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JP7629834B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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JP7629834B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解コンデンサの製造方法に関する。
電解コンデンサを製造するとき、エージング処理を行うことにより、陽極端面への誘電体酸化皮膜(以下、単に「酸化皮膜」という)の形成と陽極に形成された酸化皮膜の製造工程で損傷した部分が修復される。これにより漏れ電流の上昇を抑えることができる。特許文献1には、エージング処理後、冷却した液体と加熱した液体の中に固体電解コンデンサを交互に浸漬する方法が記載されている。特許文献1に記載された方法により、不良品の発生率を低下させることができる。
特開平1-261812号公報
本発明者らの研究から、エージング処理だけでは、電解コンデンサの使用環境温度が急激に変化した場合、酸化皮膜に欠損が生じることにより、漏れ電流が上昇する傾向があることがわかった。また、特許文献1に記載のように、エージング処理後、冷却した液体と加熱した液体の中に固体電解コンデンサを交互に浸漬させても、電解コンデンサの使用環境温度が急激に変化した場合、漏れ電流の上昇を十分に抑制できないことがわかった。
本発明の目的は、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを製造することである。
本発明の電解コンデンサの製造方法は、酸化皮膜を有する陽極と、陰極と、前記陽極および前記陰極の間に配置されたセパレータと、少なくとも前記セパレータに保持された導電性高分子および液体とを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子が収容された外装体とを備えた電解コンデンサの製造方法であり、前記コンデンサ素子を前記外装体に収容したコンデンサ本体を、カテゴリ下限温度の環境に5分以上放置する第1工程と、カテゴリ上限温度の環境に5分以上放置する第2工程と、エージング処理する第3工程とを有し、前記第1工程と前記第2工程とを行う処理を1サイクルとしたとき、前記第3工程の前に前記処理を10サイクル以上行う。
本発明によると、エージング処理前に、コンデンサ本体をカテゴリ下限温度の環境に放置する第1工程とカテゴリ上限温度環境下に放置する第2工程とを繰り返し行う。これにより、カテゴリ下限温度の環境およびカテゴリ上限温度の環境で生じた酸化皮膜の欠損などのウィークポイント(弱体部)を露呈させる。このウィークポイントを、その後のエージング処理で、修復や強化などする。これにより、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを製造することができる。なお、カテゴリ下限温度およびカテゴリ上限温度には、通常変動し得る変動範囲(恒温槽の温度誤差、変動幅、温度分布、例えば設定値±1.6℃)が含まれる。
上記方法の各サイクルにおいて、前記第1工程と前記第2工程のどちらを先に行ってもよい。例えば、前記第1工程の後に前記第2工程を行ってもよい。この場合、カテゴリ上限温度の環境下で第2工程が行われた後、エージング処理が行われるが、エージング処理開始時に、コンデンサ本体の温度がエージング処理の設定温度に近い。そのため、速やかにエージング処理が始まる。
上記方法において、前記処理を30サイクル以下とすることが好ましい。
第1工程と第2工程を行う処理を30サイクル以下とすることにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎない。これにより電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記方法の前記第1工程において、前記コンデンサ本体をカテゴリ下限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることが好ましい。
第1工程においてコンデンサ本体をカテゴリ下限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎない。これにより電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記方法の前記第2工程において、前記コンデンサ本体をカテゴリ上限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることが好ましい。
