以下に、本開示の実施の形態に係る換気送風機および換気送風機の制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
最初に、換気送風機の全体の構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかる換気送風機の構造の一例を模式的に示す図である。ここでは、換気送風機が浴室乾燥機1である場合を例に挙げて説明する。浴室乾燥機1は、室内の一例である浴室50の天井51に形成されている開口において浴室50から天井裏52の方へ通されて設置される。
浴室乾燥機1は、筐体10と、換気ダクト接続部13と、を備える。筐体10は、内部に風路が構成され、浴室50に対向する側の面が開口している筐体本体部11と、筐体本体部11の開口に設けられる底板であり、筐体本体部11の開口を覆うように設けられるオリフィス12と、を有する。筐体10は、一例では中空の直方体状である。オリフィス12は、浴室50の内部の空気を吸い込む吸込口121と、浴室50の内部に空気を吹き出す循環吹出口122と、を有する。筐体10は、一例では、オリフィス12とは反対側の面の循環吹出口122に対応する位置に、換気接続口111を有する。循環吹出口122は、吹出口に対応し、換気接続口111は、吸込口121から吸い込んだ空気を屋外へと排気する排気口に対応する。
換気ダクト接続部13は、筐体本体部11の換気接続口111を外部から覆うように設けられる。換気ダクト接続部13は、浴室50の内部の空気を屋外へと排気する図示しない換気ダクトと接続される。換気ダクト接続部13は、換気ダクトと接続される部分に換気排気口131を有する。
浴室乾燥機1は、筐体10の内部に、風路を切り換えるためのダンパ14と、ダンパ14を駆動する図示しないステッピングモータと、を備える。ダンパ14は、筐体10の内部の換気風路101と循環風路102とを分岐させる位置に設けられている。換気風路101は、筐体10の内部へ取り込まれた空気を換気ダクト接続部13へ流す風路であり、吸込口121と換気接続口111とを結ぶ風路である。循環風路102は、筐体10の内部へ取り込まれた空気を浴室50へ流す風路であり、吸込口121と循環吹出口122とを結ぶ風路である。
図1の例では、ダンパ14は、筐体10の内部の換気接続口111の下側に配置され、先端部および基端部が平らで中間部が湾曲した板状に形成されている。ダンパ14は、基端部に設けられるダンパ回転軸141の回りに回動する。浴室乾燥機1は、ダンパ回転軸141の回りにダンパ14を回動させるステッピングモータを含むダンパ駆動機構を備える。ダンパ駆動機構は、駆動関連部品の一例である。
図2は、浴室乾燥機におけるダンパ駆動機構の構成の一例を模式的に示す図である。ダンパ駆動機構30は、扇状歯車31と、小歯車32と、ステッピングモータ33と、を有する。扇状歯車31と小歯車32とを組み合わせることによって、ダンパ14を駆動する減速機、すなわちギアが構成される。
扇状歯車31は、扇状のかなめ部分でダンパ回転軸141と固定されている。また、扇状歯車31は、扇面でダンパ14の基端部に固定されている。小歯車32は、扇状歯車31の歯部と噛み合うように配置される。ステッピングモータ33は、小歯車32を小歯車32の中心を軸にして回転させる駆動手段である。すなわち、小歯車32は、ステッピングモータ33の出力軸である回転軸と接続され、ステッピングモータ33により回転可能である。
ステッピングモータ33を駆動させることで、ステッピングモータ33の回転軸に固定されている小歯車32が回転し、小歯車32の回転に応じて扇状歯車31が、ダンパ回転軸141を中心にして、ダンパ回転軸141の周りを回動する。扇状歯車31およびダンパ回転軸141には、ダンパ14が固定されているので、扇状歯車31の回動に応じて、ダンパ回転軸141を中心としてダンパ14が回動する。つまり、ステッピングモータ33の回転軸に取り付けられた小歯車32から、ダンパ回転軸141に取り付けられた扇状歯車31へ回転が伝えられ、ダンパ14の駆動が行われる。
