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JP7620731B2 - 樹脂製部品の劣化診断方法 - Google Patents
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Description

本発明は、樹脂製部品の劣化診断方法、特に車両に組み込まれる樹脂製部品の劣化診断方法に関する。
様々な地域や環境での走行が求められる自動車などの車両は、過酷な状況に対応できるための耐久性が求められる。この状況は、車両に組み込まれる種々の部品についても同様である。車両部品、特に樹脂製部品は、熱や湿気などにより劣化が進行し、この劣化により物性が変化するため、本来の機能を発揮できない状態となることがある。したがって、このような樹脂製部品は、生産から廃車(例えば25年)に至るまでに受ける環境負荷に耐え得る仕様とすることが標榜されている。
これまでに樹脂製部品が受けた環境負荷を推定する方法として、使用された車両から当該部品を回収し、赤外線分光分析やケミカルルミネッセンス測定を行う方法が知られている。これらの方法により、ある程度の環境負荷を推定することはでき、例えば、どの程度の熱量が付加されたか等は推定できる。しかしながら、その測定には部品の破壊を伴うこともあり、結果は常に信頼性が高いとは言えず、そのデータを現在使用中の車両にフィードバックすることは難しいことであった。
特許文献1の技術では、自動車で使用される樹脂製部品に劣化検出用の突起が設けられ、この突起に対して所定の荷重を加えたときの変位、あるいは所定の変位を与えたときの固有振動数の変化などから劣化の進行を検知し、これに伴うこの部品の剛性変化又は強度変化を把握している。このような測定を、所定期間をおいて継続することで、劣化の進行を把握することができ、例えば、定期点検時にこの樹脂製部品の交換を促すことも可能となっている。
特開平11-132909号公報
特許文献1の方法では、樹脂製部品に劣化検出用の突起を設け、定期的に機械特性の変化を検知することで当該部品の劣化の程度を把握している。しかしながら、樹脂製部品の種類によっては、上記の変位を正確に得ることは難しいと考えられ、その様な樹脂製部品の場合、その変位から劣化の進行を検出することも困難であり、明確に劣化の進行を的確に把握することができない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動車に用いられている樹脂製部品の劣化の進行度合を的確に把握することができる樹脂製部品の劣化診断方法を提供することにある。
上記目的の達成のため請求項1に記載の樹脂製部品の劣化診断方法は、
車両に組み込まれる樹脂製部品の劣化の進行度合を推定する樹脂製部品の劣化診断方法において、
前記樹脂製部品よりも劣化の進行が早く且つ当該劣化の進行が検知し易い検知用付加部材を前記樹脂製部品に付加して劣化検知用部品を作製する劣化検知用部品作製工程と、
前記車両の前記樹脂製部品が組み込まれる箇所に前記劣化検知用部品を組み込む劣化検知用部品組み込み工程と、
所定期間経過後に前記付加された検知用付加部材の劣化の進行度合を検出する検知用付加部材の劣化度合検出工程と、
予め得られている前記劣化診断用部材と前記樹脂製部品との間の劣化の相関関係情報を用いて、前記樹脂製部品の劣化の進行度合を推定する劣化進行度合推定工程と、を有することを特徴とする。
この方法によれば、樹脂製部品の劣化の進行度合が、劣化の進行が早く且つ劣化の進行の検知が容易な材質である検知用付加部材の劣化度合を検出し、この検出結果を用いて推定される。すなわち、樹脂製部品の劣化の進行度合を直接推定することが困難な場合でも検知用付加部材の劣化度合を検出し、その検出結果と樹脂製部品の劣化との相関関係情報を用いて、検査対象である樹脂製部品の劣化度合を容易に推定することができる。樹脂製部品と検知用付加部材との間で劣化の相関関係は、それぞれの材質から予め把握しておくことで可能であり、この相関関係情報を下に、検知のより容易な検知用付加部材の劣化度合から樹脂製部品の劣化度合を推定することが可能となっている。
本発明の樹脂製部品の劣化診断方法によれば、樹脂製部品と相関関係が把握された検知用付加部材の劣化の検知により、樹脂製部品の劣化診断が可能となり、より容易且つ明確に樹脂製部品の劣化の進行を把握することができる。したがって、樹脂製部品の劣化の見逃しが防止され、車両の耐久性の管理能力が向上する。これにより、車両のユーザーは車両に対する長期に亘る信頼性も向上する。
