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JP7622580B2 - 横すべり角算出装置 - Google Patents
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JP7622580B2 - 横すべり角算出装置 - Google Patents

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Description

本開示は、車両の横すべり角を算出するための横すべり角算出装置に関する。
車両が旋回するときには、横すべり角が発生する。ヨーレートでは車両の向いている方向しか検出できず、車両の進行方向を推定するためには、車両の横すべり角を推定する必要がある。
このため、例えば、非特許文献1には、衛星と受信機との相対速度であるGNSSドップラを用いて、横すべり角の推定に必要なパラメータを推定し、横すべり角を決定する手法が示されている。
「都市部環境下で適用可能なGNSS/IMUに関する研究」高野瀬碧輝、渥美善規、滝川叶夢、目黒淳一、自動車技術会論文集Vol.51,No.4,July 2020
しかしながら、非特許文献1に記載の手法では、GNSS信号を正常に受信することができない環境では、横すべり角の推定に必要なパラメータを推定できないという問題がある。
本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、GNSS信号の受信の有無に係わらず、横すべり角の推定に必要なパラメータを推定することが可能な横すべり角算出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る横すべり角算出装置は、
車両の横加速度(α)、車速(V)、及び回転角速度(ωyaw)を取り込み、取り込んだ横加速度(α)、車速(V)、及び回転角速度(ωyaw)に基づいて、車両の横すべり角推定値(βest)を算出する横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)と、
車速(V)と回転角速度(ωyaw)とを乗算した乗算結果(Vωyaw)を算出する乗算部(24)と、
横すべり角推定値算出部が算出する横すべり角推定値(βest)と、乗算部が算出する乗算結果(Vωyaw)とを近似させる係数であるパラメータ(K)を算出するパラメータ算出部(28)と、を備える。
車両の横すべり角は、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)とパラメータ算出部が算出したパラメータ(K)とによって算出することができる。
上記のように、本開示による横すべり角算出装置によれば、横すべり角の推定に必要なパラメータ(K)が、横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)が算出する横すべり角推定値(βest)と、乗算部(28)が算出する乗算結果(Vωyaw)とを近似させる係数として算出される。従って、GNSS信号の受信の有無に係わらず、横すべり角の推定に必要なパラメータ(K)を算出することが可能となる。
上記括弧内の参照番号は、本開示の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本開示の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
第1実施形態に係る横すべり角算出装置10の構成を示すブロック図である。 車両が交差点で右左折するために旋回したときの、横加速度αを車速Vで除算した進行角速度α/Vと、回転角速度ωyawの変化の一例を示す波形図である。 車両が交差点で右左折するために旋回したときの、オフセット誤差dβを除去した横すべり角微分値dβの変化の一例を示す波形図である。 車両が交差点で右左折するために旋回したときの、オフセット誤差dβを除去した横すべり角微分値dβを積分することにより算出される横すべり角推定値βestの変化の一例を示す波形図である。 図4に示す横すべり角推定値βestの波形と、車両パラメータK、車速V、及び回転角速度ωyawをそれぞれ乗じることによって算出された推定横すべり角βESTの波形と、横すべり角真値を示す波形とを重ねて示す波形図である。 横すべり角算出装置において、推定すべり角βESTを算出するための処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態における車両パラメータKの算出方法を示すフローチャートである。 (a)、(b)は、横すべり角推定値βestと、横すべり角微分値dβとの変化の時間的な関係を示す波形図である。 第2実施形態における車両パラメータKの算出方法を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る車両パラメータKの算出方法を実施するための構成を示すブロック図である。 変形例による構成を示すブロック図である。
