以下、本発明に係るOTAトラフィック分析装置、及びOTAトラフィック分析方法の実施形態について図面を用いて説明する。
(概要)
本発明に係るOTAトラフィック分析装置1(ここでは、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1を例示しているが、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aについても同様である)は、例えば、図1に示すように、無線基地局B1(或いは、交換局B2)と各種の無線端末A11、A12、A13、A14の間で無線通信が行われるOTA空間内に配置されて運用される。無線端末A11、A12、A13、A14は、例えば、基地局B1と無線信号(OFDMで多重化し、RF信号に変換されて送出される。以下、OFDM信号ということもある)の送受信を行い、基地局B1を介して、通信相手と通信を行うことができる。ここで、無線端末A11、A12、A13、A14は、例えば、当該基地局B1に接続されているネットワーク内の通信端末と基地局B1を介して通信することができる。また、無線端末A11、A12、A13、A14は、互いに他の無線端末と基地局B1を介して通信を行うこともできる。図1において、無線端末A11、A12、A13、A14(以下、これらをまとめて無線端末A1ということもある)としては、例えば、タブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、無線ルータ等、種々の無線通信機器が挙げられる。
上述したOTA環境下においては、基地局B1と複数の無線端末A1が同時に無線信号(OFDM信号)を送受信する場合には、これらの無線信号が混在する無線通信状況が生じる。本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、基地局B1と無線端末A1間の通信中、観測エリア6内の適宜な配置地点で、各無線端末A1を信号源110としてそれぞれ送出される無線信号(OFDM信号)が混在した複数波混在信号を受信し、当該複数波混在信号から混在しているそれぞれの無線信号を分離し、該分離した信号(分離信号)ごと、すなわち、それぞれの信号源110ごとにその到来方向及び信号強度を推定する到来方向/信号強度推定機能(後述する到来方向推定処理部24、信号解析部25に相当)を有している。
また、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、例えば、到来方向/信号強度推定機能による信号源110ごとの信号到来方向及び信号強度の推定結果に基づき、基地局B1と無線端末A1間の通信に関する通信トラフィックの分析を行うOTAトラフィック分析機能をさらに有している。本発明では、OTAトラフィック分析機能として、特に、基地局B1と無線端末A1間での通信により送受信される通信データの間隔と長さを推定するデータ推定機能、データ推定機能によるデータ推定結果に基づきOTA通信の通信トラフィックパターンを推定するトラフィックパターン推定機能、トラフィックパターン推定機能が推定した通信トラフィックパターンを集計、分析してその後の通信トラフィックの負荷変動を予測するトラフィック変動予測機能を想定している。
<データ推定機能>
本発明において、基地局B1と複数の無線端末A1間での通信データの送受信には、例えば、図2に示す構成を有する無線フレームが用いられる。
図2は、一例として、5G NR規格のIBFD通信に用いられる無線フレームの構成例を示している。図2(a)に示すように、無線フレームは例えば10ミリ秒(ms)の長さを有し、均等な時間長、例えば、1msの10個のサブフレームで構成されている。サブフレームは、1スロットが、14シンボル1組で構成されるもの(図2(b)参照)、14シンボル2組で構成されるもの(図2(c)参照)、14シンボル4組で構成されるもの(図2(d)参照)、14シンボル8組で構成されるもの(図2(e)参照)、14シンボル16組で構成されるもの(図2(f)参照)等が存在する。シンボルの構成については、例えば、低データレート動作の場合は14シンボル1組、高データレート動作の場合は14シンボル16組となる。
5G規格のIBFD通信において、基地局B1と無線端末A1間では図2に示す無線フレームを用いて例えばパケットデータの送受信を行うようになっている。パケットデータにより送受信するデータ種別としては、例えば、メール、データ、音声、画像・映像等がある。これらデータは、基地局B1と無線端末A1間での無線通信の実施中、送信側においては、送信するデータをプロトコル仕様に基づいて標本化・量子化、符号化、暗号化、圧縮の処理を経てパケット化し、PDUとして組み立てた後、変調処理を経て無線信号として送信する。他方、受信側においては、送信側から送られてくる無線信号を受信し、復調処理を行った後、プロトコル仕様に基づいてPDUを再構した後、さらに伸長、復号化の処理を経て元のデータを再生するようになっている。
上述した無線フレームによる基地局B1と無線端末A1間での各種データの無線通信に際し、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1では、通信中の基地局B1と無線端末A1間で送受信される無線信号が混在する複数波混在信号を所定の間隔で所定の時間長、間欠的にキャプチャし、その複数波混在信号からそこに混在している信号源源110ごとの信号を分離する処理を行う。複数波混在信号を間欠的に受信、処理するのは、データ処理装置30(図7参照)の信号処理能力の観点から、複数の無線端末から送出される無線信号が混在した複数波混在信号を、常時、受信して処理するには既存の処理能力では対応できない可能性が高く、これを極力回避するための措置である。
上記運用の妨げとなる要因の一つとして、例えば、信号処理能力が挙げられる。上述した従来の到来方向推定システムでは、OTA環境下での通信トラフィック(OTAトラフィック)の分析を行うべく、複数の無線端末から送出される無線信号が混在した複数波混在信号を、常時、受信して処理するには既存の処理能力では対応できない可能性が高く、これを回避するために無線信号の間欠的な受信処理を行うようにすると、OTAトラフィックの分析を効率よく行うことができず、分析精度も低下するという問題点があった。加えて、観測に際し、運用中の無線通信システムに影響を及ぼす危険性もあった。
図3を参照すると、観測エリア6内で実施される基地局B1と無線端末A1間の通信としては、例えば、図3(a)~(f)に示すようなPDUパターン#1~#6を有する信号の送受信が想定され得る。PDUパターン#1~#6を有する信号の通信中、観測エリア6内のある地点に配置されるOTAトラフィック分析装置1では、例えば、図3(g)に示すように、PDUパターン#1~#6を有する信号が混在している送信信号(複数波混在信号)を受信し得るものとなる。
このようなOTA環境下において、OTAトラフィック分析装置1は、例えば、図3(h)に示すように、受信間隔Tint(Tint1、2、3、...)ごとに受信時間(信号キャプチャ時間)Trx(Trx1、Trx2、Trx3、...)の期間、複数波混在信号を繰り返しキャプチャする。
複数波混在信号のキャプチャ方式としては、例えば、逐次処理方式と、パイプライン処理方式が適用できる。逐次処理方式は、例えば、図4(a)に示すように、適宜な長さの時間間隔をおいて、逐次、キャプチャを実施する方式である。複数波混在信号の捕捉精度を重要視しない場合には、時間間隔を広く設定することにより処理負荷を軽減することが可能である。パイプライン方式は、図4(b)に示すように、キャプチャからキャプチャまでの間の時間間隔を逐次処理方式よりも短くし、トータルのキャプチャ時間を逐次処理方式に比べて長くなるようにした方式である。時間間隔を適宜な値に短く設定することにより、処理負荷は増えるが、逐次処理方式よりも捕捉精度を向上させることができる。本発明では、逐次処理方式、パイプライン方式のいずれも適用できるものであるが、以下においては逐次処理方式を適用することを前提に説明する。
図3(h)に示す逐次処理方式による複数波混在信号(送信信号)のキャプチャに合わせ、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、受信間隔Tint1、2、3、...で複数波混在信号を受信し終えるたびに、図3(i)に示すように、その受信信号(複数波混在信号)からそこに混在する信号源110ごとの信号を分離する信号分離処理と、信号分離処理により分離した信号(分離信号)を取得する処理を繰り返し実施する。図3(i)において、順次実施される信号分離処理の処理時間TpをTp1、Tp2、Tp3、...で表し、取得される分離信号の時間TsをTs1、Ts2、Ts3、...で表している。
さらに、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、図3(j)に示すように、図3(i)に示す信号分離処理によって取得したそれぞれ時間長Ts1、Ts2、Ts3、...の分離信号に基づき、図3(a)から図3(f)の形態で送受信されるPDUのパターンを推定するPDU推定処理を実施する。PDUは、データ通信において、プロトコル(通信規約)仕様に応じてひとまとまりにされたデータの送受信単位のことであり、一例としてはパケットが挙げられる。図3(j)に示すPDU推定処理によって推定されるPDU(推定PDU)は、OTAトラフィック分析精度の観点から、図3(a)から図3(f)に示すPDUパターン#1~#6にできるだけ近似していることが望まれる。
このように、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、上述したデータ推定機能として、間欠的にキャプチャした複数波混在信号から信号源110ごとに分離した分離信号に基づいてPDUを推定するPDU推定処理機能を有している。
<PDU推定処理機能>
PDU推定処理機能は、実行中の無線通信により送受信されるPDUパターン#1~#6(図3(a)~(f)参照)の一部構成(断片)要素(キャプチャタイミングTrx1、Trx2、Trx3、...でそれぞれ受信した通信データに相当)を同一の通信の構成要素ごとに選出し、該選出した同一の通信の構成要素ごとの断片要素から同一の通信別に推定PDUを認識するPDU推定処理を行う。
なお、基地局B1と無線端末A1間で送受信される上述した各種のデータ(メール、データ、音声、画像・映像等)は、無線フレーム(図2参照)で送受信される際のPDUの長さ(最大サイズ、最小サイズ)や間隔(PDU間ギャップ)、或いはデータレート等、所謂、データパターンが、データ種別によっておおよそ類推できるものである。言い換えれば、基地局B1と無線端末A1間で無線通信される通信データの種別がある程度分かっている場合には、その通信データが間欠的に受信されたものであっても、その間欠的に受信された受信信号からPDU全体の長さや間隔からを推定できるものである。
一例として、分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果と関連付けて実施するPDU推定処理について、図5を参照して説明する。なお、図5(a)に示すキャプチャの実施タイミングについては、キャプチャ開始時間(図3(h)における受信時間Trx1、Trx2、Trx3、...の起点に対応する時間)をt1、t2、t3、...で表している。また、図5(b)~(g)に示す分離信号については、キャプチャ開始時間t1、t2、t3、...後の信号処理時間(図3(i)に示す信号分離処理時間Tpに相当)を省略するとともに、それぞれ、到来方向及び信号強度の推定結果が関連付けられているものとする。
