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JP7629638B2 - 生活習慣介入システム、生活習慣介入方法、プログラム及びプログラム記録媒体 - Google Patents
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生活習慣介入システム、生活習慣介入方法、プログラム及びプログラム記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、生活習慣病予防のための好適な介入(指導)を支援する技術に関する。
昨今、高血圧症、糖尿病、脂質異常症及び肥満症など生活習慣病が世界的に蔓延し、世界の死因の6割を占める非感染性疾患であるがんや循環器疾患の大きな原因となっている。これら生活習慣病は、生活習慣の改善によりその多くが予防可能であり、罹患後における、投薬療法と併用して食事療法や運動療法を施すことによる治療効果にも大きな期待が寄せられている。循環器疾患予防のための生活習慣病への介入は、その多くが観察研究という手法により得られた成果をもとに世界保健機構や各国の関連学会におけるガイドラインが作成され、制度として実装されている。例えば日本では、保健指導ガイドライン(厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、農林水産省「食事バランスガイド」)が作成され、これをもとに医療従事者が学習し、臨床現場での保健指導として実践されていた。
また、近年、生活習慣病予防の分野において、健診受診者の経年的な健康リスクのスコア付け、及び改善項目と非改善項目との評価を行う装置生活習慣病重症化予防の対象者の抽出を支援するための装置が提案されている(特許文献1)。さらに、生体情報と生活習慣の時系列な相関を回帰式を用いて算出し、得られた相関を利用して生体情報に対する生活習慣を提案する生活習慣病改善支援装置が知られている(特許文献2)。
特開2018-160012号公報 特開2014-219850号公報
しかしながら、従来の循環器疾患予防のための生活習慣病への介入の方法には以下のような問題点があった。第1に、集団の観察研究から得られたエビデンスのレベルは、無作為化対照比較試験の結果と比べて低く、遺伝要因や未観測の因子等による交絡の影響を排除しきれず、因果推論に限界がある。第2に、仮に無作為化対照比較試験から得られた結果であっても、個人の特性によって介入の治療効果は異なる可能性があり、これが考慮されていない。第3に、具体的な介入方法については直接的な知見が得られない。第4に、実臨床においても、エビデンスに従った保健指導の実施には時間的にも限界がある。第5に、短期的な健康行動の変化については、従来、評価しておらず、短期的変化に対して生活習慣を改善する考え方自体が存在していなかった。
また、特許文献1に記載の装置は、診療情報と健診成績とを元に生活習慣病重症化予防を効率化するのが目的であるが、具体的な予防介入の方法についての比較を行うものではない。特許文献2に記載の装置は、相関を表す回帰式を用いて生体情報の変化量に対応する同種の生活習慣の変化量を提案したり、さらに遅延時間を反映させたりするものであり、生体情報に対して複数の介入からいずれかを適宜選択して提案するものではない。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、機械学習及び疫学的、統計学的な因果推論に基づいて個人の生活習慣への好適な介入の方策を選択的に提示することが可能な生活習慣介入システム、生活習慣介入方法及びプログラムを提供するものである。
本発明に係る生活習慣介入システムは、生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入内容をパラメータと対応して記憶する記憶部と、経時方向において、全ての介入に対して、対応するパラメータを利用してアルゴリズム(機械学習と確率モデル)に基づく計算を実行し、算出されたスコアに対応して介入の内容を選択し、次の介入として設定する介入設定手段と、介入内容の選択の都度、選択された介入内容を利用者に報知する報知部と、報知された介入の結果としての前記利用者の行動記録および生体情報を前記利用者への報知後に受け付ける生体情報取得手段と、前記行動記録および生体情報の取得毎に、取得した前記行動記録および生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入内容に対応するパラメータを更新する評価手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る生活習慣介入方法は、生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入内容をパラメータと対応して記憶する記憶部を備え、介入設定手段が、経時方向において、全ての介入に対して、対応するパラメータを利用してアルゴリズム(機械学習と確率モデル)に基づく計算を実行し、算出されたスコアに対応して介入の内容を選択し、次の介入として設定し、報知部を介して、設定された介入内容を利用者に報知し、生体情報取得手段が、報知された介入の結果としての前記利用者の行動記録および生体情報を前記利用者への報知後に受け付け、評価手段が、前記行動記録および生体情報の取得毎に、取得した前記行動記録および生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入内容に対応するパラメータを更新することを特徴とするものである。