以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
以下では、生活情報推定を行うための情報処理システム(以下、「生活情報推定システム」)と、生活情報推定システムにおいて、生活情報を推定するための生活情報推定装置の構成について説明する。
以下で説明するとおり、以下の各実施の形態における生活情報推定装置は、所定の領域の人口動態情報に基づいて当該所定の領域の所定の時間帯における生活情報を推定する装置である。
また、以下の各実施の形態における生活情報推定装置は、所定の領域の人口統計情報に基づいて、ユーザが指定する分析対象領域に関連する所定の時間帯における人流情報、たとえば、人の分布の情報を推定および分析する装置である。
図1は、本発明の実施形態1の生活情報推定システムの概要を示す図である。
図1を参照して、本発明の実施形態1の生活情報推定システム1000は、生活情報推定装置として動作する生活情報サービス提供サーバ2000と、生活情報サービス提供サーバ2000からのサービスを受ける利用者の生活情報利用者端末3000と、生活情報サービス提供サーバ2000に対して、後述するような生活情報の推定のために必要なデータを提供するデータ提供サーバ5000.1~5000.M(M:自然数)と、後述するように、建物情報を登録する建物情報登録端末4000と、ユーザ100に使用されるものであって、後述するようなサービスの提供を受け取る、携帯電話やスマートフォン200とを含む。
ここで、建物情報登録端末4000は、建物のオーナーや管理者が、建物の情報(フロアプランや、2Dまたは3Dポリゴンデータなど)を登録するための端末である。また、建物内の写真などの情報を、建物の訪問者が登録することがあってもよい。この場合は、建物情報登録端末4000は、たとえば、写真撮影機能を有するスマートフォンのような移動端末などであってもよい。たとえば、スマートフォの場合は、撮影した写真とともに、ビル名や階数や、その領域の情報(たとえば、店舗名や店舗の種類)などを通知してもらえるような入力フォーマットを有するアプリケーションソフトウェアをインストールした端末を利用するユーザからの通知を、生活情報サービス提供サーバ2000が受け取る構成としてもよい。
図2は、生活情報サービス提供サーバ2000のシステム概要を示す機能ブロック図である。
図4は、データ提供サーバ5000.1~5000.Mから提供されるデータの内容を説明する図である。なお、以下、データ提供サーバ5000.1~5000.Mを総称するときは、単に、「データ提供サーバ5000」というものとする。
図2を参照して、生活情報サービス提供サーバ2000は、演算装置2100と、記憶装置2300とを備える。
記憶装置2300は、まず、所定の「人口動態情報2302」を格納する。ここで「人口動態情報2302」は、少なくとも所定の時において所定の領域に所在する人の数の情報を含む。
ここで、「所定の時」とは、例えば、第1の所定の時間間隔、たとえば、1時間単位ごとの時のことをいい、「所定の領域」とは、特定の地域の、例えば、第1の領域メッシュ単位、たとえば、500mメッシュ(500m四方の正方形)単位の領域のことを言う。「所定の人口動態情報」とは、「人口統計データ」であって、「集約データ」を意味し、たとえば、図4に示すように、前述した「モバイル空間統計情報(登録商標)」などが相当する。
さらに、記憶装置2300は、所定の「生活情報2306」を格納する。「生活情報2306」は、少なくとも人の生活にかかる情報を含む。ここで、所定の「生活情報2306」とは、より特定的には、地域別、年齢・性別ごとに、第1の所定の時間間隔よりも短く、望ましくは、第1の時間間隔の約数である第2の時間間隔での所定の行動の分類の情報である。ここで、「生活情報」としては、たとえば、図4に示すように、地域別、年齢・性別単位、15分単位で、所定の20種類の行動に分類した、総務省の「社会生活基本調査」によるデータベースの情報に相当する。ここで、「行動の分類」としては、たとえば、「睡眠」「通勤」「通学」「勤労」「学業」などの分類に対応する。
また、記憶装置2300は、「職業別就業情報2308」を格納する。ここで、「職業別就業情報2308」とは、年齢・性別単位で、職種ごとの職種の就業比率を示すデータであり、たとえば、図4に示すように、総務省の労働力調査データベースの情報に相当する。
なお、「所定の生活情報」に、このような「職業別就業情報」が含まれていてもよい。
したがって、「人口動態情報2302」と「所定の生活情報2306」とにより、利用者からの指示により領域設定部2106が設定した「所定の領域」に、「第2の時間間隔」で所在する人の行動別の人数(以下、「行動別人数」という)を、生活情報推定部2110が、推定処理をすることが可能である。さらに、このようにして推定された「行動別人数」について、勤労や学業という行動分類の人について、「職業別就業情報」を適用することで、生活情報推定部2110は、「第2の時間間隔」で、「所定の領域」に所在する人の「職種」の分類のデータを算出することが可能である。なお、「職種」とは、いわゆる「職業の種類」だけでなく、「学業」など、ビジネスではないものの、その場所(施設・建物)で、人が一定時間以上、同一内容の行動として顕在的に携わることになる「業務」であればよい。
なお、生活情報2306は、第1の時間間隔よりも短く、望ましくは、第1の時間間隔の約数である第2の時間間隔での「所定の行動の分類」であるとしたが、第2の時間間隔としては、たとえば、第1の時間間隔と同じであってもよい。たとえば、第1の時間間隔で、粗視的に「所定の行動の分類」を推定して、生活情報、人流や人の分布を、ユーザに提示した後に、ユーザの指示に応じて、より細かい「第2の時間間隔」での「所定の行動の分類」を推定して、生活情報、人流や人の分布を、ユーザに提示する、というような処理を行うこととしてもよい。
記憶装置2300は、さらに、所定の「領域場所情報2310」を格納する。ここで、「所定の領域場所情報」とは、「上述した所定の領域に存在する所定の場所の情報(その場所の職種の情報を含む)」のことを言う。たとえば、望ましくは、「領域場所情報」は、上述した第1の領域メッシュ単位よりも小さく、望ましくは、第1の領域メッシュ単位を矩形としたときに各辺がその約数である第2の領域メッシュ単位の領域について、この第2の領域メッシュ単位の領域内の建物・施設の情報とその建物・施設内で営まれる職種に関する情報を含むものである。たとえば、図4に示すように、「領域場所情報2310」は、62.5mメッシュ単位で、街の建物・施設の情報、その建物・施設内で営まれる職種の情報や、道・水域に関する情報等を含んだ地図データが相当する。このような「地図データ」については、一部、民間企業からの提供が行われている。
