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JP7621222B2 - 導電性高分子含有液及び導電性積層体 - Google Patents
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JP7621222B2 - 導電性高分子含有液及び導電性積層体 - Google Patents

導電性高分子含有液及び導電性積層体 Download PDF

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含む導電性高分子含有液及び導電性積層体に関する。
主鎖がπ共役系で構成されているπ共役系導電性高分子は、アニオン基を有するポリアニオンがドープすることによって導電性複合体を形成し、水に対する分散性が生じる。導電性複合体を含有する導電性高分子含有液(導電性高分子分散液ということもある。)をフィルム基材等に塗工することにより、導電層を備えた導電性フィルムを製造することができる。また、導電性高分子含有液のフィルム基材に対する濡れ性を高めたり、形成する導電層の導電性を高めたりする目的で、導電性複合体にエポキシ化合物を反応させることがある。さらに、導電性複合体を含む導電層の大気中での経時的な導電性が低下することを抑制する技術として、例えば特許文献1には、特定の化学式で表される芳香族化合物を導電層に含有させる方法が開示されている。
特開2020-143202号公報
本発明は、大気暴露耐性が向上した導電層を備えた導電性積層体と、その導電層を形成可能な導電性高分子含有液を提供する。
[1] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、有機溶剤と、1種以上のアクリルモノマーと、前記アクリルモノマー以外のウレタンアクリレートとを含有する導電性高分子含有液であり、前記ポリアニオンが、前記ポリアニオンの一部のアニオン基と、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている、導電性高分子含有液。
[2] さらに光重合開始剤を含有する、[1]に記載の導電性高分子含有液。
[3] さらにシリカ化合物を含有する、[1]又は[2]に記載の導電性高分子含有液。
[4] 前記有機溶剤が、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[5] 前記アクリルモノマーが、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、及びN-アクロイルモルフォリンから選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[6] 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、又は、前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸を含む、[1]~[5]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[7] 前記第四級アンモニウム化合物が、炭素数4~32の炭化水素基を少なくとも1つ有する、[1]~[6]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[8] 前記第四級アンモニウム化合物が、テトラオクチルアンモニウムを含む、[1]~[7]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[9] 基材の少なくとも一部に、[1]~[8]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液の硬化物からなる導電層を備えた、導電性積層体。
[10] 前記導電性積層体を25℃環境下に静置し、10日間大気暴露させる大気暴露実験の前後で、前記導電性積層体が有する前記導電層の表面抵抗率の増加が10倍以下に抑制されている、[9]に記載の導電性積層体。
本発明の導電性高分子含有液によれば、大気暴露耐性に優れた導電層を形成することができる。本発明の導電性積層体は大気暴露耐性に優れた導電層を備える。
本発明はSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に資すると考えられる。
本明細書及び特許請求の範囲において、「~」で示す数値範囲の下限値及び上限値はその数値範囲に含まれるものとする。
≪導電性高分子含有液≫
本発明の第一態様は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、有機溶剤と、1種以上のアクリルモノマーと、ウレタンアクリレートとを含有する導電性高分子含有液である。
前記ポリアニオンは、前記ポリアニオンの一部のアニオン基と、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されており、イソプロピルアルコールに対する分散性が特に向上している。
本態様の導電性高分子含有液において、導電性複合体は、分散状態であってもよいし、溶解状態であってもよい。本明細書において、特に明記しない限り、分散状態と溶解状態とを区別せず、単に分散状態ということがある。
[導電性複合体]
本態様の導電性高分子含有液に含まれる導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