第2工程においてコンデンサ本体をカテゴリ上限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎない。そのため、電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記方法において、前記エージング処理は、カテゴリ上限温度の環境で、前記コンデンサ本体に、定格電圧以上の電圧を印加することが好ましい。
第1工程および第2工程後に、上記のようなエージング処理を行うことにより、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを製造することができる。
使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを製造することができる。
本発明の実施形態に係る方法で作製された電解コンデンサの要部切断正面図である。 図1に示すコンデンサ素子の構成を説明するための模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る方法によって作製された電解コンデンサ1を示している。電解コンデンサ1は、図1に示すように、外装ケース2および封口体3を有する外装体4と、外装体4に収容されたコンデンサ素子5と、座板6とを備えている。
外装ケース2は、例えば、金属製のケースである。封口体3は、例えば、ゴム等の弾性部材からなる。封口体3は、外装ケース2の開口を封止している。座板6は、封口体3に対向するように配置されている。
図2に、外装体4に収容する前のコンデンサ素子5を示している。コンデンサ素子5は、図2に示すように、陽極11と、陰極12と、セパレータ13とを有する。陽極11と陰極12は、セパレータ13を介して円筒形に巻回して形成され、外周面に貼り付けられたテープ14により巻止めされている。
陽極11および陰極12にはそれぞれ図示しないリードタブが接続されている。陽極11は、リードタブを介して、リード端子21に接続されている。陰極12は、リードタブを介して、リード端子22に接続されている。リード端子21およびリード端子22は、それぞれ、図1に示すように、封口体3に形成された孔31及び孔32を通って外部に引き出されている。
陽極11は(図2参照)、表面に、誘電体である酸化皮膜が形成された弁作用金属である。弁作用金属として、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブおよびチタンから構成される群より選択される少なくとも1つが挙げられる。酸化皮膜は、例えば、弁作用金属の箔の表面をエッチング処理により粗面化した後、化成酸化処理を施すことによって形成される。
陰極12は、弁作用金属を用いて形成されている。陰極12として、例えば、弁作用金属箔の表面をエッチング処理により粗面化した箔、または、粗面化後に化成処理を施した箔が使用される。陰極12として、エッチング処理を施さないプレーン箔を使用してもよい。さらに、前記粗面化箔もしくはプレーン箔の表面に、チタン、ニッケル、チタン炭化物、ニッケル炭化物、チタン窒化物、ニッケル窒化物、チタン炭窒化物およびニッケル炭窒化物からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属薄膜が形成されたコーティング箔を使用してもよい。また、粗面化箔もしくはプレーン箔の表面にカーボン薄膜が形成されたコーティング箔を使用してもよい。
セパレータ13の材質は特に限定されない。セパレータ13として、例えば、セルロース繊維を主体とするものを使用してもよく、化学繊維が混紗された混合繊維を使用してもよい。化学繊維として、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の合成繊維が挙げられる。
セパレータ13には、本発明の「液体」として溶媒または電解液と導電性高分子が保持されている。電解液は、特に限定されない。電解液は、例えば、低粘性溶媒および難揮発性溶媒を含んでいてもよく、低粘性溶媒および難揮発性溶媒の一方を含んでいてもよい。低粘性溶媒として、例えば、ラクトンを含む溶媒、具体的には、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。難揮発性溶媒として、例えば、エチレングリコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、スルホラン、およびこれらの誘導体が挙げられる。電解液は、例えば、無機酸、カルボン酸、ヒドロキシ酸および、これらのアンモニウム塩、アミン塩、アミジン塩を含んでいてもよく、ニトロ化合物などの添加剤を含んでいてもよい。電解液として、例えば、沸点が180℃以上、比抵抗が1kΩ・cm以上である電解液を使用してもよい。また、溶質を溶解しない溶媒だけを使用してもよい。
