JP7635678B2 - シリコン単結晶の製造方法およびシリコンウェーハの製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に適用できるシリコン単結晶製造装置1の概略構成を示す縦断面図である。
シリコン単結晶製造装置1は、CZ法によりシリコン単結晶SMを引き上げる装置であり、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3と、ルツボ3の周囲に配置される加熱装置4とを備える。
ルツボ3は、外側の黒鉛ルツボ3Aと、内側の石英ルツボ3Bとから構成される二重構造とされ、石英ルツボ3B内にはシリコン融液M(原料融液)が収容される。黒鉛ルツボ3Aおよび石英ルツボ3Bは、有底円筒形状の容器であり、鉛直上方から見る平面視で円形形状とされている。ルツボ3は、回転および昇降が可能な支持軸5の上端部に固定されている。
熱遮蔽体8は、育成中のシリコン単結晶SMに対して、ルツボ3内のシリコン融液Mからの輻射熱や、加熱装置4およびルツボ3の側壁からの輻射熱を遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、外部への熱の拡散を抑制し、シリコン単結晶SMの中心部および外周部の引き上げ軸7方向の温度勾配を制御する役割を担う。
ガス導入口9からチャンバ2内に導入された不活性ガスは、育成中のシリコン単結晶SMと熱遮蔽体8との間を下降し、熱遮蔽体8の下端とシリコン融液Mの液面との隙間を経た後、熱遮蔽体8の外側、さらにルツボ3の外側に向けて流れ、その後にルツボ3の外側を下降し、排気口10から排出される。
磁場印加部14は、それぞれ電磁コイルで構成された第1の磁性体14Aおよび第2の磁性体14Bを備える。第1の磁性体14Aおよび第2の磁性体14Bは、チャンバ2の外側においてルツボ3を挟んで対向するように設けられている。図3の例では、磁場印加部14は、鉛直方向上方から見た平面視で、コイル中心軸を通る磁場中心線(水平磁場の中心磁力線)が、円筒状の発熱部30およびルツボ3の中心軸CAと交差し、第2の磁性体14Bから第1の磁性体14Aに向かう方向(図3における矢印MLで示される上方向であり、図1における紙面手前から奥に向かう方向)となるように、水平磁場を印加している。ただし、磁場中心線はシリコン融液Mの融液面上のルツボ3の中心軸CAの交点CSを通るとは限らない。すなわち、磁場中心線の高さ位置については特に限定されず、シリコン単結晶SMの品質に合わせて、シリコン融液Mの内部にしてもよいし外部にしてもよい。
なお、図5に示すように、ルツボ3の中心軸をCA、ルツボ3内のシリコン融液Mの表面をS、表面Sの中心をCSと定義する。そして、図3に示すように、ルツボ3および加熱装置4を鉛直上方から見る平面視で、ルツボ3の中心軸CAと交差する磁場中心線に沿った仮想線をVLと定義する。したがって、仮想線VLは、ルツボ3の中心軸CAを通り、第2の磁性体14Bから第1の磁性体14Aに向かう矢印MLに沿った線である。
反射部15Aは、チャンバ2内部に設置されている。反射部15Aは、図5に示すように、その下端からシリコン融液Mの表面Sまでの距離(高さ)Kが600mm以上5000mm以下となるように設置されていることが好ましい。また、反射部15Aは、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが40°以上50°以下となるように設置されていることが好ましい。
加熱装置4は、図2および図3に示すように、発熱部30と、前記発熱部30に電力を供給する2n(nは2以上の整数)個、本実施形態では、4個の電力供給部20A、20B、20C、20Dとを備える。
発熱部30は、円筒状に形成されたグラファイトヒーターであり、円周方向の全体に亘って均一な厚さで形成され、上端から下方向へ伸びる上スリット31および下端から上方向へ伸びる下スリット32が円周方向に複数形成されている。各上スリット31および下スリット32は、スリットの幅寸法が互いに等しく、スリットの上下方向に沿った切り込み深さも互いに等しい。また、上スリット31と下スリット32との間隔も発熱部30の全周に亘って等しい。
