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JP7633063B2 - 水分センサおよび水分量検出方法 - Google Patents
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JP7633063B2 - 水分センサおよび水分量検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント質硬化体の表面および内部の水分量を検出する水分センサおよび水分量検出方法に関する。
従来から、コンクリート中の水分は、セメントの水和反応、コンクリートの収縮とクリープの進行などの特性を決定づける重要な役割をもつ。また、外部から侵入する水分は内部鉄筋の腐食因子となることや、塩化物イオンの浸透を促進するため、コンクリート中の水分の分布や状態を把握することはコンクリートの耐久性を決定づける重要な情報である。また、コンクリート構造物の含水状態は、強度発現や乾燥収縮などへ関与し、仕上げ工事や防水工事の作業性およびその品質にも大きく影響を与えている。仕上げ工事では、高い含水状態で仕上げ材を施すと、十分な接着強度が得られず、ふくれ、剥離、ひび割れなどが発生する場合がある。このようなことから、コンクリート中の水分量を把握することは重要である。
コンクリート中の含水状態を把握する方法として、例えば、特許文献1では、コンクリートの含水率と電気抵抗値との関係に基づいて電気抵抗の測定値からコンクリートの含水率を予測する方法(電気抵抗式)に関する技術が開示されている。また、特許文献2では、コンクリートの水分量と静電容量との関係に基づいて静電容量の測定値からコンクリートの水分量を予測する方法(静電容量式)に関する技術が開示されている。また、その他のコンクリート中の含水状態を把握する方法として、コンクリートに設けた小孔内部の湿度を測定する方法、コンクリート表面に不透湿シートを貼り付けて湿度を測定する方法、コンクリート表面に変色紙を貼り付けて水分量及び湿度を測定する方法、などが用いられている。そして、コンクリートの水分量の測定において、測定条件にバラツキのある建築物の工事現場等では、時間をかけずに簡便な方法を用いることが望ましい。
また、特許文献3では、コンクリート構造物内に設置し、コンクリート構造物の水分量を測定する水分センサに関する技術が開示されており、該水分センサは、モルタル素材を誘電体部とし、これに対向電極を形成した水分センサであって、該水分センサに交流電解を印加した際の誘電体部の電気特性を指標とすることで、コンクリート内部の水分量を測定している。
特開昭62-087841号公報 特開2013-250215号公報 特開2021-025793号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の方法は、簡便な作業で迅速にコンクリートの水分量を測定できるため、床工事等の工事現場で広く用いられているが、コンクリート表面に電極を埋め込む、またはコンクリート表面に電極を押し当てて、コンクリートの水分量を測定するため、コンクリート表面近傍のみのデータとなり、表面から数cm以上深いところの水分量は正確には測定できない(図18(a)(b))。また、特許文献1記載の方法では、電極埋め込み式のため、測定物を傷めるだけでなく、測定後に電極を埋め込んだ穴を補修する必要がある(図18(a))。また、特許文献2記載の方法では、コンクリート表面に電極を押し当てて、水分量を測定するため、大量に測定する際、センサ部に汚れが付着することがあり、信頼性に劣る(図18(b))。また、コンクリートに設けた小孔内部の湿度を測定する方法、コンクリート表面に不透湿シートを貼り付けて湿度を測定する方法、コンクリート表面に変色紙を貼り付けて水分量及び湿度を測定する方法では、測定に時間を要するため、迅速に測定を行うことができない。