到来方向及び信号強度の推定結果が関連付けられた分離信号(図5(b)~(g)参照)からPDUを推定する処理に際し、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1は、基地局B1と無線端末A1間での通信の実行中に受信した複数波混在信号から信号源110ごとに分離した信号(分離信号)Sa、Sb、Sc、Sa´、Sb´、Sc´、...の到来方向A、B、C、A´、B´、C´、...及び信号強度を推定し、当該分離信号Sa、Sb、Sc、Sa´、Sb´、Sc´、...をその到来方向A、B、C、A´、B´、C´、...及び信号強度の推定結果とともにキャプチャ開始時間t1、t2、t3、...に対応付けてデータベース33(図7参照)に記憶する処理を実施する。
この処理に合わせて、PDU推定処理機能は、記憶された分離信号Sa、Sb、Sc、Sa´、Sb´、Sc´、...とその到来方向A、B、C、A´、B´、C´、...及び信号強度の推定結果をキャプチャ開始時間t1、t2、t3、...ごとに連続にサーチしていきながら(図5(a)~(g)参照)、該サーチされた複数の分離信号Sa、Sb、Sc、Sa´、Sb´、Sc´、...の中からそれぞれ同一通信の構成要素を選出していく。同一通信の構成要素を選出するためのパラメータとしては到来方向が参照される。
具体的に、図5(a)の時間t1から時間t7の方向へ順にキャプチャが進行するものとしたとき、図5(b)~(g)に示す分離信号Sa、Sb、Sc、Sa´、Sb´、Sc´、...のうち、時間t1で受信、分離された分離信号Sa、Sb、Scについては、それぞれ、到来方向A、B、Cが捕捉される。
同様に、時間t2で受信、分離された分離信号Sb、Sa´については、それぞれ、到来方向B、A´が捕捉され、時間t3で受信、分離された分離信号Sc、Sa´、Sb´については、それぞれ、到来方向C、A´、B´が捕捉され、時間t4で受信、分離された分離信号Sa、Sb´、Sc´については、それぞれ、到来方向A、B´、C´が捕捉され、時間t5で受信、分離された分離信号Sa、Sb、Sc´については、それぞれ、到来方向A、B、C´が捕捉され、時間t6で受信、分離された分離信号Scについては到来方向C´が捕捉され、時間t7で受信、分離された分離信号Sa´、Sb´、Sc´については、それぞれ、到来方向A´、B´、C´が捕捉される。
ここで例えば、到来方向Aと到来方向A´の方向(角度)の角度差が、予め設定した閾値(閾値角度)の範囲内であった場合、到来方向Aの分離信号Saと到来方向A´の分離信号Sa´が同一の信号源110から到来した信号(同一の通信の構成要素)であると推察し得る。この推察方法は、到来方向Bの分離信号Sbと到来方向B´の分離信号Sb´、及び到来方向Cの分離信号Scと到来方向C´の分離信号Sc´についても同様である。
すなわち、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1では、閾値角度を予め設定しておき、図5(a)に示すタイミングで、時間t1、t3、t4、t5、t6、t7、...の順に複数波混在信号をキャプチャして分離していくなかで、到来方向の推定結果が閾値角度の範囲内にある前後の分離信号については、同一の通信の構成要素として抽出することが可能となる。
具体的に、図5(b)~(g)の例においては、分離信号Saと分離信号Sa´を同一の通信の構成要素として抽出することができる。同様に、分離信号Sbと分離信号Sb´、及び分離信号Scと分離信号Sc´を、それぞれ、他の同一の通信の構成要素として抽出することができる。なお、図5(b)~(g)のうち、時間t1、t3、t4、t5、t6、t7、...に対応する空白の部分は、分離信号が存在していない状態を示し、点線で示す部分は何らかの理由で受信できなかった状態(受信ミスの状態)を示している。
上述した閾値角度に基づく同一の通信の構成要素の選出結果によれば、分離信号Saと分離信号Sa´は同一の通信要素として、図5(a)の時間t1、t3、t4、t5、t6、t7、...のうち、時間t6を除いて連続に選出されている。また、分離信号Sbと分離信号Sb´は他の同一の通信要素として、時間t6(受信ミス)を除いて連続に選出されている。また、分離信号Scと分離信号Sc´はさらに別の同一の通信要素として、時間t2(受信ミス)を除いて連続に選出されている。
また、図5において、図5(h)、(i)、(j)は、観測エリア6内の基地局B1と無線端末A1間で図2に示す構成を有する無線フレームを使って送受信されるパケットデータA、B、Cの送受信パターンの一例を示している。図5(h)、(i)、(j)に亘って点線枠で付加する時間幅t0の区間は、図5(a)に示す時間t1~t7に亘る間欠的なキャプチャ区間に対応している。
図5に示すタイミングチャートによれば、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1においては、基地局B1と無線端末A1間で送受信されるパケットデータA、B、Cが混在した複数波混在信号を、時間幅t0より広い期間を通して間欠的にキャプチャし、パケットデータA、B、Cそれぞれの構成要素の断片(分離信号)を取り出したうえで、これら分離信号を同一の通信の構成要素ごとに選出していくことで、当該分離信号をその一部として含むパケットデータA、B、C(PDU)の間隔及び長さを推定し得ることとなる。
ここで、同一の通信の構成要素ごとに分離信号を選出した後にPDUの間隔及び長さを推定するためには、選出した分離信号ごとに、その分離信号がPDUの先頭部であるか、後端であるか、継続部であるか等を推定する必要がある。
その理由について図6を参照して説明する。本発明に係るOTAトラフィック分析装置1のOTAトラフィック分析対象とされるPDUのサイズと信号キャプチャ間隔は、一例として、図6に示すような関係にある。
図6の上段に示すように、PDUについては、PDU#1、#2、#3、...が、例えば、それぞれ異なる間隔(g1、g2、...)、かつ異なる時間長で適宜に送出され得る。一方、本発明に係るOTAトラフィック分析装置1では、図6の下段に示すように、PDU#1、#2、#3、...が混在する複数波混合信号を一定の間隔i1、i2、i3、i4、...で一定の時間長、間欠的に受信し信号源110ごとに分離したうえで、その分離信号を同一の通信の構成要素ごとに選出することによりPDU#1、#2、#3、...を取り出すようになっている。
図6に示す関係からも分かるように、PDU#1はそのほぼ先頭部がキャプチャ間隔i1の先端近傍で受信開始されるが、キャプチャ間隔i2においては受信されなくなっている。PDU#2はそのほぼ先頭部がキャプチャ間隔i3の先端で受信開始され、後端においても受信された後、受信されなくなっている。PDU#3は先頭部から少し時間が経過したあたりでキャプチャ間隔i5の先端で受信開始され、その後端でも受信され続けている。
このように、長さと間隔が異なるPDU#1、#2、#3、...を一定の間隔i1、i2、i3、i4、...でキャプチャし、できるだけ正確な長さを推定するためには、選出した同一の通信の構成要素の分離信号ごとに、その分離信号がPDUの先頭部であるか、継続部であるか、後端部であるか等を推定することができれば、推定PDUの精度を向上させるうえでも有用である。なお、分離信号がPDUの先頭部であるか、継続部であるか、後端部であるか等の判断処理手順については、後で図9を参照して詳しく説明する。
なお、図5においては、受信した複数波混在信号から分離した分離信号の到来方向及び信号強度を加味した(関連付けた)PDU推定処理について述べたが、本発明は、分離信号と到来方向及び信号強度を関係づけることは必ずしも必要はなく、分離信号だけによってPDUを推定するようにしてよい。この構成については、第2の実施形態として後で詳述する。
<トラフィックパターン推定機能>
データ推定機能による通信データの推定結果、具体的には、PDU推定部43によるPDUの推定結果に基づいてOTA通信のトラフィックパターン(通信トラフィックパターン)を推定する機能である。
<トラフィック変動予測機能>
トラフィックパターン推定機能による通信トラフィックパターンの推定結果に基づいて通信トラフィックパターンの所定期間内のデータ量を推定し、推定したデータ量から通信トラフィックパターンのその後の通信トラフィックの負荷変動を予測する機能である。
(第1の実施形態)
上述した概要の説明を踏まえ、以下、本発明の第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1の構成について図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態においては、到来方向及び信号強度の推定結果が関連付けられた分離信号からPDUを推定することを前提としている。
図7に示すように、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、アンテナ装置10、ブラインド信号推定装置20、データ処理装置30を備えて構成されている。
アンテナ装置10は、観測エリア6(図1参照)内で、複数の信号源110から送信される複数波混在信号を受信するものである。アンテナ装置10の具体的な構成としては、例えば、特許文献1に記載されているような直交する3偏波をそれぞれ受信可能な3つのアンテナを複数のアンテナ素子として回転体にて回転させる構成、或いは、アレーアンテナの各アンテナ素子を複数のアンテナ素子とする構成がある。
本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、周辺の無線環境から到来する到来信号、すなわち、観測エリア6内で複数の信号源110から送信される信号が混在した複数波混在信号をアンテナ装置10に設けられる複数のアンテナ素子で受信し、各アンテナ素子の受信信号をブラインド信号推定装置20、及びデータ処理装置30で信号処理することにより、各信号源110から送信される信号を分離して各信号源110の到来方向及び信号強度を推定するとともに、当該到来方向及び信号強度の推定結果に基づいてPDUを推定するものである。
また、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、例えばローカル5G環境での使用が可能なものであり、捕捉する到来信号の周波数帯としては、例えば、3.75GHz、4.6GHz~4.8GHz及び28.2GHz~29.1GHz等の帯域が想定されている。OTAトラフィック分析装置1は、ローカル5G環境での使用に限定されるものではなく、例えば、WiFiなどの他の無線システムでの使用にも適用できるものである。
なお、OTAトラフィック分析装置1において、アンテナ装置10は、上述した構成に限られるものではない。上述した周波数帯でのエリア間端末間干渉、基地局間干渉等に対して到来方向、及び諸特性を網羅的に取得できるものであれば、アンテナの種別、数、配列、駆動方式、到来方向推定方法等について種々の方式が適用可能である。
ブラインド信号推定装置20は、図3に示すように、周波数変換部21、AD変換部22、信号分離部23、到来方向推定処理部24、信号解析部25を有している。
周波数変換部21は、アンテナ装置10により受信された受信信号(複数波混在信号)を入力し、該受信信号を中間周波数帯の信号(IF信号)に変換する処理を行う。
AD変換部22は、周波数変換部21で周波数変換された受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して信号分離部23に出力する。AD変換部22は、アンテナ装置10、周波数変換部21とともに受信部20aを構成している。
