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JP7632082B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents
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JP7632082B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Description

本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、「意図せざるモータの回転停止又は回転再開不能を抑制可能なブレーキ制御装置を提供する」ことを目的に、該装置が、「ホイールシリンダ圧を制御可能なブレーキ制御装置(3,9)は、作動液を吸入し、ホイールシリンダ(21)に接続する液路(31)へ吐出可能なポンプ(6)と、ポンプ(6)を駆動するための電動のモータ(60)と、PWM制御によりモータ(60)の回転数を制御可能であり、ポンプ(6)の吐出側の液圧が所定の第1液圧よりも高いとき、デューティ比を100%としてモータ(60)を連続駆動するように構成されている電子制御ユニット(9)と、を備える」旨が記載されている。
ところで、出願人は、特許文献2、3に記載されるような制動制御装置を開発している。具体的には、制動制御装置では、電気モータによって駆動される流体ポンプが吐出する制動液が、電磁弁(調圧弁)によって絞られることによって、ホイールシリンダの液圧(制動液圧)が調整される。ここで、電気モータの最大出力は、制動液圧の最大値(即ち、調圧弁によって調節され得る最大液圧)を達成可能なように設計されている。しかしながら、電気モータの出力低下、或いは、過大な負荷の発生のため、電気モータがストールするような状況が生じ得る。特に、ブレーキ・バイ・ワイヤ型の制動制御装置では、電気モータを動力源にしているため、電気モータのストールに起因して、適切に制動液圧が調整され難くなる。このため、制動制御装置では、電気モータのストールが回避され得るものが望まれている。
特開2020-019335号公報 特開2019-059458号公報 特開2019-137202号公報
本発明の目的は、電気モータを動力源とする車両の制動制御装置において、電気モータのストールが回避され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置は、電気モータ(MA)で駆動される流体ポンプ(QA)が吐出する制動液(BF)の圧力(Pa、Pb)を調圧弁(UA、UB)によって調節する加圧ユニット(KU)と、前記加圧ユニット(KU)を制御することでホイールシリンダ(CW)の制動液圧(Pw)を調整するコントローラ(ECU)と、を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)の負荷の程度を表す負荷状態量(Jm)に基づいて、前記調圧弁(UA、UB)への電流値(Ia、Ib)の制限を行う。例えば、前記コントローラ(ECU)は、前記負荷状態量(Jm)が所定量(jm)未満の場合には前記制限を実行せず、前記負荷状態量(Jm)が所定量(jm)以上の場合には前記制限を実行する。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記電気モータ(MA)の電源電圧(Vm)に基づいて前記調圧弁(UA、UB)への電流値(Ia、Ib)の制限を行う。例えば、前記コントローラ(ECU)は、前記電源電圧(Vm)が所定電圧(vm)以上の場合には前記制限を実行せず、前記電源電圧(Vm)が前記所定電圧(vm)未満の場合には前記制限を実行する。
電気モータのストールは、電気モータの負荷状態量が過大である場合、電気モータの電源電圧が低下している場合に発生する蓋然性が高い。上記構成によれば、電気モータを動力源とする制動制御装置において、モータストール発生の蓋然性が高い状況では、調圧弁の電流値が制限されるので、該ストールが未然に防止され得る。
本発明に係る車両の制動制御装置SCを備える車両全体を説明するための概略図である。 流体ユニットHUの第1の構成例を説明するための概略図である。 調圧制御の第1の処理例を説明するためのフロー図である。 調圧弁UAの通電制限を説明するための特性図である。 調圧制御の第2の処理例を説明するためのフロー図である。 流体ユニットHUの第2の構成例を説明するための概略図である。
以下、本発明に係る車両の制動制御装置SCの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<構成要素の記号等>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された部材、信号、値等の構成要素は同一機能のものである。車輪に係る各種記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、それが前輪、後輪の何れに関する要素であるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪に係る要素を、「r」は後輪に係る要素を、夫々示す。例えば、ホイールシリンダCWにおいて、「前輪ホイールシリンダCWf、後輪ホイールシリンダCWr」というように表記される。更に、添字「f」、「r」は省略されることがある。これらが省略される場合には、各記号は、その総称を表す。
<制動制御装置SCを搭載した車両JV>
図1の概略図を参照して、制動制御装置SCを搭載した車両JVの全体構成について説明する。ここで、制動制御装置SCを搭載した車両を、他の車両(例えば、先行車両SV)と区別するため、「自車両JV」とも称呼する。
車両JVは、駆動用の電気モータGNを備えたハイブリッド車両、又は、電気自動車である。駆動用の電気モータGNは、エネルギ回生用のジェネレータ(発電機)としても機能する。例えば、ジェネレータGNは、前輪WHfに備えられる。ジェネレータGNは、ジェネレータ用のコントローラEGによって制御(駆動)される。ここで、ジェネレータGN、及び、そのコントローラEGを含んで構成される装置が、「回生制動装置KC」と称呼される。車両JVには、回生制動装置KC用に蓄電池BT(「走行用蓄電池」ともいう)が備えられる。つまり、回生制動装置KCには、走行用蓄電池BTも含まれる。
電気モータ/ジェネレータGNが駆動用の電気モータとして作動する場合(例えば、車両JVの加速時)には、回生制動装置用のコントローラEG(単に、「回生コントローラ」ともいう)を介して、蓄電池BTから電気モータ/ジェネレータGNに電力が供給される。一方、電気モータ/ジェネレータGNが発電機として作動する場合(車両JVの減速時)には、ジェネレータGNからの電力が、回生コントローラEGを介して、蓄電池BTに蓄えられる(所謂、回生制動が行われる)。回生制動では、前輪ジェネレータGNによって、回生制動力Fgが発生される。
車両JVには、制動装置SXが備えられる。制動装置SXによって、前輪WHf、及び、後輪WHrには、前輪、後輪摩擦制動力Fmf、Fmrが発生される。制動装置SXは、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KT、及び、ブレーキキャリパCPを含んで構成される。回転部材KTは、車輪WHに固定され、回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパCPが設けられる。ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCWには、制動制御装置SCから、制動液圧Pwに調整された制動液BFが供給される。制動液圧Pwによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体的に回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに摩擦制動力Fmが発生される。
