JP7637005B2 - 多層管 - Google Patents
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Description
塩ビ管は、燃焼して残渣となり管を閉塞することで耐火性を発現するが、一般的に口径が大きくなると火の熱が加わった際に、燃焼した塩ビ残渣で閉塞する面積が増えるため、耐火性発現が難しくなる。
耐火性向上のため、熱膨張性黒鉛の添加部数を増やすと、熱膨張性黒鉛がクラック起点となりひびが入ったりするなどにより引張強度が低下したり、熱膨張性黒鉛の偏平性の増加により機械的強度が低下したりする等の多層管の物性低下が生じてしまう問題がある。
[1]内層と、前記内層の外側に配置された中間層と、前記中間層の外側に配置された外層とを備え、前記中間層は、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱膨張性黒鉛及びゼオライトを含み、前記熱膨張性黒鉛の含有量は、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、5質量部~20質量部であり、前記ゼオライトの含有量は、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.5質量部~3.0質量部である、多層管。
[2]前記ゼオライトが有する空洞壁表面に熱膨張性材料が吸着しており、
前記熱膨張性材料を220℃~500℃に熱した際のガス総発生量が0.6mmol/g以上である、[1]に記載の多層管。
本発明の実施形態に係る多層管10は、図1に示すように、内層1、中間層2及び外層3を備える。内層1は多層管10の最内層を構成し、外層3は多層管10の最外層を構成する。図1に示す多層管10は、内層1、中間層2及び外層3がこの順に多層管の内側から積層された多層構造を有する。なお、多層管10の構成は三層に限られず、例えば、中間層2が複数層であってもよい。
中間層2の厚さは、0.5mm~4.0mmであることが好ましく、0.7mm~3.5mmであることがより好ましく、0.9mm~3.2mmであることがさらに好ましい。
外層3の厚さは、0.5mm~3.2mmであることが好ましく、0.7mm~3.0mmであることがより好ましく、0.9mm~2.5mmであることがさらに好ましい。
内層1、中間層2及び外層3を構成する材料としては、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、(1)ポリ塩化ビニル単独重合体;(2)塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;(3)塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
なお、上記平均重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K 6720-2:1999「プラスチック-塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー(PVC)-第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
中間層2を構成する塩化ビニル系樹脂組成物中に含まれる熱膨張性黒鉛は、鱗片状及び球状等の熱膨張性黒鉛である。熱膨張性黒鉛は、加熱時に膨張するものであり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。また、強酸化剤としては、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
また、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の中和剤で中和してもよい。脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
中間層2を構成する塩化ビニル系樹脂組成物中に含まれるゼオライトの骨格構造は、特に限定はない。本発明で使用するゼオライトの骨格構造としては、具体的に、A型、フェリエライト、MXM-22、ZSM-5、モルデナイト、L型、Y型、X型、ベータ型等が挙げられ、上記群より選択される1種類以上である。
また、上記ゼオライトの多孔質構造の空洞を構成する空洞壁表面には予め気体、液体等の熱膨張性材料が吸着していてもよい。吸着している熱膨張性材料の種類は、1種類以上であれば、何種類でもよい。ゼオライトの空洞を構成する空洞壁表面に熱膨張性材料が吸着している場合、ゼオライトに吸着している熱膨張性材料が、塩化ビニル系樹脂内で熱により気化することで、膨張倍率を上げることが可能となる。
