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JP7624169B2 - 反射面推定装置 - Google Patents
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本願発明は、トンネルの切羽前方探査に関するものであり、より具体的には、3次元反射法の弾性波探査によって得られた結果に基づいて切羽前方に存在する反射面を推定することができる反射面推定装置に関するものである。
我が国の国土は、およそ2/3が山地であるといわれており、そのため道路や線路など(以下、「道路等」という。)は必ずといっていいほど山地部を通過する区間がある。この山地部で道路等を構築するには、斜面の一部を掘削する切土工法か、地山の内部をくり抜くトンネル工法のいずれかを採用するのが一般的である。トンネル工法は、切土工法に比べて施工単価(道路等延長当たりの工事費)が高くなる傾向にあるものの、切土工法よりも掘削土量(つまり排土量)が少なくなる傾向にあるうえ、道路等の線形計画の自由度が高い(例えば、ショートカットできる)といった特長があり、これまでに建設された国内のトンネルは10,000を超えるといわれている。
山岳トンネルの施工方法としては、昭和50年代までは鋼アーチ支保工に木矢板を組み合わせて地山を支保する「矢板工法」が主流であったが、現在では地山強度を積極的に活かすNATM(New Austrian Tunneling Method)が主流となっている。NATMは、地山が有する強度(アーチ効果)に期待する設計思想が主な特徴であり、そのため従来の矢板工法に比べトンネル支保工の規模を小さくすることができ、しかも施工速度を上げることができることから施工コストを減縮することができる。
またNATMは、本格的に実施されて以来、飛躍的に掘削技術が進歩しており、種々の補助工法が開発されることによって様々な地山に対応することができるようになり、さらに掘削機械(特に、自由断面掘削機)の進歩によって発破掘削のほか機械掘削も選択できるようになった。この機械掘削は、掘削断面積や線形にもよるものの一般的には比較的低い強度(例えば、一軸圧縮強度が49N/mm以下)の地山に対して採用されることが多く、一方、対象地山に岩盤が存在する場合はやはり発破掘削が採用されることが多い。
ここで、発破を伴うNATMの掘削手順について簡単に説明する。はじめに、ドリルジャンボによって削孔して火薬(ダイナマイト)を装填し、作業員と機械が退避したうえで発破を行って掘削する。1回(1サイクル)の掘削進行長(1スパン長)は地山の強度に応じて設定される支保パターンによって異なるが、一般的には1.0m~2.0mのスパン長で掘削が行われる。1スパン長の掘削を行うと、不安化した地山部分(浮石など)を落とす「こそく」を行いながらダンプトラック(あるいはレール工法)によってズリを搬出(ズリ出し)する。そしてズリ出し後に、1次コンクリート吹付けを行ったうえで必要に応じて(支保パターンによって)鋼製支保工を建て込み、2次コンクリート吹付けを行い、その後にロックボルトの打設を行う。なお、1次コンクリート吹付けと2次コンクリート吹付けは、掘進したスパン長分、すなわち素掘り部分のトンネル内周面(側壁から天端にかけた周面)に対して行われる。
NATMにおいてトンネル切羽を安定させることは、安全施工の意味からも極めて重要であり、地山強度や湧水、あるいはトンネル切羽の挙動等によっては、トンネル切羽に対して補助工法が行われる。例えば、トンネル切羽を安定させるためのコンクリート吹付け(鏡吹付け)やロックボルト(鏡ボルト)の打設、水抜きボーリング、あるいは先受け工としてのフォアポーリングや長尺フォアパイリングなどが行われる。
またNATMは、計測工(A計測やB計測)を併用するいわゆる情報化施工であり、計測結果に応じて掘削パターンを変更し、あるいは補助工法を採用する。計測工としては、周辺地山の挙動を計測する内空変位や天端沈下、打設したロックボルトの軸力を計測するロックボルト軸力計測、そして切羽観察などが挙げられる。この切羽観察は、文字どおりトンネル切羽を観察する計測工であり、地山が最も露出したトンネル切羽から得られる情報は有効かつ多量であることを考えれば、今後の掘削を進めていくうえで極めて重要な計測工のひとつである。
さらに、切羽の情報に加え、切羽前方(つまり、今後掘削を進めていく地山部分)の情報も有益になることが多い。例えば、切羽前方に断層や部分的な軟弱層が存在するケースでは、事前にこれを把握することによって対策を準備することができるわけである。具体的には、設計された支保パターンを見直したり、手前からフォアポーリングなどの先受け工を行ったり、適当な範囲に薬液注入を行ったりすることによって、切羽の安定を図りながら断層や軟弱層を掘進していくことができる。
切羽前方の情報を得るために、切羽に対するボーリング調査を行うことがある。切羽から掘進方向に向かってボーリングを実施することで、削孔速度(いわゆる、のみ下がり)やくり粉の状態などから切羽前方の地山状態を推測したり、コアを採取することによって直接的に切羽前方の地山状態を把握したりすることができる。しかしながら、切羽のボーリング調査は相当の手間と時間を要するうえに、段取りを含め実施している間は当然ながらトンネル掘削を停止しなければならない。トンネル工事は、工事費のうち人件費と機械損料が占める割合が比較的大きく、そのため施工期間(工期)が延びるとその分コストを押し上げることとなり、したがっていわゆる「切羽を止める」ことは敬遠されがちである。
切羽前方の情報を得るためには、切羽のボーリング調査のほか物理探査のひとつである弾性波探査が行われることもある。この弾性波探査は、火薬の発破やハンマーによる地面打撃といった人工震源によって人工地震を発生させ、地盤を伝搬する弾性波を地震計(受信機)で受信することによって地盤の性状を把握する探査手法であり、おもに屈折法と反射法に大別することができる。
屈折法による弾性波探査は、地盤を伝搬する波のうち地層境界に沿って伝搬した後に屈折して地表に到達する波を観測することがひとつの特徴である。具体的には、解明しようとする地盤構造の深度の3~5倍の測線長を設定したうえで、その側線上に適当な間隔で受信点(受信機)を設置し、地表付近で人工地震を発生させてこれら受信機で弾性波速度を観測する。したがって屈折法は、比較的浅い地盤構造を解明するケースに適しているとされ、土木構造のための基礎地盤調査や地盤構造調査などを目的としておもに利用されている。
この屈折法による弾性波探査をトンネルの切羽前方探査に適用した場合、深度方向が坑奥方向(切羽前方)となり、測線はトンネル内空側で設定することになるが、十分な側線長が確保できず、すなわち受信機を適切に配置できないことも考えられる。そもそも解明しようとする地盤構造の深度(切羽からの距離)を予測することが難しく、その意味においても受信機を適切に配置できない。しかも、切羽付近で探査用の発破作業を行う必要があり、受信機の設置や撤去といった作業も生じ、その間は切羽を止めることが避けられない。