本発明の樹脂製部品の劣化診断方法の一実施の形態のフロー図である。 実施の形態に係る劣化診断方法の診断対象の樹脂製部品から製作された劣化検知用部品の構成説明図である。 図2に示した劣化検知用部品の製作手順の説明図である。 本発明の樹脂製部品の劣化診断方法の一実施の形態に係る検知用付加部材の表面抵抗測定値の時間変化の一例を示した説明図である。
以下、本発明の樹脂製部品の劣化診断方法の一実施の形態について、図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の樹脂製部品の劣化診断方法の一実施の形態を示すフロー図である。また、本樹脂製部品の劣化診断方法の診断対象である樹脂製部品としては、車両である自動車のエンジンの吸気パイプを一例として採用している。
図2は、この吸気パイプ14に基づいて、最初の工程である劣化検知用部品製作工程(ステップS31)によって作製された劣化検知用部品10の構成例を示している。この概略構成としては、図示のように、吸気パイプ14の表面に検知用付加部材15が付加され、検知用付加部材15の表面抵抗を測定するための表面抵抗測定器21が吸気パイプ14の周囲に取り付けられている。以下にこの劣化検知用部品10の製作手順について説明する。
図3(a)~(c)は、劣化検知用部品10の製作手順を示しており、図3(a)に示す様に、まず吸気パイプ14が、例えば一体成形により製作される。吸気パイプ14の材質は、一般的なナイロン(ポリアミド)である。吸気パイプ14には、これを自動車の所定の位置に固定するための固定部13-1、13-2が吸気パイプ14の所定の箇所に設けられている。
次に、検知用付加部材15を吸気パイプ14の表面に付加する(図3(b)参照)。この付加作業は、例えば、吸気パイプ14の表面に所定の大きさのチップ状に切断した検知用付加部材15を接着することで行っている。また、吸気パイプ14の一体成形時に、検知用付加部材15を所定の表面位置に位置するようにインサートして一体成形(インサート成形)しても良い。検知用付加部材15は、本実施の形態では、吸湿性の低いポリカーボネート又はポリエステルで構成されている。
次に、検知用付加部材15の表面抵抗を測定するための表面抵抗測定器21が取り付けられる(図3(c)参照)。表面抵抗測定器21は、本体部20と測定プローブ16とから成り、測定プローブ16は2つの針電極(図示していない)を有しており、それらの針電極が検知用付加部材15に接触状態となる様に設けられている。本体部20と測定プローブ16とは、リード線18-1、18-2により接続されており、例えば、針電極間に電圧を印加したときに流れる電流により表面抵抗値が計測されるように構成されている。この測定結果はハーネス22により車載のコントロールユニットの一つである、エンジンコントロールユニット(ECU)に送信され、ECUではこの測定値がモニタリングできるように構成されている。
ここで、表面抵抗値は検知用付加部材15が吸湿性であると、水分により測定が不安定となるが、本実施の形態では、検知用付加部材15は、上記の様に吸湿性の低いポリカーボネート又はポリエステルで形成しており、表面抵抗値の安定した測定が可能であり測定結果の信頼性が高められている。すなわち、直接に対象部品の樹脂製部品である吸気パイプ14の表面を表面抵抗測定器21で測定しようとしても、車両に多用されている樹脂材料であるナイロン(ポリアミド)は吸湿性が比較的高いために、ナイロンの様に吸湿性の高い樹脂で製作されている吸気パイプ14だと、安定して表面抵抗値を測定することができない。表面抵抗値の測定結果の信頼性が向上すると、以下で述べる、診断対象である樹脂製部品の劣化の進行の程度の推定は精度の高いものとなる。
次に、図1のフロー図の劣化検知用部品組み込み工程(ステップS32)について説明する。製作した劣化検知用部品10を、樹脂製部品である吸気パイプ14が組み込まれるべき箇所に組み込む作業が行われる。この組み込みは、通常の吸気パイプ14の組み込み作業と特別変わるところはない。すなわち、劣化検知用部品10を、吸気パイプ14の固定部13-1、13-2を用いて車両の所定箇所に取り付ける。
