JP7635794B2 - 厚鋼板、構造物および厚鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)熱間圧延が終了し、冷却された後の厚鋼板には、冷却停止温度の偏差に起因する圧延方向(長手方向)の組織のバラツキが存在する。しかし、Ac3点以上の温度域に再加熱する(第1の再加熱工程)ことで、熱延後の冷却停止温度の偏差に起因する組織のバラツキが解消されるだけでなく、冷却後の板厚内部のフェライト相を微細化することができ、靭性を向上できる。
(2)第1の再加熱工程後にAc1点以上の温度域(2相域)の温度以上に再加熱する(第2の再加熱工程)することで、表層にフェライトが生成され、伸び特性が改善する。
(3)第2の再加熱工程後に冷却を設けることにより、板厚内部のフェライト相がさらに微細化し、さらに靭性が向上する。
(4)板厚が薄い場合であっても、第2の再加熱工程後の冷却パターンを制御することにより、全長に亘って高い強度を確保しながら、全厚での伸び特性と耐疲労き裂伝播特性を両立できる。
(5)第2の再加熱工程後の冷却パターンのうち、冷却速度を適切に制御し、パーライト相をベイナイト相よりも多く生成させることによって、さらに靭性を向上できる。
(6)Wの含有が、塗膜下でのさび生成を顕著に抑制し、塗膜膨れおよび塗膜剥離の防止に有効である。
[1] 質量%で、
C:0.05~0.20%、
Si:0.01~0.50%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.05%以下、
S:0.02%以下、
W:0.005~1.00%
を含有し、かつ
Sn:0.005~0.500%、
Sb:0.005~0.200%の少なくとも1種を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
ミクロ組織は、
板厚方向に、表面から表面下100μmまでの範囲において、面積率で80%以上のフェライト相を含み、かつ
板厚1/4位置において、
面積率で90%以下、かつ平均結晶粒径が25μm以下のフェライト相を含み、
残部が硬質相からなり、前記硬質相がフェライト相中に分散し、硬質相はパーライト相を含み、硬質相間の平均間隔が25μm未満である厚鋼板。
[2] 前記成分組成が、さらに、質量%で、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~1.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
V:0.005~0.100%、
Ti:0.005~0.10%、
B:0.0001~0.0050%、
Ca:0.0001~0.020%、
Mg:0.0001~0.020%、および
REM:0.0001~0.020%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する、[1]に記載の厚鋼板。
[3] 硬質相はパーライト相、またはパーライト相とベイナイト相との混合相からなり、前記混合相においてパーライト相の面積率が前記ベイナイト相の面積率に比べて大きい[1]または[2]に記載の厚鋼板。
[4] 表面に塗膜を備える、[1]~[3]のいずれか一つに記載の厚鋼板。
[5] 前記塗膜が、防食下地層、下塗り層、中塗り層および上塗り層を含み、
前記防食下地層が無機ジンクリッチペイント、前記下塗り層がエポキシ樹脂塗料、前記中塗り層がふっ素樹脂上塗り塗料用の中塗り塗料、前記上塗り層がふっ素樹脂上塗り塗料をそれぞれ用いてなる[4]に記載の厚鋼板。
[6] 前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の厚鋼板を用いてなる構造物。
[7] 前記構造物が橋梁である[6]に記載の構造物。
[8] 前記[1]または[2]に記載の成分組成を有する鋼素材を900~1200℃に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された鋼素材に累積圧下率50%以上の熱間圧延を施して厚鋼板とする圧延工程と、
前記厚鋼板を冷却する前記圧延工程後の冷却工程と、
前記圧延工程後の冷却工程で冷却された厚鋼板を、Ac3変態点以上、950℃以下の第1の再加熱温度に再加熱する第1の再加熱工程と、
前記第1の再加熱工程で再加熱された厚鋼板を冷却する第1の冷却工程と、
前記第1の冷却工程で冷却された厚鋼板を、Ac1変態点以上、950℃以下の第2の再加熱温度に再加熱する第2の再加熱工程と、
前記第2の再加熱工程で再加熱された厚鋼板を1.5~20℃/sの平均冷却速度で350~600℃の第2の冷却停止温度まで冷却する第2の冷却工程と、
前記第2の冷却工程で冷却された厚鋼板に水冷を施す水冷工程と、
を有する厚鋼板の製造方法。
[9] 前記第2の冷却工程の平均冷却速度が1.5~7℃/sである、[8]に記載の厚鋼板の製造方法。
本発明の厚鋼板の成分組成について、その限定理由を以下に説明する。なお、以下の説明における「%」は、特に断らない限り「質量%」を表すものとする。
