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JP7633561B2 - エンドミル - Google Patents
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Description

本発明は、外周刃に切欠部(ニック)を設けたエンドミルに関する。
本願は、2021年5月31日に日本に出願された特願2021-091625号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、高能率な加工を行なう場合、外周刃の一部に切り屑を分断させる切欠部(ニック)を有した構成が知られている。
このような切欠部付きのエンドミルにおいては、外周刃に設けられた切欠部によって切り屑の長さを短く分断できるため、切り屑の排出性が良くなる点において有利である。
特開2011-000696号公報
特に、加工能率を向上させるニーズが高まっており、軸方向の切り込み量、切削速度、送り速度などが著しく大きな切削を行なう場合や、刃径に対する刃長の割合を大きくする場合、従来の切欠部(ニック)付きエンドミルではびびり振動やチッピングを十分に抑制することができず、エンドミル全体が短寿命になるおそれがあった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、高能率に安定した切削を行うことができるエンドミルを提供することを目的としている。
本発明に係る一態様のエンドミルは、軸線回りに回転可能なエンドミル本体と、前記軸線回りに捩れながら前記エンドミル本体の軸方向先端側から軸方向後端側へ向かって延びる切屑排出溝と、前記切屑排出溝と外周逃げ面との回転方向前方側の交差稜線部に形成される外周刃とを有するエンドミルであって、少なくとも1つの前記外周刃は、前記外周刃を不連続にする複数の切欠部を有し、前記エンドミル本体内の全ての前記切欠部の周方向位置は互いに重なっていないことを特徴とする。
外周刃に切欠部を設けると、切屑長さを減少させることができ、切屑の噛み込みによるチッピングの発生を抑制することができる。そのため、切欠部の数を増やすと、より一層高能率な加工を行なうことができる。
一方で、切欠部は外周刃の延長線上に被削材と接触しない非切削領域を有するため、切削抵抗を低下させる箇所であり、言い換えると、切削中に切削抵抗を変動させる箇所である。
本発明者らは、エンドミル本体内の切欠部の数が増えるほど、エンドミル本体内の切欠部どうし(例えば、異なる外周刃に設けられている切欠部どうし)の位置が、意図せず軸方向に整列(周方向位置が重複)しやすくなり、切削中、切削抵抗の変動が局所的に大きい箇所(切欠部が集中し、切削抵抗が局所的に小さくなる箇所)が増え、振動を促すことを見出した。
上記構成では、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有するとともに、エンドミル本体内の全ての切欠部は、それらの周方向位置が互いに重ならないように配置されている。そのため、著しく高能率な切削を行なったとしても、十分な切屑分断性を確保して、切屑の噛み込みによるチッピングを抑制することができる。また周方向において複数の切欠部が分散配置されることで、エンドミル本体内の切欠部の数によらず、切削中、切削抵抗の変動を小さく抑えつつ、変動が起きるタイミングを分散させ、びびり振動の発生も抑制することができる。
したがって、本発明では、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有することと、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置が互いに重なっていないこととの相乗効果により、びびり振動やチッピングを抑制し、安定した高能率加工を可能にする。
前記周方向で隣り合う2つの前記切欠部の回転方向前端間の間隔のうち少なくとも1つの前記間隔は、他の前記間隔と異なっていてもよい。
この構成によれば、エンドミル本体内の切削抵抗が低下するタイミングをより不規則にさせることができる。びびり振動や外周刃のチッピングを抑制し、より一層安定した高能率な切削を可能にする。
従来、外周刃の軸方向長さ(刃長)が長いほど高能率な切削が可能となるが、びびり振動が発生しやすかった。そこで、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有し、刃長を刃径の2倍以上にするとともに、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置が互いに重ならないように配置してもよい。
このような構成とすることで、軸方向の切り込み量が大きく、従来よりも著しく高能率な加工条件で切削を行なったとしても、切削中、切削抵抗の変動は小さく、変動が起きるタイミングは分散される。そのため、びびり振動や外周刃のチッピングを抑制し、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
前記外周刃は5つ以上設けられている構成であってもよい。
従来、刃数を増やすほど高能率な切削が可能となるが、びびり振動が発生しやすかった。
