図面を参照しながら、本開示の実施形態の一例を説明する。本開示は、以下の運行管理システムSysが適用される地域の法規及び慣習に適合するように適宜変更して実施可能である。
<前置き>
図1は、本開示に係る運行管理システムSysの概略的な構成の一例を示す図である。本開示の運行管理システムSysは、図1に示すように自動運転バス1に搭載されている車載システムIvS、及び、管制センタ2を含む。車載システムIvSは、後述するように自動運転機能を提供する自動運転ECU20と、車内状況を見守る車内監視ECU30を含む。なお、図1では自動運転バス1を1台しか示していないが、管制センタ2が管理する自動運転バス1は複数台存在しても良い。
自動運転バス1は、自動運転ECU20を備えることにより、外界センサ11の検出結果に基づいて自律的に(自動で)走行可能に構成されたバスである。自動運転バス1は、運転士などの乗務員が車内にいないバスに相当する。自動運転バス1は、無人運行バスや、自動運行バス、ロボットバスなどと呼ぶこともできる。自動運転バス1は、予め設定された運行ルートを定期的に走行するものであってもよいし、ユーザからの乗車要求に基づいて柔軟に走行ルートを変更する、いわゆるオンデマンドバスに相当するものであっても良い。自動運転バス1は、シャトルバスやスクールバスであってもよい。
もちろん、車載システムIvSが適用される車両は、バスとしての形態を保持する旅客車両に限定されない。車載システムIvSは、運転手が搭乗せずに自律的に走行するタクシーであるロボットタクシーに適用されても良い。本開示の構成は、多様な形式の旅客自動車に適用可能である。また、本開示は自動車に限らず、電車にも適用可能である。以降では車載システムIvSが搭載されている車両を自車両とも記載する。
また、ここでは一例として自動運転バス1は、電気自動車とするがこれに限らない。自車両は、エンジン車であってもよいし、ハイブリッド車であってもよい。電気自動車は、モータのみを駆動源として備える車両を指す。電気自動車には、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)も含まれる。ガソリン車は、駆動源としてエンジンのみを備える車両であって、ガソリンなどの燃料によって走行する車両に相当する。エンジン車にはディーゼル車も含まれる。ハイブリッド車は動力源としてエンジンとモータを備える車両を指す。
管制センタ2は、自動運転バス1の運行状況等を管理するセンタである。自動運転バス1は、無線基地局3に無線接続する事により、図1においてWANで示す広域通信ネットワーク4を介して管制センタ2と相互通信可能に構成されている。例えば自動運転バス1は、自車両の現在位置や、車内の様子、周辺状況などを示すデータを管制センタ2に逐次送信する。
なお、広域通信ネットワーク4は、例えばインターネットである。広域通信ネットワーク4は、例えばインターネット以外のIP(Internet Protocol)ネットワークや、携帯電話網等といった通信事業者によって提供されるネットワークであってもよい。図1に示すWANはWide Area Networkの略である。
無線基地局3は、LTE/4G/5G/6Gの規格(以降、4G等)に準拠した移動体通信網を形成する通信設備である。無線基地局3は、自動運転バス1とLTE等の規格に準拠した無線信号を送受信する設備である。無線基地局3は、例えば4Gに適合したeNB(evolved NodeB)である。もちろん、無線基地局3は、5Gで使用されるgNB(next generation NodeB)であってもよい。無線基地局3は、自動運転バス1に搭載された無線通信機と制御信号をやり取りすることで、広域通信ネットワーク4へのアクセス、ひいては自動運転バス1と管制センタ2とのデータ通信を実現する。
<車載システムIvSの全体構成について>
車載システムIvSは一例として図2に示す種々の構成を備える。すなわち、車載システムIvSは、外界センサ11、車両状態センサ12、ロケータ13、地図記憶装置14、車内センサ15、無線通信機16、ディスプレイ17、及び車内スピーカ18を備える。また、車載システムIvSは、走行アクチュエータ19、自動運転ECU20、及び、車内監視ECU30を備える。部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
外界センサ11などの各装置はそれぞれ、車両内に構築された通信ネットワークである車両内ネットワークIvNを介して車内監視ECU30と相互通信可能に接続されている。なお、ここで開示する装置間の接続態様は一例であって適宜変更可能である。一部の構成同士は、車両内ネットワークIvNを介さずに、専用の通信線で接続されていてもよい。また、車両内ネットワークIvNのトポロジはバス型に限らず、メッシュ型や、スター型、リング型などであってもよい。車両内ネットワークIvNの規格としては、例えばController Area Network(以降、CAN:登録商標)や、イーサネット(イーサネットは登録商標)、FlexRay(登録商標)など、多様な規格を採用可能である。
外界センサ11は、自車の周辺を監視するセンサである。外界センサ11は、所定の検出対象物の存在及びその位置を検出するように構成されている。外界センサ11としては、例えば、周辺監視カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)、ソナー等を採用することができる。ミリ波レーダは、所定方向に向けてミリ波又は準ミリ波を送信するとともに、当該送信波が物体で反射されて返ってきた反射波の受信データを解析することにより、検出範囲内に存在する物体の位置を検出するデバイスである。LiDARはレーザ光を照射することによって、検出方向ごとの反射点の位置を示す3次元点群データを生成するデバイスである。LiDARはレーザレーダとも称される。LiDARはスキャン型であってもよいし、フラッシュ型であってもよい。
車載システムIvSは例えばLiDARと少なくとも1つの周辺監視カメラなど、検出方向ごとに複数種類の外界センサ11を備えうる。周辺監視カメラは自車両の外側、所定方向を撮像するように配置されている車載カメラである。周辺監視カメラには、自車両の前方を撮影するようにフロントガラスの車室内側の上端部や、フロントグリル等に配置された、前方カメラが含まれる。前方カメラは、例えばCNN(Convolutional Neural Network)やDNN(Deep Neural Network)などを用いた識別器を用いて多様な検出対象物を検出する。
検出対象物には、例えば、歩行者や、他車両などの移動体が含まれる。他車両には自転車や原動機付き自転車、オートバイも含まれる。また、外界センサ11は、所定の地物も検出可能に構成されている。外界センサ11が検出対象とする地物には、道路端や、中央分離帯、路面標示、道路沿いに設置される立体構造物が含まれる。路面標示とは例えば、レーンの境界を示す車線区画線や、横断歩道、停止線、導流帯、安全地帯、規制矢印などである。道路沿いに設置される立体構造物とは、例えば、ガードレールや道路標識、信号機などである。
なお、外界センサ11が生成する観測データに基づく物体認識処理は、自動運転ECU20など、センサ外のECU(Electronic Control Unit)が実行しても良い。その場合、各種外界センサ11は、画像データや測距データといった観測データを検出結果データとして自動運転ECU20に提供する。なお、ここでの観測データとは、例えばカメラが生成する映像/画像データや、LiDARが生成する3次元点群データ、ミリ波レーダ/ソナーが取得する探査波の受信結果データなどを指す。
車両状態センサ12は、自車両の状態に関する情報を検出するセンサ群である。車両状態センサ12には、車速センサ、転舵角センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等が含まれる。車速センサは、自車の車速を検出する。転舵角センサは、車両前後方向又は車軸に対するタイヤの角度である転舵角を検出する。転舵角は切れ角とも呼ばれうる。加速度センサは、自車の前後加速度、横加速度等の加速度を検出する。ヨーレートセンサは、自車両に作用するヨーレート(角速度)を検出する。加速度センサやヨーレートセンサは慣性センサと呼ぶこともできる。車両状態センサ12は、検出対象とする物理状態量の現在の値(つまり検出結果)を示すデータを車両内ネットワークIvNに出力する。車両内ネットワークIvNに出力された検出結果は自動運転ECU20や車内監視ECU30などで参照及び利用される。なお、車両状態センサ12として車載システムIvSが備えるセンサの種類は適宜設計されればよく、上述した全てのセンサを備えている必要はない。また、上記以外のセンサ、例えばドアの開閉状態を検出するセンサや、各窓の開閉状態、施錠状態を検出するセンサなどを備えうる。
ロケータ13は、複数の情報を組み合わせる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を生成する装置である。自車両の位置は、例えば緯度、経度、及び高度の3次元座標で表される。ロケータ13は、例えば、GNSS受信機を用いて構成されている。GNSS受信機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星から送信される航法信号(以降、測位信号)を受信することで、当該GNSS受信機の現在位置を逐次検出するデバイスである。例えばGNSS受信機は4機以上の測位衛星からの測位信号を受信できている場合には、100ミリ秒ごとに測位結果を出力する。GNSSとしては、GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、Beidou等を採用可能である。
ロケータ13は、GNSS受信機の測位結果と、慣性センサの出力とを組み合わせることにより、自車両の位置を逐次算出しても良い。例えば、ロケータ13は、トンネル内などGNSS受信機がGNSS信号を受信できない場合、ヨーレートと車速を用いてデッドレコニング(Dead Reckoning :すなわち自律航法)を行う。ロケータ13が算出した車両位置情報は車両内ネットワークIvNに出力され、自動運転ECU20や車内監視ECU30等で利用される。
地図記憶装置14は、地図データを保持する記憶媒体である。地図記憶装置14が保持する地図データは、高精度地図データであっても良いし、ナビゲーション用の地図データであるナビ地図データであっても良い。高精度地図データは、道路構造、及び、道路沿いに配置されている地物についての位置座標等を、自動運転に利用可能な精度で示す地図データに相当する。自動運転に利用可能な精度とは、例えば、各地図要素にかかる実際の位置と地図に登録されている位置との誤差10cm又は20cm以下に抑制されているレベルに相当する。ナビ地図データは、ナビゲーション用の地図データであって、高精度地図データよりも相対的に精度の劣る地図データに相当する。
地図記憶装置14は、自動運転バス1が走行しうる区域である走行予定区域についての地図データを保持していればよい。地図記憶装置14は、走行予定区域における道路の接続関係や、道路形状、車線数などにかかる情報を含む。また、地図記憶装置14が保持する地図データは、停留所の情報や、自動運転バス1が走行すべきレーンなどの情報を含んでいることが好ましい。自動運転バス1が走行すべきレーンには、バス専用レーンやバス優先レーンなどが含まれる。
車内センサ15は、車内における乗客の様子を示す情報を検知し、出力するセンサである。車載システムIvSは、車内センサ15として、図3に示すように、車内カメラ151、車内マイク152、着座センサ153、超音波センサ154、及び赤外線カメラ155を備える。