第1の加熱領域4Aおよび第2の加熱領域4Bは、上スリット31および下スリット32の総数が等しい。図2および図3の例では、第1の加熱領域4Aには、4本の上スリット31と、6本の下スリット32が形成されており、上スリット31および下スリット32の総数は、10本である。また、第2の加熱領域4Bには、4本の上スリット31と、6本の下スリット32が形成されており、上スリット31および下スリット32の総数は、10本である。なお、仮想線VL上に重なる2本の下スリット32は、第1の加熱領域4A、第2の加熱領域4Bに跨がるため、各加熱領域4A,4Bに含まれる本数としては0.5本とカウントした。そして、加熱領域4A,4Bに跨がる下スリット32は2本あるため、各加熱領域4A,4Bには、加熱領域4A,4Bに跨がる下スリット32が、それぞれ0.5本×2=1本ずつ配置されている。
端子21A~21Dは、発熱部30において2本の下スリット32で区画される部分の下端から下方に延長され、発熱部30と一体に形成されている。また、端子21A~21Dは、下端から内側に向かって直角に屈曲された接続部211A~211Dを備えており、接続部211A~211Dには貫通孔212A~212Dが形成されている。
したがって、本実施形態の加熱装置4は、ヒーターエレメント部である円筒状の発熱部30と、ヒーター足部である端子21A~21Dとが一体成形されたグラファイトヒーターを用いて構成されている。
すなわち、端子21Aと端子21Bとの間には、2本の上スリット31と、3本の下スリット32とが交互に形成されて第1蛇行部33Aが形成されている。同様に、端子21Bと端子21Cとの間には、2本の上スリット31と、3本の下スリット32とが交互に形成されて第2蛇行部33Bが形成されている。
端子21Cと端子21Dとの間には、2本の上スリット31と、3本の下スリット32とが交互に形成されて第3蛇行部33Cが形成されている。端子21Dと端子21Aとの間には、2本の上スリット31と、3本の下スリット32とが交互に形成されて第4蛇行部33Dが形成されている。
端子21Aと、電極22Aとの接続構造について、図6を参照して説明する。
図6(A)に示すように、電極22Aは、本体部221Aと、本体部221Aの上面222Aから上方に突設された挿通部223Aとを備えて構成されている。本体部221Aは、円柱状に形成され、上端側は拡径されている。挿通部223Aは、円柱状に形成され、その直径は本体部221Aよりも小さくされている。挿通部223Aの外周には雄ねじ224Aが形成されている。図示は省略するが、電極22B~22Dも電極22Aと同様に形成されている。
端子21Aおよび電極22Aを接続した場合の電力供給部20Aの電気抵抗は、端子21Aおよび電極22Aの接触抵抗によって増減する。例えば、電極22Aの上面222Aと接続部211Aの下面214Aとを直接接触させた場合、接触面の面粗さによって接触面積が小さくなると接触抵抗は増加する。一方、図6(A)に示すように、電極22Aの上面222Aと接続部211Aの下面214Aとの間に導電性シート24を配置すると、導電性シート24が下面214Aおよび上面222Aに密着して接触面積が大きくなるため、導電性シート24を配置しない場合に比べて、端子21Aおよび電極22A間の接触抵抗は低下する。導電性シート24は、図6(B)に示すように、挿通部223Aが挿入される孔を有する円板状のシート材であり、例えば、炭素系の繊維素材で形成されている。
なお、導電性シート24は、接続部211Aの下面214Aおよび電極22Aの上面222A間に加えて、接続部211Aの上面213Aおよびナット23A間に配置してもよい。一方、導電性シート24を接続部211Aの下面214A側または上面213A側のいずれか一方に配置する場合は、図6(A)に示すように、接続部211Aの下面214Aと電極22Aの上面222Aとの間の導電性シート24を配置することが好ましい。電源に接続される電極22Aと、発熱部30に一体に形成される端子21Aとの間に導電性シート24を配置したほうが、接触抵抗を効果的に低下できるためである。