以下、本開示による横すべり角算出装置の実施形態を図面を参照して詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る横すべり角算出装置10の構成を示すブロック図である。横すべり角算出装置10は、例えば、メモリ及びプロセッサを少なくとも1つずつ含むコンピュータによって構成することができる。メモリは、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納又は記憶する。メモリは、例えば、半導体メモリ、磁気媒体及び光学媒体等のうち少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)によって実現される。メモリは、図1にブロックとして示す横すべり角算出装置10が有する機能の内、少なくとも一部を実現するためのプログラムを格納している。
プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)CPU等のうち少なくとも一種類を、コアとして含む。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムに含まれる複数の命令を実行することで、図1にブロックとして示された横すべり角算出装置10の各機能を実現する。いくつかのブロックとして示される機能は、ハードウェア回路によって実現されても良い。
横すべり角算出装置10は、加速度センサ1、ジャイロセンサ2、車輪速センサ3、及びGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機4からの信号を取り込む。横すべり角算出装置10は、必要に応じて、上記のセンサ等に加えて、もしくは代わりに他のセンサ等からの信号を取り込むように構成しても良い。
加速度センサ1は、横すべり角算出装置10が搭載される車両の横方向(左右方向)に作用する横加速度αを検出する。ジャイロセンサ2は、当該車両の回転運動の速度(ヨーレート)ωyawを検出する。
加速度センサ1の検知軸は、地面に対して水平となるように車両に設置される。このため、車両が旋回中にロールして加速度センサ1の検知軸が水平方向から傾くと、加速度センサ1は、車両の運動によって車両の横方向に作用する加速度に加えて、重力加速度も検出することになる。そのため、横すべり角算出装置10は、重力成分除去ブロック12を有している。重力成分除去ブロック12は、加速度センサ1によって検出された横加速度αから、ジャイロセンサ2によって検出される回転角速度ωyawに基づいて、車両の水平方向からの傾きの大きさに応じた重力成分を除去する。これにより、横すべり角算出装置10は、精度の高い横加速度αを得ることができる。
車輪速センサ3は、例えば、外周に複数の歯が形成されたロータと電磁ピックアップとを有し、車両の車輪が回転する速度、すなわち、車両が走行する速度Vを検出する。なお、車輪速センサ3として、上述した形式のものに限らず、他の形式の車輪速センサを採用しても良い。GNSS受信機4は、複数の測位衛星からの信号に基づいて、車両の位置情報や速度情報を取得する。
横すべり角算出装置10は、車速補正ブロック18を有している。車速補正ブロック18は、車輪速センサ3によって検出される車速Vを、GNSS受信機4で取得した速度情報に基づいて補正する。例えば、車輪速センサ3によって検出される車速Vは、タイヤの空気圧やタイヤの摩耗度合などによる影響を受けて変動する可能性がある。このため、車速補正ブロック18は、GNSS受信機4において取得された正確な速度情報を用いて、車速Vを補正する補正係数を算出する。車速補正ブロック18は、この補正係数を用いて車輪速センサ3によって検出された車速Vを補正する。これにより、横すべり角算出装置10は、一旦、補正係数が算出されれば、GNSS受信機4による速度情報の取得の有無によらず、精度の高い車速Vを得ることができる。ただし、GNSS受信機4及び車速補正ブロック18は省略されても良い。
横すべり角算出装置10は、バンドパスフィルタブロック14、16を有する。バンドパスフィルタブロック14は、重力成分除去ブロック12から出力される横加速度αに対してバンドパスフィルタ処理を実行する。また、バンドパスフィルタブロック16は、ジャイロセンサ2によって検出される回転角速度ωyawに対してバンドパスフィルタ処理を実行する。このように、横加速度α及び回転角速度ωyawに対してバンドパスフィルタ処理を施すことにより、横加速度α及び回転角速度ωyawにそれぞれ重畳している高周波ノイズや低周波ノイズを除去することができる。
横加速度α及び回転角速度ωyawに対してバンドパスフィルタ処理を施すことで、後述する横すべり角微分値dβに対してバンドパスフィルタ処理を行うことと同等の効果が得られる。ただし、横加速度αy及び回転角速度ωyawに対してバンドパスフィルタ処理を行うことに代えて、もしくは加えて、横すべり角微分値dβに対してバンドパスフィルタ処理を行っても良い。
横すべり角算出装置10は、誤差除去演算ブロック20を有する。誤差除去演算ブロック20は、横加速度α、回転角速度ωyaw、及び車速Vを入力し、一般的に知られている横すべり角微分の数式1に従って、横すべり角微分値dβを算出する。
