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JP7620840B2 - 浴槽装置 - Google Patents
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JP7620840B2 - 浴槽装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽装置に関し、特に、入浴者の状態を検出する機能を備えた浴槽装置に関する。
近年、一般住宅に設置された浴槽における溺死者数は増加傾向にあり、浴槽における溺没事故に対する防止策の必要性が増している。このような、浴槽における溺没事故対策として、浴槽に設けられた各種センサにより、入浴者の安否を見守る機能を備えた浴槽装置が従来から知られている。
特許文献1(特開2005-224299号)には、浴槽管理システムおよび浴槽管理プログラムが記載されている。この浴槽管理システムにおいては、浴室内に設けられたマイクロ波発振器から、浴槽内に鎮座している入浴者に対してマイクロ波を照射し、入浴者からの反射波に基づいて入浴者の心拍や体動を測定している。照射されたマイクロ波は、浴槽の水面上に露出している入浴者の胸部等で反射され、受信された反射波に基づいて入浴者の体動が検知される。入浴者に体動が見られない場合には、入浴者の居眠り等が想定され、警報を鳴らすこと等により入浴者の居眠りを防止する。
特許文献2(特開2002-288755号)には、温水機器が記載されている。この温水機器においては、人体センサが浴室の壁面に取り付けられ、この人体センサに備えられた人工網膜を利用した撮像装置が浴室における人体の動きを撮像して画像処理を行う。また、人体センサは、赤外線による熱検知により人体を検知する赤外線センサも備えている。この人体センサにより、人体の動きの停止が検出された場合には、警報手段により警報が行われる。
特許文献3(特開2020-112850号)には、風呂給湯装置が記載されている。この風呂給湯装置は、人感センサとして、検出エリア内の熱源の温度変化量を検出する焦電センサを備え、人感センサの検出結果に基づいて入浴中に人が動いているか否かが判定される。人感センサによって人が動いていないと判定された状態が所定時間を超えると、体動を促す旨の報知が行われる。
特開2005-224299号 特開2002-288755号 特開2020-112850号
このように、入浴者の状態を検知するための従来の装置は、主として、浴槽に入っている入浴者の、水面よりも上側の体動を検出し、これに基づいて入浴者の居眠り等を検出している。しかしながら、本件発明者らが、入浴中の体動について鋭意研究を行ったところ、脱力時には水面や水上での動きが少なく、水面下での動作が多いことを見出した。脱力中の入浴姿勢によれば、浴槽壁面によって体の中心部が支持され、手足のみが動く状態にあるため、入浴者の水面上に出ている上体が大きく動くことや、浴槽に張ってある湯に大きな波が発生することはない。
また、浴槽に浸かっている入浴者の手足は高温の湯に覆われているため、手足が動作した時、赤外線センサ等によって、これを熱源の移動として検知することは困難である。すなわち、従来の装置では、入浴者が浴槽内で脱力している時のように、水面や水上における体動が少ない状態では、誤検知を起こしやすいという問題がある。
また、肩湯などの入浴装置を入浴時に用いた場合、胸部や上半身が水膜によって覆われるため、顔などの浴槽枕で支持された部位しか計測を行うことができない、高温の流水が熱源の移動として検知される恐れがある等、焦電センサやマイクロ波センサでは体動検知が困難になる。
従って、本発明は、入浴者の状態を正確に検出することができる浴槽装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、入浴者の状態を検出する機能を備えた浴槽装置であって、浴槽本体と、この浴槽本体内に貯留された湯水を介して電位波形信号を取得するための一組の電極と、この電極によって取得された電位波形信号に含まれる入浴者の心電信号の成分を減衰させ、電位波形信号から低周波信号を取り出すフィルタ回路と、低周波信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定する判定回路と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、一組の電極が、浴槽本体内に貯留された湯水を介して電位波形信号を取得し、フィルタ回路によって電位波形信号に含まれる入浴者の心電信号の成分が減衰され、低周波信号が取り出される。判定回路は、取り出された低周波信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定する。
上記のように、入浴者がリラックスしている状態(脱力中)では、入浴者の体動が少なくなり、居眠りや意識障害を起こしている状態と、識別することが困難となる。本件発明者らは、これらを識別するために鋭意研究を行い、居眠りや意識障害を起こしている状態においては、入浴者の体動が完全に停止しているのに対し、リラックス状態においては、緩やかな体動(手足の揺れ)が浴槽の湯水の中で行われていることを見出した。さらに、上記の緩やかな体動は、浴槽内の湯水を波立たせるほどの大きさではなく、浴槽の外部から水面の動きを測定して、これを検知することは困難であった。
本件発明者らは、浴槽の水面下における入浴者の動きは、浴槽本体内に貯留された湯水のインピーダンスの変化として表れ、このインピーダンスの変化は、一組の電極により電位波形信号を取得することにより検出できることを見出した。しかしながら、電位波形信号を、浴槽本体内に貯留された湯水を介して取得すると、入浴者の心拍が大振幅の電位波形信号として混入してしまい、入浴者の緩やかな体動を正確に検知することは困難であった。
上記のように構成された本件発明によれば、浴槽本体に貯留された湯水を介して電位波形信号が取得され、取得された電位波形信号のうち、入浴者の心電信号の成分をフィルタ回路により減衰させ、低周波信号が取り出される。さらに、取り出された低周波信号に基づいて、判定回路により入浴者の体動の有無が判定されるので、浴槽本体に貯留された湯水の中での、入浴者の緩やかな体動の有無を判定することができ、入浴者の状態を正確に検出することができる。また、取得した心電信号を利用して、心電信号から入浴者の心拍を検知することもできる。
本発明において、好ましくは、さらに、報知装置を有し、この報知装置は、判定回路によって判定された入浴者の体動の有無を、上記浴槽本体が設置された浴室内、及び/又は上記浴室外に報知する。