また、特許文献3記載の水分センサでは、電極部の材料として、コンクリートやモルタルと熱膨張率が近い材料を用いることが好ましいことから、例えば、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、SUS304、SUS316、SUS430等のステンレス鋼材などのバルク状の材料を使用している。また、誘電体部への電極形成方法としては、例えば、リング状の電極の空間へ、硬化前のセメントペースト、モルタル、コンクリートセメントなどを充填し、硬化させることで一体化を図っている。しかしながら、この電極形成方法では、セメント質硬化体は硬化の際に収縮する特性を有しており、電極部と誘電体部との間に微小な空隙が発生するおそれがある。また、実環境の使用においては季節変動により、例えば、氷点下から40℃を超える熱履歴を受ける可能性がある。このような環境下において、電極部の材料に、コンクリートやモルタルと熱膨張率が近い材料を使用していても、繰り返しの温度変動による負荷を考慮すると、電極部と誘電体部の熱膨張率の相違に起因する体積変化が微小であっても、電極部と誘電体部との間に微小な隙間を確実に抑制することは困難である。
そのため、特許文献3記載の水分センサでは、モルタル素材の硬化収縮や電極とモルタルの材質相違による熱膨張差が起因となり、図17に示すように、電極部と誘電体部との間に微小な隙間が発生する。この隙間に水分が侵入することで、誘電体部の電気特性を正確に測定することが困難となり、その結果、コンクリート内部の正確な水分量を検知することができない場合があった。また、誘電体部がセラミックスで形成されている場合は、電極部との熱膨張差がモルタルよりも大きいため、微小隙間が顕著となる。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、誘電体を形成するセメント質硬化体の硬化収縮や実環境における温度変化による熱履歴を受けても、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制でき、測定対象のセメント質硬化体を破壊することなく、長期間において、誘電体の電気特性を安定的に取得し、簡便かつ高精度で測定対象のセメント質硬化体の表面または内部の水分量をより正確に把握することが可能である水分センサおよび水分量検出方法を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の水分センサは、セメント質硬化体の水分量を検出する水分センサであって、柱状に形成された誘電体と、前記誘電体の表面または内部に設けられ、相互に対向するように設けられた一対以上の電極と、前記各電極に電気的に接続された通電部と、を備え、前記一対の電極のそれぞれは複数の孔を有し、前記孔を有する前記電極は、前記孔に充填された誘電体材料によって前記誘電体と密着していることを特徴としている。
これにより、誘電体を形成するセメント質硬化体の硬化収縮や実環境における温度変化による熱履歴を受けても、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制でき、測定対象となるセメント質硬化体を破壊することなく、長期間において、誘電体の電気特性を安定的に取得し、簡便かつ高精度で測定対象のセメント質硬化体の表面または内部の水分量をより正確に把握することが可能となる。また、水分センサを、測定対象のセメント質硬化体の任意の場所に設置することができるため、測定対象のセメント質硬化体の表面だけでなく、深部でも測定が可能となり、測定対象のセメント質硬化体全体の水分量の分布を把握することが可能となる。
(2)また、本発明の水分センサにおいて、前記複数の孔は、メッシュ形状であることを特徴としている。これにより、電極が誘電体の体積変化に追従し、誘電体と電極との間の微小隙間の発生を抑制することが可能となる。
(3)また、本発明の水分センサにおいて、前記メッシュ形状を構成するメッシュの目開きは、0.1~0.5mm、空間率は35~50%であることを特徴としている。これにより、電極としての機能を維持しながら、電極が誘電体の体積変化により追従しやすくなり、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制することが可能となる。
(4)また、本発明の水分センサにおいて、前記誘電体は、セメント質硬化体またはセラミックスであることを特徴としている。これにより、測定対象となるセメント質硬化体と同等の吸水性を有することになり、高精度で水分量を測定することが可能となる。
(5)また、本発明の水分量検出方法は、セメント質硬化体の表面または内部に設置され、前記セメント質硬化体の水分量を検出する水分量検出方法であって、上記(1)から(4)のいずれかに記載の水分センサを前記セメント質硬化体の表面または内部に設置し、前記水分センサに交流電界を印加し、前記水分センサの電気特性値の変化とセメント質硬化体の水分量との相関性に基づいて、前記セメント質硬化体の水分量を検出する方法であることを特徴としている。
