以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層、レジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするため、図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう)、斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう)を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向のチャネル形成領域の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体の欠陥準位密度が高くなること、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。なお、水も不純物として機能する場合がある。また、例えば不純物の混入によって、酸化物半導体に酸素欠損(VOと表記する場合がある)が形成される場合がある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。また、「概略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「概略垂直」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電位を印加しない、またはゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりのドレイン電流が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または125℃において1×10-16A以下であることをいう。
また、本明細書において、上限と下限の数値が規定されている場合は、自由に組み合わせる構成も開示されているものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、金属酸化物をトランジスタの半導体層に用いる場合を例に挙げて、本発明の一態様である金属酸化物(酸化物半導体)、およびその形成方法について説明する。なお、本発明の一態様である金属酸化物は、金属酸化物を構成する元素の種類、組み合わせ、組成などによっては、トランジスタの半導体層として用いる場合に限られず、絶縁性材料として用いてもよいし、導電性材料として用いてもよい。
金属酸化物は、格子欠陥を有する場合がある。格子欠陥とは、原子空孔、異種原子などの点欠陥、転位などの線欠陥、結晶粒界などの面欠陥、空隙などの体積欠陥がある。また、格子欠陥の生成の要因として、構成元素の原子数の比率のずれ(構成原子の過不足)、不純物などがある。
金属酸化物をトランジスタの半導体層に用いる場合、金属酸化物中の格子欠陥は、キャリアの生成、捕獲などを引き起こす要因となりうる。よって、格子欠陥が多い金属酸化物をトランジスタの半導体層に用いると、当該トランジスタの電気特性が不安定となる恐れがある。よって、トランジスタの半導体層に用いる金属酸化物は、格子欠陥が少ないことが好ましい。
金属酸化物を用いたトランジスタは、特に、金属酸化物中のチャネル形成領域に酸素欠損(VO)および不純物が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損近傍の水素が、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOH欠陥と呼ぶ場合がある)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、金属酸化物中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、金属酸化物中のチャネル形成領域では、酸素欠損および不純物はできる限り低減されていることが好ましい。言い換えると、金属酸化物中のチャネル形成領域は、キャリア濃度が低減され、i型化(真性化)または実質的にi型化されていることが好ましい。
金属酸化物中に存在しやすい格子欠陥の種類、および格子欠陥の存在量は、金属酸化物の構造、金属酸化物の成膜方法などによって異なる。
金属酸化物の構造は、単結晶構造と、それ以外の構造(非単結晶の構造)と、に分けられる。非単結晶の構造としては、例えば、CAAC構造、多結晶(polycrystalline)構造、nc構造、擬似非晶質(a-like:amorphous-like)構造、および非晶質構造などがある。a-like構造は、nc構造と非晶質構造との間の構造を有する。なお、結晶構造の分類については、後述する。
a-like構造を有する金属酸化物、および非晶質構造を有する金属酸化物は、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like構造を有する金属酸化物、および非晶質構造を有する金属酸化物は、nc構造を有する金属酸化物およびCAAC構造を有する金属酸化物と比べて、結晶性が低い。また、a-like構造を有する金属酸化物は、nc構造を有する金属酸化物およびCAAC構造を有する金属酸化物と比べて、金属酸化物中の水素濃度が高い。よって、a-like構造を有する金属酸化物、および非晶質構造を有する金属酸化物では、格子欠陥が生成されやすい。
よって、トランジスタの半導体層には、結晶性の高い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、CAAC構造を有する金属酸化物、または単結晶構造の金属酸化物を用いることが好ましい。当該金属酸化物をトランジスタに用いることで、良好な電気特性を有するトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
なお、上記結晶性の高い金属酸化物には、多結晶構造の金属酸化物は含まれない。多結晶構造とは、明確な結晶粒界が確認される結晶構造である。多結晶構造の金属酸化物をトランジスタの半導体層に用いる場合、結晶粒界は再結合中心となり、キャリアが捕獲され、トランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。
図1Aは、本発明の一態様である金属酸化物を含む構造体を示す図である。当該構造体は、下地膜10と、下地膜10の上に形成された金属酸化物20と、を有する。
金属酸化物20は、複数の結晶を有し、当該複数の結晶は、c軸が特定の方向に配向している金属酸化物である。なお、特定の方向とは、金属酸化物20の厚さ方向、金属酸化物20の被形成面の法線方向、または金属酸化物20の表面の法線方向である。なお、本明細書等において、結晶領域とは、結晶、または、結晶およびその近傍の領域を指す。よって、結晶を、結晶領域と表記することがある。
ここで、図1Aにおける一点鎖線で囲む範囲51の拡大図を、図1Bに示す。範囲51で示す領域は、金属酸化物20の一部である。図1Bに示すように、金属酸化物20は、結晶21_1と、結晶21_2と、結晶21_1および結晶21_2の間に位置する領域22_1と、を有する。なお、結晶21_1と、結晶21_2とは、領域22_1を介して、c軸(c-axis)と垂直な方向に隣接している。
結晶21_1および結晶21_2のc軸は、金属酸化物20の被形成面(下地膜10の上面)または金属酸化物20の上面に対して、概略垂直である。別言すると、結晶21_1および結晶21_2のa-b面は、金属酸化物20の被形成面または金属酸化物20の上面に対して、概略平行である。さらに、結晶21_1のc軸と、結晶21_2のc軸とは、概略平行である。なお、結晶のc軸が、当該結晶を含む膜の被形成面または当該膜の上面に対して概略垂直となるとき、当該結晶はc軸配向しているという。
結晶21_1および結晶21_2は、層状の結晶構造を有することが好ましい。層状の結晶構造として、例えば、YbFe2O4型構造、Yb2Fe3O7型構造、またはその変形型構造などがある。結晶21_1および結晶21_2が層状の結晶構造を有することで、金属酸化物20の被形成面(下地膜10の上面)または金属酸化物20の上面に対して、結晶21_1および結晶21_2は、c軸配向しやすくなる。
なお、層状の結晶構造は、共有結合および/またはイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合および/またはイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造であってもよい。本明細書等では、このような構造を有する材料を層状物質(原子層物質、2次元材料などともいう)と呼ぶ場合がある。
また、結晶21_1および結晶21_2は、層状の結晶構造に限られず、c軸配向しやすい結晶であればよい。例えば、結晶21_1および結晶21_2は、ウルツ鉱型構造などでもよい。
領域22_1は、結晶21_1のc軸と垂直な方向に、結晶21_1と接する。また、領域22_1は、結晶21_2のc軸と垂直な方向に、結晶21_2と接する。
領域22_1は、結晶21_1および結晶21_2と比べて、結晶性が低い領域である。例えば、領域22_1は、短距離秩序は有するが、長距離秩序を有さない領域である。または、領域22_1は、結晶21_1および結晶21_2と比べて、密度が低い領域である。
ここで、領域22_1の幅をA1とする。なお、A1は、結晶21_1と結晶21_2との間の距離(結晶21_1の領域22_1に面する側面から、結晶21_2の領域22_1に面する側面までの最短距離)ともいえる。A1は、2.0nm未満が好ましく、1.5nm未満がより好ましく、0nmより大きい。これにより、金属酸化物20に欠陥(VO、VOHなど)が生成されるのを抑制することができる。
また、領域22_1の密度は高い方が好ましい。例えば、結晶21_1の密度に対する領域22_1の密度の比は、0.87以上が好ましく、0.92以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。領域22_1の密度を高くすることで、金属酸化物20に欠陥が生成されるのを抑制することができる。
