側端点と右側の白線LRとの距離(便宜上、「余裕幅」と称呼する。)Woを取得する。そして、従来装置は、余裕幅Woが自車両SVの車幅Wcより小さいとき(Wo<Wc)、自車両SVが走行レーンLsから逸脱すると判定し、走路逸脱防止操舵制御の実行を禁止するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2010-23605号公報(図8)
しなしながら、従来装置は、余裕幅Woが自車両SVの車幅Wcより小さい場合に走路逸脱防止操舵制御の実行を一律に禁止してしまうので、自車両SVが障害物OBの横を通過する際に走行レーンLsから必要以上に大きく逸脱した場合であっても走路逸脱防止操舵制御の機能を利用できないという問題がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、自車両の前方に物標が存在する場合、走路逸脱防止操舵制御を適切に実行することができる走路逸脱防止装置を提供することにある。
本発明の走路逸脱防止装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)の一態様は、
自車両(SV)が走行している道路の左側区画線(LL)及び右側区画線(LR)の位置についての情報及び前記自車両の前方に位置している物標(OB)の位置についての情報を含む周辺情報を取得する周囲センサ(11)と、
前記自車両の舵角を変更可能な舵角変更アクチュエータ(21、22)と、
左側逸脱規制ライン(KL(左))と右側逸脱規制ライン(KL(右))との間の走路を前記自車両が走行している状態において、前記自車両が前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する操舵制御開始条件が成立したとき(ステップ660:Yes)、前記自車両が前記走路から逸脱しないように前記舵角変更アクチュエータを制御することにより前記自車両の舵角を変更する走路逸脱防止操舵制御を実行する(ステップ670、ステップ760乃至ステップ780)制御ユニット(10、20)と、
を備える。
側逸脱規制ライン(KL(左))は、左側区画線(LL)を「ゼロ以上の第1左側距離(a1~a5の何れか)」だけ左側又は右側(一般には左側)に移動させたラインである。左側逸脱規制ラインは、第1左側距離が「0」であるとき走行レーンを区画する左側区画線(例えば、左白線)に一致する。
側逸脱規制ライン(KL(右))は、右側区画線(LR)を「ゼロ以上の第1右側距離(a1~a5の何れか)」だけ右側又は左側(一般には右側)に移動させたラインである。右側逸脱規制ラインは、第1右側距離が「0」であるとき走行レーンを区画する右側区画線(例えば、右白線)に一致する。
更に、前記制御ユニットは、
前記自車両(SV)が前記走路を走行している場合に前記自車両の前方に物標(OB)が存在するとき、前記物標と前記左側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
又は、
前記自車両が前記走路を走行している場合に前記自車両の前方に物標が存在するとき、前記物標と前記左側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
を横余裕距離(Wy)として前記周辺情報に基いて取得し(ステップ570)、
少なくとも前記横余裕距離に基いて、前記自車両が前記物標の横を通過するときに前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうちの一方を横切って前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する逸脱通過判定条件が成立するか否かを判定し(ステップ570)、
前記逸脱通過判定条件が成立すると判定した場合(ステップ570:Yes)、前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうち、少なくとも前記自車両が前記物標の横を通過するときに横切ると予想される側の規制ラインを、前記走路の外側へ所定のオフセット距離(b1乃至b5の何れか)だけ更に移動させる(ステップ630:No、ステップ680、ステップ650)、
ように構成されている。
これによれば、自車両が物標の横を通過するとき「左側区画線及び右側区画線(又は、左側逸脱規制ライン及び右側逸脱規制ライン)」のうちの一方を横切って走路から逸脱する可能性が高い場合、自車両が横切ると予想される側の規制ラインがオフセット距離だけ更に走路の外側に移動される。従って、自車両が物標の横を通過するときに「オフセット距離だけ移動される前の規制ライン」により定まる走路から逸脱した場合であっても、「オフセット距離だけ移動された後の規制ライン」により定まる走路から逸脱しないように、走路逸脱防止操舵制御が実行される。よって、自車両が規制ラインの外側に大きく逸脱しないように自車両を走行させることができる。更に、自車両が横切ると予想される側の規制ラインがオフセット距離だけ更に走路の外側に移動されるので、自車両の運転者による操舵操作と走路逸脱防止操舵制御による操舵との乖離が小さくなる。よって、自車両の運転者に違和感を与える可能性を小さくすることができる。

本発明装置の一態様(ステップ570、ステップ580及び変形例1)において、
前記制御ユニットは、
前記横余裕距離(Wy)が所定の第1距離閾値(WUth)以下であるか否かを判定し、少なくとも前記横余裕距離が前記第1距離閾値以下であると判定した場合に前記逸脱通過判定条件が成立すると判定するように構成され、
且つ、
前記自車両の前方に存在する物標の種類に基いて前記第1距離閾値を変更するように構成されている。
自車両が物標の横を通過するとき走路又は走行レーンから逸脱するか否かを決定するために使用される第1距離閾値は、物標の種類(例えば、車両、二輪車及び歩行者)に応じて異なる。従って、この態様によれば、逸脱通過判定条件が成立するか否かを精度良く判定することができる。
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記横余裕距離(Wy)が所定の第1距離閾値(WUth)以下であり且つ前記第1距離閾値よりも小さい所定の第2距離閾値(WLth)以上であるか否かを判定し(ステップ570)、少なくとも前記横余裕距離が前記第1距離閾値以下であり且つ前記第2距離閾値以上であると判定した場合に前記逸脱通過判定条件が成立すると判定するように構成されている(ステップ570:Yes、ステップ580)。
この態様によれば、横余裕距離(Wy)が第2距離閾値(WLth)から第1距離閾値(WUth)までの間である場合に、逸脱通過判定条件が成立すると判定される。このように、横余裕距離(Wy)を第1距離閾値(WUth)のみだけでなく、第2距離閾値(WLth)とも比較するのは、横余裕距離(Wy)が第2距離閾値(WLth)未満である場合、物標は自車両の前方を走行している前方車両である可能性が高く、よって、自車両が物標の横を通過する可能性が低いからである。従って、この態様によれば、逸脱通過判定条件が成立するか否かをより精度良く判定することができる。
この場合、前記制御ユニットは、前記自車両の前方に存在する物標の種類に基いて、前記第1距離閾値を変更するように構成されてもよい。この態様によれば、逸脱通過判定条件が成立するか否かを物標の種類に応じて精度良く判定することができる。
更に、この場合、前記制御ユニットは、前記自車両の前方に存在する物標の種類に基いて、前記第2距離閾値を変更するように構成されてもよい。この態様によれば、逸脱通過判定条件が成立するか否かを物標の種類に応じて一層精度良く判定することができる。
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記走路逸脱防止操舵制御が実行されている場合、前記自車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクの大きさがオーバライド判定閾値以上であるか否かを判定し(ステップ850)、前記操舵トルクの大きさが前記オーバライド判定閾値以上であると判定したとき、前記走路逸脱防止制御を中止するように構成される(ステップ850:Yes、ステップ860乃至ステップ880)。
更に、前記制御ユニットは、
前記走路逸脱防止操舵制御が実行されている場合、及び、前記走路逸脱防止操舵制御が実行可能な状態にある場合、の少なくとも一方の場合、前記逸脱通過判定条件が成立すると判定していない場合に比べ、前記オーバライド判定閾値を小さい値に変更するように構成されている(ステップ820乃至ステップ840)。
換言すれば、前記制御ユニットは、逸脱通過判定条件が成立すると判定した場合のオーバライド判定閾値を前記逸脱通過判定条件が成立すると判定していない場合のオーバライド判定閾値よりも小さい値に設定する。