領域情報推定部2108は、このような領域場所情報2310に基づいて、領域設定部2106が設定した「所定の領域」の「所定の場所」において存在する施設や建物における延べ床面積において、各職種に対応する面積を推定する。なお、このような推定は、第2の領域メッシュ単位の領域で行うことが望ましい。ただし、ユーザの設定に応じて、このような推定を、各辺が第2の領域メッシュの倍数である第1の領域メッシュ単位で実行することも可能である。
したがって、生活情報サービス提供サーバ2000の演算装置2100の生活情報推定部2110は、「所定の場所」の「各職種に対応する面積」に「職種ごとの人数」を展開(たとえば、比例按分)することで、第2の時間間隔の時において、所定の領域に存在する所定の場所に所在する人の業務の情報(以下、「人の領域生活情報」と呼ぶ)を算出して、出力する。
たとえば、このような「人の領域生活情報」の算出にあたっては、上述した手法にしたがって、対象となる領域内において、ある場所(施設・建物)で、人が携わっている「業務」の分類を算出することになる。
所定の生活情報と所定の領域場所情報との関係性として、たとえば、所定の時間帯では、病院施設では医師や看護師が働いている、農地では農家の人が働いている、漁場では漁師が働いている、住宅では、主婦が子育てをしていたり、年金生活者が生活している等などの関係性を想定することができる。この具体的な処理については、後述する。
さらに、マップ出力部2104は、このようにして推定された「人の領域生活情報」を、「所定の領域」の「所定の場所」にそれぞれ対応付けて(たとえば、地図情報の上から重畳して)表示する画面を生成して出力する。このような出力を生成することにより、利用者にとっては、自身の指定した「所定の領域」における人の生活情報を視覚的に把握することが可能となる。
なお、以上の説明のように、第2の領域メッシュ単位の領域ごとに、かつ、第2の時間間隔で、「行動別人数」または「人の領域生活情報に対応する人数」を算出しているので、時間軸に沿って、第2の領域メッシュ単位の領域とその周囲の領域についての人数分布の変化を追跡し、かつ地図データ上で「人の移動が可能な経路の情報」(たとえば、道路、線路など)と統合することで、人流導線情報推定部2102は、人流の導線情報(どのような経路に沿って人が移動したか)を推定して出力する構成とできる。人流導線情報出力部2102の出力結果は、記憶装置2300の人流導線情報2312に格納される。
なお、人流の情報を交通経路の情報と関連づければ、人流導線情報推定部2102は、交通経路ごとの人の移動量の情報を推定することも可能で、推定結果を交通経路情報2304として、記憶装置2300に格納する。
図3は、生活情報サービス提供サーバ2000のハードウェア構成を説明するための図である。
図3を参照して、生活情報サービス提供サーバ2000は、自身の筐体内の演算装置(CPU:Central Processing Unit)が演算処理を実行する構成であってもよいし、プログラムの処理の一部は、さらに他のサーバ上で実行される構成であってもよい。以下では、自身の筐体内の演算装置が演算処理を実行するものとして説明する。
図3を参照して、サーバ2000は、コンピュータ装置2010と、ネットワークと通信するためのネットワーク通信部2012と、外部からのデータを記録してコンピュータ装置2010に提供するための記録媒体(たとえば、メモリカード)2210と、入力装置としてのキーボード2400と、表示装置としてのディスプレイ2420とを備える。
なお、たとえば、記録媒体2210としては、USBメモリ、メモリカードや外付け記憶装置などを利用することができる。また、ネットワーク通信部2012としては、たとえば、有線LANや無線LANの通信機能を利用することができる。ネットワーク通信部2012と入出力インタフェース2090とで、通信インタフェースを構成する。
図3に示されるように、このコンピュータ装置2010を構成するコンピュータ本体は、ディスクドライブ2030およびメモリドライブ2020に加えて、それぞれバス2050に接続されたCPU(Central Processing Unit )2100と、ROM(Read Only Memory)2200.1およびRAM(Random Access Memory)2200.2を含むメモリ2200と、不揮発性の書換え可能な不揮発性記憶装置2300と、ネットワークを介しての通信や外部とのデータの授受を行うための入出力インタフェース2090とを含んでいる。不揮発性記憶装置2300としては、たとえば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが使用される。以下では、SSDであるものとして説明する。ディスクライブ2030には、光ディスクが装着可能である。メモリドライブ2020にはメモリカード2210が装着可能である。
コンピュータ装置2010のプログラムが動作するにあたっては、そのコンピュータとしての動作の基礎となる情報を格納するデータやプログラムは、SSD2300に格納されるものとして説明を行う。
なお、図3では、コンピュータ本体に対してインストールされるプログラム等の情報を記録可能な媒体として、たとえば、DVD-ROM(Digital Versatile Disc)、メモリカードやUSBメモリなどでもよい。そのような場合に対応して、コンピュータ本体には、これらの媒体を読取ることが可能なドライブ装置(メモリドライブ2020、ディスクドライブ2030)が設けられる。
コンピュータ装置2010の主要部は、コンピュータハードウェアと、CPU2100により実行されるソフトウェアとにより構成される。一般的にこうしたソフトウェアは、記憶媒体に格納されて流通またはネットワーク経由で流通し、ディスクドライブ2030やネットワーク通信部2012経由で取得されて、SSD2300に一旦格納される。そうしてさらにSSD2300からメモリ中のRAM2200.2に読出されてCPU2100により実行される。なお、ネットワーク接続されている場合には、SSD2300に格納することなくRAMに直接ロードして実行するようにしてもよい。
