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JP7632366B2 - コイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法 - Google Patents
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JP7632366B2 - コイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法 - Google Patents

コイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明の実施の形態は、コイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法、及び、コイル状鋼板の冷却設備に関する。
コイル状鋼板の製造に当たっては熱間圧延(熱延)、或いは、冷間圧延(冷延)が実行される。このうち、例えば熱延鋼板を製造する場合には、まず加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で圧延して粗バーとする。次いでこの粗バーを複数機の圧延スタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機を通過させることで所定の厚みの熱延鋼板とする。
そしてこの連続熱間仕上げ圧延機から出た熱延鋼板は、ランアウトテーブルに設置された冷却装置の上方及び下方から供給される冷却水によって冷却された後、巻き取り機で巻き取られることによって、コイル状熱延鋼板となる。そしてこのコイル状熱延鋼板の状態で保管される。
一方、冷延鋼板の場合は、連続熱間仕上げ圧延機から出た熱延鋼板に対して酸洗処理工程や焼鈍処理工程、冷間圧延工程などの各工程を経て、冷延鋼板となる。そして、当該冷延鋼板についても巻き取り機で巻き取られることで、コイル状冷延鋼板となる。このようなコイル状冷延鋼板についてもこの状態で保管される。
このように、各種鋼板は保管時には巻き取られてコイル状とされている。ちなみに、このような巻き取られた状態にある各種鋼板は、例えば、コイル状熱延鋼板の場合、その温度は500~650℃、コイル状冷延鋼板の場合には、この温度以下である。但し、この温度状態のままでは出荷や次の工程へ回すことができないため、これらコイル状鋼板が置かれているコイル置き場(以下、このような置き場を適宜「冷却床」と表す。)において、常温まで冷却されてから運搬・出荷される。
当該冷却床には、大量のコイル状鋼板が置かれて冷却されている。そのためどうしても高温のコイル状鋼板の周囲に同じく高温のコイル状鋼板が置かれることになる。従ってこの場合、各コイル状鋼板の周囲の温度は高くなっている。このため、コイル状鋼板の冷却能率が低下し、コイル状鋼板の冷却を完了するまでに、例えば、3~5日かかることもある。
その結果、冷却床として使用するためにコイル状鋼板を置くための敷地は、広大とならざるを得ない。また、冷却に時間が掛かることから、コイル状鋼板を出荷するまでの期間が長くなるという問題が発生する。さらにこのように冷却に時間が掛かることによって、冷却床のコイル置き場不足やコイルの在庫増加も問題となる。
そこで、コイル状鋼板の冷却時間を短縮するため、コイル状鋼板に冷却水を散布する方法が種々提案されている。しかしながら、例えばコイル状の冷延鋼板のように、コイル状鋼板の表面温度が100℃以下の状態でコイル状鋼板に冷却水が散布されると、冷却水が蒸発しにくい。そのため、コイル状鋼板の表面が水で濡れ、そのまま放置するとその表面に錆が発生することがあり得る。
コイル状鋼板に錆が発生するとその外観が損なわれ、コイル状鋼板を製品として出荷することができなくなる。また、冷却水の散布を行わなくても、特に冬から春先にかけての外気温が低い季節は、コイル状鋼板が結露する可能性もあり、結露による錆発生の可能性もある。
そこで、以下の特許文献1ないし特許文献3には、鋼板の冷却に関して様々な方策が開示されている。例えば、特許文献1に記載の技術のように、コイルを構成する熱延鋼板の表面が濡れないようにするために、コイル周囲の温度と湿度を測定し、コイルを冷却するための冷却水の噴霧量を制御する熱延コイルの水冷方法が提案されている。
一方特許文献2に記載の技術では、コイル1個に対し、冷却ノズルをその幅方向両端面に配置し、両側からそれぞれの冷却ノズルを用いて冷却する熱延コイルの冷却方法も提案されている。
さらに、特許文献3に記載の技術のように、熱間圧延ラインに設置される巻取り機で巻き取られた後のコイル状鋼板を冷却するに際し、コイル状鋼板の幅方向両端部に冷却ミストを間欠的に吹き付けて冷却を行うコイル状熱間圧延鋼板の冷却方法も提案されている。
特開昭57-134207号公報 特開平5-177240号公報 特開2013-188753号公報
しかしながら、特許文献1に記載された熱延コイルの水冷方法は、コイル置き場の天井という、コイルからすれば遠方からコイルに冷却水を散布しているため、コイルの冷却能力が低くなり、効率的なコイルの冷却ができないという問題点がある。
また、特許文献2に記載された熱延コイルの水冷方法は、1つの熱延コイルに対し、冷却ノズルを熱延コイルの幅方向両端面に1個ずつ用いているだけのため、冷却ノズルから出た微小液滴(以下、このような「微少液滴」を適宜「ミスト」と表す。)が熱延コイルの幅方向両端面に十分に広がらない。すなわち、冷却面積が狭いことから、熱延コイルの全体を冷却することが困難である。その結果、特許文献2に記載された熱延コイルの水冷方法は、コイルの冷却効率が低下するという問題がある。
ここで、コイル状鋼板に対する冷却能力を向上させるためには、単位面積当たりのミストの噴射流量を増加させることが重要である。しかしながら、この噴射流量を増加させると、コイル状鋼板周囲の湿度の増加やコイル表面の温度の低下といった原因でミストが蒸発しにくくなる。
そのため、蒸発しないミストがコイルに付着しやすい。特に、コイル状鋼板の表面の温度が100℃未満の場合は、付着したミストが蒸発しにくいため、コイル表面が濡れた状態となりやすく、錆の発生を誘発しかねない。
このような水冷時のコイル表面の濡れを防止するには、粒子径が小さなミストを用いることが有効であると考えられる。これは、ミストの粒子径が小さい方が蒸発に必要な熱量が小さく、蒸発しやすいからである。
一方で、ミストの粒子径を微小化すると、コイル状鋼板における周囲の風の影響を受けてミストが拡散してしまうことも考えられ、ミストが冷却対象となるコイル状鋼板から外れやすい。またミストノズルからコイルへの噴射距離が短くなってしまうため、そもそも噴射されたミストがコイル状鋼板に届かない可能性が生じ得るという問題がある。
ここで、特許文献3に記載されたコイル状熱間圧延鋼板の冷却方法は、常に冷却ミストをミストノズルからコイル状鋼板に噴射するとともに、その冷却ミストを気流に乗せてコイル状鋼板の幅方向端部に間欠的に吹き付けるために送風機の首振りを併用する方法である。