これにより、誘電体を形成するセメント質硬化体の硬化収縮や実環境における温度変化による熱履歴を受けても、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制でき、測定対象となるセメント質硬化体を破壊することなく、長期間において、誘電体の電気特性を安定的に取得し、簡便かつ高精度で測定対象のセメント質硬化体の表面または内部の水分量をより正確に把握することが可能となる。また、水分センサを、測定対象のセメント質硬化体の任意の場所に設置することができるため、測定対象のセメント質硬化体の表面だけでなく、深部でも測定が可能となり、測定対象のセメント質硬化体全体の水分量の分布を把握することが可能となる。
本発明によれば、測定対象となるセメント質硬化体を破壊することなく、測定対象のセメント質硬化体全体の水分量の分布を、簡便かつ正確に把握することが可能となる。
本実施形態に係る水分センサの概略構成を示す図である。 本実施形態に係る水分センサの誘電体および電極の正面図および側面図である。 誘電体内への水分の浸透の様子を示す図である。 水分センサの製造方法の工程を示す図である。 実施例1~4、比較例1~3で使用する水分センサの概略構成を示す図である。 実施例1で用いた外側電極の写真である。 実施例1~3の電極として用いた金属製(材質SUS304)メッシュの写真である。 従来の水分センサの概略構成を示す図である。 実施例1の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 実施例2の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 実施例3の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 実施例4の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 比較例2の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 比較例3の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 比較例4の従来の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。 実施例3の水分センサの断面(外側電極と誘電体の一部)を示す写真である。 従来の水分センサの誘電体と電極間の状態を示す写真である。 従来の水分センサによる水分量測定の概要を示す図である。
本発明者らは、測定対象のセメント質硬化体の表面または内部に設置した水分センサが、セメント質硬化体の硬化収縮や実環境における温度変化による熱履歴を受けることにより、誘電体と電極との間に微小隙間が発生し、正確な含水量が測定できないことに着目し、電極に孔を設けることで、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制でき、測定対象となるセメント質硬化体を破壊することなく、長期間において、誘電体の電気特性を安定的に取得し、簡便かつ高精度で測定対象のセメント質硬化体の表面または内部の水分量をより正確に把握することができることを見出し、本発明をするに至った。
本実施形態について、図面を参照しながら説明する。セメント質硬化体とは、少なくともセメントを含む硬化体であり、セメントペースト、モルタル、およびコンクリートを含む概念である。
[水分センサの構成]
図1は、本実施形態に係る水分センサ100の概略構成を示す図である。図2(a)、(b)は、本実施形態に係る水分センサ100の誘電体3および電極5(5a、5b)の正面図および側面図である。水分センサ100は、柱状に形成された誘電体3と、誘電体3の表面または内部に設けられ、対向するように設けられた一対以上の電極5(5a、5b)と、各電極5(5a、5b)に接続され通電部を構成するリード線7と、を備え、誘電体の含水率に応じて変化する静電容量、インピーダンス、誘電正接等の電気特性値を検出する。リード線7は、半田で電極5(5a、5b)に接着されている。リード線7を計測器9に接続し、交流電界を印加することにより、誘電体3の電気特性値を検出する。
誘電体3は、円柱体である。本実施形態では、一例として、円柱体の形状を用いて説明するが、これに限定されない。例えば、直方体、多角形を底面とする角柱体であってもよいし、中空を有するリング状の中空円柱(環形円柱)体であってもよい。