Cは、基地相(マトリクス)硬さを増加させ、強度を向上させる効果を有する元素である。また、セメンタイト相の集合であるパーライト相を生成させる効果があるため、耐疲労き裂伝播特性が高まる。このような効果を得るためには、C含有量を0.05%以上とすることが必要である。C含有量は、好ましくは0.08%以上であり、より好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.12%以上である。一方、C含有量が0.20%を超えると、基地相の硬度が過度に上昇し、全厚での伸びが劣化する。このため、C含有量は0.20%以下とする。C含有量は、好ましくは0.18%以下であり、より好ましくは0.16%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して固溶強化により基地相の硬さを増加させ、強度を向上させる元素である。このような効果を得るためには、Si含有量を0.01%以上とする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上であり、もっとも好ましくは0.20%以上である。一方、Si含有量が0.50%を超えると、全厚での伸び、靭性が低下する。このため、Si含有量は0.50%以下とする。Si含有量は、好ましくは0.45%以下であり、より好ましくは0.40%以下であり、さらに好ましくは0.35%以下であり、もっとも好ましくは0.30%以下である。
Mnは、基地相の硬さを増加させ、強度を向上させる効果を有する元素である。このような効果を得るためには、Mn含有量を0.50%以上とする必要がある。Mn含有量は、好ましくは0.60%以上であり、より好ましくは0.70%以上であり、さらに好ましくは0.80%以上であり、もっとも好ましくは1.00%以上である。一方、Mn含有量が2.00%を超えると、溶接性が低下することに加えて、介在物であるMnSが過剰に偏析し靭性が低下する。このため、Mn含有量は2.00%以下とする。Mn含有量は、好ましくは1.85%以下であり、より好ましくは1.70%以下であり、さらに好ましくは1.55%以下であり、もっとも好ましくは1.40%以下である。
Pは、不可避的不純物として鋼に含まれる元素である。Pは、粒界に偏析し、母材および溶接部の靱性を低下させるなど、悪影響を及ぼすため、できるだけ低減することが好ましいが、0.05%以下の含有は許容できる。このため、P含有量は0.05%以下とする。P含有量は、好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。一方、P含有量の下限は限定されないが、過度の低減は精錬コストの高騰を招くため、P含有量を0.001%以上とすることが好ましい。P含有量は、好ましくは0.002%以上であり、より好ましくは0.003%以上である。
Sは、不可避的不純物として鋼に含まれる元素である。Sは、MnS等の硫化物系介在物として鋼中に存在し、脆性破壊の発生起点となり靭性が劣化するため、できるだけ低減することが好ましいが、0.02%以下の含有は許容できる。このため、S含有量は0.02%以下とする。S含有量は0.01%以下とすることが好ましい。一方、S含有量の下限は限定されないが、過度の低減は精錬コストの高騰を招くため、S含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
Wは厚鋼板のアノード反応に伴って溶出し、さび層中にWO4 2-として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止する。さらに、厚鋼板表面にWを含む化合物が沈殿することで、厚鋼板のアノード反応を抑制する。そして、Wは、Si量を適正な範囲に調整した上で、Sn、Sb、さらにはCuやNiとともに複合的に含有することで、これらの元素との相乗効果によって、厚鋼板の塗装耐久性を大きく向上させる。このような効果を十分に得るためには、Wを0.005%以上含有させる必要がある。W含有量は、好ましくは、0.010%以上、より好ましくは、0.030%以上、さらに好ましくは、0.050%である。一方、W含有量が1.00%を超えると、合金コスト上昇を招く。したがって、W含有量は1.00%以下とする。好ましくは、0.70%以下、より好ましくは、0.50%以下である。さらに好ましくは0.30%以下である。
本発明では、Sn、Sbの少なくとも1種を含有させることにより、厚鋼板の塗装耐久性を向上させる。
Snは、地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することで腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Snは、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。そして、SnはWとともに複合的に含有することで、これらの元素との相乗効果によって、厚鋼板の塗装耐久性を大きく向上させる。Snを含有させる場合、前記効果を十分に得るためには、Snを0.005%以上含有させる必要がある。Sn含有量は、好ましくは、0.010%以上、より好ましくは、0.020%以上である。一方、Sn含有量が0.500%を超えると、鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は、0.500%以下とする。Sn含有量は、好ましくは、0.300%以下、より好ましくは、0.200%以下、さらに好ましくは0.050%未満である。