ポリアニオンにおいては、一部のアニオン基のみがπ共役系導電性高分子にドープしており、ドープに関与しない余剰のアニオン基を有している。余剰のアニオン基は親水基であるため、この余剰のアニオン基が修飾されていない導電性複合体は水分散性を有する。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-エチルチオフェン)、ポリ(3-プロピルチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3-クロロチオフェン)、ポリ(3-ヨードチオフェン)、ポリ(3-シアノチオフェン)、ポリ(3-フェニルチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-メトキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-エトキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-エチルピロール)、ポリ(3-n-プロピルピロール)、ポリ(3-ブチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリ(3-エトキシピロール)、ポリ(3-ブトキシピロール)、ポリ(3-ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性に優れることから、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4-スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下が好ましく、10万以上50万以下がより好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィを用いて測定し、プルラン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
ポリアニオンが有する全てのアニオン基の個数を100モル%としたとき、余剰のアニオン基は、30モル%以上90モル%以下が好ましく、45モル%以上75モル%以下がより好ましい。
本発明のポリアニオンは、ポリアニオンが有するドープに関与しない余剰のアニオン基(以下、「一部のアニオン基」ともいう)と、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されている。すなわち、本発明のポリアニオンは、第四級アンモニウム化合物と一部のアニオン基との反応によって形成された置換基(C)を有する。
(置換基C)
置換基(C)は下記式(C)で表される基であると推測される。
-N11121314 ・・・(C)
[式(C)中、R11~R14はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基である。]
置換基(C)において、左端の結合手は、アニオン基の負電荷と、第四級アンモニウムカチオンの正電荷とが結合していることを表す。負に荷電し得るアニオン基として、例えば「-SO 」のように、酸素原子に活性なプロトンが結合したアニオン基が挙げられる。
化学式(C)におけるR11~R14は置換基を有していてもよい炭化水素基である。化学式(C)におけるR11~R14は第四級アンモニウム化合物に由来する置換基である。
化学式(C)における炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数1~32の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基の置換基としては、フェニル基、水酸基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、水酸基等が挙げられる。
有機溶剤への分散性が高くなり、導電性が向上することから、第四級アンモニウム化合物は、窒素原子上に炭素数が3以上の置換基を有することが好ましく、5以上の置換基を有することがより好ましく、窒素原子上に炭素数が7以上の置換基を有することがさらに好ましい。この窒素原子上の各置換基の炭素数の上限値は特に制限されず、溶剤への溶解性や反応性を考慮して、例えば、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
また、第四級アンモニウム化合物が有する前記R11~R14の合計の炭素数は、8~44が好ましく、12~40がより好ましく、16~36がさらに好ましい。
前記窒素原子上の各置換基の炭素数の数は同じでも良いし、異なっていてもよい。
また、有機溶剤への分散性が高くなり、導電性が向上することから、第四級アンモニウム化合物は、炭素数4~32の炭化水素基を少なくとも1つ有することが好ましい。
第四級アンモニウム化合物はテトラアルキルアンモニウムハライドであることが好ましい。ポリアニオンに対する反応性が高く、反応生成物が水系分散媒に溶解し難くなり容易に析出するからである。カウンターアニオンのハロゲンイオンとしては、臭素イオン、塩素イオンが好ましく、臭素イオンがより好ましい。
第四級アンモニウム化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラ-n-オクチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
アンモニウムカチオンのカウンターアニオンとしては、例えば、臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオンやヒドロキシイオンが挙げられる。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下がより好ましく、100質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、ドープに関与しないアニオン基の量が適度に抑えられ、アニオン基に第四級アンモニウム化合物を反応させる際に疎水性に容易に変換できる。
導電性高分子含有液の総質量に対する、前記導電性複合体の含有量は、例えば、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.6質量%以下がさらに好ましい。上記の好適な範囲であると、導電性複合体の分散安定性が向上する。
[アクリルモノマー]
本態様のアクリルモノマーは、(メタ)アクリル基(別称:(メタ)アクリロイル基)を有する公知の重合性化合物である。ここで、「(メタ)アクリル」の表記は「アクリル又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」の表記は「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。(メタ)アクリル基は、(メタ)アクリルオキシ基を含む。なお、本態様のアクリルモノマーは、ウレタンアクリレート以外の重合性アクリル化合物である。
アクリルモノマーの分子量は、導電性高分子含有液における分散性を高め、導電性高分子含有液の硬化時における反応性を高める観点から、1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。アクリルモノマーの分子量の下限値は特に制限されず、通常は100以上である。