車両JVには、制動操作部材BP、及び、各種センサ(BA等)が備えられる。制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。車両JVには、制動操作部材BPの操作量(制動操作量)Baを検出する制動操作量センサBAが設けられる。制動操作量センサBAとして、入力室Rn(後述)の液圧Pn(「入力液圧」という)を検出する入力液圧センサPN、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、操作量センサBAによって、制動操作量Baとして、入力液圧Pn、制動操作変位Sp、及び、制動操作力Fpのうちの少なくとも1つが検出される。制動操作量Baは、制動制御装置SC用のコントローラECU(単に、「制動コントローラ」ともいう)に入力される。車両JVには、車輪WHの回転速度(車輪速度)Vwを検出する車輪速度センサVWを含む各種センサが備えられる。これらセンサの検出信号(Ba、Vw等)は、制動コントローラECUに入力される。制動コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。
車両JVには、所謂、回生協調制御(回生制動力Fgと摩擦制動力Fmとを協同して作動させる制御)が実行されるよう、制動制御装置SCが備えられる。例えば、制動制御装置SCとして、ブレーキ・バイ・ワイヤ型のものが採用される。制動制御装置SCは、制動操作部材BPの操作量Baに応じて、実際の制動液圧Pwを調節する。そして、制動制御装置SCは、前輪、後輪連絡路HSf、HSrを介して、制動装置SX(特に、ホイールシリンダCW)に制動液圧Pwを供給する。
制動制御装置SCは、マスタシリンダCMを含む流体ユニットHU(「アクチュエータ」ともいう)、及び、制動制御装置SC用のコントローラECU(制動コントローラ)にて構成される。流体ユニットHU(後述)は、制動コントローラECUによって制御される。制動制御装置SC用のコントローラECUは、信号処理を行うマイクロプロセッサMP、及び、電磁弁、電気モータを駆動する駆動回路DDにて構成される。
車両JVには、運転者に代わって、或いは、運転者を補助するように、自動制動を行う運転支援装置UCが設けられる。運転支援装置UCは、自車両JVの前方の物体OJ(自車両JVの前方を走行する先行車両SVを含む)までの距離Ds(相対距離)を検出する物体検出センサOB、及び、運転支援装置用のコントローラECAにて構成される。例えば、物体検出センサOBとして、レーダセンサ、ミリ波センサ、画像センサ等が採用される。運転支援コントローラECAにて、物体検出センサOBの検出結果Ds(相対距離)に基づいて、自車両JVの目標減速度Gd(自車両JVの前後方向における車体加速度の目標値)が演算される。目標減速度(目標車体前後加速度)Gdは、通信バスBSを介して、運転支援コントローラECAから制動コントローラECUに伝達される。そして、制動制御装置SCによって、目標減速度Gdに応じた制動力Fg、Fmが発生される。
制動コントローラECU、回生制動装置用のコントローラEG、運転支援装置用のコントローラECAの夫々は、通信バスBSに接続されている。従って、これらのコントローラの間では、通信バスBSを介して情報(検出値、演算値)が共有されている。例えば、車体速度Vxが、制動コントローラECUにて演算され、通信バスBSを通して、運転支援装置用のコントローラECA(単に、「運転支援コントローラ」ともいう)に送信される。目標減速度Gdが、運転支援コントローラECAにて演算され、通信バスBSを介して、制動コントローラECUに送信される。制動コントローラECUには、制動操作量Ba、車輪速度Vw、目標減速度Gd等が入力される。これら信号に基づいて、制動コントローラECUによって、流体ユニットHUが制御される。ここで、制動操作量Ba、及び、目標減速度Gdは、車両JVを減速させるために要求値であるため、「減速要求値Bs」と総称される。なお、制動コントローラECU、及び、運転支援コントローラECAには、走行用蓄電池BTとは別の蓄電池BU(「補機用蓄電池」という)から電力供給が行われる。
<流体ユニットHUの第1の構成例>
図2の概略図を参照して、流体ユニットHUの第1の構成例について説明する。流体ユニットHUは、4つのホイールシリンダCWの液圧(制動液圧)Pwを増加し、調整するための加圧源である。例では、流体ユニットHUは、シングル型のマスタシリンダCMと一体化されている。そして、制動系統として、前後型(「II型」ともいう)のものが採用されている。流体ユニットHUは、アプライユニットAU(マスタシリンダCMを含む)、及び、加圧ユニットKUにて構成される。流体ユニットHU、及び、ホイールシリンダCWは、連絡路HS、入力路HN、リザーバ路HR、還流路HK、サーボ路HVにて接続される。これらは、制動液BFが移動される流体路であり、流体配管、流体ユニットHU内の流路、ホース等が該当する。アプライユニットAU、及び、加圧ユニットKUは、制動コントローラECUによって制御される。
≪アプライユニットAU≫
アプライユニットAUは、マスタリザーバRV、マスタシリンダCM,マスタピストンNM、マスタばねDM、入力シリンダCN、入力ピストンNN、入力ばねDN、入力弁VN、開放弁VR、ストロークシミュレータSS、及び、入力液圧センサPNにて構成される。アプライユニットAUには、入力室Rn、サーボ室Ru、後方室Ro、及び、マスタ室Rmの各種の液圧室が設けられる。ここで、「液圧室」は、制動液BFが満たされ、シール部材SLによって封止されたチャンバである。なお、夫々の液圧室の体積は、入力ピストンNN、マスタピストンNMの移動によって変化される。
マスタリザーバ(「大気圧リザーバ」ともいう)RVは、作動液体用のタンクであり、その内部に制動液BFが貯蔵されている。マスタリザーバRVは、マスタシリンダCM(特に、マスタ室Rm)に接続されている。
マスタシリンダCMは、底部を有するシリンダ部材である。マスタシリンダCMの内部には、マスタピストンNMが挿入され、その内部が、シール部材SLによって封止されて、マスタ室Rmが形成されている。マスタシリンダCMは、所謂、シングル型である。マスタ室Rmは、前輪連絡路HSf、及び、液圧モジュレータMJを介して、最終的には前輪ホイールシリンダCWfに接続される。マスタピストンNMが前進方向Ha(マスタ室Rmの体積が減少する方向)に移動されると、流体ユニットHU(特に、マスタシリンダCM)から液圧モジュレータMJ(最終的には、前輪ホイールシリンダCWf)に対して、液圧Pm(「供給液圧」という)の制動液BFが供給される。
マスタピストンNMには、つば部(フランジ)Tpが設けられている。このつば部Tpによって、マスタシリンダCMの内部は、更に、サーボ室Ruと後方室Roとに仕切られている。サーボ室Ruは、マスタピストンNMを挟んで、マスタ室Rmに相対するように配置される。また、後方室Roは、マスタ室Rmとサーボ室Ruとに挟まれ、それらの間に配置されている。サーボ室Ru、及び、後方室Roも、上記同様に、シール部材SLによって封止されている。
例えば、つば部Tpの受圧面積(即ち、サーボ室Ruの受圧面積)ruは、マスタピストンNMの受圧面積(即ち、マスタ室Rmの受圧面積)rmと等しくなるように設定されている。この場合、サーボ室Ru内に導入された液圧Pa(後述)と、供給液圧Pmとは、定常状態では同一である(即ち、「ru=rm」であるため、「Pa=Pm」である)。
