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JP7624323B2 - 積層体および積層体の製造方法 - Google Patents
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Description

本開示は、積層体および積層体の製造方法に関する。
アルミニウム形材は、その加工の容易さおよび軽量という特性から、建材の部材として多く用いられている。しかし、建材が大型であり、部材が長尺となる場合、風や積雪によってアルミニウム形材が大きくたわむ場合がある。そのため、長尺なアルミニウム形材を建材に用いる場合、たわみを抑制するために何らかの方法で剛性を向上させる必要がある。
アルミニウム形材の剛性を向上させる方法として、アルミニウムよりヤング率の高い材料での補強が行われており、その一例として、アルミニウム形材への炭素繊維強化樹脂(CFRP)の接合が挙げられる。CFRPは高剛性で軽量という特徴を持ち、アルミニウム形材に接合することで重量の増加を抑えながら部材の剛性を向上させることができる。
例えば、特許文献1には、アルミニウム層と、アルミニウム層に隣接する、ガラス繊維強化熱可塑性プリプレグ層を含むガラス複合層と、ガラス複合層に隣接するとともに、アルミニウム層の反対側に位置する炭素繊維強化熱可塑性プリプレグ層を含む炭素複合層と、を含む積層構造体が開示されている。
特開2018-103617号
アルミニウム形材はイオン化傾向が大きく、炭素繊維のように標準単極電位が高い異素材と接合した場合、アルミニウムが酸化され腐食(電食)が生じる場合がある。特許文献1に記載されているように、アルミニウム形材と炭素繊維複合材との界面にガラス複合層のような絶縁層を挟むことで電食を防ぐことができる。しかしながら、このような絶縁層を使用する場合、コスト面で不利になる。
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、アルミニウム形材と炭素繊維強化樹脂との複合材料において、低コストでアルミニウムの電食を抑制できる技術を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様は積層体である。この積層体は、
アルミニウムを含む基材と、
基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂を含む被膜と、
被膜上に配置された炭素繊維強化樹脂層と、
を含む。
本発明の第1実施形態の積層体を説明するための概略断面図である。 実施例および比較例のサンプルの電食試験の結果を示すグラフである。 電食試験前の比較例のサンプル、並びに電食試験後の比較例および実施例のサンプルの画像である。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の積層体10は、基材12と、被膜14と、炭素繊維強化樹脂層16と、を含む。
基材12は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウムを含む材料から構成されている。例えば、基材12は、アルミニウム合金を押出成形することによって製造することができる。基材の耐食性および耐摩耗性を高めるために、基材の表面を化学処理してもよい。例えば、基材を陽極酸化処理して、基材の表層に酸化皮膜(アルマイト皮膜)を形成してもよい。
被膜14は、基材12上に形成されており、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂の緻密な被膜によって、基材12と炭素繊維強化樹脂層16との間の短絡を防ぎ、基材12の電食を防ぐことができる。また、被膜14を熱硬化性樹脂によって形成することで、膜厚が薄くても電食を防止することができ、この点で、ガラス複合層などの絶縁層を用いる方法と比べて低コストである。また、熱硬化性樹脂は熱に強く、熱硬化性樹脂を用いることで、屋外環境でも耐えられる密な被膜を形成することができる。このことから、積層体10は、屋外環境下での長期使用に耐えることができる。
被膜14を構成する熱硬化性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル・メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。電食をより防ぐことができる密な被膜を形成できるという観点から、熱硬化性樹脂としては、アクリル・メラミン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
