JP7631265B2 - 皮膚指標推定方法 - Google Patents
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Description
下記特許文献2には、ヒトの皮膚の角層を対象として赤外分光法によって赤外吸収スペクトルを測定し、この赤外吸収スペクトルにおける蛋白質二次構造に由来するアミドI吸収帯のピークから、αへリックスとランダムコイルの重畳したピーク及びβシートのピークを分割し、αへリックスとランダムコイルの重畳したピークの面積及びβシートのピーク面積を算出して、〔βシートのピーク面積〕/〔αへリックスとランダムコイルの重畳したピークの面積〕で定義されるピーク面積比β/αを算出し、算出された比β/αの値を指標として皮膚の角層の性状を医療行為以外の目的で評価する方法が開示されている。
下記特許文献3から5には、テープ剥離により取得された角層を対象にして得られた赤外吸収スペクトルを用いて角層の性状等を簡便かつ安定的に評価可能とする手法が開示されております。
本発明は、角層の赤外吸収スペクトル情報を用いてより高精度に角層特性又は皮膚表面特性の指標値を推定可能な技術を提供する。
また、一以上のプロセッサ及びメモリを少なくとも備える皮膚指標推定装置であって上述の皮膚指標推定方法を実行可能な皮膚指標推定装置なども提供され得る。
図1は、本方法を実行可能な情報処理装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
情報処理装置10は、いわゆるコンピュータであり、CPU11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。情報処理装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)であってもよいし、携帯型のPC、スマートフォン、タブレット等のような携帯端末であってもよいし、専用コンピュータであってもよい。
入出力I/F13は、表示装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。表示装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。表示装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、通信網を介した他のコンピュータとの通信や、プリンタ等の他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。
このように情報処理装置10は、当該推定モデルを利用可能な装置であって本方法を実行可能な皮膚指標推定装置と表記可能である。なお、推定モデルの詳細については後述する。
図2は、本実施形態に係る皮膚指標推定方法(本方法)のフローチャートである。
本方法は、図2に示されるように、被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を取得する取得工程(S11)と、上述の推定モデルに、取得工程(S11)で取得された赤外吸収スペクトル情報を入力する(S12)ことにより、被評価者の目的指標値を推定する推定工程(S13)とを少なくとも含む。図2の例において、本方法は、推定工程(S13)で取得された被評価者の目的指標値を出力する工程(S14)を更に含んでいる。
本方法は、図1に例示されるような情報処理装置10(CPU11)により実行される。以降、本方法の各工程についてその実行主体をCPU11としてそれぞれ詳述する。
「強度値」とは、赤外吸収スペクトルにおける各波数の強度を示す値であり、例えば、吸光度、透過率若しくは反射率である。
取得工程(S11)で取得される赤外吸収スペクトル情報は、図3に例示されるような赤外吸収スペクトルの所定の波数領域の強度値群の中から抽出された複数の強度値を含む。
赤外吸収スペクトルの「所定の波数領域」は、予め決められた波数領域であって、赤外分光測定を行う装置の仕様に応じた測定限界となる波数範囲であってもよいし、そのような測定限界の波数範囲の中の一以上の部分的な波数領域であってもよい。例えば、図3の例に示されるように、所定の波数領域は、測定限界となる600cm-1以上4000cm-1以下の波数範囲とされてもよい。