信号分離部23は、AD変換部22から入力するデジタル信号、すなわち、観測エリア6の所定の配置地点で受信した複数波混在信号から、複数の信号源110のいずれかから送信された信号を分離する信号分離処理を行う。
到来方向推定処理部24は、信号分離部23で分離された信号(分離信号)を入力し、入力した信号ごとにその到来方向を推定する信号処理を行う。この信号処理において、到来方向を推定するアルゴリズムとしては、例えば、ビームフォーマ法、MUSIC法、ESPRIT法などが適用される。これらの方法では、例えば、横軸を角度、縦軸を信号レベルとし、到来信号の到来方向(角度)をその信号レベルに関連付けて表わす角度スペクトラムを生成したうえで、角度スペクトラムの縦軸における信号レベルのピークを読み取り、上記ピークに対応する横軸上の角度を、当該角度スペクトラムを有する到来信号の到来方向(角度)として推定するようになっている。到来方向推定処理部24は、本発明の到来方向推定手段を構成する。
信号解析部25は、信号分離部23から入力する分離信号を入力し、該分離信号を対象に種々の項目について解析する信号処理を実施する。解析対象とされる項目(解析項目)としては、例えば、信号強度等が挙げられる。信号解析部25は、本発明の信号強度推定手段に相当し、上述した信号分離部23、到来方向推定処理部24とともに解析処理部20bを構成している。
ブラインド信号推定装置20は、周波数変換部21、AD変換部22、信号分離部23、到来方向推定処理部24、信号解析部25を備えることで、観測エリア6の空間内で配置地点に到来する複数波混在信号を受信し、そこに混在している信号を分離して分離信号ごとに到来方向及び信号強度を推定できるようになっている。
データ処理装置30は、例えば、PC(パーソナル・コンピュータ)で実現され、ブラインド信号推定装置20における受信信号の解析結果、特に、信号到来方向及び信号強度の推定結果に基づき、観測エリア6内の無線端末A1(信号源110)間で実施される通信のトラフィック(OTAトラフィック)を分析するためのデータ処理を行う。データ処理装置30は、制御部31、データベース33、入力部34、表示部35を有して構成されている。
制御部31は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、OTAトラフィック分析装置1の機能を実現するための所定の情報処理や、アンテナ装置10、ブラインド信号推定装置20を対象とする統括的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUを立ち上げるためのOS(Operating System)やその他のプログラム及び制御用のパラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)或いはHDD(Hard Disc Drive)などの不揮発性メモリ、CPUが動作に用いるOSやアプリケーションの実行コードやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を有している。
上述したコンピュータ装置は、CPUがRAMを作業領域としてROM或いはHDDなどの不揮発性メモリに格納されたプログラムを実行することにより制御部31として機能する。具体的に制御部31は、CPUがRAMの作業領域で上記不揮発性メモリに格納された各プログラムを実行することにより、図7に示すように、分析条件設定部41、アンテナ制御部42、PDU推定部43、トラフィックパターン推定部44、トラフィック変動予測部45、表示制御部47の各機能を実現する。ここで分析条件設定部41、アンテナ制御部42は、ブラインド信号推定装置20を制御する装置制御部31aとしての機能部を構成し、PDU推定部43、トラフィックパターン推定部44、トラフィック変動予測部45、表示制御部47は、OTAトラフィック分析に係るデータ処理を行うデータ制御部31bとしての機能部を構成している。
分析条件設定部41は、観測エリア6でのOTAトラフィックの分析条件を設定するための機能部であり、例えば、OTAトラフィックの分析対象となる無線信号の周波数の設定等を行えるようになっており、本発明の設定手段を構成する。分析条件設定部41は、OTAトラフィック分析対象の周波数帯として、例えば、5Gの運用を考慮し、3.7GHz帯、4.7GHz帯、28GHz帯のいずれかを設定する構成であってもよい。
アンテナ制御部42は、アンテナ装置10におけるアンテナ方向などの機械的な制御を行う。
分析条件設定部41、アンテナ制御部42を有する装置制御部31aは、複数波混在信号のキャプチャ時間(図3(h)の受信時間Trx)と受信間隔(同、Tint)を制御する機能も備えている。装置制御部31aは、本発明のキャプチャ制御手段を構成している。
PDU推定部43は、前述したPDU推定処理機能に相当し、ブラインド信号推定装置20での複数波混在信号の間欠的な受信(キャプチャ)に合わせた信号処理によって生成した信号、すなわち、分離信号、該分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果をデータベース33に逐次記憶するとともに、記憶した分離信号と、該分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果とに基づいて、当該分離信号を一部構成要素として含むPDUの長さと間隔を推定するPDU推定処理を実行する。PDU推定部43は、本発明のPDU推定手段を構成する。
トラフィックパターン推定部44は、前述したトラフィックパターン推定機能に相当し、PDU推定部43によるPDU推定結果から、PDUの長さ、間隔、密度に基づいて各信号源付近の通信トラフィックパターン(データ量、データ密度など)を算出し、収集するトラフィックパターン推定処理を実行する。トラフィックパターン推定部44は、本発明のトラフィックパターン推定手段を構成する。
トラフィック変動予測部45は、前述したトラフィック変動予測機能に相当し、トラフィックパターン推定部44が収集したトラフィックの傾向を分析し、その分析結果に基づいて、その後のトラフィック変動の予測を行う処理を実行する。トラフィック変動予測部45は、本発明のトラフィック変動予測手段を構成する。トラフィックパターン推定機能、及びトラフィック変動予測機能の構成については、図11ないし図16を参照して後で詳しく説明する。
表示制御部47は、OTAトラフィック分析条件の設定画面、PDU推定結果を表示する表示画面等、OTAトラフィック分析処理に係る種々の情報及び画面を表示する制御を行うものである。
データベース33は、信号分離部23が出力する分離信号、到来方向推定処理部24、及び信号解析部25がそれぞれ出力する上記分離信号の到来方向、及び信号強度の推定結果、PDU推定部43によるPDU推定結果、トラフィックパターン推定部44により算出、抽出された通信トラフィックパターン(データ量、データ密度など)、トラフィック変動予測部45によるトラフィック変動の予測結果等、OTAトラフィック分析に係る各種情報を格納するための機能部である。
入力部34は、コマンドなど各種情報を入力するための機能部であり、キーボード、マウス等の入力装置により構成されている。本実施形態において、入力部34は、OTAトラフィック分析処理に係る周波数をはじめとする各種パラメータの設定、OTAトラフィック分析処理の開始、或いは終了を指示する機能(操作部としての機能)を備えていてもよい。
表示部35は、上述した表示制御部47の表示制御によって、OTAトラフィック分析条件(設定パラメータ)の設定画面、PDU推定結果を表示する表示画面等、OTAトラフィック分析処理に係る種々の情報及び画面を表示するものである。表示部35は、設定パラメータやコマンドなどを入力可能とするためにタッチパネル等で構成されていてもよい。
次に、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1におけるPDU推定処理動作について図8に示すフローチャートを参照して説明する。
このPDU推定処理を行うためには、OTAトラフィック分析装置1を観測エリア6内の所望の地点に設置する。
所望の地点に設置した後、OTAトラフィック分析装置1では、制御部31の分析条件設定部41において、PDU推定処理を実行するのに必要な設定項目(パラメータ)を設定する開始前設定(分析条件設定)処理を行う(ステップS1)。分析条件設定処理は、例えば、表示部35に設定画面を表示し、ユーザによる、その設定画面に表示される各設定項目の設定欄に対する入力部34からの設定値の入力を受け付けることにより行うことができる。
ここで分析条件設定部41は、基地局B1と無線端末A1間の通信に用いられるプロトコル、及びそのプロトコル仕様に合致するPDUの構成を踏まえ、例えば、周波数、データレート、受信信号長(信号キャプチャ時間)、受信間隔、PDU最大サイズ、PDU最小サイズ、PDU間最少ギャップ長、閾値角度(到来方向から同一の通信の構成要素を選出する際に用いる)等の設定項目の入力(設定操作)を受け付け、その入力された各項目を設定する処理を実施する。受信信号長(信号キャプチャ時間)、受信間隔は、それぞれ、図3における受信時間Trx、受信間隔Tintに相当する。
次いで、制御部31では、ユーザによる、例えば、入力部34でのトラフィック分析処理の開始操作を受け付ける(ステップS2)。この開始操作は、例えば、上述した設定画面に表示されている「開始」ボタンを押下する等の操作により行うことができる。
トラフィック分析処理に関する所定の開始操作が行われると、OTAトラフィック分析装置1では、データ処理装置30の装置制御部31aからアンテナ装置10及びブラインド信号推定装置20を制御することにより、複数の無線信号が混在する複数波混在信号の受信を行わせる(ステップS3)。
ここで、装置制御部31aのアンテナ制御部42は、分析条件設定部41により設定した周波数帯の複数波混在信号をステップS2で設定した受信信号長(信号キャプチャ時間)と受信間隔にて間欠的にキャプチャさせるようにアンテナ装置10を駆動制御する。また、装置制御部31aは、アンテナ装置10によって上記周波数帯の複数波混在信号が間欠的にキャプチャされるのに合わせて、キャプチャされた信号の信号処理を行わせるようにブラインド信号推定装置20を駆動制御する。この駆動制御により、ブラインド信号推定装置20では、アンテナ装置10により間欠的にキャプチャされた受信信号が、周波数変換部21により周波数変換され、該周波数変換後の受信信号がAD変換部22でアナログ信号からデジタル信号に変換される信号処理を経て、キャプチャ後、速やかに信号分離部23へと入力される。
信号分離部23は、入力する信号(キャプチャされた信号)から当該地点でその周囲から到来する複数の信号源成分を信号源110ごとにそれぞれ分離する処理(図3における信号分離時間Tp参照)を実施し(ステップS4)、該分離された信号(分離信号)の信号源成分を到来方向推定処理部24、及び信号解析部25へ入力する。次いで、到来方向推定処理部24、及び信号解析部25は、入力する分離信号を解析して当該分離信号の到来方向、及び信号強度をそれぞれ推定する処理(図3における分離信号時間Ts≒受信時間Trx参照)を実施する(ステップS5)。
上記ステップS5での到来方向推定処理部24による到来方向の推定処理は、入力される分離信号(複数の信号源110のいずれかから送信された信号源成分)に対して、例えば、MUSIC法、ビームフォーミング法等を適用して実施し、当該分離信号ごとの到来方向を推定する。到来方向推定処理部24は、信号源110の到来方向推定結果をデータ処理装置30へと出力する。また、上記ステップS5において、信号解析部25は、入力される分離信号ごとにその信号強度を算出するとともに、他の項目についても解析処理を実施し、算出した分離信号ごとの信号強度、及び他の項目の解析結果をデータ処理装置30へと出力する。
