発明者らは、今般、種々の標的に対する抗体が、ヒト化され得るだけでなく、抗原親和性に関して概念的に単純且つ効果的に向上し得ることを発見した。例えば、そして以下でより詳細に説明されるように、発明者らは、マウスの抗核抗体を、親和性が実質的に向上したヒト化抗体に変換した。
より詳細には、そして所望のマウス抗体(例えば、ssDNAに結合するマウス抗体)に基づいて、アミノ酸同一性が最も高い対応するヒト抗体配列を、抗体データベースにおいて同定した。最も典型的には、適切なヒト抗体配列は、所定の最小限の同一性が、CDRを除外して、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、又は少なくとも96%となることとなる。一旦同定されると、VH及びVLについてのマウスCDRは次に、ヒト配列中にグラフトされることによって、当該技術において周知の従来の方法を用いて、キメラVH及びVL配列が得られる。勿論、そのようなグラフト工程は、実際のキメラ配列が実験に必要とされない場合、インビトロ又はインシリコでなされ得ることが理解されるべきである。次に、グラフトの方法に関係なく、必要に応じて、キメラVH及びVL配列を、親和性成熟又は他の向上用のベース構造として用いて、scFv-ハイブリッドが生成される。再度、実際の核酸部分、又は当該技術において知られている配列情報からscFvを製造する多数の方法があり、そのようなscFvを生成する方法は全て、本明細書中での使用に適しているとみなされる。とりわけ好ましい面において、scFvは、所望の親和性又は他の分子の性質を有する変異体の迅速な同定及びクローン増幅を許容する選択系に融合される。例えば、本明細書中での使用に適した選択系として、種々のファージパニング系(例えば、pIII、pVIII、pIXに基づく)及びRNAディスプレイ系(例えば、ピューロマイシン結合ベースのもの)が挙げられ、そして親和性成熟、及び選択されたクローズ(closes)の単離の知られている方法が全て、本明細書中での使用に適しているとみなされることが理解されるべきである。したがって、クローン選択及び/又は親和性成熟は、CDR及び/又はフレームワーク領域の少なくとも1つを標的とする断続的な部位特異的突然変異誘発の1つ以上の工程を含んでよい。
本発明の主題の更なる面において、発明者らは、親和性が、そして生体利用性/吸収ですら、H-CDR3部分のみを修飾することによって向上し得ることに注目した。特に、発明者らは、単回のアミノ酸スキャニングを実行して、選択された突然変異体が、以下でもより詳細に示されるように、結合が実質的に増大していることを発見した。有利には、そのような突然変異誘発は、完全長抗体(典型的にはIgG)を試験するのではなく、scFvフォーマットを用いてなされ得る。容易に理解されるように、scFvの、親和性が向上したキメラVH及びVL配列は、次に、ヒト抗体配列中にグラフトされるので、親和性が最適化されたヒト化抗体が得られ得る。次に、調製されたヒト化親和性向上抗核抗体を、以下でもより詳細に示されるように、適切且つ選択的な結合を確認するための種々のアッセイで試験した。
このように調製された抗体の意図される使用に関して、本明細書中に示される抗核抗体は、壊死の、そしてとりわけ、腫瘍微環境内の壊死細胞を標的とするのに、特に有益であることが理解されるべきである。免疫回避の種々の機構を促進する腫瘍微環境が、多くの場合、標的化が困難な環境(例えば、NK細胞の活性を引き下げる低酸素、EMTを促進する栄養素及び酸素の欠乏等)であるので、微環境に対する種々の免疫刺激因子の特異的な送達及び保持が、免疫治療に特に有益であると思われる。
その点に関して、用語「アポトーシス」及び「壊死」は、本明細書中で互換的に用いられず、細胞死の互いに異なる主に2つの機構及び経路を指すことが理解されるべきである。アポトーシスは、特殊なシグナル伝達事象及び段階的な細胞閉鎖(例えば、ブレブ形成、細胞収縮、核フラグメンテーション、クロマチン凝集、DNAフラグメンテーション、mRNA崩壊)を包含するプログラム細胞死の明確に定義されたプロセスである一方、壊死は、典型的に、細胞小器官機能の付随する喪失、細胞破壊、及び環境中への細胞内容物の放出による細胞死の崩壊プロセスとして明示される。さらに、壊死は典型的に、炎症性の細胞応答を伴う。さらに、壊死は、免疫系が腫瘍を「見て」、免疫学的に反応する部位であることが理解されるべきである。これは重要である。なぜなら、壊死へのペイロードの送達が、免疫系の腫瘍の認識、及び腫瘍への反応を助けることとなるため、治療的に有効なペイロードの送達の好ましい部位となるからである。
したがって、発明者らはまた、抗体及びそのフラグメントの、腫瘍微環境に造影剤及び/又は治療剤を送達するための使用を意図している。最も典型的には、抗体又はそのフラグメントは、核標的、そしてとりわけssDNAへの結合が特異的となることとなる(すなわち、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)又は他の技術によって判定して、Kdが10-7M未満、より典型的には10-8M未満である結合)。最も典型的には(必ずしも全てのケースにおいてでない)、ssDNAへの結合は、ヒストン及び他の核タンパク質の存在とは独立することとなる。