車内カメラ151は、乗客の様子を撮像可能なように、例えば車室内の天井部に設置された可視光カメラである。車内カメラ151としては、例えばCMOSカメラやCCDカメラ等を用いることができる。車内カメラ151は1台であってもよいし、複数台設けられていても良い。複数の車内カメラ151を設けた構成によれば、車内に死角が生じる恐れを低減できるとともに、1台が故障した場合でも残りのカメラで車内映像を取得可能となる。もちろん、車内カメラ151は1台であってもよい。車内カメラ151は、なるべく広範囲を撮像可能なように、魚眼レンズを用いて構成されていても良い。車内カメラ151は、画像データを車内監視ECU30に逐次出力する。なお、画像データとの表現には、映像信号も含まれる。
車内マイク152は、乗客の発話音声を取得するための装置(いわゆるマイクロフォン)である。車内マイク152は、車内の音声に対応する電気信号を車内監視ECU30に出力する。車内マイク152もまた複数箇所に分散配置されていても良い。例えば、車内マイク152は座席毎に設けられていても良い。車内マイク152、1つのマイクが互いに隣接する2つの座席付近を集音範囲に含むように配置されていても良い。また、座っている人と立っている人とで、頭部の高さ位置が異なる。そのような事情から、車載システムIvSは立っている人用の車内マイク152と、座席に座っている人用の車内マイク152とを別々に備えていても良い。車内マイク152の設置位置や設置姿勢は、指向性を考慮して適宜選定されれば良い。
着座センサ153は、乗客が着座していることを検知するセンサであって、例えばシート毎に設けられている。着座センサ153は、例えば、各座席の着座面に埋設された圧力センサとすることができる。
超音波センサ154は、所定方向に向けて超音波を送信するとともに、当該送信波が物体で反射されて返ってきた反射波の受信データを解析することにより、検出範囲に存在する物体との距離を検出するデバイスである。超音波センサ154はソナーとも呼ばれる。超音波センサ154は、例えば、各座席の上方に相当する天井部において、座席の座面に向けて超音波を発する配備されている。超音波センサ154は、検出範囲に存在する物体との距離を示す信号を車内監視ECU30に出力する。超音波センサ154の検出結果は、座席の使用状況、すなわち、空席か、荷物が置かれているか否かを示す。また、超音波センサ154の検出結果は、着座者の身長を示す。
赤外線カメラ155は、近赤外線を検知する素子をアレイ配置してなるイメージセンサを用いて赤外線画像を生成するカメラである。赤外線画像が備える各画素の値は赤外線の強度を示す。赤外線カメラ155は、近赤外線を検出範囲に向けて投光する光源モジュールを備えていても良い。赤外線カメラ155は、例えば、天井部に車内カメラ151と同様に設置されうる。赤外線カメラ155は、赤外線画像データを車内監視ECU30に逐次出力する。赤外線カメラ155が生成する赤外線画像は、乗客の位置や、乗客の体温、姿勢などを特定するための材料として使用される。なお、赤外線カメラ155は、人体から放射されている遠赤外線の強弱を検知することで温度を計測する、サーマルカメラとして構成されていてもよい。上述した赤外線画像は熱画像(サーモグラフィ)であってもよい。
車内センサ15として車載システムIvSが備えるセンサの種類は適宜設計されればよく、上述した全てのセンサを備えている必要はない。また、上記以外のセンサ、例えばミリ波レーダや、LiDAR、赤外線カメラ155、光電センサ、接触センサなどを車内センサ15として備えていても良い。
ミリ波レーダやLiDARは超音波センサ154に代えて、又は、超音波センサ154と共に、天井部に配置されうる。超音波センサやミリ波レーダ、LiDARは、探査波を用いて物体との距離を検出する測距センサの一例に相当する。レーザ光も電磁波の一種であるため探査波の概念に含まれる。
また、各吊り革及び手すりには、乗客によって把持されているか否かを検出するためのセンサとして接触センサが設けられていても良い。接触センサは感圧式のタッチセンサであってもよいし、静電容量式のタッチセンサであってもよい。種々の車内センサ15は、車内の状況、具体的には乗客の状態を特定するための信号を、車内監視ECU30に提供する。なお、観測データに基づく乗客の状態判定は、各車内センサ15が実施しても良いし、車内監視ECU30が実施しても良い。機能配置は適宜変更可能である。ここでは一例として車内監視ECU30が、各車内センサ15からの入力信号を解析することにより、乗客情報を取得するものとする。
無線通信機16は、管制センタ2などの外部装置と無線通信を実施するための装置である。無線通信機16は、所定の広域無線通信規格に準拠した無線通信を実施するための通信モジュールを含む。ここでの広域無線通信規格としては例えばLTE(Long Term Evolution)や4G、5Gなど多様なものを採用可能である。自車両は、無線通信機16の搭載により、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。
無線通信機16は、受信信号の品質などに基づいて、管制センタ2を含む外部装置とデータ通信可能な状態であるか否かを示す情報を車内監視ECU30に出力する。また、無線通信機16は、管制センタ2とデータ通信が可能である場合には、その通信速度(いわゆるスループット)の平均値や、レイテンシといった、管制センタ2との通信状態を示す指標を計測し、車内監視ECU30に出力してもよい。ここでのレイテンシは、無線通信機16が送信した信号やデータが管制センタ2に届くまでにかかる伝送時間を指す。無線通信機16は、管制センタ2と疎通確認のための制御信号を定期的にやり取りする場合には、管制センタ2宛の信号を送信してから応答が帰ってくるまでにかかる時間である往復レイテンシを計測するように構成されていても良い。往復レイテンシは、ラウンドトリップタイム(RTT:Round-Trip Time)とも呼ばれうる。
さらに、無線通信機16は、無線基地局3から送信される参照信号(RS:Reference Signal)を用いて、RSRPや、RSSI、RSRQ、SINR、PHRなどといった無線通信の品質/速度を直接的又は間接的に示す指標を算出しうる。無線通信機16は、通信品質/通信速度これらの指標値を車内監視ECU30に出力してもよい。
なお、RSRPは、Reference Signal Received Powerの略であり、RSRPは、単位リソースエレメント当たりのRSの平均受信電力を示す。RSSIはReceived Signal Strength Indicatorの略である。RSSIは、RSを収容するOFDMシンボルにおいてLTEシステム帯域全体の電力の測定値を示す。RSSIやRSRPは、無線基地局3からの信号(受信電波)の強度を示す指標値に相当する。以降における電波強度とはRSSI又はRSRPを指す。
RSRQはReference Signal Received Qualityの略である。RSRQは、セル固有の参照信号の受信電力と、受信帯域幅内の総電力との比である。SINRは、Signal to Noise Interference Ratioの略であって、概略的には受信信号のうち、所望信号の電力と、所望信号以外の電力の比を示す。所望信号以外の電力とは、例えば他セル/他セクタからの干渉波や、熱雑音に由来する電力を指す。以降における受信品質とは、RSRQ又はSINRに対応する。RSRPや、RSSI、RSRQ、SINRなどの指標は値が大きいほど無線基地局3からの信号の受信品質が良いことを示す。
PHRはパワーヘッドルーム(Power Headroom)の略であって、送信電力の余力値を示す。PHRもまた大きいほど上り通信の帯域に余裕があることを示す。PHRや、RSRP、RSSI、RSRQの算出方法自体は、3GPP(Third Generation Partnership Project)が規定する方法により算出可能であるため、ここでの説明は省略する。
その他、無線通信機16は他車両との無線通信である車車間通信や、路側機との無線通信である路車間通信を実施可能に構成されていてもよい。路側機とは道路沿いに設置されている通信設備を指す。例えば無線通信機16はセルラーV2Xを実施可能に構成されていても良い。
ディスプレイ17は、画像を表示する装置である。ディスプレイ17は、車内監視ECU30から入力された映像信号に対応する画像を表示する。ディスプレイ17は、乗客から見やすい位置、例えば車室内の天井付近に配置されている。より具体的には、乗降用ドアの上側などに配置されている。ディスプレイ17は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて実現できる。車載システムIvSは、複数のディスプレイ17を備えていても良い。
車内スピーカ18は、音を出力する装置である。本開示における「音」との表現には、音声や音楽も含まれる。車内スピーカ18は、車内監視ECU30から入力された音声信号に対応する音を出力する。車内スピーカ18は、例えば車室内の天井や壁等に配置されている。車載システムIvSは複数の車内スピーカ18を備えていても良い。例えば車内スピーカ18は、座席ごとに設けられていても良い。
走行アクチュエータ19は、自動運転バス1が走行するためのアクチュエータ類を指す。例えば制動装置や、電子スロットル、操舵アクチュエータなどが走行アクチュエータ19に該当する。制動装置とは例えばブレーキアクチュエータである。操舵アクチュエータには、EPS(Electric Power Steering)モータが含まれる。なお、自動運転ECU20と走行アクチュエータ19との間には、操舵制御を行う操舵ECUや、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU、及びブレーキECU等、他のECUが介在していてもよい。
自動運転ECU20は、外界センサ11の検出結果などをもとに走行アクチュエータ19を制御することにより、運転操作の一部又は全部をユーザの代わりに実行するECUである。自動運転ECU20は自動運行装置とも称される。自動運転ECU20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えた、コンピュータとして構成されている。
自動運転ECU20は、米国自動車技術会(SAE International)が定義するレベル4相当の機能を有する。自動化レベル4は、対応不可能な所定の道路、極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施するレベルである。レベル4は、予め設定された運行設計領域(ODD:Operational Design Domain)内にてシステムが全ての運転タスクを実施するレベルに相当する。レベル4は、いわゆる高度自動運転に相当する。なお、自動運転ECU20が提供する自動運転機能は、例えばレベル3相当であってもよいし、レベル5相当であってもよい。
自動運転ECU20は、より細かい機能部として制御計画部G1と制御実行部G2とを備える。制御計画部G1は、外界センサ11の検出結果と、地図記憶装置14に保存されている地図データとを用いて、車両の制御計画を作成する。制御計画には、各時刻における走行位置をつなげてなる走行経路が含まれる。例えば制御計画には、どの道路を通り、どの交差点で曲がるかなどといった、道路レベルでの長期的な経路情報と、直近所定時間以内に通行する道路区間においてどのレーンを走行するかなどを示す短期的な経路情報が含まれる。制御計画は、算出した経路における速度調整のための加減速のスケジュール情報や、操舵角の制御スケジュール情報、車線変更を行う地点の情報、乗客に車両挙動を予告するタイミングなどの情報を含みうる。自動運転ECU20は、外界センサ11の検出結果及び地図データの少なくとも何れか一方に基づいて特定される道路の曲率に応じた加減速及び操舵の計画を作成する。