入力シリンダCNは、マスタシリンダCMに固定されている。入力シリンダCNの内部には、入力ピストンNNが挿入され、シール部材SLによって封止されて、入力室Rnが形成されている。入力ピストンNNは、クレビス(U字リンク)を介して、制動操作部材BPに機械的に接続されている。入力ピストンNNには、つば部(フランジ)Tnが設けられる。入力シリンダCNのマスタシリンダCMへの取付面と、入力ピストンNNのつば部Tnとの間には、入力ばねDNが設けられる。入力ばねDNは、マスタシリンダCMの中心軸に沿って、つば部Tnを入力シリンダCNの底部に対して押し付けている。
非制動時には、入力シリンダCNの内部にて、マスタピストンNM(特に、端面Mp)と入力ピストンNN(特に、端面Mn)とは、隙間Ks(「離間距離」ともいう)を有している。非制動時には、ピストンNM、NNは、最も後退方向Hbの位置(各ピストンの「初期位置」という)にある。該状況での隙間Ksが、「所定距離ks(「初期隙間」ともいう)」と称呼される。入力室Rn内で、マスタピストンNMと入力ピストンNNとが離間距離Ksだけ離れていることによって、制動操作部材BPが操作されているにもかかわらず、制動液圧Pwが発生されない状況が生み出される。即ち、離間距離Ksによって、回生協調制御の実行が可能にされる。なお、離間距離Ksは、サーボ液圧Pa(後述)によって制御(調節)される。
入力室Rnと後方室Roとは、入力路HNを介して接続されている。そして、入力路HNには、入力弁VNが設けられる。入力路HNは、後方室Roと入力弁VNとの間で、開放弁VR、及び、リザーバ路を介して、マスタリザーバRVに接続される。入力弁VN、及び、開放弁VRは、開位置(連通状態)と閉位置(遮断状態)とを有する2位置の電磁弁(「オン・オフ弁」ともいう)である。入力弁VNとして常閉型の電磁弁が採用される。また、開放弁VRとして常開型の電磁弁が採用される。
後方室Roには、ストロークシミュレータ(単に、「シミュレータ」ともいう)SSが接続されている。シミュレータSSによって、制動操作部材BPの操作力Fpが発生される。シミュレータSSの内部には、ピストン、及び、弾性体(例えば、圧縮ばね)が備えられる。制動液BFがシミュレータSSに流入する際に、制動液BFによってピストンが押される。ピストンには、弾性体によって制動液BFの流入を阻止する方向に力が加えられるため、制動操作部材BPの操作力Fpが発生される。つまり、制動操作部材BPの操作特性(操作変位Spと操作力Fpとの関係)は、シミュレータSSによって形成される。
入力室Rnの液圧Pn(「入力液圧」という)を検出するよう、入力液圧センサPNが設けられる。入力液圧Pnは、シミュレータSS、及び、後方室Roの液圧でもある。入力液圧センサPNは、上記の制動操作量センサBAの1つであり、入力液圧Pnは、制動操作量Baとして、制動用のコントローラECUに入力される。
流体ユニットHUには、入力液圧センサPNの他に、制動操作量センサBAとして、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び/又は、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPが設けられる。つまり、制動操作量センサBAとしては、入力液圧センサPN、操作変位センサSP(ストロークセンサ)、及び、操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。従って、制動操作量Baは、入力液圧Pn、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つである。
≪加圧ユニットKU≫
加圧ユニットKUは、電気モータMA、流体ポンプQA、調圧弁UA、供給液圧センサPM、及び、サーボ液圧センサPAにて構成される。加圧ユニットKUでは、電気モータMAによって駆動される流体ポンプQAが吐出する制動液BFの圧力が、調圧弁UAによって調節される。ここで、調圧弁UAによって調整された液圧が、「サーボ液圧Pa」と称呼される。サーボ液圧Paは、アプライユニットAU(特に、サーボ室Ru)、及び、後輪ホイールシリンダCWrに供給され、最終的には、前輪、後輪制動液圧Pwf、Pwr(=Pw)が発生される。
「1つの電気モータMA」と「電気モータMAによって駆動される1つの流体ポンプQA」との組み合わせによって、電動ポンプが構成される。電気モータMAは、制動時に、ホイールシリンダCWの液圧(制動液圧)Pwを発生し、調整するための動力源である。電気モータMAには、電気モータMAの回転数Nsを検出するよう、モータ回転数センサNSが備えられる。また、電気モータMAの回転角Kaを検出するよう、回転角センサ(図示省略)が備えられてもよい。この場合、モータ回転数Nsは、モータ回転角Kaが時間微分されることによって演算される。
流体ポンプQAにおいて、吸込部Qsと吐出部Qtとは、還流路HKを介して接続されている。また、流体ポンプQAの吸込部Qsは、リザーバ路HRを介して、マスタリザーバRVに接続されている。電気モータMAが駆動され、流体ポンプQAが回転されると、制動液BFは、還流路HK内を循環する。また、還流路HK、アプライユニットAU、ホイールシリンダCW等で制動液BFの量が不足している場合には、制動液BFがリザーバ路HRを経由して、マスタリザーバRVから吸入される。なお、流体ポンプQAが逆転されないよう、還流路HKには、逆止弁が配置されている。
流体ポンプQAが吐出する制動液BFの圧力Pa(サーボ液圧)を調整するよう、還流路HKには、調圧弁UAが設けられる。調圧弁UAは、その通電状態(例えば、供給電流)に応じて開弁量(リフト量)が連続的に制御されるリニア型の電磁弁(「比例弁」、又は、「差圧弁」ともいう)である。調圧弁UAとして、常開型の電磁弁が採用される。
電気モータMAが作動している場合、還流路HKには、破線矢印で示すような、制動液BFの循環流KN(流体の流れが、再び元の流れに戻ることであり、単に、「還流」ともいう)が発生される。調圧弁UAによって、還流KNが絞られること(所謂、オリフィス効果)によって、サーボ液圧Pa(流体ポンプQAの吐出部Qtと調圧弁UAとの間の圧力)が調整される。なお、調圧弁UAは、常開型であるため、非通電時には全開状態にあり、サーボ液圧Paは「0」である。
還流路HKは、吐出部Qtと調圧弁UAとの間で、サーボ路HVを介して、サーボ室Ruに接続される。従って、サーボ液圧Paは、サーボ室Ruに供給される。サーボ室Ruの受圧面積ruと、マスタ室Rmの受圧面積rmとが等しい構成では、サーボ室Ruにサーボ液圧Paが供給されると、マスタ室Rmからは、サーボ液圧Paと同圧である供給液圧Pmが出力される(即ち、「Pm=Pa」)。更に、受圧面積ru、rmが異なっている構成でも、それらの関係(例えば、受圧面積の比率)は既知であるため、供給液圧Pmとサーボ液圧Paとは相互変換が可能である。
マスタシリンダCMのマスタ室Rmは、前輪連絡路HSf、及び、液圧モジュレータMJを介して、前輪ホイールシリンダCWfに接続される。液圧モジュレータMJは、アンチロックブレーキ制御、車両安定性制御等で、各ホイールシリンダCWの液圧Pwを、独立、且つ、個別に調整するためのものである。前輪連絡路HSfは、液圧モジュレータMJ内で2つに分岐される。分岐された前輪連絡路HSfは、前輪ホイールシリンダCWfの夫々に接続される。前輪連絡路HSfには、マスタ室Rmから供給される制動液BFの液圧Pmを検出するよう、供給液圧センサPMが設けられる。例えば、供給液圧センサPMは、液圧モジュレータMJ内に含まれている。ここで、液圧モジュレータMJが作動されていない場合には、供給液圧Pmは、前輪ホイールシリンダCWf内の液圧(前輪制動液圧)Pwfに等しい。