勿論、造影剤及び/又は治療剤が、多くの様式(共有結合及び非共有結合が挙げられる)で抗体(又はそのフラグメント)に結合されてよいことが理解されるべきである。最も典型的には、結合は、共有結合であることとなり、これは、従来の結合化学、例えばアミノ基反応性試薬(例えば、N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル、種々のアルデヒド、カルボジイミド化合物、エポキシド、イミドエステル等)、若しくはスルフヒドリル基反応性試薬(例えば、種々のマレイミド、チオール等)を用いて達成され得、又は組換えクローニング技術を介して実行され得、そこでは抗体(フラグメント)が、注目する第2のタンパク質にフレーム単位で融合される任意選択のリンカーにフレーム単位で融合される。適切なリンカーは、所望の長さ(例えば、所望の空間距離を提供するような長さ)、アミノ酸組成(例えば、切断可能リンカー又は可撓性のあるリンカーを提供するような長さ)その他によって選択されてよい。結合の意図される更なる態様において、結合は、非共有結合であってよく、そしてとりわけ好ましい方法で、結合は、知られている結合対、例えば、ビオチン/アビジン、セルロース/セルロース結合タンパク質、ニッケル-ニトリロトリ酢酸(Ni-NTA)/オリゴ-ヒスチジル等の要素によって提供される。
診断薬に関して、検出可能な(且つ、好ましくは定量的に検出可能な)剤は全て、本明細書中での使用に適しているとみなされることが意図される。さらに、検出は、当該技術において知られている適切な方法を用いて、エクスビボで(例えば、組織切片上で)、且つ/又はインビボで実行され得る点に留意すべきである。例えば、視覚的に検出可能な造影剤として、フルオロフォア、発光基、触媒活性基(例えば、色素を析出させ、且つ/又はクロモゲン若しくはルミノゲンを活性化するような触媒活性基)、X線撮影で検出可能な基(例えば、PET、SPECT、NMR標識、放射性同位体等)が挙げられる。
同様に、そして治療剤に関して、治療剤は全て、本明細書中での使用に適しているとみなされることが意図される。しかしながら、本発明の主題の特に好ましい態様において、治療剤は、免疫刺激作用を有することとなる。最も典型的には、そのような刺激因子の作用は、1つ以上の機構を取り消し、又は中和して、腫瘍微環境内の癌細胞の免疫回避に至ることとなる。例えば、免疫回避が、M2マクロファージ又は調節T細胞(Treg)の動員に基づく場合、適切な治療剤として、そのような阻害細胞を特異的に不活化又は破壊するもの(例えば、ゲムシタビン、RP-182(米国特許第9492499号明細書の配列番号121参照)、又はシクロホスファミド)が挙げられることとなる。加えて、又は代わりに、免疫回避が、エフェクタ細胞及び/又はヘルパー細胞によるチェックポイント阻害に基づく場合、CTLA4又はPD1に対するバインダ又はアンタゴニスト(例えば、イピリムマブ、ペムブロリズマブ等)が意図される。
逆に、治療剤が免疫刺激活性を有する場合、治療剤の使用によって免疫治療が増強され得ることも理解されるべきである。そのような免疫刺激活性は、好ましくは1つ以上の腫瘍(ネオ)抗原の文脈において、抗体又はそのフラグメントに結合される共刺激性シグナルの使用を介して達成され得る。例えば、共刺激性シグナルとして、4-1BBL、OX40L、GITRL、TIM3、LFA3、ICAM1、ICOSLその他が挙げられる。また、免疫刺激剤として、免疫刺激サイトカイン、例えば、IL-2、IL-12、IL15、IL-15スーパーアゴニスト、TLRアゴニスト、及びリガンドが挙げられることとなることが理解されるべきである。またさらに、治療剤が、免疫コンピテント細胞をさらに誘引することとなる(炎症誘発性)ケモカインを含んでもよいことが理解されるべきである。この文脈において、治療剤は、典型的に、(壊死細胞が既に生きられないため)壊死の部位にて腫瘍細胞を死滅させることにはならないが、壊死組織に近位の腫瘍細胞に対する免疫反応の増強を(例えば、抗原拡散及び抗原カスケーディングを利用して、又は免疫抑制機構の反転(reversal)によって)促進することとなることが理解されるべきである。
所望される場合、治療剤は、IL-8及びTGF-βが挙げられる、腫瘍微環境内のEMT(上皮間葉転換)に寄与する因子を標的化することとなる剤を含んでもよい。したがって、適切な治療剤はまた、IL-8及びTGF-βに結合し、又はそれ以外ではこれらを封鎖するものを含むこととなる。
加えて、治療剤は、癌の処置に用いられるより従来の薬物を含んでもよい。例えば、典型的な抗癌薬物として、代謝拮抗薬、微小管の形成又は脱アセンブリに干渉する薬物、DNAアルキル化剤、及びトポイソメラーゼインヒビタ、細胞毒性薬物その他が挙げられ、これらは全て、腫瘍微環境において一般的な条件下で切断可能であり得る。また、意図される治療剤として、放射線治療剤、例えばアルファエミッタ及びベータエミッタ(例えば、Bi-213、Pb-212、I-131、Ac-225、Sr-89その他)が挙げられる。そのような剤は通常、腫瘍又は腫瘍微環境内で非壊死腫瘍細胞に影響を及ぼすこととなる。