Sbは、地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することで腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Sbは、厚鋼板表面においてアノード反応を抑制する。そして、SbはWとともに複合して含有することで、これらの元素との相乗効果によって、厚鋼板の塗装耐久性を大きく向上させる。Sbを含有させる場合、前記効果を十分に得るためには、Sbを0.005%以上含有させる必要がある。Sb含有量は、好ましくは、0.010%以上、より好ましくは、0.020%以上である。一方、Sb含有量が0.200%を超えると、鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sb含有量は0.200%以下とする。Sb含有量は、好ましくは、0.150%以下、より好ましくは、0.100%以下である。
Cuは、固溶により強度をさらに上昇させ、また耐候性を向上させる効果を有する元素である。加えて、Cuは緻密なさび層を形成することにより、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。そして、Cuは、Wとともに含有することで、厚鋼板の塗装耐久性をさらに大きく向上させる。Cuを含有する場合、前記効果を得るため、Cu含有量を0.01%以上とする。Cu含有量は0.04%以上が好ましい。一方、Cu含有量が1.00%を超えると、溶接性が損なわれ、また、厚鋼板の製造時に疵が生じやすくなる。そのため、Cuを含有する場合、1.00%以下とし、好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.40%以下とする。
Niは、低温靭性を向上させる効果を有する元素であり、Cuを含有した場合の熱間脆性を改善する。また、Niは、緻密なさび層を形成することにより、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。そして、Niは、Wとともに含有することで、厚鋼板の塗装耐久性をさらに大きく向上させる。Niを含有する場合、前記効果を得るために、Ni含有量を0.01%以上とする。Ni含有量は0.04%以上が好ましい。一方、Ni含有量が1.00%を超えると溶接性が損なわれ、鋼材コストが上昇する。そのため、Niを含有する場合、1.00%以下とし、好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.40%以下とする。
Crは、強度を向上させる効果を有する元素である。また、Crはセメンタイト生成を促進する元素であり、耐疲労き裂伝播特性に有利なパーライト相の生成を促進する。Crを含有する場合、前記効果を得るために、Cr含有量を0.01%以上とする。好ましくは0.10%以上とする。一方、Cr含有量が1.00%を超えると溶接性や靭性が損なわれる。そのため、Crを含有する場合は、Cr含有量は1.00%以下とする。Cr含有量は、好ましくは0.80%以下、より好ましくは、0.50%以下とする。
Moは、基地相の硬さを増加させ、強度を向上させる効果を有する元素であり、所望する特性に応じて任意に含有することができる。Moを含有する場合、この効果を得るために、Mo含有量を0.01%以上とする。Mo含有量は0.04%以上とすることが好ましい。しかし、Mo含有量が1.00%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので、含有する場合は、Mo含有量を1.00%以下とする。
Vは、熱間圧延時におけるオーステナイトの再結晶を抑制して細粒化するとともに、熱間圧延後の空冷過程において析出することで強度を上昇させる効果を有する元素であり、所望する特性に応じて任意に含有することができる。前記効果を得るために、Vを含有する場合、V含有量を0.005%以上とする。V含有量は0.010%以上とすることが好ましい。しかし、V含有量が0.100%を超えるとVCが多量に析出し、靭性が損なわれる。そのため、Vを含有する場合は、V含有量を0.100%以下とする。
Tiは、窒化物形成傾向が強く、Nを固定して固溶Nを低減するため、母材および溶接部の靭性を向上させる効果を有する。また、Bを含有する場合には、Tiを合わせて含有することにより、TiがNを固定し、BがBNとして析出してしまうことを抑制できる。その結果、Bの焼入れ性向上効果を助長して、強度をさらに向上させることができる。そのため、所望する特性に応じて任意に含有することができる。前記効果を得るために、Tiを含有する場合、0.005%以上とする。Ti含有量は0.01%以上が好ましい。しかし、Ti含有量が0.10%を超えるとTiCが多量に析出し、靭性が損なわれる。そのため、Tiを含有する場合は、Ti含有量を0.10%以下とする。Ti含有量は0.05%以下が好ましい。