そして、ダンパ14が回動されることによって、換気風路101の開度と循環風路102の開度とが調節される。なお、実施の形態1では、後述するように、ステッピングモータ33の位置出しのために、すなわち基準位置決定のために、ダンパ14を回動させて、ダンパ14を筐体10の内部に突き当てる突き当て動作後に、ステッピングモータ33への通電を一旦停止し、ステッピングモータ33およびダンパ14に関連する部品にかかる応力を解放した後に励磁を行う。
図1に戻り、浴室乾燥機1は、送風機15と、モータ16と、ヒータ17と、フィルタ18と、意匠パネル19と、制御部20と、を有する。送風機15は、筐体10の内部に設けられる。送風機15は、吸込口121から浴室50の空気を筐体10の内部に取り込み、筐体10の内部で空気の流れを生じさせる。一例では、送風機15は、片吸込式のシロッコファン送風機である。図1の例では、吸込口121に対向するように、換気風路101および循環風路102の上流側に配置されている。モータ16は、送風機15を駆動する。図1の例では、モータ16は、筐体10の外部に配置されている。
ヒータ17は、筐体10の内部に取り込まれた空気を温める加熱部である。ヒータ17は、循環吹出口122付近に配置されている。ヒータ17は、加熱強度を切り換え可能であってもよい。一例では、ヒータ17は、電気式のヒータ17である。
フィルタ18は、吸込口121の上流側に配置される。フィルタ18は、空気中の埃等を取り除く。意匠パネル19は、筐体10の浴室50側の面を覆う。すなわち、意匠パネル19は、筐体10の浴室50に露出する部分を覆う。意匠パネル19は、フラットに形成されていて、天井面と意匠パネル19の外周上向き側壁との間に間隙をあけて取付け、意匠パネル19全周に亘る隙間から浴室50空気を吸込む。意匠パネル19の循環吹出口122に対応する位置には、開口である吹出部191が設けられる。吹出部191から循環風路102を経由した空気が浴室50に吹き出される。
制御部20は、浴室乾燥機1を制御する。具体的には、制御部20は、予め定められた制御プログラムが格納された記憶素子を備え、図示しないリモートコントローラから入力された運転指令に応じて、送風機15、ヒータ17およびダンパ14をそれぞれ個別に制御し、浴室乾燥機1に暖房運転、換気運転、乾燥運転等を行わせる。
浴室乾燥機1は、送風機15を駆動することによって浴室50の空気を筐体10の内部へ取り込む。暖房運転において、浴室乾燥機1は、循環風路102を通りヒータ17によって加熱された空気を浴室50へ吹き出す。換気運転において、浴室乾燥機1は、換気風路101から換気ダクト接続部13へ空気を送り出す。乾燥運転において、浴室乾燥機1は、筐体10の内部へ取り込まれた空気を、換気風路101から換気ダクト接続部13へ送り出すとともに、循環風路102を通りヒータ17によって加熱された空気を浴室50へ吹き出す。乾燥運転において、浴室乾燥機1は、温風ではなく涼風を浴室50へ吹き出してもよい。暖房運転、換気運転および乾燥運転の切り替えは、ダンパ14を配置する位置によって行われる。
制御部20は、送風機15、ダンパ14およびヒータ17を制御することによって、暖房運転と換気運転と乾燥運転との切り換えを行う。実施の形態1では、制御部20は、循環風路102が閉塞されている状態または換気風路101が閉塞されている状態とする場合に、ダンパ14を回転させて、筐体10の内部にダンパ14を突き当て、突き当てが発生した後に、ステッピングモータ33への通電を切って、ステッピングモータ33の回転軸の保持を開放させた後、再びステッピングモータ33に通電し、回転軸が外力によって回転しないように回転軸を保持させる。
図3は、ステッピングモータの回転原理の一例を示す図である。図3には、ステッピングモータ33のロータ331の周囲に配置されるコイル332の結線図が示されている。ステッピングモータ33は、ロータ331と、図示しないステータに巻き回されるコイル332と、を有する。各コイル332には、ベースピン333が接続されている。ベースピン333には、ベースピン333を識別するピン番号が付されている。