結果的に、そして以下でより詳細に示されるように、発明者らは、通常、核標的に、そしてとりわけssDNAに特異的に結合する結合剤と、壊死細胞(典型的には腫瘍細胞、最も典型的には腫瘍微環境内の壊死腫瘍細胞)を接触させる工程を含む、壊死細胞を標的とする方法を意図する。さらに、接触は、そのような方法で、インビボ又はインビトロで実行され得る。例えば、工程がインビトロで実行される場合、比較的少量(例えば、0.001~100μg、0.01~0.1μg、又は0.001~0.01μg)の抗体が必要とされ得る。他方、工程がインビボで実行される場合、比較的大量(例えば、0.01~100mg、0.1~10mg、又は1~10mg)の抗体が必要とされ得る。勿論、抗体が造影剤及び/又は治療剤に結合される場合、抗体の量は、所望の効果のために必要とされる造影剤及び/又は治療剤のタイプ及び量によって、少なくとも部分的に決定されることとなることが理解されるべきである。
結果的に、発明者らはまた、壊死腫瘍細胞を含有する腫瘍微環境に治療剤及び/又は造影剤を送達する方法を意図する。上記したように、そのような方法は、典型的に、核標的(そして、とりわけssDNA)に結合する抗体に結合されている治療剤又は造影剤を用意する工程と、抗体が、腫瘍微環境内の壊死細胞中の核標的に結合し得る条件下で、微環境内の壊死腫瘍細胞を、治療剤又は造影剤と(好ましくはインビボで)接触させる更なる工程とを含むこととなる。
また、本明細書中で意図される方法はさらに、腫瘍壊死を増大させることによって、腫瘍中への修飾抗体の吸収を増強することで、治療ペイロード又は診断ペイロードの送達を最適化する1つ以上の工程を含んでよい。例えば、適切な更なる工程として、放射線療法、化学療法、又は免疫療法、そしてとりわけ低用量のメトロノミック化学療法及び放射線療法が挙げられる。
試薬:グルタミン合成酵素遺伝子増幅系を有するプラスミドpEE6hCMV-B及びpEE12を、Lonza Biologies(Slough、UK)から購入した。制限酵素、T4 DNAリガーゼ、及び他の分子生物学試薬を、New England Biolabs(Beverly、MA)又はBoehringer Mannheim(Indianapolis、IN)から購入した。RPMI-1640培地、MEM非必須アミノ酸溶液、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液、分解された粗DNA、ABTS(2,2’-アゾベンゼン-2-カルボン酸)を、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO)から購入した。ハイブリドーマ無血清培地(SFM培地)(グルタミン入り、そしてグルタミンなし)を、Life Technologies,Inc.(Gaithersburg、MD)から購入し、そして透析された胎仔ウシ血清を、HyClone Laboratories,Inc.(Logan、UT)から得た。Iodine-125を、DuPont/New England Nuclear(North Billerica、MA)から、0.1N水酸化ナトリウム中ヨウ化ナトリウムとして得た。6週齢BALB/cマウスを、Harlan-Sprague Dawley(Indianapolis、IN)から購入した。
EP/ScFvの設計及びアセンブリング:ヒト抗体データベースを検索することによって、2つの配列、huFd138 HV及びhu B-B10 LVがそれぞれ、重鎖及び軽鎖の元のTNT-3アミノ酸配列に最も同一性があった。このため、これらをそれぞれ、EP可変重鎖及び可変軽鎖を構築するマスター鋳型として用いた。次に、6つのCDRを、対応するヒトフレームワーク領域中に単純にグラフトした。6つのマウスTNT-3 CDR配列を、知られているヒト抗体において観察されるコドン使用を用いて、対応するヌクレオチド配列に変換した。可変重鎖及び可変軽鎖の配列を、(GSSSS)3リンカーと組み合わせて、EP/ScFvを構築した。設計したDNA配列を、8つの重なり合うオリゴヌクレオチドに分けて、合成した。
全長ScFvを、シリアルアセンブリングPCRによって得て、5’末端と3’末端にて一対のプライマーで増幅した。PCR産物を、NotI及びSpeIで消化して、pBlueScript SK(-)中にクローニングした。DNA配列決定によって、正確な配列を有する1クローンを、次の突然変異用の標準的な鋳型として選択した。EP抗体候補(本明細書中でEP、huTNT IgG1、又は抗体とも呼ぶ)の親和性を回復且つ向上させるために、11個のコドンを包含するH-CDR3ドメイン上の部位特異的ランダム突然変異(a site-specific random mutation)を実行した。11個の部位特異的突然変異を含有する一組のプライマーを設計した。PCRを用いて、11個のアミノ残基のランダムな突然変異を、段階的に導入した。11個の突然変異したヒト化ScFvを、5’末端と3’末端にて一対のプライマーによるPCRによって増幅した。次に、PCR産物を精製して、NotI及びSpeIで消化して、消化したラムダファージSurfZAP TMベクター中に挿入した。次に、宿主細胞XL-1に感染させた、パッケージ化したSurfZAP TMベクターを増幅して切り出して、ExAssistTMヘルプファージ(help pharge)によりファージミドpSurfscriptTM SK(-)中に入れた。ヘルプファージを消失させるためにSOLR細胞中で増殖させたファージミドを、XL-1細胞中で増幅した。EP/ScFvを、融合タンパク質(ScFv/cpIII)として発現させて、VCSM13ヘルパーファージにより組換えファージミド粒子のコートタンパク質中に組み込ませた。ファージミドを、増幅された上清からPEG沈殿によって回収して濃縮した。