具体的に、到来方向推定処理部24は、例えば、MUSIC法を適用する場合、信号分離部23から入力するそれぞれの信号源成分のMUSIC角度スペクトラムを生成する。MUSIC角度スペクトラムは、例えば、横軸を角度、縦軸を信号レベルとし、到来信号の到来方向(角度)をその信号レベルに関連付けて表わすグラフで構成されている。
引き続き、到来方向推定処理部24は、MUSIC角度スペクトラムの縦軸における信号レベルのピークを読み取り、上記ピークに対応する横軸上の角度を、当該角度スペクトラムを有する到来信号の到来方向(角度)として推定する。
これに対し、ビームフォーミング法を適用する場合、到来方向推定処理部24は、信号分離部23から入力するそれぞれの信号源成分のビームフォーミング角度スペクトラムを生成する。ビームフォーミング角度スペクトラムも、例えば、横軸を角度、縦軸を信号レベルとし、到来信号の到来方向(角度)をその信号レベルに関連付けて表わすグラフで構成されている。
これにより、到来方向推定処理部24は、ビームフォーミング角度スペクトラムの縦軸における信号レベルのピークを読み取り、上記ピークに対応する横軸上の角度を、当該角度スペクトラムを有する到来信号の到来方向(角度)として推定する。
上記ステップS4で分離された分離信号と、上記ステップS5での解析処理に基づく当該分離信号ごとの到来方向及び信号強度の推定結果は、データ制御部31bによって、データベース33の所定の格納領域に継続的に記録される(ステップS6)。
これに合わせて、PDU推定部43は、上記ステップS6で記憶された分離信号と、分離信号ごとの到来方向及び信号強度の推定結果に基づいて、基地局B1と無線端末A1間で送受信される当該分離信号を一部構成要素として含むPDUのサイズを推定する処理を実施する(ステップS7)。
ステップS7におけるPDU推定処理は、例えば、前述したように、図5に示すタイミングチャートに沿った手順により実施可能である。ここで、PDU推定部43は、各キャプチャ時間に対応して記憶された複数の分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果(ステップS6参照)を指標とし、キャプチャ時間の前後で予め設定した条件、すなわち、上記ステップS2で設定した閾値角度の範囲という条件を満たす分離信号を、各組ごとに、それぞれ、同一の通信の構成要素として選出する処理をキャプチャ時間の経過に合わせて継続的に実施する。
この処理において、同一の通信の構成要素として選出されるそれぞれの分離信号(図5の例においては、SaとSa´、SbとSb´、ScとSc´)は、組ごとに、あるキャプチャ時間には選出されていないが次のキャプチャ時間には選出される第1のパターン、あるキャプチャ時間の後、複数のキャプチャ時間の区間選出され続けるパターン(第2のパターン)、あるキャプチャ時間には選出されて次のキャプチャ時間には選出されなくなったパターン(第3のパターン)等、種々のパターンが混在して出現することがある。
このようなパターンで分離信号のパターン(分離信号パターン)が出現することを想定した場合、例えば、上述した第1のパターンの分離信号は、推定対象のPDU(推定PDU)における先頭部の分離信号と推察することが可能である。また、上述した第2のパターンの分離信号、第3のパターンの分離信号は、それぞれ、推定PDUにおける継続する部分(継続部)の分離信号、後端部の分離信号と推察し得るものと考えられる。
受信信号、分離信号パターン、及び推定PDUの対応関係の一例を図10に示している。図10において、(a)は受信された次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンのみを含むときの対応関係を示し、(b)は受信された次の次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンと、受信された次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターン2つを含むときの対応関係を示し、(c)は受信された次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンと、受信されてから4つ後のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンを含むときの対応関係を示し、(d)は受信された次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンと、受信されないタイミングが2つ続いた後、受信された次の次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンを含むときの対応関係を示している。
図10に示す受信信号、分離信号パターン、及び推定PDUの対応関係によれば、図10(a)~(d)に示すように、受信された次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンからは、それぞれ、先頭部の分離信号であって、受信されたキャプチャ時間から次のキャプチャ時間が始まる前まで連続するPDUの推定(推定PDUの取得)が可能となる。
また、図10(b)、(d)に示すように、受信された次の次のタイミングで受信されなくなった分離信号パターンからは、受信されてから2つの後のキャプチャ時間が始まる前まで継続する推定PDUの取得が可能である。
また、図10(c)に示すように、受信されてから4つ後のタイミングで受信されなくなった分離信号については、受信されてから4つの後のキャプチャ時間が始まる前まで継続する推定PDUの取得が可能である。
図10に示す分離信号パターンと推定PDUの関係を利用したPDUの推定処理について、図9を参照して詳しく説明する。図8のステップS7でのPDU推定処理において、PDU推定部43は、記憶された複数の分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果(ステップS6参照)を順次読み出し、同一の通信の構成要素として選出される分離信号の組ごと、すなわち、信号源110ごとの分離信号の配列ごとにその分離信号のパターン(分離信号パターン)を判断する処理を図9に示すフローチャートにしたがって実施する。
ここでPDU推定部43は、信号源110ごとの各キャプチャ時間における分離信号について、例えば、ある信号源110について、分離信号が検出された地点を推定され得るPDU(推定PDU)の先頭部と判断する(ステップS61)。
また、引き続き分離信号が検出された場合、PDU推定部43は、例えば、推定PDUが継続しているものと判断する(ステップS62)。
これに対し、分離信号が検出されなかった場合、PDU推定部43は、例えば、その時点で推定PDUの終端と判断する(ステップS63)。
上記ステップS61からステップS63の処理に繰り返し実施しながら、PDU推定部43は、当該信号源110から送出された信号の分離信号から推定PDUを順次構築していく。推定PDUの構築処理の実行中、PDU推定部43は、PDUの先頭部からの経過時間とデータレートから算出したデータ長が予め設定したPDU最大サイズに達した場合にはPDUの終端と判断する(ステップS64)。
これに対し、ステップS64において上記データ長が予め設定したPDU最小サイズより短かった場合、PDU推定部43は、PDU最小サイズに引き延ばすと共に、PDU先頭位置、PDU終端位置(時間)を調整する処理を実施する(ステップS65)。この処理を行うために、PDU推定部43は、先頭位置のみを見逃しているか、終端位置のみを見逃しているか、先頭位置と終端位置の両方を見逃しているかを判定できるようになっている。この判定結果に応じて、PDU推定部43は、先頭位置のみを見逃している場合は、先頭位置(時間)をサイズ延長分だけ前倒し、終端位置のみを見逃している場合は、終端位置(時間)をサイズ延長分だけ先送りにする。また、先頭位置、終端位置の両方を見逃している場合は、前後両方をサイズ延長分の半分ずつずらす処理を実施する。
また、上記ステップS61からステップS63の繰り返しによる推定PDUの構築処理の実行中、PDU推定部43は、PDUの終端から予め設定したPDU間最少ギャップよりも短い間隔で次の分離信号を検出した場合、当該分離が検出された地点を次のPDUの先頭部と判断するとともに、直前の推定PDUに遡ってPDU間最少ギャップに見合ったサイズに修正する(ステップS66)。
図9に示すように、PDU推定部43では、記憶された複数の分離信号の到来方向及び信号強度の推定結果(図8のステップS6参照)に対して、同一の通信の構成要素として選出される分離信号を組ごとに選出していきながら、各組の別個の分離信号ごとに分離信号パターンの判断処理(図10参照)を適用して推定PDUを更新していく。
この処理により、図8のステップS7において、PDU推定部43は、最終的に、同一の通信の構成要素ごと、つまり、信号源110ごとにその信号源110から無線信号により送出されるPDUのパターンを推定(推定PDUを取得)することができる。このように、PDU推定部43では、図8のステップS1で設定された周波数、データレート、PDU最大サイズ、PDU最小サイズ、PDU間最少ギャップ長に合致する推定PDUが取得されるまでPDU推定処理を続行するようになっている。
次に、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1のトラフィックパターン推定機能、トラフィック変動予測機能について説明する。
図7に示したように、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、データ処理装置30のデータ制御部31bには、PDU推定部43に加え、トラフィックパターン推定部44、トラフィック変動予測部45が設けられている。
トラフィックパターン推定部44は、PDU推定部43によるPDU推定結果に基づき、その推定されたPDUを予め設定した抽出条件(PDUの長さ、PDUの間隔(ギャップ)、要素(エレメント)数等)で抽出し、その抽出条件を満たすPDUを、当該抽出条件に対応する(所望のタイプの)通信トラフィックパターンとして検出(推定)するトラフィックパターン推定機能を実現する。
トラフィック変動予測部45は、トラフィックパターン推定部44により推定された複数タイプの通信トラフィックパターンについて、それまでの予め設定した所定期間のトラフィック(データ量、データ密度等)を求めたうえで、当該トラフィックの変動に関する傾向を分析し、その分析結果から、当該通信トラフィックパターンのその後(上記所定期間後)のトラフィック変動を予測するトラフィック変動予測機能を実現する。
<トラフィックパターン推定処理>
トラフィックパターン推定機能によるトラフィックパターン推定処理の概要について図12を参照して説明する。本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、OTA環境下(図1参照)で実施する基地局B1と無線端末A1との間の通信シーケンスの一例として、例えば、図12に示す通信シーケンスによりPDU(斜線を付して矩形枠で示す)の送受信が行われる形態が想定され得る。図12において、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7は、個々のPDUの長さを示し、G1、G2、G3、G4、G5、G6は、2つの連続するPDUの間隔(ギャップ長)を示している。ギャップ長の単位は、時間またはバイト数とし、全体として一貫されている必要がある。