しかしこの方法でも、上述した問題から適切にコイル状の熱延鋼板の冷却が行われない可能性があり、しかも却って冷却対象となっているコイル状鋼板以外の周囲の湿度増加を招きかねない。特に、上記コイル状の熱延鋼板の冷却方法によって冷却完了されたコイルは結露するため、コイルに錆が発生するリスクが増加する。
従って、コイル状鋼板に錆を発生させることなく冷却するべく、適切な温度、湿度等の管理が必要となるとともに、より迅速にコイル状鋼板を冷却することも考慮して冷却装置を制御する必要がある。そして当該制御を行うためには、例えば、コイル状鋼板の冷却完了時間や結露が生ずる状態を予測する予測モデルがあるとより適切な制御を行うことができる。
本発明は、上述したような点に着目してなされたもので、コイル状鋼板の表面の濡れ抑制とコイル状鋼板の冷却能力向上との両立を可能とし、コイル状鋼板に錆を発生させず、しかも高能率でコイル状鋼板の冷却を行うことができるコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法、及び、コイル状鋼板の冷却設備を提供することを目的としている。
本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法は、コイル状鋼板の成分情報、コイル状鋼板の操業パラメータ、及び、コイル状鋼板の製造における実績データを取得するステップと、成分情報及び操業パラメータを入力データとし、実績データを教師データとして、冷却ミスト発生装置から噴射された冷却ミストを蒸発させることにより冷却された状態の空気を吸引してコイル状鋼板へ送風することができる程度の間隔で配置される冷却ファンの、少なくとも冷却ミスト発生装置及び冷却ファンに対する制御が行われる際に用いられる冷却床におけるコイル状鋼板の結露発生を予測する予測モデルを機械学習によって生成するステップと、を備える。
本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法において、操業パラメータは、コイル状鋼板の寸法と温度、冷却時に使用される冷却媒体の使用流量、コイル状鋼板周辺の冷却媒体の流量である。
また、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法においては、コイル状鋼板と冷却床の両方、或いは、いずれかの状態を検出する測定装置が測定して得られた情報を教師データとして取得する。
本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却方法は、冷却床におけるコイル状鋼板の冷却完了時間、或いは、結露発生を予測するために、コイル状鋼板の成分情報、コイル状鋼板の操業パラメータ、及び、コイル状鋼板の製造における実績データを取得するステップと、成分情報及び操業パラメータを入力データとし、実績データを教師データとして生成された予測モデルを用いてコイル状鋼板の冷却処理の制御内容を設定するステップと、設定された制御内容に基づいて、冷却設備を制御するステップと、を備え、冷却設備は、少なくとも冷却ミスト発生装置と、冷却ミスト発生装置から噴射される冷却ミストが蒸発し、かつ、冷却ミストが拡散して吸引されないことを避けることができる程度の間隔で配置される冷却ファンとから構成され、冷却設備を制御するステップは、さらに、設定された制御内容に基づいて、冷却ミスト発生装置により冷却ミストを噴射するステップと、冷却ファンが、冷却ミスト発生装置により噴射された冷却ミストが蒸発することにより冷却された空気を吸引して冷却床に置かれているコイル状鋼板に送風するステップと、を備える。
さらに、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却方法では、冷却ファンがコイル状鋼板に送風するステップの後に、制御内容に基づいて、冷却ファンによってコイル状鋼板に送風された気体を含む、コイル状鋼板の周囲の空気を冷却床外に排気するステップを備える。
本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の製造方法は、冷却床におけるコイル状鋼板の冷却完了時間、或いは、結露発生を予測するために、コイル状鋼板の成分情報、コイル状鋼板の操業パラメータ、及び、コイル状鋼板の製造における実績データを取得するステップと、成分情報及び操業パラメータを入力データとし、実績データを教師データとして生成された予測モデルを用いてコイル状鋼板の冷却処理の制御内容を設定するステップと、設定された制御内容に基づいて、冷却設備を制御するステップと、を備えるコイル状鋼板の冷却方法を有している。
このような本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却方法、コイル状鋼板の製造方法、及び、コイル状鋼板の冷却設備であれば、コイル状鋼板の表面の濡れ抑制とコイル状鋼板の冷却能力向上との両立を可能とし、コイル状鋼板に錆を発生させず、しかも高能率でコイル状鋼板の冷却を行うことができる。
本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却を行う建屋の全体を示す斜視図である。 本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却を行う建屋を正面から示す説明図である。 本発明の実施の形態における制御装置の内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態において制御装置がコイル状鋼板の冷却完了時間、或いは、結露の発生を予測するためのモデルを生成するに当たって機械学習をする流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において制御装置がコイル状鋼板の冷却完了時間、或いは、結露の発生を予測する際に生成された予測モデルを用いて冷却設備の制御を行う流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する内容については、冷却の対象となるコイル状鋼板が熱延鋼板であっても冷延鋼板であっても良く、いずれかに限定されるものではない。従って以下の説明においては特段区別することなく、単に「コイル状鋼板」と表す。
また、以下に説明する本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法、コイル状鋼板の冷却方法は、熱間圧延ラインや冷間圧延ラインその他、酸洗や焼鈍設備に付帯あるいは設置される巻取り機で巻き取られたコイル状鋼板Sが形成され、冷却床に置かれて冷却される際に用いられるものである。