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、生活習慣介入システムとして機能させるためのものである。
また、本発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラム記録媒体は、コンピュータを、生活習慣介入システムとして機能させるためのプログラムを記録したものである。
これらの発明によれば、利用者に直接的かつ具体的に生活習慣としての介入の方策を選択、提示し、結果として記録された行動および生体情報との関連を評価してパラメータを更新していくため、個別化された因果効果に基づいた介入が可能となる。さらに、エビデンスに従って継続的かつ有効な介入方策設計を行うため、効率的となる。また、リアルタイムモニタリング可能な情報プラットホームでの技術とデータを利活用可能なため、従来の保健指導ガイドラインによる保健指導のスパンに比してより短期的なフィードバックによる介入手法の修正も可能となる。
本発明によれば、個人の生活習慣に対して個別化された因果効果に基づいた介入の方策を順次提示することが可能となる。
本発明に係る生活習慣介入システムの一実施形態を示す全体構成図である。 個人端末の一実施形態を示す図で、(A)は介入情報が提示された状態の画面例、(B)は生体情報が入力された状態の画面例である。 患者の情報などを記憶するメモリマップの一例を示す図で、(A)は属性情報などを示し、(B)は介入の方策(種類)と、介入の種類に対する現在のパラメータとを示す図である。 介入と生体情報の時系列のデータを記憶するメモリマップの一例を示す図である。 新規登録処理の一例を示すフローチャートである。 介入処理の一例を示すフローチャートである。
図1は、本発明に係る生活習慣介入システムの一実施形態を示す全体構成図である。生活習慣介入システムLISは、例えば個人が所有する個人端末1、個人端末1とインターネットを代表とするネットワーク2を介して繋がるサーバ3、及び必要に応じて適用可能な医療機関端末4を備える。個人端末1は、卓上型のパーソナルコンピュータでもよいし、スマートフォン等に代表されるモバイル端末でもよく、ネットワーク2上に接続されたサーバ3や医療機関端末4と通信可能にされている。
生体情報測定器5は、生体の状態を計測するもので、用途に応じたものが採用される。典型的には血圧計、体重計、歩数計、活動量計などの測定器である。生体情報は、生体情報測定器5から取得される態様の他、種々の態様を利用して取得可能である。例えば、個人端末1の操作部12を介して、食事メニューを入力したり、体調などを程度で表す用語(例えば、非常に良い、良い、普通、少し悪い、とても悪い)で入力したり、また、診療時に、医師の診断内容を文字で入力したり、あるいは医療機関端末4を介して入力された診断結果(電子カルテなど)から該当部分を取得する態様でもよい。また、例えば、食事メニューから塩分量を算出する場合、入力された食事メニューから、内蔵の栄養計算ソフトウェアを適用して、予め設定された食品毎の塩分含有率を用いて各塩分量を求めて食事毎の塩分摂取量を取得するようにしてもよい。また、簡易な検査キット(例えばスポット尿検査濾紙:尿中の塩分測定用)も適用可能である。
サーバ3は、本実施形態では、主に種々のデータを記憶する記憶部として機能する。医療機関端末4は、医療機関に設置され、医療従事者が操作するもので、1台又は複数台であってもよい。なお、医療機関端末4内には、入力された患者の医療情報(電子カルテなど)を保管する記憶部41を有している。
ここで、生活習慣介入システムLISを用いた生活習慣への介入処理の概要について説明する。生活習慣への介入は、典型的には以下のような手順で行われる。先ず、例えば高血圧症などの生活習慣病を患っている乃至改善を望んでいる者で本システムの活用を希望する者は、自己の個人端末1から本システム(アプリケーションプログラム)を起動させて、自己(利用者)の情報乃至属性情報などを登録する。生活習慣介入システムLISは、登録後に、あるタイミングで、高血圧症に対して予め準備されている複数種類の介入から1つを選択し、その内容を個人端末1に出力(提示)する。通常の場合、利用者は、提示された介入内容に対応する生活習慣行動を行うと共に、所定期間内乃至時点で、介入結果に対応した生体情報を入力する。生活習慣介入システムLISは、介入の内容、及び介入結果としての生体情報等に基づいて当該介入に対する評価を行う。
