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JP7619437B2 - 信号処理装置、無線通信装置、信号処理方法及びプログラム - Google Patents
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信号処理装置、無線通信装置、信号処理方法及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は信号処理装置、無線通信装置、信号処理方法及びプログラムに関する。
携帯電話の基地局装置は、デジタルビームフォーミングと呼ばれる技術を用いて、デジタル回路を用いてアンテナごとの送信系統における信号の位相及び振幅を調整する。アンテナから所望の方向に出力するビームを形成するために、各アンテナ端における位相及び振幅が、所定の値に合わせ込まれる。そのため、各アンテナに対応する送信系統におけるキャリブレーションが必要となる。
各アンテナ間において送信されるDL信号レベルが異なる場合、DLキャリブレーション信号がDL信号レベルに依存して非線形歪およびメモリ効果による歪が表れ、キャリブレーションの精度が各アンテナ間において異なる問題が発生する。そのため、ディジタルプリディストーション(DPD;Digital Pre-Distortion)を行う基地局装置が増えている。DPDとは、パワーアンプによる歪特性を改善するために、パワーアンプに入力される前の送信信号に対して、パワーアンプによる歪特性とは逆特性の歪み成分を重畳する処理である。この送信信号に逆特性の歪み成分を重畳することによって、パワーアンプを通過した送信信号の歪みが抑制され、パワーアンプによる歪特性が補正される。ところが、DPDを有効にした場合及び無効にした場合のいずれにおいても、キャリブレーションの精度が異なり、DLキャリブレーション信号に影響を与える増幅器の非線形歪およびDPD補償処理の影響を明確化する必要がある。
特許文献1において、無線通信システムにおいて、増幅器の前段にDPDを設けることにより、増幅器により生じる非線形歪みを抑圧する技術が開示されている。
特開2009-111958号公報
増幅器によっては、その入出力特性に、増幅器の出力信号が過去の入力信号の履歴に依存することにより生じるメモリ効果を生じさせる場合がある。メモリ効果により入力信号に対する出力信号が定まらず、過去の入力信号に依存する場合がある。このメモリ効果により無線通信設定のキャリブレーション動作時にDLキャリブレーション信号が増幅器に入力される場合、増幅器によって増幅され、出力されるDLキャリブレーション信号はメモリ効果が反映される。
特許文献1において開示された技術では、DPDによるメモリ効果の抑圧はDL信号に対して実施される。そのためDLキャリブレーション信号には送信増幅器のメモリ効果および非線形歪みが残り、正確なキャリブレーションが実行できない可能性がある。
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、キャリブレーション信号における、増幅器による非線形歪及び増幅器のメモリ効果による歪を抑制する信号処理装置、無線通信装置、信号処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示にかかる信号処理装置は、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整部と、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償部と、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力部とを備える。
本開示にかかる無線通信装置は、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整手段と、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償手段と、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力手段とを備える。
本開示にかかる信号処理方法は、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整ステップと、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償ステップと、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅ステップと、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力ステップとを備える。
本開示にかかるプログラムは、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整処理と、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、増幅器に対して出力する出力処理を信号処理装置に実行させる。
本開示によれば、キャリブレーション信号における、増幅器による非線形歪及び増幅器のメモリ効果による歪を抑制する信号処理装置、無線通信装置、信号処理方法及びプログラムを提供することができる。
本開示における実施形態1にかかる信号処理装置の構成図である。 本開示における実施形態2にかかる信号処理装置の概念構成図である。 本開示における実施形態2にかかる無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本開示における実施形態2にかかるBBユニットの構成を示すブロック図である。 本開示における実施形態2にかかるFEユニットの構成を示すブロック図である。 本開示における実施形態2にかかるDL及びULの各タイミングにおける無線通信装置のパワーレベルを示す図である。 本開示における実施形態2にかかるDL-CAL信号の周波数配置の一例を示す図である。 関連するアンテナ配置の一例を示す図である。 関連する送信増幅器のAM-AM特性の一例を示す図である。 関連する各アンテナ間の位相差の一例を示す図である。 関連するデータビームフォーミングに係る無線信号出力時の水平方向放射パターンの角度スペクトラムを示す図である。 関連する増幅器が信号に与えるAM-AM特性の一例を示す図である。 関連する増幅器が信号に与えるAM-PM特性の一例を示す図である。 本開示における実施形態2にかかるDPD補償処理後のAM-AM特性の一例を示す図である。 本開示における実施形態2にかかるDPD補償処理後のAM-PM特性の一例を示す図である。 本開示における実施形態3にかかるDL信号の周波数帯域幅の一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<実施形態1>
本実施形態について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる信号処理装置10の構成図である。
本実施形態における信号処理装置10は、調整部11、補償部12、増幅器13及び出力部14を備える。
調整部11は、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、入力信号とキャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する。補償部12は、入力信号と、キャリブレーション信号との歪補償を行う。増幅器13は、入力信号と、キャリブレーション信号とを増幅する。出力部14は、調整部11により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、増幅器13に対して出力する。
本実施形態における信号処理装置10によれば、キャリブレーション信号における、増幅器による非線形歪及び増幅器のメモリ効果による歪を抑制することができる。
<実施形態2>
本実施形態の信号処理装置100について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる信号処理装置100の概念構成図である。
本実施形態における信号処理装置100の構成について、図2を用いて説明する。図2は本実施形態における信号処理装置100の構成図である。信号処理装置100は、DL信号モニタ部101、CAL-TRX102、歪補償部103及び増幅器104を備える。なお、図2において信号処理装置100を1系のみ図示するが、これを2系以上備えてもよい。
DL信号モニタ部101は、入力信号であるDL信号を入力してDL信号に対して、DLキャリブレーション信号を生成するための演算を実行する。DL信号モニタ部101が演算した結果はCAL-TRX102及び歪補償部103に入力される。DL信号モニタ部101において実行される演算の具体的な例として、DL信号の平均電力値を算出する。DL信号の任意の時間においてI及びQに対して以下の式1の演算を行うことにより平均電力値を算出することができる。I及びQは、それぞれDL信号のsin軸及びcos軸における信号電力を示す。
Figure 0007619437000001
