JP7626853B2 - 栄養組成物 - Google Patents
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Description
また、血糖値上昇を抑制する観点から、栄養組成物の糖質としてパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を使用することが知られている。
乳化安定性を高める方法としては、乳化剤の含有量を増加させる方法がある。しかしながら、乳化剤には特有の好ましくない風味があり、その含有量は極力少ない方が好ましい。
そこで、本発明は、脂質の含有量が所定量以上であり、乳化剤の含有量が所定量以下であっても、乳化安定性が良好な栄養組成物を提供することを課題とする。
また、本発明者らは、上記課題を解決するための研究開発過程で、栄養組成物中のパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を増加させると、乳化安定性が低下することを見出した。本発明者らは、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含有する栄養組成物においても、栄養組成物に含まれる脂質の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合を一定以上とすることで、乳化剤の含有量が少なくとも乳化安定性が良好な栄養組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記栄養組成物中の前記乳化剤の含有量は、0.60g/100kcal以下であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、栄養組成物である。
上記特徴を有する栄養組成物は、脂質の含有量が所定量以上であり、乳化剤の含有量が所定量以下であっても、乳化安定性が良好である。
糖質としてパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含むことによって、血糖値が上昇しにくくなる。
パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を2g/100kcal以上含有することによって、甘みが感じられ、かつ血糖値が上昇しにくくなる。
乳化剤の含有量の比率を一定以下とすることによって、乳化剤特有の好ましくない風味を低減することができる。
糖質の含有量を前記範囲とすることによって、血糖値が上昇しにくくなる。
熱量を前記範囲とすることによって、熱量を効率よく摂取することができる。
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、
乳化安定性向上方法でもある。
栄養組成物の製造方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、
栄養組成物の製造方法でもある。
<脂質>
本発明に係る脂質として、例えばMCT、魚油、植物油を好ましく用いることができる。また、植物油として、大豆油、菜種油、米油、コーン油、やし油、オリーブ油、ひまわり油、パーム油、フラックス油、エゴマ油、サフラワー油を好ましく用いることができる。
100kcalあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、脂質由来のエネルギーを多く含む栄養組成物とすることができる。
本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりの脂質の含有量は、好ましくは10.0g以下、9.0g以下、8.0g以下、7.0g以下、6.2g以下であり、より好ましくは6.0g以下、5.5g以下、5.0g以下、さらに好ましくは4.5g以下、4.4g以下である。
100kcalあたりの脂質の含有量を上記上限以下とすることによって、乳化安定性をより改善することができる。
栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、エネルギーの濃度が高く、エネルギーの摂取効率の良い栄養組成物とすることができる。
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量は、好ましくは20.0g以下、19.0g以下、18.0g以下、17.0g以下、16.0g以下、15.0g以下、14.0g以下、13.0g以下、12.0g以下、11.0g以下、より好ましくは10.0g以下、9.5g以下、9.0g以下、8.0g以下、7.5g以下、7.1g以下である。
栄養組成物の100mLあたりの脂質の含有量を上記範囲内とすることで、乳化安定性をより改善することができる。
なお、本明細書中において、中鎖脂肪酸とは、炭素数8~10の脂肪酸を指す。中鎖脂肪酸の例として、カプリル酸、カプリン酸が挙げられる。
また、前記脂質は、その全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合が、好ましくは90質量%以下、89質量%以下、88質量%以下、87質量%以下、86質量%以下、85質量%以下、84質量%以下、83質量%以下、82質量%以下、81質量%以下、80質量%以下、79質量%以下、78質量%以下、77質量%以下、76質量%以下、75質量%以下、74質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、71質量%以下、70質量%以下、69質量%以下、68質量%以下、67質量%以下、66質量%以下、65質量%以下、64質量%以下、63質量%以下、62質量%以下、61質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、58質量%以下、57質量%以下、56質量%以下、55質量%以下、54質量%以下、53質量%以下、52質量%以下、51質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
n-3系脂肪酸の例として、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α-リノレン酸(ALA)などが挙げられるが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)を含むことが特に好ましい。
魚油として、原料となる魚(イワシ、サバ、カツオ、マグロ、スケソウダラ等)を煮熟し、煮汁の中から油を分離して適宜精製したものを用いることができる。
本発明に係る栄養組成物は、糖質を含み、その100kcalあたりの含有量は、好ましくは15g以下、14g以下、13g以下、12g以下、11g以下、10g以下である。
ここで、糖質とは、炭水化物のうち、食物繊維以外の成分をいう。
