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JP7635193B2 - きのこ栽培用シート - Google Patents
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Description

本発明は、きのこの栽培菌床の上に被覆されるきのこ栽培用シートに関する。
きのこの栽培菌床において、きのこが発生する部位を制限して、収量を最適化したり、効率的に収穫したりすることを意図する試みとして、たとえば、下記特許文献1~3に記載の技術がある。
特開2010-29097号公報 特開2020-36号公報 特開2020-37号公報
本開示の実施態様は、きのこの栽培菌床において、意図しない箇所からの発芽を確実に防止しつつも、意図する箇所からは確実に発芽することの可能なきのこ栽培用シートに関する。
本開示の第1の実施態様は、きのこの栽培菌床の上に被覆されるシート状のきのこ栽培用シートであって、遮光性を有する遮光領域と、前記遮光領域の複数箇所に散在されるとともに透光性を有する透光領域と、前記複数箇所の透光領域の各々に形成される貫通孔と、を有する。
上記のように構成することで、遮光領域ではきのこの発芽を抑制しつつ、透光領域できのこの発芽を促進し、貫通孔によって意図する位置できのこを生育させることが可能となる。
本開示の第2の実施形態は、第1の実施態様の構成に加え、前記遮光領域の遮光率が99%以上である。このように構成することで、遮光領域でのきのこの発芽を確実に抑制することが可能となる。
本開示の第3の実施態様は、第2の実施態様の構成に加え、前記透光領域の面積がシート全体の面積に対して占める割合が3%以上12%以下である。このように構成することで、栽培菌床において、きのこの発芽を促進させる部位を適切に調節することが可能となる。
本開示の第4の実施態様は、第3の実施態様の構成に加え、前記貫通孔の直径が3mm以上10mm以下である。このように構成することで、透光領域で発芽が促進されたきのこを十分に生育させることが可能となる。
本開示の実施態様は上記のように構成されているので、きのこの栽培菌床において、意図しない箇所からの発芽を確実に防止しつつも、意図する箇所からは確実に発芽することの可能なきのこ栽培用シートを提供することが可能となる。
本開示の実施形態のきのこ栽培用シートの一例を模式的に表す平面図である。 本開示の実施形態のきのこ栽培用シートの別の例を模式的に表す平面図である。 実施例の栽培菌床におけるきのこの発芽状況を平面視で撮影した写真である。
以下、図面を参照しつつ本開示の実施形態を説明する。以下で言及する各図面はあくまで模式的に示すものであって、各部位の位置関係及びサイズは実際の製品とは必ずしも一致しない。
(1)第1実施形態
図1及び図2は、本開示の第1実施形態のきのこ栽培用シート10を模式的に表す平面図である。本実施形態のきのこ栽培用シート10は、シート状を呈し、きのこ60の栽培菌床50(図3参照)の上に被覆される。そして、遮光性を有する遮光領域20と、遮光領域20の複数箇所に散在されるとともに透光性を有する透光領域30と、複数箇所の透光領域の各々に形成される貫通孔40と、を有する。
きのこの栽培菌床50は、生育させるきのこ60の種類によって配合は異なる。たとえば、おがくず及びコーンコブ等に、栄養分としてふすま等を適宜の割合で添加したもののような、きのこの栽培菌床として通常用いられるものを、トレイのような容器に平面状に充填したものが本実施形態における栽培菌床50には適している。
本実施形態のきのこ栽培用シート10を用いて生育させることのできるきのこ60の種類は、平面栽培が可能なものであれば特に限定されない。その例としては、シイタケのような軸が比較的太いきのこや、ブナシメジ又はマイタケ等のような、1株単位で収穫されるきのこ60が挙げられる。