図4は、図3のステッピングモータにおけるコイルの通電順序の一例を示す図である。ここでは、1-2相励磁で、ステッピングモータ33の回転軸方向から見て反時計回りに回転させるときの通電順序、すなわち励磁順序を示している。この図で「+」はベースピン333に正の電圧が印加されていることを示し、「-」はベースピン333に負の電圧が印加されていることを示している。ステップの「1」から「8」へと順にベースピン333に電圧を印加することで、ロータ331が反時計回りに回転する。このように、ステップごとに通電するコイル332を変えることで回転軸を回転させる。言い換えれば励磁するコイル332を切替えることで1ステップずつ回転させることができる。回転を停止し、その場で保持させたい場合には、次のステップへ進まず、励磁を継続すればよい。
従来では、このようにステッピングモータ33を駆動し、回転軸の回転に伴ってダンパ14に突き当てが発生すると、コイル332への通電を維持して、突き当てが発生した状態を維持する。このため、ダンパ14と、ギアである扇状歯車31および小歯車32と、ステッピングモータ33の回転軸と、に応力がかかる。
しかし、実施の形態1では、制御部20は、突き当てが発生すると、一旦ステッピングモータ33への通電を止める。これによって、ステッピングモータ33の回転軸を開放し、回転軸が保持されない状態とする。この状態では、ダンパ14の弾性変形応力によって、回転軸が逆方向に回転して、回転軸およびギアにかかる応力が減少する。その後、ステッピングモータ33への通電を行い励磁を行って、回転軸を保持する。これによって、突き当てが発生したときに比して、各部にかかる応力を軽減することが可能である。
次に、実施の形態1の浴室乾燥機1の換気運転、暖房運転および乾燥運転について説明する。図5は、浴室乾燥機の換気運転時の風路の状態の一例を示す図である。図5中の白抜き矢印は空気の流れを表している。以下の図でも同様である。換気運転では、浴室50からの空気が、ヒータ17を介して吹出部191へと向かうことを防ぎ、換気接続口111へと流れるようにダンパ14を配置して、換気風路101を形成する。すなわち、ダンパ14は、循環風路102を全閉状態とし、筐体10の内部で部材に突き当たる状態となる。この例では、ダンパ14の先端部がオリフィス12に突き当たる状態となっている。これによって、筐体10の内部には、換気風路101が形成される。また、ダンパ14をオリフィス12に突き当てることで、基準位置が検出される。送風機15の運転が開始されると、浴室50の空気は、吸込口121から換気風路101を流れる。すなわち、浴室50の空気は、ダンパ14により換気接続口111へと導かれ、換気ダクト接続部13を介して屋外へと排気される。
浴室乾燥機1では、暖房運転から換気運転、乾燥運転から換気運転、停止から換気運転への各運転切り替え時に、上記したようにダンパ14の突き当て動作を行う。循環吹出口122を塞ぐために、ダンパ14は、先端部をオリフィス12に接触させた状態で、突き当て動作を実施する。その後、ステッピングモータ33への通電を一旦止めて、応力を解放してから再び通電し励磁を行う。これによって、ステッピングモータ33の回転軸およびギアにかかる応力が突き当て動作時にかかる応力に比して弱い状態で、循環吹出口122を塞ぐことが可能となる。
図6は、浴室乾燥機の暖房運転時の風路の状態の一例を示す図である。暖房運転では、換気接続口111を塞ぎ、浴室50からの空気が、ヒータ17を介して吹出部191へ向かうようにダンパ14を配置して、循環風路102を形成する。すなわち、ダンパ14は、換気風路101を塞ぐ全開状態となり、筐体10の内部で部材に突き当たる状態となる。この例では、ダンパ14の先端部が筐体10の上面に突き当たる状態となっている。これによって、筐体10の内部には、循環風路102が形成される。また、ダンパ14を筐体10の上面に突き当てることで、基準位置が検出される。そして、浴室50から取り込んだ空気をヒータ17で加熱して浴室50に戻す暖房運転が可能となる。暖房運転時には、送風機15を駆動することによって、浴室50の空気が筐体10の内部に取り込まれる。送風機15によって筐体10の内部に取り込まれた空気は、循環風路102を通り、ヒータ17によって加熱された後に、循環吹出口122を介して吹出部191から浴室50へ吹き出される。