二糖類として、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)、ショ糖、麦芽糖、セロビオース、ラクトース、イソマルトース、トレハロースを特に好ましく用いることができる。また、オリゴ糖として、ラクチュロース、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖を特に好ましく用いることができる。また、デンプン分解物として、デキストリン、マルトデキストリン、マルトオリゴ糖、粉飴、高分岐デキストリンを特に好ましく用いることができる。
また、本発明に係る栄養組成物の100kcalあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、上限としては、好ましくは10.0g以下、9.5g以下、9.0g以下、8.5g以下、8.0g以下、7.5g以下、より好ましくは7.0g以下、6.5g以下、6.0g以下、5.5g以下、さらに好ましくは5.0g以下、4.5g以下、4.0g以下、3.9g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
また、本発明に係る栄養組成物の100mLあたりのパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量は、上限としては、好ましくは20.0g以下、19.0g以下、18.0g以下、17.0g以下、16.0g以下、より好ましくは15.0g以下、14.0g以下、13.0g以下、12.0g以下、11.0g以下、10.0g以下、9.0g以下、8.0g以下、さらに好ましくは7.9g以下、7.8g以下、7.7g以下、7.6g以下、7.5g以下、7.4g以下、7.3g以下、7.2g以下、7.1g以下、7.0g以下、6.9g以下、6.8g以下、6.7g以下、6.6g以下、6.5g以下、6.4g以下、6.3g以下、6.2g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)の含有量を上記範囲内とすることで、甘みが感じられ、かつ血糖値が上昇しにくくなる。
オリゴ糖を含むことによって、腸内環境を改善することができる。
本発明に係る栄養組成物は乳化剤を含み、その含有量は0.60g/100kcal以下である。
100kcalあたりの乳化剤の含有量は、下限としては、好ましくは0.01g以上、0.02g以上、0.03g以上、0.04g以上、0.05g以上、0.06g以上、0.07g以上、0.08g以上、0.09g以上、0.10g、0.11g以上、0.12g以上、0.13g以上、0.14g以上、0.15g以上である。
また、100kcalあたりの乳化剤の含有量は、上限としては、好ましくは0.60g以下、0.59g以下、0.58g以下、0.57g以下、0.56g以下、0.55g以下、0.54g以下、0.53g以下、0.52g以下、0.51g以下、0.50g以下、0.49g以下、0.48g以下、0.47g以下、0.46g以下、0.45g以下、0.44g以下、0.43g以下、0.42g以下、0.41g以下、0.40g以下、0.39g以下、0.38g以下、0.37g以下、0.36g以下、0.35g以下、0.34g以下、0.33g以下、0.32g以下、0.31g以下、0.30g以下、0.29g以下、0.28g以下、0.27g以下、0.26g以下、0.25g以下、0.24g以下、0.23g以下、0.22g以下、0.21g以下、0.20g以下、0.19g以下、0.18g以下、0.17g以下、0.16g以下、0.15g以下、0.14g以下、0.13g以下、0.12g以下、0.11g以下、0.10g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
また、本発明に係る栄養組成物100mLあたりの乳化剤の含有量は、上限としては、好ましくは0.50g以下、より好ましくは0.30g以下、さらに好ましくは0.20g以下、特に好ましくは0.15g以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
また、脂質の含有量に対する乳化剤の含有量の比率は、上限としては、好ましくは6.5質量%以下、6.0質量%以下、5.5質量%以下、5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、4.4質量%以下、4.3質量%以下、4.2質量%以下である。また、これらの矛盾しない任意の組み合わせであってもよい。
その中でもレシチン、有機酸モノグリセリドを好ましく用いることができる。
レシチンと有機酸モノグリセリドの両方を含むことが特に好ましく、その質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは3:7~7:3、さらに好ましくは4:6~6:4である。
本発明に係る栄養組成物は、食物繊維を含むことが好ましい。
食物繊維として水溶性食物繊維を用いることが好ましい。また、血糖値上昇抑制効果を有する食物繊維を用いることが好ましい。食物繊維は、高粘性または低粘性のいずれのものも使用することができる。
血糖値上昇抑制効果を有することが知られている水溶性食物繊維としては、イヌリン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、βグルカン、アルギン酸塩、グァーガム、寒天などを好適に例示することができる。これらの1又は複数を配合することも可能である。特に、難消化性デキストリン及びイヌリンから選ばれる1又は複数を好ましく用いることができる。
食物繊維を含むことによって、腸内環境を改善することができる。また、血糖値抑制作用を有する食物繊維を含むことによって、栄養組成物の血糖値抑制効果をより高めることができる。
本発明に係る栄養組成物は、たんぱく質を含むことが好ましい。たんぱく質の種類は、乳たんぱく質、卵たんぱく質、コラーゲン等の動物性たんぱく質、大豆たんぱく質、米たんぱく質、小麦たんぱく質等の植物性たんぱく質等、食品に用いられるものであれば特に制限されない。本発明において、乳たんぱく質が特に好ましく用いられる。乳たんぱく質として、カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、ミセラカゼイン(MCC)、乳たんぱく質濃縮物(MPC)、乳たんぱく質分離物(MPI)、乳たんぱく質加水分解物(MPH)、濃縮ホエイたんぱく質(WPC)、ホエイたんぱく質分離物(WPI)等を用いることができる。
本発明に係る栄養組成物には、本技術の効果を損なわない範囲内で、適宜任意成分を用いることができる。任意成分として、例えば、ビタミン、ミネラル、カルチニン、乳・乳製品、安定化剤、増粘剤、pH調整剤、矯味矯臭剤、香料、色素、ビフィズス菌粉末、乳酸菌粉末が挙げられる。
本発明に係る栄養組成物の熱量は、好ましくは0.6kcal/mL以上、1.0kcal/mL以上、1.3kcal/mL以上、1.4kcal/mL以上、1.5kcal/mL以上、1.6kcal/mL以上、1.7kcal/mL以上、1.8kcal/mL以上、1.9kcal/mL以上、2.0kcal/mL以上である。
栄養組成物の熱量を上記範囲とすることで、効率よくエネルギーを摂取することができる。