本発明における熱膨張性材料は、熱により気化することで、中間層を構成する材料の残渣を膨らまして耐火性を向上させる材料を採用する。熱膨張性材料としては、成形時(例えば、220℃)にはガス化せず、燃焼時(例えば、500℃)にガス化させることができるものを採用することが好ましく、例えば、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)の少なくともいずれかの含窒素化合物が挙げられる。
なお、ゼオライトが有する空洞壁表面に吸着している熱膨張性材料の量は、熱膨張性材料を220℃~500℃に熱した際のガス総発生量とみなすことができ、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の多層管10の内層1、中間層2及び外層3を構成する材料には、その物性を損なわない範囲内で、無機充填材、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマー等の添加剤が添加されていてもよい。
以上にしてなる本発明の多層管10は、物性低下を抑制し、かつ、高い耐火性能を有するので、建築物の排水管、ダクト及び電線管等の配管として好適に使用可能である。また、本発明の多層管10は、配管本体の構成材料として好適に使用可能であるだけでなく、配管の継手の構成材料としても、好適に使用可能である。
図2は、本発明の一実施形態に係る多層管10を製造するために用いられる製造装置20を模式的に示す平面図である。図3、本発明の一実施形態に係る多層管10を製造するために用いられる製造装置20の模式的に示す正面図である。
多層管10を製造するための製造装置20は、図2,3に示すように、内外層押出機11と、中間層押出機12と、金型13と、冷却水槽15と、引取機16と、切断機17とを備える。内外層押出機11及び中間層押出機12には、金型13が接続されている。金型13には、冷却水槽15が接続されている。冷却水槽15には、引取機16が接続されている。引取機16には、切断機17が接続されている。
金型13での加熱温度は、内層の材料及び外層の材料の流動性を向上させる観点から、160℃以上200℃以下であることが好ましく、170℃以上195℃以下であることがより好ましく、180℃以上190℃以下であることがさらに好ましい。
金型13での加熱時間は、内層の材料及び外層の材料が金型13に存在する時間であり、内層の材料及び外層の材料の流動性を向上させる観点から、3分以上10分以下であることが好ましく、4分以上9分以下であることがより好ましく、5分以上8分以下であることがさらに好ましい。
冷却水槽15には、未硬化の多層管を所定寸法に成形するための管外面成形用チューブ14が取り付けられており、未硬化の多層管の外面を、管外面成形用チューブ14と接触した状態で冷却する。図4は、製造装置における金型13及び管外面成形用チューブ14を拡大して示す断面図である。図4に示すように、内外層押出機11により溶融混練された内層の材料21及び外層の材料23と、中間層押出機12により溶融混練された中間層の材料22とを、中間層の断面形状の外周縁の形状が真円となるように設計された金型13に注入し、未硬化の多層管10´を成形する。未硬化の多層管10´は、未硬化の内層31及び未硬化の外層33と、中間層の材料22により形成される未硬化の中間層32とを備える。中間層の材料22は、未硬化の多層管10´を金型13より吐出されると発泡し、未硬化の中間層32が形成される。未硬化の多層管10´を管外面成形用チューブ14内に挿入し、未硬化の多層管10´は所定寸法に型成形されながら冷却水槽15内で冷却される。
冷却水槽15での冷却温度は、未硬化の多層管10´を十分に硬化させる観点から、14℃以上26℃以下であることが好ましく、16℃以上24℃以下であることがより好ましく、18℃以上22℃以下であることがさらに好ましい。
冷却水槽15での冷却時間は、未硬化の多層管10´が冷却水槽15に存在する時間であり、内層の材料及び外層の材料を十分に硬化させる観点から、4分以上16分以下であることが好ましく、6分以上14分以下であることがより好ましく、8分以上12分以下であることがさらに好ましい。
下記表1に示した配合に基づき、190℃の8インチミキシングロール(安田精機製作所製)で3分間ロール混錬し、更に200℃のプレス機(東邦マシナリー株式会社製)で3分間プレス成形した後、20℃の冷却プレス機(東邦マシナリー株式会社製)で3分間冷却し、厚さ3.1mmの各実施例及び比較例の試験片を作製した。
実施例及び比較例で用いた材料は以下のとおりである。
〈ポリ塩化ビニル系樹脂〉
・徳山積水株式会社「TS1000R」(平均重合度:1,000)
〈光安定剤〉
・日東化成株式会社「TVS-8832」
〈滑剤〉
・三井化学株式会社「ハイワックス220RKT」
〈熱膨張性黒鉛〉
・鈴裕化学株式会社「GREP-EG」
〈ゼオライト〉
・水澤化学株式会社「ミズカライザーDS」
