JP7632064B2 - ホウ素含有炭素材料、導電性組成物、及び導電膜 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、ホウ素元素が炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部を置換するようにドープされているホウ素含有炭素材料であって、レーザーラマンスペクトルにおけるGバンドのラマンシフトをXとし、DバンドのラマンシフトをYとした時、ラマンシフトの差[X-Y]が226cm-1以下であり、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、ホウ素含有炭素材料表面の全元素に対する表面置換型ホウ素元素の割合が、0.0001以上であるホウ素含有炭素材料に関する。
ホウ素元素が炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部を置換するようにドープされているホウ素含有炭素材料とは、炭素原子が六角網状に共有結合した網平面を形成した炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、少なくともホウ素元素が炭素元素の一部を置換するようにドープされており、場合によって窒素元素やリン元素などのヘテロ元素や、卑金属元素などが含まれる炭素材料である。
σ=μ×n×e (式1) μ:移動度、n:キャリア密度、e:電気素量(定数)
上記(式1)より導電性を向上させるためには移動度及び/又はキャリア密度の向上が必要となる。炭素材料へのホウ素ドープの主な狙いとしては炭素骨格への元素置換によるホールの導入によるキャリア密度の向上である。一方、炭素材料へのホウ素ドープは炭素の結晶構造や電子状態などに大きく影響を与え、炭素の結晶構造の乱れや結晶子の低下などを誘発し移動度を低下させる要因ともなる。
本発明のホウ素含有炭素材料の製造方法としては特に限定されないが、炭素系原料と、ホウ素を含む化合物とを混合する工程と、前記混合物を1000℃以上の高温で熱処理する工程を含む方法が好ましい。
本発明のホウ素含有炭素材料の製造方法として好ましくは、あらかじめ炭化された炭素源に対してホウ素をドープする方法である。ここでいう「炭化」とは、「結晶化」又は「黒鉛化」と同様の事象を表す。
例えば、炭化されていない炭素源とホウ素源を用いて、炭化しながらホウ素をドープしてホウ素含有炭素材料を得る方法や、事前に仮焼成処理を行った炭素源を用いる方法では、結晶化又は黒鉛化が不十分な場合がある。このため、炭化しながらホウ素をドープする方法よりも、あらかじめ炭化された炭素源に対してホウ素をドープするような、炭化の後にホウ素ドープ反応を行う方法を用いる方が、炭素粒子の表面と内部のホウ素の分布状態が好ましい炭素材料を製造することができるため好ましい。すなわち、優れた耐酸化性、導電性、分散性、耐久性の両立を可能とする本発明のホウ素含有炭素材料を得るためには、炭素源の選択、及び、ホウ素ドープ反応が起こる際の炭素源とホウ素源の混合状態等も重要である。
リダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
法だけでなく、雰囲気や温度下を都度変更し多段階で行っても良い。
本発明におけるホウ素含有炭素材料を製造するための、炭素系原料としては無機炭素系原料が好ましい。具体的な無機炭素系原料としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維、木炭等が挙げられる。上記炭素系原料の中でも、種類やメーカーによって、炭素六角網面の大きさや積層構造は様々で、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
市販のカーボンブラックとしては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のケッチェンブラックEC-300J、EC-600JD、ライオナイトEC-200L等、
三菱化学社製のファーネスブラック#2350、#2600、#3050B、#3030B、#3230B、及び#3400B等、デンカ社製のデンカブラックHS-100、FX-35等が挙げられる。
市販のカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製VGCF-H、VGCF-X等、
名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ、NTP社製NTP3003、NTP3021、NTP3121、NTP8012、NTP8022、NTP9012、NTP9112等、OCSiAl社製TUBALL等が挙げられる。
市販のグラフェン系炭素としては、XGSciences社製グラフェンナノプレートレットxGnP-C-300、xGnP-C-500、xGnP-C-750、xGnP-M-5、xGnP-M-15、xGnP-M-25、xGnP-H-5、xGnP-H-15、xGnP-H-25等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも導電性やコストの観点から市販の炭素系原料としては黒鉛が好ましい。
次に、ホウ素含有炭素材料の製造に用いられるホウ素を含む化合物について説明する。ホウ素を含む化合物は、特に限定されるものではないが、炭化ホウ素、酸化ホウ素、窒化ホウ素、金属ホウ化物、ホウ素オキソ酸、ボラン、ホウ素含有有機化合物等が挙げられる。
具体的には、炭化ホウ素では、B4C(B12C3)、B12C2(B6C)等、
酸化ホウ素では、BC2O、BCO2、B2O2、B2O3 、B4O3、B4O5等、
窒化ホウ素では、BN等、
金属ホウ化物では、AlB2、CoB、FeB、MgB2、NiB、TiB2等、
ホウ素オキソ酸では、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等、
ボランでは、モノボラン、ジボラン、デカボラン等、
ホウ素含有有機化合物では、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル類、トリエチルボラン、トリフェニルボラン等の置換ボラン類、フェニルボロン酸、フェニルボロン酸エステル等のボロン酸類等が挙げられる。
本発明の導電性組成物は、上述したホウ素含有炭素材料と、バインダー樹脂又は溶媒の少なくとも一方と、を含有するものである。導電性組成物は、異なる二種以上の炭素材料を併用してもよいし、必要に応じて導電助剤を含有してもよい。