ここでの「非ピーク領域」とは、図3に示すような赤外吸収スペクトルのグラフにおいてピークではない波数領域を示し、具体的には、所定の波数分解能(例えば0.5cm-1)の赤外吸収スペクトルにおいてピーク領域を除いた波数領域を意味する。「ピーク領域」とは、当該赤外吸収スペクトルにおいて凸状を示す波数領域であって、例えば、その波数領域内のピーク強度を示す波数を中心にして所定の波数範囲(例えば100cm-1)、或いは当該ピーク強度を示す波数を中心にしてそのピーク強度の8割から5割程度の強度を示す波数までの波数範囲を意味する。
図3の例では、第一波数領域の非ピーク領域には、700から800cm-1付近、1000から1100cm-1付近、1400cm-1付近の波数範囲等が該当し、第二波数領域の非ピーク領域には、3000から3100cm-1付近、3400から3700cm-1付近の波数領域等が該当する。
本発明者らにより、このように当該赤外吸収スペクトル情報としてピーク強度値だけではなく非ピーク領域の複数の強度値を用いることで推定モデルの推定精度を高くすることが見出されている。
このように赤外吸収スペクトルのピーク強度値か否かに関わらず抽出された複数の強度値を用いることで推定モデルの推定精度を高くすることができることは実施例で後述するとおり実証されている。
また、上述の特許文献3から5の開示手法を用いて当該赤外吸収スペクトル情報が取得されてもよい。具体的には、粘着テープT1で皮膚表面から角層を採取し、採取された角層をその粘着テープT1からシリコーン粘着層を有するテープT2に転写して、そのテープT2の粘着面をATR-IR測定して得られる赤外吸収スペクトルAとシリコーン粘着層を有する未使用のテープT3の粘着面をATR-IR測定して得られる赤外吸収スペクトルBとの差スペクトルを求めて、その差スペクトルから当該赤外吸収スペクトル情報を抽出する手法が行われてもよい。この手法において当該差スペクトルは、シリコーン粘着層に由来する主要な吸収帯である1260cm-1付近の吸収帯若しくは1000~1100cm-1付近の吸収帯又はそれら両方に由来するピーク強度が一致するように、赤外吸収スペクトルA又は赤外吸収スペクトルBを定数倍してから差し引いて得られる。なお、実施例の項においてこの手法は開示手法と表記される。
各データセットは、サンプル提供者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報とそのサンプル提供者に関する既知の目的指標値との組合せデータである。
赤外吸収スペクトル情報は、推定モデルの入力となる説明変数の値として用いられる。赤外吸収スペクトル情報については工程(S11)に関して述べたとおりである。但し、推定モデルの構築に用いられる赤外吸収スペクトル情報は、サンプル提供者の角層に関して得られたものとなる。但し、サンプル提供者の中に当該被評価者が含まれていてもよい。
皮膚表面特性に関する指標値は、皮膚表面形状を再現したレプリカ又は皮膚表面の測定により得られる指標値であり、皮膚表面の形態を示す指標値を含む。皮膚表面の形態を示す指標値としては、例えば、マイクロスコープ等を用いた皮膚の表面形態測定により得られる鱗屑、皮膚の滑らかさ及びシワ状態の指標値、当該レプリカの測定により得られる皮膚表面の粗さ、シワの深さ、シワの本数、シワの体積、シワの面積及びシワの面積率がある。
また、後述する経皮水分蒸散量(TEWL)のような角層の水分量に関する指標値も、皮膚表面に対する測定により得られる指標値であるため、皮膚表面特性に関する指標値に位置付けることもできる。但し、本明細書では、角層の水分量に関する指標値は、「角層」の物性を表す値の1つであることから、角層特性に関する指標値に位置付けるものとする。
角層の重層剥離率は、角層画像を二値化処理することで剥離部面積と重層部面積を求め、重層部面積を剥離部面積で除算することで取得され得る。
角層の細胞形状に関する指標値は、一人につき複数の角層細胞の形状指標値を計測し、計測された複数の形状指標値に対して平均等の統計処理を行うことで取得可能である。例えば、一人あたり複数の角層細胞画像が撮像され、角層細胞画像1枚あたり複数個の角層細胞が特定され、特定された各角層細胞の形状指標値をそれぞれ計測して角層細胞画像の枚数で統計処理することにより、対象者の角層の細胞形状に関する指標値が取得可能である。角層の細胞形状に関する指標値としては、例えば、角層細胞面積、角層細胞長さ、角層細胞真円率等がある。