そこで、トンネルの切羽前方探査には、反射法による弾性波探査が採用されることがある。例えば、切羽から離れた位置(坑口側)に受信機を設置したうえで、切羽で発破を行って人工地震を発生させると、受信機は発破により生じた直接的な波(直達波)と、切羽前方にある反射面に反射した波(反射波)を受信する。弾性波は、2つの層の音響インピーダンスの差が大きいほど高い反射係数を示し、すなわち反射しやすいことが知られている。ここで音響インピーダンスとは、その層における弾性波の速度と、その層の密度との積で表されるいわば「弾性波の伝わりにくさ」を示す物理量である。したがって受信機が反射波を受信したということは、隣接する2層の音響インピーダンス差が顕著となる反射面が存在するということであり、つまり断層や部分的な軟弱層の存在が予測されるということである。なお、隣接2層の音響インピーダンス差が顕著であるケースは「反射イベント」といわれることがあり、この反射イベントで反射した弾性波の振幅は他よりも大きくなる。
このように、反射法による弾性波探査によればトンネルの切羽前方に存在する反射イベント、すなわち断層や軟弱層などを推定することができる。また、特許文献1に開示される発明のように、受信機をトンネル坑内(例えば、ロックボルトの頭部)に常設するとともに、発破の点火信号を検知する装置を坑内に設置し、トンネル掘削のための通常の発破を人工震源とすることによって、トンネル掘削サイクルを妨げることなく、つまり切羽を止めることなく、しかも毎切羽など極めて頻繁に、切羽前方探査を実施することができる。
特許第5587960号公報
反射法による弾性波探査は、上記したように速度や密度が変化する地層境界面(反射面)で反射した波を観測することがひとつの特徴であり、受信機で取得した弾性波の到達時間や振幅などの情報に基づいて地盤構造を推定する手法である。この手法は、特に石油や石炭といった資源探査で多くの実績をあげているが、我が国では断層調査や大陸棚調査などにも採用されている。また、テレメトリー型の弾性波探査システムが開発されたことによって、3次元反射法の弾性波探査も多用されるようになってきた。この3次元反射法は、平面的に受信機を配置する手法であり、これまでの2次元反射法に比べて多チャンネルでの同時観測が可能になり、従来2次元的な調査結果しか得られなかったものが、3次元的な調査結果が得られるようになった。
3次元反射法で得られる結果は立体的なデータセットであるが、その解析結果を立体的かつ視覚的に表現するためには所定の処理が必要となる。一般的には、深度方向を細かく刻み、それぞれの位置で探査結果を表した断面図を作成し、この断面を重ねることで立体的かつ視覚的に表現する手法が採られている。この断面図は、「深度スライス」ともいわれるもので、その深度で反射した反射波の反射面強度(振幅や、その他の電気信号など)を表した図である。より詳しくは、受信機が受信した反射波の反射点(反射面で反射した位置)を等高線(コンタ)のように連続させ、さらに反射強度の強弱に応じて彩色する(あるいは濃淡をつける)ことによって表現したものが深度スライスである。
トンネルの切羽前方探査として3次元反射法による弾性波探査を行った場合、2種類の深度スライスを作成することが多い。すなわち、トンネルの軸方向(掘進方向)に設定されるトンネル軸(X軸)、このトンネル軸に対して直交する水平軸(Y軸)、そしてトンネル軸に対して直交する鉛直軸(Z軸)を設定したとき、トンネル軸と水平軸で設定される平面(X-Y平面)に表現される深度スライス(以下、特に「水平深度スライス」という。)と、トンネル軸と鉛直軸で設定される平面(X-Z平面)に表現される深度スライス(以下、特に「鉛直深度スライス」という。)が作成される。もちろん、水平深度スライスは鉛直方向(Z軸方向)に細かく刻んだそれぞれの位置で作成され、鉛直深度スライスは水平方向(Y軸方向)に細かく刻んだそれぞれの位置で作成される。また水平深度スライスと鉛直深度スライスは、異なる弾性波速度ごとに作成される。つまり、水平深度スライスは「鉛直方向の数」と「弾性波速度の数」の積だけ作成され、一方の鉛直深度スライスは「水平方向の数」と「弾性波速度の数」の積だけ作成されることになる。図12では、作成される多数の水平深度スライスを模式的に示しており、鉛直方向の数(縦軸の数)が7、弾性波速度の数(横軸の数)が10とされ、すなわちこのケースでは70の水平深度スライスが作成されることを示している。
トンネルの切羽前方にある反射面(反射イベント)は、概ね以下の手順で抽出される。まず、作成された多数の水平深度スライスの中から反射面強度が最大となる点、つまりピークとなる点(以下、「水平特定点」という。)を選定し、同様に作成された多数の鉛直深度スライスの中から反射面強度のピーク点(以下、「鉛直特定点」という。)を選定する。そして、水平深度スライスに表示された反射面強度の分布曲線(反射点を連続させた曲線)のうち水平特定点における接線(以下、「水平反射線」という。)を設定し、同様に、鉛直深度スライスに表示された反射面強度の分布曲線のうち鉛直特定点における接線(以下、「鉛直反射線」という。)を設定する。そして3次元空間(X-Y-Z座標系)上で、水平反射線と鉛直反射線が同時に配置される平面を「反射面」として抽出する。なお、水平反射線と鉛直反射線が交差しない(つまり、ねじれの位置にある)場合は1の平面が決定しないが、反射面が現実的に存在することを考えれば、水平反射線と鉛直反射線との離隔(以下、「線間距離」という。)はそれほど大きくないはずであり、水平反射線と鉛直反射線のいずれか(あるいは両方)を交差するまで平行移動することによって1の平面を決定することができる。
このように、3次元反射法による弾性波探査を行って、トンネルの切羽前方にある反射面(反射イベント)を推定するには、大量の深度スライス(水平深度スライスと鉛直深度スライス)が利用される。そして従来では、紙面として印刷された深度スライスを目視しながら水平特定点と鉛直特定点を選定していた。そのため反射面を推定する者は、大量の紙面を印刷する作業、そして大量の深度スライスを目視する作業を強いられていたわけである。しかも、このように膨大な作業を行う結果、反射面を推定するまでに長時間(例えば1日)を要し、すなわちトンネル掘削作業に反映させるタイミングが遅れるという問題もあった。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち従来技術に比べて容易に反射面強度のピーク点(水平特定点、鉛直特定点)を選定することができる反射面推定装置を提供することである。