制御計画部G1は、例えば外界センサ11の検出結果及び地図データの少なくとも何れか一方に基づき、所定時間以内に交差点を通過することが検知された場合には、交差点内の走行経路や、信号機の点灯状態に応じた停車などの制御計画を作成する。また、外界センサ11で、自車両の前方に、例えば路上駐車車両などの障害物が存在することが検出された場合には、障害物の側方を通過する走行計画を生成しうる。その他、路上の落下物の回避や、歩行者の手前で停車する制御など、他の物体との衝突を避けるための緊急回避行動なども計画する。制御計画部G1が作成した制御計画の概要は、車内監視ECU30にも通知される。なお、制御計画を作成する処理の一部や、車両の走行環境の認識にかかる処理の一部又は全部は、管制センタ2で実行されても良い。自動運転にかかる機能の配置態様は適宜変更可能である。
制御実行部G2は、制御計画部G1が生成した制御計画に基づき、走行アクチュエータ19毎の制御量を決定し、各走行アクチュエータ19に制御信号を出力する。また、制御実行部G2は、制御計画部G1が作成した制御計画及び外部環境に基づき、方向指示器やヘッドライト、ハザードランプ等の点灯/消灯なども制御する。
本実施形態の自動運転ECU20は動作モードとして、通常モードに加えて、フォールバックモードを備える。通常モードは、管制センタ2との通信が正常に実施可能な状態において適用される動作モードである。通常モードにおいて自動運転ECU20は、走行速度や、車体に作用する加減速度、ヨーレートなどが所定の標準許容範囲内に収まるように制御計画を作成する。
一方、フォールバックモードは、管制センタ2との通信に不具合が生じている場合に、車内監視ECU30からの指示に基づき適用されうる動作モードである。自動運転ECU20は、フォールバックモード時においては、走行速度や、車体に作用する加減速度、ヨーレートなどが通常モード時よりも小さい値となるように制御計画を作成する。フォールバックモードは、制御計画時に取りうる車速や、加速度、角速度といった諸元の許容値が通常モード時よりも所定量小さい値に設定された動作モードに相当する。
例えば速度の上限値は、通常モード時には60km/hとする一方、フォールバックモード時には40km/hとすることができる。また、加減速度の許容値は、通常モード時には2.0m/s^2とする一方、フォールバックモード時には1.0m/s^2とすることができる。そのような構成よれば、自動運転ECU20はフォールバックモード時、加減速度が1.0m/s^2以下になるようにアクセル/ブレーキ制御を実施することとなる。つまり、フォールバックモード時には通常モード時よりも緩やかに加減速が行われるため、乗客が転倒する恐れを低減できる。
さらに、ヨーレートの許容値は、通常モード時には1.0rad/s^2とする一方、フォールバックモード時には0.5rad/s^2に設定できる。そのような設定によれば、自動運転ECU20はフォールバックモード時、角速度が0.5rad/s^2以下になるように操舵制御を実施することとなる。つまり、フォールバックモード時には通常モード時よりも緩やかに旋回が行われるため、乗客が転倒する恐れを低減できる。
もちろん、上記の数値は一例であって通常モード時及びフォールバックモード時のそれぞれの制御上の許容値は適宜変更可能である。フォールバックモードとして抑制される諸元は、速度、加減速度、及びヨーレートの何れか1つだけであってもよい。フォールバックモードは、通常モードよりも慎重に制御するモードであればよい。また、フォールバックモードでの車両制御は慎重制御と呼ぶとともに、通常モードでの車両制御を通常制御と呼ぶことができる。慎重制御は通常制御よりも、乗客が転倒しにくい制御と解することができる。
なお、通常モードでの制御上の諸元もまた、乗客の安全性や乗り心地を鑑みて設定されている。常にフォールバックモードで運行すると、移動速度が遅くなり、渋滞の要因となったり、移動時間の増大に伴って乗客の利便性を損なったりする可能性が生じる。通常モードの制御条件は、乗客の安全性及び乗り心地に加えて、他の交通との協調性や、移動時間に対応する利便性なども考慮して設定されている。自動運転ECU20は、基本的には通常モードで運行する一方、管制センタ2との通信状況に応じて一時的にフォールバックモードで走行することにより、乗客の安全性や、乗り心地、利便性などの要求を充足可能となる。
車内監視ECU30は、車内センサ15から入力される信号に基づいて、乗客の様子を見守り、必要に応じて注意喚起や降車案内、転倒者に対する安否確認などのアナウンスを実施するECUである。車内監視ECU30は、プロセッサ31、RAM32、ストレージ33、通信モジュール34、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として構成されている。プロセッサ31は、RAM32と結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ31は、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。プロセッサ31は、RAM32へのアクセスにより、種々の処理を実行する。
ストレージ33は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ33には、プロセッサ31によって実行されるプログラムである乗客見守りプログラムが格納されている。なお、乗客見守りプログラムは、無線通信によって適宜書き換え(更新)可能に構成されていても良い。プロセッサ31が乗客見守りプログラムを実行することは、乗客見守りプログラムに対応する方法が実行されることに相当する。通信モジュール34は、車両内ネットワークIvNを介して他の車載デバイスと通信するための回路である。通信モジュール34は、アナログ回路素子やIC、車両内ネットワークIvNの通信規格に準拠したPHYチップなどを用いて実現されている。
車内監視ECU30は、ストレージ33に保存されている車内監視プログラムを実行することにより、図4に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、車内監視ECU30は機能ブロックとして、特定行動検出部F1、通信状態取得部F2、報告処理部F3、及び、応答部F4を備える。また、車内監視ECU30は、乗客対応テーブルが格納されているデータベースである乗客対応テーブル記憶部M1と、電波強度マップが格納されている電波強度マップ記憶部M2とを備える。乗客対応テーブル記憶部M1が報知用データ記憶部に相当する。乗客対応テーブルは、乗客の行動に対応するアナウンス/車両制御を行うためのデータである。乗客対応テーブルについての詳細は別途後述する。電波強度マップは地点ごとの電波強度を示すデータである。電波強度マップ記憶部M2が記憶媒体に相当する。
乗客対応テーブル記憶部M1及び電波強度マップ記憶部M2はそれぞれ、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体を用いて実現されている。ここでは一例として乗客対応テーブル記憶部M1及び電波強度マップ記憶部M2はストレージ33が備える記憶領域を用いて実現されている。乗客対応テーブル記憶部M1及び電波強度マップ記憶部M2はそれぞれ、プロセッサ31によるデータの書き込み、読出、削除等が実施可能に構成されている。なお、乗客対応テーブル記憶部M1は、ストレージ33とは物理的に独立した記憶媒体を用いて実現されていても良い。電波強度マップ記憶部M2も同様である。また、電波強度マップ記憶部M2は例えばRAM32等の揮発性メモリを用いて実現されていても良い。
なお、電波強度マップは、管制センタ2からの配信により動的に更新されうる。また、管制センタ2は、複数の自動運転バス1で観測された地点ごとの電波強度を統計化することで、電波強度マップを作成及び更新する。なお、電波強度マップは、先行車両で観測された電波強度を、車々間通信により取得することで生成又は修正されてもよい。車内監視ECU30は電波強度マップ記憶部M2を備えることにより、自車両がこれから走行予定の地点ごとの管制センタ2の通信状態を先読み(予測)することが可能となる。
特定行動検出部F1は、車内センサ15からの入力信号に基づいて、乗客が所定の特定行動を実施したことを検出する構成である。ここでの特定行動には、転倒したこと、及び、転倒のリスクが高まる所定の不安全行動が含まれる。不安全行動とは、例えば、吊り革又は手すり(以降、吊り革等)に掴まずに立っていることや、車両走行中の歩行、車両走行中に立ち上がること、シートベルトの未装着、及び、窓から手/顔を出すことなどである。不安全行動が維持されている状態は不安全状態と呼ぶこともできる。本開示の特定行動は特定状態と読み替えることもできる。
本実施形態の特定行動検出部F1は、より好適な例として、乗車中のマナー違反に該当する行為も特定行動として検出可能に構成されている。マナー違反相当の特定行動とは、例えば、大声での会話や、携帯電話での通話、2つ以上の座席を1人で占有すること、座席に寝ること、喫煙などである。その他、車内の設備を叩く/蹴るなどの、車体/設備の破損につながる行為や、乗客同士の口論、喧嘩なども特定行動に含まれうる。
特定行動検出部F1は、乗客が転倒したことや、吊り革等に掴まずに立っていること、車両走行中の歩行、車両走行中に立ち上がることなどの行為を、車内カメラ151の画像を解析することで検出する。各種特定行動は、CNN(Convolutional Neural Network)やDNN(Deep Neural Network)などを用いた識別モデルを用いて検出される。窓から手/顔を出すことや、2つ以上の座席を1人で占有すること、座席に寝ること、喫煙などの行為も同様である。
なお、吊り革等を掴んでいないことは、吊り革に設けられた接触センサなどの検知結果を併用して、換言すればセンサフュージョンにより特定されてもよい。また、窓を開けるなどの行為は、窓の開閉に対応する車両状態センサ12からの入力信号に基づいて検出されうる。喫煙は車両に設置された煙センサの出力から検知されてもよい。車内設備を叩く/蹴るなどの破損につながる行為や、転倒したことなどは、加速度センサ/振動センサの出力を併用して検出しても良い。大声での会話や口論などは、車内マイク152が集音した音声のボリュームや発話内容から検出されても良い。検出すべき乗客の行動/状態、及び、その検出アルゴリズムは、乗客見守りプログラムに組み込まれている。
特定行動検出部F1はサブ機能として、乗客情報取得部F11とリスク評価部F12を備える。乗客情報取得部F11は、車内センサ15からの入力信号に基づき、乗客についての情報である乗客情報を取得する。乗客情報には、乗客の人数や、乗客ごとの位置、乗車姿勢などが含まれる。乗車姿勢には、座席に座っているか、立っているかを含む。立っている乗客に関しては、より具体的な乗車姿勢として、吊り革や手すりを掴んでいるか否かを含めることができる。