平均電力値の算出は、少なくとも信号処理装置100のキャリブレーション動作時に実行される。キャリブレーション動作については後に説明する。
CAL-TRX102は、DL信号モニタ部101が演算した結果に基づいて、DLキャリブレーション信号を生成する。CAL-TRX102はキャリブレーション動作時に、DLキャリブレーション信号を歪補償部103に入力する。
歪補償部103は、受信したDL信号およびDLキャリブレーション信号が入力され、各信号に対して増幅器104より生じる非線形歪およびメモリ効果を補償する歪補償処理を行う。歪補償処理は、DPD(Digital Pre Distortion)を用いて行われるものとする。DLキャリブレーション信号は、歪補償部103において、格納するLUT(Look Up Table)を用いてDPD補償処理を実行する。歪補償部103から出力されたDLキャリブレーション信号は増幅器104に入力される。
より具体的には、歪補償部103は、増幅器104が入力信号に対して与える非線形歪およびメモリ効果の影響を抑圧するため、増幅器104から出力される信号をDPD(Digital Pre Distortion)に入力される信号と等しくする処理を行う。DPDの内部には、振幅および位相に関する歪補償のためのDPD補償係数が格納される。歪補償部103は、選択したDPD補償係数を用いて、入力信号にDPD補償処理を実行する。例えば歪補償部103には、入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)の値と、その値に対応するDPD補償係数が関連付けられたLUTが格納されている。歪補償部103は入力信号の値を判定し、DPD補償処理を実行する。このDPD補償処理はDPD補償係数を適宜更新する。DPD補償係数は、増幅器104の非線形歪の原因となる非線形AM-AM/AM-PM(Amplitude Modulation-Phase Modelation)を補償するための係数である。歪補償部103は、入力信号の特性に基づいて、振幅および位相に関する適切なDPD補償係数を選択する。
増幅器104は、歪補償部103から入力されたDL信号およびDLキャリブレーション信号を増幅して出力する。増幅器104から出力されたDLキャリブレーション信号はCAL-TRX102に入力され、歪補償部103に入力したDLキャリブレーション信号と増幅器104から出力されたDLキャリブレーション信号を比較することによってDL-CALを算出する。ここで、歪補償部103に入力するDLキャリブレーション信号の平均電力値はDL信号モニタ部101から受け取った平均電力値の値に基づいて、DL信号の平均電力値と同じ値になるように演算した信号とする。
上述の処理により、DL信号とDLキャリブレーション信号は増幅器104から受ける非線形歪およびメモリ効果の影響が同等になり、同じDPD補償係数を用いて非線形歪およびメモリ効果の影響を抑圧するこができる。
ここで、本実施形態における無線通信装置200について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における無線通信装置200の構成を示すブロック図である。無線通信装置200は、図2において示した信号処理装置100を、無線通信装置200として用いた場合の例である。
無線通信装置200は、5G用超多素子AAS(Active Antenna System)を搭載し、例えば、基地局装置に設けられる装置である。図3に示すように、無線通信装置200は、BF-BB部220と、AAS部210とを備える。
ここで、AAS部210は、光トランシーバ201、TRX-BB部202、FRONT-END部203、送受信機を含む32個のアンテナ204、分配合成器205、SW(Switch)206及びCAL-TRX(キャリブレーション用送受信機)207を備える。なお、本実施形態においてアンテナ204は32個のアンテナ及び送受信機を備えることとしたが、アンテナ204及び送受信機は、同数以外の配列及び数を備えてもよい。また、これらの各部を制御する図示しない制御部を備えてもよい。なお、以下に示すアップリンク(UL)とは、図示しないUE(User Equiment:端末)から無線通信装置200への通信路を意味し、ダウンリンク(DL)とは、無線通信装置200からUEへの通信路を意味する。
BF-BB部220は、ビームフォーミング信号を生成する機能を有するベースバンド部である。BF-BB部220は、予め設定された受信系特性[CAL-RX(固定)]を、内部に格納する。また、BF-BB部220は、無線通信装置200が起動した場合及び周期的に、TRX-BB部202が動作することにより取得した、各信号チャネルの特性TX#n*[CAL-RX]を内部に格納し、新たな値が得られる度に更新する。BF-BB部220は、これらの値を利用し、通信用の通信信号をAAS210に出力することによって、DL方向の通信を行う。
次に、AAS部210が備える各部について説明する。光トランシーバ201は、BF-BB部220とTRX-BB部202との間において送受信される信号(例えば、複数レイヤ信号)の光電変換及びその逆の変換を行う。光トランシーバ201とFRONT-END部203との間において、TRX-BB部202が、送受信される通信信号を媒介する。
TRX-BB部202は、DLキャリブレーション動作時に、IQ信号であるDLキャリブレーション信号を生成し、FRONT-END部203、分配合成器205及びSW206を介してCAL-TRX207に出力する。さらに、TRX-BB部202は、ULキャリブレーション動作時に、IQ信号であるULキャリブレーション信号を生成し、CAL-TRX207に直接出力する。このように、TRX-BB部202は、送受信機ベースバンド部として機能する。
TRX-BB部202は、光トランシーバ201とFRONT-END部203との間において、送受信される通信信号を媒介するユニットであり、32個のBBユニット300#0~#31を備える。以下、BBユニット300#0~#31を区別する必要がない場合は、単にBBユニット300と記載する。
TRX-BB部202は、無線通信装置200が起動した場合及び周期的に、DL又はULキャリブレーション動作を実行することにより、キャリブレーションウェイト(以下、CALウェイトと記載)を、入力信号であるDL信号又はUL信号について決定し、記憶する。このDL/UL―CALウェイトは、後述の各TX又はRXの振幅及び位相のばらつきを補正するための値であり、DL/UL―CAL信号に基づいて、DL/ULキャリブレーション動作により決定される。
データビームフォーミングによる複数レイヤから成る空間多重信号を無線通信装置200が送信する際、無線通信装置200が通信するUEに出力する電波のビームが、無線通信装置200が通信しないUE(他のUE)に干渉を与えることがあるため、その干渉を軽減することが好ましい。そのため、無線通信装置200から、あるUEの方向にデータを送信するためのビームパターンを形成してビームを放射する際、他のUEの方向には、放射されるビームのパターンとしてヌル(Null)が形成される。DLキャリブレーションは、ヌルの所望の角度及び深さを確保するためになされるものである。
TRX-BB部202は、DLキャリブレーションを実行する場合、DLキャリブレーション信号を生成し、FRONT-END部203、分配合成器205及びSW206を介して、CAL-TRX207に送信する。CAL-TRX207は、内部を通過したDLキャリブレーション信号をTRX-BB部202に出力する。TRX-BB部202は、元のDLキャリブレーション信号と、CAL-TRX207が受信したDLキャリブレーション信号との振幅及び位相の差分を測定することにより、その差分を逆補正すべく、各信号チャネルに適用するDL-CALウェイトを決定する。
また、TRX-BB部202は、ULキャリブレーションを実行する場合、UL―CAL信号を生成し、CAL-TRX207に入力する。CAL-TRX207は、CALネットワーク内部を通過したUL―CAL信号を、SW206、分配合成器205を介して、FEユニット400に入力する。受信機RXは、UL―CAL信号をTRX-BB部202に入力する。TRX-BB部202は、元のUL―CAL信号と、CAL-TRX207が送信したUL―CAL信号との振幅及び位相の差分を測定する。TRX-BB部202は、振幅及び位相の差分を用いて逆補正すべく、各FEユニット400のTRX401の受信機RXに適用するUL-CALウェイトを決定する。このようにして、TRX-BB部202は、送受信機ベースバンド部として機能する。
FRONT-END部203は、32個のFEユニット400#0~#31を備える。以下、FEユニット400#0~#31を特に区別する必要がない場合は、単にFEユニット400と記載する。
アンテナ204は、各TRX401、各送信増幅器402及び各受信増幅器406に対応して設けられるアンテナである。アンテナ204は、+45度と-45度の互いに直交する偏波を有する偏波供用アンテナであって、例えば8セットのものが4個、つまり合計32個設けられている。このとき、1つのアンテナ素子において2偏波供用となるため、アンテナは64個に相当する。各アンテナ204は、各FEユニット400から受信したRF信号を、無線信号によって1又は複数のUEに送信する。なお、各アンテナ204の前段側に、フィルタ及びデュプレクサの少なくともいずれかが設けられていても良い。