本願発明は、ディスプレイなどの出力手段に深度スライスを表示し、しかもいわば紙芝居の要領で表示する深度スライスを変化させることで、高速かつ容易に反射面強度のピーク点を選定することができる、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の反射面推定装置は、3次元反射法の弾性波探査によって取得された深度スライスに基づいてトンネル切羽前方の反射面を推定する装置であって、深度スライス記憶手段と鉛直位置指定手段、水平位置指定手段、弾性波速度指定手段、表示制御手段、水平特定点指定手段、鉛直特定点指定手段、水平反射線設定手段、鉛直反射線設定手段、平面算出手段を備えたものである。なお深度スライスは、トンネル軸と水平軸で設定される平面図に反射面強度を表した水平深度スライスと、トンネル軸と鉛直軸で設定される平面図に反射面強度を表した鉛直深度スライスによって構成される。反射面推定装置を構成する深度スライス記憶手段は、鉛直軸上の複数位置でそれぞれ複数種類の弾性波速度ごとに作成された水平深度スライスを記憶するとともに、水平軸上の複数位置でそれぞれ複数種類の弾性波速度ごとに作成された鉛直深度スライスを記憶する手段である。また鉛直位置指定手段は、オペレータ操作によって鉛直軸上の位置を指定する手段であり、水平位置指定手段は、オペレータ操作によって水平軸上の位置を指定する手段、弾性波速度指定手段は、オペレータ操作によって弾性波速度を指定する手段である。表示制御手段は、鉛直位置指定手段によって指定された位置であって弾性波速度指定手段で指定された弾性波速度に係る水平深度スライスを深度スライス記憶手段から読み出して表示手段に表示させるとともに、水平位置指定手段によって指定された位置であって弾性波速度指定手段で指定された弾性波速度に係る鉛直深度スライスを深度スライス記憶手段から読み出して表示手段に表示させる手段である。水平特定点指定手段は、オペレータ操作によって表示手段に表示された水平深度スライス上にオペレータが選択した水平特定点を指定する手段であり、鉛直特定点指定手段は、オペレータ操作によって表示手段に表示された鉛直深度スライス上にオペレータが選択した鉛直特定点を指定する手段である。水平反射線設定手段は、水平深度スライスに表された反射面強度の分布と水平特定点に基づいて水平深度スライス上に水平反射線を設定する手段であり、鉛直反射線設定手段は、鉛直深度スライスに表された反射面強度の分布と鉛直特定点に基づいて鉛直深度スライス上に鉛直反射線を設定する手段である。平面算出手段は、水平反射線と鉛直反射線に基づいて3次元空間に配置される平面を算出する手段である。そして、平面算出手段によって算出された平面がトンネル切羽前方の反射面として推定することができる。
本願発明の反射面推定装置は、オペレータ操作によって水平反射線と鉛直反射線を設定するものとすることもできる。この場合、オペレータが反射面強度の分布と水平特定点を目視しながら水平反射線設定手段を用いて水平反射線を設定し、反射面強度の分布と鉛直特定点を目視しながら鉛直反射線設定手段を用いて鉛直反射線を設定する。
本願発明の反射面推定装置は、計算することによって自動的に水平反射線と鉛直反射線を設定するものとすることもできる。この場合、水平反射線設定手段は、反射面強度の分布曲線の水平特定点における接線となるように水平反射線を設定し、鉛直反射線設定手段は、反射面強度の分布曲線の鉛直特定点における接線となるように鉛直反射線を設定する。
本願発明の反射面推定装置は、表示手段に鉛直位置スクロールバーと水平位置スクロールバー、弾性波速度スクロールバーが表示されるものとすることもできる。この場合、オペレータが表示手段に表示された鉛直位置スクロールバーを操作すると、鉛直位置指定手段によって鉛直位置スクロールバーの位置に対応する鉛直軸上の位置が指定され、オペレータが表示手段に表示された水平位置スクロールバーを操作すると、水平位置指定手段によって水平位置スクロールバーの位置に対応する水平軸上の位置が指定される。同様に、オペレータが表示手段に表示された弾性波速度スクロールバーを操作すると、弾性波速度指定手段によって弾性波速度スクロールバーの位置に対応する弾性波速度が指定される。そして表示制御手段は、鉛直位置スクロールバーの位置と水平位置スクロールバーの位置、弾性波速度スクロールバーの位置に応じて、表示手段に表示させる水平深度スライスと鉛直深度スライスを変更する。
本願発明の反射面推定装置は、特定点解除手段と特定点確定手段をさらに備えたものとすることもできる。この特定点解除手段は、オペレータ操作によって既に指定された水平特定点の「指定状態」を解除し、既に指定された鉛直特定点の「指定状態」を解除する手段である。一方の特定点確定手段は、水平特定点指定手段によって指定された水平特定点と鉛直特定点指定手段によって指定された鉛直特定点を、オペレータ操作によって確定する手段である。この場合、水平特定点指定手段は、特定点解除手段によって水平特定点の指定状態が解除されると新たな水平特定点を指定することができるようになり、鉛直特定点指定手段は、特定点解除手段によって鉛直特定点の指定状態が解除されると新たな鉛直特定点を指定することができるようになる。また平面算出手段は、特定点確定手段によって確定された水平特定点に係る水平反射線と特定点確定手段によって確定された鉛直特定点に係る鉛直反射線に基づいて、3次元空間に配置される平面を算出する。
本願発明の反射面推定装置は、警告出力手段をさらに備えたものとすることもできる。この警告出力手段は、3次元空間上に配置された水平反射線と鉛直反射線との線間距離があらかじめ定められた離隔閾値を上回るとき、オペレータに対して警告を出力する手段である。この場合、平面算出手段は、線間距離が離隔閾値を下回るときに3次元空間に配置される平面を算出する。
本願発明の反射面推定装置には、次のような効果がある。
(1)従来技術に比べて容易かつ高速に反射面強度のピーク点(水平特定点、鉛直特定点)を選定することができ、その結果、従来技術に比べて容易かつ高速にトンネル切羽前方に存在する反射面を推定することができる。
(2)従来技術に比べて容易かつ高速にトンネル切羽前方に存在する反射面を推定することができることから、迅速にトンネル掘削作業に反映させることができ、より効果的な対策を準備することができる。
(3)反射面強度のピーク点の選定作業が容易かつ短時間となった結果、疲労等による人為的ミスを抑制することができ、すなわち高品質の探査結果を提供することができる。
(a)は上方から見たトンネルの平面図、(b)はトンネルを鉛直断面で切断した断面図、(c)は坑口側から切羽側を見たトンネルの斜視図。 深度スライスの例を示すモデル図。 深度スライスを作成する主な工程の流れを示すフロー図。 弾性波探査により得られた波形を編集処理するためのUI図。 本願発明の反射面推定装置の主な構成を示すブロック図。 鉛直位置や水平位置、弾性波速度を指定するためのUI図。 本願発明の反射面推定装置を使用するときの主な処理の流れを示すフロー図。 確定水平特定点を確定するまでの主な処理の流れを示すフロー図。 確定鉛直特定点を確定するまでの主な処理の流れを示すフロー図。 平面算出手段が反射平面を算出するまでの主な処理の流れを示すフロー図。 本願発明の反射面推定装置を使用して作成された反射平面の一例を示すモデル図。 作成される多数の水平深度スライスを模式的に示すモデル図。
本願発明の反射面推定装置の実施の例を図に基づいて説明する。
1.定義