導電性高分子は、陽極11の酸化皮膜の表面、陰極12の表面およびセパレータ13を構成する繊維表面に形成されている。導電性高分子は、特に限定されない。導電性高分子には、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンまたはそれらの誘導体が用いられ、一般的には、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が用いられる。ドーパントには、p-トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(PSS)などが一般的に用いられる。また、導電性高分子の形成方法は、特に限定されない。導電性高分子の形成方法には、例えば、ドーパントを含む導電性高分子を溶媒に分散させた液にコンデンサ素子を浸漬後乾燥して形成する方法、ドーパントを含む可溶性導電性高分子を溶媒に溶解させた液にコンデンサ素子を浸漬後乾燥して形成する方法、モノマーとドーパントと酸化剤またはモノマーと酸化作用を持つドーパントによる化学重合にてコンデンサ素子に形成する方法、モノマーとドーパントによる電解重合にてコンデンサ素子に形成する方法などが一般的に用いられる。
次に、電解コンデンサ1の製造方法を説明する。
所定の幅に切断された陽極11および陰極12(図2参照)に、それぞれ、外部引き出し電極用のリード端子(リードタブの端子)21、22を接続する。リード端子21が接続された陽極11およびリード端子22が接続された陰極12を、セパレータ13を介して巻回することにより、コンデンサ素子5を作製する。陽極11は、酸化皮膜が形成された弁作用金属である。
次に、コンデンサ素子5の切り口やコンデンサ素子5の作製時に欠損した酸化皮膜を修復するため、コンデンサ素子5を化成処理する。化成処理は、化成液中でコンデンサ素子5に電圧を印加することによって行われる。化成液として、例えば、カルボン酸基を有する有機酸またはその塩類(溶質)を有機溶媒または無機溶媒に溶解した化成液、リン酸等の無機酸またはその塩類(溶質)を有機溶媒または無機溶媒に溶解した化成液を使用してもよい。カルボン酸基を有する有機酸またはその塩類(溶質)を有機溶媒または無機溶媒に溶解した化成液として、例えば、アジピン酸を含む水溶液、アジピン酸塩を含む水溶液が挙げられる。アジピン酸塩を含む水溶液として、例えば、アジピン酸アンモニウムを主体とした溶質を含む水溶液が挙げられる。
化成処理は、たとえば、カルボン酸基を有する有機酸またはその塩類(溶質)を有機溶媒または無機溶媒に溶解した化成液を用いて第1化成処理を行った後、熱処理し、その後、リン酸等の無機酸またはその塩類(溶質)を有機溶媒または無機溶媒に溶解した化成液を用いて第2化成処理を行うものでもよい。前記第1化成処理、熱処理、前記第2化成処理および熱処理という1つのサイクルを繰り返し行ってもよい。化成処理は、前記第1化成処理と熱処理を繰り返し行うものでもよく、前記第2化成処理と熱処理を繰り返し行うものでもよい。第1化成処理および/または第2化成処理と熱処理とを繰り返し行うことにより、強靭な酸化皮膜が形成される。ここでの熱処理は、一般的に、100℃~300℃の温度で行い、熱処理時間を数十分程度とする。なお、化成処理は、上記熱処理を行わず、第1化成処理だけ行うものでもよく、第2化成処理だけ行うものでもよい。
続いて、導電性高分子をセパレータに保持させるため、化成処理を行ったコンデンサ素子5を、導電性高分子を含む液に浸した後、乾燥させる(第1工程)。導電性高分子を含む液として、例えば、PEDOT/PSSを含む分散液を使用してもよい。PEDOT/PSSとは、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)から成る複合物である。コンデンサ素子5を、PEDOT/PSSを含む分散液に少なくとも1回浸漬させた後、乾燥させる。これにより溶媒が除去され、導電性高分子(PEDOT/PSS)がセパレータに保持される。上記では、コンデンサ素子5を分散液に浸漬させる場合について例示したが、コンデンサ素子5に分散液を含浸させてもよい。分散液への浸漬後または分散液の含浸後、コンデンサ素子5を乾燥させてもよい。乾燥は、常温下での乾燥、真空化または減圧下での乾燥、あるいは、多段乾燥機を利用した乾燥でもよい。コンデンサ素子5の乾燥は、例えば、160℃以上の高温で行ってもよい。
導電性高分子をセパレータに保持させた後、コンデンサ素子5に電解液を含浸させる。
その後、コンデンサ素子5に封口体3を取り付け、コンデンサ素子5を外装ケース2に収容し、外装ケース2の開口部を封口体3により封止した後、外装ケース2の開口部をカーリングして、コンデンサ本体10を作製する。