次に、検知用付加部材15の劣化の進行度合を検出する劣化度合検出工程(ステップS33)が行われる。劣化の進行度合は、検知用付加部材15の表面抵抗値を、表面抵抗測定器21を用いて測定することで行われる。この測定は、車両のコントロールユニットが動作している間、例えば車両のエンジンが掛かっている間、常時測定する形態を取ることも可能であり、この樹脂製部品である吸気パイプ14が種々の原因で想定しているより短時間で劣化した様な場合でも、これを見逃すこと無く検知することができる。想定しているより短時間で劣化した様な場合とは、例えば高気温炎天下にエンジン運転状態で長期間走行しない等、特殊な使用状態により、劣化検知用部品10が過大な熱負荷を受けたような場合が考えられる。
表面抵抗測定器21による検知用付加部材15の測定された表面抵抗値は、エンジンコントロールユニット(ECU)を経由してモニタリングすることが可能である。
図4には、検知用付加部材15の表面抵抗値の時間変化の例が示されている。図4の縦軸は表面抵抗(Ω/cm)であり、横軸は時間(hr)である。表面抵抗値は、図4(a)に示されたような線形で減少する場合や、図4(b)に示すような非線形で減少する場合など様々な例が存在する。重要なことは、表面抵抗値は、時間が経過すれば部材の熱劣化により低下して行くという事象である。これは、検知用付加部材15の表面の分子構造が変化するためである。すなわち、この現象により部材の表面抵抗を測定することにより、部材に熱負荷などの劣化要因が付加された時間が分かり、予め部材に熱負荷等の劣化要因を所定時間に亘り付加した実験を行うことにより、部材に劣化要因が付加された時間と部材の劣化度合を知ることができる。
次に、劣化進行度合推定工程(ステップS34)について説明する。この推定工程は、予め得られている検知用付加部材15と樹脂製部品との間の劣化の相関関係情報を用いて、樹脂製部品の劣化の進行度合を推定するものである。ここでは、検知用付加部材15と吸気パイプ14との間の劣化の相関関係情報が用いられる。すなわち、検知用付加部材15の測定された表面抵抗値を用いて、前述の様に表面抵抗値と時間との関係から容易に検知用付加部材15の劣化度合が分かり、さらに、相関関係情報を用いることで、樹脂製部品である吸気パイプ14の劣化度合を推定することができる。この推定は、コンピュータなどにプログラムを組んでおき、測定された検知用付加部材15の表面抵抗値を入力することで自動に推定されるようにしても良い。
ここで、劣化の相関関係は、例えば前述のように、予め作成された検知用付加部材15の表面抵抗値と時間の関係を求めて置き、検知用付加部材15の測定された表面抵抗値に対応する時間、すなわち熱負荷などの劣化要因が付加された時間を知ることができる。そして、検知用付加部材15及び診断対象の樹脂製部品の双方について、その時間だけ劣化要因を付加して、それぞれについて赤外線分光解析、ケミカルルミネッセンス解析、更に所定の応力を付加したときの反力や変位等を測定することによって、それぞれの劣化程度を把握し、それらを対応付けることができる。この作業を種々の対応する時間について行うことで、劣化の相関関係情報を得ることができる。
次に、推定結果送信工程(ステップS35)において、推定された結果を、移動体通信システムを用いて、車両のメーカー、販売店、修理店、工場等の車両関係機関に送る。本実施の形態では、検知用付加部材15の表面抵抗値は、車両のエンジンが掛っている間は、例えば、1時間毎に測定され、その結果は車載のコントロールユニットである、エンジンコントロールユニット(ECU)又はパワーコントロールユニット(PCU)から移動体通信システムを用いて、車両関係機関に送られるように構成されている。
車両関係機関では、送られたデータより、樹脂製部品が劣化により機能不全となるタイミングをより的確に測ることができる。これにより、ユーザーは、車両の耐久性に関する管理に関する安心感を得ることができる。
本実施の形態の樹脂製部品の劣化診断方法によれば、吸気パイプ14と劣化の相関関係が把握された検知用付加部材15の表面抵抗値が、車両のエンジンが掛っている間は常時モニタリングされ、その結果が車両関係機関に送られる。したがって、吸気パイプ14の劣化の進行を容易且つ明確に把握することができる。また、劣化状態の発生の見逃しが防止され、車両の耐久性の管理能力が向上する。これにより、車両のユーザーは車両に対する長期に亘る信頼性も向上する。
また、劣化検知用部品10の作製工程における検知用付加部材15の樹脂製部品への付加は、検知用付加部材15を樹脂製部品の表面に付着させることで行われ、検知用付加部材15の劣化度合検出工程は、検知用付加部材15の表面抵抗値を測定することで行われるので、劣化検知用部品10を短時間で容易に作製することが可能である。また、検知用付加部材15の劣化度合は、検知用付加部材15の表面抵抗値を測定すれば良いので、簡単且つ容易に検出することが可能となる。