本願発明の反射面推定装置の実施形態の例を説明するにあたって、はじめにここで用いる用語の定義を示しておく。なお、ここまでに定義した用語に関しても、念のためここで繰り返し定義しておく。また、本願発明の反射面推定装置は3次元反射法による弾性波探査の結果を処理する技術であり、したがって特段の説明がない限り単に「弾性波探査」と記載する場合は「3次元反射法による弾性波探査」を意味する。
(反射面)
本願発明の反射面推定装置は、3次元反射法による弾性波探査の結果に基づいてトンネル切羽前方に存在する反射イベントを把握することがひとつの特徴であり、この反射イベントが断層や部分的な軟弱層の予測に寄与することができるわけである。既述したとおり3次元反射法による弾性波探査は、速度や密度が変化する地層境界面(すなわち反射イベント)で反射した波を観測する探査手法である。便宜上ここでは、このような地層境界面によって生じる反射イベントのことを「反射面」と、この反射面で反射した波のことを「反射波」と、そしてこの反射波の波としてのエネルギーのことを「反射面強度」ということとする。反射面強度としては、例えば、反射波の振幅や、波としての強度を表すものであって受信機が受信し得るその他の電気信号といった波のエネルギーを挙げることができる。
(トンネル3次元空間)
反射面は、当然ながら3次元の空間に配置される。そのため、便宜上ここでは図1に示すような直交3軸の座標系を設定したうえで説明することとし、この直交3軸の座標系によって形成される空間のことを「トンネル3次元空間」ということとする。図1は、トンネル3次元空間を説明するための図であり、(a)は上方から見たトンネルの平面図、(b)はトンネルを鉛直断面で切断した断面図、(c)は坑口側から切羽側を見たトンネルの斜視図である。図1に示すように、直交3軸のうちの第1軸はトンネルの軸(いわば掘削軸)に沿った「トンネル軸(図ではX軸)」であり、また第2軸はトンネル軸(X軸)に対して垂直であって水平に設定される「水平軸(図ではY軸)」であり、さらに第3軸はトンネル軸(X軸)に対して垂直であって鉛直に設定される「鉛直軸(図ではZ軸)」である。すなわちトンネル3次元空間は、トンネル軸(X軸)と水平軸(Y軸)、鉛直軸(Z軸)の直交3軸からなる座標系で設定される空間のことである。なお図1(b)に示すように、水平軸(Z=0)はスプリングラインSL位置に、鉛直軸(Y=0)はトンネル中心CL位置に設定するとよい。
(深度スライス)
3次元反射法で得られる立体的なデータセットの解析結果を立体的かつ視覚的に表現するため、深度方向に細かく刻んだそれぞれの位置で探査結果を表す断面図を作成し、この断面を重ねて表現することがある。ここではこの断面図のことを「深度スライス」ということとする。図2に示すようにこの深度スライスは、受信機が受信した反射波の反射点(反射面で反射した位置)を等高線(コンタ)のように連続させ、さらに反射強度の強弱に応じて彩色する(あるいは濃淡をつける)ことによって表現した2次元図である。
また、トンネルの切羽前方探査として3次元反射法による弾性波探査を行った場合、2種類の深度スライスを作成されることがあり、本願発明でも2種類の深度スライスを利用する。第1の深度スライスは、トンネル軸(X軸)と水平軸(Y軸)で設定される平面(X-Y平面)に表現される深度スライスであり、便宜上ここでは「水平深度スライス」ということとする。第2の深度スライスは、トンネル軸(X軸)と鉛直軸(Z軸)で設定される平面(X-Z平面)に表現される深度スライスであり、便宜上ここでは「鉛直深度スライス」ということとする。なお、水平深度スライスは鉛直方向(Z軸方向)に細かく刻んだそれぞれの位置(以下、「鉛直位置」という。)で作成され、鉛直深度スライスは水平方向(Y軸方向)に細かく刻んだそれぞれの位置(以下、「水平位置」という。)で作成され、さらに水平深度スライスと鉛直深度スライスは、異なる弾性波速度ごとに作成される。
深度スライスは、概ね図3に示す手順で作成される。まず、受信機で取得したデータ(波形)を計算機(コンピュータ)に読み込み(図3のStep10)、その波形の編集処理を行う。図4は、弾性波探査により得られた波形の編集を行うアプリ―ケーションの操作画面(UI:User Interface)の一例である。編集処理としては、人工震源(起震点)の座標や受信点の座標といったジオメトリを入力したり(図3のStep20)、直達波を除去したり(図3のStep30)、バンドパスフィルタ(図3のStep40)やtaupフィルタなどを利用してあるいは重合処理を行うことでS/N比(Signal to Noise ratio)を向上したり、弾性波の時系列データを周波数領域に変換するためのフーリエ変換などを実施する。そして編集処理が完了すると、差分マイグレーションやキルヒホッフマイグレーション、f-kマイグレーションといった手法を用いてマイグレーションを実行し(図3のStep50)、深度スライス(水平深度スライスと鉛直深度スライス)を画像形式のファイルとして出力する(図3のStep60)。ここで出力された深度スライスの画像ファイルは、後述する深度スライス記憶手段101に記憶される。
(特定点)
既述したように図2に示す深度スライスは、反射波の反射点を等高線のように連続させ、さらに反射強度の強弱に応じて彩色する(あるいは濃淡をつける)ことによって表現した2次元図である。そして、反射点を連続させた形状は楕円や円に近い曲線状となり、概ね同心円状に複数の曲線が描かれる。便宜上ここでは、この曲線のことを「反射面強度分布曲線」ということとする。また、反射強度の強弱に応じて彩色される(あるいは濃淡がつけられる)ことから、深度スライスを目視するとその中で反射強度が最大となるピーク点を確認することができる。便宜上ここでは、このピーク点のことを「特定点」ということとし、特に水平深度スライスで確認されるピーク点のことを「水平特定点」、特に鉛直深度スライスで確認されるピーク点のことを「鉛直特定点」ということとする。
水平深度スライスは「鉛直位置の数」と「弾性波速度の数」の積だけ作成され、それぞれ水平深度スライスは水平特定点を有することになるが、その中でも最大の反射強度を示す水平特定点が後続の処理に利用される。つまり、多数の水平深度スライスを確認していく中で、ひとまず暫定的に水平特定点を定めながら、最終的に水平特定点を確定することとなる。便宜上ここでは、暫定的に定められた水平特定点のことを「暫定水平特定点」、確定した水平特定点のことを「確定水平特定点」ということとする。同様に、暫定的に定められた鉛直特定点のことを「暫定鉛直特定点」、確定した鉛直特定点のことを「確定鉛直特定点」ということとする。また、暫定水平特定点と暫定鉛直特定点の総称を単に「暫定特定点」、確定水平特定点と確定鉛直特定点の総称を単に「確定特定点」ということとする。
(反射線)
特定点は、反射面強度分布曲線を構成する点であり、換言すれば特定点は、反射面強度分布曲線上に位置している。したがって、反射面強度分布曲線を数式で表すことができる所定の曲線(例えば、楕円や円など)に近似すれば、特定点を通る接線を設定することができる。便宜上ここでは、この接線のことを「反射線」ということとし、特に水平深度スライス上の水平特定点を通る反射線のことを「水平反射線」、特に鉛直深度スライス上の鉛直特定点を通る反射線のことを「鉛直反射線」ということとする。