25mlフラスコ上にコーティングした粗DNAに対する4ラウンドのバイオパンニングを、STRATAGENEプロトコルに従って行った。手短に言えば、各パンニングについて、3mlのPBS中>1012個のファージミドを用いた。結合していないファージを、10 PBST洗浄で除去して、結合したファージを、5mlグリシン-HCl(pH2.2)で溶出した。100μlの感染した細菌を選択プレート上にプレーティングして、コロニー形成単位(c.f.u.)をカウントすることによって、溶出したファージの力価を判定した。ELISAプレートの各ウェルにコーティングした100μlの10μg/ml粗DNAによるファージ-ELISAによって、パンニングの第4ラウンド由来のScFvファージを、粗DNAとの反応性について試験した。結合したファージを、ウサギ抗M13抗体に続く、ヤギ抗ウサギ抗体ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体で検出した。A405値を、基質(ABTS)との10分間のインキュベーション後に判定して、ELISAリーダによって測定した。
EP IgGの構築及び発現:無傷の抗体分子を回復させるために、EP/ScFvを、EP IgG1に変換した。これを達成するために、EP重鎖及び軽鎖の可変領域を、適切な制限酵素部位を導入するように設計したプライマーを用いて、クローニングベクターからPCR増幅した。重鎖可変領域を、ヒトガンマ1定常領域(CH)を以前にクローニングした発現ベクターpEE6hCMV-B中に導入した。軽鎖可変領域を、ヒトVL定常領域cDNAを含有する発現ベクターpEE12中に挿入した。最終の発現ベクターは、CMV主要前初期プロモータ(CMV major immediate early promoter)の制御下でヒト軽鎖及び重鎖用の転写カセットをそれぞれ含有するpEE6hCMV-B/EP HC及びpEE12/EP LCであった。pEE12/EP LCはまた、SV40初期プロモータの制御下で、選択可能マーカー、グルタミン合成酵素のcDNA配列を含有する。各ベクターの完了後、pEE6hCMV-B/EP HC及びpEE12/EP LCベクターを、EP IgG1の発現用の宿主NS0マウス骨髄腫細胞中に共形質移入した。最初に、10μg/mlにて分解粗DNAでコーティングした96ウェルマイクロタイタープレートを用いる間接ELISAによって、抗体生成物を含有する上清を同定した。最高の生成クローンを、24時間の生成率アッセイによって同定した。限界希釈による2ラウンドのサブクローニング後、最高の生成クローンを増殖させて、プロテインA親和性クロマトグラフィ及びイオン交換クロマトグラフィによって、EP IgG1を細胞培養上清から段階的に精製した。EP抗体の純度を、SDS-PAGEによって調査した。
ELISAによる粗DNA結合の判定:EP IgG候補のDNA結合活性を測定するために、96ウェルELISAプレートを、100μlの10μg/ml粗DNAでコーティングして、1%BSA-PBSでブロックして、EP IgG候補の段階希釈液をウェル中に加えて、37℃にて1時間インキュベートした。精製したchTNT-3を、基準として用いた。結合していないあらゆる抗体を、0.05%PBSTで3回洗浄(triplicate wash)して除去してから、ヤギ抗ヒトIgG二次抗体結合体ホースラディッシュペルオキシダーゼに続いて発色基質を加えた。OD405を、ELISAリーダによって測定した。
間接免疫蛍光染色によるラージ細胞中でのEP候補の局在化:ラージ細胞中でのEP IgG候補の局在化を観察するために、間接免疫蛍光染色を実行した。手短に言えば、ラージ細胞を、10%緩衝中性ホルマリンで固定して、PBSで洗浄した。200μl PBS中104個のラージ細胞を、1.5mlチューブ内で37℃にて1時間、種々のEP抗体に反応させた。細胞をPBSTで5回洗浄して、結合していない抗体を遠心分離によって除去した。FITC結合ヤギ抗ヒトIgG抗体を、1:30の希釈で加えて、最後にラージ細胞を、20μl PBS中に収集して、スライド上に広げて蛍光顕微鏡下で観察した。
ヨウ素125標識MAbの調製:修飾クロラミン-T方法を用いて、ヨウ素125標識MAbを調製した。手短に言えば、1mCiのI125及び20μlのクロラミン-T水溶液(2mg/ml)を、100μl PBS中100μg MAbを含有する5ml試験管に加えた。溶液を2分後に、10μlのメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。次に、各反応混合物を、典型的には90%~95%の回収をもたらすSephadex G-25カラムを用いて精製した。放射標識したMAbを、注射用にPBSで希釈して、4℃にて貯蔵して、標識後2時間以内に投与した。
結合及び生体内分布の研究:ラージ細胞を用いた従来の固定細胞ラジオイムノアッセイによって、放射標識したMAbのインビトロ免疫反応性を評価した。手短に言えば、放射ヨウ素標識MAb(おおよそ100,000cpm/チューブ)を、106個の固定ラージ細胞と3反復で1時間、断続的に混合しながらインキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBS中1%BSAで3回洗浄した。細胞ペレットに関連する放射活性をガンマ計数器で測定することによって、結合したMAbを検出した。EP抗体の結合力定数(Ka)を判定するために、抗原細胞である固定ラージバーキットリンパ腫細胞を用いた。種々の濃度(10~110ng)の125I標識EP抗体を、106個の固定ラージ細胞と、常に混合しながら室温にてインキュベートして、結合していない放射活性を、PBSTの3回の洗浄で除去してから、結合した放射活性の量を、ガンマ計数器でカウントして、結合力定数(Ka)をスキャチャード解析によって算出するのに用いた。結合力定数Kaを、K=-(傾き/2)によって決定した。