分配合成器205は、無線通信装置200がDLキャリブレーションを実行する場合に、各SW404から出力されたDL-CAL信号を合成し、合成されたDL-CAL信号をSW206に出力する。また、分配合成器205は、ULキャリブレーションを実行する場合は、SW206から出力されたUL-CAL信号を分配し、分配されたUL-CAL信号を各SW404に出力する。
SW206は、信号方向を切り替えるスイッチである。SW206は、無線通信装置200がDLキャリブレーションを実行する場合は、分配合成器205から出力されたDL-CAL信号をSW206に出力させる。また、SW206は、無線通信装置200がULキャリブレーションを実行する場合は、SW206から出力されたUL-CAL信号を分配合成器205に出力させる。
CAL-TRX207は、無線通信装置200がDLキャリブレーションを実行する場合に、SW206から出力されたDL-CAL信号(RF信号)をDL-CAL信号(IQ信号)に変換する。そして、変換したDL-CAL信号をTRX-BB部202に出力する。
また、CAL-TRX207は、無線通信装置200がULキャリブレーションを実行する場合に、TRX-BB部202から出力されたUL-CAL信号(IQ信号)をUL-CAL信号(RF信号)に変換し、変換したUL-CAL信号をSW206に出力する。なお、CAL-TRX207は、TRX401と同様に、図示しない送信機及び受信機を備えてもよい。
ここで、BBユニット300の構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるBBユニット300の構成を示すブロック図である。
BBユニット300は、DL信号モニタ部301、CFR処理部302及びDPD処理部303を備える。なお、BBユニット300#0~#31の各々は、図4に示したBBユニット300と同じ構成を有する。
CFR処理部302は、BF-BB部220から出力され、光トランシーバ201を介して入力されたIQ信号(複数レイヤ信号)の最大電力成分を抑圧するための閾値であるCFR閾値によって制限する。具体的に、CFR処理部302は、入力された複数レイヤ信号における振幅成分のうち、CFR閾値によって設定された電力のピークレベルを超えた信号振幅成分を、CFR閾値以下である最大電力成分を抑圧して、DPD処理部303に出力する。
なお、CFR処理部302においてピークレベルを抑圧する理由は次のとおりである。ピークレベルが抑圧されない場合、高いピークレベルを有する送信信号が、CFR処理部302の後段の送信増幅器402に出力される可能性がある。その場合、送信増幅器402の飽和出力レベルにおいてハードクリッピングが生じることによって、高次の混変調の非線形歪成分が発生し、DPD処理部303が、この非線形歪成分を十分に歪補償できない状態となることがある。この状態を回避するため、CFR処理部302は、送信増幅器402に入力される送信信号のピークレベルを制限し、送信増幅器402の出力レベルが飽和レベルを超過しないように、送信信号を調整している。
DPD処理部303は、各CFR処理部302と、各TRX401との間に設けられる。DPD処理部303は、CFR処理部302から出力されたIQ信号(複数レイヤ信号)と、FB(Feedback)パスを介して戻され、送信増幅器402の非線形度に基づく非線形歪みが加わったIR信号(複数レイヤ信号)とを比較する。DPD処理部303は、この比較によって、送信増幅器402において生じるAM-AM/AM-PMの入出力特性における非線形の歪みを補償すべく、入力信号に非線形度を逆補正した重み付けを与える補償を行う。
DPD処理部303は、後段の増幅器302の入出力特性と逆の特性を表すDPD補償係数に基づいて、CFR処理部302から出力された無線通信用のIQ信号の振幅及び位相を補償するDPD補償処理を行い、DPD補償処理がなされた信号をTR信号としてFRONT-END部203に出力する。DPD処理部303がTRX401毎に設けられることによって、個別のTRX401の特性に基づいたDPD補償処理を実行することができる。このDPD補償処理は、非線形歪放射を抑圧し、DL信号のSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)性能を向上するために行われる。なお、DPD補償処理によって、送信増幅器402のEVM(Error Vector Magnitude)やACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio)を改善することもできる。
以下、FEユニット400の構成について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるFEユニット400の構成を示すブロック図である。
FEユニット400は、TRX401、送信増幅器402、方向性結合器403、SW404、ORX(Observation Receiver)405及び受信増幅器406を備える。なお、FEユニット400#0~#31の各々は、図5に示したFEユニット400と同じ構成を有する。
TRX401は、送受信機であり、不図示の送信機TX及び受信機RXを備えている。送信機TXは、TRX-BB部202から受信したIQ信号をRF信号に変換し、アンテナ204又はCAL-TRX207に出力する。無線通信装置200が無線信号を送信する場合には、送信機TXはRF信号をアンテナ204に出力し、DLキャリブレーションを実行する場合には、送信機TXは分配合成器205を介してCAL-TRX207にDL-CAL信号(RF信号)を出力する。
受信機TXは、アンテナ204又はCAL-TRX207から受信したRF信号をIQ信号に変換し、TRX-BB部202に出力する。無線通信装置200がUEから無線信号を受信する場合には、TRX401はRF信号をアンテナ204から受信する。ULキャリブレーションが実行される場合には、TRX401はCAL-TRX207から分配合成器205を介してUL-CAL信号(RF信号)を受信する。そして、受信したUL-CAL信号をUL-CAL信号(IQ信号)に変換し、変換したUL-CAL信号を、TRX-BB部202を介してBF-BB部220に出力する。
各送信増幅器402は、各アンテナ204と、各アンテナ204に対応して設けられたTRX401との間に配置される。送信増幅器402は、TRX401から出力されたRF信号(無線通信用の信号又はDL-CAL信号)を増幅して、方向性結合器403に出力する。
各方向性結合器403は、各送信増幅器402と各アンテナ204との間に設けられたカプラである。方向性結合器403は、各送信増幅器402から出力されたRF信号をアンテナ204に出力すると共に、対応するORX405に出力する。ORX405は、出力されたRF信号をFBパスによってDPD処理部303に出力し、DPD処理部303は、出力されたRF信号を受信して、上述の処理を行う。
SW404は、AAS部210の制御部からの制御信号に基づいて、TRX401に入力又は出力される信号を切り替えるスイッチである。すなわち、AAS部210の制御によって、FRONT-END部203の接続先が切り替えられる。具体的には、無線通信装置200が無線通信中の場合には、各信号チャネル0~#31において、FRONT-END部203とアンテナ204が接続され、FRONT-END部203とCAL-TRX207とは接続されないよう、SW404が制御される。これにより、データ送信時には、TRX401からのRF信号をアンテナ204に出力される一方、データ受信時には、SW404は、アンテナ204からのRF信号をTRX401に出力させる。
これに対し、無線通信装置200がDL/ULキャリブレーションを実行する場合、各信号チャネル#0~#31において、FRONT-END部203とCAL-TRX207が接続され、FRONT-END部203とアンテナ204とは接続されないよう、SW404が制御される。換言すると、TRX401と、分配合成器205とが接続される一方、アンテナ204とTRX401との接続は解除される。なお、無線通信装置200がDLキャリブレーションを実行する場合は、送信増幅器402から出力されたDL-CAL信号が分配合成器205に入力される。また、無線通信装置200がULキャリブレーションを実行する場合は、分配合成器205から出力されたUL-CAL信号が受信増幅器406に入力される。
無線通信装置200は、各SW404を制御することにより、各TRX401において処理するDL/UL-CAL信号が、他システムからの干渉の影響を受けることを回避する。すなわち、各TRX401において処理するDL/UL-CAL信号に干渉成分が含まれなくなるので、AAS部210は、各TRX401に適用するCALウェイトを正確に決定することが可能である。また、DL/ULキャリブレーションが完了すると、AAS部210の制御部は、各TRX401と、各アンテナ204とが接続されるように、各SW404を制御する。
各受信増幅器406は、入力されたRF信号(無線通信用の信号又はUL-CAL信号)を増幅して、対応するTRX401に出力する。
<DLキャリブレーション動作について>
ここで、無線通信装置200のDLキャリブレーション動作について説明する。