(反射平面)
水平反射線と鉛直反射線はそれぞれ直交する平面内にあり、すなわち水平反射線はX-Y平面に、鉛直反射線はX-Z平面に配置される。そして、水平反射線と鉛直反射線が交差するとき、水平反射線と鉛直反射線が同時に配置される1の平面が決定する。もちろんこの平面はトンネル3次元空間(X軸-Y軸-Z軸)に配置されるものであり、便宜上ここではこの平面のことを特に「反射平面」ということとする。この反射平面は、地層境界面といった反射イベントに起因して設定されたものと考えることができ、したがってトンネル3次元空間に配置された反射平面は、すなわち「反射面」であって、断層や部分的な軟弱層といった地盤構造と考えることができるわけである。
2.反射面推定装置
次に、本願発明の反射面推定装置について説明する。図5は、本願発明の反射面推定装置100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本願発明の反射面推定装置100は、深度スライス記憶手段101と鉛直位置指定手段102、水平位置指定手段103、弾性波速度指定手段104、表示制御手段105、水平特定点指定手段106、鉛直特定点指定手段107、水平反射線設定手段108、鉛直反射線設定手段109、平面算出手段110、表示手段115を含んで構成され、さらに特定点解除手段111や特定点確定手段112、警告出力手段113、線間距離算出手段114などを含んで構成することもできる。
反射面推定装置100を構成する鉛直位置指定手段102と水平位置指定手段103、弾性波速度指定手段104、表示制御手段105、水平特定点指定手段106、鉛直特定点指定手段107、水平反射線設定手段108、鉛直反射線設定手段109、平面算出手段110、特定点解除手段111、特定点確定手段112、警告出力手段113、線間距離算出手段114(鉛直位置指定手段102~線間距離算出手段114)は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータを利用することもできる。例えば、鉛直位置指定手段102~線間距離算出手段114によって実行される各処理(機能)をひとつのアプリケーションソフトウェア(プログラム)として構築し、このプログラムをコンピュータに実行させる仕様とすることもできる。このコンピュータは、CPU等のプロセッサと、ROMやRAMといったストレージやメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを含むものもあり、タブレット型コンピュータ(iPad(登録商標)など)やスマートフォンといった携帯型端末機器、あるいはパーソナルコンピュータ(PC)やサーバーなどを例示することができる。コンピュータがディスプレイを有する場合は、このディスプレイを表示手段115として利用するとよい。
また、深度スライス記憶手段101は、コンピュータの記憶装置を利用することもできるし、そのほかデータベースサーバーに構築することもできる。データベースサーバーに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由(例えば、無線通信)で保存するクラウドサーバーとすることもできる。
以下、反射面推定装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
(深度スライス記憶手段)
深度スライス記憶手段101は、3次元反射法の弾性波探査によって取得された結果を記憶する手段であり、より具体的には図3を用いて説明した「深度スライスの画像ファイル」を記憶するものである。既述したとおり水平深度スライスは「鉛直位置の数」と「弾性波速度の数」の積だけ作成され、同様に、鉛直深度スライスは「水平位置の数」と「弾性波速度の数」の積だけ作成されることから、当然ながら深度スライス記憶手段101は、「鉛直位置の数」と「弾性波速度の数」の積だけ水平深度スライスを記憶し、「水平位置の数」と「弾性波速度の数」の積だけ鉛直深度スライスを記憶する。
(各指定手段)
鉛直位置指定手段102は水平深度スライスが作成された「鉛直位置」を、水平位置指定手段103は鉛直深度スライスが作成された「水平位置」を、弾性波速度指定手段104は「弾性波速度」を、それぞれオペレータ操作によって指定する手段である。オペレータ操作によって指定するにあたっては、図6に示すように表示手段115に表示された鉛直位置スクロールバー102Bと水平位置スクロールバー103B、弾性波速度スクロールバー104Bを利用するとよい。このようなUIを利用する場合、オペレータはポインティングデバイス(マウスやタッチパネル、ペンタブレット、タッチパッド、トラックパッド、トラックボールなど)でスライダーをスライドし、所望の鉛直位置や水平位置、弾性波速度を指定する。そのためオペレータは、直感的かつ容易に指定操作を行うことができるわけである。もちろんスクロールバーを利用するほか、キーボード等を利用して数値を直接入力する仕様や、「次へ」と「前へ」といったボタンを押下する仕様、深度スライスを自動的に連続表示し「STOP」ボタンを押下したときにその深度スライスで停止する仕様など、種々の手法を採用することもできる。
(表示制御手段)
表示制御手段105は、深度スライス記憶手段101から読み出した深度スライスを表示手段115に表示させる手段である。より詳しくは、鉛直位置指定手段102によって指定された「鉛直位置」と弾性波速度指定手段104によって指定された「弾性波速度」をもって深度スライス記憶手段101に照会し、該当する「水平深度スライス」を読み出して表示手段115に表示させる。同様に、水平位置指定手段103によって指定された「水平位置」と弾性波速度指定手段104によって指定された「弾性波速度」をもって深度スライス記憶手段101に照会し、該当する「鉛直深度スライス」を読み出して表示手段115に表示させる。したがって図6に示すUIを利用する場合、鉛直位置スクロールバー102Bのスライダー操作に応じて瞬間的に表示される水平深度スライスが変更され、水平位置スクロールバー103Bのスライダー操作に応じて瞬間的に表示される鉛直深度スライスが変更され、いわば電子紙芝居のように連続的に深度スライスが遷移していく。なお、弾性波速度スクロールバー104Bのスライダーを操作すると、水平深度と鉛直深度スライスの両方が同時に変更される。
(特定点指定手段)
水平特定点指定手段106は「水平特定点」を、鉛直特定点指定手段107は「鉛直特定点」を、それぞれオペレータ操作によって指定する手段である。より詳しくは、オペレータが表示手段115に表示された水平深度スライスを目視しながら反射強度が最大となるピーク点を探索し、ポインティングデバイスなどを用いて水平特定点を指定する。同様に、オペレータが表示手段115に表示された鉛直深度スライスを目視しながら反射強度が最大となるピーク点を探索し、ポインティングデバイスなどを用いて鉛直特定点を指定する。もちろんオペレータがいわば手入力で特定点を指定する仕様に代えて、従来用いられている種々の画像認識技術を用いて自動的に反射強度が最大となるピーク点を抽出して水平特定点や鉛直特定点とする仕様にすることもできる。