したがって、電力供給部20A~20Dの抵抗分布、より具体的には、第1の加熱領域4Aに配置される第1電力供給部(電力供給部20A、20B)の接触抵抗Rα、Rβの和である第1抵抗値R1と、第2の加熱領域4Bに配置される第2電力供給部(電力供給部20C、20D)の接触抵抗Rγ、Rδの和である第2抵抗値R2を不均一にすることで、第1の加熱領域4Aおよび第2の加熱領域4Bにおいて接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδによる発熱分布をアンバランスにでき、グラファイトヒーターの発熱分布、すなわちシリコン融液の対流の向きを固定することができる。例えば、第1抵抗値R1を第2抵抗値R2よりも大きくすると、第1の加熱領域4Aの発熱量が第2の加熱領域4Bに比べて大きくなり、図1においてルツボ3の左側がより加熱され、左側の上昇流が優勢となる。結果、シリコン融液の対流は水平磁場の印加方向に対し時計方向に回ることになり、右渦が形成される。一方、第2抵抗値R2が第1抵抗値R1よりも大きい場合は、図1においてルツボ3の右側の上昇流が優勢となり、左渦が形成される。
また、チャンバ2内の環境は、使用しているカーボン部材の経時劣化等で常に変化し、加熱装置4における接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδも、端子21A~21D、電極22A~22D等の経時劣化等によって変化する。接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδが変化すると、第1の加熱領域4Aおよび第2の加熱領域4Bの発熱分布も変化し、シリコン融液の対流の向きの安定性に影響を与え、その結果、酸素濃度をばらつかせる要因となる。そこで、本実施形態では、後述するように、シリコン単結晶の引き上げを所定回数繰り返すごとに接触抵抗を測定し、シリコン融液の対流の向きに影響を与えるような変化があった場合は、接触抵抗を調整することで、シリコン単結晶の引き上げを繰り返し実施しても渦の向きを固定することができる。
その結果、バッチ間での石英ルツボ3Bから結晶の成長界面に供給される酸素量のばらつきが小さくなり、安定した酸素濃度を有するシリコン単結晶が得られる。結晶の成長軸方向に所望の酸素濃度を有する結晶が育成できるため、結晶の歩留まりが向上する。
例えば、接続部211A、211Bと電極22A、22Bの接触面を機械的研磨で粗くすると、電力供給部20A、20Bの接触抵抗の和(Rα+Rβ)である第1抵抗値R1は増加する。一方、接続部211C、211Dと電極22C、22Dの接触面間に導電性シート24を介在させると、電力供給部20C、20Dの接触抵抗の和(Rγ+Rδ)である第2抵抗値R2は低下する。このため、R1>R2であれば、R1/R2>1.2となるように、第1抵抗値R1を増加させたり、第2抵抗値R2を低下させて調整し、R1<R2であれば、R2/R1>1.2となるように、第1抵抗値R1を低下させたり、第2抵抗値R2を増加させて調整すればよい。
記憶部42は、シリコン単結晶SMの酸素濃度が所望の値となるような引き上げ条件、例えば、不活性ガスの流量、チャンバ2の炉内圧力、ルツボ3の回転数などと、接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδの調整ルール、例えば、調整対象とする電力供給部20A~20Dの選択や、導電性シート24の配置、接触面の機械的研磨等の調整方法の選択などを、接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδの測定値に応じて設定するルールなどが記憶される。
電圧印加部43は、制御装置41によって制御され、加熱装置4に所定の電圧を印加する。
抵抗値測定部44は、加熱装置4の各抵抗値を測定するものであり、例えば、四端子法で抵抗を測定する抵抗計によって構成されている。抵抗値測定部44は、作業者がプローブを加熱装置4の測定箇所に接触させることで抵抗値を測定し、その測定データを制御装置41に出力するように構成されている。なお、測定値は、作業者が制御装置41に設けられるキーボードやタッチパネルなどの入力装置を用いて入力してもよい。
表示部45は、液晶ディスプレイ等で構成され、作業者に対して各種情報や作業指示を表示する。
対流パターン制御部410は、電圧印加部43を制御して加熱装置4を用いてシリコン融液Mを加熱し、磁場印加部14を制御して水平磁場を印加することで、磁場直交断面における対流の方向を固定する。
引き上げ制御部420は、対流パターン制御部410による対流方向の固定後に、シリコン単結晶SMを引き上げる制御を行う。
抵抗値測定制御部431は、抵抗値測定部44を用いて加熱装置4の各抵抗値を測定する。
抵抗値算出部432は、各抵抗値の測定データを用いて接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδを算出し、これらを用いて第1抵抗値R1、第2抵抗値R2を算出する。