Figure 0007622580000001
参考として、図2に、車両が交差点で右左折するために旋回したときの、横加速度αを車速Vで除算した進行角速度α/Vと、回転角速度ωyawの変化の一例を示す。図2に示す進行角速度α/Vから回転角速度ωyawを減算することにより、横すべり角微分値dβが算出される。
ここで、温度ドリフトなどにより、各センサの出力にオフセット誤差が含まれていると、上述したバンドパスフィルタブロック14、16だけでは、その影響を十分に取り除くことはできない。オフセット誤差が含まれたまま、横すべり角微分値dβを積分して横すべり角推定値βestを算出した場合、算出される横すべり角推定値βestは真の横すべり角βから大きくずれてしまう。
そのため、横すべり角算出装置10は、車両が直進しているのか、旋回しているのかを判定するシーン判定ブロック26を備えている。例えば、シーン判定ブロック26は、ステアリングセンサによって検出されるステアリング角度や、ジャイロセンサ2によって検出される回転角速度ωyawの大きさに基づいて、車両が直進しているか、旋回しているかを判定することができる。そして、誤差除去演算ブロック20は、シーン判定ブロック26の判定結果に基づいて、車両が旋回を開始する前であって、車両が直進しているときに算出される横すべり角微分値dβをオフセット誤差dβとして求める。誤差除去演算ブロック20は、数式1に従って演算した横すべり角微分値dβからオフセット誤差dβを減算した横すべり角微分値dβを算出する。このようにして、誤差除去演算ブロック20は、オフセット誤差dβを除去した横すべり角微分値dβを出力することができる。
図3は、車両が交差点で右左折するために旋回したときの、オフセット誤差dβを除去した横すべり角微分値dβの変化の一例を示す波形図である。図3に示すように、オフセット誤差dβを除去することで、車両が旋回する前の横すべり角微分値dβは、ほぼゼロの角速度を示している。
横すべり角算出装置10は、積分ブロック22を有している。積分ブロック22は、誤差除去演算ブロック20から出力された横すべり角微分値dβを積分することによって横すべり角推定値βestを算出する。図4は、車両が交差点で右左折するために旋回したときの、積分ブロック22により算出される横すべり角推定値βestの変化の一例を示す波形図である。
ここで、図5の波形図を参照すると、図4に示す横すべり角推定値βestの波形と、横すべり角真値を示す波形とが重ねて示されている。上述したように、横加速度αy及び回転角速度ωyawに対してバンドパスフィルタ処理を施すとともに、横すべり角微分値dβからオフセット誤差dβを除去することにより、旋回開始直後は、横すべり角推定値βestは、横すべり角真値に概ね一致していることが見て取れる。
しかし、上述したバンドパスフィルタ処理やオフセット誤差の除去では取り切れない誤差が積分によって累積されるため、図5から、時間が経過するにつれて、横すべり角推定値βestと横すべり角真値とのずれが大きくなっていることが分かる。
そこで、本実施形態では、横すべり角推定値βestをそのまま推定横すべり角βESTとして用いるのではなく、横すべり角推定値βestを推定横すべり角βESTを算出するための車両パラメータKを決定するための基礎として用いることとした。以下に、車両パラメータKと横すべり角推定値βestとの関係を説明する。
まず、車両が旋回するときに、車両に働く回転向心力Fは、以下の数式2によって表される。なお、mは車重、Vは車両の運動方向の速度、rは旋回半径を示す。
Figure 0007622580000002
また、横すべり角βと横力Fとの関係は、以下の数式3によって表される。なお、Cfは、単位すべり角当たりに発生する力であるコーナーリングパワーを示す。
Figure 0007622580000003
数式2と数式3から、車両パラメータKと横すべり角推定値βestとに関して、下記の数式4の関係式が得られる。
Figure 0007622580000004
つまり、車両パラメータKは、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawに対する横すべり角推定値βestの比として算出することができる。この車両パラメータKは、横すべり角推定値βestと、乗算結果Vωyawとを近似させる係数であると言うこともできる。このため、横すべり角算出装置10は、図1に示すように、車速Vと回転角速度ωyawを乗算する乗算ブロック24を有している。そして、一旦、車両パラメータKを決定することができた後は、推定横すべり角βESTは、車両パラメータK、車速V、及び回転角速度ωyawをそれぞれ乗じることによって算出することができる。
図5には、車両パラメータK、車速V、及び回転角速度ωyawをそれぞれ乗じることによって算出された推定横すべり角βESTの波形も示されている。推定横すべり角βESTは、横すべり角推定値βestのように積分によって求められるものではないので、時間が経過しても、横すべり角推定値βestに比較して、横すべり角真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