EP抗体及びchTNT-3の生体内分布を調査するために、6週齢の雌胸腺欠損ヌードマウスに、107個のLS 174Tヒト結腸腺癌細胞を含有する0.2ml接種原を、左歯面(left flank)においてs.c注射した。腫瘍を、おおよそ直径1cmに達するまで増殖させた。各群(n=5)内で、個々のマウスに、100μCi/10μgの125I標識MAbを含有する0.1ml接種原をi.v.注射した。種々の注射後の時点にてマウスを犠牲にして、臓器、血液、及び腫瘍を取り出して、秤量した。次に、サンプル中の放射活性を測定して、%ID/g及び腫瘍/臓器比(腫瘍1グラムあたりcpm/臓器1グラムあたりcpm)として表した。有意水準を、ウイルコックス順位和検定を用いて判定した。
ヒト化TNT-3/ScFvの設計及び構築:V領域のヒト化TNT-3フレームワークを設計するために、発明者らは、ヒト抗体データベースを検索して、2つのヒト抗体、huFd138 HV及びhu B-B10 LVがそれぞれ、重鎖及び軽鎖の元のTNT-3アミノ酸配列に最も同一性があることを見出した。huFdl38 HVは、mTNT-3重鎖配列に対するフレームワーク1、2、3、及び4の相同性が、81%であった(図1A参照);hu B-B10 LVは、mTNT-3軽鎖配列に対するフレームワーク1、2、3、及び4の相同性が、74%であった(図1B参照)。H-CDRの高次構造に及ぼすフレームワーク置換の影響を引き下げるために、又は重鎖フレームワーク上のCDR配列に近いことに起因して、重要であると推測される3つの残基(I48、T74、及びY95)を保持した。重鎖及び軽鎖の6つの相補性決定領域(CDR)の元の配列を維持して、他の配列を全て、ヒト配列によって置換した。EP候補の可変重鎖及び軽鎖配列を、(GSSSS)3リンカーと組み合わせて、EP/ScFvを構築した(図1C参照)。さらに図1A~図1Bに関して、マウスTNT-3及びヒトTNT-3鋳型のアミノ酸配列アラインメントを示す。図1Aは、マウスTNT-3(mTNT-3)、huFd138 HV、及びEP重鎖のアラインメントを示す;図1Bは、mTNT-3、hu B-B10 LV、及びEP軽鎖鋳型のアラインメントを示す。各ヒト鋳型のナンバリングを、本文中に記載する。カバットの定義に基づく軽鎖及び重鎖のフレームワーク及びCDR配列を標識した。*は、ヒトアミノ酸で置換した残基を示す;#は、維持したマウス残基を指す。図1Cは、概略的に、EP/ScFv中に(GSSSS)3リンカーと共に構築したHV及びLVを示す。特に、6つのCDRを単純にヒトフレームワーク中にグラフトしたEP/ScFvのみが、ファージ-ELISAによって、粗DNAに対して非常に弱い反応を示した。このことは、フレームワークのそのような置換が、EP/ScFv親和性の大きな低下を引き起こすことを示した。
EP/ScFvのH-CDR3の突然変異、及びそのライブラリの、粗DNAに対するパンニング:EP/ScFvの親和性を向上させるために、H-CDR3ドメイン上の部位特異的ランダム突然変異を、11のプライマーで行って、図2に示すランダムに突然変異したコドンを含有するものをそれぞれ、PCRによって順々に重鎖中に導入して、突然変異したScFvの11のサブライブラリを生成した。
11のサブライブラリを一緒に等しく混合して、消化したラムダファージSurfZAP TMベクター中に挿入した。EP ScFvを、SpeI及びNotIで消化して、ラムダファージSurfZAPベクター中に挿入してから、切り出して、pSurfscript SK(-)ベクター中に入れた。これにより、EP/ScFvは、融合タンパク質(ScFv/cpIII)として発現されて、352の多様性を有する一般的なライブラリが作成された。パンニング用に、このライブラリを1012個のクローンに増幅して、M13ヘルパーファージで救出した。パンニングの各ラウンドの後、粗DNAへのライブラリ結合を、ファージELISAによって検出した。結合の増大を、パンニング回数(panning times)の増大として観察した(図3:ファージ提示されたEPを、DNAコーティングしたフラスコからの溶出によって選択且つ濃縮した。各パンニングランの後、上清を、DNAでプレコーティングした96ウェルELISAプレート内でインキュベートした。洗浄後、HRP結合抗M13抗体を加えて、ABTSを基質として用いてから、405nmにてプレートを読んだ)。3ラウンドのパンニング後のライブラリの結合は、元のものの4倍であった。4ラウンドのパンニング後の回収されたクローンの90%超は、DNA結合がポジティブであり(図4:ファージミド粒子を、PEG沈殿によってクローンから調製して、1%Blotto/TBブロッキングバッファ中に再懸濁させた。100μl中109cfuの各サンプルを、粗DNAでコーティングしたELISAプレートウェルに加えた。結合していないファージミドを、PBSTによる洗浄によって除去した。結合したファージミドを、抗M13ポリクローナル抗体に続く、HRPヤギ抗ウサギIgGで検出した。ABTSを基質として用いて、酵素活性を405nmにて測定した)、このことは、高濃縮プロセスがなされたことを示した。