本明細書において、脂質エネルギー比率、炭水化物エネルギー比率、たんぱく質エネルギー比率とは、栄養組成物中の熱量のうち、脂質、炭水化物、たんぱく質にそれぞれに由来する熱量の比率を示す。
本発明に係る栄養組成物は、血糖値上昇抑制用であることが好ましい。
本明細書において「血糖値上昇抑制」及び「血糖値上昇を抑制」は、特に食後において、血糖値の急激な上昇を抑制する作用、血糖値を低下ないし降下させる作用、糖の吸収を緩やかにする作用、高血糖状態を改善する作用などを指す。
本発明の栄養組成物は、血糖値上昇抑制用とすることができる。
本発明に係る栄養組成物は、液状でも半固形状でもよいが、特に液状であることが好ましい。
本発明に係る栄養組成物の20℃における粘度は、上限としては、好ましくは100000mPa・s以下、10000mPa・s以下、1000mPa・s以下、100mPa・s以下、50mPa・s以下、30mPa・s以下である。
また、本発明に係る栄養組成物の20℃における粘度は、下限としては、0.1mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上である。
本発明の栄養組成物は、脂質を含む油相と、糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、製造することができる。水相は、好ましくはたんぱく質及び糖質を含む。
その他好ましい態様としては、上述の好ましい態様を適用することができる。
また、本発明は、栄養組成物の乳化安定性向上方法であって、脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、前記栄養組成物中の前記脂質の含有量は、3.5g/100kcal以上であって、前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を20質量%以上の割合で含む、乳化安定性向上方法でもある。水相は、好ましくはたんぱく質及び糖質を含む。
上記乳化安定性向上方法は、特に、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含む栄養組成物において、乳化安定性を向上させる。
その他好ましい態様としては、上述の好ましい態様を適用することができる。
試験例1では、乳化安定性に対する脂質含有量による影響を調べるため、脂質含有量の異なる2つのサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化さることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例1-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例1-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合(中鎖脂肪酸比率)、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表1に示す通りである。
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、遠沈管上部に残留した脂肪成分の量を目視によって評価した。-~+++の評価基準は以下の通りである。1つの試験内で、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものを+とした。++、+++については、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものを基準とした相対量とした。また、脂肪付着が明らかにあるもののうち、最も量が少ないものに対し脂肪付着が2倍未満のものは、+とした。
遠沈管への脂肪付着の量が少ないほど乳化安定性が良いといえる。
-:脂肪付着がまったく認められない
±:脂肪付着が明瞭ではないがある
+:脂肪付着が明らかにある
++:脂肪付着が+の2倍以上3倍未満ある
+++:脂肪付着が+の3倍以上ある
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、遠沈管の重量を測定し、あらかじめ測定した遠沈管のみの重量を差し引いて、遠沈管残留物分の重量を測定した。遠沈管残留物分の重量は、遠沈管上部に付着した脂肪成分と遠沈管下部に残留した沈殿物の総重量であり、少ないほど乳化安定性が良いといえる。
遠心分離後に液状の内容物を別の容器に移した後、脂肪付着が見られる、遠心分離の際に内側となった側面を正面とし、写真を撮影した(図1)。画像解析ソフトImageJを用いて、脂肪付着部位周囲を四角形で囲い評価範囲とし、評価範囲内における脂肪付着面積を数値化した。同時に評価する遠沈管は同じ形状および面積の四角形を評価範囲とした。対照例の脂肪付着面積を1.000とし、比較例1-1の脂肪付着面積を相対的に算出し、脂肪付着相対面積とした。脂肪付着相対面積が少ないほど、乳化安定性が良いといえる。
以上より、栄養組成物の脂質含有量を多くすると、乳化安定性が低下する傾向が示された。
試験例2では、乳化安定性に対するパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量による影響を調べるため、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例2-1~2-6の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例2-1~2-6の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表3に示す通りである。
表3に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、対照例の面積を1.000として算出した。
結果を表4に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図3に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図4に示す。
以上より、脂質を一定以上含む栄養組成物において、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)は乳化安定性を用量依存的に悪化させることが示された。
試験例3~9では、乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び比較例3-1、実施例3-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び比較例3-1、実施例3-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表5に示す通りである。
表5に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、対照例の面積を1.000として算出した。