Bは、微量の含有でも焼入れ性を著しく向上させ、強度を上昇させる効果を有する元素であり、所望する特性に応じて含有することができる。前記効果を得るために、Bを含有する場合、0.0001%以上とする。B含有量は0.0002%以上が好ましい。しかし、B含有量が0.0050%を超えるとその効果が飽和するだけでなく、溶接性を低下させるため、Bを含有する場合は、B含有量を0.0050%以下とする。B含有量は0.0030%以下が好ましい。
Caは、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制して、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、溶接部等の靭性向上に寄与するため、所望する特性に応じて含有することができる。Caを含有する場合、この効果を得るために、Ca含有量を0.0001%以上とする。Ca含有量は0.0004%以上が好ましい。しかし、Ca含有量が0.020%を超えるとその効果が飽和するだけでなく、鋼の清浄度が低下し、表面疵が多発し表面性状が低下する。このため、Caを含有する場合は、Ca含有量を0.020%以下とする。Ca含有量は0.010%以下が好ましい。
Mgは、結晶粒の微細化を介して靭性を向上させる効果を有する元素である。Mgを含有する場合、前記効果を得るために、Mg含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。Mg含有量は0.0004%以上が好ましい。一方、Mg含有量が0.020%を超えると、その効果が飽和する。そのため、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.020%以下とする。Mg含有量は0.010%以下が好ましい。
REM(希土類金属)は、靭性を向上させる効果を有する元素である。REMを含有する場合、前記効果を得るために、REM含有量を0.0001%以上とする。REM含有量は0.0004%以上が好ましい。一方、REM含有量が0.020%を超えると、その効果が飽和する。そのため、REMを含有する場合、REM含有量は0.020%以下とする。REM含有量は0.010%以下が好ましい。
次に、厚鋼板のミクロ組織の限定理由について説明する。なお、ミクロ組織の説明における「%」は、特に断らない限り面積率を指すものとする。
本発明の厚鋼板における、板厚方向に、表面から表面下100μmまでの範囲(以下、単に「表層部」という場合がある)におけるミクロ組織を、面積率で80%以上のフェライト相を含むものとする。Ac1変態点以上Ac3変態点未満とする二相域では、表層脱炭反応が起き、表層部に80%以上のフェライト相を生成させて厚鋼板の表層を軟化させることにより、全厚での伸び特性を顕著に向上させることができる。この表層脱炭反応は、第2の再加熱工程で二相域を通過もしくは二相域に保持することで起きる。一方、表層部におけるフェライト相の面積率が80%未満であると、ベイナイト相、パーライト相、マルテンサイト相、またはそれらの混合相からなる硬質な残部が多く存在することになる。その結果、表層部の硬度が増大して所望の全厚での伸び特性を得ることができない。また、引張強度が過大となる場合がある。
本発明の厚鋼板における、板厚1/4位置(以下、単に「板厚内部」という場合がある)におけるミクロ組織を、面積率で90%以下のフェライト相を含むものとする。過度な強度増加と靭性低下の抑制を目的として面積率で50%以上のフェライト相を含むことが好ましい。板厚内部のミクロ組織が前記条件を満たすことにより、所望の強度および耐疲労き裂伝播特性を得ることができる。また、フェライト相の平均結晶粒径は25μm以下とする。板厚内部のミクロ組織が前記条件を満たすことにより、所望の靭性を得ることができる。好ましくは23μm以下、より好ましくは20μm以下である。一方、過度な強度増加と靭性低下の抑制を目的としてフェライト相の平均結晶粒径は3μm以上が好ましい。
ベイナイト相は島状マルテンサイトを含有し、靭性を低下させる。このため、パーライト相の面積率を、ベイナイト相の面積率よりも多くすることが好ましい。ベイナイト相の面積率は、15%以下とすることが好ましい。ベイナイト相の面積率は、より好ましくは13%以下であり、さらに好ましくは11%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。なお、下限について、ベイナイト相は0%であってもよい。パーライト相の面積率は5%以上とすることが好ましく、30%以下とすることが好ましい。
なお、マルテンサイト相は伸びと靭性を低下させるため、硬質相としてのマルテンサイト相の分散は好ましくない。特にマルテンサイト相単体での分散はより好ましくない。