コンピュータ装置2010として機能するためのプログラムは、その流通にあたっては、コンピュータ本体2010に、情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)は、そのプログラム中には、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム2010がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
さらに、CPU2100も、1つのコアのプロセッサであっても、あるいは複数のコアのプロセッサであってもよい。すなわち、シングルコアのプロセッサであっても、マルチコアのプロセッサであってもよい。また、サーバ2000も、複数のサーバにより構成され、分散処理を実行する構成としてもよい。
なお、生活情報利用者端末3000や、データ提供サーバ5000.i(1≦i≦M)のハードウェア構成も基本的に同様であるので、その説明は繰り返さない。
図5は、生活情報サービス提供サーバ2000の処理フローを説明する第1の図である。図6は、生活情報サービス提供サーバ2000の処理フローを説明する第2の図である。
図7は、演算装置2100から出力されるデータの概要を示す図である。
図8は、第1の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
図9は、第2の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
図5および図6を参照して、処理がスタートすると、演算装置2100は、ネットワーク経由で、空間統計データを取得する(S110、S200)。
上述のとおり、空間統計データの取得にあたっては、NTTドコモの提供する「モバイル空間統計(登録商標)」を利用することが可能である。空間統計データは、たとえば、所定幅のメッシュ(たとえば、500m四方)内の、所定時間(たとえば、1時間)単位の年齢性別毎の人数のデータである。
続いて、利用者からの指定により領域設定部2106により指定された「所定の領域」について、生活情報推定部2110は、空間統計データを基に、特定の領域(たとえば、大阪梅田地域)に、ある特定の時間帯(たとえば、ある1時間)において、滞留している人(年齢・性別を空間統計データから取得)について、社会生活基本調査データベースを参照して、この特定の時間帯内のより細かい時間(たとえば、15分)単位の就労・移動(例:通勤)等の状態(行動分類情報)に分類し、各分類の人数(年齢・性別の属性)を推定する(S120,S210)。
図7(a)下側は、このような行動別人数推定の概要を示す。
図8の下側の図は、午前2時において特定の領域での行動別人数の推定結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「睡眠」との行動分類である。
図9の下側の図は、午後3時(15時)において特定の領域での行動別人数の推定結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「勤労」ないし「学業」との行動分類である。
図5および図6に戻って、さらに、生活情報推定部2110は、各行動分類の推定人数(年齢・性別の属性)を基に、上記特定の領域について、15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性)を、たとえば、総務省労働力調査データベースに基づいて、推定する(S130,S220)。
続いて、領域場所情報推定部2108は、推定された、15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性)を、地図上の施設。建物の延べ床面積と各施設・建物の職種に割り当てられる面積に基づいて、各建物(施設)に展開(たとえば、比例按分)し、空間統計データの単位メッシュ以下の大きさのメッシュ(たとえば、62.5mメッシュ)での人数の集約データを推定する(S140,S230)。
以下では、「領域場所情報推定部2108」と「生活情報推定部2110」との推定処理の機能を総称するときは、「領域生活情報出力部」と呼ぶ。
図7(a)上側は、このような施設人数推定の概要を示す。
図8の上側の図は、午前2時において特定の領域での施設人数推定の結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「住居」または「ホテル・旅館」に所在している。
図9の上側の図は、午後3時(15時)において特定の領域での施設人数推定の結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が各施設において、施設・建物に対応する「職種」ないし「業務」に割り当てられていることがわかる。
図5および図6に戻って、さらに、マップ出力部2104は、各施設・建物について展開された人数を、地図上に重畳して、たとえば、ヒートマップ方式などで色分けして出力する。ここで、ヒートマップの表示あたっては、その場所の業務の人数の割合を示すチャートを色分けして示すという方式であってもよい。
図7(b)は、このような人数分布を可視化した出力例を示す図である。
図10は、行動別人数推定処理(S120,S210)における空間分解の精度の向上処理の概念を示す図である。
図10に示すように、空間統計データ(または、人流データ)と地図情報などの様々な情報を使って分析を行う際には、あるデータは、空間分解能として、500m単位であり、別のデータは、100m単位であり、さらに他のデータは、地番単位(住所単位)となっているケースがある。
データの単位が合致していないため、通常は、単位が大きいデータに合わせて分析を行うことになってしまう。
しかしながら、上述した通り、生活情報サービス提供サーバ2000では、人流データ(所定の時点の人数分布データを含む)、建物データ、施設データ、土地データ(道、鉄道、道・水域に関する情報を含む)などを、全て同一の単位(領域メッシュ)に分解・換算されて蓄積されている。
このような同一単位で格納されているデータベースを、以下では、「データレイク」と呼ぶ。したがって、たとえば、日本全国のどの地点でも、同一の単位(領域メッシュ)で、リアルタイム分析を行うことが可能である。
また、上述のとおり、同一の領域メッシュとしては、図10に示すように、一辺が、62.5mのメッシュとしている。