EP IgGの構築、発現、及び精製:4ラウンドのパンニングからのファージELISAのスクリーニング結果に基づいて、OD405値が最高の16クローンを選択して、配列決定した。配列決定分析は、16クローンが全て、H-CDR3内に8つの異なるヌクレオチド及びアミノ酸配列を含有することを示した。ファージELISAに基づくクローン結合の判定は、精製、及びScFv融合タンパク質を含有するファージの量によって制限された。二価のIgGよりも親和性が8~10倍低い一価のScFvは、この不利を増幅するであろう。親和性間の差異をさらに評価するために、結合とH-CDR3上の部位突然変異との関係を理解するために、そしてIgG抗体全体の能力を回復させるために、8つの突然変異体のScFvの全てを、グルタミン合成酵素遺伝子増幅系で発現される対応するIgG1に変換した。最も高い収率のクローンを、24時間のELISAアッセイによって選択した。細胞株を1Lバイオリアクタ内で増殖させる場合、EP IgG1を含有する上清を収集して、プロテインA親和性クロマトグラフィによって段階的に精製した。約10μg/mlのEp IgGを、精製後に得た。SDS-PAGEアッセイは、EP IgG1の8つの突然変異体(本明細書中でEP又はhuTNT IgG1と呼ぶ)が、適切にアセンブルされていることを実証した(図5:レーン(a)Low Range Marker(BioRad);(b)EP2;(c)EP7;(d)EP27.1;e.EP35.2;(f)EP51;g EP54;(h)EP102;(i)EP103;(j)chTNT-3)。2つのバンドが、おおよそ25及び55kDにて示され、これらはそれぞれ、Ep IgG1の軽鎖及び重鎖の分子量に相当した。
EP突然変異体の親和性のアッセイ、及び突然変異の特性評価:EP IgG1候補の結合活性が向上したかを測定するために、発明者らは、ELISAを用いて、粗DNAに対する結合活性を検出した。図6から容易に分かるように、8つの候補は全て、親和性が、chTNT-3と比較して大きく向上していた(1.45から8倍)。ここで、粗DNAに結合するEP突然変異体の相対親和度を測定するために、精製したEPIgG1の種々の濃度を、ELISAによって試験した。用量依存的反応の曲線を得て、0.3ODでの濃度を、最良適合直線式によって判定した(精製したchTNT-3を基準として用いた)。相対親和度を、0.3ODでのEP濃度/chTNT-3濃度の比率によって表した。
親和性及び突然変異の組合せ分析は、最高の親和性の2つの候補、EP/m7及びEP/27.1が、約8倍の向上を得たことを示した(対応する突然変異は、m7 Ile→His及び27.1 Gly→Arg)(表1参照)。別の2つのクローン、すなわち、EP/35.2及びEP/m103(35.2 Tyr及びm103 Argがそれぞれ、Thr及びLeuに変わっている)は、親和性の4倍の増大を得た。残りの4つのクローン、すなわち、m54、m102、m2、及びm51(変化はそれぞれ、m54 Arg→Leu、m102 Tyr→Arg、m2 Phe→Arg、m51 Val→Serであった)もまた、l.46から2.34倍に及ぶ親和性の増大を示した。
親和性が向上した突然変異体のH-CDR3上のアミノ酸の特性の分析は、Arg及びHis等の正に帯電するアミノ酸が、突然変異体の4つにおいて、既存の残基を置換している一方、その他の3つの突然変異体が、ヒドロキシル基を含有するアミノ酸との置換を示すことを示した。これらの結果は、残基の静電気又は水素結合能の変化が、粗DNAに結合する抗体において観察される向上に寄与することを意味した。1つの例外的な場合(m103)において、LeuとのArgの置換もまた、結合活性を4倍増大させた。
免疫蛍光顕微鏡検査研究:抗原ラージ細胞に対するEP IgG候補の特異性を観察するために、間接免疫蛍光染色を実行した。図7に示すように、EP IgG候補は全て、固定ラージ細胞を染色して、染色の核パターンを与えた。EP2、7、27.1、35.2、51、102、及び103は、chTNT-3と類似の顕著な核リム染色をもたらした;EP54だけが、同質の核染色パターンをもたらさなかった。細胞質染色も細胞表面染色も、全ての調製物で認められなかった。同値な用量を用いて、免疫蛍光染色の最も強い強度の順は、51、2、chTNT3>7、27.1、54、102>103、及び35.2であった。これは、粗DNAへの結合の結果と全く異なる。ELISA研究において粗DNAへの親和性が最高であったEP7及び27.1は、固定ラージ細胞への対応する反応を示さなかったが、粗DNAへの親和性が比較的低かったEP51及び2は、興味深いことに、最も強い染色パターンをもたらした。
RIAによるEPの結合力定数(Ka)の判定:免疫蛍光染色の結果に基づいて、ラージ細胞に最高の親和性を示した2つのEp IgG候補(EP51及びEP2)の結合力定数(Ka)を、RIAによって判定した。双方のEP IgG候補を、125Iで標識して、固定ラージ細胞とインキュベートして、結合放射活性を用いて、結合力定数を算出した(図8)。EP51及びEP2の結合力定数はそれぞれ、2.8×109M-1及び2.1×109M-1であった。EP51及びEP2は、結合力定数が1.4×109M-1であるchTNT3よりも強い、抗原ラージ細胞への親和性を示した。EP51及びEP2のKa値は、粗DNA及び抗原ラージ細胞への反応と一致し、そしてchTNT-3と類似した。