アクリルモノマーが分子中に有する(メタ)アクリル基の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。導電性高分子含有液が硬化した際の硬度を高める観点から、上記数は2以上が好ましく、3以上がより好ましい。上記数の上限値は特に制限されず、市販品の入手の容易さから、6以下が好ましく、5以下がより好ましい。
アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート(別称:(メタ)アクリル酸エステル)、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本態様の導電性高分子含有液からなる導電層の大気暴露耐性を高める観点から、導電性高分子含有液には(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドの両方が含まれることが好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、炭素数1~12の直鎖、分岐鎖又は環状の1価の炭化水素基(例えばアルキル基)を、エステル基の末端に有する(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで、1価の炭化水素基に結合する1つ以上の水素原子を、別の(メタ)アクリル基が置換していてもよい。(メタ)アクリレートが2つ以上の(メタ)アクリル基を有している場合、任意に1つの(メタ)アクリル基を選択し、残りの(メタ)アクリル基が水素原子であると仮定して、選択した(メタ)アクリル基にエステル結合する1価の炭化水素基の炭素数を数える。
前記(メタ)アクリレートの1価の炭化水素基を構成する1つ以上の水素原子(-H)は、水酸基に置換されていてもよい。
前記(メタ)アクリレートの1価の炭化水素基を構成する1つ以上のメチレン基(-CH-)は、酸素原子同士が結合しない限り、酸素原子に置換されていてもよい。
アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
メタクリレートとしては、例えば、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メタクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
これらの中でも、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより向上させる観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、及びN-アクロイルモルフォリンから選択される少なくとも1種が特に好ましい。
本態様の導電性高分子含有液の総質量に対する1種以上のアクリルモノマーの合計の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上45質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
本態様の導電性高分子含有液に含まれるアクリルモノマーの合計の含有量は、導電性複合体1質量部に対して、100質量部以上1000質量部以下が好ましく、125質量部以上700質量部以下がより好ましく、150質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
[ウレタンアクリレート]
本態様のウレタンアクリレートは、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基と、少なくとも1個のウレタン基とを有する化合物である。2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレートは、多官能ウレタンアクリレートと総称される。
導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高める観点から、ウレタンアクリレートが分子内に有する(メタ)アクリロイル基の数(官能基数)は、2個以上が好ましく、6個以上がより好ましく、8個以上がさらに好ましく、10個以上が特に好ましい。この個数の上限値の目安としては20個以下が挙げられる。
ウレタンアクリレートは、例えば、1種以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートと、1種以上の多価イソシアネートとを反応させてなるもの、1種以上のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと、1種以上のポリオールとを反応させてなるもの、1種以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートと、1種以上の多価イソシアネートと、1種以上のポリオールとを反応させてなるもの等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多価イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート;水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物として得られるポリエステル系ポリオール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
ウレタンアクリレートの質量平均分子量は、1000以上10万以下が好ましく、2000以上5万以下がより好ましく、3000以上1万以下がさらに好ましい。ここで、ウレタンアクリレートの質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬化度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液におけるウレタンアクリレートの分散性が向上し、導電性高分子含有液の硬化時における反応性が高められ、形成される導電層の硬化度と大気暴露耐性をより高めることができる。
本態様の導電性高分子含有液の総質量に対するウレタンアクリレートの含有量は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
本態様の導電性高分子含有液に含まれるウレタンアクリレートの含有量は、導電性複合体1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が好ましく、10質量部以上500質量部以下がより好ましく、10質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