図12において、個々のPDU長(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)、及びギャップ長(G1、G2、G3、G4、G5、G6)をエレメントと呼び、幾つかのエレメントが連なって複数の連続するセグメントが構成されている。図12においては、1セグメントを5エレメントとして設定したときの3つの連続するセグメントS1、S2、S3の配列の例を挙げている。ここで、エレメント(P1、G1、P2、G3、P3)はS1で示すセグメントを構成し、続いて同じ列のエレメント(G3、P4、G4、P5、G5)はS2で示すセグメントを構成し、さらに同じ列のエレメント(P6、G6、P7、...)はS3で示すセグメントを構成している。
また、図12においては、複数のセグメントS1、S2、S3をエレメント単位で後方にシフトさせた配列を、それぞれ、(S2´、S3´、S4´、S5´、S6´、S7´、S8´、S9´)として縦方向に並べて示している。ここでセグメントS2´の先端部とセグメントS3´の先端部との差分、セグメントS3´の先端部とセグメントS4´の先端部との差分、セグメントS4´の先端部とセグメントS5´の先端部との差分、セグメントS5´の先端部とセグメントS6´の先端部との差分、セグメントS6´の先端部とセグメントS7´の先端部との差分をシフト幅と称するものとする。すなわち、シフト幅は、セグメントを順次識別、判定する際の次のセグメントへの移動エレメント数を指している。図12に示されるように、シフト幅=エレメント数/セグメントの場合はS1~S3、シフト幅=1の場合はS1及びS2´~S9´となる。ここで、 シフト幅を小さくすると処理負担は大きくなるが、推定精度は向上、大きくすると推定精度は悪化するが処理負担を軽減できる。
図12に例示した通信シーケンスによって送受信されるPDUの配列を検出するものとしたとき、PDU長、PDUの間隔(ギャップ)、エレメント数、セグメント、シフト幅等をパラメータとして予め設定し、PDU推定部43によるPDU推定結果から、そのパラメータの値に合致するPDUの配列(通信トラフィックパターン)を抽出することが考えられる。
図12に例示したPDU長、PDUの間隔(ギャップ)、エレメント、セグメント、シフト幅等の各種のパラメータは、例えば、入力部34(或いは、表示部35)でのユーザ操作に応じて、分析条件設定部41での設定処理により任意の値に設定することができる。これにより、上述したトラフィックパターン推定機能としてのトラフィックパターン推定部44は、パラメータの設定後、PDU推定部43でのPDU推定処理と並行し、若しくは、PDU推定処理により例えば処理データ格納部33aに蓄えられた処理データ(PDU推定結果を含む)を読み込んだうえで、そのPDU推定結果に基づき、PDU情報(PDUデータ)と連続するPDUデータ間のギャップ情報(間隔データ)とで規定される通信トラフィックパターンを推定(抽出)することが可能となる。
また、トラフィックパターン推定部44は、トラフィックパターン推定処理に際し、例えば、PDUの送信元識別情報(ID番号、文字列等)、PDU先頭時刻(ミリ秒か、それ以下の時間レベル)、PDU長(バイト)、PDU所要時間(ミリ秒か、それ以下の時間レベル)情報を含むレコードを受け取ることができるようになっている。送信元識別情報は、送信元を識別するためのシステム内でユニークな情報である。PDU先頭時刻は、当該PDUの先頭の送信開始または受信開始時刻である。PDU長はPDUのバイト長である。PDU所要時間は、当該PDUの通信路上の伝送に要した時間である。上述したレコードは、レコードの発生時点で逐次1件ずつ受け取るか、或いは、ある時間帯に発生した複数のレコードを保存、蓄積した状態入力情報として受け取ることができるようになっている。
本実施形態において、所望のPDUの通信トラフィックパターンを抽出するために必須のパラメータとしては、セグメント長、シフト幅、PDU長リミット、PDUエレメント数、ギャップ長リミット、ギャップエレメント数、最大ギャップ長が挙げられる。
セグメント長は、1セグメントのエレメント数である。シフト幅は、上述したように、次セグメント先頭へのエレメント数である。PDU長リミットは、これより長いPDUは全て「最長」のPDU長属性に分類されることを示す情報である。PDUエレメント数は、PDU長リミットを超えないPDUについて、エレメント長を何分割で分類するかを指定するものであり、PDU長リミットより大きい値である。
ギャップ長リミットは、これより長く「最大ギャップ長」を超えないギャップは全て「最長」のギャップ長属性に分類されることを指示する情報であり、最大ギャップ長より小さい値である。ギャップエレメント数は、ギャップ長リミットを超えないギャップについて、エレメント長を何分割で分類するかを指定する情報であり、ギャップ長リミットより大きい値である。最大ギャップ長は、ギャップ長として認識する最大限界値 ギャップリミット長より大きい値である。
上述したパラメータの設定例を図13に示している。図13において、(a)、(b)はPDU長リミットとPDUエレメント数の設定例であり、(a)はPDU長リミットを1000、PDUエレメント数を5に設定した場合の例を示し、(b)はPDU長リミットを1500、PDUエレメント数を4に設定した場合の例を示している。
図13(a)に示す設定によれば、1~200、201~400、401~600、601~800、801~1000の長さを有するPDUを選択的抽出対象とすることができ、1000を超えるPDUは全て最長のPDU長属性として扱うことが可能となる。図13(b)に示す設定によれば、1~375、376~750、751~1125、1126~1500の長さを有するPDUを選択的抽出対象とすることができ、1500を超えるPDUは全て最長のPDU長属性として扱うことが可能となる。
また、図13において、(c)、(d)はギャップ長リミット、ギャップエレメント数、最大ギャップ長の設定例であり、(a)はギャップ長リミットを1500、ギャップエレメント数を3、最大ギャップ長を10000に設定した場合の例を示し、(b)はャップ長リミットを1000、ギャップエレメント数を7、最大ギャップ長を5000に設定した場合の例を示している。
図13(c)に示す設定によれば、1~1333、1334~2666、2667~4000、4001~10000の長さを有するギャップを選択的抽出対象とすることができ、10000を超えるギャップはギャップ長として扱わないようにすることが可能となる。図13(d)に示す設定によれば、1~142、143~285、286~428、429~571、572~714、715~857、858~1000、1001~5000の長さを有するギャップを選択的抽出対象とすることができ、5000を超えるギャップはギャップ長として扱わないようにすることが可能となる。
<トラフィック変動予測処理>
一方、上述したトラフィック変動予測機能としてのトラフィック変動予測部45は、トラフィックパターン推定部44により推定された通信トラフィックパターンに基づいてトラフィックの変動を予測する処理を行う。
トラフィック変動予測処理において、トラフィック変動予測部45は、トラフィックパターン推定部44により推定された通信トラフィックパターンの出現とその後のトラフィック変動を記録、分析し、その結果を基に、確率、統計的手法によって、個々のパターンとトラフィック変動(負荷変動)の傾向、トラフィック変動の確率を導き出し、これに基づいて通信トラフィックの変動予測を行うようになっている。
トラフィック変動予測処理に必要とされるパラメータとしては、負荷変動の集計期間が挙げられる。負荷変動の集計期間としては、負荷変動を集計する際の短期、中期、長期のそれぞれの時間長が設定可能である。トラフィック変動予測に際し、トラフィック変動予測部45は、予め設定された短期、中期、長期のいずれかの期間、トラフィック変動予測処理を実施するようになっている。ここで、短期として、例えば、数秒から10数秒の期間を、長期とは、例えば、数10秒から数分の期間を設定するようにとしてもよい。この場合、中期とは、数10秒と数分の間の期間長となる。
上述したトラフィックパターン推定処理、及びOTAトラフィック変動予測処理を実現するための機能ブロックを図11に示している。図11に示す機能ブロックにおいて、データベース33には、ブラインド信号推定装置20での処理データを格納する処理データ格納部33aに加え、エレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eが設けられている。トラフィックパターン推定部44、及びトラフィック変動予測部45は、データベース33内の処理データ格納部33a、エレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eのいずれかに対して適宜にアクセスできるものとなっている。
図11において、エレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eは、例えば、データベース33内に設けられているが、これに限らず、例えば、上述したコンピュータ装置のROM、或いは、その他の専用記憶部等、データベース33以外の部分に設ける構成としてもよい。
<エレメント定義テーブル>
エレメント定義テーブル33bは、例えば、設定パラメータにしたがって生成されるPDU長、ギャップ長の分類を保存するデータ記憶部(テーブル)である。エレメント定義テーブル33bは、例えば、図14に示すように、パラメータ設定領域51とエレメント定義領域52を有している。パラメータ設定領域51には、セグメント長、シフト数(幅)、PDU長クラス分割数、PDU長リミット値、ギャップ長クラス分割数、ギャップ長リミット値、最大ギャップ長の各設定値が格納される。
PDU長クラス分割数は、PDU長リミット値までの長さのPDUのクラス分類数、ギャップ長クラス分割数は、ギャップ長クラスリミット値までの長さのギャップのクラス分類数である。設定値について、この例では、設定例1、設定例2、...を示している。この場合、全ての設定について、その設定値に合致するPDUの出現がチェックされることとなる。設定例1については、セグメント長、シフト数、PDU長クラス分割数、PDU長リミット値、ギャップ長クラス分割数、ギャップ長リミット値、最大ギャップ長の各設定値が、それぞれ、5、1、5、1000、3、4000、10000となっている。設定例2については、上記各パラメータの設定値が、それぞれ、5、5、4、1500、7、1000、5000となっている。
エレメント定義領域52には、PDU長のクラス境界値数、PDU長によるクラス分割の境界値のリスト、ギャップ長のクラス境界値数、ギャップ長によるクラス分割の境界値のリストの各情報が格納される。PDU長のクラス境界値数はクラス分割の境界値の数である。PDU長によるクラス分割の境界値のリストは、PDU長に関するクラス分割の境界値のリストであり、分割数に応じてリストのメンバー数が決まる。この例では「PDU長リミット値」の長さを「PDU長クラス分割数」の値で等分割した例を挙げているが、この境界値リストの値をパラメータとして直接設定する方法を使用しても良い。
ギャップ長のクラス境界値数は、クラス分割の境界値数である。ギャップ長によるクラス分割の境界値のリストは、ギャップ長に関するクラス分割の境界値のリストであり、分割数に応じてリストのメンバー数が決まる。この例では「ギャップ長リミット値」の長さを「ギャップ長クラス分割数」の値で等分割しているが、この境界値リストの値をパラメータとして直接設定する方法を採っても良い。
エレメント定義領域52では、上述した設定例1に対応してPDU長のクラス境界値数として5が設定され、PDU長によるクラス分割の境界値のリストは、P1=200、P2=400、P3=600、P4=800、P5=1000となっている(図13(a)参照)。ギャップ長のクラス境界値数として4が設定され、ギャップ長によるクラス分割の境界値のリストは、G1=1333、G2=2666、G3=4000、G4=10000(図13(c)参照)となっている。