角層細胞間脂質に関する指標値は、例えば、液体クロマトグラフィ(LC)と質量分析(MS)とを組み合せた解析手法により測定可能である。角層細胞間脂質に関する指標値としては、例えば、角層細胞間脂質の総量、セラミド量、コレステロール量、遊離脂肪酸量、セラミド分子種(NDS、NS、NH、NP、ADS、AS、AH、AP、EOS、EOH、EOP等)ごとの量、セラミド分子種ごとの量の比率(NP/NS等)がある。
角層水分量は、例えば、コンダクタンス測定法、キャパシタンス測定法等により測定可能である。
また、本明細書では、皮膚のバリア機能を示す評価値として知られている、角層を通って蒸散する水分量を意味する経皮水分蒸散量(TEWL)についても角層の水分量に関する指標値に位置付ける。ここでの評価値は、皮膚内部から外部へのバリア機能を示すだけではなく、皮膚外部から内部へのバリア機能を示す指標値を含むものである。但し、上述したとおり、経皮水分蒸散量(TEWL)は皮膚表面特性に関する指標値に位置付けることもできる。
多変量解析手法としては、例えば、重回帰分析、主成分分析、部分的最小二乗回帰(PLS)、主成分回帰分析(PCR)等がよく知られている。本実施形態では、赤外吸収スペクトル情報を説明変数とし、目的指標値を目的変数とする推定モデルを構築可能であれば、利用される多変量解析の具体的手法は限定されない。本実施形態における推定モデルは推定式とも表記可能である。
また、当該推定モデルがニューラルネットワークで構成されるAIモデルとして構築されている場合には、複数の強度値を含む赤外吸収スペクトル情報を入力として、一つ又は複数の目的指標値が出力される。
また、CPU11は、工程(S13)で取得された目的指標値を数値としてそのまま出力してもよいし、取得された目的指標値に対して桁合わせ等の正規化を行ったうえで出力してもよい。本実施形態は目的指標値の出力形式についても限定しない。
角層に関する赤外吸収スペクトル情報から推定されるその目的指標値は、角層特性又は皮膚表面特性に関する指標値である。
これにより、本実施形態によれば、角層の赤外吸収スペクトルにおける当該所定の波数領域における複数の強度値を用いることで角層を含む皮膚表面の指標を高精度に推定することができる。
更に言えば、各種測定装置を用いた皮膚表面の測定や画像撮影等のような角層を含む皮膚表面の指標を得るための個々の処理を行うことなく、被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を得さえすれば、容易にそのような皮膚表面の指標を推定することができる。また、そのような赤外吸収スペクトル情報は、被評価者に接触することなく、被評価者の皮膚から剥離された状態の角層から取得可能であるため、本実施形態は、遠隔評価を可能とし、衛生面でも有用である。
被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を取得する取得工程と、
複数のサンプル提供者における皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報と既知の目的指標値との複数のデータセットを用いて得られた推定モデルに、前記取得された赤外吸収スペクトル情報を入力することにより、前記被評価者の目的指標値を推定する推定工程と、
を実行し、
前記赤外吸収スペクトル情報は、所定の波数領域における複数の強度値を含み、
前記目的指標値は、角層特性又は皮膚表面特性に関する指標値である、
皮膚指標推定方法。
<1>に記載の皮膚指標推定方法。
<3> 前記赤外吸収スペクトル情報は、前記第一波数領域及び前記第二波数領域の非ピーク領域における複数の強度値を少なくとも含む、
<2>に記載の皮膚指標推定方法。
<4> 前記赤外吸収スペクトル情報は、前記第一波数領域から一定波数間隔及び前記第二波数領域から一定波数間隔でそれぞれサンプリングされた複数の強度値を含む、
<2>又は<3>に記載の皮膚指標推定方法。
<5> 前記目的指標値は、角層の重層剥離率、角層細胞面積、角層細胞長さ、又は角層細胞真円率である、
<1>から<4>のいずれか一つに記載の皮膚指標推定方法。
<6> 前記目的指標値は、角層細胞間脂質の総量、セラミド量、コレステロール量若しくは遊離脂肪酸量、角層細胞間脂質のセラミド分子種ごとの量、又は角層細胞間脂質のセラミド分子種ごとの量の比率である、
<1>から<4>のいずれか一つに記載の皮膚指標推定方法。
<7> 前記目的指標値は、角層水分量又は経皮水分蒸散量である、
<1>から<4>のいずれか一つに記載の皮膚指標推定方法。