抵抗比率判定部433は、第1抵抗値R1と第2抵抗値R2との抵抗比率を求め、この抵抗比率が判定値以上であるかを判定する。
抵抗値調整部434は、抵抗比率判定部433で抵抗比率が判定値以上と判定した場合は、表示部45に接触抵抗の調整が不要であることを表示する。また、抵抗値調整部434は、抵抗比率判定部433で抵抗比率が判定値未満と判定した場合は、抵抗値測定制御部431で算出された接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδの値と、記憶部42に記憶している調整ルールとに基づいて、電力供給部20A~20Dの中で接触抵抗を調整する対象の選択や、調整手法を決定し、その調整用の作業指示を表示部45に表示する。
次に、本実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を図9~図13に示すフローチャートを参照して説明する。
図9は、1本のシリコン単結晶を製造する1回のバッチ処理を示すフローチャートであり、図10は、図9における抵抗値設定工程を示すフローチャートであり、図11は、図10における測定工程を示すフローチャートであり、図12は、図10における調整工程を示すフローチャートであり、図13は、図9におけるシリコン融液加熱工程を示すフローチャートである。
図9のフローチャートを実行する前に、予め、シリコン単結晶SMの酸素濃度が所望の値となるような引き上げ条件(例えば、不活性ガスの流量、チャンバ2の炉内圧力、ルツボ3の回転数など)を事前決定条件として予め把握しておき、記憶部42に記憶させる。なお、事前決定条件の酸素濃度は、シリコン単結晶SMを構成する直胴部の長手方向の複数箇所の酸素濃度の値であってもよいし、前記複数箇所の平均値であってもよい。
また、抵抗値設定工程の実行間隔である所定回数を記憶部42に記憶させる。所定回数は、各電力供給部20A~20Dの接触抵抗の抵抗値を設定する処理を実行するタイミングを設定するものである。この所定回数は、例えば、端子21A~21Dや電極22A~22D等のカーボン部材の経過劣化によって第1抵抗値R1および第2抵抗値R2の抵抗比率が判定値未満に変化する回数を実験で求めることなどで設定でき、本実施形態では1回から50回の範囲で設定されている。
制御装置41は、抵抗値設定工程S2を開始すると、図10に示すように、抵抗値設定部430の抵抗値測定制御部431によって、抵抗値を測定する測定工程を実行する(ステップS21)。測定工程S21を実行すると、抵抗値測定制御部431は、図11に示すように、発熱部30および電力供給部20A~20Dの合成抵抗を測定する第1測定工程を実行する(ステップS211)。第1測定工程では、抵抗値測定部44は、電極22Aおよび電極22B間の合成抵抗を測定する。この際、作業者は、抵抗値測定部44のプローブを、電極22Aおよび電極22B間の合成抵抗を測定可能な位置、例えば、電極22A、22Bを通電ケーブルに接続する金属製の端子部分に接触させることで、電極22Aおよび電極22B間の合成抵抗を測定する。
同様の作業を行うことにより、抵抗値測定部44は、電極22Bおよび電極22C間の合成抵抗、電極22Cおよび電極22D間の合成抵抗、電極22Dおよび電極22A間の合成抵抗を順次測定する。
以上により、抵抗値測定部44によって、図7に示す各抵抗値が測定され、その測定データが制御装置41に入力される。
なお、判定値は、シリコン単結晶製造装置1の記憶部42に記憶されている。判定値は、例えば、シリコン単結晶製造装置1において、異なる抵抗比率に設定してシリコン融液の対流方向が固定されるか否かを実験し、対流方向が固定される抵抗比率の値を判定値として設定する。本実施形態では、判定値は「1.2」に設定されている。
抵抗値調整部434は、調整工程S23を実行すると、図12に示すように、4つの電力供給部20A~20Dの各接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδと、記憶部42に記憶された調整ルールとに基づいて、導電性シート24を配置して接触抵抗を低下させたり、機械的研磨で表面を粗くして接触抵抗を増加させる調整対象を選択する(ステップS231)。
次に、抵抗値調整部434は、選択した調整対象が抵抗値を低下させる対象であるか否かを判定する(ステップS232)。