c軸に対して垂直な方向における、結晶21_1および結晶21_2の大きさは、大きい方が好ましい。c軸に対して垂直な方向における、結晶21_1および結晶21_2の大きさが大きいほど、領域22_1の幅(A1)は狭くなると推測される。または、領域22_1の密度は高くなると推測される。ここで、c軸に対して垂直な方向における、結晶21_1の大きさをB1とし、結晶21_2の大きさをB2とする。また、B1とB2の平均をC1とする。C1は、少なくともA1よりも大きいことが好ましい。具体的には、C1は、3nm以上15nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下である。
なお、C1が、3nm以上15nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下であればよく、B1およびB2は、これに限られない。例えば、B1(B2)は、5nm以下または3nm以下となる場合もあるし、10nm以上または15nm以上となる場合もある。B1およびB2のそれぞれは、少なくとも1nm以上である。
また、c軸方向の、結晶21_1および結晶21_2の大きさは、結晶21_1および結晶21_2の結晶構造にも依存するため、特に限定はないが、例えば、0.7nm以上である。
上述したように、結晶21_1のc軸と、結晶21_2のc軸とは、概略平行である。よって、結晶21_1および結晶21_2を金属酸化物20の断面にて観察した場合、結晶21_1のc軸の向きと結晶21_2のc軸の向きとが、領域22_1を境にしてほぼ変化していない。また、結晶21_1および結晶21_2を金属酸化物20の上面から観察した場合、結晶21_1のa軸(b軸)の向きと、結晶21_2のa軸(b軸)の向きとが、領域22_1を介して、連続的に変化しているように観察される。つまり、領域22_1は、明確な結晶粒界(Grain Boundary)として観察されない領域である。よって、領域22_1を、GBlike領域と呼ぶことができる場合がある。
また、結晶21_1と領域22_1との境界、および、結晶21_2と領域22_1との境界を明確に検出することが困難な場合がある。例えば、図1Cに示すように、結晶21_1と結晶21_2との間に、領域23a、領域23b、および領域23cが観察されることがある。領域23aは、結晶21_1と結晶21_2との間に位置し、領域23bは、結晶21_1と領域23aとの間に位置し、領域23cは、結晶21_2と領域23aとの間に位置する。
領域23aと、領域23bおよび領域23cと、は結晶性が異なる。例えば、領域23aは、結晶21_1および結晶21_2よりも結晶性が低い。また、領域23bおよび領域23cは、結晶21_1および結晶21_2よりも結晶性が低く、領域23aよりも結晶性が高い。結晶21_1と結晶21_2との間に、領域23a、領域23b、および領域23cが観察される場合、領域23a、領域23b、および領域23cを、領域22_1とみなすとよい。つまり、領域22_1の幅(A1)は、領域23aの幅と、領域23bの幅と、領域23cの幅との和とみなすとよい。
図1Bでは、結晶21_1および結晶21_2の形状を、長方形で図示しているが、これに限られない。結晶21_1の上面および下面が概略平行であり、結晶21_2の上面および下面が概略平行であればよい。よって、結晶21_1および結晶21_2の形状は、四角形(正方形、平行四辺形、台形等)、または頂点が5つ以上の多角形であってもよい。
領域22_1と同様の特徴を有する領域の幅が非常に小さい場合、c軸に対して垂直な方向に隣接した2つの結晶が、結晶粒界を介さずに、連結して観察される場合がある。別言すると、当該2つの結晶の境界を明確に検出することが困難な場合がある。このとき、c軸に垂直な方向の結晶の大きさは、上述した数値よりも大きくなる場合がある。
領域22_1は、複数の結晶によって取り囲まれることで、領域22_1と同様の特徴を有する他の領域とは不連続な領域として観察される場合がある。または、領域22_1と、領域22_1と同様の特徴を有する他の領域とが連続して観察される場合がある。
金属酸化物20の被形成面(下地膜10の上面)または金属酸化物20の上面に対して垂直な面で取得された、金属酸化物20のTEM(Transmission Electron Microscopy)像(金属酸化物20の断面TEM像ともいう)において、結晶21_1および結晶21_2は、結晶の格子に対応する像(格子像)として観察される。一方、領域22_1は、結晶の格子に対応する像が明確に観察されない領域(輝点の並びに規則性がみられない領域)、または、輝点が不鮮明な領域として観察される。
なお、結晶21_1および結晶21_2が層状の結晶構造である場合、断面TEM像では、結晶21_1および結晶21_2は、輝点が層状に並んだ格子像として観察される。また、上述したように、結晶21_1のc軸と、結晶21_2のc軸とは、概略平行である。よって、断面TEM像では、結晶21_1で観察される輝点が成す層と、結晶21_2で観察される輝点が成す層とは、概略平行に観察される。また、結晶21_1で観察される輝点が成す層の幅と、結晶21_2で観察される輝点が成す層の幅と、の平均は、上述のC1に相当する。
なお、断面TEM像には、奥行き方向の情報も含まれる。つまり、結晶と、領域22_1と同様の特徴を有する領域とが奥行き方向に隣接すると、当該結晶と当該領域とを含む領域は、断面TEM像では、格子像として観察される場合がある。よって、格子像を含む領域を結晶領域と呼ぶ場合がある。
金属酸化物20の被形成面(下地膜10の上面)または金属酸化物20の上面に対して平行な面で取得された、金属酸化物20のTEM像(金属酸化物20の平面TEM像ともいう)において、結晶21_1および結晶21_2は、結晶の格子に対応する像(格子像)として観察される。一方、領域22_1は、結晶の格子に対応する像が明確に観察されない領域(輝点の並びに規則性がみられない領域)、または、輝点が不鮮明な領域として観察される。
なお、結晶21_1および結晶21_2が層状の結晶構造である場合、平面TEM像では、結晶21_1および結晶21_2は、輝点が六角形状または三角形状に並んだ格子像として観察される。また、上述したように、結晶21_1のa軸(b軸)の向きと、結晶21_2のa軸(b軸)の向きとが、領域22_1を介して、連続的に変化しているように観察される。よって、平面TEM像では、結晶21_1で観察される六角形状または三角形状の向きと、結晶21_2で観察される六角形状または三角形状の向きとは、ずれて観察される場合がある。また、結晶21_1で観察される六角形状または三角形状の幅と、結晶21_2で観察される六角形状または三角形状の幅と、の平均は、上述のC1に相当する。
図1Bでは、結晶21_1と、結晶21_2とが、領域22_1を介して、c軸と垂直な方向に隣接する構成を図示しているが、これに限られない。図2に示すように、金属酸化物20は、結晶21_1と、結晶21_2とが、領域22_1を介して、c軸方向に隣接する構成を有してもよい。つまり、金属酸化物20は、領域22_1が結晶21_1上に位置し、結晶21_2が領域22_1上に位置した構成を有してもよい。
図2に示す構成においても、結晶21_1および結晶21_2のc軸は、金属酸化物20の被形成面(下地膜10の上面)または金属酸化物20の上面に対して、概略垂直である。別言すると、結晶21_1および結晶21_2のa-b面は、金属酸化物20の被形成面または金属酸化物20の上面に対して、概略平行である。さらに、結晶21_1のc軸と、結晶21_2のc軸とは、概略平行である。
図2に示す構成においては、領域22_1の幅A1は、結晶21_1の上面から、結晶21_2の下面までの最短距離となる。A1は、2.0nm未満が好ましく、1.5nm未満がより好ましく、0nmより大きい。これにより、金属酸化物20に欠陥が生成されるのを抑制することができる。
図2に示す構成においては、領域22_1と同様の特徴を有する領域の幅が非常に小さい場合、c軸方向に隣接した2つの結晶が、結晶粒界を介さずに、連結して観察される場合がある。別言すると、当該2つの結晶の境界を明確に検出することが困難な場合がある。よって、c軸方向の結晶の大きさは特に限定されないが、例えば、0.7nm以上である。
以上が、金属酸化物20が有する構成についての説明である。
金属酸化物20は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫などが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
<金属酸化物における欠陥の生成しやすさ>
本項では、金属酸化物における欠陥の生成しやすさについて、第一原理計算の結果を用いて説明する。具体的には、酸素欠損(以下、VOと呼ぶ場合がある)の生成エネルギー、および酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある)の生成エネルギーを、第一原理計算より算出し、金属酸化物における欠陥の生成しやすさを評価する。
ここで、各欠陥(VO、およびVOH)の生成エネルギーについて説明する。本明細書では、欠陥の生成エネルギーを、下式を用いて算出する。欠陥の生成エネルギーが小さいほど、当該欠陥は生成しやすいといえる。
ここで、ΔE(VO)はVOの生成エネルギーであり、ΔE(VOH)はVOHの生成エネルギーである。E(VO)はVOを1つ含む計算モデルの全エネルギーであり、E(VOH)はVOHを1つ含む計算モデルの全エネルギーである。E(no defect)は欠陥を含まない計算モデルの全エネルギーである。μOは酸素原子の化学ポテンシャルであり、μHは水素原子の化学ポテンシャルである。
酸素原子の化学ポテンシャルμO、および水素原子の化学ポテンシャルμHは、下式を用いて算出する。
ここで、E(O2)は、酸素分子(O2)の全エネルギーであり、E(H2O)は、水分子(H2O)の全エネルギーである。