図1は、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板Sの冷却を行う建屋Bの全体を示す斜視図である。図1においては、建屋Bの内部を明らかにするために、建屋B自体は破線で示している
一方、図2は、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板Sの冷却を行う建屋Bを正面から示す説明図である。なお図2においては、図1とは異なり建屋Bは実線で示されている。また、後述する冷却ファンからコイル状鋼板Sに向けて送られた空気の流れが破線で示されている。
また、本発明の実施の形態において建屋Bは、図1や図2に示すように四角形状に形成されているが、建屋Bの構造はどのようなものであっても良く、図1等に示された構造に限定されない。
図1に示すように、建屋Bは、冷却の対象となるコイル状鋼板Sを置く冷却床CFと当該冷却床CFの四方を囲む壁と冷却床CFに対向する位置に設けられる天井Rとで構成されている。なお、図1等においては、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板Sの冷却方法を説明するに当たって不要な構造物については、その描画を省略している。
また、図1等においては、建屋Bの床面全てをコイル状鋼板Sを冷却するための冷却床CFとして使用している。但し、建屋Bにおいてどの程度の領域を冷却床CFとして使用するかは任意に設定することができる。さらに建屋B自体もコイル状鋼板Sを冷却するための専用の建屋でなくても構わない。
冷却床CFにはコイル状鋼板Sが配置されている。これは、当該建屋Bの内部においてコイル状鋼板Sを所望の温度となるまで冷却するために置かれているものである。図1においては、1列5つのコイル状鋼板Sが3列冷却床CFに置かれている。但し、冷却床CFにどのような数のコイル状鋼板Sを置くかについては、運用によって任意に設定することができる。
なお、コイル状鋼板Sを後述する冷却ミスト発生装置1や冷却ファン2といった冷却設備Cの間に複数個並べて置く場合、コイル状鋼板S同士は、例えば、1~2m程度離して配置することが好ましい。
図1に示す冷却床CFには、コイル状鋼板Sを巻き取る際の回転軸方向、すなわち、コイル中心軸が図面において左右方向となるように置かれた状態が示されている。一方、図2に示す冷却床CFには、当該中心軸が図面における左右方向と直交する方向となるように示されている。すなわち、冷却床CFにコイル状鋼板Sを置く際の向きについては、いずれの向きであっても良い。
また、図面の描画上、冷却床CFに置かれているコイル状鋼板Sの大きさについては、いずれのコイル状鋼板Sも同じ大きさとしているが、冷却の対象となるコイル状鋼板Sの大きさについてはどのような大きさであっても良い。また、上述したように、コイル状鋼板Sは、コイル状熱延鋼板であってもコイル状冷延鋼板であっても良い。
図1において、コイル状鋼板Sの中心軸と平行となる位置に、すなわち、コイル状鋼板Sが配置されている列の両側に、コイル状鋼板Sを冷却するための冷却設備Cが設けられている。冷却設備Cは、少なくとも冷却ミスト発生装置1と、冷却ファン2とから構成される。
まず冷却ミスト発生装置1は、コイル状鋼板Sを冷却するために用いる冷却媒体である冷却ミストを発生させる。冷却ミストとして使用される液体はどのようなものであっても良いが、冷却床CFにおける作業性、コストや入手の容易さ等から、水が好適に使用される。
冷却ミスト発生装置1において冷却ミストを発生させる方式は、一流体方式でも二流体方式でもその方法を問わない。例えば、二流体方式を採用する場合は、所定の条件を勘案した上で冷却ミストを構成する気体の体積と冷却液との体積比率(すなわち「気水比」)を10~1000の範囲に設定することができる。
冷却ファン2は、後述するように冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストが蒸発することにより冷却された空気(冷却媒体)を吸引して冷却床CFに置かれているコイル状鋼板Sに送風する。従って冷却ファン2からの風がコイル状鋼板Sに送られるように、冷却ファン2は、冷却ミスト発生装置1の前方、すなわち、風下に配置されることになる。
冷却ファン2はコイル状鋼板Sに対して、例えば、1m程度離した位置に設置される。冷却ファン2とコイル状鋼板Sとを接近させすぎると、冷却ファン2が冷却対象となるコイル状鋼板Sの熱で破損する恐れがあるためである。
一方、冷却ファン2と冷却ミスト発生装置1との間隔は、冷却ミストが蒸発し、かつ、冷却ミストが拡散して冷却ファン2に吸引されないことを避けることができる程度の間隔が望ましく、おおよそ1~2m程度が目安となる。
さらに、冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストは、冷却ファン2に吸引される前に蒸発するようにされている。つまり、冷却ファン2は冷却対象であるコイル状鋼板Sに対して、冷却ミストが蒸発したことにより冷却された空気と周辺空気あるいはガスから成る気体を送風することになる。
これは、冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストが蒸発せずに冷却ファン2を介してコイル状鋼板Sに送られると、特に低温時にはコイル状鋼板Sに付着した冷却ミストが元となり錆が発生するリスクが増加するからである。
ここでコイル状鋼板Sの抜熱、すなわち冷却は、放射と対流の2種類の熱伝達によって行われる。このうち放射は、放射率とコイル状鋼板Sの表面の絶対温度の4乗と周囲の絶対温度の4乗の差の積で表される。一方対流は、対流熱伝達係数と、コイル状鋼板Sの表面温度と周囲の空気温度の差の積で表される。従って高温物の冷却時には放射の影響が大きく、低温時には対流の影響が大きくなる。
また、コイル状鋼板Sの冷却所要時間に着目すると、低温時、特に100℃以下から所望の温度まで到達したという冷却完了までの時間が長くなる傾向がある。従って、上述したような低温時の冷却に対する影響が大きい対流による冷却能力向上が重要である。
対流の冷却能力向上には、上述した条件のうち、対流熱伝達係数の向上と、周囲の空気温度低下が有効である。そして対流熱伝達係数の向上には、冷却ファンの設置が効果的であり、周囲の空気温度低下には冷却ミストの噴射が効果的である。
このように、冷却ファンによる対流熱伝達係数を増加させることによって、結露水の蒸発速度を大きくすることができるため、コイル状鋼板Sが結露した場合でも錆の発生を抑制できる。
一方、冷却ミストが蒸発すると、気化熱により空気の温度が5℃前後低下することが実験により判明した。このように冷却ミスト発生装置による冷却ミストの噴射は、特に低温時の対流の冷却能力向上に寄与する。
以上の観点から、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却方法は、冷却設備Cとして少なくとも冷却ミスト発生装置1及び冷却ファン2を用いることとしている。さらに、上述したような冷却の考え方から、冷却ミスト発生装置1によって噴射された冷却ミストはそのままの状態でコイル状鋼板Sへと送られるのではなく、一旦蒸発させることにより冷却された状態の空気を冷却ファン2を介してコイル状鋼板Sへと送風する。