誘電体3の直径は、電極5を包含できればよく、15mm以上110mm以下が好ましい。また、誘電体3の厚さは、3mm以上50mm以下が好ましい。誘電体3の厚さが、3mmより短いと、強度が弱く破損する可能性があり、50mmより長いと、水の浸透に時間が掛かり、応答性が低下する可能性がある。
電極5は中空円柱である。電極5の直径は、誘電体3の直径よりも小さければよいが、誘電体3の直径よりも10mm以上小さい方が好ましい。電極5の高さは誘電体3の厚さと同じでもよいが、2mm以上小さい方が好ましい。これは、電極5が誘電体から露出することを回避するためである。
誘電体3に用いる材料は、含水するものであればよく、測定対象となるセメント質硬化体と同等の吸水性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、測定対象と同様にセメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント質硬化体や、セラミックス等を用いるのが好ましい。また、一部樹脂を含浸したセメント質硬化体を用いても良い。
また、セメント質硬化体のセメント種は、普通ポルトランドセメント、早強セメントなど、何でも良いが、水和反応の観点から、早強セメントを用いることが好ましい。セメント質硬化体の材齢は、水和反応がほぼ完了する28日以上が好ましい。
誘電体3に、モルタルを用いた場合は、測定対象となるセメント質硬化体と同等の吸水性を有する配合が好ましく、具体的には、水/セメント比(W/C)は15~70%、セメントと細骨材の比率は、セメント1に対し、細骨材2~3が好ましい。水/セメント比が15%より小さい場合は、モルタル内の気孔量が小さくなり過ぎること、70%より大きい場合は、吸水量が増大することから、水分量がセメント質硬化体と近似しなくなるため、好ましくない。細骨材の比率が、セメント比2より小さい場合は、モルタル内の気孔量が小さくなり過ぎること、セメント比3より大きい場合は、細骨材の吸水の影響を受けやすくなることから、水分量がセメント質硬化体と近似しなくなるため、好ましくない。また、細骨材は、細骨材の吸水の影響を受けやすくなるため、細骨材の物性が、吸水率3.0%以下、比表面積400cm/g以下が好ましい。細骨材としては、例えば、緻密な人口砂が良い。
誘電体3に、コンクリートを用いた場合は、測定対象となるコンクリート構造物と同等の吸水性を有する配合が好ましい。
誘電体3にセメント質硬化体やセラミックスを使用することにより、測定対象のセメント質硬化体との密着性を高めることができ、測定対象のセメント質硬化体の強度や耐久性に影響を与えにくい。
このように、誘電体3のセメント質硬化体の配合を制御することで、水分センサ100と測定対象となるセメント質硬化体内部の水分量との整合性を高めることができる。つまり、誘電体3に用いるセメント質硬化体の吸水率を、測定対象となるセメント質硬化体と同等とすることで、測定対象となるセメント質硬化体の水分量を適切に把握できる。
一対の電極5(5a、5b)は、円柱体に形成された誘電体3の内部に、中心軸が同一、かつ対向するように設けられ、同心円筒電極を形成している。ここで、誘電体3の内部の外周側に設けられた電極を外側電極5a、誘電体3の内部の内周側に設けられた電極を内側電極5bと表現する。外側電極5aと内側電極5bの距離、すなわち電極間距離は、3mm以上50mm以下が好ましい。電極間距離が3mmより短いと、短絡する可能性があり、50mmより長いと、含水のむらが測定精度に影響を与える可能性がある。
電極5は、複数の孔を有している。本実施形態では、複数の孔がメッシュ(織網)構造により形成されているが、複数の孔を有していればよく、これに限定されない。例えば、パンチングにより形成された孔であってもよい。また、メッシュ(織網)構造は、平織、綾織、平畳織、文畳織等あるが、いずれの織り方であってもよい。
内側電極5bは、緻密な電極として形成され、誘電体3の内部に設けられてもよい。熱膨張差により圧縮応力が負荷されるため、内側電極5bが緻密な電極であっても、誘電体と電極との間の微小隙間は発生する可能性は低い。ここで、緻密とは表面に孔が形成されていない形状をいう。また、誘電体3が中空円柱体の場合は、内側電極5bは、誘電体3の内側面表面に密着するように設けられてもよい。