なお、ここで板厚内部のミクロ組織における残部は、厚鋼板の圧延方向における任意の位置から採取した二箇所における厚鋼板の板厚1/4位置における残部を指す。すなわち、厚鋼板の圧延方向全長に亘って、ミクロ組織の残部は、硬質相であり、パーライト相を含む硬質相であり、好ましくは、硬質相はパーライト相、またはパーライト相とベイナイト相との混合相からなり、硬質相はフェライト相に分散して存在する。
厚鋼板の全厚伸びは、特に限定されないが、板厚16mm超えの場合19%以上、板厚16mm以下の場合、15%以上であることが好ましい。本発明においては、厚鋼板の圧延方向における任意の位置から採取した二箇所において、上記全厚伸びの条件を満たすことが好ましい。なお、通常は、厚鋼板の圧延方向における任意の位置から採取した二箇所が前記条件を満たしていれば、厚鋼板の圧延方向全長に亘って前記条件を満たしている。また、全厚伸びは、実施例に記載の方法で測定することができる。
厚鋼板の引張強度(TS)は、特に限定されないが、490MPa以上であることが好ましい。また、TSの上限も特に限定されないが、例えば、JISにおける490MPa(50kgf/mm2)級とする場合には、TSを610MPa以下とすればよい。また、JISにおける570MPa(60kgf/mm2)級とする場合には、TSの上下限をそれぞれ570MPaおよび720MPaとすればよい。本発明においては、厚鋼板の圧延方向における任意の位置から採取した二箇所において、上記TSの条件を満たすことが好ましい。なお、通常は、厚鋼板の圧延方向における任意の位置から採取した二箇所が前記条件を満たしていれば、厚鋼板の圧延方向全長に亘って前記条件を満たしている。また、TSは、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の厚鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、優れた靭性を備える。本発明の厚鋼板の靭性はとくに限定されないが、試験片厚10mmの場合、靭性の指標の一つである、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーvE0を100J以上とすることが好ましく、130J以上とすることがより好ましく、150J以上とすることがさらに好ましく、270J以上とすることが最も好ましい。試験片厚5mmの場合、シャルピー吸収エネルギーvE0を50J以上とすることが好ましい。一方、vE0の上限についても限定されないが、例えば、400J以下であってよい。なお、vE0は実施例に記載した方法で測定することができる。
本発明の厚鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、優れた耐疲労き裂伝播特性を備えることができる。疲労き裂伝播特性の指標としては、疲労き裂伝播速度(da/dN)を用いることができる。疲労き裂伝播速度の値はとくに限定されないが、本発明においては、ΔK=25MPa√mでの疲労き裂伝播速度8.50×10-8m/cycle以下が好ましい。なお、疲労き裂伝播速度(da/dN)は実施例に記載した方法で測定することができる。
本発明における「厚鋼板」とは、本技術分野における通常の定義に従い、厚さ6mm以上の鋼板を指すものとする。一方、本発明における厚鋼板の板厚の上限は特に限定されず、任意の値とすることができる。
本発明の厚鋼板は、表面に塗膜を備えていてもよい。塗膜としては、特に限定されることなく任意の塗膜を用いることができる。
本発明の厚鋼板を、橋梁などの屋外の大気腐食環境下、特には飛来塩分量の多い海上や海岸近傍などの厳しい腐食環境下で使用される橋梁などの構造物に用いることにより、かような構造物のメンテナンスコスト、ひいてはライフサイクルコストを低減することが可能となり、さらには、火災時の強度特性低下を防止し、高い安全性を確保することが可能となる。
本発明の厚鋼板は、上述した成分組成を有する鋼素材に対し、加熱工程と、圧延工程と、圧延工程後の冷却工程と、第1の再加熱工程と、第1の冷却工程と、第2の再加熱工程と、第2の冷却工程と、水冷工程とを順次施すことによって製造する。
本発明の鋼素材としては、上記成分組成を有し、熱間圧延が可能なものであれば任意のものを用いることができるが、通常は鋼スラブとすればよい。例えば、上記の成分組成を有する溶鋼を、転炉等の手段により溶製し、連続鋳造法等の鋳造方法で、スラブ等の鋼素材とすることができる。また、造塊-分解圧延法によりスラブ等の鋼素材とすることもできる。
上記成分組成を有する鋼素材を、900~1200℃に加熱する。加熱温度が900℃未満であると、次の圧延工程での鋼素材の変形抵抗が高くなり、熱間圧延機への負荷が増大し、熱間圧延が困難になる。そのため、加熱温度は900℃以上とする。加熱温度は950℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度が1200℃を超えると、逆変態したオーステナイトが粗大化し、最終的に得られる板厚内部のフェライト相の結晶粒が粗大化する結果、靭性が低下する。そのため、加熱温度は1200℃以下とする。加熱温度は1150℃以下とすることが好ましい。