このような冷却方法を用いることによって、冷却ミストがコイル状鋼板Sに付着することによる錆の発生を低減するとともに、たとえコイル状鋼板Sに結露が生じた場合であっても冷却ファン2から風が送られているのでコイル状鋼板Sの表面が濡れている状態を回避することができる。また、より低温となった空気を冷却ファン2を介してコイル状鋼板Sへと送風するため、コイル状鋼板Sの冷却をより効果的に行うことができる。
従って、冷却ミスト発生装置1から噴射される冷却ミストの流量については、冷却ファン2に到達する前に冷却ミストの蒸発が可能となる量が上限となる。冷却ミストの流量が多すぎるとコイル状鋼板S周辺の相対湿度が増加し、相対湿度が100%になると冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストが蒸発しきれない。
一方で、冷却ミストの流量が小さいと冷却ミストが蒸発することによる気化熱による空気の冷却が不十分となることから、冷却能力が不足する。そのため、冷却ファン2の送風量と冷却ミスト発生装置1による冷却ミストの噴射量のバランスを調整し、冷却床CFにおける相対湿度を制御する必要がある。
このように本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板の冷却方法においては、冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストが蒸発することにより冷却された空気を冷却ファン2を介してコイル状鋼板Sに送ることでコイル状鋼板Sの冷却を行うものである。そのため、冷却ミストの粒子径、すなわち、冷却ミスト発生装置1から噴射される液滴の径は、40μm以下であることが望ましい。冷却ミストの粒子径が40μm以下であれば、概ね1秒程度で冷却ミストが蒸発する。
一方で、冷却ミストの粒子径が大きいほど、冷却ミストの蒸発に要する時間が長くなる。そのため、冷却ミストの粒子径が40μmよりも大きい場合、冷却ミストの蒸発効率が悪く、気化熱による空気の冷却が不十分となる。そして、冷却ミストが蒸発せずに冷却ファン2に吸引された場合、コイル状鋼板Sに冷却ミストが蒸発しないまま付着する可能性が高くなり、錆発生のリスクが増加する。
このように冷却ミストの粒子径については、上述したような大きさが望ましいが、蒸発のしやすさを考慮しすぎると、冷却ミストの噴射量が少なくなり、必然的に蒸発量も少なくなる。そのため、このような場合には粒子径の小さい冷却ミストを多量に噴射することが望ましい。
さらに、本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板Sの冷却方法においては、冷却ミスト発生装置1による冷却ミストの噴射と冷却ミストの噴射停止とは間欠的に行われ、それぞれ一定期間交互に繰り返されるように制御される。そしてコイル状鋼板Sの目標冷却時間に応じ、噴射間隔を設定すれば良い。
このように冷却ミストの噴射と噴射停止をそれぞれ一定期間交互に繰り返すことにより、噴射を続けた場合に比べてコイル状鋼板Sの周囲における湿度の増加を抑制できる。より好適には、コイル状鋼板Sの温度が低下すると結露のリスクが増加するため、冷却ミストの噴射間隔を長めに設定することで、錆を抑制しやすくすることができる。
また、コイル状鋼板Sが十分低温になり冷却が完了した場合には、ランニングコストと結露リスクの観点から、冷却ミスト発生装置1による冷却ミストの噴射を停止することが好ましい。
ここで、冷却ミストが蒸発すると、特にコイル状鋼板Sの周囲における湿度が増加することになる。湿度が高くなると、コイル状鋼板Sが低温の時には特に結露し、錆が発生しやすくなる。そのため、湿度の増加は望ましくない。
温かい空気は上昇するため、冷却床CFの天井Rに排気ファンなどを設置し、積極的に冷却床CFの空気を、例えば建屋Bの外に排気することにより、湿度の増加を抑制することが可能である。
例えば、冷却床CFの温度が40℃、相対湿度が90%、露点が38℃である場合、コイル状鋼板Sは38℃以下で結露する。従って、冷却により、コイル状鋼板Sの周囲の温度に対してコイル状鋼板Sの表面温度が2℃低下するか、相対湿度が100%になるとコイル状鋼板Sの表面が結露するため、冷却床CFの周囲の空気を排気して湿度を低下させる必要がある。
そこで本発明の実施の形態におけるコイル状鋼板Sの冷却設備Cにおいては、建屋Bの天井RにルーフファンRFを設けている。すなわち図1や図2に示すように、例えば、建屋Bには3つのルーフファンRFが設けられている。当該ルーフファンRFをどのような数設けるかについては、自由に設定することができる。また、図1に示すように天井Rに一列になるようにルーフファンRFが設置されているが、この配置位置についても自由に設定可能である。
図2には、これら冷却ミスト発生装置1、冷却ファン2、及び、ルーフファンRFからなる冷却設備Cを稼働させた場合の風の動きが破線で示されている。図2に示すように、コイル状鋼板Sが列状に置かれている両側に冷却ミスト発生装置1及び冷却ファン2が配置されている。
冷却ミスト発生装置1から噴射された冷却ミストは、冷却ミスト発生装置1と冷却ファン2との間で蒸発することにより周囲の空気を冷却する。冷却ファン2はこの冷却された空気を吸引して周囲の気体ともども吹き出してコイル状鋼板Sへと送る。冷却ファン2からコイル状鋼板Sに向けて送られた気体は、図2に破線の矢印で示されているように、冷却床CF周囲の空気を含めてルーフファンRFから建屋Bの外部に排気される。
さらに、これまで説明してきた冷却ミスト発生装置1や冷却ファン2の制御に当たって、測定装置3を用いて建屋B内の状況を把握して得られた情報を基にすることができる。図1や図2においては、建屋Bの壁に測定装置3の一例として、温度計3aとビデオカメラ3bとを設置した状態を示している。また、別途湿度計を備えていても良い。
このような測定装置3を用いて温度と湿度を把握できれば、露点を推定することができる。これにより、コイル状鋼板Sに対する結露の発生リスクを把握し、冷却ミスト発生装置1や冷却ファン2等の冷却設備Cの制御を行うことができる。また、測定装置3によって把握された温度等の情報を基に、冷却床CFから結露発生前にコイル状鋼板Sを搬出することも可能となる。
なお、コイル状鋼板Sは冷却床CFに多数配置されることから、温度測定のために用いる温度計3aとしては、例えば、放射温度計の使用が望ましい。また、2次元放射温度計を用い、1台で複数のコイル状鋼板Sの温度測定を行っても良い。測定位置は、コイル状鋼板Sの中心軸に直交する面、すなわち、その幅端部で構成される面の測定が望ましい。