本実施形態のきのこ栽培用シート10は、上記のように平面状の栽培菌床50の上に被覆されるものであるから、シート状に形成されることが望ましい。シートの材質は、殺菌工程に供する際の耐熱性を備えるものであれば特に限定はされないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のような、薄くシート状に加工することが容易でありつつ、適度な耐久性を有するものが望ましい。また、栽培菌床50の表面への密着性に鑑みれば、シート厚は、たとえば、15~40μmと、比較的薄いものが望ましい。
本実施形態のきのこ栽培用シート10は、上記した材質で形成した透明なシートの一部に、印刷により遮光領域20を形成し、印刷されない箇所を透光領域30とすることが望ましい。なお、全体として遮光性を有するシートの適宜の箇所を切り抜き、その切り抜いた箇所に透光性を有するシート片を透光領域30として接着し、元の遮光性を有する部分を遮光領域20としてもよい。
遮光領域20を印刷により形成する場合、遮光率の高いインクで印刷することが望ましい。インクの色彩は、遮光性を確保できれば特に限定はされないが、たとえば、墨色(黒色)、白色、銀色等が挙げられる。たとえば、墨色、白色又は銀色のインクで印刷した場合、可視領域(360~830nm)の波長の光に対する遮光領域20の遮光率を、99.073~99.988%と、99%以上とすることができる。すなわち、遮光領域20の遮光率を99%以上とすることによって、遮光領域20におけるきのこ60の発芽を確実に抑制することができる。なお、シートが半透過性(たとえば、遮光率50%以下)の材質で形成されると、シートのあらゆる箇所できのこが発生するため、生産性が却って低下することとなる。
透光領域30は、きのこ60の生育を促進させたい位置に設けられ、遮光領域20に対して複数箇所に散在するように設けられる。透光領域30が設けられる位置は、きのこ60の種類や栽培菌床50の大きさに応じて、適切な間隔で設けることが望ましい。また、透光領域30の面積がシート全体の面積に対して占める割合が3%以上12%以下であることが望ましい。この割合が3%以上であることによって、栽培菌床50の大きさに見合ったきのこ60を収量を確保することが可能となる。また、この割合が12%以下であることによって、きのこ60の傘同士の接触による変形を防止でき、また、芽の剪定作業時の機械作業スペースを確保することができる。すなわち、この割合を3~12%とすることで、透光領域30の間隔を必要かつ十分に取って発芽部位を制御することできのこ60の生産性を高めつつ、安定したきのこ60の発生をも図ることができる。
貫通孔40は、きのこ60の種菌を接種するための孔であり、かつ、発生を促すための通気孔ともなっている。ここで、貫通孔40は、透光領域30の中心に設けられることが望ましい。貫通孔40の周囲に透光領域30が存在することで、種菌が接種された位置から周囲の栽培菌床50に波及する菌糸にも光が当たり、子実体の生育を促進することができる。また、栽培菌床50における雑菌汚染を抑制しつつ、確実に種菌を接種したり、通期を確保したりするためには、貫通孔の直径は3mm以上10mm以下であることが望ましい。
なお、きのこ栽培用シート10における透光領域30の配列様式は、隣接する貫通孔40の間に十分な間隔を確保できれば特に限定されることはない。しかしながら、生育作業及び収穫作業における効率を考慮すれば、図1に示す例のように、隣接する4つの貫通孔40が正方形状に配列されることが望ましい。あるいは、図2に示す例のように、1つの貫通孔40を中心として隣接する6つの貫通孔40がハニカム状に配列されることとしてもよい。
実施例として、厚さ25μmのPET樹脂製のシートを用いて、きのこ栽培用シート10を製作した。シートのサイズは、1辺が39.4cmの正方形状で、面積は1552.4cmであった。このシートに、1辺1.4cmの正方形状の透光領域30が、5.6cm間隔で、縦横各7個、計49個、図1に示すような様式で配列されるように、墨色インクで遮光領域20を印刷した。各透光領域30のほぼ中心には、直径5mmの円形の貫通孔40を穿孔した。以上により、各透光領域30の面積は2cm、透光領域30の総面積は98cm、及びきのこ栽培用シート10に占める透光領域30の割合は6.3%であった。