以上が、欠陥の生成エネルギーに関する説明である。
〔計算モデルの作成方法〕
各欠陥(VO、およびVOH)の生成エネルギーを算出するために、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cを用意する。以下では、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cの作成方法について説明する。
はじめに、組成がIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4[原子数比]のIn-Ga-Zn酸化物の結晶を用意する。当該結晶は、YbFe2O4型構造を有する。また、当該結晶の密度は、6.2g/cm3とする。
次に、上記結晶の一部を切り出す。なお、切り出した結晶に含まれる原子の数は、計算モデルによって異なる。具体的には、計算モデル1Aおよび計算モデル2Aでは、224個である。また、計算モデル1Bおよび計算モデル2Bでは、288個である。また、計算モデル1Cおよび計算モデル2Cでは、336個である。なお、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cのそれぞれに、3次元周期境界条件を課している。
ここで、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cのそれぞれにおいて、計算モデルを領域901と領域902とに分割する。具体的には、計算モデル1Aを領域901_1Aと領域902_1Aとに分割する。また、計算モデル1Bを領域901_1Bと領域902_1Bとに分割する。また、計算モデル1Cを領域901_1Cと領域902_1Cとに分割する。また、計算モデル2Aを領域901_2Aと領域902_2Aとに分割する。また、計算モデル2Bを領域901_2Bと領域902_2Bとに分割する。また、計算モデル2Cを領域901_2Cと領域902_2Cとに分割する。なお、以降に記載の領域901は、領域901_1A乃至領域901_1Cおよび領域901_2A乃至領域901_2Cの一部または全てを指す場合がある。また、以降に記載の領域902は、領域902_1A乃至領域902_1Cおよび領域902_2A乃至領域902_2Cの一部または全てを指す場合がある。
領域901_1A乃至領域901_1C、および領域901_2A乃至領域901_2Cのそれぞれに含まれる原子の数は112個である。また、領域902_1Aおよび領域902_2Aのそれぞれに含まれる原子の数は112個である。また、領域902_1Bおよび領域902_2Bのそれぞれに含まれる原子の数は168個である。また、領域902_1Cおよび領域902_2Cのそれぞれに含まれる原子の数は224個である。
次に、領域902_1A乃至領域902_1Cの密度が5.6g/cm3となるように、計算モデル1A乃至計算モデル1Cの格子定数を変更する。また、領域902_2A乃至領域902_2Cの密度が6.0g/cm3となるように、計算モデル2A乃至計算モデル2Cの格子定数を変更する。具体的には、各計算モデルにおける領域902をb軸方向に伸長する。より具体的には、各計算モデルにおける領域902の幅を、表1に示す値となるよう伸長する。
なお、領域902をb軸方向に伸長する際、領域901に含まれる原子の座標は固定する。一方、領域902に含まれる原子の座標は、領域902のb軸方向への伸長に合わせて変化させる。
次に、領域902を融解するための計算を行う。具体的には、領域901に位置する原子の座標を固定して、温度を4000K、時間刻み幅を2fs、ステップ数を1000回に設定する。以降では、温度、時間刻み幅、およびステップ数を設定して行う計算を、第一原理分子動力学計算と呼ぶ場合がある。
計算には、密度汎関数理論(DFT)に基づく計算プログラムソフトウェア「OpenMX」を用いる。上記した条件以外の計算条件を表2に示す。
なお、本実施の形態で行われる、第一原理分子動力学計算、および後述する計算モデルの構造を最適化するための計算(最適化計算ともいう)において、計算モデルの格子ベクトル(軸の長さ、および軸間の角度に相当する)は固定されている。つまり、第一原理分子動力学計算は、粒子数(N)、体積(V)、温度(T)が一定の条件(NVTアンサンブル)で行われる。また、第一原理分子動力学計算では、温度を制御するための手法として、速度スケーリング法が用いられる。
次に、融解した領域902を温度500Kまで冷却するための計算を行う。なお、冷却速度は、500K/psとする。具体的には、まず、領域901に位置する原子の座標を固定し、時間刻み幅を2fs、ステップ数を500回に設定する。そして、領域902を融解するための計算で得られる計算モデルに対して、温度を3500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を3000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を2000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を1000Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。次に、当該計算後に得られる計算モデルに対して、温度を500Kに設定して第一原理分子動力学計算を行う。以上により、領域902を冷却するための計算が完了する。
次に、冷却した領域902の構造を緩和するための計算を行う。具体的には、領域902を冷却するための計算で得られる計算モデルに対して、領域901に位置する原子の座標を固定し、温度を300K、時間刻み幅を2fs、ステップ数を2000回に設定し、第一原理分子動力学計算を行う。
次に、領域902の構造を緩和するための計算で得られる計算モデルに対して、領域901に位置する原子の座標を固定し、k点を3×1×3に変更して、領域902の構造を最適化するための計算を行う。その後、当該計算後に得られる計算モデルに対して、計算モデルに含まれる原子の座標を固定せずに、計算モデル全体(領域901および領域902)の構造を最適化するための計算を行う。
以上の方法により、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cを作成する。なお、上述したように、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cのそれぞれに、3次元周期境界条件を課している。よって、各計算モデルにおいて、領域901は結晶21_1および結晶21_2に相当し、領域902は領域22_1に相当する。
作成した計算モデル1A乃至計算モデル1Cを図3A乃至図3Fに示す。また、作成した計算モデル2A乃至計算モデル2Cを図4A乃至図4Fに示す。図3A、図3B、図3C、図4A、図4B、および図4Cのそれぞれは、計算モデル1A、計算モデル1B、計算モデル1C、計算モデル2A、計算モデル2B、および計算モデル2Cを、b軸およびc軸に対して垂直な方向から見た図である。また、図3D、図3E、図3F、図4D、図4E、および図4Fのそれぞれは、計算モデル1A、計算モデル1B、計算モデル1C、計算モデル2A、計算モデル2B、および計算モデル2Cを、c軸方向から見た図である。
計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cを用いて、VOの生成エネルギー、およびVOHの生成エネルギーを算出する。具体的には、各計算モデルにおいて、計算モデル中の1つの酸素原子を取り除くことで、VOを1つ含む計算モデルを用意する。また、各計算モデルにおいて、計算モデル中の1つの酸素原子を1つの水素原子に置換することで、VOHを1つ含む計算モデルを用意する。
なお、計算モデル1Aおよび計算モデル2Aに含まれる酸素原子の数は、それぞれ128個である。よって、計算モデル1Aおよび計算モデル2Aのそれぞれにおいて、VOを1つ含む計算モデルは128個用意され、VOHを1つ含む計算モデルは128個用意される。また、計算モデル1Bおよび計算モデル2Bに含まれる酸素原子の数は、それぞれ160個である。よって、計算モデル1Bおよび計算モデル2Bのそれぞれにおいて、VOを1つ含む計算モデルは160個用意され、VOHを1つ含む計算モデルは160個用意される。また、計算モデル1Cおよび計算モデル2Cに含まれる酸素原子の数は、それぞれ192個である。よって、計算モデル1Cおよび計算モデル2C中のそれぞれにおいて、VOを1つ含む計算モデルは192個用意され、VOHを1つ含む計算モデルは192個用意される。
VOを1つ含む計算モデル、およびVOHを1つ含む計算モデルのそれぞれに対して、k点を3×1×3に設定し、それ以外は表2に示す計算条件を用いて、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行う。当該計算後に得られる、VOを1つ含む計算モデルの全エネルギー、およびVOHを1つ含む計算モデルの全エネルギーを、それぞれE(VO)、およびE(VOH)とする。なお、VOHを1つ含む計算モデルに対して当該計算を行うことで、VOHが別の欠陥(例えば、酸素欠損および水素、など)に変わる場合がある。
欠陥を含まない計算モデルは、計算モデル1A、計算モデル2A、計算モデル1B、計算モデル2B、計算モデル1C、および計算モデル2Cそのものである。よって、E(no defect)は、計算モデル全体の構造を最適化するための計算を行った後の、計算モデルの全エネルギーでもある。
E(O2)は、1つのO2を含む計算モデルに対して、O2の構造を最適化するための計算を行い、当該計算後に得られる計算モデルに対して1点計算を行うことで、算出される。また、E(H2O)は、1つのH2Oを含む計算モデルに対して、H2Oの構造を最適化するための計算を行い、当該計算後に得られる計算モデルに対して1点計算を行うことで、算出される。E(O2)およびE(H2O)を算出するための計算は、表2に示す計算条件を用いて行う。なお、上述した、O2またはH2Oの構造を最適化するための計算では、計算モデルの格子ベクトルを自動で決定する機能を用いる。