このように構成された本発明によれば、入浴者に体動がないことを浴室内で報知することにより、軽度の居眠りをしてしまった入浴者を自力で覚醒させることができる。また、入浴者に体動がないことを浴室外に報知することにより、入浴者が意識消失した場合に、浴室外の者に安否確認を促すことができ、浴槽での溺没を予防することが可能となる。また、体動があることを浴室内で報知することにより、入浴者自身が安全に入浴できていることを自覚することができる。また、入浴者に体動があることを浴室外に報知することにより、浴室外の者が、入浴者が安全に入浴できていることを認識することができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、低周波信号が、所定の判定時間内に、所定の判定基準閾値を超えていない場合において、入浴者に体動がないと判定する。
リラックスしている入浴者は、覚醒していても、全く体動が検知されない状態が短期間継続する場合がある。上記のように構成された本発明によれば、判定回路は、低周波信号が、所定の判定時間内に、所定の判定基準閾値を超えていない場合において、入浴者に体動がないと判定するので、リラックスしている状態と、居眠りしている状態を効果的に識別することができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、入浴者の体動の有無を判定するための判定基準閾値又は判定時間を、所定の条件に基づいて変更する。
電極によって取得される電位波形信号は、入浴者の体動ばかりでなく、入浴者の特性、浴槽本体内の環境等の影響を受けて様々に変化する。このため、判定回路が、常に同一の判定基準により、入浴者の体動の有無を判定していると、体動があるにも関わらず、これを検知できなかったり、入浴者が居眠りしている状態でも体動があると判定されたりする場合がある。上記のように構成された本発明によれば、入浴者の体動の有無を判定するための判定基準が変更されるため、様々な条件において正確に入浴者の体動の有無を判定することができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、電位波形信号に基づいて、判定基準閾値を変更する。
電極によって取得される電位波形信号は、入浴者の体動ばかりでなく、入浴者の体格、入浴している位置、姿勢、浴槽本体内の湯水の状態等の影響を受けて様々に変化し、特に、これらの影響により電位波形信号の振幅が変化する。上記のように構成された本発明によれば、判定回路は、電位波形信号に基づいて、判定基準閾値を変更するので、全体的に電位波形信号の振幅が変化した場合でも正確に入浴者の体動の有無を判定することができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、低周波信号に基づいて、判定基準閾値を減少方向に逐次更新する。
心電信号の成分を減衰させた低周波信号は、主として、入浴者の体動を表す成分が含まれており、低周波信号の振幅が低減した状態は、入浴者に体動が少ない状態を示していると解釈することができる。上記のように構成された本発明によれば、判定基準閾値を、低周波信号に基づいて減少方向に更新するので、判定基準閾値を、入浴者に体動がない状態における低周波信号の振幅に漸近的に対応させることができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、電位波形信号に基づいて、判定時間を変更する。
低周波信号の周期は入浴者の体動の周期に影響を受ける。このため、入浴者の体動の有無を常に同一の判定時間を使用して判定していると、入浴者の体動の傾向によっては誤判定が生じる場合がある。上記のように構成された本発明によれば、電位波形信号に基づいて判定時間が変更されるので、入浴者の体動の周期に基づく誤判定を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、判定回路は、入浴者が浴槽本体の中に入った後の経過時間に基づいて、判定時間を変更する。
一般に、入浴者は、浴槽に浸かった直後には、浴槽本体内の湯水の温度に慣れるため静止して、比較的体動が少なく、時間の経過と共に発汗による汗ぬぐいや、手を揉む等のリラックス動作が表れ、次第に体動が多くなる傾向がある。また、入浴者の居眠りは、浴槽に浸かった後、ある程度時間が経過すると発生しやすくなる。上記のように構成された本発明によれば、入浴者が浴槽本体の中に入った後の経過時間に基づいて、判定時間が変更されるので、行動パターンに応じて入浴者の体動の有無を適切に判定することができる。
本発明において、好ましくは、報知装置は、電位波形信号に基づいて入浴者の体動の有無を判定することが困難であると判定回路によって判断された場合には、浴室内及び/又は浴室外に、その旨を報知する。
電位波形信号は、浴槽本体内の入浴者の位置や姿勢、多量の入浴剤が投入された場合等、十分に検知できなくなる場合があり、このような場合には入浴者の体動の有無を判定することが困難となる。上記のように構成された本発明によれば、入浴者の体動の有無を判定することが困難な場合には、浴室内でその旨を報知することにより、入浴者に入浴位置の変更を促す等、注意を喚起することができ、浴室外でその旨を報知することにより、浴室外の者に入浴者の状態に気を配るよう注意喚起することができる。
本発明の浴槽装置によれば、入浴者の状態を正確に検出することができる。
本発明の実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図である。 本発明の実施形態による浴槽装置に備えられている電極の構造を示す断面図である。 本発明の実施形態による浴槽装置において、取得された電位波形信号の処理を示すブロック図である。 本発明の実施形態による浴槽装置の作用を示すフローチャートである。 入浴者の体動が正常に検知できない状態の一例を示す電位波形信号である。 入浴者が浴槽本体内の湯水に浸かる前後の電位波形信号の一例を示す図である。 図6の上段に示す電位波形信号の一部を拡大した電位波形信号を示す図である。 入浴者に体動があった場合における電位波形信号の一例を示す図である。 ヒトの典型的な心電信号波形を模式的に示す図である。 心電信号波形に含まれる各波が現れる周波数帯域を示す図である。 フィルタ回路のカットオフ周波数を種々変更した場合に得られる低周波信号の一例を示す図である。 入浴者の浴槽本体内における位置の変化による電位波形信号の変化の一例を示す図である。 浴槽本体内の湯水に投入された入浴剤の有無による電位波形信号の変化の一例を示す図である。 入浴者に体動がある場合とない場合における低周波信号及びその周波数パワースペクトルの変化の一例を示す図である。 低周波信号と、設定される判定基準閾値の関係を示す図である。 入浴者が浴槽本体内に入った後の、電位波形信号の一例を示す図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による浴槽装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態による浴槽装置に備えられている電極の構造を示す断面図である。図3は、本発明の実施形態による浴槽装置において、取得された電位波形信号の処理を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態の浴槽装置1は、浴槽本体2と、この浴槽本体2に取り付けられた負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cと、電極によって取得された信号を処理する信号処理装置6と、を有し、浴室R内に設置される。また、浴室Rの壁面には、リモコン6aが取り付けられており、このリモコン6aにより、浴槽装置1に備えられた入浴者の状態を検出する機能を操作できるようになっている。さらに、本実施形態において、浴槽装置1は、浴室Rの一側に、壁面に接するように配置されている。