なぜならば、コイル状鋼板Sのうち幅端部で構成される面は、半径方向は鋼板が積層された状態となっており、熱伝導が悪いからである。また、最外周や最内周は巻き緩んでいる場合もあり、さらに熱伝導率が悪くなる場合がある。このように熱伝導率が悪いと、内部からの温度が伝わりにくいため、温度を低めに見積もる必要が出てくるなど、正確な測定が困難である。そこでこのような弊害がなく確実にコイル状鋼板Sの温度を測定することができる幅端部で構成される面を測定する。
さらにここでは測定装置3としてビデオカメラ3bも設けている。このようなビデオカメラ3bを設けることで、コイル状鋼板Sを直接観察することができることになるため、結露の発生の有無を直接判断することもできる。また、後述するように、コイル状鋼板Sについての結露発生を予測するためのモデルを生成する際にも当該ビデオカメラ3bによる情報を用いることができる。
なお、ここでは結露の発生の有無を観察する測定装置として、ビデオカメラ3bを挙げたが、画像が取得できるのであれば、どのような形式の撮像装置であっても良い。また、測定装置3による測定処理も、常時測定、或いは、所定の時間ごとに測定等、測定のタイミングは任意に設定することができる。
このように本発明の実施の形態における冷却設備Cは、上述した冷却ミスト発生装置1と、冷却ファン2と、測定装置3と、ルーフファンRFとから構成されるとともに、これら冷却設備Cを制御するための制御装置4も備えている。
図3は、本発明の実施の形態における制御装置4の内部構成を示すブロック図である。制御装置4は、情報取得部41と、学習部42と、記憶部43と、冷却条件演算部44と、冷却条件出力部45と、を備えている。制御装置4は、上述した冷却設備Cを構成する各装置の駆動を制御するとともに、制御の際に参照するための予測モデルを機械学習することにより生成し、さらには生成された予測モデルの更新も行う。
ここで予測モデルとしては、コイル状鋼板の冷却完了時間を予測するために使用される予測モデルと、コイル状鋼板の結露発生を予測するために使用される予測モデルを挙げることができる。
すなわち、コイル状鋼板の冷却完了時間予測モデルとは、冷却床CFでコイル状鋼板Sが冷却設備Cによって冷却され、冷却完了温度に到達するまでの時間を予測するモデルである。一方、コイル状鋼板の結露発生予測モデルは、冷却床CFでコイル状鋼板Sが冷却される過程において、コイル状鋼板Sに結露が生ずるか否かを予測するモデルである。
なお、図3に示す制御装置4では、以下に説明するコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法やコイル状鋼板の冷却方法に関連する機能についてのみ示しており、その他の様々な機能については図示を省略している。
従って、制御装置4は、図3においては図示されていない、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェイスがバスを介して接続される構成を備えていても良い。また、当該入出力インターフェイスには、上述した各部が接続されているとともに、例えば、表示部や通信制御部、或いは、入力部といった各部が接続されていても良い。
また、制御装置4は、上位コンピュータ5及びデータベース6と接続されている。上位コンピュータ5は、上述した冷却床CFを備える建屋Bにおけるコイル状鋼板Sの冷却処理を制御する制御装置4の他、コイル状鋼板Sの各製造工程において用いられる制御装置等を結ぶコンピュータである。
一方データベース6は、コイル状鋼板Sの製造に係る様々な情報を格納する。また、当該データベース6には上位コンピュータ5をはじめ、各製造工程における制御装置等がアクセスできる。従って、図3においても制御装置4の外側に描画されている。
そのためデータベース6に対して、例えば、上位コンピュータ5からの情報が送信されて格納されるとともに、上位コンピュータ5がデータベース6にアクセスして必要な情報を取得することができる。また、後述するように、制御装置4や冷却設備Cからも設定された冷却条件の情報や測定装置3によって測定された値に関する情報が送信され格納される。
情報取得部41は、例えば、測定装置3が測定した温度や結露発生の状況等に関する情報を取得する。また、情報取得部41は、上位コンピュータ5から冷却対象となるコイル状鋼板Sに関する各種情報を取得する。具体的には、情報取得部41は後述するようなコイル状鋼板Sの成分情報、コイル状鋼板Sの操業パラメータ、及び、コイル状鋼板Sの製造における実績データを取得する。
学習部42は、コイル状鋼板Sの冷却完了時間予測モデルやコイル状鋼板Sの結露発生予測モデルを、機械学習を行うことにより生成する。すなわち、情報取得部41によって取得された成分情報及び操業パラメータを入力データとし、実績データを教師データとして冷却床におけるコイル状鋼板Sの状態を予測する予測モデルを機械学習によって生成する。
ここで、「成分情報」とは、コイル状鋼板Sの含有成分のことであり、コイル状鋼板Sの変態温度や変態前後の相分率を決定づける情報である。そのため、当該成分情報はコイル状鋼板Sの変態を予測する上で不可欠である。
ここで、一般的な鋼においては、巻取り前に概ね変態が完了しているが、例えば、高張力鋼板ではマンガン(Mn)などの焼入れ元素を多く含んでおり、巻取り前の温度条件により、変態が十分に進行していない場合がある。その場合は、変態の影響により、巻取り後のコイル状鋼板Sの温度履歴が変化する。そのため、冷却完了時間や結露発生の有無を予測するに当たって必要な情報である。
なお、当該成分情報については、コイル状鋼板Sごとに異なるため、それぞれの情報が上位コンピュータ5から情報取得部41によって取得される。
「操業パラメータ」とは、冷却床CFでのコイル状鋼板Sの冷却過程において用いられる値である。但し、確かに好適には後述するように目標冷却完了時間の情報に基づいて種々設定される値が用いられるが、例えば、冷却条件演算部44において演算処理されることによって得られた値を用いることも可能である。
「操業パラメータ」として用いられる情報は、例えば、「コイル状鋼板Sの幅」、「コイル状鋼板Sの外径」、「冷却設備C(冷却ミスト発生装置1)におけるミストの流量」、「冷却ファン2により送風する気体の風速」、「冷却床CFのコイル状鋼板S周辺の風速」、及び、「コイル状鋼板Sについて測定された温度の値」である。
また上述した操業パラメータについては、他にも「冷却床の温度」や「冷却床の湿度」等を加えても良い。さらに、コイル状鋼板S周辺の気体の風速を考慮することで、より対流熱伝達の寄与が大きくなる低温側の予測精度が向上する。
このうち、コイル状鋼板Sの「幅」及び「外径」については、上位コンピュータ5から冷却対象ごとに取得される情報である。「冷却設備Cにおけるミストの流量」や「冷却ファン2により送風する気体の風速」については、制御装置4がコイル状鋼板Sを冷却する際に冷却ミスト発生装置1や冷却ファン2を駆動制御する際の値である。