浴室乾燥機1では、換気運転から暖房運転、乾燥運転から暖房運転、停止から暖房運転への各運転切り替え時に、上記したようにダンパ14の突き当て動作を行う。換気接続口111を塞ぐために、ダンパ14は、先端部を筐体10の上面に接触させた状態で、突き当て動作を実施する。その後、ステッピングモータ33への通電を一旦止めて、応力を解放してから再び通電して励磁を行う。これによって、ステッピングモータ33の回転軸およびギアにかかる応力が突き当て動作時にかかる応力に比して弱い状態で、循環吹出口122を塞ぐことが可能となる。
図7は、浴室乾燥機の乾燥運転時の風路の状態の一例を示す図である。乾燥運転では、浴室50から取り込んだ空気の一部をヒータ17で加熱して吹出部191から浴室50に戻す循環風路102と、残りの空気を換気接続口111から屋外へ排気する換気風路101と、を形成するようにダンパ14を配置する。つまり、ダンパ14は、オリフィス12と筐体10の上面との間の位置に保持される。これによって、空気の流れが2つに分けられ、ヒータ17の方向へ向かう循環風路102と、換気接続口111の方向へ向かう換気風路101と、が筐体10の内部に確保される。乾燥運転では、浴室50の内部へ温風を吹出しながら換気を行なって、浴室50または衣類を乾燥することができ、浴室乾燥機1を温風乾燥機として機能させることができる。
乾燥運転時には、ダンパ14は、オリフィス12および筐体10の上面のいずれにも接触しない。すなわちダンパ14は突き当て動作を行わないため、ステッピングモータ33でダンパ14を駆動した後、すぐに励磁することができる。
つぎに、実施の形態1に係る換気送風機の制御方法について詳細に説明する。図8は、実施の形態1に係る換気送風機の制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。図9は、実施の形態1に係る換気送風機の制御方法におけるステッピングモータのコイルへの通電順序の一例を示す図である。ここでは、図5の浴室50の内部への循環風路102が閉塞されている全閉状態から、図6の浴室50の内部への循環風路102が開放されている全開状態へ、すなわち換気運転から暖房運転へ切り替える場合を例に挙げる。なお、図8に示される換気送風機の制御方法を実行しているときには、送風機15は動作したままの状態であるものとする。
まず、換気送風機の制御部20は、ステッピングモータ33を駆動し、突き当て工程を実施する(ステップS1)。図9に示される定められた通電順序で、ベースピン333に電圧を印加してコイル332の励磁を行って、ロータ331を回転させ、ロータ331の回転軸、すなわちステッピングモータ33の回転軸と接続されるギアを介して、出力軸方向から見て時計回りにダンパ14を回動させる正回転ステップを行う。一例では、ステップ「1」から「8」に示される時計回りの正回転ステップが数十回実行される。これによってステッピングモータ33の回転軸が回転し、回転軸にギアを介して接続されるダンパ14が、図5の状態から図6の状態に時計回りに回動する。図5の循環風路102の全閉状態から図6の循環風路102の全開状態までは、ダンパ14の開閉角度を例えば30°回動させている。
ステップS1の突き当て工程では、ダンパ14の開閉角度よりも1割から2割程度多く回動するように正回転ステップで各ベースピン333に対して電圧を印加して正回転させ、ダンパ14を筐体10の上面に突き当てる。ダンパ14が筐体10の上面に突き当たると、ダンパ14は少し変形して筐体10の上面に密着することにより、上側の換気風路101の換気接続口111を閉塞する。このとき、回転軸およびギアには、ダンパ14の弾性変形に対応する応力が発生する。
ついで、制御部20は、ベースピン333に対する電圧印加を切ってステッピングモータ33の回転軸を開放する回転軸開放工程を実施する(ステップS2)。このとき、ダンパ14の弾性変形に対応する応力によって、回転軸が逆方向に回転して、回転軸およびギアにかかる応力が減少する。図9に示されるように、すべてのベースピン333には電圧が印加されない状態となる。
その後、制御部20は、定められたベースピン333の位置に電圧を印加する保持工程を実施する(ステップS3)。一例では、図9に示されるように、正回転ステップの「1」の状態に相当するコイル332が励磁され、回転軸は正回転ステップ「1」の位置で保持される。以上で換気送風機の制御方法が終了する。