この態様によれば、自車両が物標の横を通過するとき「左側規制ライン及び右側規制ライン」のうちの一方を横切って走路から逸脱する可能性が高い場合、オーバライド判定閾値が小さい値に変更される。従って、この場合、運転者による大きな操舵操作があったとき、その操舵操作がより早期に検出され、それにより、逸脱防止操舵制御が停止される。従って、運転者が逸脱防止操舵制御を煩わしいと感じる頻度を低減することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る走路逸脱防止装置(実施装置)の概略構成図である。 図2は(A)及び(B)を含む。図2の(A)はカーブしている走行レーンの平面図であり、図2の(B)は直線の走行レーンの平面図である。 図3は、自車両の前方に物標が存在している種々の場合について示した走行レーンの平面図である。 図4は、自車両の前方に物標が存在している種々の場合について示した走行レーンの平面図である。 図5は、図1に示した運転支援ECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図6は、前記CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図7は、前記CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図8は、前記CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図9は、従来装置の作動を説明するための走行レーンの平面図である。
<構成>
本発明の実施形態に係る走路逸脱防止装置(以下、「車線逸脱回避装置」又は「実施装置」と称呼される場合がある。)は、図示しない車両に搭載される。実施装置が搭載された車両は、他車両と区別するために「自車両」と称呼される場合がある。
図1に示したように、実施装置は、運転支援ECU10と、電動パワーステアリングECU(以下、「EPS・ECU」と称呼する。)20と、警報ECU30と、を備えている。以下において、運転支援ECU10は、単に「DSECU」と称呼する。
これらのECUのそれぞれは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)である。これらのECUは、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。これらのECUは一つのECUに統合されてもよい。
マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
実施装置は、周囲センサ11、車両状態センサ12、操作スイッチ13、操舵角センサ14及び操舵トルクセンサ15を備える。DSECUは、これらのセンサ及びスイッチと接続され、これらの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。なお、これらのセンサ及びスイッチのそれぞれは、DSECU以外のECUに接続されていてもよい。その場合、DSECUは、その「センサ又はスイッチ」が接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
周囲センサ11は、カメラセンサ11a、レーダセンサ11b及び図示しないフュージョン部(ECU)を含む。
カメラセンサ11aは、図示しない「ステレオカメラ及び画像処理部(ECU)」を備える。ステレオカメラは、自車両SVの前方の「左側領域及び右側領域」の風景を撮影し、左前方画像データ及び右前方画像データを取得する。
図2の(A)及び(B)に示したように、カメラセンサ11aの画像処理部は、左前方画像データ及び右前方画像データに基づいて車線区画線(即ち、左側区画線LL及び右側区画線LR)を認識(検出)する。車線区画線の代表例は道路の白線(又は黄色線)である。よって、以下、車線区画線は単に「白線」とも称呼される。左側区画線LL及び右側区画線LRは、左白線LL及び右白線LRとそれぞれ称呼される。
画像処理部は、認識した「左白線LL及び右白線LR」に基いて、所定時間が経過する毎に以下に列挙する情報を含む車線情報を取得する。左白線LL及び右白線LRにより区画される車線は「走行レーン」とも称呼される。
・自車両SVが走行している走行レーンの形状を示すデータであり、ここでは、車線中央ラインLdの「カーブ半径R又は曲率Cv」を表すデータ。
なお、車線中央ラインLdは、左白線LL及び右白線LRの走行レーンの車線幅方向における中央点を結んだラインである。
・走行レーンと自車両SVとの位置関係を示すデータであり、より具体的には、例えば、以下に列挙するパラメータを含む(図2の(B)を参照。)データ。
・・車線中央ラインLdと、自車両SV上の基準点Pと、の車線幅方向における距離Dc。
自車両SV上の基準点Pは、自車両SVの左前輪及び右前輪の車軸上における左前輪及び右前輪の中心点である。
・・車線中央ラインLdの方向と、自車両SVの前後軸方向(即ち、自車両SVの向いている方向Cd)と、がなす角度であるヨー角θy。
自車両SVの前後軸は、自車両SVの車幅方向中央を通り、自車両SVの前後方向に伸びる軸である。ヨー角θyは、図2の(B)に示したように、-90°から+90°までの鋭角であり、方向Cdが車線中央ラインLdの方向と一致しているとき「0」となる。
更に、画像処理部は、左前方画像データ及び右前方画像データに基いて、所定時間が経過する毎に以下に列挙する情報を含む物標情報を取得する。
・物標の縦距離Dfx:物標の縦距離Dfxは、自車両SVの前端部と物標との間の自車両SVの前後軸方向における符号付き距離である。
・物標の横位置Dfy:物標の横位置Dfyは、物標の中心位置と、自車両SVの前後軸と、の自車両SVの車幅方向における符号付き距離である。
・物標の相対速度Vfx:物標の相対速度Vfxは、自車両SVの前後軸方向における物標の速度Vbと自車両SVの車速Vsとの差(=Vb-Vs)である。
・物標の種類を示す情報:物標の種類を示す情報は、物標が車両、二輪車(自動二輪車及び自転車)並びに歩行者の何れであるかを示す情報を含む。物標の種類を示す情報は、周知のパターンマッチング手法に基いて決定される。なお、この機能(物標の種類を認定する機能)は、DSECUにより実行されてもよい。
・物標(例えば、物標の左側端部)と左白線LLとの間に形成される空間の走路幅(車線幅)方向の距離であり、以下、左方側距離とも称呼される距離。なお、物標が左白線LL上にある場合、左方側距離はゼロである。左方側距離は、物標(例えば、物標の左側端部)と「後述するオフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ライン(左区画線をゼロ以上の第1左側距離だけ左側又は右側に移動させた左側逸脱規制ライン)」との間に形成される空間の走路幅(車線幅)方向の距離であってもよい。
・物標(例えば、物標の右側端部)と右白線LRとの間に形成される空間の走路幅(車線幅)方向の距離であり、以下、右方側距離とも称呼される距離。なお、物標が右白線LR上にある場合、右方側距離はゼロである。右方側距離は、物標(例えば、物標の右側端部)と「後述するオフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ライン(右区画線をゼロ以上の第1右側距離だけ右側又は左側に移動させた右側逸脱規制ライン)」との間に形成される空間の走路幅(車線幅)方向の距離であってもよい。
左方側距離及び右方側距離のうち大きいほうの距離は、「横余裕距離又は物標側面距離」とも称呼される。
画像処理部が取得する上記情報は「カメラセンサ情報」とも称呼される。
レーダセンサ11bは、図示しないECUにより実現される「レーダ波送受信部及びレーダ波処理部」を備えている。
レーダ波送受信部は、例えば、ミリ波(即ち、ミリ波帯の電磁波)を自車両SVの前方領域を含む自車両SVの周辺領域に放射し、且つ、放射したミリ波が立体物の部分(即、反射点)によって反射されることにより生成される反射波を受信する。なお、レーダセンサ11bはミリ波帯以外の周波数帯の電磁波(レーダ波)を用いるレーダセンサであってもよい。
レーダ波処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等を含む反射点情報に基づいて、物標を認識する。レーダ波処理部は、認識できた物標の縦距離Dfx、自車両SVに対する物標の方位θp、及び、物標の相対速度Vfxを取得する。更に、レーダ波処理部は、反射点情報に基づいて、物標の側面及び後面の位置を取得する。レーダ波処理部が取得する情報は「レーダセンサ情報」とも称呼される。
周囲センサ11のフュージョン部は、カメラセンサ情報とレーダセンサ情報とを統合してフュージョン情報を生成する。フュージョン情報は、上述した物標の「縦距離Dfx、横位置Dfy、方位θp、相対速度Vfx、右方側距離、左方側距離及び種類」等の物標情報、並びに、車線情報を含む。フュージョン部は、フュージョン情報を所定時間が経過する毎にDSECUに送信する。なお、フュージョン部の機能は、DSECUによって実現されてもよい。更に、周囲センサ11は、例えば、カメラセンサ11aのみを備えていてもよい。この場合、フュージョン部は省略され得る。