上記の方法で算出した、E(VO)、E(VOH)、E(no defect)、E(O2)、およびE(H2O)を用いて、各欠陥の生成エネルギーを算出する。なお、欠陥の生成エネルギーを算出する際、共通する計算モデルを用いる。例えば、計算モデル1AにおけるVOの生成エネルギーΔE(VO)を算出する場合、E(VO)はVOを1つ含む計算モデル1Aを用いて計算し、E(no defect)は、欠陥を含まない計算モデル1Aを用いて計算する。
算出した、各欠陥(VO、およびVOH)の生成エネルギーを図5A乃至図5Dに示す。図5Aは、計算モデル1A乃至計算モデル1CにおけるVOの生成エネルギーであり、図5Bは、計算モデル2A乃至計算モデル2CにおけるVOの生成エネルギーであり、図5Cは、計算モデル1A乃至計算モデル1CにおけるVOHの生成エネルギーであり、図5Dは、計算モデル2A乃至計算モデル2CにおけるVOHの生成エネルギーである。図5A乃至図5Dでは、縦軸は、欠陥(VOまたはVOH)の生成エネルギー[eV]である。塗りつぶした棒グラフは、各計算モデルの領域901における欠陥の生成エネルギーの平均値であり、塗りつぶしていない棒グラフは、各計算モデルの領域902における欠陥の生成エネルギーの平均値である。
図5A、および図5Bより、計算モデル1A乃至計算モデル1C、および計算モデル2A乃至計算モデル2Cのいずれにおいても、領域902におけるVOの生成エネルギーは、領域901におけるVOの生成エネルギーよりも小さい。よって、領域902は、領域901よりもVOが生成されやすいと推定される。したがって、領域902(領域22_1)は狭い方が好ましい。または、金属酸化物膜に占める領域902(領域22_1)の割合は小さいことが好ましい。領域902(領域22_1)を狭くすることで、金属酸化物膜中にVOが生成されるのを抑制することができる。
図5C、および図5Dより、領域901におけるVOHの生成エネルギーと、領域902におけるVOHの生成エネルギーとの関係は、VOの生成エネルギーのときと同様の関係がみられる。したがって、領域902(領域22_1)を狭くすることで、金属酸化物膜中にVOHが生成されるのを抑制することができる。
図5A、および図5Bより、計算モデル1Aの領域902におけるVOの生成エネルギーは、計算モデル2Aの領域902におけるVOの生成エネルギーよりも小さい。また、計算モデル1Bの領域902におけるVOの生成エネルギーは、計算モデル2Bの領域902におけるVOの生成エネルギーよりも小さい。また、計算モデル1Cの領域902におけるVOの生成エネルギーは、計算モデル2Cの領域902におけるVOの生成エネルギーよりも小さい。よって、密度が5.6g/cm3である領域902は、密度が6.0g/cm3である領域902よりもVOが生成されやすいと推定される。したがって、領域902(領域22_1)の密度は高い方が好ましい。領域902(領域22_1)の密度を高くすることで、金属酸化物膜中にVOが生成されるのを抑制することができる。
なお、計算モデル2Cの領域902におけるVOの生成エネルギーと、計算モデル1Cの領域902におけるVOの生成エネルギーとの差は、計算モデル2Bの領域902におけるVOの生成エネルギーと、計算モデル1Bの領域902におけるVOの生成エネルギーとの差よりも小さい。つまり、領域902の幅が、計算モデル2Bにおける領域902の幅よりも大きくなると、領域902の密度を高くしても、VOは生成されやすいと推定される。よって、領域902(領域22_1)の幅は、計算モデル2Bにおける領域902の幅よりも小さいことが好ましい。領域902(領域22_1)の幅は、具体的には、2.1nm未満であることが好ましい。これにより、金属酸化物膜中にVOが生成されるのを抑制することができる。
図5C、および図5Dより、密度が低い領域902におけるVOHの生成エネルギーと、密度が高い領域902におけるVOHの生成エネルギーとの関係は、VOの生成エネルギーのときと同様の関係がみられる。したがって、領域902(領域22_1)を狭くすることで、金属酸化物膜中にVOHが生成されるのを抑制することができる。
図5Aより、計算モデル1Bの領域901におけるVOの生成エネルギー、および計算モデル1Cの領域901におけるVOの生成エネルギーは、計算モデル1Aの領域902におけるVOの生成エネルギーよりも小さい。つまり、全領域(領域901、および領域902)において、計算モデル1BのVOの生成エネルギー、および計算モデル1CのVOの生成エネルギーは、計算モデル1AのVOの生成エネルギーよりも小さい。よって、領域902の幅が広がると、領域902に限られず領域901においても、VOが生成されやすくなると推定される。したがって、領域902(領域22_1)の幅は、計算モデル1Bにおける領域902の幅よりも小さいことが好ましい。領域902(領域22_1)の幅は、具体的には、1.5nm未満であることが好ましい。これにより、金属酸化物膜中にVOが生成されるのを抑制することができる。
図5Bより、計算モデル2AのVOの生成エネルギーと、計算モデル2Bおよび計算モデル2CのVOの生成エネルギーとの関係は、領域902の密度が5.6g/cm3である計算モデル(計算モデル1A乃至計算モデル1C)のVOの生成エネルギーのときと同様の関係がみられる。
図5C、および図5Dより、計算モデル1AのVOHの生成エネルギーと、計算モデル1Bおよび計算モデル1CのVOHの生成エネルギーとの関係は、領域902の密度が5.6g/cm3である計算モデル(計算モデル1A乃至計算モデル1C)のVOの生成エネルギーのときと同様の関係がみられる。また、計算モデル2AのVOHの生成エネルギーと、計算モデル2Bおよび計算モデル2CのVOHの生成エネルギーとの関係は、領域902の密度が5.6g/cm3である計算モデル(計算モデル1A乃至計算モデル1C)のVOの生成エネルギーのときと同様の関係がみられる。したがって、領域902(領域22_1)を狭くすることで、金属酸化物膜中にVOHが生成されるのを抑制することができる。
以上より、領域22_1の幅を狭くすることで、金属酸化物中に欠陥(VO、およびVOH)が生成されるのを抑制することができる。したがって、領域22_1の幅が狭い金属酸化物をトランジスタに用いることで、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。
以上が、金属酸化物における欠陥の生成しやすさについての説明である。
<結晶構造の例>
本項では、本発明の一態様である金属酸化物が有する結晶の結晶構造について説明する。上述したように、当該結晶構造として、例えば、YbFe2O4型構造、Yb2Fe3O7型構造、これらの変形型構造などがある。
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素M、および亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫とする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
図6A乃至図6Cは、本発明の一態様である金属酸化物が有する結晶中の原子配列を示す図である。なお、図6A乃至図6Cでは、原子を球(丸)で表し、金属原子と酸素原子の結合を線で表している。
図6A乃至図6Cにおいて、In-M-Zn酸化物の結晶構造におけるc軸(c-axis)方向は、図6A乃至図6C中の矢印で表す。また、In-M-Zn酸化物の結晶構造におけるa-b面方向は、図6A乃至図6C中の矢印で表すc軸方向と垂直の方向である。
ここで、元素ME1は、主にインジウムである。なお、元素ME1の原子の位置に、元素Mの原子または亜鉛原子が存在してもよい。また、元素ME2は、主に元素Mおよび亜鉛である。なお、元素ME2の原子の位置に、インジウム原子が存在してもよい。
図6Aに示すように、金属酸化物20が有する結晶は、元素ME1の原子および酸素原子を有する層31と、元素ME2の原子および酸素原子を有する層32と、が積層された構造を有する。なお、図6Aに示す結晶構造では、c軸方向に近接する2つの層31の間に、層32が2つ存在する。つまり、図6Aに示す結晶構造は、YbFe2O4型構造である。例えば、金属酸化物20の組成がIn:M:Zn=1:1:1[原子数比]またはその近傍である場合、当該結晶構造を有しやすい。
図6Aでは、結晶中の原子配列を、球(丸)と線で表現している。次に、結晶中の原子配列を、多面体で表示する。図7Aは、図6Aに示す結晶中の原子配列を、多面体で表示した図である。なお、層31が有する多面体を、図7Bに示し、層32が有しうる多面体を、図7Cおよび図7Dに示す。
図7Bに示す多面体は、八面体形構造である。当該八面体形構造は、中心に元素ME1(例えば、インジウム)の原子を有し、頂点に酸素原子を有する構造である。層31では、当該八面体形構造が稜共有している。
また、図7Cに示す多面体は、三方両錐形構造である。当該三方両錐形構造は、中心またはその近傍に元素ME2(例えば、元素Mまたは亜鉛)の原子を有し、頂点に酸素原子を有する構造である。また、図7Dに示す多面体は、四面体形構造である。当該四面体形構造は、中心に元素ME2(例えば、元素Mまたは亜鉛)の原子を有し、頂点に酸素原子を有する構造である。図7Aに示す層32では、当該三方両錐形構造が稜共有している。なお、層32の構成は、c軸方向に近接する2つの層31の間に存在する層32の数によって異なる場合がある。例えば、層32では、当該三方両錐形構造が頂点共有している場合もあるし、当該四面体形構造が頂点共有している場合もある。
層31と、層32とは、頂点共有している。また、c軸方向に隣接する2つの層32は、頂点共有、または、稜共有している。なお、図7Aでは、c軸方向に隣接する2つの層32は、稜共有している。