以降、生活習慣介入システムLISは、順次のタイミングで、複数の介入種類のうちから好ましい1つの介入を、後述する方法で選択し、個人端末1に出力(提示)し、前記と同様な手順を繰り返す。そして、生体情報が適正レベルにまで改善したなどの場合には自主的に終了し、あるいは、逆に改善が見られないなどの場合には受診勧奨を行ってもよい。なお、本システムの利用中であっても、健診により高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症が認められた場合に医療機関への受診勧奨を行うものも考えられる。受診勧奨の例としては、個人端末1への、病気のリスクの表示による受診勧奨、検査結果異常による受診勧奨、該当する医療機関の地図画像の表示を通しての受診勧奨などが考えられる。
生活習慣介入システムLISは、生活習慣病予防のための介入処理を行うアプリケーションプログラムと、当該プログラムを実行するための各種の情報を記憶する情報記憶部と、プログラムを実行する制御部とを備えている。なお、前記各種の情報とは、登録済みの全ての利用者に関する情報であって、利用者毎に対応して記憶されたものである。
生活習慣介入システムLISの構成としては、種々の態様が考えられる。例えば図1に示すように、アプリケーションプログラムは、登録時に個人端末1にサーバ3又は図略の外部メモリ等からダウンロードして使用可能にされ、一方、各種の情報はサーバ3の記憶部32に保管する態様が考えられる。この態様では、介入処理は、個人端末1で、必要な情報をサーバ3とやり取りし、それらの情報を利用して所要の演算を実行することで行われる。
また、他の態様としては、アプリケーションプログラム及び各種の情報は、情報処理が可能にされたサーバ3に格納され、介入処理に際しては、個人端末1の情報をサーバ3に送り、サーバ3側で所定の演算を実行し、その結果をサーバ3から返送を受けて個人端末1で提示するものでもよい。この態様では、個人端末1は、入出力部として機能するものである。あるいは、登録時に、自己の個人端末1にアプリケーションプログラム及び自己分の情報類を取り込み、以降、全ての処理を個人端末1で行う態様でもよい。また、医療機関端末4内の記憶部41にサーバ3の機能を持たせる態様としてもよい。
サーバ3は、個人端末1及び医療機関端末4との通信を制御する通信処理部31と記憶部32とを備える。記憶部32は、制御プログラム記憶部321、個人情報記憶部322、介入種類記憶部323、介入情報記憶部324及び生体情報記憶部325を備える。なお、サーバ3は全ての利用者の情報を記憶するものである一方、通信処理部31によって、後述の新規登録時に個々の利用者IDに対応付けされた個人端末1(の電話番号又はメールアドレス又はその他個人が識別可能なID)との間で個別に情報の授受を行うようにされている。
制御プログラム記憶部321は、介入処理及び関連する各処理を実行させるためのアプリケーションプログラム(以下、制御プログラムという)を記憶する。
個人情報記憶部322は、図3(A)に示すように、利用者を識別する利用者ID毎に利用者の状態Liと属性情報Xiとを記憶する。状態Li(i=1,2, …)は、利用者の日常の生活環境、ここでは食事環境について複数の、例えばL1として「醤油をかける」、L2として「果物を食べる」、L3として「大豆製品を食べる」などが挙げられている。状態の種類は3つに限らず、改善対象の生活習慣病に応じて適当な個数、種類とすることが好ましい。属性情報Xiは、利用者の年齢、性別、さらに健康状態を示す血圧値、脈拍数、血糖値、体重、体温、肥満指数(BMI)、自己申告によるストレスの程度、あるいは社会経済状況を示す教育歴、余暇の過ごし方、趣味の活動への参加状況、労働形態などを含む。なお、状態Li及び属性情報Xiをまとめて属性情報として扱ってもよい。また、利用者IDは、操作部12から入力される利用者を識別し得る名前の登録に対応して設定される。なお、名前の登録は不要としてもよい。
介入種類記憶部323は、図3(B)に示すように、介入の種類(選択肢)として予め準備された内容とユーザの組み合わせを示すインデックスをI1,I2,I3,…,Ii、及び各介入に対して、介入毎に、後述するようにして新たに算出されるパラメータμ1,Σ1,μ2,Σ2,μ3,Σ3,…,μi,Σi,を更新的に記録するものである。各介入の種類とユーザの組み合わせに対して設定されるパラメータμ,Σは、実数値、またはベクトルや行列、および、これらを組み合わせた配列変数であり、当該介入による効果をユーザの行動記録および生体情報をアウトカムとして学習した、確率論的アルゴリズムに基づいた、反応性を示す確率モデルのパラメータである。例えば、必要に応じて、反応性が線形モデルに従うとして、線形モデルの係数の従う多次元正規分布の平均ベクトルμと分散行列Σをパラメータとしてもよい。なお、介入の種類は、予め準備されているものをそのまま適用する場合の他、登録時に入力される利用者の情報に基づいて、個別に、より効果的な介入内容が抽出される態様であってもよい。