図1に示した車両状態センサ12は、自車両の運動状態を表す情報(パラメータ)を取得するセンサである。車両状態センサ12は、車速センサ12a、ヨーレートセンサ12b及び横加速度センサ12cを含む。
車速センサ12aは、自車両SVの走行速度(車速)Vsを検出し、車速Vsを表す信号を出力するようになっている。
ヨーレートセンサ12bは、自車両SVのヨーレートYRtを検出し、ヨーレートYRt(実ヨーレートYRt)を表す信号を出力するようになっている。
横加速度センサ12cは、自車両SVの車幅方向の加速度(即ち、横加速度)Gyを検出し、横加速度Gyを表す信号を出力するようになっている。
操作スイッチ13は、運転者が走路逸脱防止機能(車線逸脱回避機能)を有効に設定するか否かを選択するために自車両SVの運転者により操作されるスイッチである。操作スイッチ13は、運転者によって押圧されている間、オン信号(ハイレベル信号)を出力し、運転者によって押圧されていない間、オフ信号(ローレベル信号)を出力するようになっている。
走路逸脱防止機能は、自車両SVの位置(自車両SVの側面)が走路から走路の外側に向けて逸脱しないように、操舵アシストトルクをステアリング機構に付与して舵角を変更する「自車両SVの操舵制御」である。この操舵アシストトルク(操舵アシスト力)は「逸脱防止用トルク」と称呼される場合がある。なお、走路は、「左白線LLに基いて定まる左側規制ライン」及び「右白線LRに基いて定まる右側規制ライン」との間の道路の部分であり、大部分において「走行レーン」に略一致する。
操舵角センサ14は、自車両SVの操舵角(ステアリングホイールSWの回転角)θを検出し、操舵角θを表す信号を出力するようになっている。
操舵トルクセンサ15は、自車両SVのステアリングシャフトUSと図示しない操舵用ギア機構との間に組み込まれたトーションバーに加わる操舵トルクTqを検出し、操舵トルクTqを表す信号を出力するようになっている。
EPS・ECU20は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置である。EPS・ECU20は、モータドライバ21に接続されている。
モータドライバ21は、転舵用モータ22に接続されている。転舵用モータ22は、図示しない操舵用ギア機構に組み込まれている。転舵用モータ22は、電動モータであり、図示しない車載バッテリからモータドライバ21を介して供給される電力によりトルクを発生する。このトルクは操舵用ギア機構に伝達され、その結果、左右の転舵輪が転舵される。即ち、転舵用モータ22は、モータドライバ21と共に、自車両SVの舵角を変更するための「舵角変更アクチュエータ」を構成している。
EPS・ECU20は、走路逸脱防止機能が有効に設定されている状態においてDSECUから操舵指令を受信した場合、その操舵指令によって特定される目標トルクに基づいてモータドライバ21を駆動し、以て、転舵用モータ22を駆動する。即ち、EPS・ECU20は、操舵指令に基づいて自車両SVの舵角を変更する。
警報ECU30は、ブザー31及び表示器32に接続されている。警報ECU30は、DSECUからの指示に応じてブザー31を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができる。更に、警報ECU30は、DSECUからの指示に応じて、表示器32に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたり、警報画像を表示したりすることができる。
(作動の概要)
DSECUは、走路逸脱防止機能が有効な状態に設定されている場合、「走路逸脱防止操舵制御の開始条件(以下、単に「操舵制御開始条件」と称呼する場合がある。)」が成立したか否かを監視している。操舵制御開始条件は、自車両SV(自車両SVの車体)が左右の「逸脱規制ライン」により区画される走路から逸脱する(走路の外側に移動する)可能性が高い場合に成立する条件である。操舵制御開始条件の一例は後述される。
DSECUは、操舵制御開始条件が成立したと判定すると、自車両SVが走路内を(即ち、左右の逸脱規制ラインよりも車線中央ラインLd側)を走行するように、EPS・ECU20に操舵指令を送信し、以て、自車両SVの舵角を変更する。この舵角を自動的に変更する制御は「逸脱防止操舵制御」とも称呼される。逸脱防止操舵制御それ自体は周知の制御である。逸脱防止操舵制御は、走路逸脱防止機能が有効な状態にあっても、自車両SVが走路から逸脱する可能性が低い場合(操舵制御開始条件が成立しない場合)には開始されない。
左側逸脱規制ライン及び右側逸脱規制ラインは、例えば自車両SVの走行レーンが直線路であるとき、一般に、左白線LL及び右白線LRのそれぞれである。以下、説明を簡素化するため、左側逸脱規制ライン及び右側逸脱規制ラインは左白線LL及び右白線LRにそれぞれ一致していると仮定する。よって、左白線LL及び右白線LRにより区画される走行レーンと、左側逸脱規制ライン及び右側逸脱規制ラインにより区画される道路の一部(即ち、走路)と、は一致している。
ところで、図3の場合1乃至場合3に示したように、自車両SVが走行レーンLsを走行している場合、自車両SVの前方に物標(障害物であり、例えば、他車両、二輪車及び歩行者等)OBが存在するときがある。この場合、DSECUは、上述した横余裕距離Wyを取得する。
横余裕距離Wyは、物標OB(物標の車線幅方向中央)が車線中央ラインLdよりも左側に位置するとき、物標OBの右側の端面と右白線LRまでの距離になる。横余裕距離Wyは、物標OBが車線中央ラインLdよりも右側に位置するとき、物標OBの左側の端面と左白線LLまでの距離になる。
図3の場合1に示したように、物標OBの横余裕距離Wyが十分に大きい場合(即ち、横余裕距離Wy>第1距離閾値WUth、である場合)、自車両SVの運転者の大部分は自車両SVを走行レーンLsから逸脱させることなく当該物標OBの横を通過させる。即ち、例えば、物標OBが走行レーンLsの左側に位置していて、横余裕距離Wyが十分に大きい場合、自車両SVの運転者は、図4の場合1の実線L1により示したように、自車両SVが物標OBの横を通過する際に自車両SVの右側面が右白線LRを横切ることがないように自車両SVを操舵する。
この場合、逸脱防止操舵制御は実行されない可能性が高い。更に、この場合、仮に逸脱防止操舵制御が実行されたとしても、それによりステアリングホイールSWに加わるトルクは小さいので、運転者は、その逸脱防止操舵制御を煩わしく感じる可能性は低い。
これに対し、図3の場合2に示したように、物標OBの横余裕距離Wyが十分には大きくない場合(即ち、横余裕距離Wy≦第1距離閾値WUth、である場合)、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを走行レーンLsから逸脱させた上で当該物標OBの横を通過させる。即ち、例えば、物標OBが走行レーンLsの左側に位置していて、横余裕距離Wyが十分に大きくない場合、自車両SVの運転者は、図4の場合2の破線L2により示したように、自車両SVが物標OBの横を通過する際に自車両SVの右側面が右白線LRを横切るように自車両SVを操舵する。
この場合、従来の装置のように、左右の逸脱規制ラインが「左白線LL及び右白線LR」にそれぞれ設定されたままであると、逸脱防止操舵制御によりステアリングホイールSWに大きなトルクが加わる。そのため、運転者は、その逸脱防止操舵制御を煩わしく感じる可能性が高い。
従来の装置は、このような場合(例えば、図3の場合2及び図4の場合2を参照。)に走路逸脱防止機能を無効な状態に設定するように構成され得る。ところが、そうすると、運転者が自車両SVを逸脱規制ラインから必要以上に乖離させた場合(即ち、自車両SVを走行レーンLsから大きく逸脱させた場合)にも逸脱防止操舵制御が実行されない。その結果、そのように構成された従来の装置は、走路逸脱防止機能を十分に活用することができない。
そこで、発明者は検討を重ねた結果、自車両SVが物標OBの側方を通過する際、運転者が自車両SVを走行レーンLsから逸脱させるか否かは、横余裕距離Wyが閾値WUth以下であるか否かに基いて判定できるとの知見を得た。閾値WUthは物標の種類(例えば、車両、二輪車及び歩行者)に応じて変化する値であり、「逸脱通過判定上限値WUth」又は「第1距離閾値WUth」と称呼される。
より具体的に述べると、横余裕距離Wyが逸脱通過判定上限値WUthより大きければ、多くの運転者は自車両SVを走行レーンLsから逸脱させることなく物標OBの横を通過させる(図3の場合1及び図4の場合1を参照。)。これに対し、横余裕距離Wyが逸脱通過判定上限値WUth未満であれば、多くの運転者は自車両SVを走行レーンLsから逸脱させながら物標OBの側方を通過させる(図3の場合2及び図4の場合2を参照。)。
なお、発明者は、図3の場合3に示したように、物標OBの横余裕距離Wyが「逸脱通過判定上限値WUthよりも小さい逸脱通過判定下限値WLth」未満である場合、その物標OBは先行車両である可能性が高く、自車両SVの運転者は物標OBの横を通過しようとしない(追い越そうとしない)との知見も得た。即ち、この場合、自車両SVが走行レーンLsから逸脱する可能性は低い。逸脱通過判定下限値WLthも物標OBの種類に応じて変化するように予め定められた値であり、「第2距離閾値WLth」と称呼される場合がある。