前輪制動液圧Pwfの調整(例えば、加圧)では、「Ru→Rm→CWf」の順で、サーボ液圧Paが、マスタシリンダCMを介して伝達される。一方、後輪制動液圧Pwrの調整(例えば、加圧)は、サーボ液圧Paが、直接、後輪ホイールシリンダCWrに供給されることで行われる。具体的には、後輪連絡路HSrは、吐出部Qtと調圧弁UAとの間で、還流路HKに接続される。更に、後輪連絡路HSrは、液圧モジュレータMJ内で2つに分岐され、後輪ホイールシリンダCWrの夫々に接続される。後輪連絡路HSrには、サーボ液圧Paを検出するよう、サーボ液圧センサPAが設けられる。なお、アプライユニットAUが「ru=rm」で構成されている場合には、サーボ液圧Paと供給液圧Pmとの間には時間的なズレは存在するが、実質的(定常的)には等しいため、サーボ液圧センサPA、及び、供給液圧センサPMのうちの一方が省略されてもよい。上記同様に、液圧モジュレータMJが作動されていない場合には、サーボ液圧Paは、後輪ホイールシリンダCWr内の液圧(後輪制動液圧)Pwrに等しい。
≪制動コントローラECUによる流体ユニットHUの駆動≫
制動コントローラECUには、減速要求値Bs(制動操作量Ba、目標減速度Gdの総称)の信号が入力される。ここで、制動操作量Baは、制動操作部材BPの操作の程度を表示する信号であり、入力液圧Pn、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つである。コントローラECUには、流体ユニットHUに設けられた各種センサ(PA等)からの信号(Pa等)が入力される。これらの信号、及び、コントローラECUに備えられたマイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムに基づいて、入力弁VNの駆動信号Vn、開放弁VRの駆動信号Vr、調圧弁UAの駆動信号Ua、及び、電気モータMAの駆動信号Maが演算される。コントローラECUには、蓄電池BUから電力が供給される。この電力供給を元に、駆動信号「Vn、Vr、Ua、Ma」に応じて、流体ユニットHUを構成する電磁弁「VN、VR、UA」、及び、電気モータMAが制御(駆動)される。
具体的には、制動コントローラECUには、電磁弁「VN、VR、UA」、及び、電気モータMAを駆動するよう、駆動回路DDが備えられる。駆動回路DDには、補機用蓄電池BUから電力が供給される。駆動回路DDには、電気モータMAを駆動するよう、スイッチング素子(MOS-FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によってブリッジ回路が形成される。モータ駆動信号Maに基づいて、各スイッチング素子の通電状態が制御され、電気モータMAの出力が制御される。また、駆動回路DDでは、電磁弁「VN、VR、UA」を駆動するよう、駆動信号「Vn、Vr、Ua」に基づいて、それらの通電状態(即ち、励磁状態)が制御される。
駆動回路DDには、補機用蓄電池BU(電源)からの供給電圧値Vm(「電源電圧」ともいう)を検出するよう、電圧センサVMが設けられる。また、駆動回路DDには、電気モータMA、及び、電磁弁「VN、VR、UA」の実際の電流値Idを検出する電流センサIDが設けられる。なお、電流センサIDは、複数の電流センサの総称である。具体的には、電流センサIDには、電気モータMAの電流値Im(モータ電流値)を検出するモータ電流センサIM、調圧弁UAの電流値Ia(調圧弁電流値)を検出する調圧弁電流センサIA等が含まれている。
駆動回路DDには、駆動回路DD(特に、スイッチング素子)の温度Tdを検出するよう、回路温度センサTDが備えられている。また、電気モータMAには、電気モータMAの温度Tmを検出するよう、モータ温度センサTMが備えられている。回路温度Td、及び、モータ温度Tmは、負荷状態量Jm(後述)に基づく判定に採用される。
制動操作部材BPが操作される制動時には、入力弁VNが開弁され、開放弁VRが閉弁されている。従って、制動操作部材BPの動きに連動して、入力室Rnから排出される制動液BFは、シミュレータSSに移動される。これにより、制動操作部材BPの操作力Fpが形成される。また、制動時には、電気モータMA、及び、調圧弁UAが駆動される。流体ポンプQAから吐出される制動液BFが、調圧弁UAにて絞られることで、サーボ液圧Paが調整される。サーボ液圧Paは、マスタピストンNMを介して、サーボ室Ruからマスタ室Rmに伝達され、供給液圧Pmとして、前輪ホイールシリンダCWfに供給される。一方、後輪ホイールシリンダCWrには、サーボ液圧Paが、直接供給される。
<調圧制御の第1の処理例>
図3のフロー図を参照して、流体ユニットHU(特に、加圧ユニットKU)における調圧制御の第1の処理例について説明する。「調圧制御」は、電気モータMAを駆動して制動液BFの還流KNを形成し、調圧弁UAにて該還流KNを絞ることで、サーボ液圧Pa(最終的には、制動液圧Pw)を調整するものである。ここで、電気モータMAを動力源に生み出される還流KNを利用してサーボ液圧Paを調圧する流体ユニットHUが、「還流型」と称呼される。調圧制御には、電気モータMAの負荷状態量Jmを考慮して、電気モータMAのストール(即ち、過大な負荷に起因して、電気モータが、失速、又は、停止する現象)を回避する特定制御が含まれている。調圧制御のアルゴリズムは、制動コントローラECU内のマイクロプロセッサMPにプログラムされている。
説明では、以下の事項が前提とされている。車両JVは電動車両であり、前輪WHfに回生制動力Fgを発生できる回生制動装置KCを備える。調圧制御には、回生協調制御が含まれている。「回生協調制御」は、制動制御装置SCの流体ユニットHUによる摩擦制動力Fmと、回生制動装置KCによる回生制動力Fgとを連携させて、車両JVを減速する制動制御である。
ステップS110にて、減速要求値Bs、供給液圧Pm、サーボ液圧Pa、モータ温度Tm、回路温度Td(例えば、素子温度)、モータ電流値Im、調圧弁電流値Ia、モータ回転数Ns、電源電圧Vm等を含む各種信号が読み込まれる。ここで、減速要求値Bsは、車両JVを減速するための要求値であり、制動操作量Ba、及び、目標減速度Gdの総称である。供給液圧Pm、及び、サーボ液圧Paは、供給液圧センサPM、及び、サーボ液圧センサPAによって検出される。モータ温度Tm、及び、回路温度Tdは、モータ温度センサTM、及び、回路温度センサTDによって検出される。モータ電流値Im、及び、調圧弁電流値Iaは、電流センサID(総称)によって検出される。モータ回転数Nsは、モータ回転数センサNSによって検出される。電源電圧Vm(電源BUの実際の電圧)は、電源電圧センサVMによって検出される。
ステップS120にて、減速要求値Bs(制動操作量Ba、又は、目標減速度Gd)に基づいて、目標車体制動力Fvが演算される。「目標車体制動力Fv」は、車体に作用する制動力Fb(即ち、車両JVの全体としての制動力)に対応する目標値である。目標車体制動力Fvは、減速要求値Bs、及び、演算マップZfvに基づいて、減速要求値Bsが所定量bo未満の場合には「0」に演算される。そして、減速要求値Bsが所定量bo以上の場合には、減速要求値Bsの増加に従い、目標車体制動力Fvが「0」から増加するように演算される。ここで、所定量boは、予め設定された所定値(定数)である。
ステップS130にて、限界回生制動力Fxが取得される。「限界回生制動力Fx」は、回生制動装置KCが発生し得る回生制動力Fgの最大値(限界値)である。換言すれば、限界回生制動力Fxは、回生制動力Fgの限度を表す状態量(変数)である。限界回生制動力Fxは、回生制動装置KCの作動状態に基づいて定まる。具体的には、回生制動装置KCの作動状態は、ジェネレータGNの回転速度Ng(即ち、前輪車輪速度Vwf)、回生コントローラEG(特に、IGBT等のパワートランジスタ)の状態(温度等)、及び、走行用蓄電池BTの状態(充電受入量、温度等)のうちの少なくとも1つに該当する。限界回生制動力Fxは、回生コントローラEGにて決定(演算)され、通信バスBSを介して、制動コントローラECUに入力される。