[シリカ化合物]
本態様の導電性高分子含有液は1種又は2種以上のシリカ化合物を含むことが好ましい。シリカ化合物を含むことにより、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
一般にシリカ化合物は、酸化ケイ素を含む化合物である。本態様のシリカ化合物は、分散媒中でコロイドを形成可能な程度に粒子化されたコロイド状シリカであることが好ましい。
シリカ化合物の表面にシラノール基が存在する場合、有機溶剤に対する分散性が低下することがある。本態様の導電性高分子含有液において有機溶剤に対する分散性を向上させる観点から、シリカ化合物のシラノール基のうち少なくとも一部が化学修飾により疎水化されていることが好ましい。このように表面処理が施されたシリカ化合物は、一般にオルガノシリカと総称されることがある。オルガノシリカとしては、例えば、コロイド状シリカをジシロキサン化合物および/またはモノアルコキシシラン化合物でシリル化することによって得られたものが挙げられる。
オルガノシリカは、前述のアクリルモノマー及びウレタンアクリレートが有する(メタ)アクリロイル基とラジカル重合反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。導電性高分子含有液が硬化する際に、シリカ化合物がアクリルモノマー及びウレタンアクリレートと一体化し、硬度と大気暴露耐性をより一層向上させることができる。
このような反応性官能基を有するオルガノシリカの市販品としては、日産化学社製のオルガノシリカゾルの表面改質グレードや、大成ファインケミカル社製のSTA-SiA TAZシリーズ等が挙げられる。
本態様の導電性高分子含有液の総質量に対するシリカ化合物の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上6質量%以下がより好ましく、0.4質量%以上4質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
本態様の導電性高分子含有液に含まれるシリカ化合物の含有量は、導電性複合体1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が好ましく、2質量部以上500質量部以下がより好ましく、3質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子含有液からなる導電層の硬度と大気暴露耐性をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子含有液からなる導電層の導電性の低下を抑制できる。
(共重合可能な重合性化合物)
本態様の導電性高分子含有液には、本発明の効果を損なわない限り、アクリルモノマーと共重合可能な別の重合性化合物が含まれていてもよい。アクリルモノマーと共重合可能なことが知られている公知の重合性化合物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物及びその誘導体、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びそれらの誘導体、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。
本態様の導電性高分子含有液に上記の重合性化合物が含まれる場合、その含有量は、例えば、アクリルモノマー100質量部に対して、例えば、0.1~10質量部とすることができる。
[重合開始剤]
本態様の導電性高分子含有液は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられる。なかでも、反応制御が容易であることから光重合開始剤が好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等の公知のものが挙げられる。
具体的なベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン[商品名:イルガキュア651、BASF社製]、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名:Omnirad184、IGM Resins社製]、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン[商品名:イルガキュア2959、BASF社製]、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン[商品名:ダロキュア1173、BASF社製]、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、公知のアゾ系開始剤、過硫酸塩、過酸化物系開始剤等が挙げられる。
[分散媒]
本態様の導電性高分子含有液に含まれる有機溶剤は、第四級アンモニウム化合物との反応によって疎水化された導電性複合体を分散する分散媒である。
前記有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
窒素原子含有化合物系溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
上記の中でも、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される1種以上が好ましい。
本態様の導電性高分子含有液における導電性複合体の分散安定性を高める観点から、有機溶剤はイソプロピルアルコールを含むことが特に好ましい。
導電性高分子含有液の総質量に対するイソプロピルアルコールの含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。イソプロピルアルコールの含有量の上限値としては、導電性複合体や他の成分を含有する余地を残して、例えば、90質量%以下が目安として挙げられる。上記の好適な範囲であると、導電性複合体の分散安定性が向上し、基材に対する濡れ性も優れる。
本態様の導電性高分子含有液は、少量の水を含んでいても構わない。
導電性高分子含有液の総質量に対する水の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。水の含有量が少ないと、導電性複合体の分散安定性が向上し、基材に対する濡れ性も優れる。