また、設定例2に対応してPDU長のクラス境界値数として4が設定され、PDU長によるクラス分割の境界値のリストは、P1=375、P2=750、P3=1125、P4=1500となっている(図13(b)参照)。ギャップ長のクラス境界値数として8が設定され、ギャップ長によるクラス分割の境界値のリストは、G1=142、G2=285、G3=428、G4=571、G5=714、G6=857、G7=1000、G8=5000(図13(d)参照)となっている。
<セグメント定義テーブル>
セグメント定義テーブル33cは、入力されたPDUデータから抽出されるセグメント情報のテーブルであり、例えば、図15(a)に示すように、セグメントID(セグメント定義テーブル33c内でユニークなID番号)、エレメント数、エレメント情報リスト、負荷変動情報の各項目の情報を保持する構成を有している。図15(a)の例においては、セグメントID、エレメント数、エレメント情報リスト、負荷変動情報について、セグメントID=SEG#1、SEG#2、SEG#3、SEG#4にそれぞれ対応して例1~4の設定例が示されている。例1、2、3、4は、図15(b)に例1~例4として示す通信シーケンスにそれぞれ対応するPDU値、GAP(ギャップ)値が設定されたものである。
例1については、セグメントID=SEG#1に対応してエレメント数=5が設定され、エレメント情報リストは、「タイプ=PDU、サイズ=80」、「タイプ=GAP、サイズ=125」、「タイプ=PDU、サイズ=80」、「タイプ=GAP、サイズ=125」、「タイプ=PDU、サイズ=80」を含んでいる。例2、3、4についても、それぞれ、セグメントID=SEG#2、3、4に対応して図5(a)に示すような値のエレメント数、エレメント情報リストが設定されている。
負荷変動情報は、その後の短期、中期、長期の負荷(開始時刻、所要時間、伝送データ量等)変動の累計と平均値を示すものであり、例1~4のエレメント情報リスト中のエレメントごとに対応付けて格納されている。図15の例においては、便宜的に、空欄で示しているが、例1のセグメントID=SEG#1に対応する負荷変動情報としては、例えば、図15(b)の例1に示す通信シーケンスを構成する各エレメントの負荷変動に関する情報が格納される。同様に、例2、3、4のセグメントID=SEG#2、SEG#3、SEG#4にそれぞれ対応する負荷変動情報としては、図15(b)の例2、3、4に示す通信シーケンスを構成する各エレメントの負荷変動に関する情報が格納されるようになっている。
<トラフィックパターンテーブル>
トラフィックパターンテーブル33dは、入力されたPDUデータから、連続するPDUデータ間の間隔データを考慮して、時系列のセグメントの出現リストを生成し、保存したテーブルであり、例えば、図16に示すように、セグメントIDに対応して開始時刻情報、所要時間、伝送データ量が格納される構成を有している。ここで、開始時刻情報は、セグメントIDで識別されるそれぞれのセグメント(複数の連続するエレメント)の開始時刻を示す情報である。所要時間は、セグメントを構成する複数の連続するエレメントの伝送に要した時間である。所要時間は、当該所要時間に換算可能な値、例えば、伝送データ量にキャップ時間分を加算したデータ量に相当する値であってもよい。伝送データ量は、エレメント中のPDUサイズの合計値を指している。通常、セグメントIDは、図15(a)に例示したセグメント定義テーブル33bに登録されたセグメントIDに対応している。
<監視パターンテーブル>
監視パターンテーブル33eは、トラフィック変動予測(図18のステップS92~S95参照)に際し、それまでに出現したセグメントIDと監視時間を登録しておくテーブルであり、セグメントIDと監視時間をエントリー(設定項目)として有している。トラフィック変動予測部45は、監視パターンテーブル33eに登録された全てのセグメントIDについて、セグメント定義テーブル33cの負荷変動情報を参照し、当該通信トラフィックパターンの所定時間内のトラフィック推定値として導出するようになっている。ここでトラフィック変動予測部45は、登録された監視時間が終了した場合には、当該セグメントIDを消去するようになっている。
上述した構成を有するエレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eの運用例について、図11を参照して説明する。
図11に例示した機能ブロックにおいて、トラフィックパターン推定部44は、設定操作により例えば入力部34(或いは、表示部35)から入力するパラメータに基づいてエレメント定義テーブル33bを設定する(S101参照)。
次いで、トラフィックパターン推定部44は、PDU推定部43から逐次出力されるPDU推定結果等のデータを格納する処理データ格納部33から1セグメント分のエレメント情報を読み込み(S102a参照)、既に設定されているパラメータ値(設定値)にしたがってセグメント情報を抽出し、その抽出したセグメント情報の要素であるエレメント情報をエレメント情報リストとしてまとめてセグメント定義テーブル33cに登録する処理(S102b参照)をセグメント情報が新規に抽出される(出現する)たびに実行する。
これに合わせて、トラフィックパターン推定部44は、セグメント定義テーブル33cに登録したセグメント情報の要素であるエレメント情報から通信トラフィックパターン(開始時刻、所要時間、伝送データ量等の項目から成る)を抽出していき(S103a参照)、その抽出した通信トラフィックパターンをトラフィックパターンテーブル33dに登録する処理を実行する(S103b参照)。
上記ステップS102bでのエレメント情報リストの登録に合わせて、セグメント定義テーブル33cには、パラメータの設定値にしたがって抽出されたセグメント情報の要素であるエレメント情報リストに対応して、そのエレメント情報リストによって構成されるセグメント情報に対応する負荷変動を示す負荷変動情報(図15(a)参照)も併せて登録されるようになっている。
図11に例示した機能ブロックにおいて、トラフィック変動予測部45は、セグメント定義テーブル33cに格納されたセグメントIDと予め設定された監視時間(例えば、短期、中期、長期)のいずれかを監視パターンテーブル33eに登録する(ステップS104a)。そのうえで、トラフィック変動予測部45は、その登録した全てのセグメントIDについて、セグメント定義テーブル33cに登録した負荷変動情報を参照しつつ、トラフィックパターンテーブル33dに格納されている当該セグメントIDで識別される通信トラフィックパターンのデータ量を集計し、上記監視時間内のトラフィック推定値として算出するとともに、さらには、そのトラフィック推定値に基づいてその後のトラフィック変動を予測する処理(ステップS104b)を実行する。
このように、OTAトラフィック分析装置1において、トラフィックパターン推定部44、及びトラフィック変動予測部45は、上記構成を有するエレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eを参照しながら、上述したトラフィックパターン推定処理、及びトラフィック変動予測の処理を行うことが可能となっている。
次に、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1のトラフィックパターン推定処理動作について図17に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
図17に示すトラフィックパターン推定処理(S8)は、トラフィックパターン推定部44により、例えば、図8のステップ7におけるPDU推定処理に合わせて実施することも、或いは、PDU推定処理後、所定のタイミングでトラフィックパターン推定処理を開始させることも可能である。いずれの場合も、PDU推定処理の実行中はブラインド信号推定装置20でのPDU推定結果をはじめとする処理データがデータベース33の処理データ格納部33a(図11参照)に格納され、トラフィックパターン推定部44が、処理データ格納部33aに格納されている処理データに基づいて通信トラフィックパターンを推定する処理を行うことになる。
本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、図17に示すトラフィックパターン推定処理(ステップS8)を実施するためには、OTAトラフィック分析に係るパラメータを設定する必要がある。具体的には、データ処理装置30において、分析条件設定部41は、入力部34、若しくは表示部35でのユーザ操作(入力操作)を受け付けて、その入力されたパラメータを設定する(ステップS81)。
次いで、トラフィックパターン推定部44は、エレメント定義テーブル33bを生成し、ステップS1で設定を受け付けたパラメータの値をエレメント定義テーブル33b(図14参照)に設定する(ステップS82)。この処理によって、エレメント定義テーブル33bは、例えば、図14に示すようなデータ内容のテーブル設定が可能となる。
上記ステップS81、S82に関しては、例えば、図8に示す一連のOTAトラフィック分析処理中、PDU推定処理に続いてトラフィックパターン推定処理を実行する場合には、ステップS1において、PDU推定処理のためのパラメータの他、トラフィックパターン推定処理に必要なパラメータも設定し、トラフィックパターン推定部44が、ステップS1で設定されたパラメータを読み込み、該読み込んだパラメータに基づいてエレメント定義テーブル33bを生成し、そのパラメータの値を設定するようにしてもよい。
エレメント定義テーブル33bの設定が完了した後、トラフィックパターン推定部44は、処理データ格納部33a(図11参照)から、設定された1セグメント分のエレメント情報を読み込む(ステップS83)。
引き続き、トラフィックパターン推定部44は、処理データ格納部33aから読み込み中のエレメント情報を、エレメント定義テーブル33bに設定したパラメータの設定値にしたがって連続するエレメントごとに識別する処理を実施する(ステップS84)。
次いで、トラフィックパターン推定部44は、ステップS84で識別したセグメント情報が新規であるか否かをチェックし、新規セグメント情報であれば、新規エントリーとしてセグメントIDに対応付けてセグメント定義テーブル33c(図15(a)参照)に登録する(ステップS85)。このとき、トラフィックパターン推定部44は、新規エントリーとして登録したセグメント情報について、その負荷変動情報(例えば、出現頻度、データ量等)の管理についても当該セグメント定義テーブル33c(図15、図17参照)を用いて開始するようになっている。
次いで、トラフィックパターン推定部44は、ステップS85で新規エントリーとして登録したセグメント情報の通信トラフィックパターンを、セグメント定義テーブル33cとそれぞれ同一のセグメントIDに対応付けてトラフィックパターンテーブル33d(図16、図20参照)に登録する(ステップS86)。
さらに、トラフィックパターン推定部44は、上記ステップS85にて一度でもセグメント定義テーブル33cに登録されたセグメント情報については、該登録済みのセグメント情報について開始時刻、所要時間、伝送データ量等の負荷変動情報を継続的に監視し、セグメント定義テーブル33cにて当該セグメント情報に関連して管理している負荷変動情報を逐次更新する処理を実行する(ステップS87)。