バインダー樹脂としては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、EVA系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂等からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含むことができる。
上記バインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリウレンタン樹脂の合成方法は特に限定はされないが、例えば、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とを反応させる方法、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシル基を有するジオール化合物(c)とを反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得る方法、前記ウレタンプレポリマー(d)にポリアミノ化合物(e)をさらに反応させる方法、あるいは前記3つの方法において、必要に応じて反応停止剤を反応させる方法、が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ダイマージオール等の飽和及び不飽和の低分子ジオール類、ならびにn-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類、又はこれらの無水物類を、脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類や、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、(1)ジオール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応物、及び、(2)ジオール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンとの反応物が使用できる。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル、2,2,8,10-テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。また、ビスフェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等が挙げられる。
上記ポリオール化合物は、単独で用いても、2種類以上併用してもよい。更に、ポリウレタン樹脂の性能が失われない範囲内で、上記ポリオール化合物の一部を低分子ジオール類、例えば前記ポリオール化合物の製造に用いられる各種低分子ジオールに替えることもできる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートが挙げられる。
ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシル基を有するジオール化合物(c)とを反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得る際の条件は、イソシアネート基を過剰にすればよく、その他は特に制限されないが、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05/1~3/1の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは1.2/1~2/1である。また、反応は通常常温~150℃の間で行なわれ、更に製造時間、副反応の制御の面から好ましくは60~120℃の間で行なわれる。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、塗工性や取扱い性の観点から、5,000~200,000の範囲が好ましい。
ポリアミド樹脂は、二塩基酸とジアミンの重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、或いはラクタムの開環重合などの各種反応で得られるアミド結合を有する高分子の総称であり、各種の変性ポリアミドをはじめ、一部水素添加された反応物で製造されたものであり、他のモノマーが一部共重合された重合体、或いは各種添加剤などの他の物質が混合されたものを用いることができる。
ポリアミド樹脂は、特に限定されないが、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られるダイマー酸変性ポリアミド樹脂が好ましい。ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際のダイマー酸としては、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸などに含まれる天然の一塩基性不飽和脂肪酸を重合したダイマー酸が工業的に広く用いられるが、原理的には、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式、或いは芳香族などの各種ジカルボン酸などであってもよい。当該ダイマー酸の市販品としては、ハリダイマー200、300(ハリマ化成社製)、バーサダイム228、216、エンポール1018、1019、1061、1062(コグニス社製)などが挙げられる。さらに、水素添加されたダイマー酸も使用でき、水添ダイマー酸の市販品としてはプリポール1009(クローダジャパン株式会社製)、エンポール1008(コグニス社製)などが挙げられる。
上記ダイマー酸以外に、適当な柔軟性を有するポリアミド樹脂にするため、二塩基酸として各種のジカルボン酸を用いることができる。ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸などが用いられる。
フェノール性水酸基を有する二塩基酸としては、2-ヒドロキシイソフタル酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシイソフタル酸、2,5-ジヒドロキシイソフタル酸、2,4-ジヒドロキシイソフタル酸、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸等のジヒドロキシイソフタル酸、2-ヒドロキシテレフタル酸、2,3-ジヒドロキシテレフタル酸、2,6-ジヒドロキシテレフタル酸等のジヒドロキシテレフタル酸、4-ヒドロキシフタル酸、3-ヒドロキシフタル酸等のヒドロキシフタル酸、3,4-ジヒドロキシフタル酸、3,5-ジヒドロキシフタル酸、4,5-ジヒドロキシフタル酸、3,6-ジヒドロキシフタル酸等のジヒドロキシフタル酸などが挙げられる。
更にこれらの酸無水物や例えば多塩基酸メチルエステルのようなエステル誘導体なども挙げられる。