浴槽本体2は、平面視において略長方形の箱形に形成され、内部に湯水を貯留するように構成されている。本実施形態においては、浴槽本体2は、その1つの長辺、及びその両側の2つの短辺全体が、浴室Rの内壁面に接するように配置されている。また、浴槽本体2の一方の短辺を構成する内壁面は、入浴者が寄りかかるように形成された背もたれ面2aとして構成されている。また、浴室Rの内壁面に接していない側の浴槽本体2の長辺には、エプロン2bが着脱可能に取り付けられている。
負電極4a及び正電極4bは、浴槽本体2内に貯留された湯水を介して電位波形信号を検出するために、浴槽本体2に取り付けられた一組の電極である。入浴者の心電信号は、これらの負電極4aと正電極4bの間の電位差の信号として取得される。負電極4a及び正電極4bからなる一組の電極は、何れも浴槽本体2の短辺を構成する背もたれ面2a上に配置されている。また、基準電極4cは、負電極4a及び正電極4bによって検出される電位の基準電位を取得するための電極であり、この電極も浴槽本体2の背もたれ面2a上に配置されている。このように、本実施形態の浴槽装置1においては、心電信号を取得するための全ての電極が、1つの背もたれ面2a上に配置されている。
また、負電極4a及び正電極4bは、背もたれ面2aの水平方向(幅方向)の中心線の左右に、中心線に対して左右対称の位置に配置されている。即ち、負電極4a及び正電極4bは、背もたれ面2a上に中心線から左右方向に夫々離間して配置されている。さらに、負電極4a及び正電極4bは、浴槽本体2内の水面よりも下側に位置するように、浴槽本体2の底面から約300mmの高さ位置に夫々配置されている。負電極4a及び正電極4bは、浴槽本体2内の水面よりも下側であり、基準電極4cよりも上側の高さ位置に取り付けることができる。一方、基準電極4cは、背もたれ面2aの中心線上に、負電極4a及び正電極4bよりも下方に配置されている。また、基準電極4cは、必ずしも備えられていなくても良く、省略することもできる。また、電位波形信号を検出するための電極は、少なくとも一組であれば良く、例えば、負電極4a及び正電極4bが二組以上配置されていてもよい。
次に、図2を参照して、各電極の構造を説明する。
なお、ここでは、負電極4aの構造を説明するが、本実施形態においては、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cは、何れも同一の構造を有する。
図2に示すように、負電極4aは、電極部10と、前面パッキン12aと、背面パッキン12bと、フランジ14と、防湿チューブ16と、接続端子18と、固定ネジ20と、導線22と、シース24と、を有する。負電極4aは、浴槽本体2の背もたれ面2aの表面に露出するように取り付けられ、負電極4aと背もたれ面2aとの間の水密性がパッキンにより確保されている。
電極部10は、導電金属製の部品であり、円板状に形成された円板部10aと、この円板部10aの背面から垂直に突出する軸部10bから構成されている。円板部10aは薄い円板状の部分であり、この円板部10aの前面が、背もたれ面2aの表面に露出し、電位を検出するように構成されている。即ち、本実施形態においては、円板部10aは、直径約15mm、厚さ約2.5mmに形成されており、この円板部10a全体が背もたれ面2aの表面上に配置されている。軸部10bは、円板部10aの背面中央から直角に延びる丸棒状の部分であり、背もたれ面2aに形成された貫通穴を通って、背もたれ面2aの裏側に突出している。また、軸部10bの中間部には雄ネジ山が形成され、先端部には接続端子18を固定するための固定部が形成されている。
前面パッキン12aは、ゴム製の円板状の部材であり、中央には、電極部10の軸部10bを通すための円形穴が形成されている。前面パッキン12aは、電極部10の円板部10aとほぼ同一の直径を有し、円板部10aの背面側に配置される。負電極4aが背もたれ面2aに取り付けられた状態では、前面パッキン12aが、円板部10aの背面と背もたれ面2aの表面の間に挟まれ、背もたれ面2aと負電極4aの間の水密性が確保されている。
背面パッキン12bは、ゴム製の円板状の部材であり、中央には、電極部10の軸部10bを通すための円形穴が形成されている。背面パッキン12bは、前面パッキン12aよりも大きい、フランジ14の大径部とほぼ同一の直径を有し、背もたれ面2aの背面側に配置される。負電極4aが背もたれ面2aに取り付けられた状態では、背面パッキン12bが、背もたれ面2aの背面とフランジ14の端面の間に挟まれ、背もたれ面2aの裏側の表面と負電極4aの間の水密性が確保されている。なお、前面パッキン12a及び背面パッキン12bは、樹脂製であっても良い。
フランジ14は、大径部及び小径部からなる段付きの円柱状の部材であり、中心には、電極部10の軸部10bを貫通させるための雌ネジ山が形成されている。フランジ14の大径部は、背面パッキン12bとほぼ同一の直径に形成され、小径部は、大径部の背面側に形成されている。フランジ14を貫通するように形成された雌ネジ山と、電極部10の軸部10bに形成された雄ネジ山を螺合させ、締め付けることによって、フランジ14の大径部側の端面により、背面パッキン12bが背もたれ面2aの背面に押し付けられ、水密性が確保される。
防湿チューブ16は、ゴム製の細長いチューブであり、電極部10の軸部10b先端や、接続端子18、導線22等を覆うように配置される。防湿チューブ16の先端には、フランジ14の小径部が嵌め込まれ、防湿チューブ16内への湿気の侵入が防止される。なお、防湿チューブ16は、樹脂製であっても良い。
接続端子18は導電金属製の部品であり、導線22の先端に圧着接続されている。接続端子18の先端部には、固定ネジ20を通すための穴が設けられており、この穴を通った固定ネジ20を、電極部10の軸部10b先端に設けられた雌ネジに螺合させることにより、接続端子18を電極部10に固定することができる。これにより、電極部10と導線22を、着脱自在に電気的に接続することができる。
導線22は、電極部10と信号処理装置6(図1)を電気的に接続するための導電線であり、負電極4aから信号処理装置6まで延びている。また、導線22には、絶縁材料製のシース24が被せられ、導線22の電気絶縁性が確保されている。本実施形態においては、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cから夫々延びる導線22が信号処理装置6に接続され、心電信号が信号処理装置6に入力される。