まず、DLキャリブレーション動作について説明する。まず、TRX-BB部202は、予め設定されたDL-CAL信号(IQ信号)をFRONT-END部203に出力する。FRONT-END部203内の各TRX401(の送信機TX)は、DL-CAL信号(IQ信号)をDL-CAL信号(RF信号)に変換する。各TRX401において変換されたDL-CAL信号(RF信号)は、送信増幅器402及びSW404を介して、分配合成器205に出力され、分配合成器205において合成される。分配合成器205において合成されたDL-CAL信号は、SW206を介してCAL-TRX207に入力される。なお、AAS部210は、信号チャネル毎にタイミングを分けてDL-CAL信号を出力しても良い。
CAL-TRX207は、受信したDL-CAL信号(RF信号)をDL-CAL信号(IQ信号)に変換して、TRX-BB部202に出力する。CAL-TRX207から送出されたDL-CAL信号は、各TRX401#nから送出されたDL-CAL信号が周波数多重により合成された状態になっている。そのため、TRX-BB部202は、CAL-TRX207から送出されたDL-CAL信号を、FFT(Fast Fourier Transform)により周波数分離する。その上で、TRX-BB部202は、信号チャネル#0~#31毎に、DL-CAL信号を抽出し、DL-CALウェイトを計算する。
具体的には、TRX-BB部202は、信号チャネル毎に送信されたDL-CAL信号のDL-CAL信号と、元の(すなわち送信前の)DL-CAL信号との振幅及び位相の差分を測定することにより、信号チャネル毎のDL-CAL信号の振幅及び位相のばらつきを学習する。TRX-BB部202は、その学習結果を基に、各TRX401#nのDL-CALウェイトを計算する。
ここで、各TRX401#nのDL-CALウェイトは、以下の式2によって表されるように、TRX401#nの送信系特性(振幅及び位相特性)[TX#n]と、CAL-TRX207の受信系特性(振幅及び位相特性)[CAL-RX]とが乗算されたものになる。
Figure 0007619437000002
以上の処理において、DLキャリブレーション学習が終了する。BF-BB部220は、このDL-CALウェイトを内部に格納する。以降、通常のDLに係る無線通信時には、BF-BB部220は、各TRX401に対し、その各TRX401について、上述のDL-CALウェイトを用いて重み付けしたDL信号を出力することになる。
<DL動作の動作例について>
続いて、AAS部210のDL動作の動作例について説明する。BF-BB部220は、BF信号(IQ信号)を内部の回路においてで生成する。そして、生成したBF信号を、信号チャネル#0~#31の各々について、上述のDL-CALウェイトを用いて補正した上で、光トランシーバ201を介してTRX-BB部202に出力する。なお、BF-BB部220とTRX-BB部202との間に光トランシーバ201を設けず、BF-BB部220とTRX-BB部202とが直結した構成であっても良い。この場合、BF-BB部220は、外部のDU(Distribution Unit)と、光トランシーバ201を介して接続される構成となる。
具体的には、BF-BB部220は、DL-CALウェイトを分母に、CAL-TRX207の固定の受信系特性[CAL-RX(固定)]を分子に持つ分数を、BF信号に乗算する。補正後のBF信号は、以下の式3のように表される。なお、[CAL-RX(固定)]は、BF-BB部220の記憶部(不図示)に予め格納されている。
Figure 0007619437000003
補正後のBF信号は、TRX-BB部202の各TRX401#nにおいてIQ信号からRF信号に変換されて送信され、各送信増幅器402#nにおいて増幅され、FRONT-END部203から出力される。FRONT-END部203から出力されたBF信号は、各TRX401#nを通過し、以下の式4のように表される。
Figure 0007619437000004
式4は、[TX#n]を消去して簡単に表現すると、以下の式5のように表される。
Figure 0007619437000005
式5において、[CAL-RX(固定)]=[CAL-RX]であれば、BF信号は理想状態になり、理想状態のBF信号が各アンテナ204#nから送信されることになる。なお、[CAL-RX(固定)]=[CAL-RX]となるには、CAL-RXの安定性が重要となる。
以上の動作を行うことにより、各送信機TX#nの振幅及び位相特定のばらつきを補償することが可能となる。このDLキャリブレーション動作により、データビームフォーミングによって複数レイヤの空間多重無線信号を送信する際に、他のUE方向に形成されるヌルの角度及び深さを精度良く設定することができる。また、空間の各方向における3次相互変調歪み起因の非線形歪放射が生ずることも抑制することができる。
なお、以上に示したDL-CALウェイトの更新は、後述のとおり、ファンビームフォーミング(Omni-directional Broad Beamforming相当のBeam Pattern形状)による無線信号の送信と、データビームフォーミングによる無線信号の送信間になされても良い。また、DL-CALウェイトの更新は、定期的になされても良い。さらに、環境変化(例えば温度変化)や信号の経時変化が生じたことを、無線通信装置200のセンサが検知したことをトリガとして、無線通信装置200がDL-CALウェイトを更新しても良い。この場合の更新周期は、例えば1分以上の周期としてもよいがこれに限らない。
<ULキャリブレーション動作について>
次に、UL信号を入力信号とする場合におけるULキャリブレーション動作について説明する。TRX-BB部202は、予め設定されたUL-CAL信号(IQ信号)を、直接CAL-TRX207に出力する。CAL-TRX207は、UL-CAL信号(IQ信号)をUL-CAL信号(RF信号)に変換する。CAL-TRX207において変換されたUL-CAL信号(RF信号)は、SW206を介して、分配合成器205に出力され、分配合成器205において分配される。分配合成器205において分配されたUL-CAL信号は、各SW404及び受信増幅器406を介して、各TRX401に出力される。各TRX401は、UL-CAL信号(RF信号)をUL-CAL信号(IQ信号)に変換して、TRX-BB部202に出力する。
TRX-BB部202は、各TRX401が受信したUL-CAL信号のUL-CAL信号と、元のUL-CAL信号との振幅及び位相の差分を測定し、UL-CAL信号の振幅及び位相のばらつきを学習する。TRX-BB部202は、学習結果に基づいて、各TRX401のUL-CALウェイトを計算する。
以上の処理によって、ULキャリブレーション動作が終了する。BF-BB部220は、このUL-CALウェイトを内部に格納する。以降、通常のULに係る無線通信時には、BF-BB部220は、各TRX401に対し、その各TRX401について、上述のUL-CALウェイトを用いて重み付けしたUL信号を出力することになる。
<キャリブレーション実行タイミングについて>
次に、DL及びULキャリブレーション実行タイミングについて説明する。上述のとおり、無線通信装置200は、TDD(Time Division Duplex:TDD通信方式)モードによる無線通信を行う無線通信装置であってもよい。TDDモードは、上下リンク(UL/DL)において同一周波数を用いて、時間的にDL通信及びUL通信を切り替えて送受信を行う通信方式である。DL通信にはDLサブフレームが伝送され、UL通信にはULサブフレームが伝送される。また、DL通信からUL通信に切り替わるタイミングにおいては、スペシャルサブフレームが伝送される。スペシャルサブフレームは、DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)、UpPTS(Uplink Pilot Time Slot)及びGP(Guard Period)により構成されるサブフレームである。DwPTSはDL通信のためにリザーブされるフィールドであり、UpPTSはUL通信のためにリザーブされるフィールドであり、GPはDL通信及びUL通信が行なわれないフィールドである。
無線通信装置200において、DL通信及びUL通信が行われないGP(Guard Period)の時間区間においては、TRX401における送信機TX及び受信機RXは共に排他的にOFF/ON状態となる。無線通信装置200は、例えば、スペシャルサブフレームのGPの時間区間にDLキャリブレーション及びULキャリブレーションの少なくともいずれかを実行する。
ここで、キャリブレーション実行時の送信機パワーレベルについて図6を用いて説明する。図6は、DL及びULの各タイミングにおける無線通信装置200のパワーレベルを示す図である。図6の横軸は時間を示し、縦軸はパワーレベルを示す。図6の実線L1は無線通信装置200の送信機TXの送信パワーレベルの遷移を示している。
図6によれば、当初のトランスミッタオフ区間においてオフパワーレベルであった送信パワーレベルが、トランスミッタ遷移区間を経てトランスミッタオン区間においてオンパワーレベルとなり、再度のトランスミッタ遷移区間を経てトランスミッタオフ区間においてオフパワーレベルとなることがわかる。