一方、この構成では、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有し、5つ以上の外周刃設けるとともに、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置が互いに重ならないように配置されている。これにより、送り速度が著しく大きいなどの高能率な加工条件で切削を行なったとしても、切屑の噛み込みが起きにくくなるとともに、切削中、切削抵抗の変動は小さく、変動が起きるタイミングは分散される。そのため、びびり振動や外周刃のチッピングを抑制し、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
全ての前記外周刃のねじれ角は、35°以上である構成としてもよい。
ねじれ角を35°以上とし、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有するとともに、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置が互いに重なっていないことで、送り速度が著しく大きいなどの高能率な加工条件で切削を行なったとしても、切削中、切削抵抗の変動は小さく、変動が起きるタイミングは分散される。そのため、びびり振動や外周刃のチッピングを抑制しつつ、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
前記切欠部は、前記外周刃の延在方向に連続する連続切刃長さのうち、前記エンドミル本体内で最大の連続切刃長さが刃径の3倍以下となるように配置されている構成としてもよい。
従来、外周刃のエンドミル本体内で最大の連続切刃長さが刃径の3倍以下となるほど多くの切欠部をエンドミル本体内に設けた場合、びびり振動やチッピングが発生しやすかった。
そこで、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有し、エンドミル本体内で最大の連続切刃長さが刃径の3倍以下となるように十分な数の切欠部を設けるとともに、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置が互いに重なっていない構成とすることで、切屑の噛み込みを十分に抑制できるとともに、切削中、切削抵抗の変動は小さく、変動が起きるタイミングは分散される。そのため、びびり振動や外周刃のチッピングを抑制し、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
前記切欠部は、前記外周刃の延在方向に連続する連続切刃長さのうち、前記エンドミル本体内で最小の連続切刃長さが刃径の0.6倍以上となるように、配置されている構成であってもよい。切欠部の数が過多となることを抑制でき、切削抵抗の変動箇所が過多となることを防ぐことができる。これにより、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
全ての前記外周刃のねじれ角は互いに等しい構成としてもよい。
この構成によれば、より簡便な構成で、外周刃のチッピングを抑制しながら、高能率な切削が可能となる。
従来、高能率な加工を行なうにあたって、びびり振動の発生を抑制するために、外周刃間でねじれ角を変えるという複雑な外周刃を形成していた。
この構成では、少なくとも1つの外周刃が複数の切欠部を有し、全ての切欠部の周方向位置が互いに重なっていないため、全ての外周刃のねじれ角を等しくさせても、切屑の噛み込みが起きにくくなるとともに、切削中、切削抵抗の変動は小さく、変動が起きるタイミングは分散される。そのため、びびり振動や外周刃のチッピングを抑制し、安定した高能率な切削が可能となる。
前記切欠部はそれぞれ、軸方向位置が最も近い前記切欠部と、周方向位置が最も近い前記切欠部とが、異なるように配置されている構成としてもよい。
この構成によれば、周方向における切欠部の配置間隔を適度にあけることができ、切削中、切削抵抗の変動が局所的に大きい箇所がより発生しにくくなり、びびり振動が起きにくくなる。より一層安定した高能率な切削が可能となる。
前記外周刃は右ねじれであり、全ての前記切欠部は、軸方向位置が隣り合う2つの前記切欠部のうち、軸方向後端側に位置する前記切欠部は、軸方向先端側に位置する前記切欠部よりも回転方向前方に位置するように配置されている構成としてもよい。
この構成によれば、右ねじれ工具において、外周刃のねじれの向きとは逆向きに、切欠部をエンドミル本体内に配置することで、切欠部をエンドミル本体内により高密度に配置することができる。その結果、エンドミル本体内の全ての切欠部の周方向位置を重ならせることなく、エンドミル本体内に配置可能な切欠部の数を増やすことができる。したがって、この構成によれば、より一層安定した高能率な加工が可能となる。特に、刃径に対する刃長が大きくなるほど有利となる。
本発明の一態様によれば、高能率に安定した切削を行うことができるエンドミルを提供することができる。
図1は、第1実施形態におけるエンドミルの構成を示す図である。 図2は、第1実施形態におけるエンドミルの刃部構成を示す斜視図である。 図3は、第1実施形態におけるエンドミルの切刃部の外周面全体を示す展開図である。 図4は、第1実施形態におけるエンドミルの切刃部3の軸方向後端における軸直角断面図である。 図5は、第2実施形態におけるエンドミルの切刃部の外周面全体を模式的に示す展開図である。 図6は、実施例1及び比較例1の周波数解析結果を示すグラフである。