シートの両面から遮光領域20に光を照射して、透過した光を、紫外・可視・近赤外分光光度計(UV-3600、島津製作所)したところ、遮光率は99.079~99.775%であった。
栽培菌床50として、おがくず、コーンコブ、米糠及びふすま等を配合したきのこ栽培用培地を、1辺40×40cmのトレイに敷き詰めた。この栽培菌床50の上を、上記のきのこ栽培用シート10で被覆した。そして、各貫通孔40の位置に、シイタケの種菌を接種した。そして、種菌が活着する期間の14日間が経過したのち、温度20~25℃、湿度50~90℃及びCO濃度1,000~10,000ppmの培養環境にて56日間培養し、その後、芽出し期間を6日間及び生育期間を8日間し、きのこ60を生育させた。
上記した56日間の培養期間においては、照明の照度を500lux又は5luxとし、また、積算照射時間を1,344時間又は22.4時間とした4通りの照明を実施した。この4通りの照明を実施した上記の培養条件にて、遮光領域20において発芽が抑制されたかどうか、また、透光領域30において発芽が見られたかどうかを、試験区1~4として観察した。なお、培養期間における照明の照度を0lux及び積算照射時間を0時間として、それ以外は同じ培養条件とした対照区を試験区5とした。その結果を下記表1に示す。
上記表1より、培養期間中に証明を実施した試験区1~4ではいずれも、照度の高低及び積算照射時間の長短にかかわらず、遮光領域20における発芽は抑制され、透光領域30においては発芽が促進されたことが分かった。すなわち、試験区1の結果から、最高照度かつ最長積算照射時間であっても、透光領域30は発芽を抑制し得ることが分かった。また、試験区4の結果から、最低照度かつ最短積算照射時間であっても、透光領域30における発芽には十分であることも分かった。なお、試験区5の結果から、全く照明を行わない場合は透光領域30においても発芽が見られなかったことから、本実施例の実験条件においては、照明なしで発芽が見られることはないことが分かり、実験手法が適正であることも分かった。
ここで、上記試験区3において、芽出し期間を経過した後の栽培菌床50の写真を図3として示す。この図3に示すように、透光領域30があった49箇所全てにおいて、きのこ60の発芽が見られた一方、遮光領域20があった箇所での発芽は一切認められなかった。
なお、上記実施例と同じ材質かつ同じ印刷を施したきのこ栽培用シート10において、各透光領域30の面積が同じ2cmで、その個数を9、16、25、41又は64個とした例についても上記と同様の結果が観察された。また、上記実施例と同じ材質かつ同じ印刷を施したきのこ栽培用シート10において、各透光領域30の面積が1cm又は3cmとし、その個数をそれぞれ9、16、25、41、49及び64個とした例についても上記と同様の結果が観察された。
10 きのこ栽培用シート
20 遮光領域
30 透光領域
40 貫通孔
50 栽培菌床
60 きのこ

Claims (4)

  1. きのこの平面状の栽培菌床の上に被覆されるシート状のきのこ栽培用シートであって、
    透明なシートの一部に形成された、遮光性を有する遮光領域と、
    前記透明なシートにおいて前記遮光領域が形成される部分以外の部分であって、前記遮光領域の複数箇所に散在されるとともに透光性を有する透光領域と、
    前記複数箇所の透光領域の各々に形成されるとともに、きのこの種菌を接種するための孔である貫通孔と、
    を有する、きのこ栽培用シート。
  2. 前記遮光領域の遮光率が99%以上である、請求項1に記載のきのこ栽培用シート。
  3. 前記透光領域の面積がシート全体の面積に対して占める割合が3%以上12%以下である、請求項2に記載のきのこ栽培用シート。
  4. 前記貫通孔の直径が3mm以上10mm以下である、請求項3に記載のきのこ栽培用シート。
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