次に、図3を参照して、信号処理装置6の構成を説明する。
信号処理装置6は、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cが接続される電気回路であり、浴槽本体2の背もたれ面2aの背面側に配置されている。負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cによって取得された信号は、信号処理装置6によって処理され、リモコン6aに送られる。リモコン6aにおいては、各電極(負電極4a、正電極4b、及び基準電極4c)によって取得された電位波形信号を使用して、入浴者の体動の有無が判断される。入浴者に体動がないと判断された場合には、浴室R内に配置されたリモコン6aによって入浴者に体動がないことが報知されると共に、浴室R外に配置された表示装置(図示せず)にも報知が行われる。一方、入浴者に体動があると判断された場合には、浴室R内に配置されたリモコン6aによって入浴者に体動があることが報知されると共に、浴室R外に配置された表示装置(図示せず)にも報知が行われる。従って、浴室R内に配置されたリモコン6a及び浴室R外に配置された表示装置(図示せず)は、入浴者に体動がないことを報知する報知装置として機能する。
図3に示すように、信号処理装置6は、差動増幅回路26と、A/Dコンバータ32と、インターフェイス回路34と、を有し、これらの回路が筐体6bの中に内蔵されている。
差動増幅回路26は、負電極4a及び正電極4bから夫々延びる導線22が接続される増幅回路であり、負電極4aと正電極4bの間の差電圧が電位波形信号として入力され、これを増幅するように構成されている。また、基準電極4cから延びる導線22は、差動増幅回路26のグラウンドに接続される。
A/Dコンバータ32は、差動増幅回路26によって増幅されたアナログ信号である電位波形信号を、ディジタル信号に変換するように構成されている。
インターフェイス回路34は、A/Dコンバータ32によってA/D変換されたディジタル信号が入力され、入力されたディジタル信号をリモコン6a及び/又は外部の表示装置(図示せず)等に送り出すように構成されている。
リモコン6aには、ディジタル化された電位波形信号に含まれる入浴者の心電信号の成分を減衰させ、電位波形信号から低周波信号を取り出すフィルタ回路36aと、低周波信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定する判定回路36bと、浴槽装置1の設定状態等を表示する表示部36cと、警告音を発するスピーカ36dと、通信部36e等が内蔵されている。本実施形態においては、フィルタ回路36a及び判定回路36bは、リモコン6aに内蔵されたマイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるソフトウェア等により構成されている。なお、変形例として、フィルタ回路、判定回路をハードウェア回路によって構成し、アナログフィルタにより低周波信号を取り出し、判定を行うように本発明を構成することもできる。
リモコン6aに入力された電位波形信号は、フィルタ回路36aに入力され、入浴者の心電信号の成分が減衰されて低周波信号が取り出される。判定回路36bは、低周波信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定し、入浴者に体動がないと判定された場合には、入浴者に体動がない旨が表示部36cに表示されると共に、スピーカ36dから警告音が発せられる。また、通信部36eは、浴室R外に配置された表示装置(図示せず)に制御信号を送信し、これにより入浴者に体動がない旨が表示され、警告音が発せられる。これにより、入浴者の状態を浴室Rの外から監視することができる。或いは、フィルタ回路36aや判定回路36bを浴室Rの外部の表示装置(図示せず)に内蔵するように本発明を構成することもできる。また、通信部36eは、浴槽装置1に設けられた吐水装置(図示せず)や、浴室R内に設けられた送風装置(図示せず)に信号を送り、これらを作動させることができるように構成されている。さらに、通信部36eによって入浴者や、家人のスマートフォンに信号を送信し、入浴者の状態を報知することができるように本発明を構成することもできる。
ここで、本実施形態においては、各電極から延びる導線22や、これらの導線22が接続される信号処理装置6は、何れも、浴槽本体2の背もたれ面2aの裏側の空間に収容されている。図1に示すように、背もたれ面2aの裏側の空間は、浴槽本体2のエプロン2bを取り外すことにより、浴室Rの洗い場側からアクセスすることができる。このため、浴槽本体2のエプロン2bを取り外すだけで、各電極や信号処理装置6の調整、修理等のメンテナンスを容易に行うことができる。即ち、負電極4a、正電極4b、基準電極4c、及び信号処理装置6を、アクセスしやすい空間に集約的に配置することにより、メンテナンス性を高めることができる。
次に、図4乃至図16を参照して、本発明の実施形態による浴槽装置1の作用を説明する。
図4は、本発明の実施形態による浴槽装置1の作用を示すフローチャートである。図5乃至図16は、図4のフローチャートにおける処理を説明するための図である。
図4に示すフローチャートは、リモコン6aに内蔵されたマイクロプロセッサにより、浴槽装置1の電源が投入されている間、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
まず、図4のステップS1においては、信号処理装置6のA/Dコンバータ32によりディジタル化された電位波形信号がリモコン6aに入力される。
次いで、ステップS2においては、入浴者の体動が正常に検知できる状態にあるか否かが判断され、体動が正常に検知できる場合にはステップS3に進み、正常に検知できる状態でない場合には、ステップS10に進む。即ち、入浴者の体動は、浴槽本体2内に貯留された湯水を介して、負電極4aと正電極4bの間の電位差の信号である電位波形信号に基づいて検知される。しかしながら、浴槽本体2内に湯水が貯留されていない場合や、浴槽本体2内の水位が低く、湯水が負電極4a及び正電極4bに接触していない場合には、各電極の電位が定まらず、電位波形信号を取得することができない。このような状態においては、入浴者の体動を検知することができないため、ステップS10においてその旨を報知して、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。なお、ステップS10においては、浴槽装置1が入浴者の状態の検出を実行していない旨が、リモコン6aの表示部36c、及び浴室R外の表示装置(図示せず)に表示される。
図5は、入浴者の体動が正常に検知できない状態の一例を示す電位波形信号である。