(その他の添加剤)
本態様の導電性高分子含有液には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本態様の導電性高分子含有液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体の100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
≪導電性高分子含有液の製造方法≫
本発明の第一態様の導電性高分子含有液は、第四級アンモニウム化合物と反応させて疎水化した導電性複合体と、アクリルモノマーと、ウレタンアクリレートと、有機溶剤と、必要に応じてシリカ化合物、重合開始剤、その他の添加剤とを常法にて混合することにより得られる。
導電性複合体と第四級アンモニウム化合物とを反応させる方法としては、次の方法が好ましい。すなわち、第四級アンモニウム化合物を含む有機溶液(反応液)に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する導電性高分子水系分散液を滴下し、前記ポリアニオンの一部のアニオン基と前記第四級アンモニウム化合物とを反応させ、反応生成物を析出させる反応析出工程と、前記反応生成物を回収する回収工程と、回収した前記反応生成物を、有機溶剤に分散させて導電性高分子の有機溶剤溶液を得る調製工程とを順に行う方法が好ましい。
前記回収工程と調製工程との間に洗浄工程をさらに有してもよい。
[反応析出工程]
本工程は、導電性高分子水系分散液を第四級アンモニウム化合物が含まれる有機溶液(反応液)に加えることにより、導電性複合体と前記第四級アンモニウム化合物との反応生成物を反応液中に析出させる工程である。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を加えると、第四級アンモニウム化合物が、導電性複合体のポリアニオンの一部のアニオン基と安定に反応する。これにより前述の置換基(C)が形成されて導電性複合体が疎水性になり、イソプロピルアルコールに対する分散安定性が向上した状態になり、反応液中での安定的な分散が困難になり、析出して析出物となる。
前記反応液に含まれる有機溶剤は1種でもよく、2種以上でもよい。
前記有機溶剤としては、既に例示した有機溶剤を適用でき、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
前記反応液中の第四級アンモニウム化合物の含有量としては、加える導電性複合体の総質量100質量部に対して、10質量部以上5000質量部以下が好ましく、100質量部以上1000質量部以下がより好ましく、150質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性複合体と第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まり、反応生成物を容易に得られる。
上記範囲の上限値以下であると、未反応の第四級アンモニウム化合物が混入することによる導電性複合体の導電性低下を防止できる。
導電性高分子水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。
ここで、水系分散媒は、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合液である。水溶性有機溶剤は水100g(20℃)に対して1g以上溶解するものをいう。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水系分散媒に含まれる水溶性有機溶剤は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
水系分散媒の総質量に対する水の含有量は、50質量%超が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。水の含有量が多いと、導電性複合体の分散性が高まり、ひいては第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まる。さらに反応生成物が反応液中に析出し易くなる。
導電性高分子水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水系分散液は市販のものを使用してもよい。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。
導電性高分子水系分散液の総質量に対する、π共役系導電性高分子及びポリアニオンの含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
上記好適な範囲であると、導電性複合体の分散性が高まり、第四級アンモニウム化合物との反応効率が高まる。
前記反応液の体積V1に対する、加える導電性高分子水系分散液の体積V2の体積比(V1/V2)は、0.3~3.0が好ましく、0.5~2.5がより好ましく、0.8~2.0がさらに好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を加える方法は特に制限されず、所望量を一気に数秒で加えてもよいし、ゆっくりと滴下してもよい。粒度が小さい導電性複合体を得て、導電性を高める観点から、ゆっくりと滴下する方法が好ましい。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を滴下する速度としては、一定の量を滴下し続けるとして、滴下開始から滴下終了まで、1分~3時間が好ましく、10分~2時間がより好ましい。滴下中、前記反応液を穏やかに撹拌することが好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子水系分散液を滴下する分量としては、0.1~100ml/分が好ましく、1~10ml/分がより好ましい。滴下中、前記反応液を穏やかに撹拌することが好ましい。
上記好適な範囲であると、反応が安定に進み、反応生成物が容易に析出する。
前記反応液に導電性高分子分散液を加えて穏やかに撹拌すると、数分~数時間のうちに、反応生成物が析出する。反応の終了は反応生成物の析出の終了を目視で観測して確認することができる。
前記反応液の温度は特に制限されず、例えば、5~40℃とすればよい。
[回収工程]
本工程は、前記反応生成物を析出物として回収する工程である。
回収方法は特に制限されず、例えば、デカンテーションやろ過処理によって回収することができる。