係る知見に基づき、実施装置は、横余裕距離Wyと、逸脱通過判定上限値(第1距離閾値)WUth及び逸脱通過判定下限値(第2距離閾値)WLthのそれぞれと、を比較し、自車両SVが左白線LL及び右白線LRの何れかを横切って走行レーンLsの外側に逸脱する可能性が高いか否かを判定するように構成される。
そして、実施装置は、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に走行レーンLsを逸脱する可能性が高いと判定した場合(即ち、WLth≦Wy≦WUth、の場合)、車線逸脱回避機を有効な状態に維持した上で、「左側逸脱規制ライン(本例では左白線LL)及び右側逸脱規制ライン(本例では右白線LR)」のうちの「逸脱側のライン」を「所定のオフセット距離」だけ走路の外側に移動させる。走路の外側とは、走路に対する逸脱側であり、自車両SVが走路から逸脱すると予想される方向を意味する。
その結果、自車両SVは、例えば、図4の場合2の破線L2に示したように走行させられる。この場合、仮に逸脱防止操舵制御が実行されたとしても、それによりステアリングホイールSWに加わるトルクは小さいので、運転者は、その逸脱防止操舵制御を煩わしく感じる可能性は低い。
更に、実施装置は、操舵トルクセンサ15によって検出される操舵トルクTqの大きさ(|Tq|)がオーバライド判定閾値TqORth以上になった場合、運転者の操舵操作を走路逸脱防止操舵制御よりも優先させる(オーバーライドさせる)ように走路逸脱防止機能を無効な状態に設定する。
但し、実施装置は、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に走行レーンLsを逸脱する可能性が高いと判定される場合(即ち、WLth≦Wy≦WUthである場合)、そのオーバライド判定閾値TqORthを、通常の値TqHから「値TqHよりも小さい値TqL」へと変更する。
これにより、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に走行レーンLsを逸脱する可能性が高い場合において、運転者が意図的に大きな操舵操作を行ったとき、逸脱防止操舵制御が実行されない可能性(逸脱防止操舵制御が停止される可能性)が高くなる。よって、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に運転者が意図的に大きな操舵操作を行ったとき、運転者の操舵操作がより優先されやすくなるから、運転者が逸脱防止操舵制御を煩わしいと感じる頻度を低減することができる。
(実際の作動)
DSECUのCPU(以下、単に「CPU」と称呼される。)は、所定時間が経過する毎に図5乃至図8のフローチャートにより示したルーチンのそれぞれを実行するようになっている。なお、以下において使用される各種のフラグは、自車両SVの図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置に移動された場合にCPUによって実行される初期化ルーチンにおいて「0」に設定される。更に、この初期化ルーチンにおいて、左側逸脱規制ラインは左白線LLに設定され、右側逸脱規制ラインは右白線LRに設定される。
1.走行レーン逸脱通過判定
従って、所定のタイミングになると、CPUは図5のステップ500から処理を開始してステップ510に進み、逸脱防止機能有効フラグXLDAの値が「1」であるか否かを判定する。逸脱防止機能有効フラグXLDAは、単に「有効フラグXLDA」とも称呼される。
CPUは、図示しないルーチンを実行し、逸脱防止機能有効条件が成立したか否かを判定し、逸脱防止機能有効条件が成立した場合、有効フラグXLDAの値を「1」に設定する。逸脱防止機能有効条件は、例えば、以下の条件A1及び条件A2の両方が成立している場合に成立する。
<<逸脱防止機能有効条件>>
(条件A1)逸脱防止機能が無効に設定されている状態において、操作スイッチ13が押圧された。
(条件A2)逸脱防止機能が無効に設定された時点から所定時間(無効継続時間)が経過している。
なお、CPUは、図示しないルーチンを実行し、逸脱防止機能無効条件が成立したか否かを判定し、逸脱防止機能無効条件が成立した場合、有効フラグXLDAの値を「0」に設定する。逸脱防止機能無効条件は、例えば、以下の条件B1及び条件B2の何れかが成立した場合に成立する。
<<逸脱防止機能無効条件>>
(条件B1)逸脱防止機能が有効に設定されている状態において、操作スイッチ13が押圧された。
(条件B2)逸脱防止機能が有効に設定されている状態において、運転者の操舵操作(オーバーライド)により、操舵トルクTqの大きさ(|Tq|)がオーバライド判定閾値TqORth以上になった(後述するステップ850及びステップ860を参照。)。
有効フラグXLDAの値が「1」でないとき、CPUはステップ510にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、有効フラグXLDAの値が「1」であるとき、CPUはステップ510にて「Yes」と判定し、ステップ520に進む。
CPUは、ステップ520にて、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」であるか否かを判定する。逸脱通過判定フラグXDPの値は、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に「左側区画線及び右側区画線により区画される走行レーン(より具体的には、後述するオフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ラインと、後述するオフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ラインと、により区画される走路)」から逸脱する可能性が高いと判定された場合に「1」に設定される(後述する、ステップ570及びステップ580を参照。)。
逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」でないとき、CPUはステップ520にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」であるとき、CPUはステップ520にて「Yes」と判定し、ステップ530に進む。
CPUは、ステップ530にて、周囲センサ11からのフュージョン情報に基き、制御対象となる物標(対象物標)が自車両SVの前方に存在しているか否かを判定する。本例において、対象物標と認定される物標の種類は、車両(他車両)、二輪車(自動二輪車及び自転車)、及び、歩行者の何れかである。なお、対象物標と認定される物標は、その他の種類の物標(例えば、工事用看板及び道路上に配置されたパイロン等)を含んでいてもよい。
対象物標が自車両SVの前方に存在していない場合、CPUはステップ530にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、対象物標が自車両SVの前方に存在している場合、CPUはステップ530にて「Yes」と判定し、ステップ540に進む。
CPUは、ステップ540にて、対象物標の絶対速度Vzを算出し、その絶対速度Vzが対象物標の種類に応じた速度範囲内であるか否かを判定する。なお、ある物標の絶対速度Vzは、その物標の相対速度Vfxに自車両SVの車速Vsを加えることにより算出される。例えば、ステップ540にて使用される速度範囲は、例えば、以下のとおりである。以下のA、B及びCは、何れも正の値である。
対象物標の種類が車両である場合:-Akm/h乃至自車両SVの車速Vsの範囲。
対象物標の種類が二輪車である場合:-Bkm/h乃至自車両SVの車速Vsの範囲。
対象物標の種類が歩行者である場合:-Ckm/h乃至自車両SVの車速Vsの範囲。
この結果、自車両SVの前方に存在している物標のうち、自車両SVから遠ざかりつつある物標(即ち、相対速度Vfxが正の物標)は対象物標から除外される。
絶対速度Vzが上述の速度範囲内である対象物標が存在しない場合、CPUはステップ540にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、絶対速度Vzが上述の速度範囲内である対象物標が存在している場合、CPUはステップ540にて「Yes」と判定し、ステップ550に進む。
CPUは、ステップ550にて、対象物標のそれぞれについて衝突予測時間TTCを計算により求める。衝突予測時間TTCは、現時点から、自車両SVと対象物標とが現時点の運動状態を維持したと仮定した場合における自車両SVと対象物標とが衝突するまでの時点まで、の時間である。衝突予測時間TTCは、例えば、対象物標の縦距離Dfxを当該対象物標の相対速度Vfxの大きさ|Vfx|で除することにより算出される(TTC=Dfx/|Vfx|)。なお、複数の物標が対象物標として選択されている場合、それらの物標の中で最も短い衝突予測時間TTCを有する物標が最終的な対象物標として選択される。CPUは更にステップ550にて、最終的な対象物標の衝突予測時間TTCが衝突時間閾値TTCth以下であるか否かを判定する。