図10は、実施の形態1に係る換気送風機の制御方法の各ステップでの回転軸およびギアにかかる応力の様子の一例を模式的に示す図である。この図において、横軸は、時刻を示し、縦軸は、回転軸およびギアにかかる応力を示している。ここでは、説明を分かりやすくするために、横軸には、図8および図9における工程も示している。
時刻T1-1が図5の循環風路102の全閉状態におけるダンパ14の回転位置に相当する。ステップS1の突き当て工程では、ダンパ14の回転軸を正方向、すなわち図5の状態から図6の状態まで時計回り方向に回転させる。これによって、時刻T1-2で、ダンパ14が少し浮いた状態となる。この状態では、ダンパ14の自重による回転応力が回転軸およびギアに働く。時刻T1-3までは、回転軸およびギアにダンパ14の自重による回転応力が働く。
さらにダンパ14の回転軸を正方向に回転させると、図6の循環風路102の全開状態となる。すなわち、時刻T1-3でダンパ14は筐体10の上面に突き当てられ、換気接続口111を閉塞して、循環風路102を全開状態とする。
ダンパ14が筐体10の上面に突き当てられた状態から、さらにダンパ14の回転軸を正方向に回転させると、ダンパ14が弾性変形しながら、ダンパ回転軸141が回転する。このとき、ステッピングモータ33の回転軸にはダンパ14の自重による回転応力と、ダンパ14の弾性変形による応力と、を合計した応力が働く。
さらにダンパ回転軸141を正方向に回転させて、回転軸にかかる応力が大きくなると、ステッピングモータ33のステータとロータ331との間で滑りが発生する。従って、これ以上大きな応力は回転軸には働かない。回転軸の回転応力がステッピングモータ33のすべりトルクと釣り合った状態が、時刻T1-4であり、このときの応力がSt-14である。これ以上は、ステッピングモータ33に回転指示を出しても、滑りが発生するので、応力は増加しない。すなわち、ステップS1の突き当て工程の最後である時刻T2-1まで、応力は一定となる。
ついで、ステップS2の回転軸開放工程では、時刻T2-1で、ベースピン333に対する電圧印加を切って回転軸を開放する。このとき、ダンパ14の弾性変形応力により、回転軸が逆方向に回転して、回転軸およびギアにかかる応力が減少する。すなわち、回転軸の逆回転に対応して、時刻T2-1から時刻T2-2までの間に、応力がSt-14からSt-22まで減少する。
回転軸のギアには、回転に対する摩擦力があり、回転軸の開放状態でも応力は完全にゼロにはならず、回転軸は一定の応力状態で保持される。この状態が、時刻T2-2から、ステップS3の保持工程が開始される時刻T3-1まで継続される。
その後、ステップS3の保持工程では、時刻T3-1で、図9の正回転ステップ「1」の状態に相当するベースピン333に電圧を印加する。これによって、回転軸は正回転ステップ「1」の位置で保持される。このとき、回転軸およびギアは、時刻T3-1での応力の状態、すなわち応力St-22が印加された状態で保持される。つまり、ダンパ14が換気風路101を塞ぐ全開状態またはダンパ14が循環風路102を塞ぐ全閉状態にあるときに、ステッピングモータ33の回転軸は、回転軸の摩擦力と同じ応力が印加されている状態である。以上で、処理が終了する。
このように実施の形態1では、突き当て後にコイル332に印加する電圧を切り、回転軸を開放するようにした。これによって、ダンパ14の弾性変形応力によって突き当て時の回転方向とは逆方向に回転軸が回転する。つまり、回転軸が保持されておらず回転可能なため、ダンパ14の弾性変形応力が回転軸の逆方向の回転によって開放される。この結果、図10に示されるように、回転軸にかかる応力をSt-14からSt-22まで低減させることができる。すなわち、回転軸のギアの回転に対する摩擦力と同じ応力まで低減させることができる。その後、コイル332に電圧を印加して励磁させ、回転軸を定められた位置で保持する。この結果、基準位置決定時の突き当て動作による応力を緩和し、ダンパ14で突き当てが発生したステッピングモータ33の状態で回転軸を保持していた従来の換気送風機に比して、回転軸およびギアにかかる応力を低減させることができるという効果を有する。これによって、ステッピングモータ33およびダンパ14の駆動部品の劣化を軽減し、換気送風機を長寿命化することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る換気送風機の構成は、実施の形態1で説明したものと同様である。ただし、制御部20におけるダンパ14の突き当てが発生した後の処理が異なる。以下では、実施の形態1と異なる点について説明する。