図5の時刻t0乃至t1においては、浴槽本体2内の湯水が負電極4a及び正電極4bに接触しておらず、負電極4aと正電極4bの間の電位差が不定となっている。このような状態においては、電位差の信号(電位波形信号)は、大振幅のランダムノイズの波形となる。さらに、図5の時刻t1乃至t2においては、浴槽本体2内の水位が上昇し、浴槽本体2内の湯水が負電極4a及び正電極4bに接触し始めている。次いで、時刻t2において、負電極4a及び正電極4bが浴槽本体2内の湯水に水没したため電極間の電位差が安定し、電位波形信号は小振幅の信号となっている。電位波形信号が時刻t2以降の状態である場合には、入浴者の体動を正常に検知することができる。ステップS2においては、このような電位波形信号の状態に基づいて、入浴者の体動が正常に検知できる状態にあるか否かが判断される。
次に、図4のステップS3においては、入浴者の心電波形が検知されているか否かが判断され、心電波形が検知された場合にはステップS4に進み、検知されない場合には、ステップS10に進んだ後、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。本実施形態の浴槽装置1は、入浴者の体動を検知する装置であるが、入浴者が浴槽本体2の背もたれ面2a付近に座っている状態では、入浴者の心電波形が負電極4a及び正電極4bによって観測される。即ち、入浴者が浴槽本体2の背もたれ面2a付近に入浴している状態では、負電極4a及び正電極4bによって取得される電位波形信号に、入浴者の心電信号の成分が混入する。浴槽本体2に湯水が貯留されている状態であっても、浴槽本体2内に入浴者がいなければ、当然に入浴者の体動を検知することはできない。
ステップS3においては、電位波形信号の中に心電信号の成分が存在するか否かによって、浴槽本体2内に入浴者が居るか否かを判断しており、心電信号の成分が存在しない場合には浴槽本体2内に入浴者が居ないと判断し、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。また、入浴者が居ないと判断された場合には、ステップS10において、リモコン6aの表示部36cに、体動の検知が行われていない旨が表示される。このため、入浴者は、浴槽本体2の中に居るにも関わらず体動の検知が行われていない旨が表示された場合には、必要に応じて浴槽本体2内に座る位置を変更する等して、体動の検知が行われるようにすることもできる。
図6は、入浴者が浴槽本体2内の湯水に浸かる前後の電位波形信号の一例を示す図である。図6の上段は、リモコン6aに入力された電位波形信号を示し、下段は、この電位波形信号をフィルタ回路36aに通過させることにより得られた低周波信号を示している。また、図7は、図6の上段に示す電位波形信号の一部を拡大した電位波形信号を示す図である。なお、フィルタ回路36aによるフィルタ処理については後述する。
図6に示す例では、時刻t10において入浴者が浴槽本体2内の湯水に浸かると、電位波形信号の振幅が大きくなっている。このように、浴槽本体2内に湯水が貯留された状態では、浴槽本体2内に入浴者が入ると、浴槽本体2内に入浴者が入っていない状態よりも電位波形信号の振幅が大きくなる。さらに、図6の上段の波形の一部を拡大した図7に示すように、湯水が貯留された浴槽本体2内に入浴者が入浴している状態では、負電極4a及び正電極4bによって取得される電位波形信号には、入浴者の拍動を表す周期的なパルスが含まれている。
このように、図4のステップS3においては、電位波形信号に入浴者の拍動を表す周期的なパルス(心電信号)が含まれているか否かに基づいて、浴槽本体2内に入浴者が入っているか否かが判断される。具体的には、例えば、入力された電位波形信号の周波数スペクトルを計算し、人間の拍動に相当する周波数帯域にピークが存在する場合に、浴槽本体2内に入浴者が入っていると判断することができる。
次に、図4のステップS4においては、入力された電位波形信号がフィルタ回路36aを通過され、低周波信号が取り出される。即ち、図6の上段に示す電位波形信号が、フィルタ回路36aを通過することにより、図6の下段に示す低周波信号に変換される。このように、負電極4a及び正電極4bによって取得された電位波形信号をフィルタ回路36aに通すことにより、入浴者の拍動を表す心電信号の成分が減衰される。フィルタ回路36aを通過させることにより得られた低周波信号においては、心電信号の成分が減衰され、入浴者の体動を表す成分が強調される。
図8は、入浴者に体動があった場合における電位波形信号の一例を示し、(a)欄はフィルタ回路36aを通過する前の電位波形信号を示し、(b)欄は電位波形信号がフィルタ回路36aを通過した後の低周波信号を示している。
図8に示すように、入浴者が浴槽本体2内の湯水の中で身体を動かすと、即ち、入浴者に体動があると、電位波形信号が比較的長い周期で変動する。このため、入浴者に体動があった場合には、フィルタ回路36aにより心電信号の成分が減衰された低周波信号においても、振幅が大きくなる。図8に示す例では、波形の中央付近で入浴者に体動があり、(b)欄のフィルタ回路36aを通過した後の低周波信号においても振幅が大きくなっている。このように、電位波形信号をフィルタ回路36aに通過させて得られた低周波信号の振幅に基づいて、入浴者の体動を検知することができる。
次に、図9乃至図11を参照して、ヒトの心電信号の周波数成分を説明する。
図9は、ヒトの典型的な心電信号波形を模式的に示す図である。図10は、心電信号波形に含まれる各波が現れる周波数帯域を示す図である。図11は、フィルタ回路36aのカットオフ周波数を種々変更した場合に得られる低周波信号の一例を示す図である。
まず、図9に示すように、ヒトの心電信号には、プラス側のピーク値が最も大きいインパルス状の波形であるR波と、このR波の直前に僅かに電位が低下するQ波と、このQ波よりも前に緩やかに電位が上昇するP波が含まれている。さらに、心電信号には、R波の直後に僅かに電位が低下するS波と、S波の後に比較的大きく緩やかに電位が上昇するT波と、T波の後に小さく電位が上昇するU波が含まれている。ここで、P波は心臓の心房の興奮に対応し、インパルス状の波形であるR波は心室の興奮に対応し、T波は心室の興奮がさめることに対応するとされている。
ここで、図10に示すように、心電信号に含まれるR波、S波、及びQ波は、およそ10Hz乃至30Hzの周波数帯域に分布し、T波は、およそ1Hz乃至10Hzの周波数帯域に分布している。一方、浴槽本体2内の入浴者の体動による電位波形信号の変化はおよそ2Hz以下の周波数帯域に現れることが、本件発明者らの研究により見出されている。また、入浴者の呼吸に基づいて発生するノイズは、およそ0.3Hz以下の周波数帯域に現れることも本件発明者らの研究により見出されている。従って、フィルタ回路36aにより、約2Hz以上の周波数帯域の信号成分を減衰させることにより、電位波形信号に含まれる入浴者の心電信号の成分を減衰させることができると考えられる。
