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JP7627933B2 - 餡製品及びその製造方法 - Google Patents
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本発明は、餡製品及びその製造方法に関する。
餡は、小豆などの豆類を水で煮て、砂糖と水を加えて煮詰めて得られるものであり、そのまま食す形態で販売されるほか、羊羹、饅頭、蒸まん、菓子パン、大福もち、ぜんざい、おはぎ、ケーキなど主に菓子製品に利用され、販売されている。
しかし、餡は、豆類と同量又はそれ以上の砂糖を加えて煮詰めることから、食品としてのエネルギー値は高く、「低カロリー」や「低糖質」嗜好の消費者ニーズには合わない。そこで、餡製造時に砂糖の使用量を減らしたり、砂糖よりもカロリーが低い糖類、例えば、高糖化還元水飴(特許文献1)、フラクトオリゴ糖(特許文献2)、キシロース(特許文献3)を利用したりすることがあった。また、D-プシコース(D-アルロース)についても、甘味が砂糖の約60~70%でありながらカロリーがほぼゼロであることと、血糖上昇抑制等の生理機能があることから、菓子製品に使用される糖類の代替糖として利用されることがあった(特許文献4)。
しかし、D-プシコースを餡の製造時に添加すると、餡が硬く締まり、食感が悪くなるという問題があった。
特開2006-061130号公報 特開平9-159号公報 特開平9-9876号公報 国際公開WO2008/142860
すなわち、本発明の目的は、低カロリーでありながら、従来品と同等の柔らかさをもつ食感のよい餡及びその餡の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討したところ、D-プシコースを餡の製造時に添加する際、特定の澱粉分解物を併用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下[1]~[6]から構成されるものであって、第一の発明は、[1]~[4]のD-プシコースを含む餡の製造方法である。
[1]生餡をDE9~18の澱粉分解物と砂糖を含む液で煮詰める工程と、次いでD-プシコースを添加する工程と、さらにBrix40~70となるまで煮詰める工程とを含み、前記澱粉分解物が、前記澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、5%を超えて40%未満の割合で添加される、餡の製造方法。
[2]D-プシコースが、澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、10~50%の割合で添加される、上記[1]記載の餡の製造方法。
[3]澱粉分解物が、澱粉を酵素により分解したもの、又は酸及び酵素により分解したものである、上記[1]又は[2]に記載の餡の製造方法。
[4]澱粉分解物が、タピオカ澱粉、コーン澱粉及び甘藷澱粉から選ばれる一以上が分解されたものである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の餡の製造方法。
第二の発明は、以下[5]の、特定比で澱粉分解物とD-プシコースを含む餡である。
[5]DE9~18の澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、前記澱粉分解物を5%を超えて40%未満の割合で含み、D-プシコースを10~50%の割合で含む、Brix40~70の餡。
第三の発明は、以下[6]のD-プシコースを含む餡の硬さを改善する方法である。
[6]Brix40~70の餡の製造において、DE9~18の澱粉分解物を、前記澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、5%を超えて40%未満の割合で添加することにより、D-プシコースを含む餡の硬さを改善する方法。
本発明を利用することにより、低カロリーでありながら、食感のよい餡を提供することができる。
本発明のひとつの態様は、餡であり、DE9~18の澱粉分解物及びD-プシコースを含む、Brix40~70の餡である。
本発明における餡の原料は、小豆はもちろんのこと、それ以外の豆類を用いることができ、得られる餡の性状は練餡、すなわち、「つぶ練餡」又は「こし練餡」である。これら練餡を製造するためには、まず、「生餡」を調製する必要があり、豆類を水浸漬・灰汁抜き後、本炊きをし、これを潰して濾す工程を経たものが「こし生餡」、潰して濾す工程を経ないものが「つぶ生餡」である。このようにして得られる生餡は、加糖されておらず、通常、水分60~65%に調整されたものであり、その100質量部に対して砂糖50~100質量部を水とともに加え、火にかけて煮詰め練り上げてBrix40~70の「練餡」とする。なお、使用する砂糖は、ショ糖であればよく、上白糖、グラニュー糖、三温糖など、どのような形態のものであってもよい。なお、Brixは、糖度計(屈折計、例えばATAGO社のMASTER―80H)で測定することができる。