さらに、乗客情報には、乗客の年齢や、体格、性別、服装などの属性情報を含めることができる。乗客の年齢は、例えば、14歳以下の第1年齢層、15歳以上65歳未満の第2年齢層、及び、65歳以上の第3年齢層に区分して判定されうる。年齢層の区分数は一例であって4つ以上に区分されても良い。第3年齢層は高齢層と言い換えることができる。服装には、ヒールなどの転倒しやすい靴を履いているか、スニーカなどの相対的に転倒しにくい靴を履いているかといった履物の種別を含めることができる。これらの乗客情報は、例えば車内カメラ151の撮影画像を解析することで特定されうる。もちろん、乗客情報取得部F11は、車内カメラ151の画像と、着座センサ153や超音波センサ154など、複数種類の車内センサ15の入力信号を組み合わせることにより、乗客ごとの情報を取得しても良い。
なお、乗客ごとの属性情報には、歩行補助具の使用の有無や、車椅子の使用の有無や、障がい(ハンディキャップ)の有無が含まれていてもよい。歩行用補助具には、杖やシルバーカーなどが含まれる。上記属性の検出もまた車内カメラ151の画像を解析することで特定されうる。たとえば乗客情報取得部F11は、白杖を所持している乗客を画像認識により検出した場合には、視覚に障害を持つ可能性がある人物としてピックアップしてもよい。また、車椅子を画像認識により検出した場合には、車椅子の利用者が乗車中であると判定してもよい。その他、乗客情報取得部F11は、赤外線カメラ155から入力された赤外線画像を解析することにより、発熱者などを検出しても良い。
リスク評価部F12は、乗客の不安全行動を検出した場合に、当該不安全行動を実施した乗客である対象者の属性情報や、実施された不安全行動/状態の内容に基づいて、転倒する可能性の高さである転倒リスクRfを算出する。対象者は、行動実施者と呼ぶこともできる。転倒リスクRfは複数段階のレベルで表現されてもよいし、例えば0から100までのスコア値で表現されても良い。ここでは一例として、転倒リスクRfを0から3までの4段階で評価する。
リスク評価部F12は、例えば次のような式1で転倒リスクRfを算出する。
式1:Rf=Ea+Eb+Ec
上記の式1を構成するパラメータEaは、不安全行動の内容に応じた値が設定されるパラメータである。パラメータEaは、転倒のリスクが高い行動ほど大きい値が設定される。パラメータEaは、吊り革等を掴まずに立っている場合には最も大きく、座っている状態が最も低く、吊り革等を掴んで立っている状態がその中間値に設定される。例えば、吊り革等を掴まずに立っている場合にはEa=2が適用され、座っている場合にはEa=0が適用され、吊り革等を掴んで立っている場合にはEa=1が適用される。なお、吊り革等を掴んでいなくとも、車室内の壁や窓枠などに手をついたり、寄りかかったりしている場合には、例えば1.5など、吊り革等を掴んでいる場合よりも転倒リスクRfが高く算出される値が適用されても良い。また、着席している場合であっても、シートベルトが未装着である場合には、シートベルトを装着している場合よりもパラメータEaは所定量大きく設定されうる。
パラメータEbは、乗客の年齢に応じた値が適用されるパラメータである。パラメータEbは、乗客が第1年齢層または第3年齢層に該当するとは判定されている場合、その他の場合よりも大きい値が設定されうる。より具体的には、乗客が第1年齢層または第3年齢層に該当するとは判定されている場合にはEb=1が設定される一方、第2年齢層に該当すると判定されている場合にはEb=0に設定される。
パラメータEcは、年齢以外の要素による値が適用される補正パラメータである。例えば、乗客が歩行補助具や車椅子、白杖を利用している場合に1以上の任意の値が設定される。また、乗客が身体的なハンディキャップを有することが推定される場合にも1等が適用される。乗客が妊婦、又は、抱っこ紐等で幼児を抱えている場合にも、パラメータEcには所定の正の値が適用されても良い。各パラメータが少数を含むことによって、Ea+Eb+Ecが少数を含む場合、小数第1位を四捨五入することにより、最終的な転倒リスクを決定しても良い。
上記の式1は一例である。式1では加算(加点)方式で転倒リスクRfを算出する構成に対応する。もちろん、リスク評価部F12は加算方式ではなく、リスク因子を乗算することで最終的な転倒リスクRfを算出してもよい。例えばリスク評価部F12は、次の式1aを用いて転倒リスクRfを算出しても良い。
式1a:Rf=Ea×Eb×Ec
上記式1aにおいてはEbやEcは、所定の体型であって且つスニーカを着用している20歳の人物を基準値(1)として、種々の属性に応じた1以上の値が適用されることが好ましい。例えば高齢者である場合にはEb=1.5や2などが設定されうる。どのような人物を基準とするか、及び、種々の属性に対してどのような値を適用するかは適宜設計されれば良い。基本的に、転倒しやすい人ほど、あるいは、転倒したときのリスクが大きい人ほど、総合的な転倒リスクRfが高く評価されるように設定されれば良い。
さらにリスク評価部F12は、自動運転ECU20から取得する、車外状況や制御計画を考慮して転倒リスクRfを算出しても良い。すなわち、車外状況や制御計画に由来するパラメータEdを用いて次の式1bのように転倒リスクRfを算出しても良い。パラメータEdは制御計画や道路形状に応じて転倒リスクRfの高さを補正する係数に相当する。
式1b:Rf=Ea×Eb×Ec×Ed
例えばパラメータEdは、平坦な直線道路を略一定の速度で走行する場合を1(基準値)として、停車や発進、急カーブへの進入、右左折をする場合に、1よりも大きい値が適用されれば良い。ここでの直線道路とは、曲率が所定値未満の道路を指し、曲率が所定値以上の道路区間をカーブ路と称する。また、カーブ路のなかでも曲率が所定の閾値以上の道路を急カーブと称する。リスク評価部F12は、所定の閾値以上の加減速を行うこと、所定の閾値以上の舵角速度で操舵を行うことなどの計画がなされている場合にも、パラメータEdを1よりも大きい所定値が適用しうる。
なお、リスク評価部F12は、不安全行動を実施した人物に限らず、全ての乗客に対し、その乗車姿勢に応じた転倒リスクRfを算出しても良い。パラメータEaの値は、現在の乗車姿勢、すなわち、座っているか、立っているか、吊り革等を掴んでいるか否かなどに基づいて決定されれば良い。
通信状態取得部F2は、管制センタ2との現在の通信状態を取得する構成である。現在の通信状態を取得する。すなわち、通信状態取得部F2は無線通信機16から管制センタ2との現在の通信状態を示すデータを取得する。また、通信状態取得部F2は、無線通信機16から現在の無線通信品質を示す情報として電波強度や受信品質などを取得してもよい。通信状態取得部F2が取得した現在の無線通信品質を示す情報は、応答部F4に提供される。
報告処理部F3は、自車両の現在位置や、車速、進行方位、ヨーレートなど、車両の走行状態を示すデータを走行状態報告として管制センタ2に送信する処理を逐次実行する。自車両の現在位置には、自車両が走行しているレーンであるエゴレーンが、左側または右側の道路端から何番目のレーンであるかを示すエゴレーン番号を含めることができる。また、報告処理部F3は、車外映像を管制センタ2に送信する。車外映像とは例えば前方カメラや側方カメラ、後方カメラの映像を指す。カメラ映像等の送信は、RTSP(Real Time Streaming Protocol)など所定のプロトコルに準拠して実施されうる。また、映像の伝送は例えばH.264や、H.265など、任意のコーデックを用いて実施されうる。すなわち、報告処理部F3は、多様なリアルタイム映像配信技術を用いて、車外映像を管制センタ2に送信する。報告処理部F3による走行状態報告の送信は、無線通信機16との連携によって実施される。報告処理部F3が逐次走行状態報告を送信することにより、オペレータOp等は、自動運転バス1の運行状態を管理可能となる。なお、ここでのオペレータOpとは、管制センタ2において自動運転バス1の運行状況を管理するスタッフを指す。
また、報告処理部F3は、車内映像及び車内音声を管制センタ2に逐次送信する。車内映像とは車内カメラ151の映像を指す。また、車内音声とは、車内マイク152が取得した音声を指す。車内映像等の送信は、車外映像の送信と同様の方式で実施されうる。車内映像及び車内音声を管制センタ2に送信する事により、オペレータOp等は、自動運転バス1の車内状況を把握可能となる。また、報告処理部F3は、乗員数や、乗員ごとの体温、乗車姿勢などといった、映像等に基づく乗客の認識結果を示すデータを車内状態報告として管制センタ2に定期的に送信しても良い。
車内状態報告の送信は、管制センタ2との通信が可能な状態においては、定期的に実施される。また、車内状態報告の送信は、停留所等でドアを開けたことや、ドアを閉じたこと、所定値以上の加減速(いわゆる急ブレーキ)、所定値以上のヨーレート(いわゆる急操舵)などといった所定の報告イベントの発生を検知したことをトリガとして実行してもよい。前述の特定行動の検出も、報告イベントに含めることができる。
なお、他車両等との衝突回避等の観点から、報告処理部F3は車外映像を車内映像よりも優先的に送信するように構成されていても良い。そのような構成によれば無線通信環境の劣化等により、利用可能な帯域が少ない場合であってもできる限り車外映像等の走行環境を示すデータを管制センタ2に送信可能となる。また、他の態様として報告処理部F3は、車内保安の観点から、車内映像等を車外映像よりも優先的に送信するように構成されていても良い。そのような構成によれば、利用可能な帯域が少ない場合であってもできる限り乗客の様子を示すデータを管制センタ2に送信可能となり、乗客の転倒、不安全行動、トラブル等に迅速にオペレータOpが対応可能となる。
その他、報告処理部F3は、地点ごとの無線通信の状態を示すデータセットである通信状態報告を逐次管制センタ2に送信するように構成されていてもよい。通信状態報告は、例えば地点ごとの電波強度や受信品質などを示す通信パケットとすることができる。また、通信状態報告は、管制センタ2との通信におけるスループットや往復レイテンシなどの計測値を含んでいても良い。種々の報告データには、送信元を示す車両情報や、送信時刻を示す送信時刻情報などが含まれうる。
応答部F4は、特定行動検出部F1が乗客の特定行動を検出したことに基づいて、当該行動に対応する処理(以降、応答処理)を実施する。例えば特定行動検出部F1が乗客の転倒を検知した場合には、転倒した乗客の安否を問い合わせるアナウンスを出力する。なお、乗客の転倒を検知した場合、応答部F4は停車に向けた減速を開始しても良い。また、応答部F4は乗客の不安全行動を検出した場合には、着席や、吊り革等の把持を促すアナウンスを実施する。
応答部F4は、システム応答処理を実施するためのサブ機能部として、通信状態予測部F41、規定メッセージ出力部F42、及びセンタ連携部F43を備える。
通信状態予測部F41は、制御計画が示す各時刻の自車予定位置と、電波強度マップとを照らし合わせることにより、現在から所定時間以内の無線通信品質の推移を予測する。また、通信状態予測部F41は、現時点において管制センタ2とのデータ通信に不具合が生じている場合には、電波強度マップと制御計画とを用いて図5に示すように復旧予想時間Trcを算出する。
復旧予想時間Trcは、電波強度が所定の要求レベルPrq以上となるまでに要する時間の予測値である。要求レベルPrqは、車内カメラ151の映像信号を安定的に送信可能なレベルであっても良いし、オペレータOpの音声データを安定的に受信可能なレベルであってもよい。要求レベルPrqは、管制センタ2とデータ通信可能な最低レベルであってもよい。要求レベルPrqは設計者により予め設定されている。
管制センタ2とのデータ通信に不具合が生じている場合には、データ通信が完全に不能な状態が含まれる。また、管制センタ2とのデータ通信に不具合が生じている場合には、通信が不安定である状態を含めることができる。通信が不安定な状態とは、例えば、データ通信は可能であるものの、電波強度が所定の強度下限値Pmn未満である場合を含む。強度下限値Pmnは、パケットロス率が所定の閾値以上となる値、あるいは、受信信号を復号できる受信強度の下限値に相当する。