(反射線設定手段)
水平反射線設定手段108は「水平反射線設」を、鉛直反射線設定手段109は「鉛直反射線設」を、それぞれ設定する手段である。反射線設を設定するにあたっては、手動設定あるいは自動設定とすることができる。手動設定とする場合、オペレータが表示手段115に表示された水平深度スライスを目視しながら、水平特定点における反射面強度分布曲線の接線となるようにポインティングデバイスなどを用いて水平反射線を手動で設定し、同様に、オペレータが表示手段115に表示された鉛直深度スライスを目視しながら、鉛直特定点における反射面強度分布曲線の接線となるようにポインティングデバイスなどを用いて鉛直反射線を手動で設定する。
一方、自動設定とする場合、例えば水平特定点が指定されたタイミングで、水平深度スライスのうち水平特定点に係る反射面強度分布曲線を数式で表すことができる所定の曲線(例えば、楕円や円など)に近似するとともに、水平特定点における反射面強度分布曲線の接線を水平反射線として算出し、表示手段115に表示する。同様に、鉛直特定点が指定されたタイミングで、鉛直深度スライスのうち鉛直特定点に係る反射面強度分布曲線を所定の曲線に近似するとともに、鉛直特定点における反射面強度分布曲線の接線を鉛直反射線として算出し、表示手段115に表示する。
(平面算出手段)
平面算出手段110は、水平反射線と鉛直反射線に基づいて、トンネル3次元空間(X軸-Y軸-Z軸)に配置される「反射平面」を算出する手段である。既述したとおり、水平反射線はX-Y平面に、鉛直反射線はX-Z平面にそれぞれ配置され、水平反射線と鉛直反射線が交差するとき、水平反射線と鉛直反射線が同時に配置される1の平面が決定するため、幾何学的に反射平面を算出することができる。なお、水平反射線と鉛直反射線が交差せず、つまり水平反射線と鉛直反射線との間に離隔(以下、「線間距離」という。)が生じている場合、水平反射線と鉛直反射線のいずれか(あるいは両方)を交差するまで平行移動(反射線の方向を維持したまま移動)したうえで、反射平面を算出するとよい。
ところでオペレータは、原則として、水平特定点に係る反射面強度分布曲線に対応する反射面強度分布曲線の中から鉛直特定点を指定する。しかしながら、オペレータの操作ミスによって誤った鉛直特定点(あるいは水平特定点)を指定することがあり、この場合は水平反射線と鉛直反射線との間に大きな離隔が生じ、すなわち線間距離が大きな値を示すことがある。そこで、オペレータに注意を促すべく警告出力手段113が警告情報を出力する仕様とすることができる。具体的には警告出力手段113が、線間距離算出手段114によって算出された線間距離とあらかじめ定めた閾値(以下、「離隔閾値」という。)を照らし合わせ、線間距離が離隔閾値を上回るときは警告情報を出力する。このとき平面算出手段110は反射平面を算出せず、線間距離が離隔閾値を下回るときのみ反射平面を算出する仕様とすることもできる。なお警告情報としては、表示手段115に表示される文字情報や、音声情報、振動情報など、種々の形式の情報とすることができる。
(特定点解除手段と特定点確定手段)
既述したとおり、多数の水平深度スライスを確認していく中でひとまず暫定水平特定点を定めながら最終的に確定水平特定点を決定し、多数の鉛直深度スライスを確認していく中でひとまず暫定鉛直特定点を定めながら最終的に確定鉛直特定点を決定することとなる。つまり、暫定水平特定点や暫定鉛直特定点は、あくまで暫定的なものであって随時変更していく可能性があるわけである。一方、水平特定点指定手段106や鉛直特定点指定手段107によって複数の暫定水平特定点や暫定鉛直特定点が指定されると、確定水平特定点や確定鉛直特定点を決定する際に混乱が生じる。そこで、暫定水平特定点や暫定鉛直特定点を変更する際、すなわち新たに暫定水平特定点や暫定鉛直特定点を指定する際には、オペレータが特定点解除手段111を操作することによってそれまでの暫定水平特定点や暫定鉛直特定を取り消した(つまり、特定点の指定状態を解除した)うえで、新たに暫定水平特定点や暫定鉛直特定点を指定するとよい。具体的には、図6に示すように表示手段115に表示された「取消しボタン111B」を、オペレータがポインティングデバイスなどを用いて押下することによって、それまでの暫定水平特定点や暫定鉛直特定を取り消すことができる。そして、新たに暫定水平特定点や暫定鉛直特定点を指定するわけである。
最終的に確定水平特定点と確定鉛直特定点を決定するときは、オペレータが特定点確定手段112を操作することによって決定する。具体的には、図6に示すように表示手段115に表示された「okボタン112B」を、オペレータがポインティングデバイスなどを用いて押下することによって、そのときの暫定水平特定点が確定水平特定点として確定し、そのときの暫定鉛直特定が確定鉛直特定点として確定することができる。そして、この確定水平特定点に対して水平反射線が設定され、この鉛直反射線に対して鉛直反射線が設定されるわけである。
(表示手段)
表示手段115は、図6に示すように鉛直位置スクロールバー102Bや水平位置スクロールバー103B、弾性波速度スクロールバー104B、取消しボタン111B、okボタン112Bとともに、鉛直位置や水平位置、弾性波速度などを表示するものである。また表示手段115は、この図に示すように水平深度スライスと鉛直深度スライスを同時に表示することもできる。なおこの図では、左側に水平深度スライスを表示し、右側に鉛直深度スライスを表示している。さらに表示手段115は、現在確認中の水平深度スライスとそれまでの暫定水平特定点に係る水平深度スライスを同時に(例えば上下に)表示することもできる。これにより、これまでの暫定水平特定点と今回の水平特定点とを容易に比較することができ、暫定水平特定点を変更するか否かの判断に寄与することができる。もちろん鉛直深度スライスに関しても同様に表示することができ、この場合、左側(あるいは右側)の上下に2つの水平深度スライスを表示するとともに、右側(あるいは左側)の上下に2つの鉛直深度スライスを表示するとよい。
(処理の流れ)
続いて、図7を参照しながら本願発明の反射面推定装置100を使用するときの主な処理の流れについて説明する。図7は、反射面推定装置100の主な処理の流れを示すフロー図である。なおこのフロー図では、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生ずる出力情報を示している。
はじめに、例えば図3に示す手順で深度スライスの画像ファイルを作成し、これら深度スライスの画像ファイルを深度スライス記憶手段101に記憶させる。そのうえで、例えば図6に示す弾性波速度スクロールバー104Bをオペレータが操作することによって弾性波速度を指定する(図7のStep210)。