横すべり角算出装置10は、車両パラメータ及び推定横すべり角算出ブロック28を有している。車両パラメータ及び推定横すべり角算出ブロック28は、上述したように、車両が旋回したときに検出される、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果に対する横すべり角推定値βestの比として車両パラメータKを算出する。さらに、一旦、車両パラメータKを決定すると、横すべり角算出装置10は、車両が旋回しているときに発生している横すべり角として、車両パラメータK、車速V、及び回転角速度ωyawをそれぞれ乗じることによって推定横すべり角βESTを算出することができる。
なお、車両パラメータ及び推定横すべり角算出ブロック28は、車両パラメータKを算出し、横すべり角が必要な外部装置(例えば、自動運転制御装置、ロケータ装置など)に、算出した車両パラメータKを出力するように構成されても良い。車両パラメータKが分かっていれば、外部装置において、容易に推定横すべり角βESTを算出することができるためである。
次に、図6のフローチャートを参照して、横すべり角算出装置10において、推定すべり角βESTを算出するための処理手順を説明する。
まず、ステップS100において、横すべり角算出装置10は、横加速度α、回転角速度ωyaw、及び車速Vを取り込み、上述した数式1に従って、横すべり角微分値dβを算出する。算出された横すべり角微分値dβは、所定個数分、メモリに保存される。なお、横すべり角微分値dβの算出前に、横加速度αは上述した重力成分除去及びバンドパスフィルタ処理が施され、回転角速度ωyawはバンドパスフィルタ処理が施され、車速Vは車速補正処理が施される。
ステップS110では、ステアリングセンサ及び/又はジャイロセンサ2の検出値に基づいて、車両が旋回(カーブ走行)しているか否かを判定する。車両が旋回を開始して、ステップS110の判定結果が「YES」となった場合、ステップS120において、それ以前に算出されてメモリに保存されている少なくとも1つの横すべり角微分値dβに基づいて、オフセット誤差dβを定めて、メモリに保存する。一方、ステップS110の判定結果が「NO」である場合、判定結果が「YES」になるまで、ステップS100の処理を繰り返す。
ステップS130では、車速Vが所定値(例えば、50km/h)以下であるか否かを判定する。ステップS130の判定結果が「YES」である場合、ステップS140の処理に進み、判定結果が「NO」である場合、ステップS100の処理に戻る。
車両の速度が高くなると、車両の運動特性も変化し、低速時とは異なる車両パラメータKが算出される可能性がある。車両パラメータKを用いて横すべり角を算出する必要性が高いシチュエーションは、例えば、自動運転制御装置が、車両が交差点で右左折のために旋回する際に横すべり角を用いて車両の進行方向を正確に算出するなど、比較的、車速が低いシチュエーションである。このため、本実施形態では、ステップS130の判定処理により、車速Vが所定値以下である低速域に限定して車両パラメータKを算出するように構成されている。ただし、中速域や高速域におきても横すべり角を算出する必要性がある場合には、低速域と中高速域、あるいは、低速域、中速域、高速域など、複数の速度領域に分けて、それぞれ車両パラメータKを算出するように構成されても良い。
ステップS140では、ステップS120の処理で、メモリに保存されたオフセット誤差dβを減算した横すべり角微分値dβを積分することによって横すべり角推定値βestが算出される。ステップS150では、車速Vと回転角速度ωyawを乗算した乗算結果Vωyawが算出される。なお、横すべり角推定値βestと乗算結果Vωyawは、車両が旋回している間、例えば所定時間毎に繰り返し算出される。
ステップS160では、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawと横すべり角推定値βestから、車両パラメータKが算出される。この車両パラメータKの算出方法の一例を図7のフローチャートを用いて説明する。
最初のステップS200において、車両が旋回している間に、繰り返し算出される複数の横すべり角推定値βestの中で、最大値を示す最大横すべり角推定値MAX(βest)を特定する。図8(a)、(b)に示すように、最大横すべり角推定値MAX(βest)は、概して、横すべり角微分値dβの符号がプラスからマイナスに反転したタイミングで発生する。従って、横すべり角微分値dβの符号がプラスからマイナスに反転したタイミングで算出した横すべり角推定値βestを最大横すべり角推定値MAX(βest)として特定しても良い。あるいは、繰り返し算出される横すべり角推定値βestを相互に大小比較し、最も大きな値を示す横すべり角推定値βestを最大横すべり角推定値MAX(βest)として特定しても良い。