図5では強度下限値Pmnを要求レベルPrqよりも所定量小さく設定した態様を示しているがこれに限らない。強度下限値Pmnと要求レベルPrqは同じであっても良い。つまり要求レベルPrqが、通信困難と判定する閾値として使用されても良い。また、通信のレイテンシが所定の閾値以上となっている場合や、スループットが所定の閾値未満である場合、パケットロス率が所定の閾値以上である場合なども通信が不安定な状態に含めることができる。さらに、RSRQやSINRなどの品質指標が所定の閾値以下である場合も、不安定状態に含めることができる。
規定メッセージ出力部F42は、乗客対応テーブルを参照し、検出された特定行動に対応する規定のメッセージを音声出力する構成である。乗客対応テーブルは、例えば図6に示すように、特定行動の内容と出力メッセージとの対応関係を示すデータとすることができる。このような規定メッセージ出力部F42は、車両内部、より具体的には車内監視ECU30内で応答処理を完結させるため、内部処理部と呼ぶことができる。なお、乗客の行動に対応する適正なメッセージ/フレーズが存在しない場合には、「管制センタに連絡中です」などといったフレーズを採用可能である。
一方、センタ連携部F43は車両外部にある装置との連携によって特定行動に対応する車内アナウンスを行う構成である。便宜上、管制センタ2から特定行動に対するアナウンス用のデータを取得し、車内スピーカから音声出力する一連の処理のことをセンタ連携処理とも称する。また、検出されている特定行動について管制センタ2から送信されてくる音声データのことをセンタ音声データとも称する。
例えばセンタ連携部F43は、オペレータOpに乗客対応(例えば音声入力)を要求する信号である対応要求信号を送信し、オペレータOpが入力した音声データの受信を待機する。すなわち、オペレータOpに検出された特定行動に対する乗客対応を委任する。そして、管制センタ2からの音声データを受信次第、当該音声データを車内スピーカ18から出力する。
対応要求信号は、概要情報として、検出された特定行動の内容や、特定行動を実施した乗客である対象者の位置を示す情報を含んでいてもよい。対象者の位置を示す情報は、座席番号等で表現されうる。対応要求信号が概要情報を含む構成によれば、サーバプロセッサ231は概要通知画像を表示可能となり、オペレータOpが対象者を速やかに特定し、状況に応じた注意喚起/提案等を実施可能となる。また、対応要求信号は、概要情報の他に、対象者の拡大静止画などを含んでいても良い。対応要求信号は、その役割から、特定行動が実施されていることを管制センタ2に通知する通知信号と解することができる。
このようなセンタ連携部F43は、特定行動が実施されていることを管制センタ2に報告するとともに、管制センタ2の指示に基づく音声出力や車両制御を実行する構成に相当する。管制センタ2の指示に基づく音声出力には、オペレータOpの音声を車内スピーカ18に出力することを含む。なお、センタ連携処理は、オペレータOp用のマイク222と、車内に配置された車内スピーカ18とを仮想的に接続する処理であっても良い。具体的には、センタ連携処理として車内の乗客が車内マイク152及び車内スピーカ18を介してオペレータOpと通話可能なように、電話回線を接続する処理であってもよい。
また、センタ連携部F43は、規定メッセージの出力を保留し、オペレータOpを含む管制センタ2からの指示を待つ構成に相当する。なお、センタ連携処理のうち、特定行動が実施されていることの報告は、応答部F4と報告処理部F3との連携によって実施されうる。センタ連携部F43が報告処理部F3の機能を備えていても良い。換言すれば報告処理部F3はセンタ連携部F43に内在していても良い。応答部F4の具体的な作動例については別途後述する。
<管制センタ2の構成について>
ここでは、管制センタ2の構成について説明する。管制センタ2が図7に示すように、通信装置21、オペレータ用HMI22、及び管理サーバ23を備える。部材名称中のHMIは、Human Machine Interfaceの略である。なお、管制センタ2の通信相手としての自動運転バス1との表現は、車載システムIvS又は車内監視ECU30と読み替えることができる。
通信装置21は、広域通信ネットワーク4及び無線基地局3を介して自動運転バス1とデータ通信を実施するための通信設備である。通信装置21は、例えば光ファイバなどを用いて広域通信ネットワーク4を構成する設備と接続されている。通信装置21は、自動運転バス1から送信されてきたデータを受信して管理サーバ23出力する。例えば通信装置21は、自動運転バス1からの走行状態報告や車内状態報告を管理サーバ23に出力する。また、通信装置21は管理サーバ23から入力されたデータを、自動運転バス1に向けて送信する。例えば通信装置21は、管理サーバ23から入力された音声データなどを自動運転バス1に向けて送信する。
オペレータ用HMI22は、オペレータOpが自動運転バス1の走行状態及び車内状態を確認するとともに、状況に応じて車両制御に介入したり乗客に向けた報知を実施したりするための設備である。オペレータ用HMI22は、ディスプレイ221、マイク222、スピーカ223、及び入力装置224を備える。
ディスプレイ221は、管理サーバ23から入力された映像信号に基づいて画像を表示する。例えばディスプレイ221には自動運転バス1の車外映像と車内映像とが表示される。ディスプレイ221は1つであっても良いし、複数あってもよい。ディスプレイ221は、オペレータOp用のデスクに配置されている。マイク222は、オペレータOpのためのマイクロフォンである。マイク222は、オペレータOpが発話した音声を集音し、電気信号に変換して管理サーバ23に出力する。スピーカ223は、管理サーバ23から入力された音声信号を音に変換して出力する。スピーカ223及びマイク222はオペレータOp用のヘッドセットとして一体的に構成されていても良い。
入力装置224は、自動運転バス1に対するオペレータの指示操作を受け付けるための装置である。入力装置224としては、キーボードや、複数のスイッチを含む専用のデバイス、ディスプレイ221に積層されたタッチパネルなどを採用可能である。オペレータ用HMI22は、例えば入力装置224としてトークスイッチを備える。トークスイッチは、マイク222を有効化して、オペレータOpの発話音声を、自動運転バス1の車内スピーカ18から出力するためのスイッチに相当する。
また、オペレータOpが自動運転バス1を遠隔操作するためのハンドルやペダル類、シフトレバー、ライトスイッチなどもまた入力装置224に含めることができる。なお、ライトスイッチは、方向指示器、前照灯、前部霧灯、(いわゆるフォグランプ)、及び、非常点滅表示灯(いわゆるハザードランプ)の少なくとも何れか1つの点灯状態を切り替えるスイッチである。スイッチの概念には、ボタン式のものに限らず、レバー式や、ダイヤル式、タッチセンサ式のものも含まれる。
入力装置224へのオペレータOpの操作は、オペレータOpの行為又は指示入力と読み替える事ができる。入力装置224は、当該装置に対してオペレータOpが行った操作に対応する電気信号を操作信号として管理サーバ23に出力する。オペレータOpの操作信号は、オペレータOpの操作内容を示す情報を含む。
管理サーバ23は、サーバプロセッサ231、RAM232、及びストレージ233を備える、コンピュータを主体として構成されている。サーバプロセッサ231は、RAM232と結合された演算処理のためのハードウェアである。サーバプロセッサ231は、CPU等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。サーバプロセッサ231は、RAM232へのアクセスにより、種々の処理を実行する。ストレージ233は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ233には、サーバプロセッサ231によって実行されるプログラムとして、サーバ用プログラムが格納されている。サーバプロセッサ231が上記プログラムを実行することは、サーバ用プログラムに対応する方法である車内状態外部調整方法を実行することに相当する。
管理サーバ23は通信装置21及びオペレータ用HMI22のそれぞれと通信可能に接続されている。管理サーバ23には、通信装置21及びオペレータ用HMI22のそれぞれから適宜データ信号が入力される。また、管理サーバ23は、適宜、通信装置21及びオペレータ用HMI22のそれぞれに制御信号及びデータ信号を出力する。
例えばサーバプロセッサ231は、通信装置21が受信した自動運転バス1の車外映像や、車内映像、各種ステータス情報をディスプレイ221に表示する。このような処理は自動運転バス1の内部又は外部の状況をオペレータOpに通知する、車両状態通知処理に相当する。例えばサーバプロセッサ231は、自動運転バス1が運行中は、自動運転バス1の車外映像や、車内映像、各種ステータス情報をディスプレイ221に表示してもよい。また、サーバプロセッサ231は、特定の運行状況確認条件が充足した場合にのみ、車外映像や、車内映像、各種ステータス情報をディスプレイ221に表示するように構成されていても良い。運行状況確認条件が充足した場合とは、例えば、自動運転バス1から対応要求信号を受信した場合や、オペレータOpによる運行状態を確認するための操作が行われた場合、自動運転バス1がバス停などに停車した場合などが挙げられる。
サーバプロセッサ231は、自動運転バス1で特定行動が検出されている場合である特定行動検出時と、特定行動が観測されていない通常時とで、ディスプレイ221の表示内容、例えば画面レイアウトを変更するように構成されていてもよい。特定行動検出時は、対応要求信号を受信した場合に相当する。
例えばサーバプロセッサ231は、通常時には車内全体を俯瞰した画像を主として表示する一方、特定行動検出時には特定行動を実施している乗客付近の画像を拡大表示するように構成されていても良い。当該構成によれば、オペレータOpは検出された特定行動を確認しやすくなる。加えて、検出結果の正当性、つまり誤検出であるか否かを判断可能となる。
また、サーバプロセッサ231は、通常時には車外映像を車内映像よりも大きく表示する一方、特定行動検出時には車外映像よりも車内映像を大きく表示してもよい。より具体的には通常時には車外映像と車内映像とを6:4、又は10:0のサイズ比で表示する一方、特定行動検出時には4:6又は0:10のサイズ比で表示しても良い。通常時には車外映像を主体的に表示することにより、車外状況の視認性を高めることができる。また、特定行動検出時には車内映像を主体的に表示する事により車内状況の視認性を高めることができる。
なお、管理サーバ23は、特定行動にかかる検出結果の正誤をオペレータOpが入力可能に構成されていても良い。そのような構成によれば、特定行動の検出結果に対してフィードバックがかかり、車内監視ECU30による特定行動の検出精度を向上可能となる。
また、サーバプロセッサ231は、自動運転バス1から対応要求信号を受信した場合には、車内監視ECU30が検出した特定行動の概要を示す概要通知画像を、車内カメラ151の映像に表示し、オペレータOpの入力操作を待機してもよい。そして、サーバプロセッサ231は、マイク222を介してオペレータOpの発話音声データを取得すると、当該音声データを通信装置21との協働により自動運転バス1に送信する。