回収した反応生成物(析出物)の水分量はできるだけ少ないことが好ましく、水分を全く含まないことが最も好ましいが、実用の観点からは、水分を10質量%以下の範囲で含んでもよい。
水分量を少なくする方法としては、例えば、有機溶剤で析出物を洗い流す方法、析出物を乾燥する方法等が挙げられる。
[洗浄工程]
回収工程と調製工程との間に洗浄工程を加えることが好ましい。洗浄工程は、洗浄用有機溶剤で前記析出物を洗浄する工程である。この洗浄工程によって、残留する水、未反応の第四級アンモニウム化合物、導電性高分子水系分散液に含まれていた不純物等を除去することができる。
洗浄用有機溶剤は、析出物の溶解を最低限に抑えつつ洗浄可能なものが好ましい。このため、洗浄用有機溶剤としては、イソプロピルアルコール以外のアルコール系溶剤が好ましい。洗浄用有機溶剤に含まれる有機溶剤は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
洗浄方法としては特に制限はなく、例えば、析出物の上から洗浄用有機溶剤をかけ流して析出物を洗浄してもよいし、洗浄用有機溶剤中で析出物を攪拌して析出物を洗浄してもよい。
[調製工程]
本工程は、前記析出物に有機溶剤を添加して、導電性高分子含有液を得る工程である。
本工程の有機溶剤としては、第一態様の導電性高分子含有液に含まれる有機溶剤を適用することが好ましい。導電性複合体が第四級アンモニウム化合物によって修飾されているので、導電性複合体を充分に分散させるためにイソプロピルアルコールを用いることが好ましい。また、イソプロピルアルコールに加えて、任意に添加する有機溶剤、例えばイソプロピルアルコール以外のアルコール系溶剤から選択される1種類以上を加えてもよい。
前記有機溶剤に含まれる各溶剤の含有量は、第一態様で例示した好ましい範囲であることが好ましい。
析出物に有機溶剤を添加して得た導電性複合体の有機溶剤溶液を、攪拌して分散処理を施すことが好ましい。攪拌の方法は特に制限されず、スターラー等の剪断力が弱い攪拌であってもよいし、高剪断力の分散機(ホモジナイザ等)を用いて攪拌してもよい。
高圧ホモジナイザーで分散する上記の有機溶剤溶液の総質量に対する、導電性複合体の含有量は、例えば、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の濃度であると、導電性複合体の分散性を充分に高めることができる。
≪導電性積層体≫
本発明の第二態様は、基材と、前記基材の少なくとも一つの面に形成された、第一態様の導電性高分子含有液の硬化物からなる導電層を備えた、導電性積層体である。
[導電層]
基材の少なくとも一つの面に備えられた前記導電層の平均厚みとしては、例えば、10nm以上100μm以下であることが好ましく、20nm以上50μm以下であることがより好ましく、30nm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層の基材に対する密着性がより向上する。
本態様の導電性積層体が備える導電層は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有する。さらに、アクリルモノマー及びウレタンアクリレートの硬化物を含有する。
[基材]
本態様の導電性積層体を構成する基材は、絶縁性材料からなる基材であってもよいし、導電性材料からなる基材であってもよい。基材の形状は特に制限されず、例えば、フィルム、基板等の平面を主体とする形状が挙げられる。
絶縁性材料としては、ガラス、合成樹脂、セラミックス等が挙げられる。
導電性材料としては、金属、導電性金属酸化物、カーボン等が挙げられる。
(フィルム基材)
前記基材としてフィルム基材を用いると、導電性積層体は導電性フィルムとなる。
前記フィルム基材としては、例えば、合成樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。前記合成樹脂としては、例えば、エチレン-メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
フィルム基材と導電層との密着性を高める観点から、フィルム基材用の合成樹脂はバインダ樹脂と同種の樹脂であることが好ましく、なかでも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が好ましい。
フィルム基材用の合成樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
フィルム基材には、導電性高分子含有液から形成される導電層の接着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
フィルム基材の平均厚みは、5μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
フィルム基材の平均厚みは、無作為に選択される10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
(ガラス基材)
ガラス基材としては、例えば、無アルカリガラス基材、ソーダ石灰ガラス基材、ホウケイ酸ガラス基材、石英ガラス基材等が挙げられる。基材にアルカリ成分が含まれると、導電層の導電性が低下する傾向にあるため、前記ガラス基材のなかでも、無アルカリガラスが好ましい。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分の含有量がガラス組成物の総質量に対し、0.1質量%以下のガラス組成物のことである。
ガラス基材の平均厚みとしては、100μm以上3000μm以下であることが好ましく、100μm以上1000μm以下であることがより好ましい。ガラス基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破損しにくくなり、前記上限値以下であれば、導電性積層体の薄型化に寄与できる。
ガラス基材の平均厚みは、無作為に選択される10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
本態様の導電性積層体が有する導電層は大気暴露耐性に優れる。具体的には、導電性積層体を25℃環境下に静置し、10日間(240時間)大気暴露させる大気暴露実験の前後で、前記導電層の表面抵抗率の増加が、好ましくは10倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下に抑制されていることが望ましい。