ステップS140にて、目標車体制動力Fv、及び、限界回生制動力Fxに基づいて、目標回生制動力Fh、及び、目標摩擦制動力Fnが演算される。「目標回生制動力Fh」は、回生制動装置KCによって発生される実際の回生制動力Fgに対応する目標値である。また、「目標摩擦制動力Fn」は、制動制御装置SCによって発生される実際の摩擦制動力Fmに対応する目標値である。
ステップS140では、「目標車体制動力Fvが限界回生制動力Fxよりも大きいか、否か」が判定される。目標車体制動力Fvが限界回生制動力Fx以下の場合(即ち、「Fv≦Fx」の場合)には、目標回生制動力Fhは、目標車体制動力Fvに演算されるとともに、目標摩擦制動力Fnは「0」に演算される(即ち、「Fh=Fv、Fn=0」)。一方、目標車体制動力Fvが限界回生制動力Fxよりも大きい場合(即ち、「Fqf>Fxf」の場合)には、目標回生制動力Fhは、限界回生制動力Fxに演算されるとともに、目標摩擦制動力Fnは、目標車体制動力Fvから限界回生制動力Fxを減じた値に演算される(即ち、「Fh=Fx、Fn=Fv-Fx」)。
ステップS140にて演算された目標回生制動力Fhは、制動コントローラECUから回生コントローラEGに送信される。そして、回生コントローラEGによって、実際の回生制動力Fgが、目標回生制動力Fhに近付き、一致するように、ジェネレータGNが制御される。
ステップS150にて、目標摩擦制動力Fnに基づいて、目標液圧Ptが演算される。「目標液圧Pt」は、サーボ液圧Pa(結果、実際の制動液圧Pw)に対応する目標値である。具体的には、制動装置SX等の諸元(ホイールシリンダCWの受圧面積、回転部材KTの有効制動半径、摩擦部材MSの摩擦係数、車輪(タイヤ)の有効半径等)に基づいて、目標摩擦制動力Fnが目標液圧Ptに変換される。
ステップS160にて、負荷状態量Jmが演算される。負荷状態量Jmは、電気モータMAの負荷状態(負荷の程度)を表現する状態量(変数)である。例えば、負荷状態量Jmは、以下に列挙する方法のうちの少なくとも1つによって演算(決定)される。
(1)負荷状態量Jmは、電気モータMAの温度Tmに基づいて演算される。例えば、電気モータMAの温度Tmが、負荷状態量Jmとして決定される(即ち、「Jm=Tm」)。ここで、モータ温度Tmは、電気モータMAに備えられたモータ温度センサTMによって検出される、
(2)負荷状態量Jmは、電気モータMAを駆動する駆動回路DD(特に、スイッチング素子)の温度Tdに基づいて演算される。例えば、駆動回路DDの温度Tdが、負荷状態量Jmとして決定される(即ち、「Jm=Td」)。ここで、回路温度Tdは、駆動回路DDに備えられた回路温度センサTDによって検出される。
(3)負荷状態量Jmが、電気モータMAに供給される実際の電流値Im(モータ電流センサIMの検出値)に対する電気モータMAの出力の比率Hmに基づいて演算される。例えば、比率Hmが、負荷状態量Jmとして決定される(即ち、「Jm=Hm」)。ここで、電気モータMAの出力として、電気モータMAの回転数Ns(回転数センサNSの検出値)が採用される。また、電気モータMAの出力として、制動液圧Pw(即ち、サーボ液圧Pa、供給液圧Pm)が採用されてもよい。
つまり、負荷状態量Jm(電気モータMAの負荷の大きさ)は、モータ温度Tm、駆動回路温度Td、及び、モータ電流Im(即ち、電気モータMAに対する入力)に対する出力(例えば、実際のサーボ液圧Pa、実際の供給液圧Pm、実際のモータ回転数Ns)の少なくとも1つに基づいて決定される。
ステップS170にて、「電気モータMAの負荷が過大であるか、否か(「過負荷判定」という)」が判定される。過負荷判定は、電気モータMAのストールの蓋然性を予測するものである。具体的には、過負荷判定は、負荷状態量Jmに基づいて、「負荷状態量Jmが所定量jm以上であるか、否か」が判定される。所定量jmは、過負荷判定における判定しきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。「Jm<jm」であり、モータ負荷が相対的に小さく、モータストールの蓋然性が低い場合には、過負荷判定は否定され、処理はステップS180に進められる。一方、「Jm≧jm」であり、モータ負荷が大であり、モータストールの蓋然性が高い場合には、過負荷判定は肯定され、処理はステップS190に進められる。
ステップS180にて、通常時の調圧制御(「常用制御」という)が実行される。常用制御では、目標液圧Ptに基づいて、電気モータMAが駆動される。具体的には、目標液圧Ptに基づいて目標回転数Nt(実際のモータ回転数Nsに対応する目標値)が演算され、目標回転数Ntに基づいて電気モータMAへの供給電流Imが調整される。例えば、電気モータMAの駆動制御では、目標液圧Ptの時間変化量dP(即ち、目標液圧Ptの時間微分値)の増加に伴って、目標回転数Ntが増加されるように演算される。そして、実際のモータ回転数Nsが目標回転数Ntに、近づき、一致するように、パルス幅変調制御(所謂、PWM制御)が実行される。つまり、電気モータMAの駆動制御において、回転数フィードバック制御が行われる。
回転数フィードバック制御では、目標回転数Nt、及び、実際の回転数Ns(モータ回転数センサNSの検出値、或いは、回転角センサの検出値の時間微分値)に基づいて、その偏差hNが演算される(即ち、「hN=Nt-Ns」)。そして、回転数偏差hNが「0」に近付き、一致するよう、電気モータMAへの電流値Im(例として、PWM制御におけるデューティ比)が調整される。詳細には、回転数偏差hNが所定回転数hnよりも大きい場合には、電気モータMAの電流値Imが増加され、電気モータMAは増速される。一方、回転数偏差hNは所定回転数「-hn」未満の場合には、電気モータMAの電流値Imが減少され、電気モータMAは減速される。ここで、所定回転数hnは、制御の不感帯であり、予め設定された所定値(正符号の定数)である。なお、目標回転数Ntは、目標液圧Ptの関数ではなく、予め設定された所定値(定数)であってもよい。
更に、ステップS180の常用制御では、目標液圧Ptに基づいて、調圧弁UAが駆動される。具体的には、サーボ液圧Paが、目標液圧Ptに近付き、一致するように、調圧弁UAの供給電流Iaが調整される。例えば、調圧弁UAを駆動するための電流制御では、目標液圧Pt、及び、演算マップZip(後述のIP特性)に基づいて、目標液圧Ptの増加に伴って、目標電流値It(実際の電流値Iaに対応する目標値)が増加されるように演算される。そして、実際の電流値Iaが目標電流値Itに、近づき、一致するように制御される(所謂、電流フィードバック制御)。
更に、調圧弁UAの駆動制御では、サーボ液圧Paが、目標液圧Ptに近付き、一致するように、目標電流値Itが調整されてもよい。具体的には、目標液圧Pt、及び、サーボ液圧Paに基づいて、その偏差hPが演算される(即ち、「hP=Pt-Pa」)。そして、液圧偏差hPが「0」に近付き、一致するよう、調圧弁UAへの電流値Ia(例として、PWM制御におけるデューティ比)が調整される。詳細には、液圧偏差hPが所定液圧hpよりも大きい場合には、調圧弁UAの目標電流値It(結果、実電流値Ia)が増加され、調圧弁UAの開弁量が減少される。一方、液圧偏差hPが所定液圧「-hp」未満の場合には、調圧弁UAの電流値It、Iaが減少され、調圧弁UAの開弁量が増加される。ここで、所定液圧hpは、制御の不感帯であり、予め設定された所定値(正符号の定数)である。
ステップS190にて、電気モータMAの負荷が過大である場合の調圧制御(「第1の特定制御」と称呼され、単に、「特定制御」ともいう)が実行される。第1の特定制御では、電気モータMAが、失速し、停止しないよう、調圧弁UAへの通電制限が行われる。ステップS190では、ステップS180と同様の方法で、電気モータMAが駆動される。一方、調圧弁UAへの供給電流Iaが後述の方法で制限される。