メッシュ状に形成された金属は、バルク状に形成された金属よりも剛性が低く、誘電体の硬化収縮による微小な体積変化に追従が可能である。また、メッシュ状の電極を誘電体内部に設けることで、電極の面が誘電体材料に密着するとともに、電極の孔の空隙となる領域を形成する内周面と当該孔に充填された誘電体材料とが密着される。これにより、電極と誘電体とが完全に一体化される。したがって、誘電体と電極との間に微小隙間が発生することを抑制することができる。
また、誘電体3の形状が直方体、多角形を底面とする中空を有しない柱体である角柱や円柱の場合、上面、底面に平行平板電極を形成してもよい。平行平板電極の場合、対抗する一対の電極は同一の形状、大きさであることが好ましい。また、測定精度の観点から、電極間の距離は、一定が好ましい。
図3(a)、(b)は、誘電体内への水分の浸透の様子を示す図である。図3(b)に示すように、平行平板状の電極の場合は、側面が解放されるため、水分の浸透が不均一となる場合がある。一方、図3(a)に示すように、誘電体の形状を中空円柱体とし、曲面に電極を形成した構造では、誘電体側面が閉塞されており、誘電体内へ浸透する水分の均一性が担保されるため、最も好ましい。なお、水分センサの誘電体の露出部の一部の面が樹脂などで被覆されていても良い。
当該水分センサは、セメント質硬化体の内部に埋設して使用するため、電極5は、腐食性の材料で形成されていることが好ましい。さらに、誘電体の硬化収縮や実環境における熱履歴による微小な体積変化に対する電極5の追従性をより高めるため、柔軟性を有する材料であって、コンクリートやモルタルと熱膨張率が近い材料で形成されることが好ましい。例えば、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、SUS304、SUS316、SUS430等のステンレス鋼材が好ましい。
電極5に設ける孔のサイズは、孔が大きすぎると、電極面積が十分でないため、電気的特定が正確に測定できず、好ましくない。また、孔が小さすぎると、孔に誘電体を形成する材料が侵入できず、一体化や密着力が低下するため、好ましくない。そのため、電極5に設ける孔のサイズは、電極として機能させる観点からメッシュ40(#40)以上が好ましい。また、誘電体との一体化の観点からメッシュ100(#100)以下が好ましい。ここで、メッシュとは、25.5mm(1inch)間にある線または網目の数であり、目開きとは、線径とメッシュとの組み合わせを示す指標である。ステンレス製のメッシュであれば、線径0.1~0.25mm、目開き0.1~0.5mmを満たすサイズが好ましい。
[水分センサの製造方法]
図4は、水分センサの製造方法の工程を示す図である。まず、メッシュ形状の金属で外側電極と内側電極となる円筒リングを作製する(S1)。内側電極は、緻密形状としてもよい。また、同心円筒電極ではなく、平行平板電極の場合は、いずれの電極もメッシュ形状の金属で作製することが好ましい。
次に、2つの電極(外側電極および内側電極)にリード線を半田で接着(S2)する。次に、誘電体を作製する(S3)。誘電体の型枠に、(S2)で作製したリード線が接着された2つの電極(外側電極および内側電極)を、同心円上に配置する。その後、型枠にセメントペースト、モルタル、コンクリートなどの誘電体を形成する材料を流し込み、硬化させる。例えば、誘電体の材料として、モルタルを用いる場合、型枠に流し込むモルタルは、セメント:細骨材=1:3とし、セメントは普通ポルトランドセメント、細骨材は比表面積300cm/gの人工砂を用いた。W/Cは、55%とし、材齢期間は、28日間が好ましい。誘電体に用いる材料は、前述したとおり、モルタルに限定されない。モルタル以外のセメント質硬化体(セメントペースト、コンクリート)や、セラミックス等を用いてもよい。型枠から、硬化した誘電体を脱型し、水分センサを作製する。
[水分センサの設置方法]
水分センサを測定対象となるセメント質硬化体の表面または内部に設置する。設置する際に、電極に接続されたリード線は、測定対象となるセメント質硬化体の側面から外部へ出しておく。リード線をLCRメーター等の測定器に接続する。また、水分センサは、測定対象となるセメント質硬化体の表面にボルトで固定するなどして、設置しても良い。
[水分量の算出]
本実施形態に係る水分センサは、交流電圧下、周波数一定下において、誘電体の静電容量(C)と水分量との相関性から、測定対象となるセメント質硬化体の水分量を検出する。なお、比誘電率(ε)、インピーダンス(Z)、誘電正接(tanδ)と水分量との相関性から、測定対象となるセメント質硬化体の水分量を検出することも可能である。