被膜14は、例えば、熱硬化性樹脂含む塗料で基材12の表面を塗装して被膜を形成し、その後、被膜を焼き付けることによって形成することができる。塗装方法は、熱硬化性樹脂による密な被膜を形成できれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。そのような塗装方法の例としては、スプレー塗装、電着塗装等が挙げられる。
被膜14の厚さは、電食を確実に防ぐという観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、3μm以上200μm以下であることがより好ましく、7μm以上100μm以下であることがさらにより好ましい。
炭素繊維強化樹脂層16は、被膜14上に配置され、被膜14を介して基材12を補強している。炭素繊維強化樹脂層16の厚さは、積層体10の用途に応じて適宜調整できる。また、図1では炭素繊維強化樹脂層16は1層であるが、2層以上であってもよい。炭素繊維強化樹脂層16が2層以上である場合、それぞれの層を同じ種類の炭素繊維強化樹脂で形成してもよいし、異なる種類の炭素繊維強化樹脂を組み合わせて形成してもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の積層体の製造方法は、アルミニウムを含む基材の表面に、熱硬化性樹脂を含む被膜を形成し、被膜を焼き付け、硬化した被膜上に炭素繊維強化樹脂層を配置する。この製造方法によれば、基材の表面に熱硬化性樹脂の緻密な被膜を形成することができ、このような被膜によって、基材の電食を防ぐことができる。
基材の表面への被膜の形成手段は、均一な被膜を形成することができるものであれば特に限定されない。例えば、被膜を構成する熱硬化性樹脂を含む塗料を用いて基材表面を塗装することによって、被膜を形成することができる。より密な被膜を形成して、基材の電食の抑制効果を高めるという観点から、被膜14を、電着塗装およびスプレー塗装のいずれかによって形成することが好ましい。
被膜上への炭素繊維強化樹脂層の配置にあたって、両面テープ、カシメ等の機械的接合および接着剤のいずれかを使用して被膜と炭素繊維樹脂層とを接合してもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態の建材は、第1実施形態の積層体を含む。アルミニウムを含む基材の電食が抑制されている積層体を用いることによって、屋外環境で長期使用に耐えうる建材を低コストで提供できる。また、積層体において炭素繊維強化樹脂層によって基材が補強されていることから、本実施形態の建材は、風雪によるたわみが抑制された大型の建材として好適である。
以下、本開示を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本開示を何ら限定するものではない。
(サンプルの作製)
アルミニウム6063合金を用いて、W30×H80×t2mmの平板であるアルミニウム形材を作製した。この形材に、アクリル・メラミン系の電着塗料を用いて電着塗装した。その後、形成された塗膜を200℃で30分加熱することによって、実施例のサンプルを得た。実施例のサンプルの塗膜の厚さは、10μmであった。
また、実施例で使用したものと同じアルミニウム形材の表面に、陽極酸化処理によって酸化アルミニウム皮膜を形成して、比較例のサンプルを得た。
東レ製トレカラミネートによって、上記アルミニウム形材と同じサイズの平板であるCFRPサンプルを作製した。
(電食試験)
電食試験は、参考文献:境昌宏,坂本千波,「NaCl溶液中における純アルミニウム1050とCFRPとのガルバニック腐食挙動」,材料と環境,2015年6月,第64巻,第6号,p.224-227を参考にして行った。腐食部分の面積をアルミ形材サンプル間で一定にするため、穴の開いたビニールテープで実施例および比較例のサンプルを覆った。穴の直径は19mmとした。セメント中(弱アルカリ性雰囲気)での使用を想定した試験とするため、飽和水酸化カルシウム水溶液(pH:12)をディスポーザブルカップ中に作成した。試験サンプルとCFRPのサンプルをクリップで挟み、飽和水酸化カルシウム水溶液に浸漬した。液温は室温(23℃)、両者の間隔は約5cmとした。
試験サンプルとCFRPを無抵抗電流計を介して短絡させた。飽和水酸化カルシウム水溶液を、スターラーを用いて250rpmで撹拌した。データロガーを用い、アルミニウム形材とCFRP間に流れる電流を測定した。試験後の実施例および比較例のサンプルを目視で観察し、電食の状態を確認した。電流測定の結果を図2に示す。また、試験前後の比較例のサンプル、および試験後の実施例のサンプルの画像を図3に示す。