次いで、加熱された鋼素材を熱間圧延して厚鋼板とする。その際、靭性を確保するため、累積圧下率を50%以上とする。累積圧下率が50%未満の場合は、最終的に得られる板厚内部のフェライト相の結晶粒が粗大化して局所的に脆性が低い領域が生じ、脆性き裂が発生しやすくなり靭性が低下する。上限については、特に限定しないが、圧延機の荷重制約による能率低下を抑制する観点の点から99%以下とすることが好ましい。熱間圧延工程に関する他の条件は特に限定されない。
次に、圧延工程後の厚鋼板を冷却する。圧延工程後の厚鋼板を冷却することにより、最終的に得られる板厚内部のフェライト相の結晶粒を微細化し、靭性を向上することができる。冷却工程では、室温まで冷却することが好ましい。なお、冷却は、任意の方法、例えば、空冷または水冷により行うことができる。ただし、結晶粒の粗大化を抑制する観点では水冷がより好ましい。また、冷却条件については特段制限されない。
第1の再加熱工程では、冷却工程後の厚鋼板を、Ac3変態点以上、950℃以下(第1の再加熱温度)に再加熱する。このようにAc3変態点以上、950℃以下に再加熱することにより、鋼板全体のミクロ組織がオーステナイト相へ逆変態し、冷却停止温度の偏差に起因する圧延方向(長手方向)のミクロ組織のバラツキを解消することができる。その結果、機械的特性(強度)のバラツキを解消することができ、さらに、第1の冷却工程後の板厚内部のフェライト相の結晶粒も微細化するため、靭性も向上する。一方、第1の再加熱温度が950℃を超えると逆変態したオーステナイト相の結晶粒が成長して粗大化するため、最終的に得られる板厚内部のフェライト相の結晶粒も粗大化し、靭性が低下する。
保持時間が、60分を超えると、逆変態したオーステナイト相の結晶粒が過剰に成長することで、靭性が低下する傾向にある。一方、保持時間が10分未満であると、オーステナイト相への逆変態の進行が不十分となることから、板厚内部のミクロ組織が不均一となり、鋼板の一部において、靭性が劣化する。そのため、第1の再加熱工程における保持時間は10分以上、60分以下とすることが好ましい。
第1の冷却工程では、第1の再加熱工程後の厚鋼板を冷却する。第1の再加熱工程後の厚鋼板を冷却することにより、最終的に得られる板厚内部のフェライト相の結晶粒をさらに微細化し、靭性をさらに向上することができる。板厚50mm以下の厚鋼板であれば、第1の冷却工程での冷却は、任意の方法、例えば、空冷または水冷により行うことができ、結晶粒の粗大化を抑制する観点で水冷が好ましい。このため、1℃/s以上が好ましく、より好ましくは20℃/s以上、さらに好ましくは40℃/s以上である。上限は特に限定される必要はないが、冷却に用いる水資源の有効利用の観点から100℃/s以下が好ましい。冷却停止温度(第1の冷却停止温度)は、第2の再加熱温度より低ければよく、300℃以下、室温(20℃)以上がより好ましい。また、板厚50mm超えの厚鋼板では、第1の冷却工程の冷却は、空冷だと板厚内部において所定の組織を得るのに十分な冷却速度を達成することが難しい場合があり、水冷により、平均冷却速度20℃/s以上が達成できるため、水冷を適用することが好ましい。
第2の再加熱工程では、第1の冷却工程後の厚鋼板を、Ac1変態点以上950℃以下(第2の再加熱温度)に再加熱する。第2の再加熱温度は、好ましくはAc3変態点未満とする。
Ac1(℃)=723+29.1×Si-10.7×Mn-16.9×Ni+16.9×Cr…(1)
また、Ac3変態点は、例えば、下記(2)式により求めることができる。
Ac3(℃)=961.6-311.9×C+49.5×Si-36.4×Mn+438.1×P-2818×S+12.7×Al-51×Cu-29×Ni-8.7×Cr+13.5×Mo+308.1×Nb-140×V+318.9×Ti+611.2×B-969×N…(2)
ここで、上記(1)~(2)式における元素記号は、各元素の含有量(質量%)を意味し、当該元素が含有されていない場合にはゼロとする。
第2の冷却工程では、第2の再加熱工程で再加熱された厚鋼板を350~600℃の第2の冷却停止温度まで冷却する。その際、第2の平均冷却速度を1.5~20℃/sとする。第2の平均冷却速度が1.5℃/s未満であると、前述しているようにパーライトがバンド状に生成し、疲労き裂とパーライトの遭遇頻度が増加するため、耐疲労き裂伝播特性が低下する。そのため、第2の平均冷却速度は、1.5℃/s以上とし、パーライト相をフェライト相に分散させる。一方、第2の平均冷却速度が20℃/sを超える場合、板厚内部のミクロ組織においてパーライト変態が十分に進行せず、ベイナイト変態が進行しやすくなる。ベイナイトには、島状マルテンサイトが含まれるため、ベイナイト面積率の増加に伴い靭性が低下する。20℃/s以下であれば、鋼板内部のミクロ組織においてパーライト変態が適度に進行すると共に、第2の冷却工程よりも前の工程において、フェライト相の結晶粒径の微細化が生じているため、所望の靭性が得られる。さらに、7℃/s以下であれば、ベイナイト相の面積率がパーライト相の面積率よりも少なくなり、靭性がさらに向上する。第2の平均冷却速度は、好ましくは5℃/s以下、より好ましくは4℃/s以下、さらに好ましくは3℃/s未満とする。なお、平均冷却速度は、冷却後の鋼板の温度分布を非接触型の放射温度計を用いて測定し、冷却前後の温度履歴を計算により算出することで求めることができる。加えて、接触型の熱電対などを用いて、冷却前から冷却尾までの温度履歴を常時測定し、算出することもできる。