図6A、および図7Aでは、金属酸化物20として、組成がIn:M:Zn=1:1:1[原子数比]のIn-M-Zn酸化物を例示したが、酸化物230の組成は、これに限られない。金属酸化物20は、例えば、組成式がIn(1+α)M(1-α)O3(ZnO)m(αは-1より大きく1より小さい実数であり、mは正の実数である)で表されるIn-M-Zn酸化物でもよい。
mが0より大きく1より小さい実数である場合、金属酸化物20が有する結晶は、c軸方向に近接する2つの層31の間に2つの層32が存在する領域と、c軸方向に近接する2つの層31の間に1つの層32が存在する領域とを有することがある(図6B参照)。なお、図6Bに示す金属酸化物20が有する結晶の結晶構造は、Yb2Fe3O7型構造である。金属酸化物20の組成がIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]である場合、図6Bに示す結晶構造を有しやすい。
また、mが1より大きい実数である場合、金属酸化物20が有する結晶は、c軸方向に近接する2つの層31の間に、3つ以上の層32が存在することがある。例えば、図6Cに示す結晶構造では、c軸方向に近接する2つの層31の間に、3つの層32が存在する。なお、金属酸化物20の組成がIn:M:Zn=1:1:2[原子数比]またはその近傍である場合、図6Cに示す結晶構造を有しやすい。
なお、層31および層32の積層構造と、金属酸化物20の組成との関係は上記に限られない。金属酸化物20の組成がIn:M:Zn=1:1:1[原子数比]またはその近傍であっても、c軸方向に近接する2つの層31の間に、1つの層32、または、3つ以上の層32が存在する場合もある。In:M:Zn=1:1:1[原子数比]またはその近傍以外の組成を有する金属酸化物20の結晶構造においても同様のことが言える。このような結晶構造を、変形型構造と呼ぶ場合がある。例えば、当該変形型構造とは、YbFe2O4型構造の一部と、Yb2Fe3O7型構造の一部が積層した結晶構造などである。
αが0より大きく1より小さい実数である場合、層32には、元素Mの原子および亜鉛原子に加えて、インジウム原子が含まれることがある。また、αが-1より大きく0より小さい実数である場合、層31には、インジウム原子に加えて、元素Mの原子または亜鉛原子が含まれることがある。
また、金属酸化物20が有する結晶の結晶構造は、ウルツ鉱型構造であってもよい。
図6Dは、ウルツ鉱型構造を示す図である。なお、図6Dでは、原子を球(丸)で表し、金属原子と元素NMの原子の結合を線で表している。また、図6Dに示す結晶構造のc軸(c-axis)方向を、図6D中の矢印で表す。また、図6Dに示す結晶構造のa-b面方向は、図6Dの矢印で表すc軸方向と垂直の方向である。
ウルツ鉱型構造は、層33がc軸方向に積層した構造と見做すことができる。なお、層33では、上記四面体形構造が頂点共有している。
元素ME3は金属原子であり、元素NMは非金属元素の原子である。例えば、In-M-Zn酸化物が窒素を含む場合、窒素原子の含有量によっては、In-M-Zn酸化物は、元素ME3の原子の位置にインジウム原子、元素Mの原子、または亜鉛原子が存在し、元素NMの原子の位置に酸素原子または窒素原子が存在する、ウルツ鉱型構造を有する場合がある。また、例えば、In-M-Zn酸化物において、インジウムおよび元素Mの含有率が低い場合、In-M-Zn酸化物は、元素ME3の原子の位置にインジウム原子、元素Mの原子、または亜鉛原子が存在し、元素NMの原子の位置に酸素原子が存在する、ウルツ鉱型構造を有する場合がある。
以上が、金属酸化物が有する結晶の結晶構造についての説明である。
<金属酸化物の形成方法>
本項では、本発明の一態様である金属酸化物の形成方法について説明する。
金属酸化物を成膜する方法として、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などがある。
本発明の一態様である金属酸化物を成膜する方法として、ALD法を用いることが好ましい。なお、本発明の一態様である金属酸化物は、特に後述するPEALD法を利用し、かつ炭化水素を有さないプリカーサを用いて形成されると好適である。炭化水素を有さないプリカーサを用いて、本発明の一態様である金属酸化物をPEALD法にて形成した場合、膜中の不純物(炭素、水素など)濃度を低減させることで、金属酸化物の結晶構造を、より安定に形成することが期待できる。
ALD法は、プリカーサ分子、あるいはプリカーサに含まれる原子の自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるので、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、および低温での成膜が可能、などの効果がある。また、ALD法には、プラズマを利用した成膜方法プラズマALD(PEALD:Plasma Enhanced ALD)法も含まれる。プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素、塩素などの元素を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素、塩素などの元素を多く含む場合がある。なお、これらの元素の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
ALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
ALD法は、原料ガスの導入量によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、ALD法では、原料ガスの導入量または導入回数(パルス回数ともいう)によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、ALD法では、成膜しながら原料ガスの導入量または導入回数を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの導入量または導入回数を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送および圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
〔ALD装置およびALD法を用いた成膜方法〕
ここで、金属酸化物の成膜に用いることができるALD法を利用した成膜装置(以下、ALD装置ともいう)、およびALD法を用いた成膜方法について説明する。
ALD法を利用した成膜装置は、第1の原料ガス(前駆体、プリカーサ、金属プリカーサとも呼ぶ)と第2の原料ガス(反応剤、リアクタント、非金属プリカーサとも呼ぶ)を交互にチャンバーに導入し、これらの原料ガスの導入を繰り返すことで成膜を行う。なお、原料ガスの導入の切り替えは、例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて行うことができる。また、原料ガス導入の際、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスをキャリアガスとして原料ガスと一緒にチャンバーに導入してもよい。キャリアガスを用いることで、原料ガスの揮発性が低い、あるいは蒸気圧が低い場合でも、原料ガスが配管内部またはバルブ内部に吸着することを抑制し、原料ガスをチャンバーに導入することが可能になる。また、形成される膜の均一性も向上し、好ましい。
ALD法を用いた成膜方法の一例を、図8A乃至図8Dを用いて説明する。まず、第1の原料ガスをチャンバーに導入し(図8A参照)、基板表面にプリカーサ61を吸着させる(第1ステップ)。ここで、プリカーサ61が基板表面に吸着することにより、表面化学反応の自己停止機構が作用し、基板上のプリカーサの層の上にさらにプリカーサが吸着することはない(図8B参照)。なお、表面化学反応の自己停止機構が作用する基板温度の適正範囲をALD Windowとも呼ぶ。ALD Windowは、プリカーサの温度特性、蒸気圧、分解温度などによって決まるが、100℃以上500℃以下、好ましくは、200℃以上400℃以下とする。次に、真空排気によって、余剰なプリカーサ、反応生成物などをチャンバーから排出する(第2ステップ)。また、真空排気を行う代わりに不活性ガス(アルゴン、窒素など)などをチャンバーに導入し、余剰なプリカーサ、反応生成物などをチャンバーから排出してもよい。第2ステップは、パージとも呼ばれる。次に、第2の原料ガスとして、リアクタント62(例えば、酸化剤(オゾン(O3)、酸素(O2)、水(H2O)、およびこれらのプラズマ、ラジカル、イオンなど))をチャンバーに導入し(図8C参照)、基板表面に吸着したプリカーサ61と反応させて、膜の構成分子を基板に吸着させたままプリカーサ61に含まれる成分の一部を離脱させる(第3ステップ)(図8D参照)。次に、真空排気または不活性ガスの導入によって、余剰なリアクタント62、反応生成物などをチャンバーから排出する(第4ステップ)。
なお、以降の本明細書の記載において、特段の記載がない限り、リアクタント、または酸化剤としてオゾン、酸素、水を用いる場合、これらは、ガスの状態、または分子の状態に限らず、プラズマ状態、ラジカル状態、およびイオン状態のものも含むものとする。プラズマ状態、ラジカル状態、あるいはイオン状態の酸化剤を用いて成膜する場合、後述するラジカルALD装置、またはプラズマALD装置を用いれば良い。
酸化剤として、プリカーサに含まれる炭素を除去するには水を用いることが好ましい。水に含まれる水素が、プリカーサに含まれる炭素と反応して、炭素を効率よくプリカーサから離脱させることができる。一方、形成される膜中に含まれる水素を極力減らしたい場合は、酸化剤として、水素を含まないオゾンまたは酸素を用いることが好ましい。また、第1の酸化剤として、水をチャンバーに導入することで、プリカーサに含まれる炭素を除去した後、真空排気を行い、第2の酸化剤として水素を含まないオゾンまたは酸素をチャンバーに導入して水素を除去し、真空排気を行ってもよい。その後、所望の膜厚が得られるまで第1ステップから第4ステップを繰り返し行う。