結果を表6に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図5に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図6に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量0g/100kcalの栄養組成物において、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表7に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例4-1の面積を1.000として算出した。
結果を表7に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図7に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図8に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量2.29g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表8に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例5-1の面積を1.000として算出した。
結果を表8に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図9に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図10に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表9に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例6-1の面積を1.000として算出した。
結果を表9に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図11に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図12に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量4.58g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表10に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例7-1の面積を1.000として算出した。
結果を表10に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図13に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図14に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量6.11g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表11に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例8-1の面積を1.000として算出した。
結果を表11に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図15に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図16に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量6.87g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表12に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例9-1の面積を1.000として算出した。
結果を表12に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図17に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図18に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量9.16g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
試験例10では、さらに乳化剤含有量を減らした場合の、乳化安定性対するパラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量と中鎖脂肪酸比率の影響について調べた。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量と、乳化剤含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表13に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例10-1の面積を1.000として算出した。
結果を表13に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図19に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図20に示す。
以上より、脂肪含有量が多い栄養組成物において、乳化剤含有量を少なくしても、脂質の構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸比率を高くすることと、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)を含むことの組み合わせによって、高脂肪であっても乳化安定性が良好な液状栄養組成物が得られることが示された。
試験例11では、栄養組成物の摂取による血糖値への影響を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質および糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。対照例、及び実施例11-1の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、対照例、及び実施例11-1の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表14に示す通りである。
対象者は成人男女9名とした。試験開始から終了までにFreestyleリブレProセンサー(アボットジャパン合同会社製)を上腕に装着し、15分毎に血糖値を測定した。朝空腹時に1時間安静にした後、いずれかの試験食品125mLを摂取し、その後さらに2時間安静に過ごした。その後3日以上の間隔を空け、もう一方の試験食品について同様に試験を実施した。朝空腹時の血糖値を差し引いた血糖値上昇量および曲線下面積を評価した。各時点の血糖上昇量および曲線下面積の平均値を算出し、対照例と実施例11-1との有意差検定を対応のあるt検定にて行い、危険率5%以下を有意とした。