<調圧弁UAの通電制限>
図4の特性図を参照して、ステップS190の第1の特定制御における調圧弁UAの通電制限について説明する。「通電制限」は、過負荷判定が肯定された場合に、電気モータMAのストールが回避されるよう、調圧弁UAへの供給電流Iaを制限して、電気モータMAの負荷を軽減するものである。特性図は、調圧弁UAにおいて、供給される電流値と、出力される液圧との関係を表現する演算マップであり、「IP特性」と称呼される。演算マップ(IP特性)Zipにおいて、横軸は目標電流値It(結果、電流値Ia)を、縦軸は目標液圧Pt(結果、実際のサーボ液圧Pa)を、夫々表示している。
調圧弁UAは、常開型であるため、供給電流Iaが増加されるに従って、開弁量が減少され、サーボ液圧Pa(結果、供給液圧Pm、制動液圧Pw)が増加される。演算マップZipにおいて、点Xは、制動制御装置SCに要求される最大の作動点である。従って、供給電流の定格値ix(「定格電流」という)は、制動制御装置SCに要求されるサーボ液圧Paの定格値px(「定格液圧」という)に対応している。ステップS180の常用制御では、調圧弁UAには、「0」から定格電流ixまでの範囲で、電流値Iaが調整されることで、サーボ液圧Paが、「0」から定格液圧pxまでの範囲で調整され得る(図中の二点鎖線で示す範囲)。「定格液圧px」は、制動制御装置SCが継続的に発生し得るサーボ液圧Pa(結果、制動液圧Pw)の最大値に対応している。
電気モータMAの負荷が過大である場合(即ち、ステップS170の過負荷判定が肯定される場合)には、ステップS190の特定制御にて、作動点Sで示すように、調圧弁UAに対して供給される電流値It(目標値)、Ia(実際値)が、制限電流値Izを超えないよう、限度が設けられる。電流値It、Iaが、制限電流値Izに制限されることにより、加圧ユニットKUからの出力(液圧)Pt、Paは、制限液圧Pzに制限される。ここで、目標液圧Pt(目標値)の制御結果が、サーボ液圧Pa(実際値)である。第1の特定制御では、演算マップZipにおいて、制動制御装置SCの作動点が、原点(0,0)から点S(Iz,Pz)までの範囲に制限される(図中の破線で示す範囲)。
例えば、電気モータMAの負荷の程度(過負荷の度合い)を表す負荷状態量Jmは、電気モータMAの温度Tm、及び/又は、電気モータMAの駆動回路DDの温度Tdに基づいて決定(演算)される。これは、負荷が高いほど、温度Tm(電気モータMAの本体の温度)、Td(駆動回路DDの温度)が上昇することに基づく。また、負荷状態量Jmは、電気モータMAにおいて、入力(即ち、モータ電流値Im)と出力(即ち、サーボ液圧Pa、供給液圧Pm、モータ回転数Ns)との関係に基づいて演算されてもよい。具体的には、入力に対する出力の比率Hmが演算され、該比率Hmに応じて、負荷状態量Jmが決定される。なお、「電気モータMAが過負荷状態であること(過負荷判定の肯定条件)」は、「負荷状態量Jm(変数)が、予め設定された所定量jm(定数)以上であること」に基づいて判定される。
過負荷判定が肯定される場合には、第1の特定制御によって、目標電流値It(結果、実電流値Ia)が、制限電流値Iz以下になるように制限される。該制限により、調圧弁UAには制限電流値Izよりも大きい電流は供給されないので、結果、サーボ液圧Paは、制限液圧Pz以下に制限される。制限電流値Iz(変数)は、ブロックX190に示すように、負荷状態量Jm、及び、演算マップZjmに基づいて演算される。具体的には、演算マップZjmに応じて、負荷状態量Jmが大きいほど、制限電流値Izが小さくなるように決定される。従って、負荷状態量Jmが大きいほど、制限液圧Pzは低く設定される。また、制限電流値Iz(結果、制限液圧Pz)は、予め設定された所定値(定数)として設定されてもよい。第1の特定制御によって、電気モータMAの負荷が制限されるので、電気モータMAのストールが回避され得る。そして、調圧弁UAによる制動液圧Pwの調圧が継続可能にされる。
例えば、調圧弁UAの駆動制御では、パルス幅変調制御(PWM制御)が実行される。PWM制御では、目標電流値It、及び、予め設定された演算マップに基づいて、パルス幅のデューティ比Du(周期的なパルス波において、その周期に対するオン状態のパルス幅の割合)が決定される。調圧弁UAにおける、入力電圧(電源電圧であり、蓄電池BUの電圧)、及び、デューティ比Dtによって、調圧弁UAに供給される最終的な電圧が定まり、その結果、調圧弁UAの電流値Iaが決まる。従って、調圧弁UAの駆動において、PWM制御が採用される場合には、制限電流値Izに基づく制限において、デューティ比Duが制限されてもよい。即ち、デューティ比Duが制限されることによって、実質的には、電流値Iaが制限される。
更に、負荷状態量Jmに基づく電流制限は、目標液圧Ptが制限されることによって行われてもよい。これは、調圧弁UAでは、目標液圧Ptに応じた目標電流値Itに基づき実電流Iaが制御されるためである。つまり、負荷状態量Jmに基づいて、目標液圧Ptが制限されることで、実際の電流値Iaが制限され得る。
<調圧制御の第2の処理例>
図5のフロー図を参照して、調圧制御の第2の処理例について説明する。第1の処理例では、電気モータMAの過負荷状態を表す負荷状態量Jmに基づいて、電流値Iaの制限が行われた。これに代えて、第2の処理例では、電気モータMAの電源電圧Vm(即ち、蓄電池BUの電圧)に基づいて、電流値Iaが制限される。第2の処理例において、第1の処理例と同じ記号が付された演算ステップ(即ち、ステップS110~S150、及び、ステップS180)では、第1の処理例と同じ演算処理が行われる。従って、これらの演算ステップでの処理についての説明は省略される。以下、第1の処理例との相違点について説明する。
ステップS200にて、「補機用蓄電池BU(電源)の電圧Vmが低下しているか、否か(「電圧低下判定」という)」が判定される。電源電圧Vmは、電気モータMAを駆動するために、蓄電池BUから駆動回路DDに入力(供給)される電圧である。例えば、電源電圧Vmは、駆動回路DDに設けられた電源電圧センサVMによって検出される。具体的には、電圧低下判定は、「電源電圧Vmが、所定電圧vm未満であるか、否か」に基づいて判定される。ここで、所定電圧vmは、予め設定された所定値(定数)である。「Vm≧vm」である場合には、ステップS200の電圧低下判定は否定され、処理はステップS180に進められ、常用制御が実行される。一方、「Vm<vm」である場合には、電源電圧Vmは低下しているので、ステップS200の電圧低下判定は肯定され、処理はステップS210に進められる。
ステップS210にて、電気モータMAの電源電圧Vmが低下している場合の調圧制御(「第2の特定制御」と称呼され、単に、「特定制御」ともいう)が実行される。第2の特定制御でも、第1の特定制御と同様に、電気モータMAが、失速し、停止しないよう、調圧弁UAへの通電制限が行われる。ステップS210でも、ステップS180と同様の方法で、電気モータMAが駆動される。一方、調圧弁UAへの供給電流Iaが、ステップS190と同様の方法で制限される。
図4の特性図を再度参照して、ステップS210の特定制御における調圧弁UAの通電制限について説明する。第2の特定制御による通電制限は、電源電圧Vmの低下判定が肯定された場合に、電気モータMAのストールが回避されるよう、調圧弁UAへの供給電流Iaを制限して、電気モータMAの負荷を軽減するものである。電気モータMAの電源電圧Vmが低下している場合(即ち、ステップS200の判定が肯定される場合)には、ステップS210の特定制御にて、調圧弁UAに対して供給される電流It(目標値)、Ia(実際値)が、制限電流値Izによって制限される。これにより、加圧ユニットKUからの液圧Pt(目標値)、Pa(実際値)は、制限液圧Pz以下になるように制限される(作動点Sを参照)。即ち、第2の特定制御では、第1の特定制御と同様に、演算マップZipにおいて、制動制御装置SCの作動点が、原点(0,0)から点S(Iz,Pz)までの範囲に制限される(図中の破線で示す範囲)。なお、電源電圧Vmは、駆動回路DDに備えられた電源電圧センサVMによって検出される。