最終的な対象物標の衝突予測時間TTCが衝突時間閾値TTCthより大きい場合、CPUはステップ550にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、最終的な対象物標の衝突予測時間TTCが衝突時間閾値TTCth以下である場合、CPUはステップ550にて「Yes」と判定してステップ560に進む。
CPUは、ステップ560にて、ルックアップテーブル(マップ)MapWthに最終的な対象物標の種類を適用することにより、「逸脱通過判定上限値(第1距離閾値)WUth及び逸脱通過判定下限値(第2距離閾値)WLth」を決定する(図3を参照。)。逸脱通過判定上限値WUth及び逸脱通過判定下限値WLthは、以下において、単に「上限値WUth」及び「下限値WLth」とそれぞれ称呼される場合がある。
ルックアップテーブルMapWthは、物標の種類と、「上限値WUth」及び「下限値WLth」のそれぞれとの関係を規定している。上限値WUthは下限値WLthよりも大きい値に設定されている。上限値WUth及び下限値WLthは、対象物標の種類毎に、自車両SVが対象物標の横を通過する際、多くの運転者がどのように自車両SVを走行させるか(どのような操舵操作を行うか)についてのデータに基いて作成されている。このルックアップテーブルMapWthによれば、例えば、物標の種類が車両である場合、上限値WUth及び下限値WLthは値WU1及び値WL1にそれぞれ設定される。
次に、CPUはステップ570に進み、上述した横余裕距離Wyを取得する。更に、CPUは、ステップ570にて、「横余裕距離Wyが、下限値WLth以上であり、且つ、上限値WUth以下である」か否かを判定する。即ち、CPUは、次の不等式により示される逸脱通過判定条件が成立しているか否かを判定する。
<<逸脱通過判定条件>>
WLth≦Wy≦WUth
例えば、対象物標OBが図3の場合1に示した位置(走行レーンの左白線を跨る位置)に存在しているとき、横余裕距離Wyは、上限値WUthよりも大きい。この場合、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「後述するオフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ライン及び後述するオフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ラインにより区画される走路」から逸脱させることなく最終的な対象物標OBの横を通過する。例えば、この場合、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「左白線LLに設定されている左側逸脱規制ライン、及び、右白線LRに設定されている右側逸脱規制ライン」の何れかから走路の外側に逸脱させる操舵操作を行わない。
例えば、対象物標OBが図3の場合2に示した位置(走行レーンの左側領域)に存在しているとき、横余裕距離Wyは、上限値WUth以下であり、且つ、下限値WLth以上である。この場合、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「後述するオフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ライン及び後述するオフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ラインにより区画される走路」から逸脱させながら最終的な対象物標OBの横を通過する。例えば、この場合、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「左白線LLに設定されている左側逸脱規制ライン、及び、右白線LRに設定されている右側逸脱規制ライン」の何れかから走路の外側に逸脱させる操舵操作を行う。
対象物標OBが図3の場合3に示した位置(走行レーンの略中央領域)に存在しているとき、横余裕距離Wyは下限値WLthよりも小さい。この場合、対象物標は例えば自車両SVと同方向に走行している他車両(即ち、先行車両)であり、自車両SVの運転者の大部分は対象物標の横を通過しようとしない。換言すると、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「後述するオフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ライン及び後述するオフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ラインにより区画される走路」から逸脱させるような操舵を行わない。例えば、この場合、自車両SVの運転者の大部分は、自車両SVを「例えば左白線LLに設定されている左側逸脱規制ライン、及び、例えば右白線LRに設定されている右側逸脱規制ライン」の何れかから走路の外側に逸脱させる操舵操作を行わない。
以上から、逸脱通過判定条件が成立する場合にのみ、自車両SVの運転者は、自車両SVを「(後述するオフセット距離だけ移動される前の)左側逸脱規制ラインと、(後述するオフセット距離だけ移動される前の)右側逸脱規制ラインと、により区画される走路」から逸脱させながら最終的な対象物標OBの横を通過する可能性が高い。
逸脱通過判定条件が成立していない場合、CPUはステップ570にて「No」と判定し、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、逸脱通過判定条件が成立している場合、CPUはステップ570にて「Yes」と判定してステップ580に進む。CPUは、ステップ580にて、逸脱通過判定フラグXDPの値を「1」に設定する。即ち、CPUは、自車両SVの運転者が、自車両SVを走路から逸脱させながら最終的な対象物標OBの横を通過する可能性が高いと判定する。その後、CPUはステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
2.走路逸脱防止操舵制御(逸脱防止操舵制御)の開始判定
所定のタイミングになると、CPUは図6のステップ600から処理を開始してステップ610に進み、逸脱防止機能有効フラグXLDAの値が「1」であるか否かを判定する。
有効フラグXLDAの値が「1」でないとき、CPUはステップ610にて「No」と判定し、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、有効フラグXLDAの値が「1」であるとき、CPUはステップ610にて「Yes」と判定し、ステップ620に進む。
CPUは、ステップ620にて、逸脱防止操舵制御実行フラグXJの値が「0」であるか否かを判定する。逸脱防止操舵制御実行フラグXJの値は、逸脱防止操舵制御が実行されている間、「1」に設定される(後述する「ステップ670、図7のステップ720及びステップ750」を参照。)。
実行フラグXJの値が「0」でないとき(即ち、逸脱防止操舵制御が実行中である場合)、CPUはステップ620にて「No」と判定し、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、実行フラグXJの値が「0」であるとき、CPUはステップ620にて「Yes」と判定し、ステップ630に進む。
CPUは、ステップ630にて、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」であるか否かを判定する。逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」である場合、CPUはステップ630にて「Yes」と判定してステップ640に進み、ルックアップテーブルMapDfαを用いて、図2の(B)及び図4の場合2に示した「逸脱規制ラインKLの補正距離Df」を決定する。
より具体的に述べると、CPUは、道路形状(走行レーンの車線中央ラインLdの曲率半径R又は曲率Cv=1/(曲率半径R))に基いて、道路形状が「急カーブ、緩カーブ及び直線」の何れであるかを決定する。例えば、曲率半径Rの大きさが値R1より小さいとき、CPUは道路形状が急カーブであると判定する。曲率半径Rの大きさが値R1以上であり且つ値R2より小さいとき、CPUは道路形状が緩カーブであると判定する。曲率半径Rの大きさが値R2以上であるとき、CPUは道路形状が直線であると判定する。
そして、道路形状が急カーブ及び緩カーブの何れかである場合、補正しようとしている逸脱規制ラインKLがカーブの外側(外周側)であるかカーブの内側(内周側)であるかに応じて、補正距離Dfを求める(ステップ640内のルックアップテーブルMapDfαを参照。)。例えば、自車両SVが左カーブの道路を走行している場合、道路の右側がカーブの外側であり、道路の左側がカーブの内側である。
テーブルMapDfαによれば、以下のように補正距離Dfが求められる。