ここで、「冷却床CFのコイル状鋼板S周辺の風速」の情報についても収集するのは、特にコイル状鋼板Sの表面が低温となる場合、上述したように、対流熱伝達がより有効な条件であり、精度良く予測するに当たって必要なパラメータだからである。従って、当該観点からすれば、さらに、上述したように、冷却床CFの温度・湿度、ルーフファンRFの排気流量を加えれば、より精度よく予測可能である。
なお、ここで「コイル状鋼板S周辺」とは、測定装置の耐熱性にもよるもののよりコイル状鋼板Sの近くで測定することが好ましい。具体的には、コイル状鋼板Sから数百mm程度、より現実的にはおおよそ500mm程度離した位置で測定する。
コイル状鋼板Sの温度は、図1や図2に示す温度計3aで測定する。温度を測定する場所は、コイル状鋼板Sの幅端部で構成される面であることが望ましい。またコイル状鋼板Sの温度は、冷却過程におけるコイル状鋼板Sの温度の履歴を把握するためのものであるとともに、コイル状鋼板Sが置かれた位置や周囲のコイル状鋼板Sの配置状況で変化するため、可能な限り多くのコイル状鋼板Sに対して取得することが望ましい。
そして、入力データとしてこれまで説明した情報の他にもデータベース6に保存される各種情報を含めることができる。コイル状鋼板Sの温度履歴に直接的または間接的に影響を与えうる操業実績データを入力データとして用いることで、冷却完了時間の予測精度が高まる場合も考えられるからである。各種情報としては、例えば、冷却床CFの所在地の外気温や湿度、天候等の環境情報を挙げることができる。
一方教師データとして用いられるコイル状鋼板Sの製造における実績データは、例えば、測定装置3によって取得された、これまでコイル状鋼板Sを冷却する処理が実行される中で実際に得られた情報である。
例えばコイル状鋼板Sの冷却完了時間の予測モデルを生成する場合に用いられる実績データは、温度計3aで測定された温度の情報と当該情報から算出された冷却完了時間の情報である。
すなわち、コイル状鋼板Sごと、或いは、コイル状鋼板Sが置かれている冷却床CFにおいて設定された領域ごと等に温度計3aで冷却の過程における温度が測定されている。そして、冷却対象となるコイル状鋼板Sが建屋Bに搬入された時間はデータベース6に格納されていることから、冷却が完了したと判断された温度となるまでの冷却時間を把握することができる。
また結露発生の有無を予測する予測モデルを生成する場合には、例えば、ビデオカメラ3bで撮影されたコイル状鋼板Sの表面の状態に関する情報が実績データとなる。すなわち、ビデオカメラ3bに基づく情報から結露発生の有無が把握でき、その際におけるビデオカメラ3bに基づく情報と紐付けられるその他の情報が教師データとなる。
学習部42は、このように成分情報及び操業パラメータを入力データとし、実績データを教師データとして予測モデルを機械学習によって生成する。具体的には、学習部42は、冷却完了時間、或いは、結露発生の予測モデルの生成に当たって、機械学習のアルゴリズムを利用する。
機械学習のアルゴリズムとしては、例えば、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を採用することができる。また、冷却完了時間、結露発生の予測について各々単独の予測モデルとせず、これらの予測モデルを組み合わせたアンサンブルモデルとして構成されるものであって良い。
さらに、データベース6に蓄積された各種実績データは、上述の学習済の冷却完了時間および結露発生予測モデルを構築するだけでなく、訓練するデータとしても用いることができる。これら実績データは、上述したように各種測定装置3によって測定されたデータであって良い。
なお、学習部42が機械学習を行うタイミングについては、例えば随時行う、所定の期間ごとに行う、というように、任意に設定することができる。また、上位コンピュータ5がデータベース6から読みだした教師データを、冷却完了時間予測モデル、及び、結露発生予測モデルに与え、学習部42に機械学習を行わせることとしても良い。
そして、学習部42よって生成(構築)された冷却完了時間予測モデル、及び、結露発生予測モデルは、例えば、記憶部43に格納され、コイル状鋼板Sの冷却を行う際の制御に生かされることになる。
ここで記憶部43は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、上述した冷却完了時間予測モデル及び結露発生予測モデルや後述する冷却条件演算部44が設定する際に用いるプログラム等が格納されている。
なお図3に示すように、本発明の実施の形態における制御装置4においては、その内部に記憶部43を設けた形態を前提に説明をしているが、記憶部43を制御装置4の内部に設けず、例えば、データベース6がその機能を果たすようにされていても良く、その構成の仕方は自由に選択することができる。
冷却条件演算部44は、建屋B内の冷却床CFに置かれたコイル状鋼板Sを冷却する際に各冷却設備Cを駆動するための制御内容を設定する。すなわち、例えば上位コンピュータ5から受けた目標冷却完了時間の情報に基づいて、例えば、冷却ミスト発生装置1といった、冷却設備Cを構成する各部の駆動制御を行うに必要な入力データを設定する。
具体的には、例えば、冷却ミスト発生装置1については、冷却ミストの噴射量(流量)である。また、冷却ファン2やルーフファンRFの場合には、所定の風速となるように制御内容を設定する。
さらに、コイル状鋼板Sの冷却処理は、建屋Bの冷却床CFに設定されている冷却領域ごとに行われる。従って、冷却条件演算部44がこのような処理を実行するに当たっては、これらの領域ごとに制御内容を設定する。このとき、多くの場合冷却領域の中に複数のコイル状鋼板Sが存在することになるが、このような場合には、例えば、最も錆やすいコイル状鋼板Sを基に、このようなコイル状鋼板Sに錆が発生することがないように冷却設備Cの制御内容が設定される。
そして冷却条件演算部44は、設定した各条件を記憶部43から取得した冷却完了時間の予測モデルや結露発生の有無を判断するための予測モデルに当てはめて、冷却完了時間と結露の有無に関する予測値を算出する。
その結果、冷却完了時間については、目標に沿った結果を得ることができたか否か、結露の発生の有無については、結露が生じないようにコイル状鋼板Sを冷却することができるか否かを判断する。
判断の結果、所望の結果が得られない場合には、所望の結果が得られるように、制御内容を見直して改めて各予測モデルを使用して演算を繰り返す。一方、所望の結果が得られた場合には、冷却条件演算部44は、冷却条件出力部45を介して各冷却設備Cに対して制御信号を送信し、設定した入力データを基に冷却設備Cを駆動制御する。
冷却条件出力部45は、このように冷却条件演算部44から受けた入力データを冷却設備Cに対して送信するとともに、データベース6に対しても送信し、教師データとして格納する。そして冷却設備Cは、制御装置4において設定、出力された制御信号に基づいて駆動され、冷却床CFに置かれたコイル状鋼板Sの冷却処理を実行する。さらに、冷却設備Cからデータベース6に対して制御内容についての情報を送信することとしても良い。