なかでも、共重合性、入手の容易さなどの点から、5-ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際の反応物としてのポリアミン類は、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族などの各種ジアミン、トリアミン、ポリアミンなどである。
上記ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-又はm-キシレンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,2-ビス-(4-シクロヘキシルアミン)、ポリグリコールジアミン、イソホロンジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス-(2’-アミノエチル)ベンゼン、N-エチルアミノピペラジン、ピペラジンなどが挙げられる。
また、トリアミンにはジエチレントリアミンなどが挙げられ、ポリアミンにはトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。さらに、二量体化された脂肪族のニトリル基を変換して水素還元して得られたダイマージアミンも使用することができる。
ジアミンにはアルカノールアミンを併用してもよい。アルカノールアミンにはエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、ブタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール等が挙げられる。また、酸素を骨格に有するポリエーテルジアミンを用いることができる。このポリエーテルは一般式 H2N-R1-(RO)n-R2-NH2 (式中、nは2~100であり、R1、R2は炭素原子数が1~14個であるアルキル基又は脂環式炭化水素基であり、Rは炭素原子数が1~10個であるアルキル基又は脂環式炭化水素基である。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。)で表すことができる。このエーテルジアミンとしてはポリオキシプロピレンジアミン等が挙げられ、市販品としてはジェファーミン類(サンテクノケミカル社製)がある。また、ビス-(3-アミノプロピル)-ポリテトラヒドロフランも挙げることができる。
上記ポリアミン類とダイマー酸或いは各種ジカルボン酸とは常法により加熱縮合され、脱水を伴ったアミド化工程によりダイマー酸変性ポリアミド樹脂をはじめとする各種ポリアミド樹脂が製造される。一般に、反応温度は100~300℃程度、反応時間は1~8時間程度である。
ポリエステル樹脂は、単量体として多価カルボン酸と多価アルコールより構成される重合体である。ポリエステル樹脂は、公知のものが採用でき、具体的には、樹脂の凝集力の確保の点から、重量平均分子量が1,000~100,000であることが好ましい。また、密着の観点から、ガラス転移温度が-10℃~200℃であることが好ましい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択し使用できる。一方、多価アルコール成分としては、脂肪族グリコール、エーテルグリコール類、3価以上のポリアルコール等が挙げあられ、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用できる。
ポリエステル樹脂の市販品としてはバイロン(東洋紡株式会社製、「バイロン」は登録商標)、ポリエスター(日本合成化学工業株式会社製、「ポリエスター」は登録商標)、テスラック(日立化成ポリマー株式会社製、「テスラック」は登録商標)などが挙げられる。
イソシアネート基と反応可能な官能基は、ビニル系重合体の側鎖又は主鎖に導入することができ、導入方法は特に限定されず各種の合成方法により導入することができる。高い強靱性、耐久性を必要とする用途に用いる場合には、ビニル系重合体の主鎖に直接、イソシアネートと反応可能な官能基を導入することが望ましく、これにより樹脂の架橋密度を向上できる。
硬化性樹脂に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては特に限定されないが、屋外で使用する場合には、塗膜が経時で劣化することを防ぐために、脂環族又は脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、上記化合物とグリコール類又はジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を用いても構わない。
特に、ポリイソシアネート化合物がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、熱プレス後に十分な塗膜強度が得ることができるため、好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールN3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL-2、FL-3、FL-4、HLBA)が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、要求性能に応じて、バインダー樹脂官能基の総数に対して、イソシアネート基の総数が、好ましくは0.1倍~5.0倍、更に好ましくは0.5倍~3.0倍、特に好ましくは0.8~2.0倍となるような比率で、1種、又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、上記の平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。樹脂微粒子の固形分に応じて、分散媒と同じ分散液で200~1000倍に希釈しておく。該希釈分散液約5mlを測定装置(日機装社製ナノトラック)のセルに注入し、サンプルに応じた分散媒及び樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークによって測定することができる。
分散型樹脂微粒子としては、架橋型樹脂微粒子を含むことが好ましい。架橋型樹脂微粒子とは、内部架橋構造(三次元架橋構造)を有する樹脂微粒子を示し、粒子内部で架橋していることが重要である。また、架橋型樹脂微粒子が特定の官能基を含有することにより、基材との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、優れた耐久性の塗膜を得ることができる。