さらに、図11に示すように、ローパスフィルタであるフィルタ回路36aのカットオフ周波数を12Hz、10Hz、8Hz...と変化させると、フィルタ回路36aを通過させる前の元波形から次第に鋭いピークが低減され、入浴者の体動を表す信号成分が強調されるようになる。図11に示すように、カットオフ周波数を10Hzとしたフィルタ回路36aを通過させると、電位波形信号からある程度心電信号のR波の成分が減衰されるため、フィルタ回路36aのカットオフ周波数を約10Hz以下に設定することにより、入浴者の体動を検知することが可能となる。また、本実施形態においては、カットオフ周波数2Hz、減衰特性-3dB/octのフィルタ回路36aが使用され、これにより電位波形信号から心電信号の成分を十分に減衰させ、精度良く入浴者の体動を検知することが可能となる。
なお、図10に示すように、心電信号に含まれるT波の周波数成分は2Hz以下の周波数帯域に及ぶ場合があるため、フィルタ回路36aを通過させた場合でも心電信号の成分が完全に除去されることはない。また、図10に示すように、0.3Hz以下の周波数帯域には、入浴者の呼吸に基づくノイズ成分が存在する。これを減衰又は除去するため、変形例として、フィルタ回路36aと共に、電位波形信号にハイパスフィルタを施すように本発明を構成することもできる。この場合には、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、フィルタ回路36aのカットオフ周波数よりも低い約0.3Hzに設定する。
次に、図4に戻り、ステップS5においては、ステップS4のフィルタ処理により取り出された低周波信号が所定の判定基準閾値を超えているか否かが判断される。図8により説明したように、入浴者に体動があると、電位波形信号が比較的長い周期で変動するので、フィルタ回路36aを通った後の低周波信号も振幅が大きくなる。ステップS5においては、リモコン6aに内蔵された判定回路36bにより、低周波信号が判定基準閾値B(図8)を超えたか否かが判断される。なお、判定基準閾値Bの設定については後述する。低周波信号が判定基準閾値Bを超えた場合にはステップS9に進み、判定基準閾値Bを超えていない場合にはステップS6に進む。
次いで、ステップS6においては、判定回路36bに備えられたタイマー(図示せず)の値が加算される。このタイマーは、入浴者の体動が検知されなくなった後の経過時間を積算するように構成されている。一方、ステップS9においては、積算されていたタイマーの値がリセットされ、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、入浴者の体動が検知された場合(ステップS5→S9)においては、入浴者の体動が検知されない時間を積算していたタイマーの値がリセットされる。
一方、ステップS5において入浴者の体動が検知されず、ステップS6においてタイマー(図示せず)の値が加算された後は、ステップS7に進み、ステップS7においては、タイマーにより積算された経過時間が所定の判定時間τを超えたか否かが判断される。経過時間が判定時間τを超えた場合にはステップS8に進み、超えていない場合にはステップS5に戻る。従って、入浴者の体動が検知されない状態が継続した場合には、ステップS5→S6→S7→S5の処理が繰り返され、入浴者の体動が検知されなくなった後の経過時間が積算される。なお、本実施形態においては、所定の判定時間τとして、60[Sec]乃至180[Sec]が設定される。即ち、本実施形態においては、浴槽装置1の作動中において、判定時間τの設定値が変更される。なお、判定時間τの設定については後述するが、判定時間τは固定値として設定することもできる。
タイマー(図示せず)により積算されている経過時間が判定時間τを超えると、フローチャートにおける処理は、ステップS7からS8に進み、ステップS8において、判定回路36bは「入浴者に体動がない」と判定する。即ち、判定回路36bは、低周波信号が、所定の判定時間τ内に、所定の判定基準閾値Bを超えていない場合において、「入浴者に体動がない」と判定する。さらに、判定回路36bは、リモコン6aに内蔵された表示部36c及びスピーカ36dに信号を送り、「入浴者に体動がない」旨を表示部36cのディスプレイ(図示せず)に表示すると共に、スピーカ36dから警告音を発生させる。即ち、浴槽本体2内の入浴者がリラックスしている状態では、短時間であれば殆ど体動がなく、体動が検知されない場合もある。しかしながら、入浴者がリラックスしていたとしても、所定の判定時間τを超えて体動が検知されない状態が継続することは極めて希である。
このように、入浴者の体動が検知されない状態が、所定の判定時間τを超えて継続した場合には、入浴者が居眠りしていたり、意識障害に陥っていたりする可能性が高く、入浴者等に対して警報を発する必要がある。また、入浴者が居眠りしていた場合には、スピーカ36dから警告音を発生させることで入浴者を覚醒させ、出浴を促すことができる。
一方、本実施形態において、「入浴者に体動がない」と判定された場合には、判定回路36bは、浴室R外に配置された表示装置(図示せず)にも報知が行われる。具体的には、浴室R外の表示装置においてもディスプレイに、「入浴者に体動がない」旨の表示が為され、表示装置のスピーカから警告音が発せられる。これにより、浴槽本体2内の入浴者に異常があることが、浴室R外の家人に報知され、家人は適切な処置をとることができる。また、入浴者が安全に入浴していることを報知するため、入浴者に体動がある旨を表示装置に表示することもできる。例えば、入浴者の体動が確認されたとき表示装置のランプを点滅させたり、何秒前に体動があったかを表示装置の画面上に表示させたりすることができる。
次に、図12乃至図15を参照して、判定回路36bが入浴者の体動を判定するための判定基準閾値の設定を説明する。
図12は、入浴者の浴槽本体内における位置の変化による電位波形信号の変化の一例を示す図である。図13は、浴槽本体内の湯水に投入された入浴剤の有無による電位波形信号の変化の一例を示す図である。図14は、入浴者に体動がある場合とない場合における低周波信号及びその周波数パワースペクトルの変化の一例を示す図である。図15は、低周波信号と、設定される判定基準閾値Bの関係を示す図である。
負電極4a及び正電極4bによって取得される電位波形信号の振幅は種々の条件によって変化するため、本実施形態の浴槽装置1においては、入浴者の体動の有無を判定するための判定基準が、所定の条件に基づいて変更される。即ち、判定基準の1つである判定基準閾値は、判定回路36bにより、電位波形信号に基づいて変更される。
図12は、浴槽本体2内における入浴者の位置の変化による電位波形信号の変化の一例を示している。ここで、図12の(a)欄は入浴者が浴槽本体2に設けられた負電極4a及び正電極4bから離れている場合の電位波形信号、(b)欄はその低周波信号を示し、(c)欄は入浴者が電極に近い場合の電位波形信号、(d)欄はその低周波信号を示している。
図12から理解されるように、入浴者が浴槽本体2の負電極4a及び正電極4bから離れている場合には電位波形信号の振幅は小さくなり、入浴者が電極に近い場合には電位波形信号の振幅が大きくなる。このため、図中に示すように判定基準閾値Bが同一に設定されている場合には、入浴者の体動が同程度であるにも関わらず、入浴者が電極に近い場合には体動が検知され(図12の(d)欄の楕円部)、入浴者が電極から離れている場合には体動が検知されないこととなる。