介入情報記憶部324は、図4に示すように、個人端末1を介して利用者に時系列で提示された介入Iの選択履歴の内容を順次記憶する。図2(A)は、個人端末1の表示部11の画面11aに情報表示領域110が設定され、介入内容の一例が提示されている。生活習慣病予防のための介入の方策としては、食事に関連する方策、運動に関連する方策、睡眠に関する方策、飲酒・喫煙に関する方策、ストレス対処に関する方策等が知られており、本実施形態では、いずれかひとつ、又は複数を採用することが可能である。
生体情報記憶部325は、図4に示すように、生体情報測定器5又は操作部12から、あるいは診療結果について医療機関端末4から入力される時系列で取得された生体情報Dを順次記憶する。図2(B)は、表示部11の画面11aの情報表示領域110に利用者から入力された生体情報(数値部分)の一例が表示されている。
このように、図4は、時系列t1,t2,t3,…,tnに対して、例えば、介入IがI2(t1),I4(t2),I3(t3),…,Ii(t4)のように順次入力され、これに対応して取得された生体情報Dとして、D(t1),D(t2),D(t3),…,D(tn)が順次入力されている。
また、個人端末1は、典型的にはプロセッサ(CPU)で構成される制御部10、表示部11、操作部12及び記憶部13を備える。表示部11は、画像を表示するもので、介入内容の提示、入力された生体情報の表示などを行う。表示部11は、介入処理の出力部として機能する部分については、画像の他、音声でもよく、音声の場合にはスピーカを備えていればよい。また、操作部12は、表示部11上に積層されてタッチパネルとして機能する透明な圧電素子パネルでもよく、表示部11に表示される文字キーのボタンを含む各種のボタンに対してタップ、フリック操作などを介して情報を入力するものである。なお、物理的な操作部を含んでいてもよい。さらに、音声による操作部を含んでいてもよい。
制御部10は、制御プログラムを図略の主メモリに読み出して実行させることで、登録部101、介入設定部102、生体情報取得部103及び評価部104として機能する。また、制御部10は、計時動作を行うタイマ105として機能する。
登録部101は、本システムを利用する場合に必要となる利用者の新規登録処理を実行する。新規登録処理は、個人端末1からのアプリダウンロード要求に応じてサーバ3から返送される制御プログラムをダウンロードする。また、登録部101は、制御プログラムを起動させて、操作部12を介して、改善対象の生活習慣病の種別の登録、自己を識別する名前などの情報、状態情報Li、属性情報Xiの入力を受け付け、図3の(A)、図3(B)のように記憶部13に記憶し、また、必要に応じて、取得した情報Li,Xiをサーバ3に送信して個人情報記憶部322などに記憶させる。
介入設定部102は、あるタイミングで介入内容を選択し、表示部11を介して利用者に提示する。より詳細には、介入設定部102は、前回の介入内容と介入結果である、取得した生体情報などとに基づいて、複数の介入のうちから次回の介入を1つ選択する。かかるアルゴリズムは、健康アウトカム(ここでは、介入による生活習慣での成果:生体情報など)を目標とした複数の介入i=1,2, …,Kがある場合に、各介入を行いながら、介入結果の健康アウトカム{Xi}をそれぞれ評価することによって、
スコアy=(ΣXi) /2Ni(t)+√(logT/2Ni(t)) …(式1)
が最大となる介入i(t)を選択するアルゴリズムである。ここで、(式1)の第1項の和は介入iの選択された期にわたる。また、この介入内容(介入選択肢)の決定アルゴリズムは、スコアyが最大になる介入i(t)を決定論的に選択するのではなく、各介入選択肢をそのパラメータμ(i)によって重み付けなどした確率によって選択するアルゴリズムでもよい。
スコアyは、前記(式1)に示すように、i(t)を介入効果の観測値の平均である第1項に、介入時刻Tと、それまでの介入iの回数Ni(t)に基づく補正値(第2項)を加えたものである。かかる方法は、機械学習におけるバンディットアルゴリズムの一例としてのUCB(Upper Confidence Bound)方策である。すなわち、スコアyは、標本平均に補正項を加えた値であり、選択の回数Ni(t)が少ない介入ほど補正項の値は大きくなるようにしている。そのため標本平均は小さいが、選択回数が少ない介入も選ばれることがある。このように単純に標本平均の大きな介入が選択される時は「活用」が行われ、標本平均は小さいが、選択回数が少ない介入が選択される時は「探索」が行われる。このように、本実施形態では、UCB方策で、探索と活用のバランスを取りながら介入の選択を繰り返し行って改善対象の最大化を目指すようにしている。また、有効性の評価に必要な最小限の試験による評価を行うことで、スコアyの低い、すなわち成果の上がらない介入に対して短期間で打ち切る、すなわち介入対象から外すようにしてもよい。