実施の形態2に係る換気送風機の制御部20は、突き当て動作後にベースピン333に対する電圧印加を切って回転軸を開放し、さらにステッピングモータ33を数パルス分逆回転させる。つまり、積極的にステッピングモータ33およびダンパ14の駆動関連部品にかかる応力を低減させる。その後、制御部20は、定められた状態となる位置のベースピン333に電圧を印加して励磁を行う。なお、逆回転は、突き当て動作を行う回転方向とは逆方向に数回転分実施される。
つぎに、実施の形態2に係る換気送風機の制御方法について詳細に説明する。図11は、実施の形態2に係る換気送風機の制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。図12は、実施の形態2に係る換気送風機の制御方法におけるステッピングモータのコイルへの通電順序の一例を示す図である。ここでは、図5の浴室50の内部への循環風路102が閉塞されている全閉状態から、図6の浴室50の内部への循環風路102が開放されている全開状態への動作、すなわち換気運転から暖房運転へ切り替える場合を例に挙げる。なお、以下では、実施の形態1の図8と同一の処理については、同一のステップ番号を付し、異なる部分について説明する。また、図11に示される換気送風機の制御方法を実行しているときには、送風機15は動作したままの状態である。
実施の形態1の図8と同様に、換気送風機の制御部20は、ステップS1の突き当て工程およびステップS2の回転軸開放工程を実施する。実施の形態1と同様に、図12に示される定められた通電順序で、ベースピン333に電圧を印加してコイル332の励磁を行って、ロータ331を回転させ、ロータ331の回転軸を回転軸方向から見て時計回りにダンパ14を回転させる正回転ステップを数十回行う。その後、図12に示されるように、すべてのベースピン333には電圧が印加されない開放状態となる。
ついで、制御部20は、回転軸を逆回転させる逆回転工程を実施する(ステップS11)。このとき、回転軸のギアの回転に対する摩擦力と同じ応力での保持状態よりもさらに回転を戻すことにより、回転軸およびギアにかかる応力がステップS2の回転軸開放工程よりも減少する。図12の逆回転工程に示される定められた励磁順番で、ベースピン333に電圧を印加してコイル332の励磁を行って、ロータ331を回転させ、ロータ331の回転軸を出力軸方向から見て反時計回りにダンパ14を回転させる逆回転ステップを行う。一例では、ステップ「8」から「1」に示される反時計回りの逆回転ステップが数回実行される。これによってステッピングモータ33が逆回転する。
一例では、ダンパ14の回転軸が水平の場合で、鉛直方向の下側で突き当てが発生した場合には、回転軸開放工程を実施しても、ダンパ14は重力に逆らう方向に回転することができないため、回転軸およびギアにかかる応力がほとんど減少しないことがある。また、ダンパ14の回転軸が垂直の場合にも、同様の理由で応力が開放され難い。このような場合に、回転軸を逆方向に回転させることで、回転軸およびギアにかかる応力を減少させることが可能となる。
その後は、ステップS3の保持工程が実行される。一例では、図12に示されるように、コイル332が励磁され、回転軸は正回転ステップ「1」の位置で保持される。以上で換気送風機の制御方法が終了する。
図13は、実施の形態2に係る換気送風機の制御方法の各ステップでの回転軸およびギアにかかる応力の様子の一例を模式的に示す図である。この図において、横軸は、時刻を示し、縦軸は、回転軸およびギアにかかる応力を示している。ここでは、説明を分かりやすくするために、横軸には、図11および図12における工程も示している。なお、実施の形態1の図10と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分について説明する。