図9A及び図9Cは、I-125標識ヒト化抗体を用いた結腸26-マウスにおける生体内分布研究を示しており、3日後の生体内分布である。図9B及び図9Dは、7日後の生体内分布を示す。データを、様々な時点後の、注射した用量/グラム、及び正常な臓器対腫瘍比(n=5頭のマウス)として示す。
3、5、そして7日目での腫瘍における特異的且つ安定した吸収を示すLS174T結腸癌ヌードマウス(n=5)におけるEP51ヒト化抗体の生体内分布分析を、図10に示す。比較すると、正常な臓器は、標識抗体の吸収の低下を示した。これは、血液プールからのクリアランスを、そしてオフターゲット結合がないことを示している。生体内分布分析はさらに、EP51が、表2に示すように、chTNT-3に類似の生体内分布特性を有することを示した。
LS174TモデルにおけるEP51のパーセント腫瘍吸収は、2日目及び5日目までに、それぞれ5.90及び4.97であり、chTNT3(5.62及び4.28)と匹敵した。血液吸収パーセントもまた、量が非常に類似した。しかしながら、EP2の腫瘍吸収パーセントは、KaがchTNT-3よりも1.5倍高いにも拘らず、chTNT-3よりもかなり低いようであった。2日目及び5日目までに、LS174T腫瘍モデルにおけるEP2の腫瘍吸収パーセントは、それぞれ2.69及び1.33であった。これらは、chTNT-3よりもかなり低い。EP27.1サブクローン及びEP35.2サブクローンについて図9に、そしてEP51について図10に示す更なる生体内分布研究は、chTNT-3及び完全ヒトTNT抗体NHS76の双方と比較した、腫瘍における吸収の増強を、とりわけEP51について実証した。印象的に、EP51は、3日目から7日目まで、注射用量/グラムの下落%がごく僅かであったことから、本ヒト抗体は、腫瘍によってかなり保持された一方、正常な組織における吸収は、負の結合及び血液からのクリアランスに起因して、反応性を失ったことが実証された。
先のデータから分かるように、HV及びLV中のヒト化フレームワークの配列が、mTNT3に対してそれぞれ81%及び74%同じであるにも拘らず、フレームワーク置換に続く6つのCDRのグラフトによる初期のヒト化TNT-3構築体のみが、僅かに検出可能な親和性を示した。この発見は、単純な6つのCDRのグラフトによるヒト化が、CDRの元の高次構造を変えたことを示唆する。親和性を回復させるために、H-CDR3の部位特異的ランダム突然変異を、一組のプライマーによって導入した。H-CDR3が突然変異したEP ScFvのライブラリを、ラムダファージ上に提示させた。粗DNAに対する4ラウンドの選択の後、初期のヒト化TNT-3の検出可能限界の(marginal detectable)親和性と比較して、親和性がかなり高い8つの突然変異体を効率的に濃縮した。
結合粗DNAのELISA研究は、8つの突然変異体が全て、親抗体chTNT-3よりもずっと高い親和性を示す(1.45から8.25倍)ことを示した。H-CDR-3配列の分析は、親和性が高いほとんどの突然変異が、正に帯電するアミノ酸、例えば、Arg及びHis、又はヒドロキシル基を含有するアミノ酸で置換されていることを示した。これらの結果は、残基の静電気又は水素結合能の変化が、粗DNAへの抗体結合の向上に寄与しているかもしれないことを示唆した。興味深いことに、親和性が最良の2つの突然変異体、EP7及びEP27.1は、EP27.1 Gly→Arg及びEP7 Ile→Hisの対応する突然変異の後に、親和性の8倍の向上を得た。結合DNAに対するアミノ酸Arg及びHisの潜在的役割は、マウス及びヒトの双方の抗DNA自己抗体において強調された。Argは、DNA結合において最も重要且つ可変性のアミノ酸である。これは、塩基対形成されるグアニン、並びに対形成されないシトシン及び塩基対形成されるシトシンとの水素結合を形成し、そして主要な、又はマイナーなDNA溝中に、DNA糖リン酸骨格との、且つ可撓性のある側鎖との広範囲にわたる相互作用を通して嵌合して、結合(biding)を促進することができる。これは部分的に、Argによる同じ置換を有するEP27.1、EP2、及びEP102の親和性向上を説明し得る。しかしながら、1つの例外的な場合において、LeuによるArg104の置換もまた、結合活性を4倍増大させた。明らかに、Arg置換の単純な蓄積は、結合DNAの親和性を増大させない。Arg 104→Leuの修飾は、DNAとの相互作用にとってより良好な位置内に、Arg105を配置し得る。
ファージディスプレイ及び結合選択由来のEP突然変異体のCDR3上の突然変異部位の分析は、H-CDR3内の残基98~100、105、106、及び108が最も保存されていること、そして置換が主に、残基101~104、107、及び109にて起こっていることを示した。これに対して、最も高い頻度の突然変異は、残基101、104、106、及び109にて観察された。完全な保存的残基は、抗原に直接接触する役割を果たし得、そして特異性を決定するようにより寄与し得る。発明者らはまた、元のH-CDR3が、2つのArg残基(Arg104、Arg105)を含有することを見出した。これは、抗dsDNA自己抗体が、少なくとも1つ、そしてほとんどの場合2つ又は3つのArgをH-CDR3内に有することと一致する。Arg104は置換され得、そしてArg105は保存される。保存Arg105は、H-CDR3の中心に位置決めされて、水素結合及び塩架橋を介してDNAと効果的に相互作用することができるような位置にあった。他の保存残基と組み合わされた保存Arg105は、DNA特異的結合の重大な役割を果たし得、そして高い突然変異頻度の残基が、抗体の親和性を調節するようにより寄与し得る。