なお、図6において、ULトランスミッションと記載されている時間区間は、UL通信の時間区間であることを示す。また、DLトランスミッションと記載されている時間区間は、DL通信の時間区間であることを示している。また、GP又はULトランスミッションと記載されている時間区間は、GP又はUL通信の時間区間であることを示している。
無線通信装置200は、スペシャルサブフレームのGPの時間区間(トランスミッタ遷移区間)にDLキャリブレーション又はULキャリブレーションを実行する。この時間区間は、アップリンク-ダウンリンクフレームタイミングの区間内に含まれる。図6に示すように、GP内において、図6の(a)送信機TXがOFFからONの状態に遷移する時間区間、及び図6の(b)ONからOFFの状態に遷移する時間区間は、例えば10μsである。無線通信装置200は、図6の(a)又は(b)の少なくともいずれかの区間において、上述のDLキャリブレーション又はULキャリブレーションを実行することができる。つまり、この例において、DL/UL-CAL信号の出力時間は、10μs以内であれば良い。また、キャリブレーションの主目的は、32個のTRX401間の線形域における、振幅及び位相の周波数特性の一元化にある。そのため、DL/UL-CAL信号のパワーを、DL/UL-CAL信号が非線形劣化を受けない様、最大定格以下であって、必要なSNR(Signal-to-Noise Ratio)を確保できるレベルまで下げる事が重要である。このようにして、各TX又はRXの振幅及び位相のばらつきを補正するための値であるDL-CALウェイトは、GPの時間区間において周期的に算出され、BF-BB部220内部に格納される。
<DL-CAL信号の周波数配置について>
ここで、DL-CAL信号の周波数配置について説明する。ここでは、各TRX#n毎に周波数直交させたDL-CAL信号の周波数配置の例を用いて説明する。図3に示したとおり、32個のTRX#nが設けられている場合における、各送信機TX#n用のDL-CAL信号の周波数配置の例について説明する。
図7を参照して、各送信機TX#n用のDL-CAL信号の周波数配置の例について説明する。図7は、DL-CAL信号の周波数配置の一例を示す図である。
図7において、1つの送信機TX#nのDL-CAL信号の周波数配置において、DL-CAL信号の送出に用いるサブキャリアが、X[MHz]の間隔によって配置されている。そして、隣接する送信機TX#n同士では、DL-CAL信号の周波数配置が、周波数方向にY[MHz]だけシフトされている。なお、fsc0[MHz]は、基準となる周波数である。
図7に示される例においては、以下の2つの周波数配置条件A1,A2を満たす必要がある。
周波数配置条件A1: X[MHz]>Y[MHz]×(送信機TX#nの数-1) を満たす。
周波数配置条件A2: 信号帯域幅の範囲内に、送信機TX#1用のDL-CAL信号の最下限のサブキャリアsc0の周波数"sc0=fsc0[MHz]"から、送信機TX#31用のDL-CAL信号の最上限のサブキャリアsckの周波数"sck=fsc0+31Y+kX[MHz]"が入っている。
<関連技術にかかる課題について>
次に、関連技術に係る課題について説明する。図8は、関連技術におけるアンテナ204#0~#31の配置例を示す。図8に示す数字はアンテナ204の番号を示すものであって、例えば「1」は「♯1」のアンテナが配置されていることを示す。図8の例では、アンテナ204は、8個のアンテナが4列並んで配置されており、同じ列にあるアンテナ204は、同じ無線信号を出力する。例えば、図8における(a1)、(a2)、(b1)、(b2)、(c1)、(c2)、(d1)、(d2)のそれぞれに属する4個のアンテナは、同じ無線信号を出力する。したがって、これらの列における4個のアンテナの電波強度は略同一となる。
アンテナ204#0~#31は、例えば、ファンビームフォーミングによる無線信号の送信と、データビームフォーミングによる無線信号の送信をすることができる。ここで、ファンビームフォーミングによる無線信号の送信とは、無線通信装置200の正面及び正面から水平方向において所定の角度分の範囲に対して、略一定の強度の無線信号を送信することを意味し、例えばブロードキャストなデータ送信に用いられる。これに対し、データビームフォーミングによる無線信号の送信とは、無線通信装置200の正面や水平方向のある一定の角度方向に対して強度が強い無線信号を送信する一方、別のUE方向にはヌルを形成し、強度が低い無線信号を送信することを意味する。この無線信号の送信方法は、特定のUEに対するデータ通信に用いられる。
アンテナ204#0~#31が、ファンビームフォーミングによって無線信号を送信する場合に、例えば、(a1)及び(a2)は最大定格の無線信号を出力し、(b1)及び(b2)、(c1)及び(c2)、(d1)及び(d2)の順に電波強度が高い無線信号を出力する。つまり、図8に示すアンテナの中央部分から外側になるにつれて、出力する無線信号の強度が下がる。一例として、BF-BB部220は、(a1)、(a2)に対応する送信増幅器402に、最大-14dBFS(平均)の入力信号を出力し、(b1)、(b2)に対応する送信増幅器402には、最大-24dBFS(平均)の入力信号を出力する。
なお、(a1)、(a2)及び(c1)、(c2)に対応する送信増幅器402の入力信号の位相は同じであり、(b1)、(b2)及び(d1)、(d2)に対応する送信増幅器402の入力信号の位相は、(a1)、(a2)及び(c1)、(c2)に対応する送信増幅器402の位相を反転したものである。
図9は、図8の(a1)、(a2)、(b1)、(b2)のアンテナ204に対応する送信増幅器402のAM-AM入出力特性の一例を示すグラフである。図9の横軸は、入力信号の振幅であり、図9の縦軸は、出力信号の振幅である。(a1)、(a2)に対応する送信増幅器402の入出力特性は、図9の(a)のように表され、(b1)、(b2)に対応する送信増幅器402の入出力特性は、図9の(b)のように表される。また、送信増幅器402の理想的な入出力特性は線形であり、図9の(e)のように表される。なお、送信増幅器402の入出力特性(a)、(b)は、各DPD処理部303による補償がなされていないものである。
また、送信増幅器402のAM-AM特性やAM-PM特性にメモリ効果、すなわち過去の時間帯において送信増幅器402を通過した入出力レベルに応じてAM-AM特性やAM-PM特性が変化し、時間的に一定期間保持されてしまう現象が発生した場合を考える。このとき、入力信号として、DL-CAL信号として-37dBFS(平均)の信号が送信増幅器402に入力された場合、入出力特性(a)、(b)において該当する出力信号を示す点は(c)、(d)となる。
図9において示すとおり、入出力特性(a)、(b)は、理想的な入出力特性からずれた非線形性を有する。特に、入出力特性(a)は(b)に比較して、非線形性が大きい。そして、各送信増幅器402には、小さい振幅(強度)を有するDL-CAL信号が入力される。
また、送信増幅器402の入力信号-出力信号間の位相差(AM-PM入出力特性)も、AM-AM入出力特性と同様に、理想的な入出力特性(位相差が0になる特性)と比較すると、有意な差が生じる。この差分は、(a1)及び(a2)、(b1)及び(b2)、(c1)及び(c2)、(d1)及び(d2)の順に大きくなる。
以上説明した非線形性に基づく歪みは、送信増幅器402への入力信号を補償することによって、解消されるとも思える。しかしながら、送信増幅器402が、例えば窒化ガリウム増幅器であるドハティ増幅器である場合、AM-AM入出力特性及びAM-PM入出力特性にメモリ効果が生ずる場合がある。この場合、入力信号が変化した補償されたにもかかわらず、送信増幅器402は、自身に生じたメモリ効果によって、しばらくの期間、補償前の入力信号に係る入出力特性に基づいた出力信号を出力するという問題がある。
特に、無線通信装置200がファンビームフォーミングによって無線信号を送信後、DLキャリブレーションを実行し、その後データビームフォーミングによる無線信号を送信する場合に、以下の課題が生じる。
ファンビームフォーミングによる無線信号の送信時、送信増幅器402の出力は、最大定格のものから低い信号強度のものまで、強度にばらつきがある。なお、この段階における各送信増幅器402の非線形性による歪みは、対応するDPD処理部303によって補償される。
データビームフォーミングによる無線電波を放射した後、DLキャリブレーションを実行する場合、BF-BB部220が出力するDL-CAL信号は、ファンビームフォーミングの場合と異なり、各送信機TX間における出力レベルは概ね同一となる。しかし、送信増幅器402のメモリ効果により、各送信増幅器402を通過する際、ファンビームフォーミング時の入出力特性によって決まるAM-AM及びAM-PMの特性が、各送信機から出力されるDL-CAL信号に影響を及ぼす事になる。