本発明の餡は、従来品より低カロリーとすることを目的に、従来の餡の原料である砂糖をD-プシコースに置き換えたものであり、餡におけるD-プシコースの配合量は、後述する澱粉分解物と、砂糖、D-プシコースの合計量において、10~50質量%、20~50質量%、30~50質量%である。なお、本発明に用いるD-プシコースは、D-プシコースを含む限りどのような形態のものでもよく、従来品からの低カロリー化を達成できる限りにおいて、他の糖を含む混合品を用いることもできる。なお、純品の市販品としては、松谷化学工業株式会社製の「ASTRAEA」が、混合品の市販品としては、松谷化学工業株式会社製の「レアシュガースウィート」が挙げられる。また、従来品より低カロリーとする目的や、D-プシコースを砂糖に代替することにより生じる甘味質の変化を調整する目的などで他の甘味料を使用することもでき、高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム、ステビア(レバウディオサイドA,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,O、ステビオサイドなど)、サッカリン、サッカリンナトリウム、甘草、羅漢果、ネオテーム、モネリン、グリチルリチン、アリテーム、ネオヘスペリジン等を挙げることができる。
一般に、澱粉分解物とは、澱粉を酵素又は酸により分解したものであって、冷水可溶のものをいう。本発明の澱粉分解物を得る方法は、これらいずれの方法により分解したものであってもよいが、本発明の効果を効率よく得るためには、酵素分解したもののほうが好ましく、酵素分解に酸分解を組み合わせたもののほうが好ましい。澱粉分解物は、加水分解の反応時間や用いる酵素の種類によって、DE(Dextrose Equivalentの略。完全に分解されてすべてグルコースとなった場合はDE100となる。)が異なるところ、本発明の餡製品に用いる澱粉分解物は、少なくともDE9~18の範囲にあることを要し、好ましくは12~18、より好ましくは15~18である。また、澱粉分解物の原料澱粉種は特に限定されず、タピオカ、甘藷、コーン、米、馬鈴薯、小麦や、これらの糯種など、いずれの種であってもよいが、本発明の効果を効率よく得る観点からは、タピオカ、甘藷、コーンから選ばれる一種以上であることが好ましい。また、本発明の効果を得るためには、その澱粉分解物の添加量が重要であり、砂糖、D-プシコース及び澱粉分解物の合計における澱粉分解物の占める割合が、少なくとも5質量%を超えることを要する。また、澱粉分解物は多用すると食品に糊感(滑る食感)が出現するため、40質量%を超えないことが望ましい。すなわち、澱粉分解物の添加量は、好ましくは5質量%を超えて40質量%未満、より好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。また、D-プシコースを添加することによって低カロリーとなった餡のカロリー値を再び上げないように、澱粉分解物は砂糖の置き換えとして添加することが望ましい。
本発明のもうひとつの態様は、餡の製造方法である。通常、練餡は、上述した生餡に砂糖を水とともに加え、火にかけて煮詰め練り上げて製造するが、本発明の餡の製造方法は、生餡に対して砂糖及び澱粉分解物を水とともに加え、火にかけてしばらく煮詰めてから、D-プシコースを添加し、Brix40~70の練餡とする方法である。
本発明において、餡の硬さが改善されたとは、D-プシコースを餡に添加したときに生じる硬さが改善されたことをいい、具体的には、D-プシコース無添加の通常の餡との比較において、同等の硬さにあることをいう。また、その硬さの比較は、物性測定器(レオメータ)により行うことができ、例えば、クリープメーター((株)山電「RE-2-33005B」)を用いて、50%地点荷重(N)(プランジャーを一定の速度で測定歪率の50%地点まで降下させたときの荷重)の比較によって行うことができる。そして、サンプルが硬いほど50%地点荷重は大きくなるところ、例えば、φ40mm×15mmのステンレスシャーレに餡サンプルを充填して測定した場合、D-プシコース無添加餡の測定値を1.0としたときの相対値で表したときに、0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1であれば、餡の硬さが改善されたとみることができる。なお、この測定は、一つのサンプルについて少なくとも4回行い、その平均値をもって評価することが望ましい。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。なお、配合における「%」は、「質量%」である。また、餡は、試験区毎に約600gの量で試作したが、配合表には「こし生餡」を100質量部としたときの相対数量(質量部)で示した。
<D-プシコースを添加したときの餡の硬さ>
まず、D-プシコースを餡に添加したときの硬さを確認した。、餡の調製方法と餡の硬さの測定方法は[表1]に、餡調製のための具体的な配合は[表2]に示す。また、餡にとって好ましくない糊感(滑る食感)の有無についても確認した。測定・評価結果は[表2]の下方に示す。
砂糖の10%以上をD-プシコースに置き換えると、50%地点荷重(N)の相対値が大きくなり明らかに餡が硬くなることから、この硬さを改善する方法を検討することとした。
<D-プシコース入り餡に各種澱粉分解物を添加したときの効果-1>
砂糖の50%をD-プシコースに置き換える餡において、砂糖の5、10、20、30、40%を[表3]の試料No.1~7の各澱粉分解物(すべて松谷化学工業株式会社の製品)に置き換えたとき(配合No.1~5)の硬さと糊感を調べた。餡の調製と硬さの測定方法は、上の試験と同じであり、餡調製のための具体的な配合は、下の[表4]に示す。[表5]には、餡の硬さの相対値(澱粉分解物無添加時の硬さを1としたときの相対値)を示し、餡に糊感があった試験区の枠は墨色、糊感がややあった試験区の枠は薄墨色で表示した。
砂糖の50%をD-プシコースに置き換えることにより硬くなる餡において、さらに砂糖の10~30%(配合No.2~4)を特定の澱粉分解物(試料No.3~6)に置き換えると、D-プシコースを添加しないときの硬さにまで近付き、餡の硬さとして良好であった。しかし、澱粉分解物の置き換え比率を高くすると、柔らかくなりすぎ、さらには糊感が出現する不具合が生じた。
