JP7630132B2 - 巨核球前駆細胞および巨核球細胞の製造方法並びに得られた巨核球前駆細胞および巨核球細胞 - Google Patents
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Description
また、献血の提供者が細菌等の感染症に罹患している場合、血液が細菌汚染されている可能性があるため、細菌汚染された血小板製剤の投与による感染症のリスクがある。このため、in vitroで血小板を製造する方法が開発されている(非特許文献1)。
(1)E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を含む、巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
(2)前記E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方をゲノム上に有する、上記(1)に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
(3)単核である、上記(1)または(2)に記載の巨核球前駆細胞。
(4)上記(1)に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞であって、株化された巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
(5)上記(3)に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞であって、株化された巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
(6)上記(4)に記載の巨核球前駆細胞若しくは巨核球細胞または上記(5)に記載の巨核球前駆細胞若しくは巨核球細胞の凍結物。
(7)巨核球前駆細胞または巨核球細胞の製造方法であって、
巨核球系列の細胞(例えば、造血幹細胞、造血前駆細胞またはCD34陽性細胞)にE6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を発現させることと、
得られた細胞をトロンボポイエチン(TPO)の存在下で培養することと
を含む、方法。
(7A)巨核球前駆細胞または巨核球細胞の製造方法であって、E6遺伝子および/またはE7遺伝子を有する巨核球系列の細胞(例えば、造血幹細胞、造血前駆細胞またはCD34陽性細胞)を巨核球分化に適した培養条件下で培養することを含む、方法。
(8)培養が、TPO、幹細胞因子(SCF)およびfms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)存在下で行われる、上記(7)または(7A)に記載の方法。
(9)血小板製剤の製造方法であって、
巨核球系列の細胞(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)にE6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を発現させることと、
得られた細胞をトロンボポイエチン(TPO)の存在下で培養して巨核球細胞を得て、巨核球細胞の培養物から血小板を回収することと、
を含む、方法。
(9A)血小板製剤の製造方法であって、E6遺伝子および/またはE7遺伝子を有する巨核球細胞の培養物を用意することと、当該培養物から血小板を回収することとを含む、
方法。
(10)巨核球細胞が、E6遺伝子およびE7遺伝子の遺伝子発現が抑制された細胞である、上記(9)または(9A)に記載の方法。
本発明では、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6タンパク質をコードする遺伝子(E6遺伝子ともいう)およびE7タンパク質をコードする遺伝子(E7遺伝子ともいう)からなる群から選択される少なくとも1つを有する、細胞(例えば、巨核球系列の細胞、例えば、巨核球前駆細胞および巨核球細胞)が提供される。
E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を含む、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物;および
E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方をゲノム上に有する、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物が提供される。凍結物において、巨核球前駆細胞または巨核球細胞は単核であってもよい。単核の巨核球前駆細胞若しくは単核の巨核球細胞またはこれを含む組成物(例えば、凍結状態の組成物または凍結物)は、例えば、ワーキングセルバンクを調製することに用いることができ、すなわち、ワーキングセルバンクを調製するためのマスターセルバンクとして用いることができる。従って、本発明のある態様では、E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を含む、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物;および
E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方をゲノム上に有する、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物
のマスターセルバンクとしての使用が提供される。また、本発明のある態様では、E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を含む、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物;および
E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方をゲノム上に有する、巨核球前駆細胞または巨核球細胞の凍結物
からなる群から選択される凍結物または当該凍結物を含む、血小板を製造することに用いるためのマスターセルバンクまたはワーキングセルバンクが提供される。
本発明の巨核球前駆細胞株の製造方法においては、ヒトパピローマウィルス(HPV)のE6遺伝子および/またはE7遺伝子を含む核酸(例えば、DNAまたはmRNA)を細胞(例えば、造血幹細胞から巨核球前駆細胞までのいずれかの分化段階にある細胞(例えば、造血幹細胞および造血前駆細胞)に導入することができる。従って、本発明によれば、造血幹細胞から巨核球前駆細胞までのいずれかの分化段階にある細胞(例えば、造血幹細胞および造血前駆細胞)であって、ヒトパピローマウィルス(HPV)のE6遺伝子および/またはE7遺伝子を含む核酸(例えば、DNAまたはmRNA)を含む、細胞が提供され得る。本発明のある態様では、造血幹細胞は、CD34陽性の造血幹細胞であり得る。
細胞にE6遺伝子および/またはE7遺伝子を含むDNAを導入する場合には、DNAは、発現調節配列(プロモーター)に作動可能に連結させたE6遺伝子および/またはE7遺伝子を含み得る。