なお、上記の説明では、第1の原料ガスをチャンバーに導入してから、第2の原料ガスをチャンバーに導入する例を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。第2の原料ガスをチャンバーに導入してから、第1の原料ガスをチャンバーに導入してもよい。つまり、初めに第3ステップ、および第4ステップを行った後に、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、および第4ステップを行い、以降第1ステップ乃至第4ステップを繰り返し行うことで成膜を行ってもよい。さらに、第3ステップ、および第4ステップを複数回繰り返し行ってから、第1ステップ乃至第4ステップを繰り返し行うことで成膜を行ってもよい。
このように、第1のステップの前に、第3のステップ、および第4のステップを1回ずつ、あるいは複数回行うことは、チャンバー内の成膜雰囲気を制御できるため好ましい。例えば、第3のステップとして、酸化剤を導入することで、チャンバー内は酸素雰囲気とすることができる。酸素雰囲気で成膜を開始すると、形成される膜中の酸素濃度を高くでき、好ましい。さらに、当該膜の下地となる絶縁体または酸化物にも酸素を供給できる。このような方法を用いて形成された半導体装置は、良好な特性を有し、高い信頼性を得ることができる。
また、第1ステップ、および第2ステップを行った後に、第3ステップにおける第2の原料ガスの導入と、第4ステップにおける真空排気または不活性ガスの導入を複数回繰り返し行ってもよい。つまり、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ、第3ステップ、第4ステップと、第3ステップおよび第4ステップを繰り返し行った後に、第1ステップ、および第2ステップを行ってもよい。
例えば、第3ステップで酸化剤としてO3、およびO2を導入し、第4ステップで真空排気を行い、この工程を複数回繰り返してもよい。
また、第3ステップおよび第4ステップを繰り返す場合、必ずしも同じ種類の原料ガスの導入を繰り返す必要はない。例えば、1回目の第3ステップで酸化剤としてH2Oを用い、2回目以降の第3ステップで酸化剤としてO3を用いてもよい。
このようにして、チャンバー内で酸化剤の導入と真空排気(または不活性ガスの導入)を短時間で複数回繰り返すことで、基板表面に吸着したプリカーサから、余分な水素原子、炭素原子、塩素原子などをより確実に取り除き、チャンバーの外に排除することができる。また、酸化剤の種類を2種類に増やすことにより、基板表面に吸着したプリカーサから、余分な水素原子などをより多く取り除くことができる。このように、成膜中に水素原子が膜中に取り込まれないようにすることにより形成した膜に含まれる水、水素などを低減することができる。
このような方法を用いることにより、TDS分析にて100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、水分子の脱離量が1.0×1013molecule/cm2以上1.0×1016molecule/cm2以下、好ましくは1.0×1013molecule/cm2以上3.0×1015molecule/cm2以下となる膜を形成することができる。
このようにして、基板表面に第1の層を成膜することができ、第1ステップ乃至第4ステップを再び行うことで、第1の層の上に第2の層を積層することができる。第1ステップ乃至第4ステップを、ガス導入を制御しつつ、膜が所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なトランジスタを作製する場合に適している。
また、上記方法で成膜された膜は層状の構造を有する場合がある。さらに、上記方法で成膜された膜が結晶構造を有する場合、該膜のc軸は、被成膜面の法線方向と概略平行な方向に配向する。すなわち、該膜のc軸は、被成膜面に対して垂直に配向する。本明細書では、このような結晶構造をCAAC構造と呼ぶ場合がある。ALD法を用いることで、CAAC構造を有する金属酸化物を成膜することが可能である。
ALD法は、熱エネルギーを用いてプリカーサ、およびリアクタントを反応させて行う成膜方法である。プリカーサ、およびリアクタントの反応に必要な温度は、それらの温度特性、蒸気圧、分解温度などによって決まるが、100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下とする。さらに、上記のプリカーサ、およびリアクタントの反応に加え、第3の原料ガスとして、プラズマ励起されたリアクタントもチャンバーに導入することで処理を行うALD法をプラズマALD法と呼ぶことがある。この場合、第3の原料ガスの導入部には、プラズマ生成装置が設けられる。プラズマの生成には、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)を用いることができる。またこれに対して、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーで行うALD法を熱ALD法と呼ぶことがある。
プラズマALD法では、第3ステップにおいてプラズマ励起されたリアクタントを導入して成膜を行う。あるいは、第1ステップ乃至第4ステップを繰り返し行うと同時に、プラズマ励起されたリアクタント(第2のリアクタント)を導入することで、成膜が行われる。この場合、第3ステップで導入されるリアクタントを第1のリアクタントと呼ぶ。プラズマALD法において、第3の原料ガスに用いる第2のリアクタントは、上記酸化剤と同様の材料を用いることができる。すなわち、第2のリアクタントとして、プラズマ励起されたオゾン、酸素、および水を用いることができる。また、第2のリアクタントとして、酸化剤の他に、窒化剤を用いてもよい。窒化剤としては、窒素(N2)またはアンモニア(NH3)を用いることができる。また、窒素(N2)と水素(H2)の混合ガスを窒化剤として用いることができる。例えば、窒素(N2)5%、水素(H2)95%の混合ガスを窒化剤として用いることができる。プラズマ励起された窒素またはアンモニアを導入しながら成膜を行うことで、金属窒化膜などの窒化膜を形成することができる。
また、第2のリアクタントのキャリアガスとして、アルゴン(Ar)または窒素(N2)を用いてもよい。アルゴン、窒素などのキャリアガスを用いることで、プラズマの放電が容易になり、プラズマ励起された第2のリアクタントが容易に生成されるため、好ましい。なお、プラズマALD法を用いて金属酸化膜などの酸化膜を形成する場合、キャリアガスに窒素を用いると、膜中に窒素が混入し、所望の膜質が得られない場合がある。この場合キャリアガスとして、アルゴンを用いることが好ましい。
ALD法は、極めて薄い膜を均一な膜厚で成膜することができる。また、凹凸を有する面に対しても、表面被覆率が高い。
また、プラズマALD法により成膜することで、熱ALD法に比べてさらに低温での成膜が可能となる。プラズマALD法は、例えば、100℃以下でも成膜速度を低下させずに成膜することができる。また、プラズマALD法では、酸化剤だけでなく、窒化剤など多くのリアクタントを用いることができるので、酸化物だけでなく、窒化物、酸窒化物、フッ化物、金属など多くの種類の膜を成膜することができる。
また、プラズマALD法を行う場合には、ICPなどのように基板から離れた状態でプラズマを発生させることもできる。このようにプラズマを発生させることにより、プラズマダメージを抑えることができる。
以上の方法により、第1の原料ガスに含まれる原子を一成分とする膜、酸化膜、または窒化膜を形成することができる。
一方、金属酸化物として、複数の金属を含む膜を形成する場合、金属毎に複数のプリカーサを用意し、チャンバーに順次導入すればよい。
金属酸化物として、In-M-Zn酸化物を形成する場合、インジウムを含む第1のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気(パージ)する。次に、リアクタントとして、酸化剤をチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気する。次に、元素Mを含む第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気(パージ)する。次に、リアクタントとして、酸化剤をチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気する。次に、亜鉛を含む第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気(パージ)する。次に、リアクタントとして、酸化剤をチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気する。以上の工程を繰り返すことで、インジウムを含む層と、元素Mを含む層と、亜鉛を含む層とを有する金属酸化物を形成することができる。
なお、原料ガスの導入順序は、上記に限定されない。第1のプリカーサを含む原料ガスの導入後に、第3のプリカーサを含む原料ガスを導入し、その後第2のプリカーサを含む原料ガスを導入してもよく、求められる膜の性質に応じて実施者が適宜決めることができる。また、各原料ガスの導入後に、余分な原料ガスの排気、リアクタントの導入、および排気を適宜行うことができる。なお、金属酸化物は、In-M-Zn酸化物に限らない。上述した通り、金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましく、特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、金属酸化物に含まれる金属の種類は2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