ステップS210では、車両が旋回している間に、繰り返し算出される複数の、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawの中で、最大値を示す最大乗算結果MAX(Vωyaw)を特定する。最大乗算結果MAX(Vωyaw)に関しては、最大横すべり角推定値MAX(βest)が算出されたのと同じタイミングで算出された乗算結果Vωyawを最大乗算結果MAX(Vωyaw)として特定しても良い。あるいは、繰り返し算出される乗算結果Vωyawを相互に大小比較し、最も大きな値を示す乗算結果Vωyawを最大乗算結果MAX(Vωyaw)として特定しても良い。
ステップS220では、最大横すべり角推定値MAX(βest)を最大乗算結果MAX(Vωyaw)で除算することにより、車両パラメータKを算出する。換言すれば、車速Vと回転角速度ωyawを乗算した乗算結果Vωyawの最大値に対する、横すべり角推定値βestの最大値の比として車両パラメータKを算出する。このように、それぞれの最大値を用いることで、横すべり角推定値βest及び乗算結果VωyawのそれぞれのS/N比を高めることができ、ノイズの影響を極力低減した車両パラメータKを算出することができる。
図6のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS170では、ステップS160で算出された車両パラメータKを用いて、つまり、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawにさらに車両パラメータKを乗じることによって、横すべり角βを算出する。ステップS180では、算出された横すべり角βが所定の上限値(例えば、3~5度の範囲の値)以下であるか否かを判定する。この所定の上限値は、車両の通常の走行における横すべり角の上限に対応するものである。従って、このステップS180にて、算出された横すべり角βが所定の上限値より大きいと判定された場合、車両パラメータKは正しく算出されなかった可能性が高い。このため、ステップS180の判定結果が「NO」である場合には、算出した車両パラメータKをメモリに格納することなく、ステップS100の処理に戻る。一方、ステップS180の判定結果が「YES」である場合、ステップS190に進んで、算出した車両パラメータKをメモリに格納する。そして、横すべり角算出装置10は、メモリに格納された車両パラメータKを用いて、推定横すべり角βESTを算出する。メモリに格納された車両パラメータKは、新たな車両パラメータKが算出されるまで、車両の横すべり角の算出に利用することができる。
以上のように、本実施形態による横すべり角算出装置10によれば、横すべり角βの推定に必要な車両パラメータKが、横すべり角微分値dβを積分して算出される横すべり角推定値βestと、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawとから算出される。従って、GNSS信号の受信の有無に係わらず、横すべり角の推定に必要な車両パラメータKを算出することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本開示による横すべり角算出装置10の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、最大横すべり角推定値MAX(βest)を最大乗算結果MAX(Vωyaw)で除算することにより、車両パラメータKを算出した。しかしながら、車両パラメータKの算出方法は、第1実施形態で説明した方法に限られず、他の方法を採用することもできる。本実施形態では、第1実施形態とは異なる車両パラメータKの算出方法について説明する。
図9は、本実施形態における車両パラメータKの算出方法を示すフローチャートである。最初のステップS300では、車両が旋回している間に、横すべり角推定値βestを繰り返し算出することにより、横すべり角推定値βestを複数回算出する。ステップS310では、横すべり角推定値βestの算出に同期して、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawを複数回算出する。
ステップS320では、複数回算出された横すべり角推定値βestと、複数回算出された車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawとから、同期して算出されたもの同士の比として、複数個の車両パラメータKを算出する。ステップS330では、複数個の車両パラメータKを統計処理して1つの車両パラメータKを決定する。統計処理は、例えば、複数個の車両パラメータKの最頻出値を求めるものであっても良い。あるいは、明らかな外れ値を除外した上で、複数個の車両パラメータKの平均を求めるものであっても良い。
このようにして、第2実施形態の車両パラメータKの算出方法によっても、第1実施形態と同様に、横すべり角の推定に必要な車両パラメータKを算出することができる。
(第3実施形態)
次に、本開示による横すべり角算出装置10の第3実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態でも、第2実施形態と同様に、第1実施形態とは異なる車両パラメータKの算出方法について説明する。図10は、本実施形態に係る車両パラメータKの算出方法を実施するための構成を示す構成図である。