以下、本発明における各実施形態のエンドミルの構成について図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態におけるエンドミルの構成を示す図である。図2は、第1実施形態におけるエンドミルの刃部構成を示す斜視図である。図3は、第1実施形態におけるエンドミル本体の切刃部の外周面全体を示す展開図である。図4は、第1実施形態におけるエンドミルの軸直角断面図である。
図1に示す本実施形態のエンドミル10は、エンドミル本体1を有する。エンドミル本体1は、超硬合金等の硬質材料によって軸線Oを中心とした外径略円柱状に形成されている。エンドミル本体1の後端部分(図1において上側部分)は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに、先端部分(図1において下側部分)は切刃部3とされている。
このようなエンドミル本体1は、シャンク部2が工作機械の主軸に把持されて軸線Oの軸回りに沿ってエンドミル回転方向Tに回転させられることで、例えば、軸線Oに垂直な方向に送り出されて、被削材に切削加工を施していく。
切刃部3の外周には、エンドミル本体1の軸方向先端から後端側(シャンク部2)に向かうに従って、エンドミル回転方向Tとは反対側に軸線回りに捩れる切屑排出溝4が複数形成されている。本実施形態では、5つの切屑排出溝4がエンドミル回転方向T(軸線回り)に間隔を開けて形成されている。
切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tの前方を向く壁面であるすくい面12と、すくい面12に隣接する切刃部3の外周面である外周逃げ面11との回転方向前方側の交差稜線部には、外周刃7が形成されている。本実施形態では、5つの外周刃7がエンドミル回転方向Tにそれぞれ所定の間隔を開けて形成されている。5つの外周刃7のうち少なくとも1つの外周刃7は、外周刃7の延在方向において外周刃7を不連続にする複数の切欠部8を有している。本実施形態において、全ての外周刃7は、外周刃7の延在方向において当該外周刃7を不連続にさせて切り屑を分断させる切欠部8を1つ以上有している。本実施形態では、全ての外周刃7が切欠部8を1つ以上有している場合を例示したが、本発明の実施態様において、切刃部3が複数の切欠部8を有していればよく、切欠部8が設けられていない外周刃7が存在していてもよい。外周刃7は軸線O回りの螺旋状に延在している。
図2に示すように、各切屑排出溝4の先端部には、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tの前方側を向く壁面に沿って凹溝状のギャッシュ5がそれぞれ形成されている。エンドミル本体1は5つのギャッシュ5を有する。これらギャッシュ5のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端縁には、この壁面をすくい面とする底刃6が各外周刃7の先端から内周側に延びるように形成されている。
図1及び図2に示すように、本実施形態のエンドミル本体1には、5つの外周刃7それぞれに1つ以上の切欠部8が形成されている。具体的には、5つの外周刃7のうち、3つの外周刃7には2つの切欠部8がそれぞれ形成され、残り2つの外周刃7には1つの切欠部8がそれぞれ形成されている。各切欠部8は、一方の切屑排出溝4から他方の切屑排出溝4へ周方向に延びるとともに、径方向内側へ窪んだ凹溝である。各切欠部8は、すくい面12における形状が互いに等しい形状をなす。例えば、切欠部8は、すくい面12上で、外周刃7に直交する方向に最も深い位置(以下、最深部P)において部分的に断面円弧状をなす。
図2に示すように、各切欠部8は、一方の切屑排出溝4から周方向に隣り合う他方の切屑排出溝4まで、外周逃げ面11を周方向に横断するように延びている。言い換えると、切欠部8の回転方向前方側は、一方の切屑排出溝4のすくい面12に開口し、切欠部8の回転方向後方側は、別の切屑排出溝4に開口する。また、各切欠部8は、軸直角方向に延びている。切欠部8は、軸線回りの周方向に延びている。
本実施形態の切欠部8は、一方の切屑排出溝4から周方向に隣り合う他方の切屑排出溝4まで、外周逃げ面11を周方向に横断するように延びているが、切欠部8は、外周刃7を不連続にするものであれば、どのような形状、周方向の長さを有していてもよい。例えば、切欠部8は他方の切屑排出溝4まで至っていなくてもよい。切欠部8のエンドミル回転方向T後方側の端部が、外周逃げ面11上に位置していてもよい。
図3は、エンドミル本体1の切刃部3の外周面全体を示す展開図である。つまり、図3の右端は図3の左端に連続し、図3の上端は切刃部3の軸方向後端を意味し、図3の下端は切刃部3の軸方向先端を意味する。図3に図示するように、エンドミル本体1内における全ての切欠部8は、それらの周方向位置CRが互いに重ならないように配置されている。これは、切削中、複数の切欠部8が同時に被削材と相対さないようにすることを意図している。そのため、本実施形態における切欠部8の周方向位置CRは、軸線の延在方向から見て、エンドミル本体内の各切欠部8の領域(回転方向前端から後端まで)を同一軸直角平面上に投影した場合に、各切欠部8が占有する領域の位置を意味する。
「周方向位置が互いに重なっていない」配置とは、複数の切欠部8が占有する領域の位置が互いに重複していない配置であり、上記領域どうしが互いに離間または隣接している配置である。切欠部の周方向位置は、軸線を中心とし、外周面上の任意の場所を0°としたときの角度範囲で表すこともできる。例えば、ある切欠部の周方向位置は0°~5°、その切欠部と周方向に隣り合う切欠部の周方向位置は10°~15°というように、角度範囲で表わすこともできる。