道路形状が急カーブである場合のカーブ外側の補正距離Df=a1
道路形状が緩カーブである場合のカーブ外側の補正距離Df=a2
道路形状が直線である場合の補正距離Df=a3
道路形状が緩カーブである場合のカーブ内側の補正距離Df=a4
道路形状が急カーブである場合のカーブ内側の補正距離Df=a5
本例に示したテーブルMapDfαによれば、値a1乃至値a3はそれぞれ「0」に設定され、値a4及び値a5はそれぞれ正の値に設定される。値a5は値a4よりも大きい。これらの値an(nは1から5の整数、即ち、値a1、a2、a3、a4及びa5)は、その値が適用される側が左側である場合には「第1左側距離」とも称呼され、その値が適用される側が右側である場合には「第1右側距離」と称呼される。値an(nは1から5の整数)は、0を含んでよく、正又は負の値を含んでもよく、その大きさは例えば走行レーン幅の1/10乃至1/20程度である。但し、値an(nは1から5の整数)は、一般には、0以上の正の値であることが好ましい。
次に、CPUはステップ650に進み、左側逸脱規制ラインを左白線LL及び対応する補正距離Dfに基いて決定するとともに、右側逸脱規制ラインを右白線LR及び対応する補正距離Dfに基いて決定する。換言すると、CPUは、左白線LLを対応する補正距離Dfだけ走行レーンの外側(左側)に移動したラインを補正後の左側逸脱規制ラインとして決定する。なお、左白線LLに対する補正距離Dfが「0」である場合、補正後の左側逸脱規制ラインは左白線LLに一致する。また、補正距離Dfが負の値である場合、補正後の左側逸脱規制ラインは左白線LLを値|Df|だけ右側に移動したラインになる。更に、CPUは、右白線LRを対応する補正距離Dfだけ走行レーンの外側(右側)に移動したラインを補正後の右側逸脱規制ラインとして決定する。右白線LRに対する補正距離Dfが「0」である場合、補正後の右側逸脱規制ラインは右白線LRに一致する。また、補正距離Dfが負の値である場合、補正後の右側逸脱規制ラインは右白線LRを値|Df|だけ左側に移動したラインになる。
更に、CPUは、自車両SVの基準点Pから自車両SVが「左側逸脱規制ライン及び右側逸脱規制ラインにより区画される走路」から逸脱しようとしつつある側(以下、「逸脱側」と称呼する。)の白線までの距離Dsと、補正距離Dfと、の和を「逸脱余裕距離Dsy(=Ds+Df)」として求める。逸脱側の白線は、左白線LLと右白線LRとのうち基準点Pがより近い方の白線である。
例えば、図2の(A)に示した例においては、基準点Pと左白線LLとの距離Dsと左白線LLの補正距離Dfとの和が逸脱余裕距離Dsyとして求められる。例えば、図2の(B)に示した例においては、基準点Pと右白線LRとの距離Dsと右白線LRの補正距離Dfとの和が逸脱余裕距離Dsyとして求められる。
次いで、CPUは図6のステップ660に進み、操舵制御開始条件(走路逸脱防止操舵制御の開始条件)が成立しているか否かを判定する。操舵制御開始条件は、例えば、以下の条件C1及び条件C2の両方が成立している場合に成立する。
<<走路逸脱防止操舵制御の開始条件>>
(条件C1)逸脱余裕距離Dsyが正の所定値である逸脱防止操舵開始閾値Dref以下である。
(条件C2)ヨー角θyにより示される自車両SVの進行方向が、逸脱側の逸脱規制ラインに向かう方向にある。
なお、逸脱防止操舵開始閾値Drefは、例えば、自車両SVの車幅WSVの1/2の値に所定の微小な正の値γを加えた値(=(WSV/2)+γ)に設定されているが、これに限定されない。
逸脱防止操舵制御の開始条件が成立していないとき、CPUはステップ660にて「No」と判定し、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、逸脱防止操舵制御の開始条件が成立していとき、CPUはステップ660にて「Yes」と判定し、ステップ670に進んで操舵制御実行フラグXJの値を「1」に設定する。これにより、後述するように逸脱防止操舵制御が開始される(図7のステップ760乃至ステップ780を参照。)。
一方、CPUがステップ630に進んだとき、逸脱通過判定フラグXDPの値が「1」である(「0」でない)場合、CPUはステップ630にて「No」と判定してステップ680に進む。そして、CPUはステップ680にて、ルックアップテーブルMapDfβを用いて、逸脱規制ラインKLの補正距離Dfを決定する。
より具体的に述べると、CPUは、前述したように、道路形状が「急カーブ、緩カーブ及び直線」の何れであるかを決定する。そして、道路形状が急カーブ及び緩カーブの何れかである場合、補正しようとしている逸脱規制ラインKLがカーブの外側(外周側)であるかカーブの内側(内周側)であるかに応じて、補正距離Dfを求める(ステップ640内のルックアップテーブルMapDfβを参照。)。
テーブルMapDfβによれば、以下のように補正距離Dfが求められる。
道路形状が急カーブである場合のカーブ外側の補正距離Df=a1+b1
道路形状が緩カーブである場合のカーブ外側の補正距離Df=a2+b2
道路形状が直線である場合の補正距離Df=a3+b3
道路形状が緩カーブである場合のカーブ内側の補正距離Df=a4+b4
道路形状が急カーブである場合のカーブ内側の補正距離Df=a5+b5
値an(nは1から5の整数)は上述した通りである。
本例において、値b1、値b2及び値b3、は互いに等しい正の値である。値b4は値b1より小さい正の値であり、値b5は値b4より小さい正の値である。これらの値bn(nは1から5の整数、即ち、値b1、b2、b3、b4及びb5)は、基本的には正の値であり、特に、値b3は正の値である。
従って、逸脱通過判定フラグXDPの値が「1」の場合(即ち、自車両SVの運転者が自車両SVを走行レーン又は走路から逸脱させて物標OBの横を通過する可能性が高い場合)、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」の場合に比べ、逸脱規制ラインが走行レーンから見てより逸脱側(走行レーン外側)に移動される。なお、値b5は「0」であってもよく、この場合、道路形状が急カーブであり逸脱方向がカーブ内側である場合に限り、逸脱規制ラインは、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」の場合の逸脱規制ラインから移動されない。つまり、これらの値bn(nは1から5の整数、即ち、値b1、b2、b3、b4及びb5)は総てが「0」でなければよい。これらの値bn(nは1から5の整数、即ち、値b1、b2、b3、b4及びb5)のうち、「0」でない値は「オフセット距離」と称呼される。
その後、CPUは前述したステップ650及びステップ660に進み、ステップ660にて「Yes」と判定した場合にはステップ670に進む。この結果、逸脱通過判定フラグXDPの値が「1」の場合、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」の場合に比べて、自車両SVが物標の横を通過しようとする際に自車両SVが走行レーンから逸脱しつつある際、逸脱余裕距離Dsyが大きい値になるから、逸脱防止操舵制御の実行開始タイミングが事実上遅れる。
3.逸脱防止操舵制御の実行及びその終了判定
所定のタイミングになると、CPUは図7のステップ700から処理を開始してステップ710に進み、逸脱防止機能有効フラグXLDAの値が「1」であるか否かを判定する。
有効フラグXLDAの値が「1」でないとき、CPUはステップ710にて「No」と判定してステップ720に進む。CPUは、ステップ720にて操舵制御実行フラグXJの値を「0」に設定し、その後、ステップ760に進む。これに対し、有効フラグXLDAの値が「1」であるとき、CPUはステップ710にて「Yes」と判定し、ステップ730に進む。
CPUは、ステップ730にて、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるか否かを判定する。操舵制御実行フラグXJの値が「1」でないとき、CPUはステップ730にて「No」と判定し、ステップ760に直接進む。これに対し、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるとき、CPUはステップ730にて「Yes」と判定し、ステップ740に進む。
CPUは、ステップ740にて、逸脱防止操舵制御の終了条件が成立しているか否かを判定する。逸脱防止操舵制御の終了条件は、例えば、以下の条件D1及び条件D2の両方が成立している場合に成立する。
<<逸脱防止操舵制御の開始条件>>
(条件D1)逸脱余裕距離Dsyが「逸脱防止操舵開始閾値Drefに微小な正の値Δを加えた値(=Dref+Δ)」よりも大きい。なお、値Δは「0」であってもよい。
(条件D2)ヨー角θyにより示される自車両SVの進行方向が、逸脱側の逸脱規制ラインに向かう方向ではない(逸脱防止操舵制御開始時に逸脱側であると判定された逸脱規制ラインと反対側の逸脱規制ラインに向かう方向である。)。