次に、図13は、浴槽本体2内の湯水に入浴剤を投入した場合における電位波形信号の変化の一例を示している。ここで、図13の(a)欄は入浴剤が投入されていない場合の電位波形信号、(b)欄はその低周波信号を示し、(c)欄は入浴剤が投入されている場合の電位波形信号、(d)欄はその低周波信号を示している。浴槽本体2内の湯水に入浴剤が投入されると、湯水のインピーダンスが低下するため、電位波形信号の振幅が小さくなる。
図13から理解されるように、浴槽本体2内の湯水に入浴剤が投入されている場合には電位波形信号の振幅は小さくなり、入浴剤が投入されていない場合には電位波形信号の振幅が大きくなる。このため、図中に示すように判定基準閾値B値が同一に設定されている場合には、入浴者の体動が同程度であるにも関わらず、入浴剤が投入されていない場合には体動が検知され(図13の(c)欄の楕円部)、入浴剤が投入されている場合には体動が検知されないこととなる。
このように、負電極4a及び正電極4bによって取得される電位波形信号の振幅は種々の条件によって変化するため、本実施形態の浴槽装置1においては、判定基準閾値が、所定の条件に基づいて変更される。
次に、図14及び図15を参照して、判定基準閾値の設定手順を説明する。
まず、図14の(a)欄は入浴者に体動がある場合の低周波信号の一例を示し、(b)欄はその周波数パワースペクトルを示している。また、図14の(c)欄は入浴者に体動がない場合の低周波信号の一例を示し、(d)欄はその周波数パワースペクトルを示している。
図14の(a)(b)欄に示すように、入浴者に体動がある場合においては、電位波形信号にフィルタ処理を施すことにより得られる低周波信号の振幅、周波数パワースペクトルとも比較的大きな値をとる。これに対して、図14の(c)(d)欄に示すように、入浴者に体動がない場合においては、低周波信号の振幅は小さく、その周波数パワースペクトルの値も小さくなるが、低周波信号には周期性が認められ、周波数パワースペクトルにも約0.5Hz付近と、約1.35Hz付近に小さな隆起が認められる。低周波信号に含まれる周期性のある信号成分は、フィルタ回路36aを通過した心電信号のT波等に基づくものと考えられる(図10)。このような、低周波信号に含まれる周期性のある信号成分に基づいて、判定基準閾値を設定することができる。
即ち、図15に示すように、まず、判定回路36bは、低周波信号のピーク値(図15における○印)を所定期間に亘って平均し、ピーク平均値(図15における破線)を算出する。そして、このピーク平均値に所定のマージンα(固定値)を加算した値を判定基準閾値Bとして設定する。さらに、本実施形態において、判定基準閾値Bは、低周波信号に基づいて判定回路36bにより減少方向に逐次更新される。
例えば、図6の下段に示す低周波信号において、時刻t10に入浴者が浴槽本体2の中に入った後、直近の所定期間に亘るピーク値が平均され、ピーク平均値が計算される。このピーク平均値に所定のマージンαを加算することにより、最初の判定基準閾値B1が設定される。図6の例では、入浴者が浴槽本体2の中に入った後、入浴者の体動が次第に小さくなっているため、直近の所定期間におけるピーク平均値も次第に小さくなる。従って、このピーク平均値に所定のマージンαを加算した判定基準閾値Bの値も、最初の判定基準閾値B1の値よりも次第に小さくなる。新たに算出された判定基準閾値Bが、従前の判定基準閾値Bよりも小さい場合には判定基準閾値の更新が行われ、最初の判定基準閾値B1は判定基準閾値B2に更新される。このように、本実施形態においては、判定基準閾値Bの値が時間の経過と共に逐次更新される。
その後、入浴者が大きく体動した場合(図6における破線の楕円部)には、新たに算出されるピーク平均値も大きくなるが、ピーク平均値が増加方向に変化した場合には、判定基準閾値の更新は実行されず、従前の判定基準閾値B2が維持される。このように、判定回路36bは、低周波信号に基づいて、判定基準閾値Bを減少方向に逐次更新する。これにより、浴槽本体2内の湯水に入浴剤が投入されている場合等においても、判定基準閾値Bが減少方向に逐次更新されることにより、判定基準閾値Bの値は妥当な値に収束する。
なお、本実施形態においては、電位波形信号に基づいて得られた低周波信号を使用して、判定基準閾値Bを減少方向に逐次更新しているが、電位波形信号に基づいて判定基準閾値Bを変更するように本発明を構成することもできる。例えば、電位波形信号に含まれる心電信号成分のR波のピーク値に基づいて、判定基準閾値Bを変更することもできる。或いは、判定基準閾値Bの変更を行わず、判定基準閾値Bを固定値とすることもできる。
次に、図16を参照して、判定回路36bによる判定基準の1つである判定時間τの変更を説明する。
図16は、入浴者が浴槽本体2内に入った後の、電位波形信号の一例を示す図である。
図16に示すように、入浴者は、時刻0において浴槽本体2内に入った後、最初の350[Sec]程度は、比較的体動が少なく(電位波形信号の振幅が小さく)、その後、入浴の中盤から終盤にかけて体動が多くなっている。これは、入浴の序盤においては、浴槽本体2内の湯水の温度に慣れるために、入浴者はあまり動くことがなく、温度に慣れた後、入浴者の体動が増加し始めていると考えられる。即ち、入浴の中盤から終盤にかけては、身体が温まり、発汗が多くなるため、これを手でぬぐう行為や、リラックスすることによる手揉み行為が始まり、体動が増加している。一方、入浴者の居眠りも、浴槽本体2の中でリラックスする入浴の中盤から終盤にかけて発生しやすくなると考えられる。
本実施形態においては、このような入浴者の行動パターンに基づいて、入浴の序盤においては判定時間τを長く設定し、入浴の中盤以降は判定時間τを短い値に変更している。即ち、入浴の序盤においては入浴者の体動が少ないため、判定時間τを短く設定すると、「入浴者に体動がない」と誤判定しやすく、入浴者が普通に入浴しているにも関わらず、リモコン6aから警告音が発せられてしまうという不具合が発生してしまう。一方、入浴の中盤以降は、入浴者の体動が多くなるため、判定時間τを短く設定しても誤判定は発生しにくい。また、入浴の中盤以降において判定時間τを短く設定することで、入浴者に居眠り等が発生しやすい時期に「入浴者に体動がない」ことを発見しやすく、より確実に浴室における事故を防止することができる。
このため、本実施形態においては、入浴者が浴槽本体2内に入った後、300[Sec]経過するまでは判定時間τを180[Sec]に設定し、300[Sec]以降は判定時間τを60[Sec]に変更している。なお、判定時間τは、固定値として設定することもできる。また、低周波信号の周期は入浴者の体動の周期に影響を受ける。このため、変形例として、電位波形信号に基づいて判定時間τを変更するように本発明を構成することもできる。例えば、入浴者の通常の入浴における電位波形信号を学習し、通常の入浴における入浴時間や、どのような周期で体動を行っているかを記録し、それらに基づいて判定時間τを変更することができる。このように、電位波形信号に基づいて判定時間τを変更することにより、入浴者の体動の周期に基づく誤判定を抑制することができる。