また、金属酸化物に含まれる金属の原子数比は、金属を含むプリカーサを含む原料ガスのチャンバーへの導入回数、または成膜温度の調整により制御できる。例えば、インジウムおよび亜鉛に対して、元素Mの原子数比を大きくしたい場合は、元素Mを含む第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入する回数を、インジウムを含む第1のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入する回数、および亜鉛を含む第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入する回数よりも増やすとよい。
また、複数のプリカーサをチャンバーに導入してもよく、例えば、第1のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気し、第2のプリカーサ、および第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気し、第2のプリカーサ、および第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気することで、In-M-Zn酸化物を含む金属酸化物を形成してもよい。なお、チャンバーに導入するプリカーサの組み合わせは上記に限定されない。第1のプリカーサ、および第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入してもよいし、第1のプリカーサ、および第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入してもよいし、第1のプリカーサ、第2のプリカーサ、および第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入してもよい。求められる膜の性質に応じて実施者が適宜決めることができる。
また、異なるプリカーサを含む原料ガスを連続してチャンバーに導入してもよい。例えば、第1のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気し、第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気した後、チャンバーへリアクタントの導入を行わず、続けて第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気し、第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気した後、チャンバーへリアクタントの導入を行わず、続けて第3のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、余分な原料ガスを排気し、リアクタントをチャンバーに導入し、余分なリアクタントを排気することで、In-M-Zn酸化物を含む金属酸化物を形成してもよい。なお、チャンバーに連続して導入するプリカーサの順序、および組み合わせは上記に限定されない。第1のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入した後、リアクタントの導入を行わずに、第2のプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入してもよい。求められる膜の性質に応じて実施者が適宜決めることができる。
また、複数の金属を含むプリカーサを用いて金属酸化物を形成してもよい。例えば、1分子中にインジウムと元素Mとを含むプリカーサ、1分子中にインジウムと亜鉛とを含むプリカーサ、1分子中に元素Mと亜鉛とを含むプリカーサなどを用いて金属酸化物を形成してもよい。
ここで、図9A乃至図9Cおよび図10A乃至図10Cを用いて、In-M-Zn酸化物を有する金属酸化物20の形成方法の一例を示す。なお、図9A乃至図9Cおよび図10A乃至図10Cでは、インジウムを含む層31を形成し、その上に元素Mを含む層32aを形成し、さらにその上に亜鉛を含む層32bを形成する例を示すが、本実施の形態はこれに限らない。例えば、層32aおよび層32bの一方を形成し、その上に層31を形成し、さらにその上に層32aおよび層32bの他方を形成してもよい。または、層32aおよび層32bの一方を形成し、その上に層32aおよび層32bの他方を形成し、さらにその上に層31を形成してもよい。
まず、インジウムを含むプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、構造体11の表面にプリカーサを吸着させる(図9A参照)。ここで、原料ガスには、プリカーサの他に、アルゴン、窒素などのキャリアガスが含まれる。インジウムを含むプリカーサとして、トリエチルインジウム、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)インジウム、シクロペンタジエニルインジウムなどを用いることができる。次に、チャンバー内をパージして、余剰なプリカーサ、反応生成物などをチャンバーから排出する。
次に、リアクタントとしてチャンバーに導入した酸化剤を、吸着したプリカーサと反応させて、インジウムを基板に吸着させたままインジウム以外の成分を離脱させる。これにより、インジウムと酸素とで構成される層31を形成する(図9B参照)。酸化剤として、オゾン、酸素、水などを用いることができる。次に、チャンバー内をパージして、余分なリアクタント、反応生成物などをチャンバーから排出する。
次に、元素Mを含むプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、層31上にプリカーサを吸着させる(図9C参照)。原料ガスには、プリカーサの他に、アルゴン、窒素などのキャリアガスが含まれる。元素Mとしてガリウムを用いる場合、ガリウムを含むプリカーサとして、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、三塩化ガリウム、トリス(ジメチルアミド)ガリウム、ガリウム(III)アセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)ガリウム、ジメチルクロロガリウム、ジエチルクロロガリウムなどを用いることができる。次に、チャンバー内をパージして、余剰なプリカーサ、反応生成物などをチャンバーから排出する。
次に、リアクタントとしてチャンバーに導入した酸化剤を、吸着したプリカーサと反応させて、元素Mを基板に吸着させたまま元素M以外の成分を離脱させる。これにより、元素Mと酸素とで構成される層32aを形成する(図9D参照)。このとき、層32bを構成する酸素の一部が層32aの上に吸着する場合がある。次に、チャンバー内をパージして、余分なリアクタント、反応生成物などをチャンバーから排出する。
次に、亜鉛を含むプリカーサを含む原料ガスをチャンバーに導入し、層32a上にプリカーサを吸着させる(図10A参照)。このとき、亜鉛と酸素とで構成される層32bの一部が形成される場合がある。原料ガスには、プリカーサの他に、アルゴン、窒素などのキャリアガスが含まれる。亜鉛を含むプリカーサとして、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)亜鉛などを用いることができる。次に、チャンバー内をパージして、余剰なプリカーサ、反応生成物などをチャンバーから排出する。
次に、リアクタントとしてチャンバーに導入した酸化剤を、吸着したプリカーサと反応させて、亜鉛を基板に吸着させたまま亜鉛以外の成分を離脱させる。これにより、亜鉛と酸素とで構成される層32bを形成する(図10B参照)。次に、チャンバー内をパージして、余分なリアクタント、反応生成物などをチャンバーから排出する。なお、次の層31を形成するまでの間に、層32aおよび層32bのそれぞれの形成を複数回行うことで、2つの層31の間に、所望の原子数、層数、および厚さを有する、層32aと層32bとの積層を形成してもよい。
次に、層32b上に再度、上述した方法で層31を形成する(図10C参照)。以上の方法を繰り返すことで、基板、あるいは構造体上に金属酸化物20を形成することができる。
以上のように、ALD法を用いることで、被成膜面の法線方向と概略平行にc軸が配向した構造(CAAC構造)を有する金属酸化物を成膜することができる。
上述したように、ALD法は、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。よって、成膜時に被処理物へのダメージを小さくすることができる。したがって、ALD法を用いて成膜された金属酸化物は、他の成膜方法と比べて大きな結晶を有することがある。金属酸化物に含まれる結晶が大きくなることで、結晶間の距離を短くすることができる。または、結晶間に位置する領域の密度を高くすることができる。
また、上述したように、ALD法は、原料ガスの導入量によって、得られる膜の組成を制御することができる。つまり、ALD法は、金属酸化物の組成(化学量論組成)の制御性が高いといえる。したがって、ALD法を用いて成膜することで、所望の組成を有する金属酸化物を成膜することができる。
前述したとおり、ALD法では、アスペクト比の高い構造への成膜が可能であり、構造体の側面に対しても被覆性に優れた成膜が可能である。ALD法を用いることで、被成膜面の向きによらず、容易にCAAC構造を有する金属酸化物を形成することができる。例えば、構造体が凸型形状、または凹型形状を有しているとしても、構造体の上面、底面、側面、および傾斜を有する面に対して被覆性よく金属酸化物を形成することができる。すなわち、それぞれの被成膜面において、法線方向に概略一定の膜厚を有する金属酸化物を形成することができる。構造体の上面、底面、側面、および傾斜を有する面それぞれに形成された金属酸化物において、最大膜厚に対する最小膜厚の比を0.5以上1以下、好ましくは0.7以上1以下、より好ましくは、0.9以上1以下とすることができる。このとき、金属酸化物が結晶を有する場合、そのc軸は、それぞれの被成膜面の法線方向と概略平行な方向に配向する。すなわち、c軸は、それぞれの被成膜面に対して垂直に配向する。