逸脱防止操舵制御の終了条件が成立していないとき、CPUはステップ740にて「No」と判定し、ステップ760に直接進む。これに対し、逸脱防止操舵制御の終了条件が成立しているとき、CPUはステップ740にて「Yes」と判定し、ステップ750に進んで操舵制御実行フラグXJの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ760に進む。
CPUは、ステップ760に進むと、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるか否かを判定する。操舵制御実行フラグXJの値が「1」でないとき、CPUはステップ760にて「No」と判定し、ステップ795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるとき、CPUはステップ760にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ770及びステップ780の処理を順に行い、その後、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ770:CPUは、目標制御量(本例において、目標トルクTqtgt)を下記の式に従って求める。

Tqtgt=K1・(Vs2/R)+K2・Ds’+K3・θy+K4・(Yr*-Yr)
この式において、K1,K2,K3,K4は、それぞれ制御ゲインであり、走行レーンが右カーブ、左カーブ及び直線の何れであるか、及び、逸脱側の逸脱規制ラインが左側であるか右側であるか、等に応じて、それらの符号(プラス及びマイナス)が決定される。即ち、目標トルクTqtgtが「自車両SVが車線中央ラインLd沿い、且つ、車線中央ラインLdに向かう値」になるように、制御ゲインの符号が決定される。なお、Rはカーブ半径、θyは上述したヨー角、Yr*は目標ヨーレート、Yrはヨーレートセンサ12bによって検出される自車両の実ヨーレートである。Ds’はサイド距離と称呼され、次の式に基いて求められる。

サイド距離Ds’=逸脱防止操舵開始閾値Dref-逸脱余裕距離Dsy
従って、目標トルクTqtgtは、サイド距離Ds’が大きくなるほど、その絶対値|Tqtgt|が大きくなるように算出される。更に、目標トルクTqtgtは、ヨー角θyにより示される自車両SVの進行方向が逸脱側であってヨー角θyの大きさ|θy|が大きくなるほど、目標トルクTqtgtはその絶対値|Tqtgt|が大きくなるように算出される。
なお、上記式の右辺第4項(K4・(Yr*-Yr))は省略されてもよい。このような、目標トルクTqtgtの計算方法自体は周知であり、例えば、特開2018-79835号公報及び特開2020―11562号公報等に開示されている。
ステップ780:CPUは、目標トルクTqtgtを情報として含む操舵指令をEPS・ECU20に送信する。即ち、CPUはEPS・ECU20を介して転舵用モータ22を駆動し、転舵用モータ22に目標トルクTqtgtと一致する操舵アシストトルクを発生させる。この結果、自車両SVが逸脱側の逸脱規制ラインから逸脱することを防止する「走路逸脱防止操舵制御」が実行される。
4.オーバーライド判定
所定のタイミングになると、CPUは図8のステップ800から処理を開始してステップ810に進み、逸脱防止機能有効フラグXLDAの値が「1」であるか否かを判定する。
有効フラグXLDAの値が「1」でないとき、CPUはステップ810にて「No」と判定し、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、有効フラグXLDAの値が「1」であるとき、CPUはステップ810にて「Yes」と判定し、ステップ820に進む。
CPUは、ステップ820にて、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」であるか否かを判定する。逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」であるときCPUはステップ820にて「Yes」と判定してステップ830に進み、オーバライド判定閾値TqORthを通常の第1所定値TqHに設定する。その後、CPUはステップ850に進む。なお、オーバライド判定閾値TqORthは、上述した初期化ルーチンにおいて通常の第1所定値TqHに設定される。
これに対し、逸脱通過判定フラグXDPの値が「0」でないとき(「1」であるとき)CPUはステップ820にて「No」と判定してステップ840に進み、オーバライド判定閾値TqORthを「第1所定値TqHよりも小さい第2所定値TqL」に設定する。その後、CPUはステップ850に進む。
CPUは、ステップ850にて、操舵トルクTqの大きさ(|Tq|)がオーバライド判定閾値TqORth以上であるか否かを判定する。操舵トルクTqの大きさ(|Tq|)がオーバライド判定閾値TqORth未満である場合、CPUはステップ850にて「No」と判定し、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、操舵トルクTqの大きさ(|Tq|)がオーバライド判定閾値TqORth以上である場合、CPUはステップ850にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ860乃至ステップ880の処理を順に行い、その後、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する
ステップ860:CPUは逸脱防止機能有効フラグXLDAの値を「0」に設定する。
ステップ870:CPUは逸脱防止操舵制御実行フラグXJの値を「0」に設定する。
ステップ880:CPUは、逸脱通過判定フラグXDPの値を「0」に設定する。
このように、逸脱通過判定フラグXDPの値が「1」の場合(即ち、自車両SVの運転者が自車両SVを走行レーンから逸脱させて物標OBの横を通過する可能性が高い場合)、オーバライド判定閾値TqORthが「第1所定値TqHよりも小さい第2所定値TqL」に設定される。よって、運転者による大きな操舵操作があったことがより早期に検出され、それにより、走路逸脱防止機能が無効にされ、逸脱防止操舵制御が実行されている場合には当該逸脱防止操舵制御が停止(禁止)される。
これにより、自車両SVが物標OBの側方を通過する際に左白線及び右白線の何れかから逸脱する可能性が高い場合において、運転者が操舵操作を意図的に行った場合、逸脱防止操舵制御が実行されない可能性が高くなる。よって、運転者の操舵操作がより優先されやすくなから、運転者が逸脱防止操舵制御を煩わしいと感じる頻度を低減することができる。なお、CPUは、ステップ810とステップ820との間において、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるか否かを判定してもよい。この場合、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるときCPUはステップ820に進み、操舵制御実行フラグXJの値が「1」でないときCPUはステップ895に進む。更に、CPUは、ステップ810にて、逸脱防止機能有効フラグXLDAの値が「1」であるか否かを判定する代わりに、操舵制御実行フラグXJの値が「1」であるか否かを判定するように構成されてもよい。即ち、CPUは、走路逸脱防止操舵制御が実行されている場合(即ち、走路逸脱防止機能が有効に設定されている場合)、及び、前記走路逸脱防止操舵制御が実行可能な状態にある場合、の少なくとも一方の場合に、オーバライド判定閾値TqORthを「第1所定値TqH」と「第2所定値TqL」との間で切り替えてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において以下に述べるような種々の変形例を採用することができる。
<変形例1>
例えば、逸脱通過判定条件は、横余裕距離Wyが上限値(第1距離閾値)WUth以下である場合(即ち、Wy≦WUthの場合)に成立する条件であってもよい。更に、この場合、CPUがステップ540を実行する際、自車両SVの前方の物標の相対速度Vfxが前方車両相対速度範囲(-S1(km/h)乃至+S1(km/h))内であるとき、その物標を対象物標から除外してもよい。
<変形例2>
DSECUのCPUは、逸脱通過判定条件が成立していない場合、左側区画線を道路形状に応じて決まる表1に示した第1左側距離だけ左側に移動したラインを左側逸脱規制ラインに設定し、右側区画線を道路形状に応じて決まる表1に示した第1右側距離だけ右側に移動したラインを右側逸脱規制ラインに設定してもよい。
更に、DSECUのCPUは、逸脱通過判定条件が成立している場合、左側区画線を道路形状に応じて決まる表1に示した「第1左側距離と左側のオフセット距離との和」だけ左側に移動したラインを左側逸脱規制ラインに設定し、右側区画線を道路形状に応じて決まる表1に示した「第1右側距離と右側のオフセット距離との和」だけ右側に移動したラインを右側逸脱規制ラインに設定してもよい。