62.5mとすると、モバイル空間統計(登録商標)が、一辺500mのメッシュであるため、この500mの2の累乗分の1(1/8)であって、人が1分間で歩く距離にほぼ等しい距離を一辺とする領域メッシュとできる。他の空間統計を利用する場合も、同様にして、一辺を、人が1分間で歩く距離に相当する領域メッシュに統一することが可能である。人が1分間で歩く距離とすることで、たとえば、歩行で移動する人も含めて、人流を解析するのに適した分解能であるといえる。
ただし、62.5mよりも小さい単位に分割することも可能である(たとえば、最小1m単位)。もっとも、分析するデータ量と計算量は増加してしまうため、費用対効果の観点から、たとえば、62.5mとすることが望ましい。
図11は、マップ出力部2104が出力する地図画像と人数分布の重畳画像の他の例を示す図である。
図11に示すように、所定の地域としては、ある広さの地域を指定しておき、さらに、推定処理を実施する「所定の領域」については、その中の一部をさらに利用者が指定するという構成とすることも可能である。
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2の人流情報サービス提供サーバ2000´の構成を説明するための機能ブロック図である。
人流情報サービス提供サーバ2000´のハードウェア構成は、図3で説明したものと同様であるので、説明は繰り返さない。なお、本明細書では、「生活情報サービス提供サーバ2000」と「人流情報サービス提供サーバ2000´」とを総称して、「生活情報推定装置」と呼ぶ。
なお、この明細書において、「人流情報」とは、所定の期間における「人の移動の態様」を表現する情報を意味し、たとえば、ある特定の時間または時間帯において、設定された人の属性について、ユーザの指定した領域(以下、「特定の領域」)に滞在している人数について推定された人分布の情報を含む。このような人分布の情報の経時変化を追跡することで、人の流れを表す情報を推定することも可能となる。なお、ここで、「人の属性」とは、たとえば、年齢、年代、性別、職業の分類などを含むが、これに限られるものではない。
実施の形態1の生活情報サービス提供サーバ2000と同一の構成部分には、同一の符号を付して、原則として、説明は繰り返さない。
図12を参照して、実施の形態2の人流情報サービス提供サーバ2000´の演算装置2100は、プログラムに応じて実行する機能として、人流導線情報推定部2102に代えて人流情報推定部2103を含み、領域設定部2106に代えて、領域設定部2107を含む。
人流情報推定部2103については、後述する。
領域設定部2106は、利用者からの指示により、たとえば、建物や行政区域などを指定することで、「所定の領域(ユーザが分析対象として指定した「特定の領域」)」を指定するとの機能を有するものである。これに対して、領域設定部2107は、利用者が表示されている地図上で、建物や行政区域などを指定するほか、マウスやタッチパネルなどの操作で領域の境界を指定することにより、「特定の領域」を、分析対象の領域として指定する機能を有する。
また、人流情報サービス提供サーバ2000´の記憶装置2300は、後述するように、デジタル地図としての地図情報2314を格納している。
したがって、人流情報サービス提供サーバ2000´の記憶装置2300は、ネットワーク経由で外部サーバから取得したデータとして、人口動態情報に相当する人口統計情報(たとえば、「モバイル空間情報(登録商標)」)と、生活情報と、領域場所情報とを格納する。人口動態情報は、第1の時間(たとえば、1時間)間隔ごとの人口統計データの集約データであり、所定の領域に、第1の時間間隔で領域メッシュ(たとえば、500m四方)ごとに所在する人の年齢、性別および居住地ごとの人の数の情報である。一方で、生活情報の所定の時間単位は、第1の時間間隔よりも短い第2の時間(たとえば、15分)間隔であって、生活情報は、人の年齢、性別および人の生活および行動の所定の分類と、人の職種とを対応付け可能な情報である。領域場所情報の所定の区画ごとの場所情報は、所定の領域内の施設の延べ床面積と施設内での職種の情報を含んでいる。人流情報サービス提供サーバ2000´の演算装置2100は、プログラムに基づいて、人口動態情報と、生活情報と、領域場所情報とに基づいて、所定の生活情報と所定の領域場所情報との関係性により、少なくとも所定の時において所定の領域に所在する人の領域生活情報を推定して出力する領域生活情報出力部としての機能を実行する。より特定的には、生活情報推定部2110は、i)人口動態情報と前記生活情報とに基づき、第2の時間間隔ごとに、所定の領域に所在する人の職種別の就業人数を推定し、ii)職種別の就業人数を、延べ床面積と各施設の職種に割り当てられる面積に基づいて、各施設に按分し、人口動態情報の領域メッシュより小さいメッシュでの人数の集約データを推定する。
さらに、記憶装置2300は、人口統計データに関連して滞在種別情報を格納する。そして、人口動態情報は、上述のとおり、第1の時間間隔ごとの人口統計データの集約データであり、所定の領域に、第1の時間間隔で領域メッシュごとに所在する人の属性(たとえば、人の年齢、性別)ごとの人の数の情報である。ここで、人の属性は、人が所定の領域に滞在する滞在種別情報を含む。
「滞在種別情報」は、後述するように、所定の領域に対する居住者との属性と、所定の領域に対する勤務者との属性と、居住者および勤務者以外の属性とを含む。
演算装置2100は、さらに、分析対象領域内の人流情報の分析を行う人流情報推定部2103の機能を実行する。演算装置2100の生活情報推定部2110は、人口統計情報と所定の生活情報(行動情報および職種情報)とに基づいて、第1の時間間隔ごとに、分析対象領域に含まれる領域メッシュに所在する人の行動の分類ごとの人数を推定し、人行動情報推定を実施する。領域場所情報推定部2108は、生活情報推定部2110の推定結果と「推定領域メッシュ(たとえば、62.5m四方)」ごとに人の行動の分類に対応する場所(建物、施設、道路、交通機関など)の種類と場所の大きさとに基づいて、生活情報推定部2110により推定された人数を推定領域メッシュに分配することにより、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの集約データを推定する。人流情報推定部2103は、分析対象領域内に存在する推定領域メッシュで推定された人の行動の分類と集約データに基づいて、分析対象領域内でユーザにより指定された人の属性(人の性別、年齢または年代、職種、滞在種別などを含む)の分布を推定する。