弾性波速度を指定すると、確定水平特定点を確定し(図7のStep220)、確定鉛直特定点を確定する(図7のStep230)。なお、図7では確定水平特定点~確定鉛直特定点の順で確定する流れとしているが、もちろん確定鉛直特定点~確定水平特定点の順で確定することもできる。以下、図8を参照しながら確定水平特定点を確定するまでの処理の流れについて説明する。このフロー図も、図7と同様、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生ずる出力情報を示している。
弾性波速度を指定すると、例えば図6に示す鉛直位置スクロールバー102Bをオペレータが操作することによって鉛直位置を指定する(図8のStep221)。これにより、表示制御手段105が該当する水平深度スライスを深度スライス記憶手段101から読み出して表示手段115に表示させ(図8のStep222)、オペレータがその水平深度スライスを目視しながら水平特定点を指定する。このとき、既に指定された暫定水平特定点に代えて、今回表示された水平深度スライスに係る水平特定点を暫定水平特定点とするときは(図8のStep223のYes)、例えば図6に示す取消しボタン111Bをオペレータが押下することでそれまでの暫定水平特定点を取り消し(図8のStep224)、そのうえで新たに暫定水平特定点を指定する(図8のStep225)。一方、既に指定された暫定水平特定点を維持するときは(図8のStep223のNo)、次の処理(図8のStep226)に進む。なお、まだ暫定水平特定点が指定されていないときは、特定点の変更判断処理(図8のStep223)と特定点の解除処理(図8のStep224)を省略して、暫定水平特定点を指定する(図8のStep225)。
予定したすべての鉛直位置に対して一連の処理(図8のStep221~図8のStep225)が実行されていないときは(図8のStep223のNo)、鉛直位置を変更したうえで(図8のStep221)、引き続き一連の処理(図8のStep222~図8のStep225)を実行していく。一方、予定したすべての鉛直位置に対して一連の処理(図8のStep221~図8のStep225)が実行されると(図8のStep227のYes)、例えば図6に示すokボタン112Bをオペレータが押下することでそのときの暫定水平特定点を確定水平特定点として確定する(図8のStep225)。
確定水平特定点を確定すると、図9に示す手順で定鉛直特定点の順で確定する。以下、図9を参照しながら確定鉛直特定点を確定するまでの処理の流れについて説明する。このフロー図も、図7や図8と同様、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生ずる出力情報を示している。
確定水平特定点を確定すると、例えば図6に示す水平位置スクロールバー103Bをオペレータが操作することによって水平位置を指定する(図9のStep231)。これにより、表示制御手段105が該当する鉛直深度スライスを深度スライス記憶手段101から読み出して表示手段115に表示させ(図9のStep232)、オペレータがその鉛直深度スライスを目視しながら鉛直特定点を指定する。このとき、既に指定された暫定鉛直特定点に代えて、今回表示された鉛直深度スライスに係る鉛直特定点を暫定鉛直特定点とするときは(図9のStep233のYes)、例えば図6に示す取消しボタン111Bをオペレータが押下することでそれまでの暫定鉛直特定点を取り消し(図9のStep234)、そのうえで新た暫定鉛直特定点を指定する(図9のStep235)。一方、既に指定された暫定鉛直特定点を維持するときは(図9のStep233のNo)、次の処理(図9のStep236)に進む。なお、まだ暫定鉛直特定点が指定されていないときは、特定点の変更判断処理(図9のStep233)と特定点の解除処理(図9のStep234)を省略して、暫定鉛直特定点を指定する(図9のStep235)。
予定したすべての鉛直位置に対して一連の処理(図9のStep231~図9のStep235)が実行されていないときは(図9のStep233のNo)、水平位置を変更したうえで(図9のStep231)、引き続き一連の処理(図9のStep232~図9のStep235)を実行していく。一方、予定したすべての鉛直位置に対して一連の処理(図9のStep231~図9のStep235)が実行されると(図9のStep237のYes)、例えば図6に示すokボタン112Bをオペレータが押下することでそのときの暫定鉛直特定点を確定鉛直特定点として確定する(図9のStep235)。
予定したすべての弾性波速度に対して一連の処理(図7のStep210~図7のStep230)が実行されていないときは(図7のStep240のNo)、弾性波速度を変更したうえで(図7のStep210)、引き続き一連の処理(図7のStep220~図7のStep230)を実行していく。一方、予定したすべての弾性波速度に対して一連の処理(図7のStep210~図7のStep230)が実行されると(図7のStep240のYes)、水平反射線設定手段108によって水平反射線設が設定されるとともに鉛直反射線設定手段109によって鉛直反射線設が設定され(図7のStep250)、そして平面算出手段110がトンネル3次元空間に配置される反射平面を算出する(図7のStep260)。
以下、図10を参照しながら平面算出手段110が反射平面を算出するまでの処理の流れについて説明する。このフロー図も、図7~図9と同様、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生ずる出力情報を示している。水平反射線設定手段108によって水平反射線設が設定され、鉛直反射線設定手段109によって鉛直反射線設が設定されると、線間距離算出手段114が水平反射線設とて鉛直反射線設の線間距離を算出する(図10のStep271)。そして、線間距離が離隔閾値を上回るときは(図10のStep272のYes)、警告出力手段113が文字情報や、音声情報、振動情報などによって警告情報を出力する(図10のStep273)。一方、線間距離が離隔閾値を下回るときは(図10のStep272のNo)、平面算出手段110によって反射平面が算出される(図7のStep260)。図11に、本願発明の反射面推定装置100を使用して作成された反射平面の一例を示す。この図に示すように本願発明の反射面推定装置100は、同一の弾性波探査結果に基づいて、反射面強度分布曲線ごとに複数(この図では2つ)の反射平面を算出することができる。
本願発明の反射面推定装置は、道路トンネルや鉄道トンネルのほか、人道トンネルなど様々なトンネル掘削に利用することができる。本願発明によれば、トンネル切羽を安定した状態で掘削することによって高い品質のトンネルを完成させることができ、しかも早々にトンネルを共用することができるとともに、作業者の安全を確保したうえで施工することができることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
100 本願発明の反射面推定装置
101 (反射面推定装置の)深度スライス記憶手段
102 (反射面推定装置の)鉛直位置指定手段
102B (鉛直位置指定手段の)鉛直位置スクロールバー
103 (反射面推定装置の)水平位置指定手段