抵抗値調整部434は、ステップS232でYESと判定した場合は、抵抗値低下工程を実行する(ステップS233)。抵抗値低下工程S233では、抵抗値調整部434は、電力供給部20A~20Dから抵抗値を低下させる対象として選択された電力供給部に対して、導電性シート24を介在させる作業指示を表示部45に表示する。作業者は、作業指示にしたがって、選択された電力供給部の端子と電極との間に導電性シート24を配置して接触抵抗を低下させる。
一方、抵抗値調整部434は、ステップS232でNOと判定した場合は、抵抗値増加工程を実行する(ステップS234)。抵抗値増加工程S234では、抵抗値調整部434は、電力供給部20A~20Dから抵抗値を増加させる対象として選択された電力供給部に対して、機械的研磨で表面を粗くする作業指示を表示部45に表示する。作業者は、作業指示にしたがって、選択された電力供給部の端子と電極との接触面を機械的研磨して接触抵抗を増加させる。
抵抗値調整部434は、ステップS233、S234の実行後、他の調整対象の電力供給部が存在するか否かを判定する(ステップS235)。抵抗値調整部434は、ステップS235でYESと判定した場合は、ステップS231に戻り、ステップS231~S235の処理を再度実行する。また、抵抗値調整部434は、ステップS235でNOと判定した場合は、調整工程S23を終了する。
例えば、抵抗値調整部434は、R1>R2で、R1/R2<1.2の場合、第2抵抗値R2つまり接触抵抗Rγ、Rδの一方のみを低下させることで抵抗比率を判定値以上にできると判断した場合は、接触抵抗Rγ、Rδのうち、抵抗値が高い電力供給部20C、20Dに対して導電性シート24を介在させて抵抗値を低下させる作業を指示する。また、接触抵抗Rγ、Rδの両方を低下させることで抵抗比率を判定値以上にできると判断した場合は、抵抗値調整部434は、電力供給部20C、20Dの両方に対して導電性シート24を介在させて抵抗値を低下させる作業を指示する。なお、記憶部42には、過去の実験データに基づいて、導電性シート24を配置する前後での接触抵抗の変化量が記憶されている。例えば、接触抵抗が比較的高い場合は、接触面が粗くされて端子と電極との接触面積が小さい可能性が高い。このため、導電性シート24を配置した場合の抵抗値の低下量は比較的大きい。一方、接触抵抗が比較的低い場合は、端子と電極との接触面積も大きい可能性が高く、導電性シート24を配置した場合の抵抗値の低下量は接触抵抗が高い場合に比べてると小さい。したがって、抵抗値調整部434は、測定された接触抵抗値に基づいて導電性シート24を配置した場合の低下量を推定でき、その推定に基づいて、導電性シート24を一方の電力供給部のみに配置するか、両方に配置するかを判断する。
作業者は、表示部45に表示される抵抗値調整部434からの作業指示に基づいて電力供給部20A~20Dの接触抵抗を調整し、調整が終了すれば制御装置41にその旨を入力する。
ステップS22でNOと判定した場合、制御装置41は、ステップS22の判定工程でYESと判定するまで、調整工程S23、測定工程S21、判定工程S22を繰り返す。
ステップS22でYESと判定した場合、制御装置41は、電力供給部20A~20Dの接触抵抗を適切に調整できたと判断し、ステップS2の抵抗値設定工程を終了し、図9の処理に戻る。
シリコン融液加熱工程S3では、図13に示すように、対流パターン制御部410は、無磁場状態でチャンバ2内を減圧下の不活性ガス雰囲気に維持し、ルツボ3を回転させるとともに、電圧印加部43によって加熱装置4を作動し、ルツボ3に充填した多結晶シリコンなどの固形原料を溶融させ、シリコン融液Mを生成する(ステップS31)。
このステップS32の処理によって、シリコン融液Mの渦が周期的に回っているかの安定性を判断できる。
次に、対流パターン制御部410は、温度計測部15における第1の計測点P1および第2の計測点P2の温度差を確認し、対流方向が右回りであるか左回りであるかを確認する対流方向確認工程を実行する(ステップS5)。
なお、ステップS32における周期変動幅の確認処理、ステップS33における加熱温度の調整処理、ステップS4における水平磁場の印加開始処理、ステップS5における温度計測による対流方向確認処理、ステップS6における引き上げ処理は、作業者の操作によって行ってもよい。