介入設定部102で用いられるアルゴリズムは各介入選択肢に対して、属性からアウトカム予測するモデルをロジスティック回帰にて学習を行い、ロジスティック回帰の係数に対して、サンプル数に応じた不確実性を考慮し、その平均と分散を表すハイパーパラメータを更新するLogistic Thompson Samplingの手法を用いてもよい。この場合は、介入選択肢を選択する場合に、更新されたハイパーパラメータの表現する分布から乱択された係数と、ユーザ属性を用いたロジスティック回帰の線形予測値の最も高い選択肢を選択する。Logistic Thompson Samplingの場合は、前記のようなリグレット上界は知られていないが、経験的にリグレットが低く抑えられることが分かっている。各選択値iと属性の添字kに対してパラメータβikの分布を表すハイパーパラメータμik、Σikを記憶する。介入の選択に当たっては、上記ハイパーパラメータの表現する多次元正規分布N(μik、Σik)から乱択した係数βikを用いて、線形予測子
スコアy=Σβik×Xk…(式2)
が最大となるiを選択する。
介入設定部102で用いられるアルゴリズムは、前記したLogistic Thompson Samplingに個人レベル、選択肢レベル、さらに、個人と選択肢レベルにおけるインタラクションを考慮したランダムエフェクトを組み込んだモデルとしてもよい。各介入後にハイパーパラメータを更新する際に、各係数のパラメータが正規分布に従うと仮定し、その平均と分散をハイパーパラメータとし、Laplace近似を用いて更新を行う。各選択値iと個人識別番号j、属性の添字kに対してパラメータβijkの分布を表すハイパーパラメータμijk、Σijkを記憶する。介入の選択に当たっては、上記ハイパーパラメータの表現する多次元正規分布N(μijk、Σijk)から乱択した係数βijkを用いて、個人識別番号jに対して、線形予測子
スコアy=Σβijk×Xk…(式3)
が最大となるiを選択する。
さらに、アウトカムとして、例えば年に一度の健診、受診に対して、集団への介入とその結果を集約してバッチ処理で更新する手法を追加的に適用することも可能である。
介入設定部102は、高血圧病に介入する手法の一例として、「味噌汁を減らす」、「テーブルに醤油を置かない」、「漬物を減らす」、「果物を摂取する」、「野菜を摂取する」などの選択肢を含んでもよい。介入の種類は、数種類~数百種類又はそれ以上であってもよい。さらに、介入設定部102は、利用者に、電子メールの他、例えば「メッセージングサービス」を用いて介入情報を通知することが可能である。「メッセージングサービス」は、個人端末1において、公知のショートメッセージサービス(SMS)を拡張したもので、画像や動画などを含むマルチメディアメッセージを授受する機能をいう。さらに、アプリに実装する場合にはプッシュ通知で行ってもよい。プッシュ通知とは、利用者が個人端末やアプリを起動していない場合にもアプリに対して通知されたメッセージが当該個人端末に表示される機能である。
また、介入設定部102は、タイマ105を適用することで、介入の頻度及びタイミングを適宜乃至個別に設定することができ、また、介入結果を観察して自動的に可変する態様(例えば改善が見られるほど、スパンを長くする)としてもよい。介入タイミングとしては、例えば時刻で、又は早朝、午前、正午、午後、就寝前などが採用可能であり、頻度としては、毎食、毎日、1週間毎、2週間毎、1カ月毎、それ以上のスパンが考えられる。これらのタイミングに対して、いずれが最適であるかを、各々選択肢とし、介入設定部102が実行するアルゴリズムにより、最適化を行ってもよい。
生体情報取得部103は、生体情報測定器5などで測定された生体情報D(t)を取り込む。生体情報D(t)の取り込みは、測定値と測定日時とを含む。評価部104は、取り込んだ時系列の生体情報D(t)に基づいて生活習慣介入による改善の評価を行う。改善の評価は、例えば時系列の改善度合い及び正常値との差分に基づいて行うことができる。また、評価部104は、介入の都度、介入した項目のパラメータ及び介入結果である生体情報などに基づいて新たなパラメータを計算して、図3(B)の該当する介入の項目のパラメータを更新する。かかるパラメータ更新処理を順次経ることによって、次回の介入タイミングにおいて選択される介入の種類が最適化される。