ここで、前記増加は、大気暴露実験後の表面抵抗率R1を大気暴露実験前の表面抵抗率R0で除した比(R1/R0)で表される。
≪導電性積層体の製造方法≫
本発明の第二態様の導電性積層体は、次の方法により得られる。すなわち、基材の少なくとも一つの面に、第一態様の導電性高分子含有液を塗工することを含む方法である。
第一態様の導電性高分子含有液を基材の任意の面に塗工(塗布)する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性高分子含有液の基材への塗布量は特に制限されないが、均一にムラなく塗工することと、導電性と膜強度を勘案して、固形分として、0.01g/m以上10.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
基材上に塗工した導電性高分子含有液からなる塗膜を乾燥させて、分散媒を除去し、さらにアクリルモノマー及びウレタンアクリレートを重合させる処理を施すことにより、前記塗膜が硬化してなる導電層(導電膜)が形成された導電性積層体を得ることができる。
塗膜を乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。上記加熱温度の範囲における好適な乾燥時間としては、1分以上30分以下が好ましく、1分以上10分以下がより好ましい。
前記塗膜に含まれるアクリルモノマー及びウレタンアクリレートを重合させる方法としては、ラジカル重合が容易かつ確実であるため好ましい。ラジカル重合を適用する場合には、予め重合開始剤を導電性高分子含有液に添加しておくことが好ましい。重合開始剤の種類に応じて、加熱や光(活性エネルギー線)を照射することにより重合させることができる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で撹拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間撹拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)π共役系導電性高分子とポリアニオンを含む導電性高分子分散液の合成
14.2gの3,4-エチレンジオキシチオフェンと36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次いで、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT-PSS)水分散液を得た。なお、PEDOT-PSSにおけるPSSの含有量は75質量%であった。
(製造例3)第四級アンモニウム塩との反応
テトラオクチルアンモニウムブロミド2.4gをエタノール200gに溶解させた有機層(有機溶液)に、製造例2で調製したPEDOT-PSS水分散液100gを滴下して加えて30分撹拌した。この結果、テトラオクチルアンモニウムブロミドと導電性複合体の反応生成物が析出した。この析出物をろ取し、イソプロピルアルコール100gを加えて析出物を軽く懸濁しながら30分撹拌後、再度析出物をろ取し、洗浄した。これにより、前述の置換基(C)を有する導電性複合体1.1gを得た。
次に、上記で得た導電性複合体1.1gと、イソプロピルアルコール274gを混合し、高圧ホモジナイザーで分散することにより、導電性複合体のイソプロピルアルコール溶液を得た。
(製造例4)アミン化合物との反応
トリオクチルアミン5gをエタノール200gに溶解させた有機層に、製造例2で調製したPEDOT-PSS水分散液100gを滴下して加えて30分撹拌した。この結果、トリオクチルアミンと導電性複合体の反応生成物が析出した。この析出物をろ取し、製造例3と同様に洗浄操作を行い、トリオクチルアミンと反応した導電性複合体1.1gを得た。
次に、上記で得た導電性複合体1.1gと、イソプロピルアルコール274gを混合し、高圧ホモジナイザーで分散することにより、導電性複合体のイソプロピルアルコール溶液を得た。
(実施例1)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製、製品名:ライトアクリレートPE-3A)16gと、ウレタンアクリレート(根上工業社製、製品名:アートレジン904M、不揮発分濃度80質量%、10官能)2.8gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル5gをイソプロピルアルコール50gに加えて30分撹拌した。その後、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins社製、製品名:Omnirad 184)1.6gを加えて30分撹拌し、製造例3で得た導電性複合体のイソプロピルアルコール溶液25gを加えて30分撹拌することで、目的の導電性高分子含有液を得た。
得られた導電性高分子含有液をバーコーターNo.8でポリエステルフィルム(東レ社製、コスモシャインA4300)に塗布し、塗膜(導電層)を100℃で1分乾燥させた。次いで、紫外線照射機で塗膜に紫外線照射を行うことで塗膜を硬化させて、導電性ハードコートフィルム(導電性フィルム)を得た。この導電性フィルムの表面抵抗率R0を測定した結果を表1に示す。
次に、この導電性フィルムを25℃環境下に静置し、10日間大気暴露させた。この大気暴露後の導電性フィルムの表面抵抗率R1を測定した結果と、R1/R0の比で表される変化量を表1に示す。この変化量の数値(常用対数:x)は、0に近いほど変化が少なく、大気暴露耐性が優れることを意味する。
(実施例2)
実施例1のウレタンアクリレート2.8gを、アクリット8UX-122A(大成ファインケミカル社製、不揮発分濃度99.9質量%)2.3gに変更した以外は実施例1と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例3)
導電性高分子含有液に2-ヒドロキシエチルアクリルアミド15gをさらに添加した以外は、実施例1と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例4)
2-ヒドロキシエチルアクリルアミド15gをN,N-ジメチルアクリルアミド15gに変更した以外は、実施例3と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例5)
2-ヒドロキシエチルアクリルアミド15gをN,N-ジエチルアクリルアミド15gに変更した以外は、実施例3と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例6)