水溶性樹脂とは、25℃の水99g中に樹脂1gを入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で完全に溶解可能な樹脂である。水溶性樹脂には、炭素材料の分散性を高める効果があるため、少ない樹脂量で安定な組成物が得られる。
水溶性樹脂は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、アニオン性とカチオン性の性質を併せ持つ両性樹脂、またそれ以外のノニオン性樹脂に大別され、更にその樹脂が複数の単量体から構成されてもよい。また、水溶性樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
アニオン性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基及びそれらを一部あるいは全てを中和した骨格を含有する樹脂が挙げられる。例示すると、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2-スルホエチルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの重合性単量体の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物、カルボキシメチルセルロース、及びそれらのアルカリ中和物等が挙げられる。
カチオン性樹脂としては、例えば、環状を含むアミノ基及びアミノ基の一部あるいは全て中和した骨格や4級アンモニウム塩を含有する樹脂等が挙げられる。例示すると、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジンなどの重合性単量体の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物及びそれらの酸中和物が挙げられる。
両性樹脂としては、例えば、前記アニオン性骨格と前記カチオン性骨格を共に含有する樹脂が挙げられる。例示すると、スチレン-マレイン酸-N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの共重合物などが挙げられる。
ノニオン性樹脂は、前記アニオン性、カチオン性及び両性樹脂以外の樹脂である。例示すると、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
水溶性樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が5,000~2,500,000である。質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリエチレンオキサイド換算分子量を示す。
水性樹脂微粒子(水性エマルション)は、樹脂が水中で溶解せずに微粒子の状態で存在する分散型樹脂微粒子であり、例えば、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ポリオレフィン系エマルション、フッ素系エマルション(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)、ジエン系エマルション(スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等)が挙げられる。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル又はアクリルを意味する。
水性樹脂微粒子を含む導電性組成物は、塗膜形成された場合、粒子間及び基材との密着性に優れ、強度の高い塗膜を提供できる。更に、密着性に優れることから必要な水性樹脂微粒子は少量で済むため、結果、導電性組成物の導電性が向上する。上述のような効果を得るため、水性樹脂微粒子としては、粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れる(メタ)アクリル系エマルションやウレタン系エマルションが好ましい。
本発明の導電性組成物は、炭素材料を分散させる場合や、炭素材料と、バインダー樹脂とを均一に混合する場合に、溶媒を適宜用いることができる。このような溶媒としては、樹脂を溶解できるものや、樹脂微粒子エマルションを安定に分散できるものであれば特に限定されず、水や有機溶剤を挙げることができる。
また、溶媒は水と有機溶剤とを組み合わせて用いてもよく、2種以上の有機溶剤を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の導電性組成物には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル補足剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
本発明の導電性組成物は、必要に応じてさらに、本発明の炭素材料以外の導電助剤を含有してもよい。導電助剤は、本発明の特定のホウ素含有炭素材料に該当しないものであればよく、例えば、カーボンブラック、活性炭、黒鉛、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボンのような炭素助剤、及び金属ナノ粒子(銀、銅等)のような金属助剤が挙げられる。
上記導電助剤は、ホウ素を含んでいてもよく、ホウ素をドープしたものであってもよい。導電助剤がホウ素を含む場合は、導電助剤中のホウ素の含有量は、好ましくは0.01~2mol%であり、より好ましくは、0.1~1mol%である。導電助剤中のホウ素の含有量が、0.01~2mol%であると、溶媒やバインダー樹脂に対する濡れ性が高まったり、導電助剤の硬さが増加するため、導電性組成物の分散性が向上したり、衝撃などの外力に対する耐久性が向上するため、分散安定性や膜強度が改善する。
尚、本発明の比表面積は、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)を指す。
導電性組成物がさらに導電助剤を含む場合、導電性組成物の総固形分に占めるホウ素含有炭素材料の割合は、好ましくは40~85質量%であり、より好ましくは45~75質量%であり、さらに好ましくは50~60質量%である。
一方、導電性組成物の総固形分に占める導電助剤の割合は、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは8~20質量%であり、さらに好ましくは10~18質量%である。導電性組成物の総固形分に占める炭素材料、導電助剤の割合が、それぞれ50~60質量%、10~18質量%であると、導電性組成物の分散性が非常に良く、導電性や耐久性にとりわけ優れた導電膜を得ることができる。