また、10Hz~100MHzの周波数領域において、誘電体の静電容量(C)を測定し、周波数(対数)に対する各測定値(対数)の傾きとの相関から、測定対象となるセメント質硬化体の水分量を検出する。同様に、比誘電率(ε)についても、周波数(対数)に対する各測定値(対数)の傾きとの相関から、測定対象となるセメント質硬化体の水分量を検出することもできる。
後者の検出方法については、広範な周波数に対する測定データから傾きを導くため、周波数一定下で測定するよりも、測定精度が高まる。
[実施例]
[1]水分センサの作製
実際に、水分センサを作製し、コンクリート試験体内部の水分量の測定を行った。図5は、実施例1~4、比較例1~3で使用する水分センサの概略構成を示す図である。
(1)電極の準備
実施例1~4、比較例1~3において、外側電極は直径28mm、厚さ10mm、内側電極は直径10mm、厚さ10mm、の電極を準備した。図6は、実施例1で用いた外側電極の写真である。図7(a)~(c)は、実施例1~3の電極として用いた金属製(材質SUS304)メッシュの写真である。各実施例、比較例で準備した電極は、外側電極および内側電極は、いずれも図6に示すように、材質SUS304で作製されたメッシュ形状の円筒リングの電極(以下、メッシュ電極という)を用いた。
表1は、各実施例、比較例で用いたメッシュ電極のメッシュ、線径、目開き、空間率をまとめた表である。
(2)誘電体の準備
(1)で準備した外側電極および内側電極にリード線を半田で接着し、図5に示すように、外径38mm、厚さ10mmの型枠に、2つの電極を同心円上に配置する。その後、型枠にモルタルを流し込み、硬化させた。型枠に流し込んだモルタルは、セメント:細骨材=1:3とし、セメントは普通ポルトランドセメント、細骨材は比表面積300cm/gの人工砂を用いた。W/Cは、55%とし、材齢期間は、28日間とした。
(3)仕上げ
モルタル硬化後、型枠から脱型し、水分センサを作製した。
(4)従来の水分センサの作製
図8は、従来の水分センサの概略構成を示す図である。比較例4として、電極は孔を有さない金属板で形成された従来の水分センサを作製した。比較例4の水分センサは、材質SUS304、厚さ2.0mm、幅10mmの金属板を用いて、外径32mmのリング形状の外側電極15aと、同じ材質(材質SUS304)で、厚さ1.0mm、幅10mmの外径8.2mmのリング形状の内側電極15bを作製し、内側電極15bを外側電極15aの中央に配置した。次に、2つの電極15(15a、15b)間に形成された空間に、モルタルを充填し、誘電体13を形成した。充填したモルタルは、実施例1~4、比較例1~3で用いたモルタルと同様であり、モルタル硬化後、2つの電極に、リード線を半田で接着した。
[2]水分センサの含水率と電気特性値の相関性
次に、水分センサの含水率と電気特性値の相関性について説明する。以下の条件のもと、水分センサの含水率と電気的特性との相関データを採取した。
(i)水分センサを絶乾状態とし、絶乾状態となった水分センサの総重量から電極およびリード線の重量を差し引いた重量を初期重量(W0)とした。次に、水分センサを真空環境下で浸水し、誘電体内部を飽和含水状態とした。そして、温度20℃、湿度60%の環境下で24時間放置し、含水量1(W1)を測定した。さらに、同一環境下で12時間放置し、含水量2(W2)を測定し、W1=W2であることを確認し、平衡状態であることを確認した。
(ii)次に、含有量2(W2)/初期重量(W0)×100により、誘電体内の含水率(A60)を算出した。この水分センサについて、リード線に接続された計測器(LCRメーター)を用いて、周波数100Hz、1kHz、100kHzにおいて、水分センサの静電容量(C)を測定した。
湿度60%と同様に、温度一定(20℃)で湿度20%の環境においても、(i)および(ii)の作業を繰り返し行った。この結果、絶乾状態(A0)、湿度20%環境下(A20)、湿度60%環境下(A60)、および飽和含水状態(A100)における水分センサの含水率は、それぞれ、およそ0%、2.0wt%、4.0wt%、6.0wt%であった。
次に、水分センサのそれぞれの含水率において、周波数100Hz、1kHz、100kHzの静電容量を測定した。図9~図15は、それぞれ実施例1~4、比較例2~4の電極を用いた水分センサの周波数100Hz、1kHz、100kHzにおける含水率と静電容量の関係を示すグラフである。図9~図15に示すように、実施例1~4、比較例2~4では、水分センサの含水率と静電容量は、比例関係を有しており、正確な含水量が測定できていることがわかった。また、比較例1(メッシュ30)は、静電容量を測定できなかった。これは、メッシュ電極の目開きが大きすぎて、電極として機能しなかったためと考えられる。