<8> 前記目的指標値は、皮膚の表面形態測定により得られる鱗屑状態、皮膚の滑らかさ若しくはシワ状態の指標値、又は皮膚の表面形状を再現したレプリカの測定により得られた皮膚表面の粗さ、シワの深さ、シワの本数、シワの体積、シワの面積若しくはシワの面積率の指標値である、
<1>から<4>のいずれか一つに記載の皮膚指標推定方法。
<1>から<8>のいずれか一つに記載の皮膚指標推定方法を実行可能な皮膚指標推定装置。
赤外吸収スペクトル情報は、上述した開示手法によって取得された。
また、赤外吸収スペクトル情報としては、赤外分光測定装置から出力される600cm-1から4000cm-1の波数領域(波数分解能0.5cm-1)の全て(6950個)の吸光度が用いられた。
目的指標値については、各サンプル提供者から各目的指標値に応じた取得方法を用いて複数種の目的指標値がそれぞれ取得された。目的指標値の種類については後述する。
推定モデルは、推定モデル構築用の複数のデータセットに対して部分的最小二乗法(PLS)を適用して構築され、K-分割交差検証(K=5)でPRESS(Predicted Residual Sum of Squares)が最小になるモデル(推定式)が選択された。
そして、構築された推定モデルが検証用の複数のデータセットを用いて検証された。具体的には、検証用のデータセットの赤外吸収スペクトル情報を推定モデルに入力することで得られる目的指標値(推定指標値)とそのデータセットの既知の目的指標値との相関が検証された。
本実施例では、一人あたり角層画像が4枚撮像され、角層画像1枚あたり10個から15個程度の角層細胞が特定され、特定された各角層細胞の形状指標値をそれぞれ計測して4枚の角層画像分の平均をとることにより、図4の各目的指標の実測値が取得された。
図4に示されるように、角層重層剥離率、角層細胞面積、角層細胞長さ及び角層細胞真円率の目的指標値の推定精度については、P値が十分に小さく(1%有意水準で)相関係数が0.25以上を示している。
図5に示されるように、角層細胞間脂質に関する目的指標値の推定精度については、セラミドNS量及びセラミドAS量を除けば、P値が十分に小さく(1%有意水準で)相関係数が0.25以上を示しており、セラミドAS量の推定精度については5%有意水準で相関係数が0.201を示しており、セラミドNS量の推定精度については10%有意水準で相関係数が0.180を示している。
図6に示されるように、経皮水分蒸散量(TEWL)の実測値はTewameter(MPA580、Courage+Khazaka社、ドイツ)を用いて測定され、「Corneometer-キャパシタンス」と表記されている項目の実測値は、キャパシタンス測定法としてCorneometer(MPA580、Courage+Khazaka社、ドイツ)を用いて測定され、「Skicon-コンダクタンス」と表記されている項目の実測値は、コンダクタンス測定法としてSkicon(ヤヨイ社製)を用いて測定された。
図6に示されるように、角層水分量に関する目的指標値の推定精度については、いずれもP値が十分に小さく(1%有意水準で)相関係数が0.45以上を示している。
算術平均粗さ(Ra)は、平均線から測定曲線までの距離の絶対値を足し合わせて平均した値であり、二乗平均平方根粗さ(Rq)は、基準長さにおける二乗平均平方根であり、総シワ平均深さは、当該レプリカの表面形状に対して形状補正された三次元形状から抽出されたシワの平均深さであり、十点平均粗さ(Rz)は、最も高い5つの山の平均と最も低い5つの谷の平均の深さの間の和(距離)であり、シワ本数は、当該レプリカの表面形状に対して形状補正された三次元形状から抽出されたシワの総数であり、シワ総体積は、当該レプリカの表面形状に対して形状補正された三次元形状から抽出された各シワの体積の総和であり、シワ総面積は、当該レプリカの表面形状に対して形状補正された三次元形状から抽出された各シワの面積の総和であり、シワ面積率は、シワ総面積のシワを抽出した領域面積に対する比率である。
図8では、グラフの縦軸の値の絶対値が大きい波数成分は、目的指標値に対する寄与率が高いことを示している。
従って、本実施形態のように、600cm-1以上1800cm-1以下の第一波数領域における複数の強度値及び2800cm-1以上3700cm-1以下の第二波数領域における複数の強度値を少なくとも含む赤外吸収スペクトル情報を用いることで、推定モデルによる目的指標値の推定精度を向上させることができることが実証されている。