その後、得られたコンデンサ本体10を、カテゴリ下限温度の環境に15分以上放置する第1工程と、得られたコンデンサ本体10をカテゴリ上限温度の環境に15分以上放置する第2工程とを行う。第1工程と第2工程とを行う処理を1サイクルとしたとき、この処理を10サイクル以上行う。
ここで、「電解コンデンサのカテゴリ下限温度」とは、電解コンデンサを連続的に使用できる最低周囲温度である。カテゴリ下限温度より低い温度環境で電解コンデンサを使用した場合、電解コンデンサの特性が劣化する可能性がある。「電解コンデンサのカテゴリ上限温度」とは、電解コンデンサを連続的に使用できる最高周囲温度である。カテゴリ上限温度より高い温度環境で電解コンデンサを使用した場合、電解コンデンサの特性が劣化する可能性がある。カテゴリ下限温度とカテゴリ上限温度は、電解コンデンサの設計上、電解コンデンサを連続的に使用できる周囲温度範囲(カテゴリ温度範囲)の下限温度と上限温度である。カテゴリ温度範囲は、例えば、電解コンデンサを構成する電解液、導電性高分子(ドーパント、添加剤などを含む)、電極、セパレータ、およびこれらの組合せを基に決定される。カテゴリ温度範囲は、例えば、日本産業規格(JIS)に則って決定される。「定格電圧」とは、カテゴリ下限温度とカテゴリ上限温度との間のどの温度でも、電解コンデンサに連続して印加することができる最高電圧のことである。定格電圧は、例えば、陽極箔、電解液の耐電圧、コンデンサを構成するその他の材料の特性などによって決定され、最終的には信頼性を含む製品特性を確認して決定される。例えば、日本産業規格(JIS)に則った定格電圧でコンデンサが設計される。
上記第1工程で、コンデンサ本体10をカテゴリ下限温度の環境に放置する時間は、5分以上であれば特に限定されない。放置時間を10分以上としてもよく、15分以上としてもよい。放置時間の上限も限定されない。放置時間を、例えば、60分以下としてもよい。放置時間を長くしすぎないことにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎないため、電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記第2工程で、コンデンサ本体10をカテゴリ上限温度の環境に放置する時間は、5分以上であれば特に限定されない。放置時間を10分以上としてもよく、15分以上としてもよい。放置時間の上限も限定されない。放置時間を、例えば、60分以下としてもよい。放置時間を長くしすぎないことにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎないため、電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記第1工程と上記第2工程とを行う処理を1サイクルとしたとき、この処理を10サイクル以上行えば、サイクル数は特に限定されない。15サイクル以上でもよく、20サイクル以上でもよい。サイクル数の上限も限定されない。サイクル数を、例えば、30サイクル以下としてもよい。サイクル数を多くしすぎないことにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎないため、電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記第1工程と上記第2工程とを行う処理(1サイクル)は、第1工程を先に行ってもよく、第2工程を先に行ってもよい。第1工程を先に行う場合、全てのサイクルで第1工程を先に行う。第2工程を先に行う場合、全てのサイクルで第2工程を先に行う。これにより、第1工程と第2工程とが交互に行われる。
第1工程におけるコンデンサ本体10の放置時間と第2工程におけるコンデンサ本体10の放置時間は、同じでもよく、異なってもよい。第1工程におけるコンデンサ本体10の放置時間は、全てのサイクルで同じでもよく、少なくとも1のサイクルで異なってもよい。第2工程におけるコンデンサ本体10の放置時間は、全てのサイクルで同じでもよく、少なくとも1のサイクルで異なってもよい。
上述した第1工程と第2工程とを行う処理(1サイクル)を10サイクル以上行った後、コンデンサ本体10をエージング処理する(第3工程)。ここでのエージング処理とは、当業者に一般的なエージング処理であり、具体的には、コンデンサ素子5(図1参照)が外装体4に収容された状態で、カテゴリ上限温度の環境で、コンデンサ本体10に、定格電圧またはそれ以上の電圧を印加することである。印加時間は、特に限定されない。印加時間を、例えば、20分以上としてもよく、30分以上としてもよい。印加時間の上限も限定されない。印加時間を、例えば、120分以下としてもよい。印加時間を長くしすぎないことにより、電解コンデンサの製造時間が長くなりすぎないため、電解コンデンサの生産性を向上させることができる。