また、検知用付加部材15は、吸湿性の低いポリカーボネート又はポリエステルで構成されたので、表面抵抗値の測定が安定して可能となり、測定結果の信頼性が向上し、樹脂製部品の劣化の進行の程度の推定は確度の高いものとなる。
また、表面抵抗値の測定は、検知用付加部材15に表面抵抗測定器21を接続し、車両のエンジンが作動している間、検知用付加部材15の表面抵抗値を常に計測し、計測の結果をエンジンコントロールユニット(ECU)又はパワーコントロールユニット(PCU)経由でモニタリングすることで行われるので、検知用付加部材15の表面抵抗値が、エンジンが掛かっている間、常時測定されるので、樹脂製部品が種々の原因で想定しているより短時間で劣化した様な場合でも、これを見逃すこと無く検知することができる。したがって、車両の耐久性の信頼性が向上する。
また、劣化進行度合の推定の結果を、移動体通信システムを用いて、車両のメーカー、販売店、修理店、工場等の車両関係機関に送る推定結果送信工程を含むので、車両のメーカー、販売店、修理店、工場等の車両関係機関は、例えば、当該樹脂製部品が劣化により機能不全となるタイミングをより的確に測ることができ、これにより、ユーザーは、車両の耐久性に関する管理に関する安心感を得ることができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、樹脂製部品としてエンジンの吸入パイプ14を例示したが診断対象はこれに限らないことは勿論であり、他の種々の樹脂製部品に適用することが可能である。また、表面抵抗測定器21は、本体部20と測定プローブ16を有するものを例示したが、これらが一体となった測定器であっても良い。
また、劣化度合検出工程は、車両のエンジンが掛かっている間、常時測定する形態について述べたが、必要なタイミングで検出を行うことも可能であり、その場合、推定結果送信工程についても常時行うのではなく、所定のタイミングで行うこととなる。
10 劣化検知用部品
13-1、13-2 固定部
14 車両のエンジンの吸気パイプ
15 検知用付加部材
16 測定プローブ
18-1、18-2 リード線
20 本体部
21 表面抵抗測定器
30 劣化診断方法のフロー図

Claims (5)

  1. 車両に組み込まれる樹脂製部品の劣化の進行度合を推定する樹脂製部品の劣化診断方法において、
    前記樹脂製部品よりも劣化の進行が早く且つ当該劣化の進行が検知し易い検知用付加部材を前記樹脂製部品に付加して劣化検知用部品を作製する劣化検知用部品作製工程と、
    前記車両の前記樹脂製部品が組み込まれる箇所に前記劣化検知用部品を組み込む劣化検知用部品組み込み工程と、
    所定期間経過後に前記付加された検知用付加部材の劣化の進行度合を検出する検知用付加部材の劣化度合検出工程と、
    予め得られている前記検知用付加部材と前記樹脂製部品との間の劣化の相関関係情報を用いて、前記樹脂製部品の劣化の進行度合を推定する劣化進行度合推定工程と、を有し、
    前記劣化検知用部品の作製工程における前記検知用付加部材の前記樹脂製部品への付加は、前記検知用付加部材を前記樹脂製部品の表面に接着又はインサート成形により行われることを特徴とする樹脂製部品の劣化診断方法。
  2. 前記検知用付加部材の劣化度合検出工程は、前記検知用付加部材の表面抵抗値を測定することで行われることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製部品の劣化診断方法。
  3. 前記検知用付加部材は、吸湿性の低いポリカーボネート又はポリエステルで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製部品の劣化診断方法。
  4. 前記表面抵抗値の測定は、前記検知用付加部材に表面抵抗測定器を接続し、車載のコントロールユニットが作動している間、前記検知用付加部材の表面抵抗値を常に計測し、該計測の結果を前記コントロールユニット経由でモニタリングすることで行われることを特徴とする請求項2に記載の樹脂製部品の劣化診断方法。
  5. 前記劣化進行度合の推定の結果を、移動体通信システムを用いて、前記車両のメーカー、販売店、修理店、工場等の車両関係機関に送る推定結果送信工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製部品の劣化診断方法。
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