角層水分量(Corneometer-キャパシタンス)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.577でP値が2.15E-11であり(図6参照)、実施例2で得られた相関係数は0.606でP値が1.14E-12となった。
経皮水分蒸散量(TEWL)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.460でP値が2.91E-07であり(図6参照)、実施例2で得られた相関係数は0.530でP値が1.53E-09となった。
セラミドNPの量とセラミドNSの量との比率(NP/NS)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.607でP値が1.00E-12であり(図5参照)、実施例2で得られた相関係数は0.573でP値が3.17E-11となった。
角層重層剥離率を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.453でP値が3.25E-07であり(図4参照)、実施例2で得られた相関係数は0.507でP値が6.50E-09となった。
このため、実施例2のように実施例1とは異なる手法で得られた赤外吸収スペクトル情報を用いる場合であっても、実施例1とほぼ同様に、推定モデルの推定精度を維持できることが分かった。
実施例3では、一定の波数間隔としながらその波数間隔が実施例1の波数間隔よりも大きくされて、600cm-1から4000cm-1の波数領域における25個の吸光度を含む赤外吸収スペクトル情報が用いられた。即ち、実施例3で用いられる赤外吸収スペクトル情報の吸光度数は実施例1の278分の1とされた。
角層水分量(Corneometer-キャパシタンス)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.577でP値が2.15E-11であり(図6参照)、実施例3で得られた相関係数は0.574でP値が3.12E-11となった。
経皮水分蒸散量(TEWL)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.460でP値が2.91E-07であり(図6参照)、実施例3で得られた相関係数は0.417でP値が4.35E-06となった。
セラミドNPの量とセラミドNSの量との比率(NP/NS)を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.607でP値が1.00E-12であり(図5参照)、実施例3で得られた相関係数は0.545でP値が4.38E-10となった。
角層重層剥離率を目的指標値とする推定モデル(推定式)に関しては、実施例1で得られた相関係数は0.453でP値が3.25E-07であり(図4参照)、実施例3で得られた相関係数は0.542でP値が3.37E-10となった。
このため、実施例3のように実施例1とは異なる波数間隔及び数の吸光度から形成される赤外吸収スペクトル情報を用いる場合であっても、実施例1とほぼ同様に、推定モデルの推定精度を維持できることが分かった。
最後に、上記特許文献2で開示されている手法を比較例として挙げ、この比較例と実施例1との推定精度の比較結果を記載する。
比較例は、上述したとおり、ピーク面積比β/αを算出し、算出された比β/αの値を指標として皮膚の角層の性状を医療行為以外の目的で評価する方法であり、この比較例の手法で経皮水分蒸散量(TEWL)を推定し、得られた推定値と上述のように測定された実測値との比較により推定精度が算出された。
結果、比較例による推定精度は、相関係数(R値)が0.274でありP値が3.30E-03であった。一方、実施例1の手法の推定精度は、図6で示されるとおり相関係数(R値)が0.460でありP値が2.91E-07である。
従って、実施例1によれば比較例よりも高精度に角層特性を推定可能であり、実施例1の優位性が実証された。
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 表示装置
16 入力装置
Claims (8)
- 一以上のプロセッサが、
被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を取得する取得工程と、