水冷工程では、バンド状組織の生成を防止するために、第2の冷却工程後の厚鋼板に水冷を施す。したがって、水冷温度は、350~600℃の範囲となる。水冷は、特に限定されることなく、任意の条件で行うことができるが、Ms点以下の温度、好ましくは200℃以下まで水冷することが好ましい。なお、Ms点は、例えば、下記(3)式により求めることができる。なお、水冷とは平均冷却速度が20℃/s以上で冷却することを指す。平均冷却速度の上限として、100℃/s以下が好ましい。
Ms(℃)=517-300×C-11×Si-33×Mn-17×Ni-22×Cr-11×Mo…(3)
ここで、上記(3)式における元素記号は、各元素の含有量(質量%)を意味し、当該元素が含有されていない場合にはゼロとする。
本発明では、水冷工程後の冷却方法はとくに限定されず、例えば、空冷、水冷など、任意の方法で行うことができる。
以下の手順でミクロ組織を観察した。
まず、得られた厚鋼板から、観察面が圧延方向に垂直な断面(板厚方向断面)となるように組織観察用試験片を採取し、鏡面となるまで研磨した後、腐食液(硝酸メタノール溶液)で腐食し、光学顕微鏡(倍率:400倍)もしくは走査型電子顕微鏡(倍率:400倍)を用いて、鋼板表面から板厚方向に板厚1/4位置まで観察し、画面が連続するように撮像した。得られた組織写真を用い、画像解析により相を同定し、(a)厚鋼板の、表面から表面下100μmまでの範囲におけるフェライト相の面積率の平均値、(b)板厚1/4位置におけるフェライト相の面積率の平均値、JIS G 0551に記載の切断法により求めたフェライト結晶粒径の平均値、および(c)板厚1/4位置におけるパーライト相およびベイナイト相の面積率を求めた。なお、上記画像において、白色部をフェライト相、黒色部をパーライト相、残部をベイナイト相として判断している。また、硬質相間の平均間隔は、上記画像においてImage-Jにて画像解析を行いエッジ間距離で算出する。具体的には、硬質相、具体的にはパーライト相、ベイナイト相の各領域での相境界をエッジ(輪郭線)として検出、描画し、最近接する硬質相(パーライト相又はベイナイト相)のエッジ同士の距離を測定した。以上の評価を10視野に対して行い、それらを平均化した値を硬質相間の平均間隔として算出した。
厚鋼板の幅中央部から板幅方向が引張方向と一致するように採取したJIS Z 2201 1A号の全厚試験片を用いて引張試験を実施し、引張強度(TS)および全厚伸びを求めた。引張強度は490MPa以上を合格とした。伸び特性は板厚16mm以下の場合は15%以上、板厚16mmを超える場合は19%以上を合格とした。
図1に示す片側切欠単純引張型疲労試験片を用いて疲労き裂伝播試験を行い、鋼板の幅方向にき裂が進展する時の疲労き裂伝播挙動を評価した。試験片は板厚1/4位置から採取したコンパクトテンション試験片を用い、試験条件は、ASTM E647に準拠し、応力比0.1、周波数10Hzとし、室温大気中で実施した。本発明では溶接構造物において溶接部などから発生したき裂が鋼材中を進展するときの伝播速度を低減することが目的であるため、このような状況を想定し、応力拡大係数範囲(ΔK)が10~30MPa√mの範囲で試験を行った。ΔK=25MPa√mでの疲労き裂伝播速度8.50×10-8m/cycle以下を合格とした。
厚鋼板の板厚中心部から、圧延方向(L方向)に平行にシャルピー衝撃試験片を採取した。試験片厚は板厚10mm以上の場合は試験片厚10mmとし、板厚10mm未満の場合は試験片厚5mmとした。試験はJIS Z 2202に準拠してシャルピー衝撃試験を0℃で行い、吸収エネルギーvE0を測定した。試験片厚10mmの試験片は吸収エネルギーが100J以上を合格とした。試験片厚5mmの試験片は吸収エネルギーが50J以上を合格とした。
得られた厚鋼板について、70mm×50mm×5mmtの試験片を採取し、塗装耐久性の評価を行った。具体的には、まず、ISO 8501-1に規定される除錆度Saが2.5となるよう、試験片の表面にショットブラストを施した。次いで、試験片をアセトン中で5分間超音波脱脂し、その後、風乾した。次に、試験片の一方の面に、下記(a)~(d)の塗料を順次塗布して、防食下地層、下塗り層、中塗り層、および上塗り層からなる塗膜を形成した。各層の厚さを以下に併記する。
(a)防食下地層:無機ジンクリッチペイント(関西ペイント社製 SDジンク1500A)、厚さ:75μm
(b)下塗り層:エポキシ樹脂塗料(関西ペイント社製 エポマリンHB(K))、厚さ:120μm
(c)中塗り層:ふっ素樹脂上塗り塗料用の中塗り塗料(関西ペイント社製 セラテクトF中塗)、厚さ:30μm
(d)上塗り層:ふっ素樹脂上塗り塗料(関西ペイント社製 セラテクトF上塗料)、厚さ:25μm