本実施形態によれば、引き上げ工程S6を所定回数実行する毎に、ステップS2の抵抗値設定工程を実行し、第1の加熱領域4Aに配置された電力供給部20A、20Bの接触抵抗Rα、Rβの和である第1抵抗値R1と、第2の加熱領域4Bに配置された電力供給部20C、20Dの接触抵抗Rγ、Rδの和である第2抵抗値R2との抵抗比率を、判定値である1.2以上に設定しているので、第1の加熱領域4Aの電力供給部20A、20Bの発熱量を、第2の加熱領域4Bの電力供給部20C、20Dの発熱量に比べて大きくできる。
このため、シリコン単結晶製造装置1の構造の対称性に関係なく、磁場直交断面におけるシリコン融液Mの対流の方向を一方向に固定しやすくできる。そして、シリコン融液Mの対流の一方向への固定によって、シリコン単結晶SMごとの酸素濃度のばらつきを抑制できる。これにより、炉間・バッチ間のシリコン単結晶の品質および生産性のばらつきを抑制できる。
特に、各電力供給部20A~20Dを構成する端子21A~21Dと、電極22A~22Dとの間の接触抵抗を、これらの間に導電性シート24を介在させて接触抵抗を低下させたり、接触面を機械的研磨で粗くして接触抵抗を増加させることで、第1抵抗値R1および第2抵抗値R2の抵抗比率を判定値以上に設定しており、このような簡便な手段で、シリコン単結晶SMごとの酸素濃度のばらつきを抑制できる。
また、抵抗値設定工程を実施する間隔である所定回数を、1回以上、50回以下に設定したので、シリコン単結晶製造装置1に応じて適切な間隔で接触抵抗を調整することができる。例えば、所定回数を1回とすれば、シリコン単結晶SMを引き上げる毎に接触抵抗を測定し、調整する必要があればその時点で接触抵抗を調整できるので、シリコン融液Mの対流の向きを確実に固定でき、シリコン単結晶の歩留まりを改善することができる。また、所定回数を50回とすれば、例えば、シリコン単結晶製造装置1においてライフが短い部品を交換するタイミングに合わせて接触抵抗を測定、調整することができるので、シリコン単結晶の製造効率を低下させずにシリコン単結晶の歩留まりを改善することができる。なお、実際の所定回数は、結晶の種類やホットゾーンの形状などのシリコン単結晶製造装置1の構成等に応じて実験によって最適な回数を求めればよい。
また、測定工程S21では、第1測定工程S211で発熱部30および電力供給部20A~20Dの合成抵抗を測定し、第2測定工程S212で発熱部30の合成抵抗を測定しているので、加熱装置4を分解することなく、正しい接触抵抗を測定することができる。さらに、抵抗値測定部44は、四端子法の抵抗計で構成されているので、各合成抵抗を精度良く測定でき、その測定値に基づいて算出する接触抵抗も精度良く求めることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の種々の改良並びに設計の変更等があっても本発明に含まれる。
さらに、抵抗比率を判定する判定値は、実験やシミュレーションで求められた値以上に設定してもよい。例えば、実験で求めた値が「1.2」であった場合、判定値を「1.2以上」のより大きな値に設定してもよい。判定値をより大きな値に設定して判定すれば、各加熱領域4A,4Bにおける発熱量の差を大きくできるため、シリコン融液Mの対流の向きをより安定化できる。
また、電気抵抗調整部材は、意図的に抵抗を大きくすることができる部材であるポーラス状炭素で形成された厚みのある円板状シートなどを使用してもよく、電力供給部20A、20Bに介挿する円板状シートの厚さ寸法と、電力供給部20C、20Dに介挿する円板状シートの厚さ寸法とを変更することで、第1抵抗値R1、第2抵抗値R2を調整してもよい。
すなわち、第1電力供給部に介挿される電気抵抗調整部材と、第2電力供給部に介挿される電気抵抗調整部材との介挿枚数や、厚さ寸法などを変更して各電気抵抗調整部材の抵抗値を異ならせることで、第1抵抗値R1、第2抵抗値R2を調整してもよい。
一方、ナット23A~23Dの締め付け力を弱めると、端子21A~21Dと電極22A~22Dとの接触面積が低下するために接触抵抗を増加できる。この際、接触面を機械的研磨で粗くしてナット23A~23Dの締め付け力を弱めるとさらに接触抵抗を増加できる。
さらに、ナットの締め付け力の調整と、導電性シート24の配置や機械的研磨による調整とを組み合わせて接触抵抗を変更してもよい。