・東ソー株式会社「HSZ-300 341NHA」、熱膨張性材料「NH3」(220℃~500℃ガス総発生量:1.4mmol/g)
・東ソー株式会社「HSZ-700 720NHA」、熱膨張性材料「NH3」(220℃~500℃ガス総発生量:1.7mmol/g)
熱膨張性材料を含むゼオライトを1.0g入れた試験管を、測定温度に設定したオイルバス中に挿入して5分間加熱し、熱分解して発生するガスをガラス器具で採集し、20℃、1気圧の状態における発生ガスの体積から、ガス発生量を算出した。
ロールプレスにより板状にした試験片を直方体状に切り出し、厚さ、縦、横の三箇所をノギスで測定した。その後各実施例及び比較例の試験片を500℃の昇温した電気炉に3分間入れて、膨張させた。その後電気炉から取り出した常温で放冷した。放冷した膨張後試験片の厚さ、縦、横をノギスで測定し次の式によって膨張倍率Rを算出した。膨張倍率Rが10以上であれば、実用上十分な熱膨張率を有すると判断した。
熱膨張率R=(a1×b1×c1)/(a0×b0×c0)
a0:膨張前の試験片厚さ(mm)
b0:膨張前の試験片縦長さ(mm)
c0:膨張前の試験片横長さ(mm)
a1:膨張後の試験片厚さ(mm)
b1:膨張後の試験片縦厚さ(mm)
c1:膨張後の試験片横長さ(mm)
<判定基準>
A:膨張倍率Rが10以上
B:膨張倍率Rが5以上10未満
C:膨張倍率Rが5未満
ロールプレスにより板状にした試験片を長さ30±1mm、幅30±1mm、厚さ3±0.1mmに直方体状に切り出す。そのサンプルの端に1mm程度の穴を空け針金を通し金属架台にぶら下げ500℃に昇温した電気炉に3分間入れ燃焼残渣を作成し取出した。それぞれ5回繰り返し、残渣強度が低いと架台から落下する。
<判定基準>
A:落下回数0回
B:落下回数1~2回
C:落下回数3~5回
JIS K 7161-1:2014「プラスチック-引張特性の求め方-第1部」に則り、試験体から各実施例及び比較例の試験片を作成し、5mm/分で引張降伏強さを測定した。この時の測定雰囲気は23℃とした。なお、試験片が破断するまでの最大荷重をP(N)、試験片の断面積をS(mm2)として引張降伏強さF(MPa)は、以下の式で算出した。
引張降伏強さ:F=P/S
<判定基準>
A:引張降伏強さFが40(MPa)以上
B:引張降伏強さFが35(MPa)以上40(MPa)未満
C:引張降伏強さFが35(MPa)未満
得られた試験片1gを切りだした。切り出した試験片をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、遠心分離した後、上澄み液を除去した。不要物を乾燥後、試験片とした。ゼオライトとその他無機成分が混ざっている場合は既知の分離法(沈殿、濾過等)で分離させ、ゼオライトのみ抽出した抽出試験片とした。
抽出試験片0.1gを500℃のヘリウム流通下に1時間静置してこれを前処理とした。1時間の前処理後の試料について、室温で、5体積%のアンモニア及び95体積%のヘリウムを含む混合ガスを流通させて、抽出試験片にアンモニアを飽和吸着させた。混合ガスを1時間流通した後、混合ガスに代え、ヘリウムガスを流通しながら試料を100℃まで昇温した。昇温後、100℃、0.5時間、ヘリウムガスを流通させることで雰囲気中に残存するアンモニアを除去した。
残存アンモニアの除去後、流速30mL/分のヘリウム流通下、昇温速度10℃/分で500℃まで昇温し、TCD検出器を使用して、当該昇温過程で測定された220℃~500℃に熱した際のガス総発生量(mmol/g)をもって、試料に吸着されたアンモニア量とした。
2…中間層
3…外層
10…多層管
10´…未硬化の耐火管
11…内外層押出機
12…中間層押出機
13…金型
14…管外面成形用チューブ
15…冷却水槽
16…引取機
17…切断機
20…製造装置
21…内層の材料
23…外層の材料
22…中間層の材料
31…未硬化の内層
32…未硬化の中間層
33…未硬化の外層
Claims (1)
- 内層と、
前記内層の外側に配置された中間層と、
前記中間層の外側に配置された外層とを備え、
前記中間層は、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱膨張性黒鉛及びゼオライトを含み、
前記熱膨張性黒鉛の含有量は、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、5質量部~20質量部であり、
前記ゼオライトの含有量は、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.5質量部~3.0質量部であり、
前記ゼオライトが有する空洞壁表面に熱膨張性材料が吸着しており、
前記熱膨張性材料を220℃~500℃に熱した際のガス総発生量が0.6mmol/g以上である、多層管。
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