[3]誘電体と外側電極との一体性について
次に、各水分センサを恒湿恒温槽内に静置し、昇降温速度10℃/hrにて、-5~50℃の温度範囲で、昇降温を100回繰り返した。その後、各水分センサの電極界面を光学顕微鏡にて観察した。図16は、実施例3の水分センサの断面(外側電極と誘電体の一部)を示す写真である。図16に示すように、熱履歴を付与した後であっても、誘電体と外側電極との間に微小隙間は生じず、誘電体と外側電極とが密着していることが確認できた。なお、実施例1、2、4、および比較例1についても、実施例3と同様、熱履歴を付与した後であっても、誘電体と外側電極との間に微小隙間は生じず、誘電体と外側極とが密着していることが確認できた。
実施例1~4および比較例1の水分センサは、熱履歴を付与しても、誘電体と電極間は完全に一体化しているのに対し、比較例2~4の水分センサは、微小隙間が認められた。つまり、比較例2、3の水分センサのように、外側電極に孔を有していたとしても、目開きが小さすぎると、孔に誘電体を形成する材料が侵入できず、一体化や密着力が低下するため、熱履歴の結果、微小隙間が生じてしまうことがわかった。
さらに、[2]と同様の方法で、静電容量を測定したところ、実施例1~3の水分センサでは、熱履歴の付与前後で数値に変化は見られなかったのに対し、比較例2~4の水分センサには、相違がみられた。つまり、比較例2~4の水分センサは、誘電体と電極との間に、微小隙間ができたことで、微小隙間に水分が入り込み、正確な静電容量を計測することはできなかった。すなわち、実施例1~4は、メッシュの目開きが0.1~0.5mm、空間率が35~50%となっており、電極に設けられた孔の大きさと存在割合が、誘電体との密着に適していることがわかった。
以上説明したように、本実施形態にかかる水分センサを、測定対象のセメント質硬化体の表面または内部に設置し、電気特性値の変化をモニタリングすることにより、測定対象のセメント質硬化体の表面および内部の水分量を、簡便、かつ高精度で測定することが可能となる。また、水分センサを、測定対象のセメント質硬化体内の任意の場所に設置することができるため、測定対象のセメント質硬化体の表面付近だけでなく、深部でも測定が可能となり、測定対象となるセメント質硬化体全体の水分量の分布を把握することが可能となる。
100 水分センサ
3、13 誘電体
5、15 電極
5a 外側電極
5b 内側電極
7 リード線、通電部
9 計測器、LCRメーター
15a 外側電極
15b 内側電極

Claims (5)

  1. セメント質硬化体の水分量を検出する水分センサであって、
    柱状に形成された誘電体と、
    前記誘電体の表面または内部に設けられ、相互に対向するように設けられた一対以上の電極と、
    前記各電極に電気的に接続された通電部と、を備え、
    前記一対の電極のそれぞれは複数の孔を有し、
    前記孔を有する前記電極は、前記孔に充填された誘電体材料によって前記誘電体と密着していることを特徴とする水分センサ。
  2. 前記複数の孔は、メッシュ形状であることを特徴とする請求項1記載の水分センサ。
  3. 前記メッシュ形状を構成するメッシュの目開きは、0.1~0.5mm、空間率は35~50%であることを特徴とする請求項2記載の水分センサ。
  4. 前記誘電体は、セメント質硬化体またはセラミックスであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水分センサ。
  5. セメント質硬化体の表面または内部に設置され、前記セメント質硬化体の水分量を検出する水分量検出方法であって、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の水分センサを前記セメント質硬化体の表面または内部に設置し、
    前記水分センサに交流電界を印加し、
    前記水分センサの電気特性値の変化とセメント質硬化体の水分量との相関性に基づいて、前記セメント質硬化体の水分量を検出することを特徴とする水分量検出方法。
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