導電助剤としてホウ素含有炭素助剤を含む分散体の粘度は、上述したように炭素助剤の表面状態が変化しているため、ホウ素を含まない炭素助剤として分散体を作製した場合に比べ、粘度が低下する傾向があり、分散体の取り扱いが容易になる効果が見られる。
導電性組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
本発明の導電膜は、導電性組成物から形成されてなる膜であり、基材上に導電性組成物を塗工し、必要に応じて乾燥することで形成することができる。
導電膜成形に使用する基材の形状は特に限定されず、用途にあったものを適宜選択することができる。基材は、好ましくはシート状であり、より好ましくは絶縁性の樹脂フィルムである。
導電膜の厚みは、一般的には0.1μm以上、1mm以下であり、好ましくは1μm以上、200μm以下である。
本発明の導電膜の体積抵抗率は、好ましくは5×10-3Ω・cm未満であり、より好ましくは3×10-3Ω・cm未満であり、さらに好ましくは2×10-3Ω・cm未満である。体積抵抗率が5×10-3Ω・cm未満であることで、非常に導電性の高い組成物として、電池の電極、集電体や電池、電子機器の配線等に利用することができる。
<実施例1>
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比80/20(球状化黒鉛/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、自転公転ミキサーで混合した後、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2100℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(1)を得た。
ホウ素含有炭素材料(1)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率は、後述の算出方法に沿って求められ、それぞれ225.3cm-1、1.8、0.0027、4.1×10-4Ω・cmであった。
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比97/3(球状化黒鉛/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、溶媒として水を加え自転公転ミキサーで混合し、大気下80℃のオーブンで乾燥させ混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2100℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(2)を得た。
ホウ素含有炭素材料(2)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ219.2cm-1、6.2、0.0003、9.1×10-4Ω・cmであった。
人造黒鉛PAG-5(日本黒鉛工業社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比80/20(人造黒鉛/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行い、混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2100℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(3)を得た。
ホウ素含有炭素材料(3)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ221.4cm-1、1.4、0.0052、7.9×10-4Ω・cmであった。
天然黒鉛FB-150(日本黒鉛工業社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比80/20(天然黒鉛/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行い、混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2100℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(4)を得た。
ホウ素含有炭素材料(4)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ221.8cm-1、1.5、0.0036、6.9×10-4Ω・cmであった。
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)と炭化ホウ素(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比96/4(球状化黒鉛/炭化ホウ素)となるようにそれぞれ秤量し、溶媒として水を加えた後、ガラスビーズを加え、ペイントシェーカを用いて混合し、大気下80℃のオーブンで乾燥させ混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2900℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(5)を得た。
ホウ素含有炭素材料(5)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ225.4cm-1、1.3、0.0080、5.7×10-4Ω・cmであった。
炭化ホウ素(富士フィルム和光純薬社製)と、溶媒としてトルエンを加えた後、アルミナビーズを加え、ペイントシェーカを用いて粉砕し、大気下80℃のオーブンで乾燥させ炭化ホウ素の粉砕物を得た。次に、球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)と炭化ホウ素の粉砕物を、質量比99.1/0.9(球状化黒鉛/炭化ホウ素)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行い、混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2000℃で1.5時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(8)を得た。
ホウ素含有炭素材料(8)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ222.6cm-1、3.0、0.0005、2.8×10-4Ω・cmであった。