103B (水平位置指定手段の)水平位置スクロールバー
104 (反射面推定装置の)弾性波速度指定手段
104B (弾性波速度指定手段の)弾性波速度スクロールバー
105 (反射面推定装置の)表示制御手段
106 (反射面推定装置の)水平特定点指定手段
107 (反射面推定装置の)鉛直特定点指定手段
108 (反射面推定装置の)水平反射線設定手段
109 (反射面推定装置の)鉛直反射線設定手段
110 (反射面推定装置の)平面算出手段
111 (反射面推定装置の)特定点解除手段
111B (特定点解除手段の)取消しボタン
112 (反射面推定装置の)特定点確定手段
112B (特定点確定手段の)okボタン
113 (反射面推定装置の)警告出力手段
114 (反射面推定装置の)線間距離算出手段
115 (反射面推定装置の)表示手段
CL トンネル中心
SL スプリングライン

Claims (6)

  1. 3次元反射法の弾性波探査によって取得された反射面強度を平面図に表した深度スライスに基づいて、トンネルの軸方向に設定されるトンネル軸、該トンネル軸に直交する水平な水平軸、及び該トンネル軸に直交する鉛直な鉛直軸からなる3次元空間上でトンネル切羽前方の反射面を推定する装置であって、
    前記深度スライスは、前記トンネル軸と前記水平軸で設定される平面図に前記反射面強度を表した水平深度スライスと、該トンネル軸と前記鉛直軸で設定される平面図に前記反射面強度を表した鉛直深度スライスと、によって構成され、
    前記鉛直軸上の複数位置でそれぞれ複数種類の弾性波速度ごとに作成された前記水平深度スライスを記憶するとともに、前記水平軸上の複数位置でそれぞれ複数種類の弾性波速度ごとに作成された前記鉛直深度スライスを記憶する深度スライス記憶手段と、
    オペレータ操作によって、前記鉛直軸上の位置を指定する鉛直位置指定手段と、
    オペレータ操作によって、前記水平軸上の位置を指定する水平位置指定手段と、
    オペレータ操作によって、弾性波速度を指定する弾性波速度指定手段と、
    前記鉛直位置指定手段によって指定された位置であって前記弾性波速度指定手段で指定された弾性波速度に係る前記水平深度スライスを前記深度スライス記憶手段から読み出して表示手段に表示させるとともに、前記水平位置指定手段によって指定された位置であって該弾性波速度指定手段で指定された弾性波速度に係る前記鉛直深度スライスを該深度スライス記憶手段から読み出して該表示手段に表示させる表示制御手段と、
    オペレータ操作によって、前記表示手段に表示された前記水平深度スライス上にオペレータが選択した水平特定点を指定する水平特定点指定手段と、
    オペレータ操作によって、前記表示手段に表示された前記鉛直深度スライス上にオペレータが選択した鉛直特定点を指定する鉛直特定点指定手段と、
    前記水平深度スライスに表された前記反射面強度の分布と、前記水平特定点と、に基づいて該水平深度スライス上に水平反射線を設定する水平反射線設定手段と、
    前記鉛直深度スライスに表された前記反射面強度の分布と、前記鉛直特定点と、に基づいて該鉛直深度スライス上に鉛直反射線を設定する鉛直反射線設定手段と、
    前記水平反射線と前記鉛直反射線とに基づいて、前記3次元空間に配置される平面を算出する平面算出手段と、を備え、
    前記平面算出手段によって算出された前記平面が、トンネル切羽前方の前記反射面として推定可能である、
    ことを特徴とする反射面推定装置。
  2. オペレータが、前記反射面強度の分布と前記水平特定点を目視しながら、前記水平反射線設定手段を用いて前記水平反射線を設定し、
    オペレータが、前記反射面強度の分布と前記鉛直特定点を目視しながら、前記鉛直反射線設定手段を用いて前記鉛直反射線を設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の反射面推定装置。
  3. 前記水平反射線設定手段は、前記反射面強度の分布曲線の前記水平特定点における接線となるように前記水平反射線を設定し、
    前記鉛直反射線設定手段は、前記反射面強度の分布曲線の前記鉛直特定点における接線となるように前記鉛直反射線を設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の反射面推定装置。
  4. オペレータが前記表示手段に表示された鉛直位置スクロールバーを操作すると、前記鉛直位置指定手段によって該鉛直位置スクロールバーの位置に対応する前記鉛直軸上の位置が指定され、
    オペレータが前記表示手段に表示された水平位置スクロールバーを操作すると、前記水平位置指定手段によって該水平位置スクロールバーの位置に対応する前記水平軸上の位置が指定され、
    オペレータが前記表示手段に表示された弾性波速度スクロールバーを操作すると、前記弾性波速度指定手段によって該弾性波速度スクロールバーの位置に対応する弾性波速度が指定され、
    前記表示制御手段は、前記鉛直位置スクロールバーの位置、前記水平位置スクロールバーの位置、及び前記弾性波速度スクロールバーの位置に応じて、前記表示手段に表示させる前記水平深度スライスと前記鉛直深度スライスを変更する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の反射面推定装置。
  5. オペレータ操作によって、既に指定された前記水平特定点の指定状態を解除し、既に指定された前記鉛直特定点の指定状態を解除する特定点解除手段と、
    前記水平特定点指定手段によって指定された前記水平特定点と、前記鉛直特定点指定手段によって指定された前記鉛直特定点と、をオペレータ操作によって確定する特定点確定手段と、をさらに備え、
    前記水平特定点指定手段は、前記特定点解除手段によって前記水平特定点の指定状態が解除されると、新たな前記水平特定点の指定が可能であり、
    前記鉛直特定点指定手段は、前記特定点解除手段によって前記鉛直特定点の指定状態が解除されると、新たな前記鉛直特定点の指定が可能であり、
    前記平面算出手段は、前記特定点確定手段によって確定された前記水平特定点に係る前記水平反射線と、該特定点確定手段によって確定された前記鉛直特定点に係る前記鉛直反射線と、に基づいて前記3次元空間に配置される前記平面を算出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の反射面推定装置。
  6. 前記3次元空間上に配置された前記水平反射線と前記鉛直反射線との線間距離があらかじめ定められた離隔閾値を上回るとき、オペレータに対して警告を出力する警告出力手段を、さらに備え、
    前記平面算出手段は、前記線間距離が前記離隔閾値を下回るとき、前記3次元空間に配置される前記平面を算出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の反射面推定装置。
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