ELISA及び免疫蛍光染色における突然変異体の反応性強度の異なる順序、及びラージ細胞における分布の異なるパターンは、同じ抗原に対する一部の突然変異体のエピトープが、H-CDR3の突然変異に起因して変化又はシフトしていることを示した。これを、選択用に粗DNAを用いて試験した。選択用に粗DNAを用いる決定は、ラージ細胞核に由来するchTNT3が、大部分は一本鎖DNAに結合することができるという証拠に基づいた。chTNT-3が粗DNAへの強い反応を示したが、chTNT-3は、核内の複合体形態DNAにより結合する傾向があり得る。EP/m51は、粗DNA及びラージ細胞に対するchTNT-3の親和性が約2倍であり、chTNT-3へのインビボ生体内分布特性が類似することを示した。EP/m51の腫瘍吸収%もまた、chTNT-3よりも良好である傾向があった。これは全て、突然変異と組み合わせた、CDRグラフトによるmTNT-3のヒト化が成功したことを、そして親和性が向上したヒト化Ep抗体が得られたことを示唆した。
したがって、(1)H-CDR3上の突然変異は、ヒト化抗体の親和性を向上させる効率的な方法であること;(2)特異性が同じであり、且つ親和性がより高い1つのヒト化突然変異体(EP51)が得られ、これは、臨床能にインビボで必要とされる良好な生体内分布プロファイルを示すこと;(3)結果は、同じ抗原の異なるエピトープに対するヒト化抗体が、同時に得られ得ること、そしてCDR3の突然変異に起因するヒト化抗体の特異性シフトのリスクが、適切な抗原を選択することによって回避又は制御され得ることを示すこと;並びに(4)EP突然変異体の特異性及び親和性を研究することによって得た情報は、核抗原へのchTNT3結合についての知識を広げ、そしてEP親和性及び特異性を向上させるのに有用であることが理解されるべきである。最後に、腫瘍マウスにおける生体内分布研究は、一候補、EP35.2が、腫瘍における吸収が高くて優れており、研究の7日後の保持が良好であり、そしてこの実験腫瘍モデルにおけるchTNT-3又は完全ヒトNHS76よりもインビボで優れているようであることを示した。
一部の実施形態において、本発明の特定の実施形態を説明し、且つ特許請求するのに用いられる成分、特性、例えば濃度、反応条件その他の量を表す数値は、場合によっては、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、一部の実施形態において、明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。一部の実施形態において、数値パラメータは、報告される有意桁の数を考慮して、そして通常の四捨五入技術を用いることによって、解釈されるべきである。本発明の一部の実施形態の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であるにも拘らず、具体例に示される数値は、実行可能なほど正確に報告されている。本発明の一部の実施形態において示される数値は、それぞれの試験測定において見出される標準偏差に必然的に由来する特定の誤差を含有してよい。
本明細書中の記載に、そしてこれに従う特許請求の範囲の全体を通して用いられる「a」、「an」、及び「the」の意味は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数の参照を含む。本明細書中の説明に用いられる「in」の意味もまた、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、「in」及び「on」を含む。また、本明細書中で用いられる用語「に結合した」は、文脈上、そうでないとする指示がない限り、直接的な結合(2つの要素が、互いに接触して互いに結合する)及び間接的な結合(少なくとも1つの付加的な要素が、2つの要素間に位置決めされる)の双方を含むことが意図される。したがって、用語「に結合した」及び「と結合した」は、同義的に用いられる。
既に記載されるもの以外のより多くの修飾が、本明細書中で発明概念を逸脱しない範囲で可能であることは、当業者に明らかであるはずである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲を除いて、制限されるべきでない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の双方を解釈する際に、全ての用語は、文脈に合わせて最も広く可能なように解釈されるべきである。特に、用語「含む」及び「含んでいる」は、要素、構成要素、又は工程に、非排他的に言及すると解釈されるべきであり、このことは、当該要素、構成要素、又は工程が、明示的に言及されていない他の要素、構成要素、又は工程と存在してもよいし、利用されてもよいし、組み合わされてもよいことを示す。本明細書又は特許請求の範囲が、A、B、C…及びNからなる群から選択される何かの少なくとも1つを指す場合、本文は、AプラスNでもなく、BプラスNその他でもない当該群由来の唯一の要素を必要とすると解釈されるべきである。