図10において、制御回路30はジャイロセンサ2が検出する回転角速度ωyawに基づいて車両が旋回中であるか否かを判定し、旋回中であると判定したときに、適応フィルタ32に対して、イネーブル信号を出力する。
適応フィルタ32は、制御回路30からイネーブル信号が出力されているときに動作可能となる。適応フィルタ32は、動作すると、最小平均二乗(LMS)アルゴリズムや再帰的最小二乗(RLS)アルゴリズムなどの最適化アルゴリズムに従って、横すべり角推定値βestの波形と、車速Vと回転角速度ωyawの波形との誤差eが最小となるように、伝達関数H(z)を自己適応させる。自己適応された伝達関数H(z)から、車両パラメータ及び推定横すべり角算出ブロック28は、車両パラメータKを定めることができる。
このようにして、第3実施形態の車両パラメータKの算出方法によっても、第1実施形態と同様に、横すべり角の推定に必要な車両パラメータKを算出することができる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上述した各実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、上述した各実施形態において、図11に示すように、車両が走行する路面の状態を判定する路面状態判定ブロック36、及び車両パラメータ及び推定横すべり角算出ブロック28により算出された車両パラメータKを保存したり、保存されている車両パラメータKを更新したりするパラメータ格納部としてのK値テーブル38を設けても良い。
路面状態判定ブロック36は、例えば、カメラによって撮像された車両周辺の画像に対して画像認識処理を施すことにより、車両が走行している路面が、晴天時の路面、雨天時の路面、又は降雪時の路面であるかなどを判定する。ただし、路面状況は、画像認識のみに限られず、例えば、車両旋回時の車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawの大きさや、横加速度αや回転角速度ωyawの大きさなどに基づいて判別しても良い。また、その際、ワイパの動作の有無、外気温度などを考慮しても良い。
K値テーブル38は、各路面状態に関連付けて、車両パラメータKを保存する。また、K値テーブル38は、新たな車両パラメータKが算出されると、その車両パラメータKが算出された路面状況に関連付けて保存されている車両パラメータKを最新の車両パラメータKで更新する。
車両パラメータKは、車両の乗員の数や荷物の量、タイヤの摩耗度合、路面状況によって変化する。これらの変動要因の中で、車両走行中に変化する可能性があるのは、主として路面状況である。
その点、上述したように、K値テーブル38に各路面状況に関連付けて車両パラメータKを保存しておけば、路面状態判定ブロック36による車両が走行している路面状態の判定結果に基づいて、各路面状態に適した車両パラメータKを選択することが可能となり、乗算ブロック40は、選択した車両パラメータKを用いて精度の高い横すべり角を算出することが可能となる。
また、上述した各実施形態において、横すべり角推定値βestと、車速Vと回転角速度ωyawとの乗算結果Vωyawとを近似させる係数として車両パラメータKを用いたが、コーナーリングパワーCfを用いることも可能である。車両パラメータKとコーナーリングパワーCfとは、数式4に示す一定の関係を有するためである。
1:加速度センサ、2:ジャイロセンサ、3:車輪速センサ、4:GNSS受信機、10:横すべり角算出装置、12:重力成分除去ブロック、14:バンドパスフィルタブロック、16:バンドパスフィルタブロック、18:車速補正ブロック、20:誤差除去演算ブロック、22:積分ブロック、24:乗算ブロック、26:シーン判定ブロック、28:角算出ブロック、30:制御回路、32:適応フィルタ、36:路面状態判定ブロック、38:K値テーブル、40:乗算ブロック

Claims (10)

  1. 車両の横加速度(α)、車速(V)、及び回転角速度(ωyaw)を取り込み、取り込んだ横加速度(α)、車速(V)、及び回転角速度(ωyaw)に基づいて、車両の横すべり角推定値(βest)を算出する横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)と、
    車速(V)と回転角速度(ωyaw)とを乗算した乗算結果(Vωyaw)を算出する乗算部(24)と、
    前記横すべり角推定値算出部が算出する横すべり角推定値(βest)と、前記乗算部が算出する乗算結果(Vωyaw)とを近似させる係数であるパラメータ(K)を算出するパラメータ算出部(28)と、を備え
    車両の横すべり角は、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)と前記パラメータ算出部が算出したパラメータ(K)とによって算出される横すべり角算出装置。
  2. 前記横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)は、横加速度(α)を車速(V)で除算した除算結果(α/V)から回転角速度(ωyaw)を減算することによって求まる横すべり角微分値(dβ)を積分することによって横すべり角推定値(βest)を算出するものであり、