図2に示すように、比較例では試験開始30分後から電流が流れ始めた。比較例では、最初に0.1mA程度まで電流値が上昇した後0.04mA程度まで低下し、その後再び0.1mA程度まで上昇した。実施例では、200分後でも電流は流れなかった。実施例のサンプルについて、電流測定をさらに続けたところ、3000分後でも電流は流れなかったことを確認した。図3に示すように、比較例の160分試験後サンプルでは表面に凹凸が生じ、灰色の生成物が付着していた。上記参考文献から、この生成物は水酸化アルミニウム(Al(OH))と考えられる。また、図3に示すように、実施例の3000分試験後サンプルでは、表面の変化が見られなかった。
以上に示すように、比較例では電食が激しく進行したが、実施例では電食が抑えられていた。原因として、比較例では酸化アルミニウムの層が露出しているためCFRPによる電食が進行するが、実施例では樹脂の塗膜層がアルミニウム形材を被覆しているため、電食が抑えられたと考えられる。また、比較例で電流値が上昇した後に低下した原因として、生成した水酸化アルミニウムがアルミニウム形材表面に付着し、絶縁効果を生じたためと考えられる。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以上の実施形態により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の積層体は、第1実施形態において、被膜の厚さが7μm以上100μm以下である。この態様によれば、被膜による基材の電食の抑制効果をより高めることができる。
第3態様の積層体は、第1実施形態および第2態様のいずれかにおいて、熱硬化性樹脂が、アクリル・メラミン樹脂、ポリエステル樹脂からなる群より選択される。この態様によれば、より密な被膜を形成でき、その結果、基材の電食をより防ぐことができる。
第4態様の積層体の製造方法は、アルミニウムを含む基材の表面に、熱硬化性樹脂を含む被膜を形成し、被膜を加熱によって硬化させ、硬化した被膜上に炭素繊維強化樹脂層を配置する。この態様によれば、基材の表面に熱硬化性樹脂の緻密な被膜を形成することができ、このような被膜によって、基材の電食を防ぐことができる。
第5態様の積層体の製造方法は、第4態様において、被膜の形成を、電着塗装およびスプレー塗装のいずれかによって行う。この態様によれば、より密な被膜を形成して、基材の電食の抑制効果を高めることができる。
第6態様の建材は、第1実施形態、第2態様および第3態様のいずれかの積層体を含む。この態様によれば、屋外環境での長期使用に耐えうる建材を低コストで提供できる。
10 積層体、 12 基材、 14 被膜、 16 炭素繊維強化樹脂層。

Claims (7)

  1. アルミニウムを含む基材と、
    前記基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂を含む被膜と、
    前記被膜上に配置された炭素繊維強化樹脂層と、
    を含み、
    前記被膜は、スプレー塗装および電着塗装のいずれかによって形成され、
    前記被膜は、金属粒子、金属間化合物粒子、導電性酸化物粒子および酸化物セラミクス粒子からなる群より選択される導電性粒子を含まず、
    前記基材と前記炭素繊維強化樹脂層との間に、現場重合型フェノキシ樹脂を含む層を含まないことを特徴とする積層体。
  2. 前記被膜の厚さが1μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記熱硬化性樹脂が、アクリル・メラミン樹脂、ポリエステル樹脂からなる群より選択されることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の積層体。
  4. 前記積層体は、前記被膜と前記炭素繊維強化樹脂層との間に、絶縁層を含まないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. アルミニウムを含む基材の表面に、スプレー塗装および電着塗装のいずれかによって熱硬化性樹脂を含む被膜を形成し、前記被膜を焼き付け、硬化した被膜上に炭素繊維強化樹脂層を配置し、前記被膜は、金属粒子、金属間化合物粒子、導電性酸化物粒子および酸化物セラミクス粒子からなる群より選択される導電性粒子を含まないことを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記積層体は、前記被膜と前記炭素繊維強化樹脂層との間に、絶縁層を含まないことを特徴とする請求項に記載の積層体の製造方法。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の積層体を含む建材。
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