図17に示すように、ステップS83~S87の処理を繰り返し実行することにより、トラフィックパターン推定部44は、セグメント定義テーブル33cを用いて所望のエレメントの配列を有するセグメントの出現を検知し、それらセグメントの負荷変動情報を管理しながら、出現したセグメントの通信トラフィックパターンを、トラフィックパターンテーブル33dを用いて監視することができるようになっている。
一方、トラフィック変動予測部45は、上述した一連の処理によってトラフィックパターンテーブル33dに格納される通信トラフィックパターンについて、そのトラフィックパターンのセグメントIDに対応してセグメント定義テーブル33cで管理される負荷変動情報を参照しながら、それまでに出現した通信トラフィックパターンから、当該通信トラフィックパターンごとのトラフィック変動を推定(予測)する処理(図17のステップS9参照)を行うようになっている。
次に、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1のトラフィック変動予測処理動作について図18に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。このトラフィック変動予測処理は、データ処理装置30のトラフィック変動予測部45によって、図17に示すトラフィックパターン推定処理の実行中に合わせて実施される。
トラフィック変動予測処理が開始されると、トラフィック変動予測部45は、トラフィック変動予測処理に利用されているトラフィックパターンテーブル33dにアクセスし、セグメントIDに対応して格納されている通信トラフィックパターンの情報を検知する(ステップS91)。
次いで、トラフィック変動予測部45は、ステップS91で検知した通信トラフィックパターンの情報の中から全てのセグメントIDを読み出し、これら全てのセグメントIDと、ユーザにより予め設定された監視時間とを、監視パターンテーブル33eに登録する(ステップS92)。監視時間は、所望の期間(短期、中期、長期)に応じてユーザが設定できるものであり、設定後、トラフィック変動処理の開始に合わせてカウントが開始され、カウント満了によりカウントが停止する。これにより、トラフィック変動予測部45は、設定された監視時間の間、全てのセグメントIDに対応する通信トラフィックパターンの変動予測処理を継続的に実施できる。
監視パターンテーブル33eに対する全てのセグメントIDと監視時間の登録後、トラフィック変動予測部45は、登録されている全てのセグメントIDについて、セグメント定義テーブル33cの負荷変動情報を参照し、それぞれに監視時間の残余(残り時間)を考慮して伝送データ量を集計する処理を行う(ステップS93)。
引き続き、トラフィック変動予測部45は、ステップS93で集計した伝送データ量を集計し、所定時間(例えば、上記所望の期間)内のトラフィック推定値として出力、または表示する(ステップS94)。
さらに、トラフィック変動予測部45は、監視パターンテーブル33eから監視時間がカウント満了したセグメントIDを削除する処理を行う(ステップS95)。トラフィック変動予測部45は、監視パターンテーブル33eから全てのセグメントIDが削除されることにより、図18に示す一連のトラフィック変動予測処理を終了する。
上述したトラフィック変動予測処理中、ステップS93においては、セグメント定義テーブル33cの負荷変動情報を参照して伝送データ量を集計する処理について述べているが、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1では、伝送データ量を含めた様々な項目から成るトラフィック変動態様を推定(予測)することができるものである。
また、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1では、監視時間として短期、中期、長期の期間を選択的に設定し得る(ステップS92参照)ことからも分かるように、ユーザが所望する期間を対象にトラフィック変動予測を行うことが可能である。
また、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、トラフィックパターン推定処理、トラフィック変動予測処理に用いるテーブルは、上述したエレメント定義テーブル33b、セグメント定義テーブル33c、トラフィックパターンテーブル33d、監視パターンテーブル33eのデータ内容に限定されるものではなく、他のデータ内容、或いは、種々の形態を有するデータ記憶媒体を適用し得るものである。
例えば、図20には図19に示す通信シーケンスを想定したときの通信トラフィックパターン推定処理に係るパラメータの設定例とそれぞれのエレメント及びセグメントの構成例を示し、図21には、上記パラメータ設定に基づく上記通信シーケンスを対象とするトラフィックパターン推定処理に際して設定、生成されるエレメント定義テーブル33b1、セグメント定義テーブル33c1の構成例を示している。
図19に示す通信シーケンスは、1セグメントを3エレメントとし、便宜的に、PDU長及びギャップの双方ともに番号を付記した符号Eで表している。また、セグメントをS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7の符号で表している。
図20において、(a)は図19に示す通信シーケンスを想定したときのトラフィックパターン推定処理に係る上述した種々のパラメータの設定例を示す表図である。(b)は、上記通信シーケンスを想定したときの各エレメントのタイプ(Type)とサイズ(Size)の例を示す表図であり、(c)は同じく各セグメント(図19のS1~S2参照)の構成例を示す表図である。
図21において、(a)は図20(a)の表図に示された範囲のパラメータ値が設定されたエレメント定義テーブル33b1の一例を示している。(b)はトラフィックパターン推定処理に際し、エレメント定義テーブル33b1のパラメータ設定に基づき生成されるセグメント定義テーブル33c1の一例を示している。
上記エレメント定義テーブル33b1、セグメント定義テーブル33c1を用いたトラフィックパターン推定処理においては、トラフィックパターン推定部44により、例えば、図16に示すようなトラフィックパターンテーブル33d(図17のステップS86参照)も生成されることとなる。
このように、本実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、上述した種々のエレメント定義テーブル33b(33b1)、セグメント定義テーブル33c(33c1)、トラフィックパターンテーブル33dを用意することで、ユーザが所望する通信トラフィックパターンを対象とするトラフィックパターン推定処理を実現することができる。
上述したように、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、基地局B1と複数の無線端末A1の間で無線通信が行われるOTA環境下において、基地局B1と無線端末A1間で送受信される無線信号が混在する複数波混在信号を間欠的にキャプチャし、キャプチャに対応して間欠的に取得される受信信号から無線端末A1たる信号源110ごとに分離した分離信号に基づいて無線通信の通信トラフィックを分析するものである。
第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、複数波混在信号の信号キャプチャ時間と受信間隔を制御するキャプチャ制御部31aと、キャプチャ後に分離された分離信号を同一の通信の構成要素ごとに選出し、選出された分離信号の信号パターンを同一の通信の構成要素ごとに推定するとともに、推定した分離信号の信号パターンに基づいて同一の通信の構成要素ごとに無線通信により送受信されるPDUを推定するPDU推定部43と、PDU推定部43によるPDUの推定結果に基づき、PDUデータとPDUデータ間の間隔データとで規定される通信トラフィックパターンを推定する処理を行うトラフィックパターン推定部44と、トラフィックパターン推定部44による通信トラフィックパターンの推定結果に基づいて、通信トラフィックパターンの所定期間内のデータ量を推定し、推定したデータ量から通信トラフィックパターンのその後の通信トラフィックの負荷変動を予測する処理を行うトラフィック変動予測部45と、を具備する構成を有する。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、OTA空間において、受信した無線信号からPDUを推定し、そのPDUの推定結果からOTA通信における通信トラヒックパターンを効率よく推定できるとともに、その後の通信トラフィックの負荷変動の予測も行うことができる。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、通信トラフィックの分析に係るパラメータを設定する分析条件設定部41をさらに有し、分析条件設定部41は、通信トラフィックパターンを推定する処理に係るパラメータとして、PDUの長さであるPDU長、2つの連続するPDUの間隔であるギャップ、PDU長及びギャップはエレメントとも呼ばれ、複数の連続するエレメントであるセグメントの各項目の値を設定し、トラフィックパターン推定部44は、PDU推定部43により推定された連続するPDUの並びを各項目がそれぞれの設定値を満たす配列で選出し、通信トラフィックパターンとして抽出する構成を有している。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、PDU長、ギャップ、エレメント、セグメントの各項目のパラメータを設定することにより、PDU推定結果を基に、当該各項目の設定値に対応するPDU長、ギャップ、エレメント、セグメントの値を有する配列の通信トラフィックパターンを容易かつ効率よく抽出することができる。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、分析条件設定部41は、通信トラフィックパターンを推定する処理に係るパラメータとして、次セグメントへの移動エレメント数を示す項目であるシフト幅をさらに設定し、トラフィックパターン推定部44は、PDU推定部43により推定されたPDUの並びをシフト幅に相当する時間をずらして複数回抽出する構成を有している。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、シフト幅を小さくすると処理負担は大きくなるが推定精度を向上させることが可能となる一方、シフト幅を大きくすると推定精度は悪化するが処理負担を軽減することができる。これにより、推定精度と処理負担の両面から、望ましいシフト幅を選択的に設定して通信トラフィックパターンの推定処理を遂行することができる。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、分析条件設定部41は、通信トラフィックパターンを推定する処理に係るパラメータとして、1つの前記セグメントのエレメント数であるセグメント長、これより長いPDUは全て最長のPDU長属性に分類されることを示す情報であるPDU長リミット、PDU長リミットを超えないPDUについて、エレメント長を何分割で分類するかを指定する情報であるPDUエレメント数、これより長く最大ギャップ長を超えないギャップは全て最長のギャップ長属性に分類されることを指示する情報であるギャップ長リミット、ギャップ長リミットを超えないギャップについて、エレメント長を何分割で分類するかを指定する情報であるギャップエレメント数、ギャップ長として認識する最大限界値である最大ギャップ長の各項目の値を設定する構成である。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、セグメント長、PDU長リミット、PDUエレメント数、ギャップ長リミット、ギャップエレメント数、最大ギャップ長の各項目も加えてさらに細分化されたパラメータ設定に基づく通信トラフィックパターンの推定が可能となり、通信トラフィックパターンの推定精度の向上が見込める。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、分析条件設定部41は、通信トラフィックパターンを推定する処理に係るパラメータとして、通信トラフィックパターンの負荷変動を集計する監視期間を設定し、トラフィック変動予測部45は、設定された監視期間中におけるデータ量を推定する構成を有する。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、トラフィックパターン推定部44が推定した通信トラフィックパターンについて、ユーザが設定した監視期間中のデータ量を集計することができ、ユーザ主体の設定によるトラフィック変動予測が行える。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1において、分析条件設定部41は、順に長い短期、中期、長期の監視期間を選択的に設定し、トラフィック変動予測部45は、設定された短期、中期、長期のいずれかの監視期間中のデータ量を推定する構成である。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1は、トラフィックパターン推定部44が推定した通信トラフィックパターンについて、ユーザが所望する短期、中期、長期のいずれかの監視期間の通信トラフィックの負荷変動を推定し、各監視期間長に対応してその後のトラフィック変動の予測も円滑に行うことができる。