具体的には、電極22Aおよび電極22B間に一定電流を流し、電極22Aおよび電極22B間の電圧を測定し、電極22Aおよび電極22B間の合成抵抗を測定した。同様の方法で、電極22Bおよび電極22C間の合成抵抗、電極22Cおよび電極22D間の合成抵抗、電極22Dおよび電極22A間の合成抵抗をそれぞれ測定した。
次に、同じく電極22Aおよび電極22B間に一定電流を流し、端子21Aおよび端子21B間の電圧を測定し、端子21Aおよび端子21B間の合成抵抗を測定した。同様の方法で、端子21Bおよび端子21C間の合成抵抗、端子21Cおよび端子21D間の合成抵抗、端子21Dおよび端子21A間の合成抵抗をそれぞれ測定した。
制御装置41は、抵抗値測定部44により測定された8つの合成抵抗値を用いて、図7の等価回路に基づいて設定した連立方程式を解いて、4つの電力供給部20A~20Dの接触抵抗Rα、Rβ、Rγ、Rδを算出した。
電力供給部20A~20Dの発熱量Wは、接触抵抗Rと、抵抗を流れる電流Iと関係があり、W=RI2で求められる。したがって、電力供給部20A~20Dの抵抗分布は、電力供給部20A~20Dの発熱分布と同等とみなすことができる。一方、発熱部30の各抵抗はヒーターの加工精度(厚みや長さ)に大きく依存するもので、抵抗のばらつきは1%以下である。そのため、発熱部30の発熱分布がシリコン融液の対流の固定挙動に与える影響は無視できる。したがって、電力供給部20A~20Dの抵抗分布が、結晶成長に使用する加熱装置4の発熱分布を決定し、この発熱分布によりシリコン融液の対流の向きの固定状況を決定する。
表1は、抵抗値設定工程を実施する前の#1~#7の各シリコン単結晶製造装置1における電力供給部20A~20Dの接触抵抗と、第1抵抗値R1および第2抵抗値R2と、第1抵抗値R1および第2抵抗値R2の抵抗比率と、シリコン融液の対流の向きつまり渦の向きと、渦固定率、結晶歩留まりの結果を示す。
渦固定率は、7台の各シリコン単結晶製造装置1において、それぞれ100本のシリコン単結晶を育成した際に、渦の向きが左向きあるいは右向きで固定された割合を示すものである。結晶歩留まりは、7台の各シリコン単結晶製造装置1において、それぞれ100本のシリコン単結晶を育成した際に、酸素濃度のばらつきや、直径のばらつき等が予め設定された製品基準を満たすシリコン単結晶の本数の割合を示すものである。
#6では、電力供給部20Aに導電性シート24を挟むことで接触抵抗Rαを低下させたが、それだけでは比率が1.2以上とならないため、電力供給部20C、20Dのうち、接触抵抗が低い電力供給部20Cに機械的研磨を施して接触抵抗Rγを増加させた。
#7では、電力供給部20Dに導電性シート24を挟むことで接触抵抗Rδを低下させ、さらに電力供給部20A、20Bに機械的研磨を施して接触抵抗Rα、Rβを増加させた。
なお、先に導電性シート24を挟みこんで調整するのは、導電性シート24の配置は機械的研磨に比べて短時間で作業できるためである。すなわち、導電性シート24は、端子21A~21D、電極22A~22D間に配置してナット23A~23Dを締めるだけでよく、短時間で配置できる。一方、機械的研磨は研磨作業が必要であり、その分、作業時間も長くなるとともに、結晶育成プロセス中(高電力負荷時)に放電のリスクもあるためである。
以上の結果から、電力供給部20A~20Dの端子21A~21Dおよび電極22A~22D間の接触抵抗を調整し、第1の加熱領域4Aにおける電力供給部20A、20Bの接触抵抗の和である第1抵抗値R1と、第2の加熱領域4Bにおける電力供給部20C、20Dの接触抵抗の和である第2抵抗値R2との抵抗比率が判定値以上となるように設定することで、シリコン融液の対流の向きを完全に固定することができ、シリコン単結晶の歩留まりを改善できることを確認できた。
また、第1の加熱領域4A、第2の加熱領域4Bのうち、接触抵抗の和が大きい領域で、シリコン融液の上昇流が優勢となり、対流の渦の向きが決まる。すなわち、接触抵抗の大小を制御することで、渦の向きを決定するきっかけを作ることができる。
さらに、実施例のシリコン単結晶製造装置1では、シリコン融液の対流の向きが制御できる抵抗比率は「1.2」以上であり、判定値を「1.2」に設定すればよいことが分かった。
また、電力供給部20A~20Dの接触抵抗を制御する手段として、導電性シート24を接触面に挟むことで抵抗を小さくする、あるいは接触面を機械的研磨により粗くして抵抗を大きくすることが有効であることが分かった。さらに、接触抵抗値を調整する方法は、発熱部30の加工が不要であり、作業現場で調整することができ、利用価値が極めて高いことが分かった。