塗膜を形成した後、試験片の他方の面および端面を、溶剤型のエポキシ樹脂塗料にてシールし、さらにシリコーン系のシール剤にて被覆した。試験片に形成した塗膜の中央部に、初期欠陥として、地鉄に到達する幅:1mm、長さ:40mmの直線状のカットを入れた。次いで、以下に示す条件にて腐食試験を実施した。
試験片表面の人工海塩の付着量が6.0g/m2となるように、人工海塩を純水で所定の濃度に希釈した溶液をスプレーし、試験片に人工海塩を付着させた。次いで、この試験片を用いて、下記のサイクル(合計8時間)を1200サイクル繰り返す腐食試験を実施した。なお、1週間に1回の割合で人口海塩の付着を実施した。
(サイクル)
・条件1:温度60℃、相対湿度35%、保持時間3時間
・条件1から条件2への移行:1時間
・条件2:温度40℃、相対湿度95%、保持時間3時間
・条件2から条件1への移行:1時間
腐食試験終了後、初期欠陥部からの塗膜膨れ面積を測定し、塗装耐久性の指標とした。塗装の膨れ面積が480mm2以下を合格とした。
Claims (14)
- 質量%で、
C:0.05~0.20%、
Si:0.01~0.50%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.05%以下、
S:0.02%以下、
W:0.005~1.00%
を含有し、かつ
Sn:0.005~0.500%、
Sb:0.005~0.200%の少なくとも1種を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
ミクロ組織は、
板厚方向に、表面から表面下100μmまでの範囲において、面積率で80%以上のフェライト相を含み、かつ
板厚1/4位置において、
面積率で90%以下、かつ平均結晶粒径が25μm以下のフェライト相を含み、
残部が硬質相からなり、前記硬質相がフェライト相中に分散し、硬質相はパーライト相を含み、硬質相間の平均間隔が25μm未満である厚鋼板。 - 前記成分組成が、さらに、質量%で、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~1.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
V:0.005~0.100%、
Ti:0.005~0.10%、
B:0.0001~0.0050%、
Ca:0.0001~0.020%、
Mg:0.0001~0.020%、および
REM:0.0001~0.020%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の厚鋼板。 - 硬質相はパーライト相、またはパーライト相とベイナイト相との混合相からなり、前記混合相においてパーライト相の面積率が前記ベイナイト相の面積率に比べて大きい請求項1に記載の厚鋼板。
- 硬質相はパーライト相、またはパーライト相とベイナイト相との混合相からなり、前記混合相においてパーライト相の面積率が前記ベイナイト相の面積率に比べて大きい請求項2に記載の厚鋼板。
- 表面に塗膜を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の厚鋼板。
- 前記塗膜が、防食下地層、下塗り層、中塗り層および上塗り層を含み、
前記防食下地層が無機ジンクリッチペイント、前記下塗り層がエポキシ樹脂塗料、前記中塗り層がふっ素樹脂上塗り塗料用の中塗り塗料、前記上塗り層がふっ素樹脂上塗り塗料をそれぞれ用いてなる請求項5に記載の厚鋼板。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の厚鋼板を用いてなる構造物。
- 請求項5に記載の厚鋼板を用いてなる構造物。
- 請求項6に記載の厚鋼板を用いてなる構造物。
- 前記構造物が橋梁である請求項7に記載の構造物。
- 前記構造物が橋梁である請求項8に記載の構造物。
- 前記構造物が橋梁である請求項9に記載の構造物。
- 請求項1または2に記載の厚鋼板の製造方法であって、
前記成分組成を有する鋼素材を900~1200℃に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された鋼素材に累積圧下率50%以上の熱間圧延を施して厚鋼板とする圧延工程と、
前記厚鋼板を冷却する前記圧延工程後の冷却工程と、
前記圧延工程後の冷却工程で冷却された厚鋼板を、Ac3変態点以上、950℃以下の第1の再加熱温度に再加熱する第1の再加熱工程と、
前記第1の再加熱工程で再加熱された厚鋼板を冷却する第1の冷却工程と、
前記第1の冷却工程で冷却された厚鋼板を、Ac1変態点以上、950℃以下の第2の再加熱温度に再加熱する第2の再加熱工程と、
前記第2の再加熱工程で再加熱された厚鋼板を1.5~20℃/sの平均冷却速度で350~600℃の第2の冷却停止温度まで冷却する第2の冷却工程と、
前記第2の冷却工程で冷却された厚鋼板に水冷を施す水冷工程と、
を有する厚鋼板の製造方法。 - 前記第2の冷却工程の平均冷却速度が1.5~7℃/sである、請求項13に記載の厚鋼板の製造方法。
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