<D-プシコース入りの餡に各種澱粉分解物を添加したときの効果-2>
次に、砂糖の30%をD-プシコースに置き換えた餡おいて、さらに砂糖の20%を[表3]の試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えたときの餡について調べた(餡の調製方法と硬さの測定方法は、上の試験と同じ。)。
砂糖の30%をD-プシコースに置き換えることにより硬くなる餡(配合No.7)において、さらに砂糖の20%を試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えると(配合No.8)、配合No.6の餡を基準としたときの硬さの相対値は1.50から0.92にまで改善し、糊感もなく、餡の硬さ・食感ともに非常に良好であった。
<D-プシコース入りの餡に各種澱粉分解物を添加したときの効果-3>
以上は、こし生餡100質量部に対して砂糖90質量部の配合を基本とする練餡での検討であったが、次に、こし生餡100質量部に対して砂糖70質量部を加えた餡を基本として検討することとした。[表7]の配合No.9において、砂糖の50%をD-プシコースに置き換え(配合No.10)、さらに砂糖の20%を[表3]の試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えたとき(配合No.11)の餡について調べた。餡の調製方法は、仕上がり糖度をBrix56としたこと以外は上の試験と同じであり、餡の測定方法については、配合No.9の餡の硬さを1.00として相対値を算出したこと以外は、上の試験と同じである。
こし生餡100質量部に対して砂糖70質量部を加えた餡においても同じく、砂糖の50%をD-プシコースに置き換えた餡(配合No.10)の硬さの相対値が1.49であったのに対し、さらに砂糖の20%を試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えた餡(配合No.11)の硬さの相対値は1.03であり、糊感もなく、餡の硬さ・食感ともに非常に良好であった。
<D-プシコース入りの餡に各種澱粉分解物を添加したときの効果-4>
次に、こし生餡100質量部に対して砂糖100質量部を加えた餡を基本として検討することとした。[表8]の配合No.12において、砂糖の50%をD-プシコースに置き換え(配合No.13)、さらに砂糖の20%を[表3]の試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えたとき(配合No.14)の餡について調べた。餡の調製方法は、仕上がり糖度をBrix63としたこと以外は上の試験と同じであり、餡の測定方法については、配合No.12の餡の硬さを1.00として相対値を算出したこと以外は、上の試験と同じである。
こし生餡100質量部に対して砂糖100質量部を加えた餡においても同じく、砂糖の50%をD-プシコースに置き換えた餡(配合No.13)の硬さの相対値が1.81であったのに対し、さらに砂糖の20%を試料No.3の澱粉分解物(TK-16)に置き換えた餡(配合No.14)の硬さの相対値は1.08であり、糊感もなく、餡の硬さ・食感とも非常に良好であった。
次に、難消化性デキストリンを使用して、[表4]の配合No.2~4の配合で餡を作製し、その餡の硬さと食感を確認した。難消化性デキストリンとは、澱粉を酸焙焼してα-アミラーゼ等による酵素分解後、難消化性部を多く含む画分を分画したものであり、上の餡の作製には松谷化学工業株式会社製「ファイバーソル2」(DE12)を使用した。その結果、硬さの相対値はそれぞれ0.98、0.93、0.88であり、D-プシコース無添加の餡とほぼ同等の硬さにまで改善した。また、糊感はやや感じられる程度であった。

Claims (6)

  1. 生餡をDE9~18の澱粉分解物と砂糖を含む液で煮詰める工程と、
    次いでD-プシコースを添加する工程と、
    さらにBrix40~70となるまで煮詰める工程とを含み、
    前記澱粉分解物が、前記澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、5%を超えて40%未満の割合で添加される、餡の製造方法。
  2. D-プシコースが、澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、10~50%の割合で添加される、請求項1記載の餡の製造方法。
  3. 澱粉分解物が、澱粉を酵素により分解したもの、又は酸及び酵素により分解したものである、請求項1又は2に記載の餡の製造方法。
  4. 澱粉分解物が、タピオカ澱粉、コーン澱粉及び甘藷澱粉から選ばれる一以上が分解されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の餡の製造方法。
  5. DE9~18の澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、前記澱粉分解物を5%を超えて40%未満の割合で含み、D-プシコースを10~50%の割合で含む、Brix40~70の餡。
  6. Brix40~70の餡の製造において、DE9~18の澱粉分解物を、前記澱粉分解物、砂糖及びD-プシコースの合計において、5%を超えて40%未満の割合で添加することにより、D-プシコースを含む餡の硬さを改善する方法。
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