図5は、新規登録処理の一例を示すフローチャートである。まず、新規登録の要求の有無が判断される(ステップS1)。新規登録の要求がなければ、本フローを抜ける。一方、新規登録の要求があれば、アプリケーションプログラムである制御プログラムがサーバ3に格納されているなどの態様では、サーバ3から個人端末1にダウンロードさせ(ステップS3)、次いで、制御プログラムを起動させる(ステップS5)。続いて、氏名、状態、属性情報の入力情報の受け付け画面が表示されて、当該画面への入力を通して必要な情報の受け付けが行われる(ステップS7)。入力情報は記憶部13に記憶され(ステップS9)、また必要に応じてサーバ3側に送信して記憶部32に記憶させる。
図6は、介入処理の一例を示すフローチャートである。起動時の初期化は新規登録処理に引き続いて行われ、改善対象となる生活習慣病の選択、対応する介入の内容の設定が行われる(ステップS11)。介入内容は生活習慣病の種類に応じて予め準備されていてもよい。また、状態Lの入力も、改善対象となる生活習慣病の選択の後に入力する態様としてもよい。さらに、初期化として、介入の種類に応じた一般的乃至経験的なスコアを各介入に対して初期設定する態様としてもよい。
初期化終了後に、初回乃至次回の介入タイミングに達したか否かが、タイマ105の計時処理によって判断され(ステップS13)、介入タイミングであると判断されると、介入設定部102は、前記(式1)(式3)に示すスコアyの算出処理を、仮に選択された場合を想定して、全ての介入の項目に対して実行し、算出値が最大値となったときの介入を今回の介入内容と決定する。このようにして複数の介入内容から1つの介入内容が選択されると、介入設定部102は、当該選択された介入内容を、例えば図2(A)に示すように表示部11に提示する(ステップS15)。なお、初回の介入は、予め設定され乃至一般的なものが選択されるようにしてもよく、あるいは無作為要素を含めて決定してもよい。
次いで、例えば血圧値のような生体情報の受け付けの有無が判断される(ステップS17)。生体情報の受け付けは、初期の登録乃至初期化時に取得タイミングとして指定されていることが好ましい。生体情報が入力されると、介入結果として取得された生体情報の評価処理が行われる(ステップS19)。そして、評価結果が得られて、記憶部13に更新的に記録される(ステップS21)。あるいは時系列に記録されてもよい。なお、評価結果は表示部11に表示されることが好ましい。また、このときの介入に対して、当該介入種別の現スコア及び介入結果である生体情報などに基づいて新たなスコアが計算されて、図3(B)の該当する介入種別のスコアの更新が行われる。
次いで、生活習慣介入プログラムを終了するかどうかが提案され(ステップS23)、終了する場合、例えば介入期間中の情報がサーバ3側に保管され、以後において利用可能な状態とされる。また、症状に改善が見られないか、むしろ悪化したような場合には、受診勧奨が報知されることが好ましい。一方、プログラムを継続する場合、介入設定部102によって次の介入タイミングの判断処理に移行する。なお、介入プログラムを終了するか否か判定は、所定期間内に、例えば次回介入タイミングまでに利用者からの応答がない場合には、自動延長と見なして処理することが好ましい。
また、利用者ができるだけ介入内容を守って生活習慣活動を行ってもらえるように、介入内容の伝え方について複数通りを準備する態様としてもよい。例えば音声を利用する場合、強弱の口調による伝令を別の介入の種類として別項目で準備することが考えられる。
各介入後の評価項目を、健康行動または生体情報の入力値だけでなく、より長期の効果を想定した、疾患の発症を目的としてもよい。以下に、この場合も含めた、各値の算出手法の概要について説明する。
<1>・状態Sは疾患の有無を表すD、生活習慣を表すL、個人の属性を表すXの組(D,L,X)で表現される。
・D:高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、がん等の疾患を表す。
・状態L={Li}はlifestyleで、例えば、L1:「醤油をかける」、L2:「果物を食べる」、L3:「大豆製品を食べる」
・属性情報X={Xi}:年齢、性別、体格指標(bodymass index, BMI)等の個人の属性を表す。
<2>・介入I={Ii}:intervention for lifestyle changeで、例えば、I0:「何もしない」、I1:「生活習慣への改善の指導をする」、I2:「代替的な手法を提案する(醤油を使う人に対しては別の味付けの手法を提示するなど)」、I3:「改善の選択肢を提示して選んでもらう」が採用可能。
<3>・reward function:g(D,L,X,I)=―P(D(t+1)|S(t))
ここで、報酬関数として各利用者の測定された生体情報を総合し、循環器疾患のリスクスコアを評価し、その符号を反転させたものを介入の選択に用いる。介入により報酬が最大化される選択肢、すなわち疾患のリスクが最小になる介入選択肢が効率的に選ばれる。