上記により、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを作製することができる。
本実施形態の電解コンデンサの製造方法によると、エージング処理前に、コンデンサ本体10をカテゴリ下限温度の環境に放置する第1工程と、コンデンサ本体10をカテゴリ上限温度の環境に放置する第2工程とを、交互に繰り返し行う。これにより、エージング処理前に、コンデンサ本体10のウィークポイント(弱体部)を露呈させることができる。ここでのウィークポイントとは、急激な温度差によって生じた欠陥(酸化皮膜の欠損など)、カテゴリ下限温度の環境で生じた欠陥(酸化皮膜の欠損など)、カテゴリ上限温度の環境で生じた欠陥等である。ウィークポイントを露呈させた状態でエージング処理を行うことにより、ウィークポイントが修復されるとともに、酸化皮膜が強化される。
上記方法によって作製された電解コンデンサは、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサであることがわかった。また、使用環境温度の変化が小さくても、漏れ電流の上昇を抑制できることがわかった。さらに、使用環境温度がカテゴリ温度範囲内であれば、カテゴリ下限温度の環境で使用しても、カテゴリ上限温度の環境で使用しても、漏れ電流の上昇を抑制できることがわかった。
なお、エージング処理後に温度サイクルを行った場合、エージング処理後にウィークポイントを露呈し、そのウィークポイントが露呈したまま製品となるため、上記効果が得られない。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本明細書の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
[従来例]
(コンデンサの作製)
所定の幅に切断された陽極箔および陰極箔に外部引き出し電極用のリード端子を接続した。陽極箔は、アルミニウム箔の表面に誘電体である酸化皮膜が形成された弁作用金属からなる。酸化皮膜は、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施すことよって粗面化した後、化成酸化処理を施すことによって形成されたものである。陰極箔は、表面にエッチング処理を施されたアルミニウム箔である。陽極箔および陰極箔をセルロース繊維のセパレータを介して巻回することにより、コンデンサ素子を作製した。
陽極箔の切り口の酸化皮膜や外部引き出し電極取り付け時に欠損した酸化皮膜を修復するため、化成処理を行った。本実験では、以下の方法により化成処理を行った。
化成液として、アジピン酸アンモニウムを主体とした溶質を水溶媒に溶解させ、アジピン酸アンモニウム濃度を0.1wt%~2wt%に調整したものを準備した。この化成液にコンデンサ素子を浸した状態で、酸化皮膜の化成電圧値に近似した電圧を印加した(第一化成処理)。その後、コンデンサ素子を200℃~300℃の温度で数十分程熱処理した後、リン酸を主体とした溶質を水溶媒に溶解させ、リン酸濃度を0.1wt%~0.5wt%に調整した化成液に、コンデンサ素子を浸した状態で、酸化皮膜の化成電圧値に近似した電圧を印加した(第二化成処理)。
次に、セパレータに導電性高分子を保持させるため、化成処理後のコンデンサ素子に、導電性高分子を水に分散させた水溶液を含浸させた。ここでは、いわゆるディスパージョン法を使用した。コンデンサ素子の1/3~2/3を、80~100kPaの減圧下で、2.0wt%PEDOT/PSS分散水溶液に20分間浸漬させた後、コンデンサ素子を引き上げ、乾燥させることにより、水分を除去した。これにより、陽極11の酸化皮膜の表面、陰極12の表面およびセパレータ13を構成する繊維表面に導電性高分子を形成した。
導電性高分子が形成されたコンデンサ素子に電解液を含浸させた。ここでは、電解液として、エチレングリコール溶媒に1.0wt%のリンゴ酸を溶解したものを使用した。
得られたコンデンサ素子にブチルゴムからなる封口体を取り付け、金属ケース内に収容し、金属ケースの開口を封止した後、ケースの開口の周縁をカーリング加工しコンデンサ本体を作製した。カテゴリ上限温度(125℃)の環境で、得られたコンデンサ本体に、定格電圧(80V)×1.15[V]の電圧を1時間印加することによりエージング処理を実施した後、絶縁性樹脂からなる座板6に形成された挿通孔にリード端子を挿通し、互いに離反する方向に折り曲げて面実装型電解コンデンサを作製した。これにより、従来例の電解コンデンサを作製した。この電解コンデンサは、カテゴリ温度範囲が-55℃~+125℃、定格電圧が80V、定格静電容量が15μF、容積がφ6.3×7.7Lの電解コンデンサである。後述する比較例1、比較例2および実施例1~4の電解コンデンサも、カテゴリ温度範囲が-55℃~+125℃、定格電圧が80V、定格静電容量が15μF、容積がφ6.3×7.7Lの電解コンデンサである。