また、切欠部8は、外周刃7の延長線上に位置する非切削領域9を有する。非切削領域9は、外周刃7の延在方向において、外周刃7が不連続となる部位である。エンドミル本体1内における全ての非切削領域9の周方向位置も互いに重なっていない。非切削領域9の周方向位置だけでなく、切欠部8の周方向位置を互いに重ならない配置とすることで、著しく高能率な加工においても、びびり振動の誘発を抑制することができる。
図3に示すように、周方向に並ぶ5つの外周刃7を、エンドミル回転方向Tの後方側へ向かって、第1外周刃7A、第2外周刃7B、第3外周刃7C、第4外周刃7D、第5外周刃7Eとしたとき、第1外周刃7A、第2外周刃7B及び第5外周刃7Eには、切欠部8が2つずつ形成され、第3外周刃7Cおよび第4外周刃7Dには、切欠部8が1つずつ形成されている。
より具体的には、第1外周刃7Aには先端側切欠部8Aaと後端側切欠部8Ab、第2外周刃7Bには、先端側切欠部8Baと後端側切欠部8Bb、第5外周刃7Eには、先端側切欠部8Eaと後端側切欠部8Ebが形成され、第3外周刃7Cには切欠部8Ca、第4外周刃7Dには8Dbが形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、エンドミル本体1内の全ての切欠部8Aa~8Ebの配置を同一の軸直角平面上に投影した場合、各切欠部8Aa~8Ebの周方向位置CRは互いに重ならない。即ち、エンドミル本体1内における全ての切欠部8Aa~8Ebの周方向位置CRは、周方向(例えばエンドミル回転方向T)で単にずれているだけでなく、周方向で重ならない。
尚、重ならない配置とは、重複する配置を含まず、離間する配置と隣接する配置は含む。また、切欠部8Aa~8Ebの周方向位置CRの長さは同じであっても、異なっていてもよい。
本実施形態における切欠部8Aa~8Ebの周方向位置CR(同一の軸直角平面上に投影した位置)の具体的な並び順は、第1外周刃7Aの切欠部8Aaから順に回転方向後方へ向かって、8Eb、8Ba、8Ab、8Ca、8Bb、8Ea、8Dbである。そして、切欠部8Aaの周方向位置CR、切欠部8Ebの周方向位置CR、切欠部8Baの周方向位置CR、切欠部8Abの周方向位置CR、切欠部8Caの周方向位置CR、切欠部8Bbの周方向位置CR、切欠部8Eaの周方向位置CR、および切欠部8Dbの周方向位置CRは、それぞれ互いに重なっていない。
このように少なくとも1つの外周刃7が複数の切欠部8を有することで、切屑分断性を高め、外周刃7の切屑の噛み込みによるチッピングを起きにくくすることができる。これに加えて、エンドミル本体1内の全ての切欠部8の周方向位置CRを互いに異ならせることによって、エンドミル本体1内の切欠部8の数によらず、言い換えると、多くの切欠部8を設けたとしても、切削中、切削抵抗の大きな変動が局所的に起きることを回避することができる。切削抵抗の変動量を小さく、かつ変動するタイミングを分散させることで、びびり振動も起きにくくすることができる。
したがって、本実施形態では、少なくとも1つの外周刃7が複数の切欠部8を有することと、エンドミル本体1内の全ての切欠部8の周方向位置が互いに重なっていないこととの相乗効果により、極めて高能率な加工においても、外周刃7のチッピングの発生を抑制できるだけでなく、びびり振動も抑えた、より一層安定した高能率な加工が可能となる。極めて高能率な加工とは、例えば、軸方向の切り込み量(ap)が刃径(D)の2倍以上である切削条件、または切削速度(Vc)250m/min以上である切削条件、または刃径10mmのときに切屑排出量(Q)250cm/min以上である切削条件、あるいは、これら3条件のうちの2つ以上を組み合わせた切削条件などを挙げることができる。
図3に示すように、周方向位置CRが隣り合う2つの切欠部8(例えば8Aaと8Eb)の回転方向前端間の間隔のうち、少なくとも1つの間隔CSは、他の間隔CSと異なっている。このようにすることで、切削抵抗が低下するタイミングの周期性を緩和させることができる。その結果、極めて高能率な加工においても、びびり振動やチッピングの発生を抑えた安定した高能率な加工が可能となる。
図1に示す本実施形態のエンドミル本体1は、切刃部3の先端における直径(D:刃径)が約10mm、刃長(H)が約30mm(3D)である。外周刃7の軸方向長さH(外周刃7を軸線と平行な直線上に投影したときの長さ)を大きくするほど、軸方向の切り込み量を大きくすることができ、より高能率な切削が可能となる。一方で、外周刃7の軸方向長さH(刃長)が長いほど、加工能率は向上するものの、びびり振動が発生しやすくなる。特に、刃径Dに対する外周刃の刃長Hの割合(H/D)が大きくなるほど、例えば2倍以上(H/D≧2)、とりわけ3倍以上(H/D≧3)の場合、切屑長さを短縮させるため、外周刃7に切欠部8を設けることが多い。
本実施形態では、少なくとも1つの外周刃7が複数の切欠部8を有し、刃長Hを刃径Dの2倍以上とするとともに、エンドミル本体1内の全ての切欠部8の周方向位置CRが互いに重ならないように配置されている。この構成により、より高能率な切削が可能になるとともに、刃長Hを長くしたとしても、外周刃7による切屑の噛み込みが起きにくくなる。さらに、切削中、切削抵抗の変動が小さく、かつ変動のタイミングが分散するため、びびり振動も起きにくくなる。したがって、これらの相乗効果により、より一層高能率で安定な加工が可能となる。