・P(D(t+1) |S(t)) は次のように定義される。もし D(t)=1なら値1とし、さもなければ、h(S(t))とする。ただし、h(S(t))は回帰式。
h(S(t))は、上記の疾患のリスクスコアであり、これを報酬関数に反映する。D(t)=1は疾患の発症であり、例えば脳卒中を実際に発症した場合に対応しており、この場合は本システムの対象から外れ、医療機関での治療となる。
<4>・遷移の可能性:PT(L(t+1) |S(t),I(t))
・factorization assumption:PT(L(t+1) |S(t),I(t))
=P(L(t+1) |L(t),X(t))×f(X(t),I(t))×α0
遷移の可能性とは遷移の確率のことであり、ある生活習慣と属性S(t)を持つ対象者に対して介入I(t)で介入した場合に、新しい生活習慣L(t+1)に遷移する確率を表現した確率分布関数をいい、これをPTで表現している。この部分は本システムの有効性をシミュレーションで確認する場合に必要な数式となる。
factorization assumptionは、上記の遷移確率が分解される仮定のことで、遷移確率は自然な生活習慣の変化を表現する確率であるP(L(t+1)|L(t), X(t))と、属性情報X(t)を持つ人に対して介入I(t)で介入した場合の効果の係数であるf(X(t),I(t))の積とで表現される。また、α0は確率の規格化定数である。
・P(L(t+1) |L(t),X(t)):回帰式又は機械学習による。
・f(X(t),I(t))∈[0.5,2.0]
上式において、介入に対する反応性係数は0.5から2.0の値を取り得るという意味である。
ここに、反応性係数は、上記の遷移確率のシミュレーションの必要な介入選択肢に対して、ある属性情報X(t)の反応のしやすさをいう。
<5>・target function:survival function R(T)=E[ΠT t=1(1―D(t))]を最大化する。
target functionは、全体の目的関数で、これを最大化することを目的とする。数式は、疾患に罹患せずにt=1期からt=T期までを過ごす確率を表しており、疾患に罹患しないこと、すなわち予防の成功を目的としている。
以上説明したように、本発明に係る生活習慣介入システムは、生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入内容をパラメータと対応して記憶する記憶部と、経時方向において、全ての介入に対して、対応するパラメータを利用してアリゴリズム(機械学習と確率モデル)に基づく計算を実行し、算出されたスコアに対応して介入の内容を選択し、次の介入として設定する介入設定手段と、介入内容の設定の都度、設定された介入内容を利用者に報知する報知部と、報知された介入の結果としての前記利用者の行動記録および生体情報を前記利用者への報知後に受け付ける生体情報取得手段と、前記行動記録および体情報の取得毎に、取得した前記行動記録および生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入内容に対応するパラメータを更新する評価手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る生活習慣介入方法は、生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入内容をパラメータと対応して記憶する記憶部を備え、介入設定手段が、経時方向において、全ての介入に対して、対応するパラメータを利用してアリゴリズム(機械学習と確率モデル)に基づく計算を実行し、算出されたスコアに対応して介入の内容を選択し、次の介入として設定し、報知部を介して、設定された介入内容を利用者に報知し、生体情報取得手段が、報知された介入の結果としての前記利用者の行動記録および生体情報を前記利用者への報知後に受け付け、評価手段が、前記行動記録および生体情報の取得毎に、取得した前記行動記録および生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入内容に対応するパラメータを更新することを特徴とするものである。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、生活習慣介入システムとして機能させるためのものである。
また、本発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラム記録媒体は、コンピュータを、生活習慣介入システムとして機能させるためのプログラムを記録したものである。