図8は概要通知画像の一理を示す画像である。概要通知画像は、検出された特定行動の内容や、特定行動を実施した乗客である対象者の位置を示す情報を含むことが好ましい。例えば概要通知画像は図8に示すように、概要を示すテキストIm1と、車内を模式的に表す模式図画像Im3と、対象者の位置を示す位置アイコン画像Im4とを含む。位置アイコン画像Im4は、模式図画像Im3上において、対象者の位置に対応する領域に重畳表示される。
対象者の位置を示す情報は、座席番号等で表示されうる。また、対象者の位置情報は、車室内をメッシュ状に区切ってなる区画毎の番号で表現されても良い。概要通知画像を表示する構成によれば、オペレータOpは対象者を速やかに特定し、状況に応じた注意喚起/提案等を実施可能となる。
また、概要通知画像は、図8に例示するように、映像確認ボタンIm5、マイク起動ボタンIm6、処置不要ボタンIm7など、オペレータOpの入力操作を受け付けるためのボタン画像を含んでいても良い。映像確認ボタンIm5は、車内カメラ151の画像を表示するためのボタン画像である。サーバプロセッサ231は、映像確認ボタンIm5が選択されたことを示す操作信号が入力されたことに基づいて車内カメラ151の画像を表示するように構成されていても良い。マイク起動ボタンIm6は、マイク222を起動するためのボタン画像である。サーバプロセッサ231は、マイク起動ボタンIm6が選択されたことを示す操作信号が入力されたことに基づいてマイク222を起動し、オペレータOpの発話音声を車内スピーカ18から出力可能な状態に設定する。処置不要ボタンIm7は、検出された行動に対するアナウンス等は不要であることをオペレータOpが入力するためのボタン画像である。サーバプロセッサ231は、処置不要ボタンIm7が選択されたことを示す操作信号が入力されたことに基づいて、自動運転バス1に対して、注意喚起等は不要であることを示す応答信号を返送するように構成されていても良い。
その他、概要通知画像は、運行計画上の次のイベントの内容と、当該イベントまでの残距離/残余時間を含んでいても良い。例えばサーバプロセッサ231は、次の制御イベントとして交差点の左折が予定されている場合には、当該左折ポイントまでの残距離/残余時間を含む概要通知画像を表示しても良い。
なお、オペレータOpの音声送信は、特定行動検出時に限らず、オペレータOpの操作に基づき、いつでも実行可能に構成されている。また、管理サーバ23は、オペレータOpの操舵又はブレーキなどの運転操作を検知した場合には、操作内容に対応する制御信号を自動運転バス1に送信する。例えばオペレータOpによるブレーキペダルの踏み込みを検知した場合には、自動運転バス1に対して、自動運転ECU20による制御を一時的に停止させるとともに、オペレータOpのペダル踏み込み量に応じた減速を実施させるための信号を送信する。管理サーバ23はオペレータOpによるオーバライドを実現しうる。
その他、管理サーバ23は、自動運転バス1を含む複数の車両から、地点ごとの電波強度を示す情報を収集することにより、電波強度マップを所定の更新間隔で更新するように構成されていても良い。更新間隔は例えば1時間、2時間、4時間、1日とすることができる。電波強度マップが示す地点ごとの電波強度は、所定の収集時間以内に受信した地点ごとの電波強度を母集団とする統計的な代表値とすることができる。ここでの代表値は、平均値であっても良いし中央値であってもよい。また、母集団から外れ値を除去してなる集合の平均値又は中央値であってもよい。外れ値は、もとの母集団の平均値又は中央値から標準偏差の2倍又は3倍以上離れた値とすることができる。外れ値判定の方法としては、スミルノフグラブス検定や、トンプソン検定など多様な方法を援用できる。
<車内監視ECU30の作動例について>
ここでは図9に示すフローチャートを用いて車内監視ECU30の作動について説明する。便宜上、図9に示す一連の処理を車両側処理と称する。図9に示すフローチャートは、走行用電源がオンに設定されている場合や、自動運転バス1の運行時間/営業時間に該当する場合など、所定の実行条件が充足されている間、所定の監視周期で繰り返し実行されうる。監視周期としては100ミリ秒や200ミリ秒、1秒などを採用することができる。ここでは一例として車両側処理は、ステップS11~S18を備える。なお、車両側処理を構成するステップ数や実行順番は適宜変更可能である。各ステップはプロセッサ31によって実施される。
ステップS11では乗客情報取得部F11が、車内センサ15からの入力信号に基づき乗客情報を取得し、ステップS12に移る。本開示における取得には、他の装置/プログラムから提供される場合に限らず、内部演算によって生成/検出することも含まれる。ステップS12は任意の処理であって省略されても良い。
ステップS12ではプロセッサ31が、外界センサ11からの入力信号に基づき、車両外部についての情報である外界情報を取得してステップS13に移る。外界情報には、例えば自車両が走行している道路の曲率や、エゴレーンID、先行車両を含む周辺車両との位置関係、前方障害物の有無などが含まれる。道路の勾配や、段差/陥没部の有無などといった、道路形状にかかる外界情報は、現在位置に対応する地図データを参照することによって特定されても良い。また周辺車両の位置や走行速度などは車車間通信によって取得してもよい。さらに、道路工事に伴う車線規制を含む障害物情報は路側機から無線通信により取得しても良い。
ステップS13では自動運転ECU20から短期的な制御計画を取得してステップS14に移る。短期的な制御計画とは例えば現在から30秒又は1分以内の制御計画を指す。ステップS14では通信状態取得部F2が、無線通信機16から現在の通信状態を取得してステップS15に移る。
ステップS15では特定行動検出部F1が、ステップS11で取得した乗客情報に基づき、特定行動を実施中の乗客がいるか否かを判定する。特定行動を実施している乗客がいない場合にはステップS15を否定判定して本フローを終了する。一方、特定行動を実施している乗客がいる場合には、ステップS16に移る。
ステップS16では現在の通信状態が良好であるか否かを判定する。例えば電波強度が要求レベルPrq以上である場合に、通信状態は良好であると判定する。また、管制センタ2とのデータ通信のレイテンシが所定の閾値未満であることや、スループットが所定の閾値以上であること、パケットロス率が所定の閾値未満であることなどを条件として、通信状態が良好であると判定しても良い。通信状態が良好である場合とは管制センタ2との通信に、通信途絶や所定時間以上の遅延等といった不具合が生じていない場合に対応する。
通信状態が良好であると判定する条件は適宜変更可能である。また、通信状態が良好ではないと判定することは、管制センタ2との通信に不具合が生じていると判定することに相当する。ここでの不具合には、前述の通り、通信不能な状態に加えて、所定値以上の遅延が生じている状態、パケットロス率が所定値以上である場合、スループットが所定値以下である場合などを含めることができる。ステップS16は、管制センタ2とデータ通信が可能かどうかを判定する処理に置き換えてもよい。
通信状態が良好であると判定された場合にはステップS17に移り、センタ連携部F43が対応要求信号を管制センタ2に送信し、管制センタ2からの応答を待機する。その後、管制センタ2から音声データを受信した場合には、車内スピーカ18をオンにし、管制センタ2から送られてくる音声を車内スピーカ18から出力する。つまり通信状態が良好である場合、規定メッセージ出力部F42は動作しない。このような制御態様は、管制センタ2との通信に不具合が生じていない場合には規定メッセージ出力部F42よりもセンタ連携部F43を優先的に作動させる構成に相当する。
また、通信状態が良好ではないと判定された場合にはステップS18に移り、臨時対応処理を実行する。臨時対応処理は、管制センタ2との通信に不具合があると判定されている場合に適用されるシーケンスである。臨時対応処理については図10を用いて説明する。
図10は臨時制御処理として実行される一連の処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態として臨時制御処理はステップS21~S26を含む。ステップS21では通信状態予測部F41としてのプロセッサ31が、電波強度マップを参照し、現在位置及び今後の制御計画に応じた復旧予想時間Trcを算出し、ステップS22に移る。ステップS22では算出された復旧予想時間Trcが所定の待機許容時間Tw未満であるか否かを判定する。
待機許容時間Twは、規定メッセージを出力するか、オペレータOpに乗客対応を委任するかを切り分けるための閾値である。待機許容時間Twは、例えば入力アクションに対してレスポンスがない/遅いと人間が感じる時間である遅延知覚時間の想定値に、往復レイテンシの想定値を加えた値に設定されることが好ましい。一般的な遅延知覚時間は2秒~3秒であることを踏まえ、本実施形態では一例として待機許容時間Twは5秒に設定されている。もちろん待機許容時間Twの具体的な値は、4秒や、8秒、10秒などに設定されていても良い。
待機許容時間Twの長さは、検出されている特定行動の内容に応じて変更されても良い。例えば乗客の転倒が検出されている場合には待機許容時間Twを3秒や4秒など、相対的に短い時間に設定される。また、検出されている特定行動が不安全行動に該当する場合には、待機許容時間Twは5秒や6秒とすることができる。検出されている特定行動がマナー違反に相当するものである場合、待機許容時間Twは相対的に長い8秒や10秒とすることができる。
ステップS22の判定処理において復旧予想時間Trcが待機許容時間Tw未満である場合にはステップS23に移る。一方、復旧予想時間Trcが待機許容時間Tw以上である場合にはステップS24に移る。
ステップS23ではセンタ連携部F43がセンタ連携処理を実施する。センタ連携処理の一例を図11に示す。センタ連携処理はステップS31~S35を含む。ステップS31では、通信状態が復旧したか否かを逐次判定する。通信状態が復旧した場合とは、例えば電波強度が要求レベルPrq以上となった場合とすることができる。通信状態が復旧したと判定する条件は、通信状態が良好ではない/通信不能と判定する条件の裏返しとなるように設定されうる。
管制センタ2との通信が復旧した(可能となった)と判定した場合にはステップS32に移る。なお、例えば待機許容時間Twなど、センタ連携処理を開始してから一定時間経過しても管制センタ2との通信が復旧しなかった場合には、例外処理としてステップS25に移り、規定メッセージを出力しても良い。
ステップS32ではセンタ連携部F43が、対応要求信号を管制センタ2に送信する。ステップS33では、管制センタ2からの応答の受信を待機する。管制センタ2からの応答は、実体的には、アナウンス用の音声データを指す。管制センタ2からの応答は、オペレータOpからの応答と読み替えることができる。オペレータOpからの応答を受信した場合には、ステップS34に移る。ステップS34では車内スピーカ18をオンにし、管制センタ2から送られてくるオペレータOpの音声メッセージを順に音声出力する。
上記構成は、復旧予想時間Trcの経過を待たずに、通信状態が回復次第速やかに対応要求信号を送信する構成に相当する。当該構成によれば、より迅速にオペレータOpによるアナウンスが実施可能となる。もちろん、他の態様としては、復旧予想時間Trcが経過することを待ってから、対応要求信号を送信しても良い。
なお、ステップS31~S32では電波強度を定期的に観測し、電波強度が要求レベルPrqとなったことを確認できてから対応要求信号を送信するパターンについて述べたが、センタ連携処理の内容はこれに限定されない。例えばステップS31では対応要求信号を定期的に送信するとともに、対応要求信号を受信したことを示す応答信号(いわゆるAck)を受信できた場合に、通信状態が回復したと判定してもよい。