本実施形態では、外周刃7を5つ設けているが、外周刃7の数は5つに限らず6つ以上設けてもよい。このように外周刃7の数を5つ以上設けることで、送り速度を大きくすることができ、より高能率な切削が可能になる。その一方で、送り速度を大きくすることで、切屑の噛み込みが起きやすくなるため、切欠部の数を増やすと、びびり振動が発生しやすくなる。
本実施形態では、エンドミル本体1内の全ての切欠部8を周方向位置CRが互いに重ならないように配置することで、刃数や切欠部を増やしたとしても、切削中、切削抵抗の変動が小さく、かつ変動の起きるタイミングが分散されるため、びびり振動も発生しにくい。その結果、この相乗効果により、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
本実施形態では、全ての外周刃7のねじれ角は40°である。本実施形態においては、全てのねじれ角を40°としたが、全てのねじれ角が35°以上であれば、外周刃7間でねじれ角が異なっていても構わない。
本実施形態では、エンドミル本体1内の全ての切欠部8の周方向位置が重ならないように、切欠部8を配置することで、ねじれ角を大きくした場合でも、切削中、切削抵抗の変動が小さく、かつ変動の起きるタイミングが分散されるため、びびり振動も発生しにくい。その結果、この相乗効果により、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
また、図3に示すように、外周刃7内において、切欠部8に分断されることなく外周刃7の延在方向に連続する部分の連続切刃長さL2は、切り屑長さに相当する。言い換えれば、連続切刃長さL2は、外周刃7の先端から、外周刃延在方向で最も先端側に位置する切欠部8までの長さ、あるいは同一外周刃内で隣り合う切欠部8間の長さ、または外周刃7の後端から外周刃延在方向で最も後端側に位置する切欠部8までの長さである。各外周刃7に設ける切欠部8の数及び間隔によって、切削時の切り屑長さを変更することが可能である。例えば、第1外周刃7Aのうち先端部分において切削された切り屑は、先端側切欠部8Aaにおいて分断され、先端側切欠部8Aaと後端側切欠部8Abとの間の中央部分において切削された切り屑は、後端側切欠部8Abにおいて分断される。
本実施形態において、切欠部8によって分断されることなく、外周刃7の延在方向に連続する外周刃7の連続切刃長さL2のうち、エンドミル本体1内において最大の連続切刃長さL2MAX(即ち、最大切り屑長さ)は、図3にて太線で示すように、第3外周刃7Cに設けられた切欠部8Caから第3外周刃7Cの後端までの距離である24.8mm(2.5D)である。尚、切欠部8によって分断されることなく外周刃7の延在方向に連続する外周刃7の連続切刃長さL2のうち、エンドミル本体1内において最小の連続切刃長さL2MINは、図3にて太線で示すように、第5外周刃7Eの先端から先端側切欠部8Eaまでの距離である9.1mm(0.9D)である。
このように、最大の連続切刃長さL2MAXがエンドミル本体1の刃径Dの3倍以下(3D以下)の長さとなるように、切欠部8を配置する。これにより、エンドミル本体内の全ての切欠部8の周方向配置が重ならないようにするだけでなく、切屑長さが過度に大きくなってしまう切刃箇所をなくすことで、切削時に切り屑の噛み込みが生じにくくなり、外周刃7のチッピングが抑制される利点がある。一方で、従来は、エンドミル内の最大の連続切刃長さL2MAXが刃径Dの3倍以下となるほど多くの切欠部8をエンドミル本体1内に設けると、切欠部8どうし(例えば、異なる外周刃7に設けられている切欠部8どうし)が軸方向に整列(周方向位置が重複)しやすくなり、切削中、切削抵抗の変動が局所的に大きい箇所(切欠部が集中する箇所)が現れ、びびり振動を発生させてしまうおそれがあった。
本実施形態では、全ての切欠部8の周方向位置CRが互いに重ならないようにするとともに、エンドミル内の最大の連続切刃長さL2MAXが刃径Dの3倍以下となるように切欠部8を配置することで、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
また、最小の連続切刃長さL2MINがエンドミル本体1の刃径Dの0.6倍以上の長さとなるように、切欠部8を配置することで、切欠部8の数が過多となることを抑制でき、切削抵抗の変動箇所が過多となることを防ぐことができる。
よって、全ての切欠部8の周方向位置CRが互いに重ならないようにするとともに、最小の連続切刃長さL2MINが刃径Dの0.6倍以上の長さとなるように、エンドミル本体内の切欠部8を配置することで、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
更に、最大の連続切刃長さL2MAXが刃径の3倍以下の長さであるとともに、最小の連続切刃長さL2MINが刃径の0.6倍以上の長さとなるように、切欠部8を配置することで、エンドミル本体内における連続切刃長さL2を適度なばらつき具合にすることができ、びびり振動の更なる抑制につながる。
よって、全ての切欠部8の周方向位置CRが互いに重ならないようにするとともに、最大の連続切刃長さL2MAXが刃径Dの3倍以下の長さ、かつ最小の連続切刃長さL2MINが刃径の0.6倍以上の長さとなるように、エンドミル本体内の切欠部8を配置することで、より一層安定した高能率な加工が可能となる。