一例として、DL-CAL信号として、平均レベルが-37dBFSの信号を想定する。なお、0dBFSは送信DAC(Digital Analog Converter)の最大出力レベルに相当する。上述のとおり、メモリ効果が発生した状態においてDL-CAL信号が送信増幅器402に入力された場合、図9において、入出力特性(a)、(b)について該当する出力信号を示す点は(c)、(d)となる。そのため、メモリ効果が発生した状態におけるDL-CAL信号は、理想的な入出力特性と比較して、利得の差が生じる。また、DL-CAL信号を用いるDLキャリブレーション動作時、無線通信装置200が、非線形を伴わない線形域における各送信機の振幅及び位相の周波数特性を学習し、各周波数特性の差分を一元化して補正する事が前提となる。したがって、DPD処理部303はオフとなっているので、各送信増幅器402の非線形性による歪みは、対応するDPD処理部303によって補償されない。そのため、DLキャリブレーション動作時には、このメモリ効果によって生じる各送信機TX間の振幅及び位相の差分を補償するように、DL-CALウェイトが設定される。
次のデータスロットにおいて、無線通信装置200がデータビームフォーミングによる無線信号を送信するとき、各送信増幅器402の出力は、UEとデータを送信するために最大定格となる。つまり、BF-BB部220が出力する無線信号は、各信号チャネルについて略同一の振幅である。また、データビームフォーミングによる無線信号が送信されるとき、各DPD処理部303はオンになっているため、各DPD処理部303は、対応する送信増幅器402の非線形性による歪みを補償しようとする。
しかしながら、上述のとおり、先のDLキャリブレーションにおいて設定されたのは、ファンビームフォーミングの履歴が反映されたDL-CALウェイトである。したがって、各送信増幅器402における出力信号は、本来、略同一の振幅を有するはずだったのが、不必要なDL-CALウェイトによって、送信増幅器402毎に異なる振幅となってしまう。また、送信増幅器402毎に、本来存在しないはずの位相差も生じてしまう。このようにして、データビームフォーミングによる無線信号の振幅及び位相に、過補償又は補償不足が生じる。この現象は、DL-CALウェイトが更新されるまで続くことになる。
図10は、各アンテナ間の位相差の一例を示す図である。図10のグラフ横軸は、送信増幅器402の番号を示し、グラフ縦軸は、送信増幅器402#3、#4、#11、#12(図8の(a1)、(a2)に相当)からの位相差量を示す。図10は、図8に示すアンテナ204の構成において、上述の処理により、不必要なDL-CALウェイトによる補正がなされた状態における無線信号を送信する場合、送信増幅器402が出力するデータビームフォーミングの無線信号間の位相ずれ量を示す。なお、図10は、送信増幅器402#0~#15までの位相差量を示しているが、送信増幅器402#16~#31の位相差量(送信増幅器402#19、#20、#27、#28からの位相差量)についても、図10と同じグラフとなる。
図10は、統計上、標準偏差をσとしたときの±3σの範囲内において、前記のメモリ効果が存在する場合、各送信機間の位相差が、(1)の場合は最大11.6度p-p(phase-phase)、(2)の場合は最大23.1度p-p、(3)の場合は最大34.6度p-pとなる場合を示している。この位相差がデータビームフォーミング時に及ぼす影響を、次の計算により検証した。図9に示すように、図8において(d1)及び(d2)のアンテナ204に対応する送信増幅器402の位相差量が最大であり、(c1)及び(c2)、(b1)及び(b2)に対応する送信増幅器402となるに従い、位相差量が小さくなる。
図11は、関連するデータビームフォーミングに係る無線信号出力時の水平方向放射パターンの角度スペクトラムを示す図である。図11のグラフ横軸は、無線通信装置200の正面からの水平方向(左右方向)の角度を示し、グラフ縦軸は、無線通信装置200の正面からの出力信号を基準としたときの、正規化された放射パワーレベルを示す。図11の(1)~(3)が、図10の(1)~(3)の位相差がある場合の角度スペクトラムを示すグラフであり、図11の(0)は、不必要なDL-CALウェイトがない、本来の角度スペクトラムを示す。
図11を参照すると理解できるように、無線通信装置200の正面に最も近接して存在するヌルポイントの深さ(第1のヌル深さ)は、(0)の場合は46dBだが、(1)の場合は27dB、(2)の場合は21dB、(3)の場合は17dBとなる。つまり、位相差が大きいほど、ヌル深さが浅くなる。すなわち、空間多重信号送信時の各UE方向におけるDL SINRが、この浅いヌル、すなわち他UEへのビームフォーミングにおける妨害波によって劣化する事になる。ヌル深さは、無線通信装置200のMU-MIMO性能を決定する。そのため、無線通信装置200が基地局として機能するときのセルのスループットが向上せず、通信品質が劣化してしまう。
本実施形態における無線通信装置200は、増幅器の非線形特性にメモリ効果がある場合、メモリ効果がキャリブレーションの精度を劣化させ、これにより空間多重信号送信時の各端末への信号のSINR劣化が生じてしまわない様に、SINR劣化を抑制可能な構成を示す。
<本実施形態における信号処理装置の動作の説明>
ここで、本実施形態における信号処理装置100の動作の説明をする。信号処理装置100は、増幅器104の非線形歪およびメモリ効果があるときに、これらがDLキャリブレーション信号に与える影響をDPDにより抑制する。
増幅器104が入力された信号に与える非線形歪およびメモリ効果について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、関連する増幅器が信号に与えるAM-AM特性の一例を示す図である。図13は、関連する増幅器が信号に与えるAM-PM特性の一例を示す図である。
図12の横軸は入力レベルを表し、縦軸は入力レベルによって出力レベルを除算した値を示す。そのため縦軸の値が低いほど増幅器104により増幅される値が低いことを示す。図13の横軸は入力レベルを表し、横軸は出力信号の位相から入力信号の位相を減算した値を示す。このため、DPD補償係数は増幅器104に入力されるDL信号の平均レベルにより異なり、DL信号の平均レベルは随時変動する。そのため、Dlキャリブレーション信号が固定レベルの場合は、DPDによりDLキャリブレーション信号の補償ができず、キャリブレーションの精度を劣化させる。図12および図13に示すように、AM-AM/AM-PM特性は、入力される平均電力値に応じて非線形歪およびメモリ効果の影響が異なるため、それぞれ異なる。
平均電力値の演算は、DL信号モニタ部301はDL信号を入力することによって行われる。演算した平均電力値の値は、CAL-TRX207から出力されるDLキャリブレーション信号を、DL信号モニタ部301から受け取った値と等しくなるように演算される。これによりDL信号およびDLキャリブレーション信号が同じ平均電力値になる。
CFR処理部302は入力されたDL信号およびDLキャリブレーション信号に対してピークレベルを設定した閾値によって制限し、DPD処理部303に入力する。DPD処理部303に入力されたDL信号およびDLキャリブレーション信号は歪補償処理を実行し、TRX401に入力され、IQ信号をRF(Radio Freqency)信号に変換され、送信増幅器402に入力される。送信増幅器402によって増幅された信号は方向性結合器403を通してORX405に入力され、DPD処理部303に帰還される。DPD処理部303は、帰還されたDL信号およびDLキャリブレーション信号に基づいて送信増幅器402の非線形歪およびメモリ効果の影響を抑圧するためのDPD補償係数を演算し、DL信号およびDLキャリブレーション信号を補償する。
このような処理を行うことによって、DL信号およびDLキャリブレーション信号は、図14および図15に示すようなAM-AM/AM-PM特性となり、非線形歪およびメモリ効果の影響を抑制できる。
上述のとおり、無線通信装置200は、DL信号モニタ部301をBBユニット300に追加し、CAL-TRX207と接続することによって、CAL-TRX207から出力されるDLキャリブレーション信号のレベルをDL信号に応じて変更ができる。そのため、本実施形態における無線通信装置200、すなわち信号処理装置100は、キャリブレーション信号における、増幅器による非線形歪及び増幅器のメモリ効果による歪を抑制することができる。
本実施形態における無線通信装置200によれば、キャリブレーション信号における、増幅器による非線形歪及び増幅器のメモリ効果による歪を抑制することができる。
<実施形態3>
実施形態2において、DL信号モニタ部301において行われる演算は、式1に示すように平均レベルとしたが、本実施形態おいては平均レベル以外の任意の電力値とする。
DL信号モニタ部301は入力されたDL信号に基づいてキャリブレーション信号生成のための演算を行い、演算の結果をCAL-TRX207に入力する。以下に説明するように、DL信号モニタ部301による演算は、平均電力値以外に、DL信号から演算が可能な任意の電力値にすることが可能である。
具体例として、DL信号モニタ部301に入力されたDL信号から帯域幅を演算する方法について図16を参照して説明する。図16は本実施形態にかかるDL信号の周波数帯域幅の一例を示す図である。DL信号モニタ部301に入力されたDl信号が図16に示すように無線通信装置200の信号帯域幅に対して一部しか存在しない場合、この帯域幅をDL信号のIQ値からFFT(Fwast Fourier Transform)することによって算出する。演算した帯域幅はCAL-TRX207に入力し、CAL-TRX207は受信信号の帯域幅と共通するDL CAL信号を図7から選択し、TRX-BB部202に入力する。