電圧低下判定が肯定される場合には、第2の特定制御によって、目標電流値It(結果、電流値Ia)が、制限電流値Izを超えないように制限される。該制限により、調圧弁UAには制限電流値Izよりも大きい電流は供給されないので、サーボ液圧Pa(結果、供給液圧Pm、制動液圧Pw)は、制限液圧Pzまでの範囲に制限される。制限電流値Iz(変数)は、ブロックX190に示すように、電源電圧Vm、及び、演算マップZvmに基づいて演算される。具体的には、演算マップZvmに応じて、電源電圧Vmが小さいほど、制限電流値Izが小さくなるように決定される。従って、電源電圧Vmの低下度合いが大きいほど、制限液圧Pzは低く設定される。また、制限電流値Iz(結果、制限液圧Pz)は、予め設定された所定値(定数)として設定されてもよい。第2の特定制御によって、電気モータMAの負荷が制限されるので、電気モータMAのストールが回避されるとともに、調圧弁UAによる制動液圧Pwの調圧制御が継続され得る。なお、上述したように、調圧弁UAが、PWM制御によって駆動される場合には、電流制限において、デューティ比Duが制限されてもよい。これは、デューティ比Duが制限されることで、実質的には、電流値Iaが制限されるもとに基づく。
上記同様、電流制限は、目標液圧Ptの制限によって行われてもよい。調圧弁UAの電流制御は、目標液圧Ptに基づいて演算される目標電流値Itに応じて行われる。従って、電源電圧Vmに基づいて、目標液圧Ptが制限されることにより、実際の電流値Iaが制限され得る。
<流体ユニットHUの第2の構成例>
図6の概略図を参照して、流体ユニットHUの第2の構成例について説明する。第2の構成例に係る流体ユニットHUも、前輪WHfに回生制動装置KCを備える車両JVに適用される。第2の構成例において、第1の構成例と同じ記号を付された部材(MA等)は、第1の構成例と同じ機能のものである。従って、第1の構成例との相違点について説明する。なお、例では、受圧面積ru、rmは同じになるよう、流体ユニットHUが構成されている。
第2の構成例では、還流路HKにおいて、流体ポンプQAと調圧弁UA(「第1調圧弁」ともいう)との間に、第2調圧弁UBが設けられる。第2調圧弁UBは、第1調圧弁UAと同様の、常開型のリニア電磁弁である。第2の構成例では、流体ポンプQAが吐出する制動液BFが、2段で絞られることで調整される。ここで、第1調圧弁UAと第2調圧弁UBとの間の液圧Paが、「第1サーボ液圧」と称呼される。また、第2調圧弁UBと流体ポンプQAとの間の液圧Pbが、「第2サーボ液圧」と称呼される。第2サーボ液圧Pbは、第2調圧弁UBによって、第1サーボ液圧Paから増加するように調節される。従って、第1サーボ液圧Paと第2サーボ液圧Pbとの大小関係においては、第2サーボ液圧Pbは、常に第1サーボ液圧Pa以上である(即ち、「Pb≧Pa」)。なお、第2調圧弁UBは、駆動信号Ubによって制御される。また、流体ユニットHUには、第1、第2サーボ液圧Pa、Pbを検出するよう、第1、第2サーボ液圧センサPA、PBが設けられる。
還流路HKは、第1調圧弁UAと第2調圧弁UBとの間の部位Xaにて、サーボ路HVを介して、サーボ室Ruに接続される。従って、第1サーボ液圧Paは、サーボ室Ruに供給され、マスタ室Rmから、供給液圧Pmとして出力される(即ち、「ru=rm」であるため、「Pm=Pa=Pwf」)。また、還流路HKは、流体ポンプQAと第2調圧弁UBとの間の部位Xbにて、後輪連絡路HSrを介して、後輪ホイールシリンダCWrに接続される。従って、第2サーボ液圧Pbは、後輪ホイールシリンダCWrに供給される(即ち、「Pb=Pwr」)。第2の構成例では、「Pwf≦Pwr」の範囲で、前輪制動液圧Pwfと後輪制動液圧Pwrとが個別に調整されるので、前輪WHfに回生制動装置KCを備えた車両JVにおいて、前輪制動力Fxfと後輪制動力Fxrとの比率(所謂、前後制動力配分)が一定に維持された上で、回生協調制御の実行が可能である。
第2の構成例でも、第1の構成例と同様に、過負荷判定(ステップS170を参照)、及び、電圧低下判定(ステップS200を参照)のうちの少なくとも1つが肯定された場合には、図3~5を参照して説明した、第1、第2調圧弁UA、UBの通電制限が行われる。これにより、モータストールが回避され、第1、第2調圧弁UA、UBによる調圧制御が、モータストールによって中断されることなく、継続され得る。
なお、後輪WHrに回生制動装置KCを備える車両JVに、第2の構成例に係る流体ユニットHUが適用される場合には、第1サーボ液圧Paが後輪ホイールシリンダCWrに供給され、第2サーボ液圧Pbがサーボ室Ruに供給される。該構成でも、上述した通電制限が行われることで、上記同様の効果を奏する。
<流体ユニットHUの他の構成例>
本発明に係る制動制御装置SCの流体ユニットHUとして、シングル型マスタシリンダCMでCNを備える構成例(図2を参照)、2段階で調圧できる加圧ユニットKUを備える構成例(図6を参照)について説明した。これらに代えて、本発明に係る制動制御装置SCでは、流体ユニットHUとして、タンデム型マスタシリンダCMを備える構成(例えば、特開2020-032833号を参照)、ホイールシリンダCWと加圧ユニットKUとが電磁弁を介して接続される構成(例えば、特開2021-014157号を参照)等が採用されてもよい。何れにしても、本発明に係る制動制御装置SCに含まれる流体ユニットHUでは、電気モータMAで駆動される流体ポンプQAが吐出する制動液BFが、調圧弁(UA等)によって調節される。
更に、上記の構成例は、ストロークシミュレータSSにて制動操作部材BPの操作力Fpを発生するブレーキ・バイ・ワイヤ型であって、還流型の加圧ユニットKUによって、サービスブレーキ(「常用ブレーキ」ともいう)の機能を実現するものである。これに代えて、加圧ユニットKUが、サービスブレーキには使用されず、車両安定性制御の実行、或いは、回生協調制御(特に、車両停止直前のすり替え作動)の実行に限って作動されてもよい(例えば、特開2014-213854号、特開2015-095966号を参照)。
第1、第2の特定制御による通電制限は、サービスブレーキを実現する制動制御装置SCに適用されることが、より効果的である。例えば、サービスブレーキが作動している最中に、電気モータMAが停止すると、制動液圧Pwの調整は、加圧ユニットKUによるものから、マニュアル制動(運転者の筋力のみによる制動)による加圧に切り替えざるを得ない。しかしながら、制動制御装置SCでは、加圧ユニットKUが発生し得る定格液圧pxは制限されるものの、電気モータMAの駆動が継続されるので、加圧ユニットKUによる調圧制御が継続され得る。つまり、電気モータMAの過負荷状態等が発生した際に、直ちにはマニュアル制動に切り替えられない。このため、制動制御装置SCの不調時において、急な性能低下が発生せず、調圧制御の連続性が担保されるので、運転者への違和感が低減され得る。
<制動制御装置SCの実施形態のまとめ>
以下、本発明に係る制動制御装置SCの実施形態をまとめる。制動制御装置SCは、「電気モータMAで駆動される流体ポンプQAが吐出する制動液BFの圧力Pa(サーボ液圧)を調圧弁UAによって調節する加圧ユニットKU」、及び、「加圧ユニットKUを制御することでホイールシリンダCWの制動液圧Pwを調整するコントローラECU」にて構成される。