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比85/15(球状化黒鉛/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、ボールミルにて粉砕混合をした後、球状化黒鉛/ホウ酸からなる混合物を分離して取り出し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行って、混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2050℃で2時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(9)を得た。
ホウ素含有炭素材料(9)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ224cm-1、1.7、0.0046、3.8×10-4Ω・cmであった。
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛工業社製)と炭化ホウ素(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比97/3(球状化黒鉛/炭化ホウ素)となるようにそれぞれ秤量し、ボールミルにて粉砕混合をした後、球状化黒鉛/炭化ホウ素からなる混合物を分離して取り出し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて複合化を行って、混合物を得た。上記混合物をグラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2200℃で1.5時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(10)を得た。
ホウ素含有炭素材料(10)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ222.3cm-1、1.5、0.0055、3.7×10-4Ω・cmであった。
球状化黒鉛CGB-50(日本黒鉛社製)を炭素材料(6)として用いた。
炭素材料(6)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ230cm-1、5.0、検出下限以下(≦0.0001)、2.0×10-3Ω・cmであった。
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)NTP3003(NTP社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比90/10(MWCNT/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、乳鉢で混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、2200℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(7)を得た。
ホウ素含有炭素材料(7)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ232cm-1、0.8、0.001、7.3×10-3Ω・cmであった。
炭素源である石油コークス92.5部と、ホウ素源である酸化ホウ素(富士フイルム和光純薬社製)7.5部をメノウ乳鉢で混合した後、黒鉛ルツボに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、2900℃で2時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(11)を得た。
ホウ素含有炭素材料(11)の[X-Y]、G/D比、置換型ホウ素元素量、体積抵抗率はそれぞれ227.2cm-1、7.0、0.0011、2.3×10-3Ω・cmであった。
作製したホウ素含有炭素材料は下記の方法で物性を評価した。
[X-Y]は日本分光社製レーザーラマン分光光度計NRS-3100を用いて評価した。励起レーザー波長532nmの条件下で測定し、得られた各サンプルのラマンスペクトルのDバンド(1330~1370cm-1)のピークトップのラマンシフトとGバンド(1560~1620cm-1)のピークトップのラマンシフトの差から、[X-Y]を算出した。
G/D比は日本分光社製レーザーラマン分光光度計NRS-3100を用いて評価した。励起レーザー波長532nmの条件下で測定し、得られた各サンプルのラマンスペクトルのDバンド(1330~1370cm-1)とGバンド(1560~1620cm-1)のピーク強度の比(IG/ID)からG/D比を算出した。
表面全ホウ素元素量及び表面置換型ホウ素元素量は、X線光電子分光装置ThermoFisher scientific社製K-Alphaを用いて評価した。ホウ素B1sスペクトルピークから得られた全スペクトル面積から表面全ホウ素元素の割合(モル比)を算出した。また、前記ホウ素の全スペクトル面積に対する188~189.3eVのピーク面積の割合から表面置換型ホウ素元素の割合(モル比)を算出した。
体積抵抗率は日東精工アナリテック社製粉体抵抗測定システムMCP-PD51型を用いて評価した。
低抵抗用粉体プローブを用いて四探針方式にて測定を行い、各サンプルに20kNの荷重を加えた際の体積抵抗率を値として使用した。
このようにラマンシフトの差[X-Y]を本発明の範囲内に適切に制御することにより、顕著な高導電性を発現できることが明らかとなった。
[製造例1]ポリウレタン樹脂溶液
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、及び窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP-2011」、Mn=2,011)455.5部、ジメチロールブタン酸16.5部、イソホロンジイソシアネート105.2部、トルエン140部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン360部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン19.9部、ジ-n-ブチルアミン0.63部、2-プロパノール294.5部、トルエン335.5部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液969.5部を添加し(ウレタンプレポリマーの両末端に有する遊離のイソシアネート基に対してアミノ基の合計当量は0.98である)、50℃で3時間反応させた後、続いて70℃2時間反応させ、トルエン126部、2-プロパノール54部で希釈し、重量平均分子量61,000、酸価10mgKOH/gであるポリウレタン樹脂の溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の溶液を、トルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)で希釈して、固形分20質量%のポリウレタン樹脂溶液を得た。