このように構築された、冷却完了時間予測モデル、結露発生予測モデルの生成方法、及び、これら冷却完了時間予測モデルや結露発生の予測モデルを用いたコイル状鋼板Sの冷却方法によれば、冷却床に置かれて冷却中のコイル状鋼板Sの温度履歴や結露発生を高精度に予測し、制御することができる。
また、冷却設備Cがこのように制御されるため、冷却対象となっているコイル状鋼板Sに対する冷却完了の時期が把握しやすくなることから、建屋Bからのコイル状鋼板Sの搬出スケジュールについても予測が立てやすくなり、出荷の管理にも資することになる。
また、データベース6に格納された入力データを用いて、さらに上述した学習部42による機械学習が実行され、冷却完了時間の予測モデルや結露発生の予測モデルを更新するようにされていても良い。このような処理を繰り返すことによって、各予測モデルの精度が上がり、さらにコイル状鋼板Sの冷却方法をより緻密に実行することができるようになる。
さらに、冷却設備Cの制御に当たって、冷却条件演算部44が制御内容を設定するために用いた入力データが、例えば、異常な値であった場合、予測データに当てはめた結果も異常値となる可能性が高いため、このような場合にはその旨を上述した表示部等を介して管理者に対して報知することもできる。
[動作]
次に、制御装置4において冷却完了時間の予測モデル、及び、結露発生の有無に関する予測モデルが生成される流れ、及び、生成された予測モデルを用いた冷却設備Cの制御の流れについて、図4及び図5を用いて説明する。
まず冷却完了時間の予測モデル、及び、結露発生の有無に関する予測モデルが生成される流れである。図4は、本発明の実施の形態において制御装置4がコイル状鋼板Sの冷却完了時間、或いは、結露の発生を予測するためのモデルを生成するに当たって機械学習をする流れを示すフローチャートである。
まず制御装置4は、入力データを取得する(ST1)。当該入力データは、冷却完了時間の予測モデルの生成の場合も、結露発生の有無に関する予測モデルの生成の場合も同じであり、上述したように、冷却対象となっているコイル状鋼板Sの成分情報及び操業パラメータである。
一方、教師データも併せて取得する(ST2)。教師データは実績データであるが、冷却完了時間の予測モデルの場合は、温度計3aで測定された温度の情報と当該情報から算出された冷却完了時間の情報である。一方、結露発生の有無に関する予測モデルの場合は、ビデオカメラ3bで撮影されたコイル状鋼板Sの表面の状態に関する情報である。
学習部42は、例えば、上位コンピュータ5がデータベース6にアクセスすることで得られたこれらの入力データ、及び、教師データを情報取得部41を介して受信することで取得する。或いは、学習部42が記憶部43にアクセスすることで取得しても良い
そして学習部42では、得られた入力データ、及び、教師データを用いて機械学習を実行する(ST3)。機械学習で用いるアルゴリズムについては、上述したようにいずれのアルゴリズムを用いても良い。
そして機械学習の結果生成(構築)された予測モデルは、記憶部43へと送信され格納される(ST4)。以上で、冷却完了時間の予測モデル、及び、結露発生の有無に関する予測モデルが生成される。
なお、ここでは、学習部42が機械学習を行って生成された予測モデルについては、そのまま記憶部43へ格納されるが、例えば、学習部42が生成された予測モデルが妥当なものであるか否かについて評価を行うようにしても良い。また、評価の結果によっては、予測モデルを再構築することとしても良い。
次に、生成された当該各予測モデルを用いた、コイル状鋼板Sの冷却方法の流れについて説明する。図5は、本発明の実施の形態において制御装置4がコイル状鋼板Sの冷却完了時間、或いは、結露の発生を予測する際に生成された予測モデルを用いて冷却設備Cの制御を行う流れを示すフローチャートである。
制御装置4は、冷却対象となるコイル状鋼板Sの冷却処理を実行するに当たって、上位コンピュータ5から目標冷却完了時間の情報を取得する(ST11)。そして受信した当該目標冷却完了時間に冷却処理が完了するように、制御を行うための入力データの設定を行う(ST12)。
具体的には、上述したように例えば、冷却条件演算部44によって、冷却ミスト発生装置1における冷却ミストの流量や冷却ファン2やルーフファンRFにおける風量が設定される。或いは、記憶部43に格納されている各予測モデルにて用いられている条件を入力データとして採用することも可能である。
このようにして設定された入力データを、次に冷却条件演算部44は、記憶部43から取得した冷却完了時間の予測モデル、或いは、結露発生の有無に関する予測モデルに当てはめる(ST13)。
このように入力データを予測モデルに当てはめることによって、冷却完了時間が予測できるとともに、当該冷却条件の下、コイル状鋼板Sに結露が発生するか否かの予測も可能となる。
冷却条件演算部44では、入力データを各予測モデルに当てはめた結果を確認する。すなわち、目標冷却完了時間の情報と照らし合わせて、目標とされる冷却完了時間までに対象となるコイル状鋼板Sの冷却処理が完了するか否か、結露が発生するか否かを判定する(ST14)。
その結果、所望の結果が取得できなかった場合には(ST14のNO)、入力データを変更して(ST15)、改めてステップST12へと戻り、入力データの設定、予測モデルへの当てはめを実行する。
一方、所望の結果が得られた場合には(ST14のYES)、冷却条件演算部44は冷却条件出力部45へと入力データを送信し、冷却条件出力部45を介して冷却設備Cへと入力データを送信する(ST16)。これによって、入力データを基に冷却ミスト発生装置1等の冷却設備Cが駆動制御される。
併せて、冷却条件出力部45は、入力データを教師データとしてデータベース6へと送信し、格納する(ST17)。なお、教師データとする入力データについては、データベース6に送信するのではなく、例えば、記憶部43に送信して記憶させることも可能である。
制御装置4による、上述した一連の処理が実行されることによって、冷却完了時間の予測モデル、及び、結露発生の有無に関する予測モデルを用いた冷却方法により、冷却設備Cによってコイル状鋼板Sが冷却される。
次に、これまで説明してきた冷却完了時間の予測モデル、及び、結露発生の有無に関する予測モデルの生成の流れ、冷却ミスト発生装置1等の冷却設備Cを用いたコイル状鋼板Sの冷却方法について、その実施例を説明する。
本実施例における冷却床CFには、図1や図2に示されるように、複数のコイル状鋼板Sを1m間隔で並べて置いた。さらに、コイル状鋼板Sの列の両端部には冷却設備Cとして、冷却ミスト発生装置1及び冷却ファン2を配置した。両者の位置関係は、冷却ファン2の後方に冷却ミスト発生装置を配置している。