送信増幅器402のAM-AMおよびAM-PM特性は周波数により異なる特性を持つ。すなわち、AM-AMおよびAM-PM特性は、送信増幅器402の入力レベルだけでなく、入力する周波数帯域幅によっても変化する。
そのため、本実施形態における無線通信装置200によれば、DL信号と同じ帯域幅にDL-CAL信号の帯域幅を制限することによって、キャリブレーションの精度を向上させることができる。
<その他の実施形態>
本開示における信号処理装置10は、例えば、信号処理方法としての実施形態を備える。すなわち信号処理方法は、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整ステップと、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償ステップと、前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅ステップと、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力ステップを備える。
上記の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
上記プログラムは、入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整処理と、前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、増幅器に対して出力する出力処理を信号処理装置10に実行させるプログラムである。
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整部と、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償部と、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、
前記調整部により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力部と、
を備えた信号処理装置。
(付記2)
前記調整部は、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記1に記載の信号処理装置。
(付記3)
前記調整部は、前記入力信号及び前記キャリブレーション信号それぞれの平均電力値に基づいて、前記キャリブレーション信号を調整する、
付記2に記載の信号処理装置。
(付記4)
前記調整部は、前記入力信号の周波数帯域幅を、前記入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値に基づくFFT(Fast Fourier Transform)により算出することによって、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記2に記載の信号処理装置。
(付記5)
前記信号処理装置は、
前記増幅器によって増幅された信号を前記調整部に帰還させる方向性結合器と、
をさらに備え、
前記調整部は、帰還されたキャリブレーション信号の電力に基づいて前記キャリブレーション信号を調整する、
付記2~4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記6)
前記調整部は、前記キャリブレーション信号の最大電力成分を閾値以下となるように抑制する、
付記1~5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記7)
前記調整部は、前記入力信号のチャネルごとに前記キャリブレーション信号を調整する、
付記2~6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記8)
前記補償部は、前記増幅器による歪特性及びメモリ効果を補償するDPD(Digital Pre-Distortion)を実行する、
付記1~7のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記9)
前記補償部は、入力された前記キャリブレーション信号を、格納するLUT(Look Up Table)を用いて補償する処理を行う、
付記2~8のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記10)
前記LUTは、入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値と、前記IQ値に対応するDPD補償係数が関連付けられたものである、
付記9に記載の信号処理装置。
(付記11)
前記DPD補償係数は、増幅器の非線形歪の原因となる非線形AM-AM/AM-PM(Amplitude Modulation-Phase Modelation)を補償するための係数である、
付記10に記載の信号処理装置。
(付記12)
前記補償部は、入力信号及びキャリブレーション信号の振幅および位相に基づいてDPD補償係数を選択する、
付記10又は11に記載の信号処理装置。
(付記13)
入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整手段と、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償手段と、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、
前記調整手段により調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力手段と、
を備えた無線通信装置。
(付記14)
前記無線通信装置は、TDD(Time Division Duplex)モードによる無線通信を行う、
付記13に記載の無線通信装置。
(付記15)
前記調整手段は、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記13又は14に記載の無線通信装置。
(付記16)
前記調整手段は、前記入力信号及び前記キャリブレーション信号それぞれの平均電力値に基づいて、前記キャリブレーション信号を調整する、
付記14又は15に記載の無線通信装置。
(付記17)
前記調整手段は、前記入力信号の周波数帯域幅を、前記入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値に基づくFFT(Fast Fourier Transform)により算出することによって、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記15又は16に記載の無線通信装置。
(付記18)
前記無線通信装置は、
前記増幅器によって増幅された信号を前記調整手段に帰還させる方向性結合器と、
をさらに備え、
前記調整手段は、帰還されたキャリブレーション信号の電力に基づいて前記キャリブレーション信号を調整する、
付記15~17のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記19)
前記調整手段は、前記キャリブレーション信号の最大電力成分を閾値以下となるように抑制する、
付記13~18のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記20)
前記調整手段は、前記入力信号のチャネルごとに前記キャリブレーション信号を調整する、
付記15~19のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記21)
前記補償手段は、前記増幅器による歪特性及びメモリ効果を補償するDPD(Digital Pre-Distortion)を実行する、
付記13~20いずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記22)
前記補償手段は、入力された前記キャリブレーション信号を、格納するLUT(Look Up Table)を用いて補償する処理を行う、
付記15~21のいずれか1項に記載の無線通信装置。
(付記23)
前記LUTは、入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値と、前記IQ値に対応するDPD補償係数が関連付けられたものである、
付記22に記載の無線通信装置。
(付記24)
前記DPD補償係数は、増幅器の非線形歪の原因となる非線形AM-AM/AM-PM(Amplitude Modulation-Phase Modelation)を補償するための係数である、
付記23に記載の無線通信装置。
(付記25)
前記補償手段は、入力信号及びキャリブレーション信号の振幅および位相に基づいてDPD補償係数を選択する、
付記23又は24に記載の無線通信装置。
(付記26)
入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整ステップと、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償ステップと、