本発明の実施形態の浴槽装置1によれば、浴槽本体2に貯留された湯水を介して電位波形信号が取得され、取得された電位波形信号のうち、入浴者の心電信号の成分をフィルタ回路36aにより減衰させ、低周波信号が取り出される。さらに、取り出された低周波信号に基づいて、判定回路36bにより入浴者の体動の有無が判定されるので、浴槽本体2に貯留された湯水の中での、入浴者の緩やかな体動の有無を判定することができ、入浴者の状態を正確に検出することができる。
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、報知装置であるリモコン6aにより、入浴者に体動がないことを浴室R内で報知するので、軽度の居眠りをしてしまった入浴者を自力で覚醒させることができる。また、入浴者に体動がないことを浴室R外の表示装置(図示せず)で報知することにより、入浴者が意識消失した場合に、浴室R外の者に安否確認を促すことができ、浴槽での溺没を予防することが可能となる。
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、判定回路36bは、低周波信号が、所定の判定時間τ内に、所定の判定基準閾値Bを超えていない場合において、入浴者に体動がないと判定するので、リラックスしている状態と、居眠りしている状態を効果的に識別することができる。
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、入浴者の体動の有無を判定するための判定基準が変更されるため、様々な条件において正確に入浴者の体動の有無を判定することができる。
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、判定回路36bは、電位波形信号に基づいて、判定基準閾値Bを変更するので、全体的に電位波形信号の振幅が変化した場合でも正確に入浴者の体動の有無を判定することができる。
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、判定基準閾値Bを、低周波信号に基づいて減少方向に更新するので、判定基準閾値Bを、入浴者に体動がない状態における低周波信号の振幅に漸近的に対応させることができる。
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、入浴者が浴槽本体2の中に入った後の経過時間に基づいて、判定時間τが変更されるので、行動パターンに応じて入浴者の体動の有無を適切に判定することができる。
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、入浴者の体動の有無を判定することが困難である場合には、報知装置であるリモコン6a等により、浴室R内及び/又は浴室R外に、その旨が報知される。このため、浴室R内でその旨を報知することにより、入浴者に入浴位置の変更を促す等、注意を喚起することができ、浴室R外でその旨を報知することにより、浴室R外の者に入浴者の状態に気を配るよう注意喚起することができる。
また、本実施形態の浴槽装置1は、入浴者の体動の有無を適切に判定するために、電極が、浴槽本体内に貯留された湯水を介して、入浴者の心電信号を取得し、心電信号の成分を減衰させ、電位波形信号から低周波信号を取り出すフィルタ回路と、低周波信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定する判定回路を備えているが、取得した入浴者の心電信号を利用して、体動の有無を判定する手段以外を備えていても良く、心電信号から心拍を検知する手段や、心電信号の変化に基づいて入浴者の体温が上昇または低下したか否かを判定する体温判別手段等を備えていても良い。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
1 浴槽装置
2 浴槽本体
2a 背もたれ面
4a 負電極
4b 正電極
4c 基準電極
6 信号処理装置
6a リモコン(報知装置)
6b 筐体
10 電極部
10a 円板部
10b 軸部
12a 前面パッキン
12b 背面パッキン
14 フランジ
16 防湿チューブ
18 接続端子
20 固定ネジ
22 導線
24 シース
26 差動増幅回路
28 前置フィルタ
30 増幅回路
32 A/Dコンバータ
34 インターフェイス回路
36a フィルタ回路
36b 判定回路
36c 表示部
36d スピーカ

Claims (9)

  1. 入浴者の状態を検出する機能を備えた浴槽装置であって、
    浴槽本体と、
    この浴槽本体内に貯留された湯水を介して電位波形信号を取得するために上記浴槽本体に貯留された湯水の水面よりも下側に位置するように配置された一組の電極と、
    この電極によって取得された電位波形信号に含まれる入浴者の心電信号の成分を減衰させるフィルタ回路と、
    上記フィルタ回路を通過した後の信号に基づいて、入浴者の体動の有無を判定する判定回路と、
    を有することを特徴とする浴槽装置。
  2. さらに、報知装置を有し、この報知装置は、上記判定回路によって判定された入浴者の体動の有無を、上記浴槽本体が設置された浴室内、及び/又は上記浴室外に報知する請求項1記載の浴槽装置。
  3. 上記判定回路は、上記フィルタ回路を通過した後の信号が、所定の判定時間内に、所定の判定基準閾値を超えていない場合において、入浴者に体動がないと判定する請求項1又は2に記載の浴槽装置。
  4. 上記判定回路は、入浴者の体動の有無を判定するための上記判定基準閾値又は上記判定時間を、所定の条件に基づいて変更する請求項3記載の浴槽装置。
  5. 上記判定回路は、上記電位波形信号に基づいて、上記判定基準閾値を変更する請求項4記載の浴槽装置。
  6. 上記判定回路は、上記フィルタ回路を通過した後の信号に基づいて、上記判定基準閾値を減少方向に逐次更新する請求項5記載の浴槽装置。
  7. 上記判定回路は、上記電位波形信号に基づいて、上記判定時間を変更する請求項4乃至6の何れか1項に記載の浴槽装置。
  8. 上記判定回路は、入浴者が上記浴槽本体の中に入った後の経過時間に基づいて、上記判定時間を変更する請求項4乃至7の何れか1項に記載の浴槽装置。
  9. 上記報知装置は、上記電位波形信号に基づいて入浴者の体動の有無を判定することが困難であると上記判定回路によって判断された場合には、上記浴室内及び/又は上記浴室外に、その旨を報知する請求項2記載の浴槽装置。
JP2020203343A 2020-12-08 2020-12-08 浴槽装置 Active JP7620840B2 (ja)

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