切欠部8のうち、すくい面12上において、外周刃7の延在方向に対して直交する方向に最も深い場所を最深部Pと名付ける。図3に図示すように、エンドミル本体1内で軸方向位置が隣り合う(最も近い)2つの切欠部8の最深部P間の軸方向間隔L1の多くは、等間隔な配置とされている。本実施形態では、エンドミル本体1内で軸方向位置が隣り合う6ヶ所の最深部P間の軸方向間隔L1が、1.5mmとされている。エンドミル本体1内で軸方向位置が隣り合う切欠部8の配置間隔(ピッチ)を等しくすることで、エンドミル本体1の切削回転時において、外周刃7どうしの間で切削負荷の偏りが生じるのを防ぐことができる。
本実施形態では、これら全ての外周刃7は、エンドミル本体1の軸方向の先端から後端側へわたって一定のねじれ角で延びるとともに、全ての外周刃7のねじれ角が互いに等しい。
従来、びびり振動の発生を抑制するために、外周刃7間でねじれ角を異ならせるという複雑な構成が知られている。本実施形態では、少なくとも1つの外周刃7が複数の切欠部8を有するとともに、全ての切欠部8の周方向位置が互いに重なっていない。そのため、本実施形態では、全ての外周刃7のねじれ角を等しくしても、切屑の噛み込みが起きにくい。また本実施形態では、切削中、切削抵抗の変動が小さく、変動が起きるタイミングが分散されるため、びびり振動が発生しにくい。したがって、本実施形態によれば、より一層簡便な構成で、外周刃7のチッピングを抑制しながら、高能率な切削が可能となる。
図3に示すように、全ての切欠部8は、各切欠部8にとって軸方向位置が最も近い切欠部8と、周方向位置が最も近い切欠部8とが、異なる切欠部8となるように配置されている。例えば、切欠部8Baにとって、軸方向位置が最も近い切欠部は8Aaおよび8Caであるが、周方向位置が最も近い切欠部は8Ebおよび8Abであり、両者は異なる切欠部である。この構成によれば、周方向における切欠部8の配置間隔を適度にあけることができ、切削中、切削抵抗の変動が局所的に大きい箇所が現れにくくなり、びびり振動が起きにくくなる。
エンドミル本体1内で最も軸方向先端側に位置する切欠部8(図3における第5外周刃7Eに設けられた切欠部8)は、エンドミル本体1の先端縁からは軸方向内側へある程度距離をおいた位置に形成されていることが好ましい。その理由として、エンドミル本体1の先端縁に近い位置に切欠部8を設けたとしても切削初めの短い切り屑しか切れなくなり、長い切り屑を短くする効果が小さくなってしまうことが挙げられる。同様に、軸方向で最も後端側に位置する切欠部8においてもエンドミル本体1の後端縁よりも軸方向内側へある程度距離をおいた位置に形成されていることが好ましい。
したがって、各外周刃7に形成された複数の切欠部8を切刃部3の比較的中央付近に形成することで、少ない切欠部8で効率良く切屑を短くすることができる。
本実施形態のエンドミル本体1は、軸直角断面において周方向(エンドミル回転方向T)で隣り合う外周刃7どうしのすべての周方向間隔が互いに異なる不等分割エンドミルである。即ち、図4に示すように、軸線Oに直交する断面視において、5つの外周刃7が軸回りで等分割な配置ではなく、互いに異なる分割角度で配置されている。このように軸直角断面における外周刃7間の周方向間隔を異ならせることにより、びびり振動をより抑制することができる。
本実施形態においては、図4に示すように、軸直角断面において、ある外周刃7と軸線Oとを結ぶ直線と、その外周刃7と周方向で隣り合う外周刃7と軸線Oとを結ぶ直線とがなす角度(分割角度θ)は、θ1が最も小さく、θ1<θ2<θ3<θ4<θ5の順に大きくなっている。すなわち、軸直角平面において、第1外周刃7Aと、当該第1外周刃7Aよりもエンドミル回転方向Tとは反対側に位置する第2外周刃7Bとの間隔が最も小さい。また、軸直角断面において、第1外周刃7Aと、当該第1外周刃7Aのエンドミル回転方向Tの前方側に位置する第5外周刃7Eとの間隔が最も大きい。
本実施形態では、5つの外周刃7の周方向に隣り合う周方向間隔、即ち分割角度θ(θ1~θ5)は全て異なっているが、それらの一部に同じ分割角度θが存在していてもよい。
図3、図4に図示するように、本実施形態では、エンドミル本体1内の切欠部8のうち、軸方向で最も後端側に位置する切欠部8Bbは、5つの外周刃7のうち、切刃部3の最後端における軸直角平面において、回転方向前方にて隣り合う外周刃7までの周方向間隔(分割角度)が最も小さい外周刃7Bに設けられている。つまり、エンドミル本体1内の切欠部8のうち、軸方向で最も後端側に位置する切欠部8Bbを、仕事量が最も小さい外周刃7Bに設けることで、外周刃後端付近でのチッピングを効果的に抑制することができる。
切欠部8は外周刃7における不連続箇所であるため、応力が集中しやすく、チッピングが起きやすい。その上、把持部(即ちシャンク部2)に近い位置では応力が逃げにくい。そのため、軸方向で最も後端側に位置する切欠部8を、最も仕事量が小さい(分割角度が小さい)外周刃7に設けることで、応力集中を緩和させ、外周刃7のチッピングをより抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のエンドミルの構成について述べる。図5は、第2実施形態のエンドミル本体21の切刃部3の外周面全体の展開図である。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、エンドミル本体21内の全ての切欠部8の周方向位置CR(図3)は互いに重なっていない。また、ねじれ角や外周刃7間の間隔(分割角度)などは第1実施形態と等しい。本実施形態のエンドミル本体21は、刃径D(図1)が約20mm、刃長(H)が約60mmである。