    前記横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)は、車両が旋回を開始する前であって、車両が直進しているときに算出される横すべり角微分値(dβ)をオフセット誤差(dβ)として、オフセット誤差を除去した横すべり角微分値(dβ)を積分することによって横すべり角推定値(βest)を算出する、請求項1に記載の横すべり角算出装置。
  3. 前記横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)は、横すべり角微分値(dβ)に関してバンドパスフィルタ処理を行う、請求項2に記載の横すべり角算出装置。
  4. 前記横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)、横すべり角微分値(dβ)に関するバンドパスフィルタ処理として、少なくとも横加速度(α)と回転角速度(ωyaw)とに対してバンドパスフィルタ処理を行う、請求項3に記載の横すべり角算出装置。
  5. 車両が旋回していることを判定する判定部(26)を備え、
    前記パラメータ算出部(28)は、車両が旋回している間の、車両横すべり角推定値(βest)の最大値と、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)の最大値とをそれぞれ特定し(S200、S210)、特定した車両横すべり角推定値(βest)の最大値と、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)の最大値とに基づいてパラメータ(K)を算出する(S220)、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
  6. 車両が旋回していることを判定する判定部(26)を備え、
    前記横すべり角推定値算出部(14、16、20、22)は、車両が旋回している間に、横すべり角推定値(βest)を複数回算出し(S300、S310)、
    前記乗算部(24)は、車両が旋回している間に、横すべり角推定値(βest)の算出に同期して、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)を複数回算出し(S320)、
    前記パラメータ算出部(28)は、それぞれ複数回算出された横すべり角推定値(βest)と、車速(V)と回転角速度(ωyaw)との乗算結果(Vωyaw)とに基づき、複数個のパラメータ(K)を算出し(S330)、その複数個のパラメータ(K)の最頻出値、又は、外れ値を除外した上での平均値によってパラメータ(K)を算出する(S340)、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
  7. 車両が旋回していることを判定する判定部(26)を備え、
    前記パラメータ算出部(28)は、車両が旋回している間の、前記横すべり角推定値算出部が算出する横すべり角推定値(βest)と、前記乗算部が算出する乗算結果(Vωyaw)との一方に対して適応フィルタ(32)を適用し、前記適応フィルタの出力が前記横すべり角推定値算出部が算出する横すべり角推定値(βest)と、前記乗算部が算出する乗算結果(Vωyaw)との他方と近似するように、前記適応フィルタの伝達関数を調整し、調整した伝達関数からパラメータ(K)を算出する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
  8. 前記パラメータ算出部(28)は、旋回している車両の車速(V)が所定の基準速度以下であることを条件として、パラメータ(K)を算出する(S130)、請求項5乃至のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
  9. 前記パラメータ算出部(28)は、算出したパラメータ(K)に基づき算出される車両の横すべり角が所定の上限値を超えている場合、その算出したパラメータ(K)が、車両の横すべり角の算出に使用されないように構成される(S180)、請求項5乃至のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
  10. 車両が走行する路面状態を判定する路面状態判定部(36)と、
    前記路面状態判定部によって判定された路面状態に応じて、前記パラメータ算出部によって算出されたパラメータ(K)を保存、又は保存されているパラメータ(K)を更新するパラメータ格納部(38)と、を備え、
    車両の横すべり角は、前記パラメータ格納部に保存されているパラメータ(K)から路面状態に応じたパラメータ(K)が選択され、その選択されたパラメータ(K)に基づいて算出される、請求項5乃至のいずれか1項に記載の横すべり角算出装置。
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