摂取時の血糖値を基準とした、血糖上昇量を図21に示す。食後45分の血糖上昇量は、対照例が39±14mg/dLであったのに対し、実施例11-1では27±14mg/dLであり、有意に抑制された。
血糖値上昇曲線下面積(iAUC)を、図22に示す。iAUCは有意に抑制された。
表15に実施例12-1の組成を示す。実施例12-1は、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)、高分岐デキストリン、乳たんぱく質、難消化性デキストリン、MCT、植物油、でんぷん分解物、ラクチュロース、イヌリン、精製魚油、酵母エキス、乾燥酵母、カルニチン、乳酸菌(殺菌)、カゼインナトリウム、pH調整剤、乳化剤、塩化カリウム、香料、カラメル色素を混合する事によって調製された。なお乳化剤配合量は、0.175g/100kcalとし、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。
実施例12-1を超高温殺菌し、125mLずつ紙パックに無菌充填した上で、常温にて6か月間静置保管した。6か月間静置保管した実施例12-1の脂肪浮上の程度を目視で確認したところ、使用上問題となるような脂肪浮上は認められず、良好な状態であった。
乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合と、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量以外は、比較例3-1と同じ条件で、表16に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例13-1の面積を1.000として算出した。
結果を表16に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図23に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図24に示す。
以上より、脂肪含有量が多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
脂質含有量が多い条件における、乳化安定性に対する中鎖脂肪酸比率による影響を調べるため、脂質含有量が多い条件で中鎖脂肪酸比率の異なるサンプルを調製し、乳化安定性を調べた。
脂質を含む油相と、たんぱく質及び糖質を含む水相とをそれぞれ調製し、乳化剤を添加して乳化させることによって、栄養組成物を製造した。乳化剤として、レシチンと有機酸モノグリセリドを重量比率1:1で用いた。比較例14-1、実施例14-1、実施例14-2の熱量は1.6kcal/mL、たんぱく質含有量は3.8g/100kcalとなるように調製した。
また、比較例14-1、実施例14-1、実施例14-2の脂質の脂質エネルギー比率、脂質含有量、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸の割合、糖質エネルギー比率、糖質含有量、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量、乳化剤含有量は表17に示す通りである。
表17に記載のサンプルについて、試験例1と同様の試験を行った。なお、脂肪付着相対面積は、比較例14-1の面積を1.000として算出した。
結果を表18に示す。また、脂肪付着相対面積の評価の際の写真を図25に示す。また、脂肪付着相対面積の結果のグラフを図26に示す。
以上より、脂肪含有量が6.11g/kcalと特に多い、パラチノース(登録商標)(イソマルツロース)含有量3.86g/100kcalの栄養組成物においても、中鎖脂肪酸比率を高くすると乳化安定性が改善することが示された。
Claims (9)
- 脂質と、糖質と、乳化剤とを含む乳化栄養組成物であって、
前記乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中のイソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記乳化栄養組成物中の前記乳化剤の含有量は、0.60g/100kcal以下であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を40質量%以上の割合で含む、
乳化栄養組成物。 - 前記脂質の含有量に対する前記乳化剤の含有量の比率が6.5質量%以下である、
請求項1に記載の乳化栄養組成物。 - 前記乳化剤はレシチンと有機酸モノグリセリドであり、
前記レシチンと前記有機酸モノグリセリドの質量比は、3:7~7:3である、請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。 - 前記糖質の含有量が、15g/100kcal以下である、
請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。 - 熱量が0.6kcal/mL以上である、
請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。 - 前記乳化栄養組成物は、さらに、たんぱく質を含む、
請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。 - 前記乳化栄養組成物は、血糖値上昇抑制用である、
請求項1又は2に記載の乳化栄養組成物。 - 乳化栄養組成物の乳化安定性向上方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は、4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記イソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を40質量%以上の割合で含む、
乳化安定性向上方法。 - 乳化栄養組成物の製造方法であって、
脂質を含む油相と、糖質を含む水相とを調製する調製工程と、
前記油相及び前記水相を、0.60g/100kcal以下の乳化剤を添加して混合する乳化工程とを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記脂質の含有量は、4.4g/100kcal以上であって、
前記糖質は、イソマルツロースを含み、
前記乳化栄養組成物中の前記イソマルツロースの含有量は、2.5g/100kcal以上であり、
前記脂質は、その全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を40質量%以上の割合で含む、
乳化栄養組成物の製造方法。
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