本発明のある態様では、誘導性プロモーターに作動可能に連結したヒトパピローマウィルス(HPV)のE6遺伝子および/またはE7遺伝子を含む遺伝子発現ベクターを、細胞に導入する。誘導性プロモーターを作動させる外的刺激は、任意のタイミングで(例えば、ベクター導入前、導入中、または導入後若しくは導入直後に)、細胞に対して加えることができる。ある態様では、誘導性プロモーターを作動させる外的刺激は、ベクター導入前には添加されない。ある態様では、誘導性プロモーターを作動させる外的刺激は、ベクター導入後の一定期間は細胞に対して添加されるが、その後除去されてもよい。除去は、所望の細胞(例えば、巨核球前駆細胞または巨核球細胞)が生じる前または後で行うことができる。
後述の実施例において示す通り、E6遺伝子および/またはE7遺伝子の発現は、樹立した巨核球前駆細胞株の取得量の増加において重要である。一方、巨核球細胞の分化・成熟過程においては、巨核球前駆細胞から徐々に細胞分裂能が低下していることから、前述の方法にて製造されたヒト巨核球前駆細胞株を、誘導性プロモーターを作動させる外部刺激(例えば、DOX)の非存在下にて培養してもよい。
ヒト骨髄由来造血幹細胞(CD34陽性細胞)は、Lonza社より購入した。
巨核球前駆細胞株樹立の工程において、ヒトパピローマウィルス-E6/E7(HPV-E6/E7)遺伝子及びテトラサイクリントランスアクチベーター(rtTA)をコードする遺伝子を導入するために、CSIV-TRE-RfA-UbC-KTレンチウイルスベクターを用いた。また、これらレンチウイルスベクターを用いたレンチウイルスの調製は、標準的な手技手法を採用して行った。
造血幹細胞は、TPO存在下でCD41陽性細胞(巨核球前駆細胞)を経由してCD41陽性かつCD42b陽性細胞(巨核球細胞)へと分化する。本実施例では、造血幹細胞から巨核球細胞への誘導を試みた。
モノクローナル抗体を用いて、氷上で細胞を30分間、染色した。細胞数は、100 μlの染色液に1×106以下とした。染色後、抗体を含まない染色液で2回洗浄後、FACS analyzer (BD)を用いて、測定した。ヒト抗原に対する抗体は、フルオレッセン イソチオシアネイト(fluorescein isothiocyanate ; FITC)、Alexa Fluor 488 (Alexa488) または アロフィコシアニン(APC)で標識した。CD34、CD36、CD41、CD42bは、FITCで標識し、CD11bは、Alexa488で標識した。アイソタイプ・コントロールとして、CD33、CD45、c-KITは、APCで標識した。これらの標識抗体は、BD Biosciencesから購入した。細胞生存率は、ヨウ化プロピジウム(Propidium Iodide;PI)染色により測定した。PI陽性細胞は、死細胞として除外し、PI陰性細胞について、CellQuest分析ソフトウェアを用いて解析した。
図3のパネルAに示すように、E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかの単独発現においても、遺伝子導入から3週間後には、CD41陽性かつCD42b陽性細胞を確認できた。図3のパネルBに示すように、CD41とCD42b陽性細胞が最もピークである時期は、遺伝子導入後4週間後(DOX除去2週間後)であった。
これらのことからE6とE7の同時発現はアポトーシスを抑制することで細胞の増幅が他の群と比較して効率がよいことが示唆された。
E6およびE7を発現したCD41陽性CD42b陽性の巨核球前駆細胞について継代培養を行い、継代培養を1ヶ月以上行うことにより、不死化したCD41陽性CD42b陽性の巨核球前駆細胞を得た。不死化した巨核球前駆細胞(5×106細胞)を20日間培養し、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、フィブロネクチン塗布した培養皿に移し3日間培養後、CD41抗体で染色して顕微鏡下に測定した。
配列番号1:HPV 16型のE6タンパク質のアミノ酸配列の一例
MFQDTEEKPRTLHDLCQALETTIHNIELQCVECKKPLQRSEVYDFAFADLTVVYREGNPFGICKLCLRFLSKISEYRHYNYSVYGNTLEQTVKKPLNEILIRCIICQRPLCPQEKKRHVDLNKRFHNISGRWAGRCAACWRSRRRETAL
配列番号2:HPV 16型のE7タンパク質のアミノ酸配列の一例
MRGHKPTLKEYVLDLYPEPTDLYCYEQLSDSSDEDEGLDRPDGQAQPATADYYIVTCCHTCNTTVRLCVNSTASDLRTIQQLLMGTVNIVCPTCAQQ
配列番号3:HPV 16型のE7タンパク質とE6タンパク質の融合タンパク質のアミノ酸配列の一例
MHGDTPTLHEYMLDLQPETTDLYCYEQLNDSSEEEDEIDGPAGQAEPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPICSQKPGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPLINMHQKRTAMFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRDGNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLCPEEKQRHLDKKQRFHNIRGRWTGRCMSCCRSSRTRRETQL
配列番号4:2Aペプチドのアミノ酸配列の一例
ATNFSLLKQAGDVEENPGP
Claims (10)
- E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方を発現する、巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
- 前記E6遺伝子およびE7遺伝子のいずれかまたは両方をゲノム上に有する、請求項1に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
- 単核である、請求項1または2に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
- 請求項1に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞であって、株化された巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
- 請求項3に記載の巨核球前駆細胞または巨核球細胞であって、株化された巨核球前駆細胞または巨核球細胞。
- 請求項4に記載の巨核球前駆細胞若しくは巨核球細胞または請求項5に記載の巨核球前駆細胞若しくは巨核球細胞の凍結物。
- 巨核球前駆細胞または巨核球細胞の製造方法であって、E6遺伝子および/またはE7遺伝子を発現する巨核球系列の細胞から巨核球前駆細胞を得ることを含む、方法。
- 培養が、トロンボポイエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)およびfms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)存在下で行われる、請求項7に記載の方法。
- 血小板製剤の製造方法であって、E6遺伝子および/またはE7遺伝子を発現する巨核球系列の細胞から巨核球前駆細胞を得ることと、得られた巨核球前駆細胞を巨核球細胞への分化に適した条件下で培養して血小板を含む成熟巨核球細胞の培養物を得ることと、当該培養物から血小板を回収することとを含む、方法。
- 成熟巨核球細胞が、E6遺伝子およびE7遺伝子の遺伝子発現が抑制された細胞である、請求項9に記載の方法。
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