Claims (8)
- 加熱装置を用いて加熱した石英ルツボ内のシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記加熱装置は、前記石英ルツボの周囲に配置された発熱部と、前記発熱部に電力を供給する電力供給部とを備え、
前記電力供給部は、前記石英ルツボを鉛直上方から見て、前記石英ルツボの中心軸を通る水平磁場の中心磁力線で前記加熱装置を第1の加熱領域および第2の加熱領域に分割した際に、前記第1の加熱領域に配置される第1電力供給部と、前記第2の加熱領域に配置される第2電力供給部とを備え、
前記第1電力供給部の抵抗値である第1抵抗値、および、前記第2電力供給部の抵抗値である第2抵抗値を設定する抵抗値設定工程と、
無磁場状態において、前記石英ルツボ内の前記シリコン融液を加熱するシリコン融液加熱工程と、
前記石英ルツボ内の前記シリコン融液に対して水平磁場を印加する水平磁場印加工程と、
前記シリコン融液からシリコン単結晶を引き上げる引き上げ工程と、を有し、
前記抵抗値設定工程は、
前記第1抵抗値および前記第2抵抗値を測定する測定工程と、
前記第1抵抗値および前記第2抵抗値のうち、高い抵抗値を低い抵抗値で除算した値である抵抗比率が1.2以上であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記抵抗比率が1.2未満であると判定した場合に、前記第1抵抗値および前記第2抵抗値の少なくとも一方を調整する調整工程と、を有し、
前記判定工程で前記抵抗比率が1.2未満と判定した場合は、前記調整工程および前記測定工程の実行後、前記判定工程を再度実行し、
前記判定工程で前記抵抗比率が1.2以上と判定した場合は、前記抵抗値設定工程を終了する
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記抵抗値設定工程は、前記引き上げ工程を所定回数実行するごとに行う
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記所定回数は、1回以上、50回以下である
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記測定工程は、
前記発熱部および前記電力供給部の合成抵抗を測定する第1測定工程と、
前記発熱部の合成抵抗を測定する第2測定工程と、
前記測定された各抵抗値に基づいて前記第1抵抗値と、前記第2抵抗値とを求める抵抗値算出工程と、を備える
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記各電力供給部は、前記発熱部と一体に形成される端子と、一端が前記端子と接続され、他端が電源に接続される電極とを有し、
前記調整工程は、前記端子および前記電極間に導電性シートを配置して電力供給部の抵抗値を小さくする抵抗値低下工程を含む
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記各電力供給部は、前記発熱部と接続される端子と、一端が前記端子と接続され、他端が電源に接続される電極とを有し、
前記調整工程は、前記端子および前記電極の接触面を粗くして電力供給部の抵抗値を大きくする抵抗値増加工程を含む
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記各電力供給部は、前記発熱部と接続される端子と、一端が前記端子と接続され、他端が電源に接続される電極とを有し、
前記端子と前記電極との間には、板状の電気抵抗調整部材が介挿され、
前記調整工程は、前記第1電力供給部の前記端子および前記電極間に介挿される前記電気抵抗調整部材の枚数または厚さ寸法と、前記第2電力供給部の前記端子および前記電極間に介挿される前記電気抵抗調整部材の枚数または厚さ寸法と、を異ならせることにより、抵抗値の調整を行う
シリコン単結晶の製造方法。 - 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法を用いて引き上げられたシリコン単結晶から切り出してシリコンウェーハを製造するシリコンウェーハの製造方法。
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