第1実施形態と異なる点として、第1外周刃7A、第4外周刃7D、第5外周刃7Eにはそれぞれ2つの切欠部8が設けられており、第2外周刃7Bと第3外周刃7Cには3つの切欠部8が設けられている。また、最大の連続切刃長さL2MAXは1.5D、最小の連続切刃長さL2MINは0.8Dである。
上記第1実施形態では図3に示すように、エンドミル本体1内の全ての切欠部8は、軸方向位置が隣り合う2つの切欠部8のうち、後端側に位置する切欠部8のほうが、先端側に位置する切欠部8よりも、周方向位置が回転方向後方に位置するように配置されている(右上がりの配置)。これに対して本実施形態では図5に示すように、エンドミル本体21内の全ての切欠部8は、軸方向位置が隣り合う2つの切欠部8のうち、後端側に位置する切欠部8が、先端側に位置する切欠部8よりも、周方向位置が回転方向前方に位置するように配置されている(右下がりの配置)。つまり、図5中の矢印Fで示すように、外周刃7の傾斜方向とは逆になる傾斜方向(右下がり)で、全ての切欠部8は配置されている。このように、切欠部8を外周刃のねじれの向きと逆向きに並べることで、周方向位置が隣り合う切欠部8の周方向(エンドミル回転方向T)間隔をより小さくすることができるので、切欠部8をより高密度に配置でき、より多くの切欠部8を配置することができる。
特に、エンドミル本体21の刃径D(図1)が大きいと、必要な数の切欠部8を形成するために、全切欠部8を外周刃のねじれの向きと逆向きの配置でエンドミル本体内に配置(図5のように外周刃が右ねじれの場合、右下がりの配置)することが好ましい。特に、刃径Dが12mm以上の場合は、全切欠部8を外周刃のねじれの向きと逆向きのねじれ配置にすることが好ましい。さらに、刃径Dに対する刃長Hの割合が大きくなるほど、十分な切屑分断性を確保するために、必要な切欠部8の数も増えるため、全切欠部8を外周刃のねじれの向きと逆向きの配置とすることが好ましい。切欠部8をこのように配置することにより、切刃部3の軸方向全体(刃長)に亘ってエンドミル回転方向Tにおいて各切欠部8の周方向位置が他の切欠部8の周方向位置と重畳せずに、より多くの切欠部8を配置することができる。その結果、外周刃7のチッピングを抑制しつつ、より一層高能率な切削が可能となる。
切欠部8は外周刃7における不連続箇所であるため、応力が集中しやすく、チッピングが起きやすい。その上、把持部(即ちシャンク部2)側ほど応力が逃げにくい。
本実施形態では、図5に示すように、回転方向前方にて隣り合う他の外周刃7までの周方向間隔(分割角度)が最も小さい外周刃7Bに、エンドミル本体21内の全ての切欠部8の中で最も軸方向後端側に位置する切欠部8が設けられている。このように、エンドミル本体21内の全ての切欠部8のうち最も軸方向後端側に位置する切欠部8を、切削量が最も少ない外周刃7Bに配置することで、軸方向後端側における外周刃7のチッピングを抑制することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
例えば、エンドミル本体1、21の外周刃7の数や、各外周刃7に設ける切欠部8の数は、刃径Dや刃長H、被削材の硬度や切削速度などの切削条件によって適宜設定することが好ましい。
上述した各実施形態では、エンドミル本体1,21における全ての外周刃7が切欠部8を有しているが、切欠部8を有しない外周刃7が存在していてもよい。
本発明の実施例1(第1実施形態)、比較例1、比較例2の刃径10mmのラジアスエンドミルについて、それぞれ工作機械の主軸に把持させ、以下の切削条件にて軸線Oの軸回りであるエンドミル回転方向Tへと回転させて、30HRCの被削材を、下記の切削条件にてDMG森精機社製(HSK-A63)の工作機械を用い、トロコイド加工にて、120分間ポケット加工を行なった。そして、切削時の振動周波数を解析し、びびり振動の有無や、外周刃のチッピングの有無を検証した。
(切削条件)
・切削速度(Vc):300m/min
・回転数(n):9549min-1
・送り速度(vf):9549mm/min
・一刃送り量(fz):0.2mm/t
・軸方向切り込み量(ap):29mm
・径方向切り込み量(ae):1mm
・切屑排出量Q:277cm/min
実施例1のエンドミルは第1実施形態のエンドミルであり、上述したように5枚刃の不等分割エンドミルであり、3つの外周刃7にはそれぞれ2つずつ切欠部8が設けられており、残り2つの外周刃7にはそれぞれ1つずつ切欠部8が設けられている。また、エンドミル本体1内における全ての切欠部8の周方向位置CRは互いに重なっていない。比較例1も5枚刃の不等分割エンドミルであり、分割角度は第1実施形態と同じである。しかしながら、比較例1では、全ての外周刃7がそれぞれ2つの切欠部8を有し、図6に模式図を示すように、複数の切欠部8の周方向位置CRが重なっている。比較例2は、全ての外周刃7がそれぞれ1つのみ切欠部8を有し、エンドミル本体内の全ての切欠部8の周方向位置CRが重なっていない。