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、及び温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009(水添ダイマー酸、クローダジャパン株式会社製)を156.2部、5-ヒドロキシイソフタル酸を5.5部、ポリアミン化合物としてプリアミン1074(クローダジャパン株式会社製)を146.4部、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になった後、その温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量24,000、酸価13.2mgKOH/g、水酸基価5.5mgKOH/g、ガラス転移温度-32℃のポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂を、トルエン/2-プロパノール(質量比:2/1)で希釈して、固形分20質量%のポリアミド樹脂溶液を得た。
バイロン200(東洋紡社製、ポリエステル樹脂)をトルエン/メチルエチルケトン(質量比:1/1)で希釈して、固形分20質量%ポリエステル樹脂溶液を得た。
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量の測定は、東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HPC-8020」を用いた。GPCは溶剤(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF-604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/Sただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
水酸基価は、水酸基含有樹脂1g中に含まれる水酸基の量を、水酸基をアセチル化させたときに水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。水酸基価は、JISK0070に準じて測定し、本発明においては、下記式に示す通り、酸価を考慮して求めた。
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により水酸基価を求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
樹脂のガラス転移温度は、溶剤を乾燥除去した樹脂を用い、メトラー・トレド(株)製「DSC-1」を使用し、-80~150℃まで2℃/分で昇温して測定した。
[製造例4]CB(A)
EC-300J(ケッチェンブラック、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)90部とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)10部とに、溶媒であるトルエン600部とエタノール300部とを加え、自転公転ミキサーで混合し、大気下80℃のオーブンで乾燥させて混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、1900℃で1時間熱処理を行い、CB(A)を得た。
CB(A)の[X-Y]は235cm-1であった。また、ホウ素含有量は1.06mol%であった。ホウ素含有量は、ICP発光分光分析(SPECTRO社製 SPECTROARCOS FHS12)を用いて、炭素材料中を測定した値である。また、比表面積は、230m2/gであった。ガス吸着量測定装置(マイクロトラック・ベル社製 BELSORP-mini)を用いて、窒素吸着量測定を行い、BET法により比表面積を算出した。
EC-600J(ケッチェンブラック、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)94部とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)6部とに、溶媒であるトルエン500部とエタノール500部とを加え、自転公転ミキサーで混合し、大気下80℃のオーブンで乾燥させて混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、多目的高温炉にてアルゴン雰囲気下、1680℃で2時間熱処理を行い、CB(B)を得た。
CB(A)の[X-Y]は237cm-1であった。また、ホウ素含有量は0.73mol%であり、比表面積は、350m2/gであった。
特開2019-108256の段落[0147]及び[0148]に記載の方法により、CNT合成用触媒を作製した。その後、加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10Lの横型反応管の中央部に、前記CNT合成用触媒1gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気温度が700℃になるまで加熱した。700℃に到達した後、炭化水素としてエチレンガスを毎分2Lの流速で反応管内に導入し、15分間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことでCNTを得た。また、比表面積は、630m2/gであった。
[実施例A1]
炭素材料(1)84部、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂溶液80部(樹脂固形分16部)、溶媒としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)180部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、導電性組成物(1)を得た。次に、この導電性組成物(1)を、厚み100μmのPETフィルム基材上にドクターブレードを用いて塗布した後、オーブンの中で乾燥させた。その後、線圧300kg/cmの条件でロールプレスを行い、導電膜(1)を得た。
表2に示す配合組成に変更した以外は実施例A1と同様の方法により、導電性組成物(2)~(7)、導電膜(2)~(7)を得た。