複数のサンプル提供者における皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報と既知の目的指標値との複数のデータセットを用いて得られた推定モデルに、前記取得された赤外吸収スペクトル情報を入力することにより、前記被評価者の目的指標値を推定する推定工程と、
を実行し、
前記赤外吸収スペクトル情報は、600cm -1 以上1800cm -1 以下の第一波数領域における複数の強度値及び2800cm -1 以上3700cm -1 以下の第二波数領域における複数の強度値を少なくとも含み、
前記目的指標値は、角層特性又は皮膚表面特性に関する指標値である、
皮膚指標推定方法。 - 一以上のプロセッサが、
被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を取得する取得工程と、
複数のサンプル提供者における皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報と既知の目的指標値との複数のデータセットを用いて得られた推定モデルに、前記取得された赤外吸収スペクトル情報を入力することにより、前記被評価者の目的指標値を推定する推定工程と、
を実行し、
前記赤外吸収スペクトル情報は、600cm -1 以上1800cm -1 以下の第一波数領域のピーク領域及び非ピーク領域における複数の強度値及び2800cm -1 以上3700cm -1 以下の第二波数領域のピーク領域及び非ピーク領域における複数の強度値を少なくとも含み、
前記目的指標値は、角層特性又は皮膚表面特性に関する指標値である、
皮膚指標推定方法。 - 一以上のプロセッサが、
被評価者の皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報を取得する取得工程と、
複数のサンプル提供者における皮膚から剥離された角層に関する赤外吸収スペクトル情報と既知の目的指標値との複数のデータセットを用いて得られた推定モデルに、前記取得された赤外吸収スペクトル情報を入力することにより、前記被評価者の目的指標値を推定する推定工程と、
を実行し、
前記赤外吸収スペクトル情報は、600cm -1 以上1800cm -1 以下の第一波数領域から一定波数間隔及び2800cm -1 以上3700cm -1 以下の第二波数領域から一定波数間隔でそれぞれサンプリングされた複数の強度値を少なくとも含み、
前記目的指標値は、角層特性又は皮膚表面特性に関する指標値である、
皮膚指標推定方法。 - 前記目的指標値は、角層の重層剥離率、角層細胞面積、角層細胞長さ、又は角層細胞真円率である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚指標推定方法。 - 前記目的指標値は、角層細胞間脂質の総量、セラミド量、コレステロール量若しくは遊離脂肪酸量、角層細胞間脂質のセラミド分子種ごとの量、又は角層細胞間脂質のセラミド分子種ごとの量の比率である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚指標推定方法。 - 前記目的指標値は、角層水分量又は経皮水分蒸散量である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚指標推定方法。 - 前記目的指標値は、皮膚の表面形態測定により得られる鱗屑状態、皮膚の滑らかさ若しくはシワ状態の指標値、又は皮膚の表面形状を再現したレプリカの測定により得られた皮膚表面の粗さ、シワの深さ、シワの本数、シワの体積、シワの面積若しくはシワの面積率の指標値である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚指標推定方法。 - 前記一以上のプロセッサ及びメモリを少なくとも備える皮膚指標推定装置であって、
前記推定モデルを利用可能であり、
前記メモリにはコンピュータプログラムが格納されており、
前記一以上のプロセッサにより前記コンピュータプログラムが実行されることにより、請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚指標推定方法を実行可能な皮膚指標推定装置。
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| JP2024032299A (ja) | 2024-03-12 |
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