また、特に限定されないが、実施の形態1と同様に、生活情報推定部2110は、人口統計情報と所定の生活情報とに基づいて、第1の時間単位での推定を行うだけでなく、第1の時間単位より短い第2の時間単位ごとに、分析対象領域に含まれる領域メッシュに所在する人の行動の分類ごとの人数を推定する構成とすることが望ましい。
図13は、デジタル地図上に所定の領域RMを指定した態様を示す概念図である。
図13に示すように、デジタル地図としての所定の領域RMが表示されている。このとき、道路Rdや河川RVがデジタル地図上に表示されている。
図14は、デジタル地図のデータ構成を説明するための概念図である。
図14に示すように、デジタル地図データは、複数のレイヤーからなる。
たとえば、地図情報としては、図示しない「管理データ」として、2次メッシュコード、使用基図、地磁気偏角、区角辺の実距離、各データの更新年月日、データ別レコード数、データ別アイテム数などが、格納されている。
たとえば、レイヤ1は、道路情報であり、地図情報2314中に、道路情報DBとして格納される。
また、たとえば、道路情報は、「基本道路データ」と「細道路データ」に分かれていてもよい。
ここで、「基本道路データ」は、特に限定されないが、たとえば、「基本道路ノードデータ」「基本道路リンクデータ」「基本道路リンク内属性データ」などを含む。また、「細道路データ」は、特に限定されないが、たとえば、「細道路ノードデータ」「細道路リンクデータ」「細道路リンク内属性データ」などを含む。
ここで、「ノードデータ」(「基本道路ノードデータ」と「細道路ノードデータ」とを総称)とは、ノード番号、位置座標、標高、ノード種別、接続リンク本数、接続ノード番号などを含む。「基本道路ノードデータ」は、これに加えて、交差点名称も含む。
「リンクデータ」(「基本道路リンクデータ」と「細道路リンクデータ」とを総称)は、リンク番号(起終点ノードの番号)、道路管理者、道路種別、行政区域コード、リンク長、幅員区分、車線数、補間点の位置座標・標高を含む。「基本道路リンクデータ」は、さらに、路線番号、車道幅員、道路センサスデータ(中央帯幅員、12時間交通量、旅行速度(ピーク時)、制限速度など交通規制)、補間点の位置座標・標高、緊急輸送道路区分、高速道路ナンバリングなどを含む。「細道路リンクデータ」は、さらに、対応する基本道路リンク番号を含む。
「リンク内属性データ」(「基本道路リンク内属性データ」と「細道路リンク内属性データ」とを総称)は、リンク内属性(橋・高架、トンネル、洞門、踏切、歩道橋、料金所、アンダーパス、道路冠水想定箇所等)の位置、名称を含む。
したがって、道路情報は、大略、道路の交差部分の位置を特定するためのノードデータ、ノード間をつなぐ道路の態様を示すリンクデータ、リンクの種別を示すリンク内属性データとから構成されることになる。
また、レイヤ2は、たとえば、後述するような建物情報であり、レイヤ3は、たとえば、等高線であり、レイヤ4は、たとえば、水域(河川、湖、池など)を示し、レイヤ5は、たとえば、行政区画(県境、市区町村の境界、丁目の境界など)を示す。
デジタル地図としては、さらに、地図上の情報を含む他のレイヤが存在していてもよい。
なお、道路情報としては、以下のデータベースの内容に準じてもよい。
https://www.drm.jp/database/
また、行政界の情報は、国土地理院データベースに準じる構成としてもよい。
図15は、建物情報の例を示す概念図である。
建物情報は、たとえば、以下のような構成を有する各建物または施設の情報の集合である。
個別の建物の情報としては、「建物ID」「建物名称」「建物の代表点の緯度・経度」「建物の用途」「建物の高さ(基準点からの高さ)」「階数(地下、地上)」「総床面積」「各階のフロアプラン情報」などから構成される。
「建物の代表点」とは、たとえば、建物の入り口の位置である。
「高さの基準点」とは、たとえば、地盤面である。
「各階のフロアプラン情報」は、特に限定されないが、各階の識別番号FPIDと、そのフロアに存在する領域の用途(駐車場、店舗(店舗の種別)、オフィスなど)と、各領域の面積と、各領域の時間帯ごとの属性(居住施設、商業施設、観光施設、宿泊施設など)とを含む。
すなわち、建物情報(施設の情報、場所の情報を含む)では、同一の建物(施設、場所)が、日時、時間帯によって属性(用途)が異なる場合は、各日時、時間についてのそれぞれの属性を規定する構成であってもよい。
また、建物情報は、建物IDと関連付けて、その建物の2次元または3次元ポリゴン情報(図示せず)を含んでいる。
2次元ポリゴン情報では、GIS(地理情報システム)において、ビルや家の形をポリゴンで表したものである。3次元ポリゴン情報は、建物の高さ方向について、ビルや家の外形の他、各階の形をポリゴンで表している。
また、屋内の情報の仕様については、特に限定されないが、たとえば、以下の「3次元屋内地理空間情報データ仕様書(案)」に準じてもよい。
https://www.gsi.go.jp/common/000212582.pdf
なお、実施の形態1で記載の通り、建物のオーナーや管理者が、建物の情報(フロアプランや、2Dまたは3Dポリゴンデータなど)を建物情報登録端末4000経由で登録する構成とすることができる。また、建物情報登録端末4000として、たとえば、写真撮影機能を有するスマートフォンのような移動端末などを使用して、建物の情報として、建物内の写真などの情報を、建物の訪問者が登録する構成であってもよい。たとえば、スマートフォの場合は、撮影した写真とともに、ビル名や階数や、その領域の情報(たとえば、店舗名や店舗の種類)などを通知してもらえるような入力フォーマットを有するアプリケーションソフトウェアをインストールした端末を利用するユーザからの通知を、人流情報サービス提供サーバ2000´が受け取る構成としてもよい。
そして、人流情報サービス提供サーバ2000´は、地図情報2314として、建物の情報を記憶装置2300に格納する構成であってもよい。
以上のように、地図情報2314は、領域設定部2107が、所定の領域の境界を指定する際に使用する建物・施設のポリゴン情報、道路、行政区画の境界を格納するデータベースであって、建物情報登録端末4000は、データベースへの建物の情報(2Dまたは3Dポリゴン情報を含む)の登録を受け付ける。建物等は常時アップデートされるため、ポリゴン情報の提供を外部から受け付けられる構成とすることが望ましい。