制動制御装置SCでは、コントローラECUによって、電気モータMAの負荷の程度(大きさ)を表す負荷状態量Jmに基づいて、上記の調圧弁(UA等)に供給される電流値(Ia等)の制限が行われる。この電流制限は、負荷状態量Jmが所定量jm未満の場合には実行されないが、負荷状態量Jmが所定量jm以上の場合には実行される。具体的には、負荷状態量Jmは、電気モータMAの温度Tmに基づいて演算される。また、負荷状態量Jmは、電気モータMAを駆動する回路DD(特に、電気モータMAの駆動素子)の温度Tdに基づいて演算され得る。更に、負荷状態量Jmは、電気モータMAにおいて、供給電流値Imに対するモータ出力の比率Hmに基づいて演算されてもよい。ここで、電気モータMAの出力に係る状態量として、サーボ液圧Pa、Pb、供給液圧Pm、及び、モータ回転数Nsのうちの少なくとも1つが採用される。
還流型の加圧ユニットKUでは、流体ポンプQAから吐出される制動液BFが、調圧弁UA等によって絞られる際のオリフィス効果で、サーボ液圧Pa等が調整される。詳細には、(第1)調圧弁UA(以下、第2調圧弁UBも同様)は、常開型のリニア電磁弁であり、制動コントローラECUによって制御される。調圧弁UAは、ソレノイドで駆動される弁体を含んでいて、ソレノイドに通電が行われると、ソレノイドにおいて、固定コイル内にプランジャを引き込もうとする推力(「吸引力」という)が発生される。この吸引力は、ソレノイドに固定された弁体に対して、流体ポンプQAからの制動液BFが調圧弁UA内に流れ込むのを阻止するように作用する。ここで、制動液BFによって、弁体に対して作用する力が、「流体力」と称呼される。調圧弁UAの弁体の吸引力と、制動液BFの流れ(即ち、還流KN)による流体力とは、互いに向き合い、対抗している。吸引力と流体力とが均衡した状態で、調圧弁UAの開弁量(即ち、弁体と弁座との隙間)が定まり、サーボ液圧Paが決まる。
電気モータMAは、定格液圧px(継続的に達成され得る最大液圧)を発生できるように設計されている。つまり、電気モータMAは、定格液圧pxを発生させるために十分な出力を備えている。しかしながら、電気モータMAの負荷状態量Jmが過大となると、電気モータMAの出力が相対的に低下する状況が生じ得る。例えば、以下に列挙するような状況が想定される。
-電気モータMA、及び/又は、流体ポンプQAの軸受(例えば、ベアリング)での摩擦増加に起因するトルク損失の増大。
-電気モータMAと流体ポンプQAとの継ぎ手での摩擦増加に起因するトルク損失の増大。
-流体ポンプQA内への異物混入によるトルク損失の増大。
-電気モータMAの過熱による出力の低下。
上述したように、制動液BFの流体力は、電気モータMAを動力源にして発生される。トルク損失増大の影響を受け、電気モータMAの出力が相対的に低下し、調圧弁UAの吸引力に対応する流体力が発生できなくなると、サーボ液圧Pa(結果、制動液圧Pw)の調整が困難となる。また、トルク損失が、更に増加すると、モータストール(電気モータMAが失速し、停止に至る現象)の発生の蓋然性が高まる。万一、モータストールが発生すると、循環流KNを発生させる動力が失われるので、サーボ液圧Pa(結果、制動液圧Pw)は発生され得なくなる。この状況下では、制動制御装置SCによる制動から、マニュアル制動(運転者の筋力のみによる制動)に切り替えられる。
本発明に係る制動制御装置SCでは、負荷状態量Jmが過大になる場合(即ち、「Jm≧jm」の場合)には、調圧弁UAへの電流値It(目標値)、Ia(実際値)が、制限電流値Izに制限される。これにより、調圧弁UAにおける吸引力(即ち、還流KNの流体力の抵抗として作用する力)に制限が設けられる。このため、電気モータMAでのストール発生が回避され得る。結果、制動制御装置SC(特に、加圧ユニットKU)による制動液圧Pwの調整制御が、中断されることなく、維持され得る。つまり、電気モータMAの負荷が過大となる場合でも、定格液圧が制限された調圧制御が継続される。従って、電気モータMAの過負荷状態が発生しても、直ちにはマニュアル制動に切り替えられないので、運転者の違和感が抑制される。
負荷が増加することに基づく、電気モータMAの相対的な出力低下の度合いは、負荷状態量Jmに依存する。従って、負荷状態量Jmが大きいほど、制限電流Izが小さくなるように設定されることが望ましい(ブロックX190の演算マップZjmを参照)。しかしながら、制限電流Izが、所定値(定数)として予め設定されても、モータストール防止は図られる。
制動制御装置SCでは、コントローラECUによって、電気モータMAの電源電圧Vmに基づいて、上記の調圧弁(UA等)に供給される電流値(Ia等)の制限が行われる。ここで、電源電圧Vmは、蓄電池BUの出力電圧であり、駆動回路DDへの入力電圧である。電流制限は、電源電圧Vmが所定電圧vm以上の場合には実行されないが、電源電圧Vmが所定電圧vm未満の場合には実行される。
電源電圧Vmが低下した状況で、上述した負荷状態量Jmが過大となる状況と同様の現象(即ち、電気モータMAの出力が相対的に低下し、モータストールの発生確率が高まること)が発生し得る。制動制御装置SCでは、電源電圧Vmが低下した場合(即ち、「Vm<vm」の場合)には、調圧弁UAへの電流値It(目標値)、Ia(実際値)が制限される。更に、制限電流Izは、所定値(定数)として予め設定されてもよいが、電源電圧Vmが小さいほど、制限電流Izが小さくなるように設定されることが好ましい(ブロックX190の演算マップZvmを参照)。調圧弁の電流制限により、上記同様の効果(即ち、モータストールの未然防止)を奏する。
SC…制動制御装置、BP…制動操作部材、CM…マスタシリンダ、CW…ホイールシリンダ、HU…流体ユニット、KU…加圧ユニット、QA…流体ポンプ、MA…電気モータ(流体ポンプQAの駆動用)、UA…調圧弁(第1調圧弁)、UB…第2調圧弁、ECU…コントローラ(制動用)、BA…制動操作量センサ、Ba…制動操作量、Pt…目標液圧、It…目標電流値、Ia…実際の電流値、ID…電流センサ(総称)、IA…調圧弁電流センサ、IM…モータ電流センサ、Pa…サーボ液圧(第1サーボ液圧)、Pb…第2サーボ液圧、Pm…供給液圧、PA…サーボ液圧センサ(第1サーボ液圧センサ)、PB…第2サーボ液圧センサ、PM…供給液圧センサ、Jm…負荷状態量、Vm…電源電圧、VM…電源電圧センサ、BU…補機用蓄電池(電源)、DD…駆動回路、Pw…制動液圧、Tm…モータ温度、TM…温度センサ、Td…駆動回路温度(例えば、素子温度)、TD…温度センサ、Ns…モータ回転数、NS…モータ回転数センサ。


Claims (3)

  1. 電気モータで駆動される流体ポンプが吐出する制動液の圧力を調圧弁によって調節する加圧ユニットと、前記加圧ユニットを制御することでホイールシリンダの制動液圧を調整するコントローラと、を備える車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記電気モータの負荷の程度を表す負荷状態量に基づいて、前記調圧弁への電流値の制限を行うようになっており、
    前記コントローラは、
    前記負荷状態量が所定量未満の場合には前記制限を実行せず、前記負荷状態量が所定量以上の場合には前記制限を実行する、車両の制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記電気モータの電源電圧に基づいて前記制限を行う、車両の制動制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記電源電圧が所定電圧以上の場合には前記制限を実行せず、前記電源電圧が前記所定電圧未満の場合には前記制限を実行する、車両の制動制御装置。
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