このような冷却設備Cを用いてコイル状鋼板Sの冷却を行った。コイル状鋼板Sの冷却開始温度は600℃で、コイル状鋼板Sの幅は1000mm、外径は1950mmであった。またコイル状鋼板Sは、図示する通り、1列あたり5個とし、冷却床CFの温度は30℃で、相対湿度は80%であった。冷却ミストの原料としては水を採用し、その温度は30℃とした。コイル状鋼板Sの冷却は、コイル表面温度が50℃となった時点で停止した。
さらに、予測モデルを生成する際の入力データとして、コイル状鋼板Sの板幅は「800~1200mm」のデータを、外径は「1800~2100mm」のデータを、鋼板の含有成分は「C:0.01~0.1%、Si:0.1~1.0%、Mn:0.5~2.0%」のデータを用いた。また、結露発生予測に関しても入力データとして同じデータセットを採用した。
そしてコイル状鋼板Sの冷却完了時間の予測に関して、入力データとして巻取り前の鋼板の温度を用いた。すなわち当該コイル状鋼板Sの温度については、巻取り前に鋼板の幅方向中央部の温度をスポット式放射温度計によって測定し、鋼板の上面の温度を測定した結果を用いた。
このようなコイル状鋼板Sの含有成分、冷却設備Cの操業パラメータを入力データとし、測定装置3である温度計3aによる温度情報を教師データとして冷却完了時間の予測モデルを生成した。併せて、同じ入力データを用い、ビデオカメラ3bによる結露の有無に関する情報を教師データとして、コイル状鋼板Sの結露発生の有無に関する結露発生の予測モデルを生成した。
冷却完了時間の予測モデルおよび結露発生の予測モデルによって、コイル状鋼板Sの冷却完了時間および結露発生を予測した。さらに、予測した冷却完了時間が目標範囲に入り、かつ、結露が発生しない状態となるように、冷却設備Cのパラメータと冷却ファン2やルーフファンRFの排気流量を調整し、当該制御内容を基に冷却設備Cの駆動制御を行った。
その結果、冷却対象であるコイル状鋼板Sについて、目標冷却完了時間内に冷却を完了しつつ、結露の発生も回避して錆の発生防止を達成した。このように上述した予測モデルの生成方法及び、当該予測モデルを使用した冷却方法を用いることで、最終的にコイル状鋼板Sの冷却時間を適正化し、冷却床の置場不足を解消できた。
なお、これまで説明してきた本発明の実施の形態は、いずれも本発明の一例を示したものである。また、これらの各実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。これらの各実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 冷却ミスト発生装置
2 冷却ファン
3 測定装置
3a 温度計
3b ビデオカメラ
4 制御装置
B 建屋
C 冷却設備
CF 冷却床
RF ルーフファン
S コイル状鋼板

Claims (11)

  1. コイル状鋼板の成分情報、前記コイル状鋼板の操業パラメータ、及び、前記コイル状鋼板の製造における実績データを取得するステップと、
    前記成分情報及び前記操業パラメータを入力データとし、前記実績データを教師データとして、冷却ミスト発生装置から噴射された冷却ミストを蒸発させることにより冷却された状態の空気を吸引して前記コイル状鋼板へ送風することができる程度の間隔で配置される冷却ファンの、少なくとも前記冷却ミスト発生装置及び前記冷却ファンに対する制御が行われる際に用いられる冷却床における前記コイル状鋼板の結露発生を予測する予測モデルを機械学習によって生成するステップと、
    を備えることを特徴とするコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法。
  2. 前記操業パラメータは、前記コイル状鋼板の寸法と温度、冷却時に使用される冷却媒体の使用流量、前記コイル状鋼板周辺の冷却媒体の流量であることを特徴とする請求項1に記載のコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法。
  3. 前記コイル状鋼板と前記冷却床の両方、或いは、いずれかの状態を検出する測定装置を備え、
    前記測定装置が測定して得られた情報を前記教師データとして取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法。
  4. 前記コイル状鋼板に関する予測モデルは、前記コイル状鋼板の冷却完了時間を予測するためのモデルであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法。
  5. 前記機械学習においては、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、及び、サポートベクター回帰のうち少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコイル状鋼板に関する予測モデルの生成方法によって生成された冷却床におけるコイル状鋼板の冷却完了時間、或いは、結露発生を予測するための予測モデルを用いて前記コイル状鋼板の冷却処理の制御内容を設定するステップと、
    設定された前記制御内容に基づいて、冷却設備を制御するステップと、を備え、
    前記冷却設備は、少なくとも冷却ミスト発生装置と、前記冷却ミスト発生装置から噴射される冷却ミストが蒸発し、かつ、前記冷却ミストが拡散して吸引されないことを避けることができる程度の間隔で配置される冷却ファンとから構成され、
    前記冷却設備を制御するステップは、さらに、
    設定された前記制御内容に基づいて、冷却ミスト発生装置により冷却ミストを噴射するステップと、
    冷却ファンが、前記冷却ミスト発生装置により噴射された前記冷却ミストが蒸発することにより冷却された空気を吸引して冷却床に置かれているコイル状鋼板に送風するステップと、
    を備えることを特徴とするコイル状鋼板の冷却方法。
  7. 前記冷却ファンが前記コイル状鋼板に送風するステップの後に、
    前記制御内容に基づいて、前記冷却ファンによって前記コイル状鋼板に送風された気体を含む、前記コイル状鋼板の周囲の空気を前記冷却床外に排気するステップを備えることを特徴とする請求項6に記載のコイル状鋼板の冷却方法。
  8. 前記冷却ミスト発生装置は、前記冷却ファンによる前記コイル状鋼板への送風方向の後方に配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコイル状鋼板の冷却方法。
  9. 前記冷却ミストは、その粒子径が40μm以下であることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のコイル状鋼板の冷却方法。
  10. 請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のコイル状鋼板の冷却方法を備える、コイル状鋼板の製造方法。
  11. 熱延鋼板、或いは、冷延鋼板を製造することを特徴とする請求項10に記載のコイル状鋼板の製造方法。
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