炭素材料(1)60.8部、導電助剤としてCB(1)9.2部、バインダー樹脂としてポリアミド樹脂溶液150部(樹脂固形分30部)、溶媒としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)を組成物中の固形分が30質量%となるようにミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、導電性組成物(8)を得た。次に、この導電性組成物(8)を、厚み100μmのPETフィルム基材上にドクターブレードを用いて塗布した後、オーブンの中で乾燥させて、導電膜(8)を得た。
表2に示す配合組成に変更した以外は実施例A5と同様の方法により、導電性組成物(9)~(21)、(23)~(25)、導電膜(9)~(21)、(23)~(25)を得た。
炭素材料(4)57部、導電助剤としてCB(2)(アセチレンブラック HS-100、デンカ社製)18部、バインダー樹脂として水溶性樹脂CMC(ダイセルミライズ社製、カルボキシメチルセルロース#1240)を2質量%溶解した水溶液250部(樹脂固形分5部)、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行った。
次に、バインダー樹脂として水性樹脂微粒子(ポリアクリルエマルション W-168、トーヨーケム社製、固形分50質量%)を40部(樹脂固形分20部)追加してミキサーで混合し、導電性組成物(22)を得た。
次に、この導電性組成物(22)を、厚み100μmのPETフィルム基材上にドクターブレードを用いて塗布した後、オーブンの中で乾燥させて、導電膜(22)を得た。
得られた導電性組成物及び導電膜について以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
分散安定性は、導電性組成物を25℃にて7日間静置して保存した後の、液性状の変化から評価した。液性状の変化は、ヘラで撹拌した際の撹拌しやすさから判断した。
○:液性状の変化がない(良好)
△:粘度が上昇しているが、ゲル化はしていない(可)
×:ゲル化している(不良)
得られた導電膜を、ビデオマイクロスコープVHX-900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ及びピンホールについて、下記の基準で判定した。塗工ムラは、膜表面の濃淡により判断した。ピンホールは、膜中の塗布されていない欠陥の有無により判断した。
《塗工ムラ》
○:膜表面の濃淡が確認されない(良好)
△:膜表面の濃淡が2~3箇所あるが極めて微小領域である(可)
×:膜表面の濃淡が多数確認される、又は濃淡の縞の長さが5mm以上のものが1個以上確認される(不良)
《ピンホ-ル》
○:ピンホールが確認されない(良好)
△:ピンホールが2~3個あるが極めて微小である(可)
×:ピンホールが多数確認される、又は直径1mm以上のピンホールが1個以上確認される(不良)
導電膜の体積抵抗率は、JIS-K7194に準拠して、ロレスターGP(日東精工アナリテック社製)を用いて4端子法で測定した。
導電膜の耐久性は、JIS K5600-5-4:1999に準拠して、硬度がHBの鉛筆を用いて引っかき硬度(鉛筆法)により評価した。
〇:塑性変形及び凝集破壊が起こらない(良好)
△:塑性変形又は凝集破壊が部分的に起こっている(可)
×:塑性変形及び凝集破壊が起こっている (不良)
また、実施例A3及びA4、実施例A11及びA12の比較から、炭素材料における導電性の序列と、導電膜における導電性の序列が必ずしも一致していないことが示された。
また、実施例A5~A9の比較から、同一の炭素材料を用いた場合であっても、導電助剤の種類や配合比率の違いにより、導電性組成物の塗工性や導電膜の特性が変動することが示された。
また、導電助剤に着目すると、実施例A13~A16の比較から、導電助剤の比表面積及び導電助剤中の置換型ホウ素含有量が、導電性組成物の塗工性や、導電膜の導電性に影響を及ぼすことが示された。
これらの結果は、炭素材料以外の要因が関与していることを示唆する。現段階では詳細は不明だが、本発明の導電性組成物は、ホウ素含有炭素材料自体が導電性に優れるだけでなく、分散性及び分散安定性が良好であり、さらには塗工性も良好なため、膜中で炭素材料が効率的に導電ネットワークを形成することにより、優れた導電性を発現していると推察される。また、炭素材料の均一なネットワークにより、導電膜の耐久性改善にも繋がったものと推察される。
また、本発明のホウ素含有炭素材料は、溶媒やバインダー樹脂に対する濡れ性が向上するだけでなく、炭素材料の硬さが硬くなる傾向にあり、分散性や塗工性まで影響を及ぼしていると考えられる。これにより、該ホウ素含有炭素材料を含む導電性組成物は、分散性や塗工性が向上し、優れた導電性を発揮したと推察される。
2: 炭化ホウ素(187~188eV)のピーク
3: 六角網面を基本骨格とした炭素元素と置換するようにドープされているホウ素(188~189.3eV)のピーク
4: 酸化ホウ素BC2O(189.5~190.5eV)のピーク
5: 酸化ホウ素BCO2(191.5~192eV)のピーク
6: 酸化ホウ素B2O3(192.5~193eV)のピーク
Claims (7)
- ホウ素元素が炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部を置換するようにドープされているホウ素含有炭素材料であって、レーザーラマンスペクトルにおけるGバンドのラマンシフトをXとし、DバンドのラマンシフトをYとした時、ラマンシフトの差[X-Y]が226cm-1以下であり、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、ホウ素含有炭素材料表面の全元素に対する表面置換型ホウ素元素の割合が、0.0001以上であるホウ素含有炭素材料と、バインダー樹脂又は溶媒の少なくとも一方と、を含む導電性組成物。
- 前記ホウ素含有炭素材料が、黒鉛系炭素材料を含む請求項1に記載の導電性組成物。
- 前記ホウ素含有炭素材料は、レーザーラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドとの強度比[G/D]が6以下である請求項1又は2に記載の導電性組成物。
- 前記ホウ素含有炭素材料は、ラマンシフトの差[X-Y]が218~226cm-1である請求項1~3いずれか記載の導電性組成物。
- さらに導電助剤を含む請求項1~4いずれか一項に記載の導電性組成物。
- 導電助剤の比表面積が150~550m2/gである請求項5に記載の導電性組成物。
- 請求項1~6いずれか一項に記載の導電性組成物から形成されてなる導電膜。
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