また、建物情報登録端末4000から、所定の領域(「分析対象領域」)内の未着工または未完成の建物・施設の設計データを受け付けることとして、この設計データに基づいて、将来の建物・施設への来場者数を予測して推定することも可能である。この場合、たとえば、設計データにおいて、未着工または未完成の建物・施設について各フロアの領域ごとの属性が特定されていれば、分析対象領域内へ滞在する人の数を、現在の人口統計情報から推定される数に所定の係数(たとえば、1.3とするなど)を乗算した人数を予想集積人数として、分析対象領域内に配分することで、このような予測推定が可能となる。ここで、所定の係数は、たとえば、未着工または未完成の建物・施設の総延べ床面積と現在完成済みの分析対象領域内の建物・施設の総延べ床面積との比に応じて、その値を決定する構成とすることも可能である。
なお、以上の説明では、以下のような流れで、所定の分析対象領域内の人の分布を推定することを前提としていた。すなわち、大きくは、以下のような流れになる。
i)所定の領域について、所定の領域メッシュごとおよび第1の時間間隔ごとに、携帯電話の使用状況の情報などに基づいて集計された「空間統計データ」を取得する。
ii)所定の領域(分析対象領域)内において、第1の時間間隔で滞在している人について、社会生活基本調査DBを参照して、第1の時間間隔より短い第2の時間間隔ごとに、行動分類情報に分類して、各分類の人数を推定する。
iii)分析対象領域について、総務省労働力調査DBなどを参照して、第2の時間間隔ごとの職種別の人数を推定する。
iv)分析対象領域について、第2の時間間隔ごとの職種別の人数を地図上の建物の各領域の延べ床面積と各建物の職種の情報に基づいて、按分することで、空間統計データの所定の領域メッシュよりもより細かいメッシュ(推定領域メッシュ)について、人数の分布(集約データ)を推定する。
なお、実施の形態1でも述べたように、第1の時間間隔と第2の時間間隔は、同一であってもよい。
ただし、このような人数の按分の仕方では、以下のような点が必ずしも考慮されていない。
i)たとえば、夜間において、睡眠との行動分類になっているとして、分析対象領域内の居住者は、住宅に優先的に分配されるべきである。一方で、分析対象領域内の居住者でも勤務者でもない者(一時滞在者)は、分析対象領域内の宿泊施設(たとえば、ホテル)に優先的に配分されるべきである。
ii)同様にして、平日の昼間においては、分析対象領域内の勤務者は、商業施設やビジネスオフィスなどの属性を有する建物に優先的に配分されるべきである。
そこで、実施の形態2においては、各時間帯に分析対象領域内に滞在する人について、「滞在種別」との属性を割り当て、時間帯と場所の属性に応じて、人数の配分の優先度を変更するように、予め、人流情報サービス提供サーバ2000´に、優先度の設定がされているものとする。
なお、ここで、特に限定されないが、たとえば、「滞在種別」との属性については、人口統計データにおいて、取得することが可能である。
そして、領域場所情報推定部2108は、居住者であれば、住宅との属性に優先的に、勤務者であれば事業施設(ビジネスビル、商業施設内の店舗など)に優先的に、それ以外であれば、短期滞在場所・娯楽施設(短期滞在場所としては、ホテルや旅館などの宿泊施設が想定され、娯楽施設としては、テーマパーク、公園、ミュージアム、各種体験施設、水族館などが想定される)に優先的に割り当てる。
領域場所情報推定部2108は、また、場所への人の割当にあたり、時間帯ごとの場所の属性を考慮して割り当てる。たとえば、(「居住者」の属性+「睡眠」の行動情報)であれば、住宅に優先的に、(「居住者・勤務者以外」の属性+睡眠の行動情報)であれば、ホテルに優先的に割り当てる。
すなわち、図26および図27において説明したように、まず、「モバイル空間統計(登録商標)」においては、居住エリアの情報が含まれる。
ここで、図27における非識別化処理の際に、分析対象領域について、その領域の「居住者」と、その領域外の居住者で定期的に、平日に、分析対象領域に定期的に移動している者(勤務者)を抜き出して、人数を集計することができる。そして、ある時間帯に分析対象領域内に滞在する「居住者と勤務者のいずれでもない者」を「一時滞在者」と分類して集計することが可能である。
この場合、「一時滞在者」は、たとえば、観光客や買い物客であるので、分析対象領域内に、テーマパークなどの娯楽施設・観光施設がある場合は、それらの営業時間中は、そちらに優先的に分配するというような設定をしておくことが可能である。
以上のように、生活情報サービス提供サーバ2000の地図情報2314内には、建物または場所の属性が登録されており、領域場所情報2310には、予め、建物または場所の属性(住宅、商業施設、オフィス、宿泊施設、娯楽・観光施設など)について、分配する際の「滞在種別」の優先度が設定されているものとする。
図16は、滞在属性を考慮して、分析対象領域内の人数分布を推定する処理を示すフローチャートである。
図16を参照して、人流情報サービス提供サーバ2000´は、まず、利用者からの操作により、領域設定部2107が、分析対象領域の設定処理を実行する(S102)。このとき、領域設定部2107は、併せて、ユーザにより、分析する日時、時間帯の設定を受ける。
続いて、演算装置2100は、ネットワーク経由で、空間統計データを取得する(S110)。
上述のとおり、空間統計データの取得にあたっては、NTTドコモの提供する「モバイル空間統計(登録商標)」を利用することが可能である。空間統計データは、たとえば、所定幅のメッシュ(たとえば、500m四方)内の、所定時間(たとえば、1時間)単位の年齢性別毎の人数のデータである。
生活情報推定部2110は、さらに、空間統計データにおいて、滞在属性の情報を取得する(S112)。
続いて、利用者からの指定により領域設定部2106により指定された「所定の領域」について、生活情報推定部2110は、空間統計データを基に、特定の領域に、ある特定の時間帯(たとえば、ある1時間)において、滞留している人(年齢・性別を空間統計データから取得)について、社会生活基本調査データベースを参照して、この特定の時間帯内のより細かい時間(たとえば、15分)単位の就労・移動(例:通勤)等の状態(行動分類情報)に分類し、各分類の人数(年齢・性別の属性、滞在属性ごと)を推定する(S120)。
さらに、生活情報推定部2110は、各行動分類の推定人数(年齢・性別の属性、滞在属性)を基に、上記特定の領域について、15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性)を、たとえば、総務省労働力調査データベースに基づいて、推定する(S130)。