前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅ステップと、
前記調整ステップにより調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、前記増幅ステップに対して出力する出力ステップと、
を備えた信号処理方法。
(付記27)
前記調整ステップは、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記26に記載の信号処理方法。
(付記28)
前記調整ステップは、前記入力信号及び前記キャリブレーション信号それぞれの平均電力値に基づいて、前記キャリブレーション信号を調整する、
付記27に記載の信号処理方法。
(付記29)
前記調整ステップは、前記入力信号の周波数帯域幅を、前記入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値に基づくFFT(Fast Fourier Transform)により算出することによって、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
付記27に記載の信号処理方法。
(付記30)
前記調整ステップは、前記キャリブレーション信号の最大電力成分を閾値以下となるように抑制する、
付記26~29のいずれか1項に記載の信号処理方法。
(付記31)
前記調整ステップは、前記入力信号のチャネルごとに前記キャリブレーション信号を調整する、
付記27~30のいずれか1項に記載の信号処理方法。
(付記32)
前記補償ステップは、前記増幅ステップによる歪特性及びメモリ効果を補償するDPD(Digital Pre-Distortion)を実行する、
付記26~31のいずれか1項に記載の信号処理方法。
(付記33)
前記補償ステップは、入力された前記キャリブレーション信号を、格納するLUT(Look Up Table)を用いて補償する処理を行う、
付記27~32のいずれか1項に記載の信号処理方法。
(付記34)
前記LUTは、入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値と、前記IQ値に対応するDPD補償係数が関連付けられたものである、
付記33に記載の信号処理方法。
(付記35)
前記DPD補償係数は、増幅ステップの非線形歪の原因となる非線形AM-AM/AM-PM(Amplitude Modulation-Phase Modelation)を補償するための係数である、
付記34に記載の信号処理方法。
(付記36)
前記補償ステップは、入力信号及びキャリブレーション信号の振幅および位相に基づいてDPD補償係数を選択する、
付記34又は35に記載の信号処理方法。
(付記37)
入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記入力信号と前記キャリブレーション信号のいずれか一方又は双方の信号を調整する調整処理と、
前記調整処理において調整された入力信号及びキャリブレーション信号を、増幅器に対して出力する出力処理と、
を信号処理装置に実行させるプログラム。
(付記38)
前記調整処理は、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する処理を行う、
付記37に記載のプログラム。
(付記39)
前記調整処理は、前記入力信号及び前記キャリブレーション信号それぞれの平均電力値に基づいて、前記キャリブレーション信号を調整する処理を行う、
付記38に記載のプログラム。
(付記40)
前記調整処理は、前記入力信号の周波数帯域幅を、前記入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値に基づくFFT(Fast Fourier Transform)により算出することによって、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する処理を行う、
付記38に記載のプログラム。
(付記41)
前記調整処理は、前記キャリブレーション信号の最大電力成分を閾値以下となるように抑制する処理を行う、
付記37~40のいずれか1項に記載のプログラム。
(付記42)
前記調整処理は、前記入力信号のチャネルごとに前記キャリブレーション信号を調整する処理を行う、
付記38~41のいずれか1項に記載のプログラム。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2021年3月22日に出願された日本出願特願2021-046725を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10、100 信号処理装置
11 調整部
12 補償部
13 増幅器
14 出力部
101 DL信号モニタ部
102 CAL-TRX
103 歪補償部
104 増幅器

Claims (10)

  1. 入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記キャリブレーション信号を調整する調整手段と、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償手段と、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、
    前記調整手段により調整された前記キャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力手段と、
    を備えた信号処理装置。
  2. 前記調整手段は、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
    請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記調整手段は、前記入力信号及び前記キャリブレーション信号それぞれの平均電力値に基づいて、前記キャリブレーション信号を調整する、
    請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 前記調整手段は、前記入力信号の周波数帯域幅を、前記入力信号のIQ(In-Phase/Quadrature-Phase)値に基づくFFT(Fast Fourier Transform)により算出することによって、前記キャリブレーション信号の信号電力を調整する、
    請求項2に記載の信号処理装置。
  5. 前記信号処理装置は、
    前記増幅器によって増幅された信号を前記調整手段に帰還させる方向性結合器と、
    をさらに備え、
    前記調整手段は、帰還されたキャリブレーション信号の電力に基づいて前記キャリブレーション信号を調整する、
    請求項2~4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  6. 前記調整手段は、前記キャリブレーション信号の最大電力成分を閾値以下となるように抑制する、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  7. 前記調整手段は、前記入力信号のチャネルごとに前記キャリブレーション信号を調整する、
    請求項2~6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  8. 入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記キャリブレーション信号を調整する調整手段と、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償手段と、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅器と、
    前記調整手段により調整された前記キャリブレーション信号を、前記増幅器に対して出力する出力手段と、
    を備えた無線通信装置。
  9. 入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記キャリブレーション信号を調整する調整ステップと、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号との歪補償を行う補償ステップと、
    前記入力信号と、前記キャリブレーション信号とを増幅する増幅ステップと、
    前記調整ステップにより調整された前記キャリブレーション信号を、前記増幅ステップに対して出力する出力ステップと、
    を備えた信号処理方法。
  10. 入力信号の信号電力と、送信系統間のキャリブレーションを行うキャリブレーション信号の信号電力との差が小さくなるように、前記キャリブレーション信号を調整する調整処理と、
    前記調整処理において調整された前記キャリブレーション信号を、増幅器に対して出力する出力処理と、
    を信号処理装置に実行させるプログラム。
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