[比較例1]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を30分放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を30分放置する処理(1サイクル)を、1サイクル行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[実施例1]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置する処理(1サイクル)を、10サイクル行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[実施例2]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置する処理(1サイクル)を、18サイクル行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[実施例3]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置する処理(1サイクル)を、30サイクル行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[比較例2]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度より高い-40℃の環境にコンデンサ本体10を30分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を30分間放置する処理(1サイクル)を、18サイクル行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[実施例4]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を15分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を15分間放置する処理(1サイクル)を、18サイクルを行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
[実施例5]
カーリング加工後、エージング処理前に、カテゴリ下限温度(-55℃)の環境にコンデンサ本体10を15分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境にコンデンサ本体10を15分間放置する処理(1サイクル)を、10サイクルを行った。上記以外は、従来例と同様に電解コンデンサを作製した。
本実験では、低温環境または高温環境にコンデンサ本体10を放置した後、それとは反対の高温環境または低温環境にコンデンサ本体10を放置する処理(1サイクル)を1サイクルでも行うことを「温度サイクルを行う」と称する。従来例では、温度サイクルを行っていないが、比較例1、比較例2および実施例1~4では、カーリング加工後、エージング処理前に、温度サイクルを行った。
(評価)
カテゴリ下限温度(-55℃)の環境に電解コンデンサを30分間放置した後、カテゴリ上限温度(125℃)の環境に電解コンデンサを30分間放置することを1サイクルとし、これを500サイクル行う温度サイクル試験を実施した。
温度サイクル試験後、電解コンデンサに定格電圧を印加し、印加してから2分後の漏れ電流(LC)を測定した。また、温度サイクル試験前にも、電解コンデンサに定格電圧を印加し、印加してから2分後の漏れ電流(LC)を測定した。本実験では、温度サイクル試験前と温度サイクル試験後のいずれにおいても、20個の電解コンデンサの漏れ電流を測定し、その平均値を求めた。表1に、漏れ電流の平均値を示している。
Figure 0007629834000001
これまでの経験から、漏れ電流が6.0μA以下(=「0.005×定格静電容量×定格電圧」以下)である場合、漏れ電流が低いと判断できる。
エージング処理前に温度サイクルを行わなかった従来例では、温度サイクル試験後の漏れ電流が9.8μAと大きく、6.0μAを超えていた。
比較例1および比較例2では、エージング処理前に温度サイクルを行ったが、温度サイクル試験後の漏れ電流が6.0μAを超えていた。
一方、実施例1~5では、温度サイクル試験後の漏れ電流が6.0μA以下であった。
上記より、以下の知見が得られた。