また、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析方法は、基地局B1と複数の無線端末A1の間で無線通信が行われるOTA環境下において、基地局B1と無線端末A1間で送受信される無線信号が混在する複数波混在信号を間欠的にキャプチャして取得される受信信号から無線端末A1たる信号源110ごとに分離した分離信号に基づいて無線通信の通信トラフィックを分析するものであって、キャプチャ後に分離された分離信号を同一の通信の構成要素ごとに選出し、選出された分離信号の信号パターンを同一の通信の構成要素ごとに推定するステップ(S61~S66)と、推定した分離信号の信号パターンに基づいて同一の通信の構成要素ごとに無線通信により送受信されるPDUを推定するPDU推定ステップ(S7)と、PDU推定ステップによるPDUの推定結果に基づき、PDUデータとPDUデータ間の間隔データとで規定される通信トラフィックパターンを推定するトラフィックパターン推定ステップ(S8)と、トラフィックパターン推定ステップによる通信トラフィックパターンの推定結果に基づいて、通信トラフィックパターンの所定期間内のデータ量を推定し、推定したデータ量から通信トラフィックパターンのその後の通信トラフィックの負荷変動を予測する処理を行うトラフィック変動予測ステップ(S9)と、を含む構成を有している。
この構成により、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析方法は、上述した構成を有するOTAトラフィック分析装置1に適用することで、OTA空間において、受信した無線信号からPDUを推定し、そのPDUの推定結果からOTA通信における通信トラヒックパターンを効率よく推定できるとともに、その後の通信トラフィックの負荷変動を予測することも可能になる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aの構成を図22に示している。図22に示すように、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aは、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1のデータ処理装置30におけるPDU推定部43に代えてPDU推定部43Aを備えたものである。PDU推定部43は、間欠的に受信した受信信号からそこに含まれる信号を同一の通信の構成要素(信号源110)ごとに分離し、その分離信号の到来方向及び信号強度に基づいてPDUの長さを推定するのに対して、PDU推定部43Aは、到来方向及び信号強度を用いず、受信信号から信号分離部23により分離された分離信号を直接入力し、その分離信号パターンに基づいてPDUの長さを推定するものである。
第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aは、PDU推定部43A以外の構成は第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1と同じである。図22においては、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1の構成要素を同一の部分には同一の符号を付している。
第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1AのPDU推定処理について図23に示すフローチャートを参照して説明する。図23において、図8に示す第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1のPDU推定処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、同一の処理の詳しい説明は割愛する。ここでは、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aに特有の処理を主体に説明する。
第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aにおいて、PDU推定部43Aは、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1と同様、まず、分析条件設定処理を実施する(ステップS1)。
その後、PDU推定部43Aは、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1と同様、分析開始操作を受け付けることにより(ステップS2)、複数の無線信号が混在する複数波混在信号を間欠的にキャプチャさせるようにブラインド信号推定装置20を駆動し(ステップS3)、キャプチャされた信号から、ブラインド信号推定装置20の信号分離部23により信号源110ごとの信号成分を分離する(ステップS4)処理を実行する。
信号分離部23は、分離した複数の信号源成分(信号源110ごとにそれぞれ分離された分離信号)をデータ制御部31bのPDU推定部43Aに入力する。ここでPDU推定部43Aは、信号分離部23から入力する分離信号を取り込んで、該分離信号をデータベース33の所定の格納領域に継続的に記憶する処理を実施する(ステップS6A)。
ステップS6Aに至るまでの信号処理について、図24を参照して説明する。第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aでは、図24に示すように、通信中の基地局B1と無線端末A1間で送受信される複数の無線信号が混在する複数波混在信号がブラインド信号推定装置20によって間欠的に受信される(図24(a)参照)。
OTAトラフィック分析装置1Aにおいて、間欠的に受信された複数波混在信号は、ブラインド信号推定装置20の周波数変換部21、AD変換部22でそれぞれ信号処理された後(図24(b)参照)、信号分離部23により信号源110ごとに分離され、分離信号(図24(c)参照)としてデータベース33に記録されていく。図24(c)において、同一の網掛けにより示される分離信号は、それぞれ、同一の通信の構成要素を示している。ここでは、四種類の網掛けを用いて四種類のデータ通信に係る分離信号S11、S12、S13、S14の配列を示している。ここでの分離信号S11、S12、S13、S14の配列は、4種類のデータ通信によりそれぞれ送受信されるPDUの間欠的な分離信号パターンを構成している。これにより、PDU推定部43Aは、OTAトラフィック分析装置1のPDU推定部43と同様、上記分離信号パターンに基づいてデータA1、B1、C1、D1それぞれに対応するPDUを通信データの種別ごとに推定(推定PDUを取得)することが可能となる。
すなわち、図23に示す一連の処理中、PDU推定部43Aは、ステップS6Aにおける分離信号を継続的に記録する処理に合わせて、その記憶された分離信号の分離信号パターンを検索し、該分離信号パターンに基づき、当該分離信号を一部構成要素として含むPDUのサイズを推定する処理を実施する(ステップS7A)。
ステップS7Aの信号処理のタイミングチャートは、図24(d)、(e)に示されている。第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aでは、図24(d)に示すように、それ以前の処理で生成された分離信号S11、S12、S13、S14(図24(c)参照)の分離信号パターンから、データA1、B1、C1、D1にそれぞれに対応するPDUを推定する処理が行われる。
このPDU推定処理は、PDU推定部43Aにおいて、図10に示す受信信号、分離信号、推定PDUの関係に照らした図9に示す判断フローを適用して実行される。このPDU推定処理によれば、図24(e)に示すように、図24(c)に示す分離信号S11、S12、S13、S14が連続する区間が、それぞれ、データA1、B1、C1、D1に対応するPDUが推定可能となっている。
上述したように、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aは、複数波混在信号の信号キャプチャ時間と受信間隔を制御する装置制御部31aと、キャプチャ後に分離された分離信号を同一の通信の構成要素ごとに選出し、選出された分離信号の信号パターンを同一の通信の構成要素ごとに推定するとともに、推定した分離信号の信号パターンに基づいて、同一の通信の構成要素ごとに無線通信により送受信されるPDUを推定するPDU推定部43Aと、を有している。
ここで、PDU推定部43Aは、第1の実施形態に係るPDU推定部43とは異なり、分離信号の到来方向と信号強度を参照することなく分離信号パターンを推定し、さらにその分離信号パターンからPDUを推定する構成を有している。この構成により、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aは、ブラインド信号推定装置20の到来方向推定処理部24による分離信号の到来方向の推定処理、及び信号解析部25での分離信号の信号強度の推定処理を行う必要はなく、PDU推定部43の処理負荷を低減できるとともに、処理能力アップへの要請も緩和することができる。
また、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aは、上述したPDU推定部43Aに加え、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1と同等のトラフィックパターン推定部44、トラフィック変動予測部45を有している。トラフィックパターン推定部44は、図17に示す手順によるトラフィックパターン推定処理を実施し、トラフィック変動予測部45は、図18に示す手順によるトラフィック変動予測処理を実施する。これにより、第2の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1Aにおいても、トラフィックパターン推定処理、トラフィック変動予測処理に関しては、第1の実施形態に係るOTAトラフィック分析装置1と同等の作用効果が期待できる。