なお、表1に示した「第1左側距離及び第1右側距離」のそれぞれの値は「0を含む正又は負の値(好ましくは、0以上の値)」であり、表1に示した「左側のオフセット距離及び右側のオフセット距離」のそれぞれの値は「0より大きい値」である。
Figure 0007619235000001
<変形例3>
DSECUは、逸脱防止操舵制御の実行中に警報ECU30に警報指令を送信し、ブザー31及び/又は表示器32を用いて逸脱防止操舵制御が実行されていることを運転者に報知してもよい。
<変形例4>
DSECUは、逸脱防止操舵制御における目標制御量として、目標トルクTqtgtに代え、目標舵角θtgtを計算し、この情報を含む操舵指令をEPS・ECU20に送信してもよい。この場合、EPS・ECU20は、操舵指令によって特定される目標舵角θtgt及び車速Vs等に基づいて転舵用モータ22を駆動し、それにより実際の舵角を目標舵角θtgtに一致させてもよい。
上述したように、横余裕距離Wyは、
自車両の前方に存在する物標と左側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と右側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、であってもよく、
前記物標と左側逸脱規制ライン(オフセット距離だけ移動される前の左側逸脱規制ライン)との間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と右側逸脱規制ライン(オフセット距離だけ移動される前の右側逸脱規制ライン)との間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
であってもよい。
10…運転支援ECU(DSECU)、11…周囲センサ、11a…カメラセンサ、11b…レーダセンサ、12…車両状態センサ、12a…車速センサ、12b…ヨーレートセンサ、12c…横加速度センサ、13…操作スイッチ、14…操舵角センサ、15…操舵トルクセンサ、20…EPS・ECU、21…モータドライバ、22…転舵用モータ。

Claims (5)

  1. 自車両が走行している道路の左側区画線及び右側区画線の位置についての情報及び前記自車両の前方に位置している物標の位置についての情報を含む周辺情報を取得する周囲センサと、
    前記自車両の舵角を変更可能な舵角変更アクチュエータと、
    前記左側区画線をゼロ以上の第1左側距離だけ左側又は右側に移動させた左側逸脱規制ラインと前記右側区画線をゼロ以上の第1右側距離だけ右側又は左側に移動させた右側逸脱規制ラインとの間の走路を前記自車両が走行している状態において、前記自車両が前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する操舵制御開始条件が成立したとき、前記自車両が前記走路から逸脱しないように前記舵角変更アクチュエータを制御することにより前記自車両の舵角を変更する走路逸脱防止操舵制御を実行する制御ユニットと、
    を備え、
    前記制御ユニットは、
    前記自車両が前記走路を走行している場合に前記自車両の前方に物標が存在するとき、
    前記物標と前記左側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
    又は、
    前記物標と前記左側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
    を横余裕距離として前記周辺情報に基いて取得し、
    少なくとも前記横余裕距離に基いて、前記自車両が前記物標の横を通過するときに前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうちの一方を横切って前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する逸脱通過判定条件が成立するか否かを判定し、
    前記逸脱通過判定条件が成立すると判定した場合、前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうち、少なくとも前記自車両が前記物標の横を通過するときに横切ると予想される側の規制ラインを、前記走路の外側へ所定のオフセット距離だけ更に移動させる、
    ように構成された、
    走路逸脱防止装置において、
    前記制御ユニットは、
    前記横余裕距離が所定の第1距離閾値以下であるか否かを判定し、少なくとも前記横余裕距離が前記第1距離閾値以下であると判定した場合に前記逸脱通過判定条件が成立すると判定するように構成され、
    且つ、
    前記自車両の前方に存在する前記物標の種類に基いて前記第1距離閾値を変更するように構成された、
    走路逸脱防止装置。
  2. 自車両が走行している道路の左側区画線及び右側区画線の位置についての情報及び前記自車両の前方に位置している物標の位置についての情報を含む周辺情報を取得する周囲センサと、
    前記自車両の舵角を変更可能な舵角変更アクチュエータと、
    前記左側区画線をゼロ以上の第1左側距離だけ左側又は右側に移動させた左側逸脱規制ラインと前記右側区画線をゼロ以上の第1右側距離だけ右側又は左側に移動させた右側逸脱規制ラインとの間の走路を前記自車両が走行している状態において、前記自車両が前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する操舵制御開始条件が成立したとき、前記自車両が前記走路から逸脱しないように前記舵角変更アクチュエータを制御することにより前記自車両の舵角を変更する走路逸脱防止操舵制御を実行する制御ユニットと、
    を備え、
    前記制御ユニットは、
    前記自車両が前記走路を走行している場合に前記自車両の前方に物標が存在するとき、
    前記物標と前記左側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側区画線との間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
    又は、
    前記物標と前記左側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、及び、前記物標と前記右側逸脱規制ラインとの間に形成される空間の走路幅方向の距離、のうち大きい方の距離、
    を横余裕距離として前記周辺情報に基いて取得し、
    少なくとも前記横余裕距離に基いて、前記自車両が前記物標の横を通過するときに前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうちの一方を横切って前記走路から逸脱する可能性が高い場合に成立する逸脱通過判定条件が成立するか否かを判定し、
    前記逸脱通過判定条件が成立すると判定した場合、前記左側逸脱規制ライン及び前記右側逸脱規制ラインのうち、少なくとも前記自車両が前記物標の横を通過するときに横切ると予想される側の規制ラインを、前記走路の外側へ所定のオフセット距離だけ更に移動させる、
    ように構成された、
    路逸脱防止装置において、
    前記制御ユニットは、
    前記横余裕距離が所定の第1距離閾値以下であり且つ前記第1距離閾値よりも小さい所定の第2距離閾値以上であるか否かを判定し、少なくとも前記横余裕距離が前記第1距離閾値以下であり且つ前記第2距離閾値以上であると判定した場合に前記逸脱通過判定条件が成立すると判定するように構成された、
    路逸脱防止装置。
  3. 請求項2に記載の走路逸脱防止装置において、
    前記制御ユニットは、
    前記自車両の前方に存在する前記物標の種類に基いて、前記第1距離閾値を変更するように構成された、
    走路逸脱防止装置。
  4. 請求項3に記載の走路逸脱防止装置において、
    前記制御ユニットは、
    前記自車両の前方に存在する前記物標の種類に基いて、前記第2距離閾値を変更するように構成された、
    走路逸脱防止装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の走路逸脱防止装置において、
    前記制御ユニットは、
    前記走路逸脱防止操舵制御が実行されている場合、及び、前記走路逸脱防止操舵制御が実行可能な状態にある場合、の少なくとも一方の場合、前記自車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクの大きさがオーバライド判定閾値以上であるか否かを判定し、前記操舵トルクの大きさが前記オーバライド判定閾値以上であると判定したとき、前記走路逸脱防止操舵制御を中止するように構成され、
    更に、
    前記制御ユニットは、
    前記逸脱通過判定条件が成立すると判定した場合、前記逸脱通過判定条件が成立すると判定していない場合に比べ、前記オーバライド判定閾値を小さい値に変更するように構成された、
    走路逸脱防止装置。
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