ただし、臨時対応処理は通信状態が不安定な場合に実行されるため、対応要求信号を送信後に再び通信状態が悪化し、オペレータOpからの応答を受信できなくなってしまうケースも考えられる。そのような事情から、対応要求信号を送信してから所定時間、例えば待機許容時間Tw経過してもオペレータOpからの応答が得られなかった場合にはステップS35に移り、規定メッセージを出力しても良い。加えて、応答部F4は、特定行動の検出から待機許容時間Tw経過しても管制センタ2からの音声データを受信できなかったことを条件としてステップS35、すなわち行動内容に対応する規定メッセージの音声出力を実行してもよい。
図10に戻り、ステップS24以降の説明を続ける。ステップS24以降は、前述の通り、電波強度マップに基づいて定まる復旧予想時間Trcが待機許容時間Tw以上である場合の処理シーケンスである。ステップS24では復旧予想時間Trcが所定のフォールバック閾値Tfb未満であるか否かを判定する。ここで使用されるフォールバック閾値Tfbは、自動運転ECU20にフォールバックモードに切り替えるための閾値、換言すればより安全性の高い制御条件で自動運転を実施させるための閾値である。フォールバック閾値Tfbは例えば30秒に設定されている。もちろんフォールバック閾値Tfbは20秒や45秒などであってもよく、具体的な値は適宜変更可能である。
復旧予想時間Trcがフォールバック閾値Tfb未満である場合にはステップS25を実行する。一方、復旧予想時間Trcがフォールバック閾値Tfb以上である場合にはステップS26に移る。
ステップS25では規定メッセージ出力部F42が、規定メッセージ出力処理を実行する。すなわち、乗客対応テーブルを参照し、検出された特定行動に対応する規定のメッセージを音声出力する。例えば検出された特定駆動が吊り革を持たずに立っていることである場合には、「転倒防止のため、吊り革等にお掴まりください」などといった音声メッセージを出力する。
ステップS26では応答部F4が自動運転ECU20に対してフォールバックモードに移行するように要求する制御信号であるフォールバック指示信号を出力する。すなわち、自動運転の計画を作成する際の上限速度、加減速度の許容値、及び角速度の許容値を所定量引き下げるように要求する信号を出力する。これにより、より安全性が高い制御態様で、運行が継続されることとなり、ひいては乗客が転倒するリスクを低減可能となる。
なお、ステップS26は、検出された特定行動が不安全行動に該当する場合のみ、つまり不安全行動が検出されている場合のみ実施されても良い。また、ステップS26ではフォールバックモードへの移行指示信号出力と並列的に、規定メッセージ出力処理を実施しても良い。例えば、ステップS26aとして、規定メッセージを音声出力してもよい。
<管理サーバ23の作動について>
ここでは図12に示すフローチャートを用いて管理サーバ23の作動について説明する。便宜上、図12に示す一連の処理をセンタ側処理と称する。図12に示すフローチャートは、自動運転バス1の運行時間/営業時間に該当する場合など、所定の実行条件が充足されている間、所定の応答周期で繰り返し実行されうる。応答周期としては100ミリ秒や200ミリ秒などを採用することができる。ここでは一例としてセンタ側処理は、ステップS41~S46を備える。なお、センタ側処理を構成するステップ数や実行順番は適宜変更可能である。各ステップはサーバプロセッサ231によって実施される。
まずステップS41では自動運転バス1から対応要求信号を受信したか否かを判定する。対応要求信号を受信していない場合にはステップS41を否定判定して本フローを終了する。一方、対応要求信号を受信した場合にはステップS42を実行する。なお、センタ側処理は対応要求信号を受信したことをトリガとして開始されても良い。その場合には、ステップS41は省略され、ステップS42から実行されれば良い。
ステップS42では、スピーカ223から所定の通知音を出力するとともに、ディスプレイ221に自動運転バス1の車内にて特定行動を実施している乗客が検出されたことを示す通知画像を表示する。通知画像は、図8に例示するような概要情報を含む画像であってもよいし、車内映像そのものであっても良い。また、通知画像は、車内に異常が検出されたことのみを示す画像であっても良い。
ステップS43ではオペレータOpによる音声入力が開始されたか否かを判定する。例えばマイク222がオンに設定された場合に、オペレータOpの音声入力が開始されたと判定する。オペレータOpによる音声入力が開始された場合にはステップS44に移る。ステップS44ではオペレータOpが発話した音声を所定のデータフォーマットに変換してなる音声データを自動運転バス1に送信する。その際、管理サーバ23は、オペレータOpの発話音声を車内スピーカ18から出力させるように指示する制御信号も送信する。
一方、所定時間待機してもオペレータOpによる音声入力が開始されなかった場合にはステップS45に移る。ステップS45では、入力装置224から入力される操作信号に基づき、今回検出された特定行動に関しては応答が不要であることが選択されたか否かを判定する。今回検出された特定行動に関しては応答が不要であることが選択された場合にはステップS44にて、応答不要であることを示す指示信号を送信する。
なお、今回検出された特定行動に関しては応答不要であることの指示入力も、音声入力も、どちらも行われなかった場合には、ステップS46の例外処理を実施してもよい。例外処理は規定メッセージの出力指示としても良いし、再度オペレータOpに対応要求が到着していることを通知する処理としてもよい。
<上記構成の効果等について>
以上の車内監視ECU30は、通信状態が良好である状況において、乗客の特定行動の実施を検出した場合には、センタ連携処理を実行する。すなわち、車内監視ECU30から管制センタ2に向けて対応要求信号を送信し、管制センタ2が備える管理サーバ23が、車内で特定行動が検出されたことをオペレータOpに通知する。そしてオペレータOpの発話/指示に基づく音声データを、車内スピーカ18から出力させる。このように通信状態が良好である状況において乗客の特定行動を検出した場合、オペレータOpが車内カメラ151の映像を確認した上で、注意喚起等のアナウンスを実施可能に構成されている。故に、運転士等の乗務員が車内にいなくとも、乗客の状態に応じたアナウンスを実施することが可能となる。つまり、乗客の特定行動に対してシステムが無反応となるおそれを低減できる。
また、管制センタ2との通信に不具合が生じている状況下において、乗客の特定行動の実施を検出した場合には、通信状況が所望の要求レベルまで回復するまでの予測時間である復旧予想時間Trcの長さに応じて、システム応答を変更する。すなわち、復旧予想時間Trcが比較的短い場合には、規定メッセージの出力をせずに、通常時と同様にセンタ連携処理を実行する。一方、復旧予想時間Trcが比較的長い場合には、行動内容に対応する規定メッセージを出力する。
上記構成によれば、管制センタ2との通信に不具合が生じている状況下においても、比較的に短い時間で通信状況の改善が予見される場合には、乗客の行動に対してオペレータOpが対応することとなる。オペレータOpのアナウンスと、定型的/機械的な音声メッセージとでは、乗客に与える心証は異なる。定型的/機械的な音声メッセージよりも、オペレータOpのアナウンスのほうが、乗客がアナウンスに従う可能性が高いことが期待される。また、オペレータOpの音声を出力する構成によれば、乗客に、車内の様子が見守られていることを意識付ける効果が期待できる。すなわち、オペレータOpが原則的にアナウンスを実施する構成によれば、規定メッセージしか出力しない構成よりも、乗客に安心感を与えることができる。また、オペレータOpが車内を見ていることを乗客に意識付けることにより、マナー違反の抑制や、犯罪の抑止効果も期待できる。
また、仮に規定メッセージ出力部F42を備えない構成においては、通信に不具合が生じると通信が復旧するまで乗客の不安全行動等に対して注意を行うことができない。そのような課題に対し、本実施形態の構成によれば規定メッセージ出力部F42を備えることにより、復旧予想時間Trcが所定値以上である場合には規定メッセージが出力される。規定メッセージを出力することにより、通信に不具合が生じている場合であっても、乗客の挙動又は状態に応じた報知をリアルタイムに実施可能となる。
また、上記の構成によれば、車内監視ECU30は電波強度マップに基づき、通信に不具合が生じた状況が一定時間以上継続することが予見される場合には、車速や加減速度等を抑制したフォールバックモードで運行を継続する。車速などが低減されることにより、安全性や乗り心地を高めることができる。その結果、管制センタ2がリアルタイムに自動運転バス1の内部に監視できない状況下において乗客の転倒が生じる恐れを低減できる。また、管制センタ2がリアルタイムに自動運転バス1の外界に監視できない状況下において他の移動体との衝突が生じる恐れも低減できる。
ところで、特定行動の検出は、機械学習によって構築された識別モデルを用いて実施される。そのため、特定行動検出部F1は、乗客による特定行動の実施を誤検出する可能性は0ではない。上記構成では、通信状態が良好である場合には原則、オペレータOpが車内カメラ151の映像を確認した上で、注意喚起を実施する。よって、誤検出に基づく不要な注意喚起が実施される恐れを低減できる。
また、上記の実施形態ではオペレータOpがアナウンス等は不要であると判断した場合には、特段の処置が不要であることを入力可能に構成されている。実際に乗客が吊り革等を持たずに立っている状態であっても、注意喚起するほどのシーンではない場合や、やむを得ないケースであることもありうる。そのような事情に対し、オペレータOpが車内カメラ151の映像を確認し、注意喚起の要否を判断可能な構成によれば、不要な注意喚起が実施される恐れを低減できる。またその結果として、乗客に煩わしさを与えてしまう恐れを低減できる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の補足や変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、以上で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については上記説明を適用することができる。
<規定メッセージ出力処理の補足>
規定メッセージは、通信に不具合が生じている間、一定間隔で繰り返し出力されうる。しかしながら、例えば30秒など一定時間以上、同じ内容を報知し続けても、車室内状況が変わらない場合、それ以上、同じメッセージを繰り返し出力しても効果が得られないことが想定される。また、同じメッセージを出力し続けると、乗客に煩わしさや不快感を与えてしまう恐れがある。
そのような事情から、規定メッセージを所定回数/所定時間以上報知しても、乗客の状態が変わらない場合には、規定メッセージの繰り返し出力を停止することが好ましい。図13は、そのような規定メッセージの出力にかかる処理の具体的なシーケンスの一例を示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、例えばステップS25やS26a、ステップS35として実行されうる。当該応答部F4は、復旧予想時間Trc等を鑑みて規定メッセージを出力することを決定した場合、検出されている特定行動の内容に対応するメッセージを音声出力する(ステップS51)。応答部F4は、メッセージの出力を行うと、その出力回数を1つインクリメントする。また、規定メッセージ出力処理を開始してからの経過時間を計測し始める(ステップS52)。