続いて、領域場所情報推定部2108は、推定された、15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性、滞在属性ごと)を、地図上の施設・建物の延べ床面積と各施設・建物の職種に割り当てられる面積と各建物(施設)の属性とに基づいて、各建物(施設)に展開(たとえば、比例按分)し、空間統計データの単位メッシュ以下の大きさのメッシュ(たとえば、62.5mメッシュ)での人数の集約データを推定する(S141)。
最後に、人流情報推定部2103は、分析対象領域内に存在する推定領域メッシュで推定された人の行動の分類と集約データに基づいて、分析対象領域内の人の属性の分布を推定する。
なお、領域場所情報推定部2108は、滞在属性に従って、あるメッシュ内の人数を各建物(施設・場所)に分配する際に、建物(施設・場所)の収容可能人数の上限が設定されている場合は、併せて、建物(施設・場所)に対する超過人数も併せて算出することができる。たとえば、このような超過人数は、建物(施設・場所)の周辺の道路や主要交通機関の駅などに、次点の優先度をもって分配される構成とすることができる(S150)。
続いて、領域場所情報推定部2108は、所定の滞在属性の全ての種類について、人数の分配処理が終わっていなければ(S160でN)、処理をステップS120に復帰させ、所定の滞在属性の全ての種類について、人数の分配処理が終わっていれば(S160でY)、処理を終了する。
図17と図18は、滞在属性を考慮して、所定領域内の領域メッシュ(500m四方)ごとの人数分布をヒートマップで示した図である。
図17(a)は、500mメッシュを訪れる全ての人の分布を示し、図17(b)は、500mメッシュにいる居住者のみ(たとえば、定期的に夜間にそのメッシュ内に滞在する人)の分布を示す。
図18(a)は、500mメッシュに滞在する勤務者(学生含む。たとえば、日中定期的に同じメッシュに居る人)の分布を示し、図18(b)は、500mメッシュにいる一時滞在者(メッシュにいるその他定期的にメッシュに来ない人で、観光客や遠方来訪者などと想定される人)の分布を示す。
以上のようにして、「滞在種別」を考慮して、推定領域メッシュ内の人の分布を推定することで、実施の形態1に比べて、より精度高く、分析対象領域内の人の分布を推定することが可能となる。
[生活情報提供サーバ2000および人流情報提供サーバ2000´によるシステム]
図19は、生活情報推定システムにおいて利用されるデータの階層とデータ処理の階層を示す概念図である。
図20は、データ処理の流れの概要を示す概念図である。
図19に示すように、公的で公開された領域である「パブリック領域」には、たとえば、「都市のインフラを支えるソフトウェア」としての「都市OS」やデータ連携基盤がある。
日本であれば、たとえば、以下の内閣府の資料が公開されている。
公知文献:https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/a-whitepaper3_200331.pdf
ここでは、日本のスマートシティの実現に向けた課題として、i)サービスの再利用・横展開、ii)分野間データ利活用、iii)拡張性の低さ、の三つがある。
i)サービスの再利用・横展開において、従来は分野や組織ごとに個別特化したシステムとなっており、そのため他地域への再利用や横展開が困難であるという課題がある。
ii)分野間データ利活用において、従来のサービスは分野や組織ごとにデータが独立しているため、分野間を横断した新サービスの構築が困難という課題がある。
iii)拡張性の低さにおいて、従来の個別特化したシステムでは、機能拡張によるコストや労力が大きくなり、継続的かつ容易にサービスを進化できないという課題がある。
これらの日本のスマートシティの実現に向けた課題への対策として、i)相互運用(つながる)、ii)データ流通(ながれる)、iii)拡張容易(つづけられる)を、都市OSの特徴として設計するものとされている。
そのような基盤の上に、本実施の形態の「生活情報推定システム領域」が存在するという概念上の構成となる。
図19に示すように、生活情報推定システム1000では、図4に示したような「ドコモ空間統計(登録商標)」以外にも、気象庁サーバなどから取得される、所定の領域の所定の時間帯の気象データや、防災科学技術研究所から取得される「災害リスク情報」などを利用することも想定される。
このようなデータは、上述した「データレイク」に蓄積されるにあたり、生のデータとして汎用のデータとして蓄積された後に、ある時間帯についてファイナライズしたものを、上述したように、「生活情報推定システムの統一フォーマット(たとえば、単位となる領域メッシュの統一など)」として蓄積されていく。
なお、図19と図20に示すように、「データレイク」に提供される汎用データフォーマットのデータとしては、たとえば、スマートフォンのアプリケーションを介して、スマートフォンから投稿してもらうというようなことも想定される。ここで、投稿されるデータとしては、特定の場所の特定の施設の混雑の情況を主観的に評価したデータであってもよいし、あるいは、混雑の情況を写真や動画に撮影したデータであってもよい。
さらに、図19と図20に示すように、その「データレイク」の上層に、データ分析の階層があり、ここは、上述した生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´が実施するようなデータ統合分析の処理が相当する。
分析結果に何らかの評価を加えて、あるいは、分析結果を他社とも連携して、最終的に可視化して提示する部分が、さらにその上層のデータ表示の階層に存在するという構成である。
特に、空間統計が1時間単位であるのに対して、上述したような処理により、たとえば、15分単位という、ほぼリアルタイムといえるデータ分析と可視化が可能となる。
なお、図20に示すように、以上のような統合分析の処理を行って、その情報を元に、街にある施設を評価して施設ごと人を配置するという処理を実行することになるので、人流→行動→街の情報という独立した情報から人流分布を作成しているため、「街の情報(一般的な地図情報)」を更新すると人流分布も変化する。したがって、現在のリアルタイムの情報の可視化だけでなく、過去や未来の現在とは異なる街の人流分布も可視化が可能になる。