2-ヒドロキシエチルアクリルアミド15gをN-アクロイルモルフォリン15gに変更した以外は、実施例3と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例7)
導電性高分子含有液にオルガノシリカ化合物(日産化学社製、MEK-AC-2140Y、不揮発分濃度:40質量%、メチルエチルケトン分散型)3gをさらに添加した以外は、実施例1と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例8)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製、製品名:ライトアクリレートPE-3A)16gと、STA-SiA TAZ-136(大成ファインケミカル社製、不揮発分濃度40質量%のうち、ウレタンアクリレート:15質量%、オルガノシリカ化合物:25質量%)8.6gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル5gをイソプロパノール43.8gに加えて30分撹拌した。その後、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins社製、製品名:Omnirad 184)1.6gを加えて30分撹拌した後、製造例3で得られた導電性複合体のイソプロピルアルコール溶液25gを加えて30分撹拌することで、目的の導電性高分子含有液を得た。
得られた導電性高分子含有液をバーコーターNo.8でポリエステルフィルム(東レ社製、コスモシャインA4300)に塗布し、塗膜(導電層)を100℃で1分乾燥させた。次いで、紫外線照射機で塗膜に紫外線照射を行うことで塗膜を硬化させて導電性ハードコートフィルム(導電性フィルム)を得た。この導電性フィルムについて実施例1と同様にして、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(実施例9)
導電性高分子含有液にN,N-ジメチルアクリルアミド15gをさらに添加した以外は、実施例8と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(比較例1)
導電性高分子含有液にアートレジン904Mを含有させない以外は、実施例1と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
(比較例2)
製造例4で得た導電性複合体のイソプロピルアルコール溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ハードコートフィルムを得て、表面抵抗率R0及びR1を測定した。
[表面抵抗率の測定]
各例で作製した導電性フィルムについて、導電層の表面抵抗率を、抵抗率計(日東精工アナリテック株式会社製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
Figure 0007621222000001
本発明に係る各実施例の導電性高分子含有液にあっては、導電性複合体とアクリルモノマー及びウレタンアクリレートとを含み、かつ、導電性複合体が有するポリアニオンのドープに関与しない余剰のアニオン基が第四級アンモニウム化合物と反応して修飾されている。この導電性高分子含有液を用いて形成した導電層の表面抵抗率は、大気暴露後においても充分に低く維持され、大気暴露耐性に優れていた。
実施例1~2と、実施例3~6との比較から、アクリルモノマーを1種のみ含む場合よりも2種以上含む方が、大気暴露耐性が向上することが理解される。
また、実施例1~6と、実施例7~9との比較から、導電性高分子含有液がオルガノシリカ化合物を含有すると、大気暴露耐性が格段に優れることが明らかである。
比較例1では導電性高分子含有液にウレタンアクリレートが含まれないので、大気暴露耐性が劣っていた。
比較例2では導電性複合体を3級アミンと反応させたので、大気暴露耐性が劣っていた。

Claims (9)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、有機溶剤と、1種以上のアクリルモノマーと、前記アクリルモノマー以外のウレタンアクリレートとを含有する導電性高分子含有液であり、
    前記ポリアニオンが、前記ポリアニオンの一部のアニオン基と、第四級アンモニウム化合物との反応によって修飾されており、
    前記アクリルモノマーが、ペンタエリスリトールトリアクリレートを含み、
    前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含み、
    前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸を含む、導電性高分子含有液。
  2. さらに光重合開始剤を含有する、請求項1に記載の導電性高分子含有液。
  3. さらにシリカ化合物を含有する、請求項1又は2に記載の導電性高分子含有液。
  4. 前記有機溶剤が、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  5. 前記アクリルモノマーが、さらに、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、又はN-アクロイルモルフォリンを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  6. 前記第四級アンモニウム化合物が、炭素数4~32の炭化水素基を少なくとも1つ有する、請求項1~の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  7. 前記第四級アンモニウム化合物が、テトラオクチルアンモニウムを含む、請求項1~の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  8. 基材の少なくとも一部に、請求項1~の何れか一項に記載の導電性高分子含有液の硬化物からなる導電層を備えた、導電性積層体。
  9. 前記導電性積層体を25℃環境下に静置し、10日間大気暴露させる大気暴露実験の前後で、前記導電性積層体が有する前記導電層の表面抵抗率の増加が10倍以下に抑制されている、請求項に記載の導電性積層体。
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