実施の形態2では、ステップS2の回転軸開放工程の後のステップS11の逆回転工程では、時刻T11-1で回転軸を逆回転させる。このとき、回転軸のギアの回転に対する摩擦力と同じ応力を保持している状態よりもさらに回転を戻すことによって、回転軸およびギアにかかる応力がステップS2の回転軸開放工程よりも減少する。すなわち、回転軸の逆回転に対応して、時刻T11-1から時刻T3-1までの間に、応力がSt-22からSt-112まで減少する。
その後、時刻T3-1でのステップS3の保持工程では、制御部20は、図12の正回転ステップ「1」の状態に相当するベースピン333に電圧を印加する。これによって、回転軸は正回転ステップ「1」の位置で保持される。このとき、回転軸およびギアは、時刻T3-1の状態、すなわち応力St-112が印加された状態で保持される。つまり、ダンパ14が換気風路101を塞ぐ全開状態またはダンパ14が循環風路102を塞ぐ全閉状態にあるときに、ステッピングモータ33の回転軸は、回転軸の摩擦力よりも小さい応力が印加されている状態である。以上で、処理が終了する。
このように実施の形態2では、突き当て後にコイル332に印加する電圧を切り、回転軸を開放し、さらに逆回転させるようにした。これによって、図13に示されるように、回転軸にかかる応力をSt-14からSt-112まで低減させることができる。すなわち、回転軸およびギアにかかる応力を、回転軸のギアの回転に対する摩擦力よりも小さい応力まで低減させることができる。実施の形態2では、ダンパ14の回転軸が水平方向であり、鉛直方向の下側で突き当てが発生する場合、あるいはダンパ14の回転軸が鉛直方向である場合などのように、応力が開放され難い方向に突き当ての動作が発生する環境で特に有効である。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1,2を組み合わせた換気送風機について説明する。実施の形態3に係る換気送風機の構成は、実施の形態1,2で説明したものと同様である。ただし、制御部20におけるダンパ14の突き当てが発生した後の処理が異なる。以下では、実施の形態1,2と異なる点について説明する。
ダンパ14の駆動軸が水平方向であり、鉛直方向の上側と下側とで突き当て動作を行う場合を例に挙げる。換気送風機の制御部20は、鉛直方向の上側の突き当て動作を伴うダンパ14の回転の場合には、実施の形態1の図8に示される手順に従って制御を行う。すなわち、制御部20は、上側での突き当てを行う突き当て工程、ステッピングモータ33への通電を一旦停止する回転軸開放工程、および励磁を行い回転軸を保持する保持工程を連続して実施する。一方、制御部20は、鉛直方向の下側の突き当て動作を伴うダンパ14の回転の場合には、実施の形態2の図11に示される手順に従って制御を行う。すなわち、制御部20は、下側での突き当てを行う突き当て工程、ステッピングモータ33への通電を一旦停止する回転軸開放工程、数パルス分逆回転させる逆回転工程、および励磁を行い回転軸を保持する保持工程を連続して実施する。逆回転は、一例では、図12の逆回転ステップにおけるステップ「8」からステップ「1」までを1回転として数回転分実施する。上側での突き当て時にはダンパ14の自重を活用することで、下側での突き当て時にはステッピングモータ33を逆回転させることで、回転軸およびギアにかかる応力を緩和する。
上側での突き当て時には、突き当て時の回転方向とダンパ14の自重による回転方向とが逆方向になるので、回転軸開放工程によって応力が緩和される。一方、下側の突き当て時には、突き当て時の回転方向とダンパ14の自重による回転方向とが同方向になり、応力が加算される。すなわち、回転軸開放工程を実施しても、上側での突き当て時に比して応力が緩和され難い。このため、ステッピングモータ33を逆回転させることで応力を緩和することが望ましい。
換気送風機の設置時に、ダンパ14の回転軸が水平方向であるか否か、また回転軸が水平方向である場合には、ダンパ14の突き当てが生じる位置が鉛直方向の上側および下側であるか否か、を設置者は把握することができる。設置者は、ダンパ14の回転軸が水平方向であり、ダンパ14の突き当てが生じる位置が鉛直方向の上側である場合に、ステッピングモータ33に実施の形態1で説明した処理を行わせ、ダンパ14の突き当てが生じる位置が鉛直方向の下側である場合に、ステッピングモータ33に実施の形態2で説明した処理を行わせるように、制御部20に対して設定を行う。