そして、応答部F4は、規定メッセージ出力処理を開始してからの経過時間が30秒以上となっている場合には(ステップS53 YES)、規定メッセージの繰り返し出力を停止して本フローを終了する。また、応答部F4は、特定行動が解消された場合にも(ステップS54 NO)規定メッセージの繰り返し出力を停止する。一方、規定メッセージ出力処理を開始してからの経過時間が30秒未満であって、且つ、また特定行動が継続している場合には(ステップS54 YES)、ステップS51に戻り、再び規定メッセージを出力する。
上記構成によれば、同じメッセージが繰り返し出力され続けることで乗客に不快感を与えてしまう恐れを低減できる。なお、メッセージの繰り返し出力を打ち切る閾値としての30秒は一例であって20秒や40秒などであってもよい。規定メッセージの繰り返しを停止するための回数は、2回や、3回、4回とすることができる。
<対象者の選定方法の補足>
車内監視ECU30は、図14に示すフローに従って、不安全行動に対する注意喚起対象とする乗客を設定しても良い。すなわち、リスク評価部F12が乗客ごとの転倒リスクRfを、その乗車姿勢や属性情報に基づき算出し(ステップS61)、応答部F4は、算出された転倒リスクRfが最も高い乗客を、注意喚起の対象者に設定する(ステップS62)。そして、応答部F4は、前ステップで設定された対象者に対して、現在の管制センタ2との通信状態に応じた態様で注意喚起を実施する(ステップS63)。すなわち、通信状態が良好である場合にはセンタ連携処理を実施する一方、通信に不具合が生じている場合には規定メッセージを出力する。
上記の構成によれば、転倒リスクRfが高い乗客に対して優先的に注意喚起を実施することが可能となる。注意喚起により対象者が手すりを把持するなど、車内状況が変化した場合には、乗客ごとの転倒リスクRfを再計算し、まだ転倒リスクRfが所定値以上である別の乗客に対して注意喚起を実施しても良い。
また、応答部F4は、対象者の転倒リスクに応じて応答処理の内容を変更するように構成されていてもよい。例えば転倒リスクが所定値以上である場合には、復旧予想時間Trcがフォールバック閾値Tfb未満であっても、フォールバック指示信号を出力し、自動運転ECU20をフォールバックモードで動作させても良い。当該構成によれば、転倒リスクが高い場合には慎重制御が採用されることとなり、乗客が転倒する恐れを低減可能となる。なお、応答部F4は、転倒リスクが高いほどフォールバック閾値Tfbとして小さい値を適用するように構成されていても良い。
また、転倒リスクの高さに応じて、規定メッセージの繰り返し出力回数を変更しても良い。例えば、転倒リスクが所定の閾値以上である場合には繰り返し出力回数を3回とする一方、転倒リスクが閾値未満である場合には繰り返し出力回数を1回又は2回としてもよい。転倒リスクが低い場合には繰り返し回数を減らすことで乗客に不快感を与える恐れを低減可能となる。
<フォールバックモードから通常モードへの復帰方法について>
ここでは自動運転ECU20をフォールバックモードから通常モードに復帰させるための制御の一例について図15を用いて説明する。便宜上、図15に示すフローチャートを通常モード復帰判定処理とも称する。通常モード復帰判定処理は一例としてステップS71~S74を含む。本フローは自動運転ECU20がフォールバックモードで動作している間、所定の判定周期で繰り返し実行されうる。判定周期は500ミリ秒や1秒、2秒などとすることができる。
まずステップS71では特定行動検出部F1が、車内センサ15からの入力信号に基づき、乗客による不安全行動が継続しているか否かを判定する。不安全行動が継続している場合にはステップS72に移る。一方、不安全行動が終了している場合には、ステップS74に移る。不安全行動が終了している場合とは、例えば、対象者が吊り革等を把持したり、着席したりした場合を指す。ステップS72では管制センタ2との通信にまだ不具合が生じているか否かを判定する。まだ通信状態が回復していない場合にはステップS73に移る。一方、もう通信状態が回復している場合にはステップS74を実行する。
ステップS73ではフォールバックモードを継続するように指示する信号を自動運転ECU20に出力して本フローを終了する。また、ステップS74では通常モードに復帰するように指示する復帰指示信号を自動運転ECU20に出力して本フローを終了する。
以上の処理により、乗客の不安全行動が終了している場合や通信状態が要求レベルまで回復している場合には自動運転モードは通常モードに復帰する。すなわち、走行速度の上限値や、許容されるべき加減速度及びヨーレートにかかる制限が緩和される。
<通常モードとフォールバックモードの補足>
自動運転ECU20の通常モードは、法定速度に準ずる数値を車速の上限値とする走行する制御計画を作成する動作モードとする一方、フォールバックモードは法定速度よりも所定量小さい値を車速の上限値として制御計画を作成する動作モードであっても良い。
通常モードは、人間の運転士が路線バスの運転をする際と同様の加減速度を目標値として制御計画を作成する動作モードとする一方、フォールバックモードは、上記よりも所定量小さい下限速度で走行制御を行う動作モードであっても良い。人間の運転士が路線バスを運転する際の加減速度は、自動運転バス1と同じルートを人間の運転士が運転した場合の履歴データを元に決定されれば良い。また、複数のバス運転士の運転履歴データを統計的に解析することで、平均的な加速度及び減速度を算出し、これを通常モード時の加減速度の上限値として定めても良い。角速度についても同様である。例えば、人間の運転士が、交差点を右左折する際や、車線変更を行う際に生じるヨーレートを元に、通常モード時の制御上の許容値を設定しても良い。
<管制センタ2の構成の変形例について>
車内監視ECU30だけでなく、管理サーバ23もまた、車内監視ECU30から提供される車内映像をもとに特定行動を実施している乗客の有無を判定するように構成されていても良い。上記構成によれば、通信状態が良好な状態において、車内監視ECU30が見落とした不安全行動等について、オペレータOpが注意喚起を実施可能となる。また、耐環境性が問われる車内監視ECU30よりも、管理サーバ23のほうが、演算能力の高いプロセッサを有することが期待できる。上記構成によれば、より演算能力が高いプロセッサによって乗客の状態が判定されるため、特定行動の誤検出/検出漏れの可能性を抑制可能となる。
また、車内監視ECU30からの乗客対応要求、すなわち対応要求信号に対して、以上ではオペレータOpとしての人間が対応する構成について例示したが、これに限らない。例えば応答装置が、対応要求信号に対して自動応答するように構成されていても良い。すなわち、管制センタ2において乗客対応の内容を決定/指示する存在は、人間ではなく、応答装置であってもよい。応答装置は、例えばニューラルネットワークを主体として構築された学習済みの人工知能モデルを用いて、車内カメラ151の映像から乗客の状態を特定し、適正な応答を出力する装置とすることができる。このような応答装置もまた、一種のオペレータと解することができる。
<復旧予想時間の算出材料についての補足>
車内監視ECU30は、電波強度マップの代わりに、又は、電波強度マップと合わせて、受信品質マップを用いて復旧予想時間Trcを算出しても良い。受信品質マップは、地点ごとの受信品質、例えばRSRQを示すデータである。例えば応答部F4は、電波強度と受信品質が両方とも所定の要求レベル以上となるまでにかかる時間を復旧予想時間Trcとして算出しても良い。電波強度マップや受信品質マップが通信品質マップデータに相当する。また、通信品質マップデータは、地点ごとの上り/下りスループットや往復レイテンシなどを示すデータであってもよい。通信品質マップデータは電波マップと呼ぶこともできる。
<検知対象事象とその応答処理のバリエーションについて>
車内監視ECU30は、乗客の検温を行い、熱が所定値以上であることを検知した場合には、システムが別途手配するバス/タクシー/救急車に乗り換えることを提案しても良い。また、乗客のプライバシーを鑑みて、熱が所定値以上である乗客を検知した場合には、感染症拡大予防の観点又はその他の観点から、空調装置による空気の入れ替えを強めたり、窓を開けたりするなどの処置を自動的に実施してもよい。
また、車内監視ECU30は、乗車人数を特定することにより、定員オーバーや、重量オーバーなどを検出し、管制センタ2に報告するように構成されていても良い。定員オーバーや、重量オーバーなどは、ドアを閉じる前、又は、発進前に判定することが好ましい。管制センタ2又は規定メッセージ出力部F42は、定員オーバーが検出された場合、最後に乗車した人物に降車を促す音声メッセージをしてもよい。定員オーバーが検出された場合、管制センタ2は別の車両を手配してもよい。
さらに、車内監視ECU30は荷物の置き忘れを検知し、降車しようとする乗客に向けて注意喚起を行っても良い。また、乗客の顔を画像認識することで乗客としてのユーザを識別するように構成されていても良い。ユーザを特定可能な構成においては、顔画像と紐付けられている名前などのユーザ情報を用いて、挨拶などを実施するように構成されていても良い。また、乗車中にユーザが発作などを起こした場合には、ユーザ情報を用いて家族や指定病院に連絡をとってもよい。
<システム構成の変形例>
以上では図2に示すように自動運転ECU20と車内監視ECU30とが別の装置として構成されている態様について述べたがこれに限らない。例えば図16に示すように自動運転ECU20の機能の一部又は全部は車内監視ECU30が備えていても良い。より具体的には車内監視ECU30が制御計画部G1及び制御実行部G2を備えていても良い。
また、図17に示すように自動運転ECU20が車内監視ECU30に相当する機能部である車内監視部G3を備えていてもよい。車内監視部G3は、車内監視ECU30と同様の処理を実行する構成である。車内監視部G3は、自動運転ECU20以外のECU、例えば車載HMIを制御するHMI制御ECUが備えていても良い。図16及び図17に示す構成は、自動運転ECU20と車内監視ECU30とを統合した構成に相当する。車内監視ECU30、又は、車内監視部G3を備える装置が乗客見守り装置に相当する。
<付言>
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。例えば車内監視ECU30が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。また、車内監視ECU30が備える機能の一部又は全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。車内監視ECU30が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)や、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。
また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、SD(Secure Digital)カード等を採用可能である。コンピュータを車内監視ECU30として機能させるためのプログラム、及び、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体等の形態も本開示の範囲に含まれる。以上では車内監視ECU30を例にとってその具体的な実現態様の変形例について言及したが、本付言の内容は管理サーバ23についても適用されうる。