これらの発明によれば、利用者に直接的かつ具体的に生活習慣としての介入の方策を選択、提示し、結果として記録された行動(例えば、食事、運動、歩数、睡眠時間、気分、自覚的ストレスなど)および生体情報との関連を評価してパラメータを更新していくため、個別化された因果効果に基づいた介入が可能となる。さらに、エビデンスに従って継続的かつ有効な介入方策設計を行うため、効率的となる。また、リアルタイムモニタリング可能な情報プラットホームでの技術とデータを利活用可能なため、従来の保健指導ガイドラインによる保健指導のスパンに比してより短期的なフィードバックによる介入手法の修正も可能となる。
また、前記記憶部は、利用者毎にそれぞれの種類の介入内容を記憶したものとすることが好ましい。これによれば、利用者の病症に合わせて的確な介入が準備でき、かつ設定可能となる。
また、前記報知部は、画像を表示する表示部とすることが好ましい。これによれば、端末に備えられた表示部をそのまま活用することが可能となる。
また、前記介入設定手段は、介入の頻度及びタイミングの少なくとも一方を設定可能とすることが好ましい。これによれば、介入の結果を観察してマニュアルで、または自動的に可変する態様(例えば改善が見られるほど、スパンを長くするなど)が可能となる。
また、本発明に係る生活習慣介入システムは、ネットワークを介して通信可能に接続されるサーバと利用者が操作する端末とを備え、前記端末は、システムの利用を受ける新規登録時に、前記サーバから制御プログラムをダウンロードされて起動するものであることが好ましい。この構成によれば、端末は、サーバから制御プログラムをダウンロードされることで生活習慣への介入処理を実行することが可能となる。
LIS 生活習慣介入システム
1 個人端末
11 表示部(報知部)
12 操作部(生体情報取得手段)
10 制御部
101 登録部
102 介入設定部(介入設定手段)
103 生体情報取得部(生体情報取得手段)
104 評価部(評価手段)
105 タイマ
2 ネットワーク
3 サーバ
32 記憶部
321 制御プログラム記憶部
5 生体情報測定器(生体情報取得部)

Claims (8)

  1. 生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入をパラメータと対応して記憶する記憶部と、
    介入タイミングの都度、全ての介入に対して、対応する前記パラメータを利用してアルゴリズムに基づく計算を実行し、算出されたスコアから好ましい1つの入を選択し、次の介入として設定する介入設定手段と、
    定された介入を利用者に報知する報知部と、
    報知された介入の結果としての前記利用者の生体情報を前記利用者への報知後に受け付ける生体情報取得手段と、
    記生体情報の取得毎に、前記設定された介入と、前記設定された介入の結果として取得した前記生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入に対応するパラメータを更新し、前記記憶部に記憶する評価手段とを備えたことを特徴とする生活習慣介入システム。
  2. 前記記憶部は、利用者毎にそれぞれの種類の介入を記憶したものである請求項1に記載の生活習慣介入システム。
  3. 前記報知部は、画像を表示する表示部である請求項1又は2に記載の生活習慣介入システム。
  4. 前記介入設定手段は、介入の頻度及びタイミングの少なくとも一方を設定可能とする請求項1~3のいずれかに記載の生活習慣介入システム。
  5. ネットワークを介して通信可能に接続されるサーバと利用者が操作する端末とを備え、
    前記端末は、前記報知部と、システムの利用を受ける新規登録時に、前記サーバから制御プログラムをダウンロードて起動する登録手段とを備える請求項1又は2に記載の生活習慣介入システム。
  6. 生活習慣病予防のための予め準備された複数種類の介入をパラメータと対応して記憶する記憶部を備え、介入設定手段が、介入タイミングの都度、全ての介入に対して、対応する前記パラメータを利用してアルゴリズムに基づく計算を実行し、算出されたスコアから好ましい1つの介入を選択し、次の介入として設定し、
    報知部、設定された介入を利用者に報知し、
    生体情報取得手段が、報知された介入の結果としての前記利用者の生体情報を前記利用者への報知後に受け付け、
    評価手段が、前記生体情報の取得毎に、前記設定された介入と、前記設定された介入の結果として取得した前記生体情報から生活習慣病の改善度合いとして、前記設定された介入に対応するパラメータを更新し、前記記憶部に記憶することを特徴とする生活習慣介入方法。
  7. コンピュータを、請求項1~4のいずれかに記載の生活習慣介入システムとして機能させるためのプログラム。
  8. コンピュータを、請求項1~4のいずれかに記載の生活習慣介入システムとして機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なプログラム記録媒体。
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