実施の形態3によっても、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る換気送風機の構成は、実施の形態1から3で説明したものと同様である。以下では、実施の形態1から3と異なる点について説明する。実施の形態4に係る換気送風機では、制御部20は、ダンパ14の突き当て動作の制御を行う際に、ダンパ14の駆動時に送風機15の運転を停止させる。すなわち、制御部20は、ダンパ14を駆動させる前に送風機15の駆動を停止させて、ダンパ14の回転動作を実行させ、その後に、送風機15を駆動させる。
つぎに、実施の形態4に係る換気送風機の制御方法について詳細に説明する。図14は、実施の形態4に係る換気送風機の制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、実施の形態2のように、回転軸開放工程の後に逆回転工程を行う場合を例に挙げる。以下では、実施の形態1の図8および実施の形態2の図11と同一の処理については、同一のステップ番号を付し、異なる部分について説明する。
まず、換気送風機の制御部20は、送風機15の送風を停止させる送風機停止工程を実施する(ステップS21)。送風機15を運転させた状態のまま、ダンパ14を動作させた場合には、送風による圧力も回転軸に働くことになる。また、送風圧力は圧力損失等でも変化し、不安定となる。そこで、実施の形態4では、ダンパ14を回転させる前に、送風機15を停止させる。この結果、送風機15の送風を切った状態で突き当て動作を行うため、送風機15の送風によらず、安定した応力緩和を行うことができる。
ついで、制御部20は、実施の形態1,2で説明したステップS1の突き当て工程からステップS3の保持工程までを実施する。制御部20は、ステップS3の保持工程の後に、送風機15を運転させる送風機運転工程を実施する(ステップS22)。以上によって、処理が終了する。
実施の形態4では、突き当て動作を伴うダンパ14の回転動作の前に、送風機15を停止させた状態で、実施の形態1から3で説明した突き当て動作を伴うダンパ14の回転動作を実行し、その後に送風機15を運転させる。これによって、突き当て動作時に、送風による圧力がダンパ14を介して回転軸に働くことを抑制することができる。また、圧力損失等で変化し、不安定となる送風圧力が回転軸に与える影響を抑制することができる。この結果、送風機15の送風によらず、安定した応力緩和を行うことができるという効果を有する。
実施の形態1から4で説明した制御部20は、処理回路として実現される。処理回路は専用のハードウェアであってもよいし、集積回路であってもよいし、プロセッサを備える回路であってもよい。図15は、実施の形態1から4に係る換気送風機に備えられる制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御部20は、プロセッサ501と、メモリ502と、を備える。プロセッサ501は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)とも称される)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ502は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等である。プロセッサ501とメモリ502とはバスライン503を介して接続される。
制御部20の機能は、ダンパ14の切り替えの制御の処理を含む換気送風機の制御方法の手順を記述したプログラムをメモリ502から読み出し、プロセッサ501が実行することにより実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部20の機能のうちの一部を専用のハードウェアである電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ501およびメモリ502を用いて実現するようにしてもよい。一例では、制御部20は、送風機15およびダンパ駆動部の動作を電気信号によって制御する。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。