たとえば、江戸時代の街情報を使うと当時の人流分布推計になり、当時の街の生活を可視化することができたり、映画やアニメ・ゲームなど仮想世界の街情報をつかうと仮想世界の人流分布を推計することも可能になる。もちろん未来の特定の都市(例:大阪市)の生活も可視化が可能になる。
これらの分析結果には、都市計画、環境最適化、エネルギー最適化、不動産価値評価、物流の最適化、などにも利用できる。たとえば、不動産価値評価にあたっては、仮想的に、将来に、その場所に、ある施設を建設した場合に、どのような人の分布の変化が生じうるかなども、分析・評価することが可能であり、その情報を不動産価値評価に加味することができる。
また、データ統合分析の利用態様としては、製品のプロモーションイベントなどへの入場チケット(実会場であるか、バーチャル会場であるかを問わない)を、スマートフォン経由で、利用者の行動履歴などを基に、配布するなどが想定される。
図21は、生活情報推定システム1000を利用して実現されるサービスの概要を示す図である。
図22は、図21のサービスにあたり、スマートフォンを経由して提供されるサービスの一例を示す概念図である。
図21に示すように、データレイクに蓄積される地図、人流、各種センサーデータ、気象データ、衛星データ、不動産データ、スマートフォン経由で投稿されるデータを、統合解析のプラットフォームを利用して、各地域の状態を分析(人工知能予測)し、所定の評価項目について、各地域のスコアを算出して、地域ごとにマッピングして可視化することが可能でになる。
このとき、統合解析のプラットフォームの出力については、住人、地域事業体、自治体、それぞれに適したインタフェースを備える。
たとえば、住人は、スマートフォンのアプリケーションを通じて、自身の居住地域、または、居所の領域について、スコアを向上させるように行動変容を促すことも可能になる。
たとえば、図22に示すように、現実空間(リアルワールド)では、スマートフォンのアプリケーションを介して、移動する人自身(ないしは、その人が保持して移動するスマートフォン)を、あたかも、データレイクにデータを蓄積するための一種のセンサのように想定することも可能である。そして、スマートフォンのユーザからの街の情報の投稿(人の混雑だけでなく、天気、事故、犯罪などのデータも含みうる)などを利用することで、デジタル空間でのサービスとして、徒歩圏内の人の分布、あるいは、さらにその周りのエリアの人の分布、さらには、より大きく生活圏の街の状態の統計データなどを、地点分析プラットフォームとして提供することが可能である。
このような構成とすることで、地域住民から、直接、町の魅力などの情報を収集でき、スマートフォンを介して情報を共有できる人々の行動変容(その町への訪問など)を促進することも可能である。
また、行政は、詳細分析したレポートや、まちのシミュレーションツールにより客観的なエビデンスを基にして政策の決定や実行を効果的・効率的に行うことで、みんなのまちづくり、をサイクルとして回してくことが可能となる。
地域事業体は、統合解析プラットフォームから得られるスコアに基づいて、店舗開発や売り上げ促進などのエリアマーケティングを実行することが可能となる。
図23は、統合分析によるデータの可視化の他の例を示す図である。
以上では、統合分析のプットフォームを利用することで、現在の街の状態をリアルタイムで表示できることについて、説明した。
このとき、地図情報に重畳して示すデータの種類として、「人の数の分布(人流を含む。人流は、たとえば、ベクトルなどで示すことも可能である。)」「標高」など以外に、その領域内の各場所の「商業利用」「住宅利用」「オフィス利用」などの利用形態や、空間利用率、さらには、道路の整備状況の分布などを可視化して示すことも可能である。
以上説明したように、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、職種別就業情報に基づいて、人の生活の重要な部分である就業にかかる、より精緻な推定を行うことができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、推定した生活情報をチャート等の可視化された情報により利用者に容易に理解する形態でデータを提供することができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、利用者は、推定した生活情報をマップにより場所に関連付けて容易に理解することができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、例えば、人が1分間に移動できる領域(62.5mメッシュ)毎に的確な推定を行うことができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、所定期間において時系列分析をすることができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、過去又は未来における生活情報をシミュレーションすることができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、所定の領域場所情報が統計情報等として得られない場合に推定で補うことができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、所定の生活情報が統計情報等として得られない場合に推定で補うことができる。
また、生活情報サービス提供サーバ2000や人流情報サービス提供サーバ2000´による統合分析を利用すれば、少なくとも移動元にかかる情報(例えば、自宅から通勤してきた人、レストランから帰宅する人等)を含む人口動態情報に基づいて、少なくとも人流導線にかかる情報を含む領域生活情報を推定することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図1ないし図23の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図1ないし図23の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図1ないし図23に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末等に移譲させてもよい。逆にユーザ端末の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。