エージング処理前に温度サイクルを行わない場合、使用環境温度が急激に変化する温度サイクル試験後の漏れ電流が大きい。
エージング処理前に温度サイクルを行っても、サイクル数が少ない場合(比較例1参照)、温度サイクル試験後の漏れ電流が大きい。また、エージング処理前に温度サイクルを行っても、カテゴリ下限温度およびカテゴリ上限温度で温度サイクルを行っていない場合(比較例2参照)、温度サイクル試験後の漏れ電流が大きい。
エージング処理前に温度サイクルを行う場合、カテゴリ下限温度およびカテゴリ上限温度のそれぞれでコンデンサ本体を15分以上放置するとともに、これを10サイクル以上行うことにより、温度サイクル試験後の漏れ電流の上昇を抑制できることがわかった。
以上、本発明の実施形態について実施例に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施例1~5では、エージング処理前に、コンデンサ本体をカテゴリ下限温度の環境に放置した後、カテゴリ上限温度の環境に放置する処理(1サイクル)を複数サイクル行っている。しかし、エージング処理前に、コンデンサ本体をカテゴリ上限温度の環境に放置した後、カテゴリ下限温度の環境に放置する処理(1サイクル)を複数サイクル行ってもよい。これによっても、エージング処理前にウィークポイントを露呈させることができるため、その後のエージング処理でウィークポイントを修復したり、酸化皮膜を強化したりすることができる。これにより、使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる電解コンデンサを製造することができる。
また、上記実験では、カテゴリ温度範囲が-55℃~+125℃、定格電圧が80V、定格静電容量が15μF、容積がφ6.3×7.7Lである電解コンデンサを作製した。しかし、本発明の電解コンデンサのカテゴリ温度範囲、定格電圧、定格静電容量および容積は上記に限られない。
本発明の電解コンデンサの陽極、陰極、セパレータ、導電性高分子および電解液などは、実験で使用した陽極、陰極、セパレータ、導電性高分子および電解液などに限られず、変更可能である。例えば、電解液を溶媒のみ(溶質を溶解しない)の液体とした固体電解コンデンサとしても、本実施例と同様に使用環境温度が急激に変化しても、漏れ電流の上昇を抑制できる固体電解コンデンサを製造することができた。
1 電解コンデンサ
2 外装ケース
3 封口体
4 外装体
5 コンデンサ素子
6 座板
10 コンデンサ本体
11 陽極
12 陰極
13 セパレータ
21、22 リード端子

Claims (6)

  1. 酸化皮膜を有する陽極と、陰極と、前記陽極および前記陰極の間に配置されたセパレータと、少なくとも前記セパレータに保持された導電性高分子および液体とを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子が収容された外装体とを備えた電解コンデンサの製造方法であり、
    前記コンデンサ素子を前記外装体に収容したコンデンサ本体を、
    カテゴリ下限温度の環境に5分以上放置する第1工程と、
    カテゴリ上限温度の環境に5分以上放置する第2工程と、
    エージング処理する第3工程と
    を有し、
    前記第1工程と前記第2工程とを行う処理を1サイクルとしたとき、前記第3工程の前に前記処理を10サイクル以上行うことを特徴する電解コンデンサの製造方法。
  2. 各サイクルにおいて、前記第1工程の後に前記第2工程を行うことを特徴する請求項1に記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記処理を30サイクル以下とすることを特徴する請求項1または2に記載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記コンデンサ本体をカテゴリ下限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることを特徴する請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記第2工程において、前記コンデンサ本体をカテゴリ上限温度の環境に放置する時間を60分以下とすることを特徴する請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記エージング処理は、カテゴリ上限温度の環境で、前記コンデンサ本体に、定格電圧以上の電圧を印加することである請求項1~5のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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