過去に行なった実験から、加工時の加工音が高いほど、また、加工後の加工面に目視で観察されるうねりが大きいほど、4000Hz~5000Hzの周波数域に周期性のない振動強度が大きく表れていた。また、加工音や目視での加工面の状態の差異が小さい場合でも、その僅かなびびり振動が周期性のない振動強度として表れることから、高能率な加工における加工の安定性を評価するために、周波数解析を用いてびびり振動を評価した。
図6は、実施例1および比較例1の周波数解析結果を示すグラフである。図6の横軸に被削材の切削時に発生するエンドミル本体1の振動周波数(回転周波数)を示し、縦軸に強度を示す。なお、図6中の実施例1の展開図は、上述した第1実施形態の切刃部3の展開図(図3)に相当し、図3の展開図を模式的に記載したものである。図6において黒丸で示す箇所は切欠部8を意味しており、実施例1は、エンドミル内の全て切欠部8の周方向位置が、互いに重なっていないことを示しており、比較例1は、複数の切欠部8の周方向位置が重なっていることを示している。
図6に示すように、外周刃に1つまたは2つの切欠部8が形成され、全ての切欠部8の周方向位置CRが重ならないように配置された第1実施形態では、約4000Hz~5000Hzの周波数域に振動の強度はほとんど確認されなかった。一方、各外周刃に切欠部8が2個ずつ設けられ、複数の切欠部8の周方向位置が重なり合う比較例1では、約4000Hz~5000Hzの周波数域に、周期性のないある程度の強度の振動が生じている。また、比較例2も、比較例1よりは強度が小さいものの、振動が確認された。
また、実施例1と比較例1は、上記のような軸方向の切り込み量が大きく、かつ切削速度も大きな高能率な加工を120分間行なっても、外周刃にチッピングが発生しなかったが、比較例2は、切削開始から30分後、外周刃にチッピングが発生した。
以上のことから、実施例1は、極めて高能率な側面切削を行なっても、長時間安定して切削を行なえることが分かった。
1…エンドミル本体
4…切屑排出溝
7(7A,7B,7C,7D,7E)…外周刃
8(8Ab,8Ba,8Bb,8Ca,8Db,8Ea,8Eb)…切欠部
9…非切削領域
10…エンドミル
11…外周逃げ面
12…すくい面
CR…切欠部8の周方向位置
CS…周方向で隣り合う2つの切欠部8の回転方向前端間の間隔
D…刃径
H…刃長
L1…軸方向位置が隣り合うすくい面上における最深部間の軸方向間隔
L2…外周刃の延在方向に連続する外周刃の連続切刃長さ
P…最深部
O…軸線
T…エンドミル回転方向
θ…分割角度

Claims (10)

  1. 軸線回りに回転可能なエンドミル本体と、前記軸線回りに捩れながら前記エンドミル本体の軸方向先端側から軸方向後端側へ向かって延びる切屑排出溝と、前記切屑排出溝と外周逃げ面との回転方向前方側の交差稜線部に形成される外周刃とを有するエンドミルであって、
    前記外周刃を不連続にする複数の切欠部を有し、
    複数の前記切欠部が設けられた前記外周刃を少なくとも1つ有しており、
    前記切欠部は、前記外周刃の延長線上に位置する非切削領域を有して前記非切削領域からエンドミル回転方向の後方側へ延びる凹溝であり、
    前記エンドミル本体内の全ての前記切欠部は、前記軸線に平行な方向から見て、前記凹溝の回転方向前端から後端までの領域が、互いに重なっていない
    ことを特徴とする、エンドミル。
  2. 前記軸線回りの周方向に隣り合う2つの前記切欠部の回転方向前端間の間隔のうち少なくとも1つの前記間隔は、他の前記間隔と異なっていることを特徴とする、請求項1に記載のエンドミル。
  3. 刃長は、刃径の2倍以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  4. 前記外周刃は5つ以上設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  5. 全ての前記外周刃のねじれ角は、35°以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  6. 前記切欠部は、前記外周刃の延在方向に連続する連続切刃長さのうち、前記エンドミル本体内で最大の連続切刃長さが工具径の3倍以下となるように、配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  7. 前記切欠部は、前記外周刃の延在方向に連続する連続切刃長さのうち、前記エンドミル本体内で最小の連続切刃長さが刃径の0.6倍以上となるように、配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  8. 全ての前記外周刃のねじれ角は互いに等しいことを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  9. 前記切欠部はそれぞれ、軸方向位置が最も近い前記切欠部と、周方向位置が最も近い前記切欠部とが異なるように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
  10. 前記外周刃は右ねじれであり、全ての前記切欠部は、軸方向位置が隣り合う2つの前記切欠部のうち、後端側に位置する前記切欠部は、先端側に位置する前記切欠部よりも回転方向前方に位置するように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンドミル。
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