図11Aは、構造体11に形成されたIn-M-Zn酸化物を有する金属酸化物20を示す図である。ここで、構造体とは、トランジスタなどの半導体装置を構成する要素を指す。構造体11として、基板、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極などの導電体、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜、および下地絶縁膜等の絶縁体、金属酸化物、およびシリコンなどの半導体、などが含まれる。また、構造体11は、図1Aに示す下地膜10に相当する。図11Aでは、構造体11の被成膜面が基板(あるいは基体、図示しない)に対して平行に配置される場合を示している。
図11Bは、図11Aにおける金属酸化物20の一部である領域53の拡大図である。図11Bでは、構造体11の上面、あるいは底面にインジウム(In)を含む層31と、元素Mを含む層32aと、亜鉛(Zn)を含む層32bとが積層されている様子を示している。層31は、構造体11の被成膜面に平行に配置され、その上に層32aが、構造体11の被成膜面に平行に配置され、さらにその上に層32bが、構造体11の被成膜面に平行に配置されている。すなわち、金属酸化物20のa-b面は、構造体11の被成膜面に対して概略平行であり、金属酸化物20のc軸は、構造体11の被成膜面の法線方向と概略平行である。
図11Cでは、構造体11の被成膜面が基板(あるいは基体、図示しない)に対して垂直に配置される場合を示している。図11Dは、図11Cにおける金属酸化物20の一部である領域54の拡大図である。図11Dでは、構造体11の側面にインジウム(In)を含む層31と、元素Mを含む層32aと、亜鉛(Zn)を含む層32bとが積層されている様子を示している。層31は、構造体11の被成膜面に平行に配置され、その上に層32aが、構造体11の被成膜面に平行に配置され、さらにその上に層32bが、構造体11の被成膜面に平行に配置されている。すなわち、金属酸化物20のa-b面は、構造体11の被成膜面に対して概略平行であり、金属酸化物20のc軸は、構造体11の被成膜面の法線方向と概略平行である。
ここで、ALD法を用いて成膜することが可能な装置の一例として、成膜装置4000の構成について、図12A及び図12Bを用いて説明する。図12Aは、マルチチャンバー型の成膜装置4000の模式図であり、図12Bは、成膜装置4000に用いることができるALD装置の断面図である。
〔成膜装置の構成例〕
成膜装置4000は、搬入搬出室4002と、搬入搬出室4004と、搬送室4006と、成膜室4008と、成膜室4009と、成膜室4010と、搬送アーム4014と、を有する。ここで、搬入搬出室4002、搬入搬出室4004、成膜室4008、成膜室4009、および成膜室4010は、搬送室4006とそれぞれ独立に接続されている。これにより、成膜室4008、成膜室4009、および成膜室4010において大気に曝すことなく、連続成膜を行うことができ、膜中に不純物が混入するのを防ぐことができる。また、基板と膜の界面、および各膜の界面の汚染は低減され、清浄な界面が得られる。
なお、搬入搬出室4002、搬入搬出室4004、搬送室4006、および成膜室4008乃至成膜室4010は、水分の付着などを防ぐため、露点が管理された不活性ガス(窒素ガス等)を充填させておくことが好ましく、減圧を維持させることが望ましい。
また、成膜室4008乃至成膜室4010には、ALD装置を用いることができる。また、成膜室4008乃至成膜室4010のいずれかにALD装置以外の成膜装置を用いる構成としてもよい。成膜室4008乃至成膜室4010に用いることができる成膜装置としては、例えば、スパッタリング装置、プラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)装置、熱CVD(TCVD:Thermal CVD)装置、光CVD(Photo CVD)装置、金属CVD(MCVD:Metal CVD)装置、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)装置などがある。また、成膜室4008乃至成膜室4010のいずれか1つまたは複数に、成膜装置以外の機能を有する装置を設けても構わない。当該装置としては、例えば、加熱装置(代表的には、真空加熱装置)、プラズマ発生装置(代表的には、μ波プラズマ発生装置)などが挙げられる。
例えば、成膜室4008をALD装置とし、成膜室4009をPECVD装置とし、成膜室4010を金属CVD装置とした場合、成膜室4008で金属酸化物、成膜室4009でゲート絶縁膜として機能する絶縁膜、成膜室4010でゲート電極として機能する導電膜を形成することができる。このとき、金属酸化物と、その上の絶縁膜と、その上の導電膜を、大気に曝すことなく、連続で形成することができる。
また、成膜装置4000は、搬入搬出室4002、搬入搬出室4004、および成膜室4008乃至成膜室4010を有する構成としているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。成膜装置4000の成膜室を4個以上にする構成としてもよい。また、成膜装置4000は枚葉式としてもよいし、複数の基板を一括で成膜するバッチ式にしてもよい。
〔ALD装置〕
次に、成膜装置4000に用いることができるALD装置の構成について、図12Bを用いて説明する。ALD装置は、成膜室(チャンバー4020)と、原料供給部4021(原料供給部4021a、および原料供給部4021b)と、原料供給部4031と、導入量制御器である高速バルブ4022a、および高速バルブ4022bと、原料導入口4023(原料導入口4023a、および原料導入口4023b)と、原料導入口4033と、原料排出口4024と、排気装置4025を有する。チャンバー4020内に設置される原料導入口4023a、原料導入口4023b、および原料導入口4033は供給管およびバルブを介して原料供給部4021a、原料供給部4021b、および原料供給部4031とそれぞれ接続されており、原料排出口4024は、排出管、バルブ、および圧力調整器を介して排気装置4025と接続されている。
また、図12Bに示すようにチャンバー4020にプラズマ発生装置4028を接続することにより、熱ALD法に加えて、プラズマALD法で成膜を行うことができる。プラズマ発生装置4028は、高周波電源に接続されたコイル4029を用いるICP型のプラズマ発生装置とするのが好ましい。高周波電源は、10kHz以上100MHz以下、好ましくは1MHz以上60MHz以下、より好ましくは10MHz以上60MHz以下の周波数を持った電力を出力することができる。例えば、13.56MHz、60MHzの周波数を持った電力を出力することができる。プラズマALD法では、低温でも成膜レートを落とさず成膜ができるので、成膜効率の低い枚葉式の成膜装置で用いるとよい。
チャンバー内部には基板ホルダ4026があり、その基板ホルダ4026上に基板4030を配置する。基板ホルダ4026には、一定の電位、または高周波が印加される機構が設けられていてもよい。または、基板ホルダ4026は、フローティングでもよいし、接地されていてもよい。また、チャンバー外壁には、ヒータ4027が設けられており、チャンバー4020内部、基板ホルダ4026、および基板4030表面などの温度を制御することができる。ヒータ4027は、基板4030表面の温度を100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下に制御できることが好ましく、ヒータ4027自体の温度は100℃以上500℃以下に設定できることが好ましい。
原料供給部4021a、原料供給部4021b、および原料供給部4031では、気化器、加熱手段などによって固体の原料または液体の原料から原料ガスを形成する。または、原料供給部4021a、原料供給部4021b、および原料供給部4031は、気体の原料ガスを供給する構成としてもよい。
また、図12Bでは、原料供給部4021を2つ、原料供給部4031を1つ設けている例を示しているが本実施の形態はこれに限定されない。原料供給部4021を1つ、または3つ以上設けてもよい。また原料供給部4031を2つ以上設けてもよい。また、高速バルブ4022a、および高速バルブ4022bは時間で精密に制御することができ、原料供給部4021aから供給される原料ガスと原料供給部4021bから供給される原料ガスの供給を制御する構成となっている。
図12Bに示す成膜装置では、基板4030を基板ホルダ4026上に搬入し、チャンバー4020を密閉状態とした後、ヒータ4027により基板4030を所望の温度(例えば、100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下)とし、原料供給部4021aから供給される原料ガスの供給と、排気装置4025による排気と、原料供給部4031から供給される原料ガスの供給と、排気装置4025による排気とを繰り返すことで薄膜を基板表面に形成する。また、該薄膜の形成において、さらに原料供給部4021bから供給される原料ガスの供給と、排気装置4025による排気を行ってもよい。ヒータ4027の温度は、形成される膜種、原料ガス、所望の膜質、基板、または、基板に設けられている膜もしくは素子の耐熱性に応じて適宜決定すればよい。例えば、ヒータ4027の温度を200℃以上300℃以下に設定して成膜してもよいし、300℃以上500℃以下に設定して成膜してもよい。
ヒータ4027を用いて基板4030を加熱しながら成膜することで、後工程で必要な基板4030の加熱処理を省略することができる。すなわち、ヒータ4027が設けられたチャンバー4020、または成膜装置4000を用いることで、基板4030上の膜の形成と、基板4030の加熱処理を兼ねることができる。
図12Bに示す成膜装置では、原料供給部4021、および原料供給部4031で用いる原料(揮発性有機金属化合物など)を適宜選択することにより、金属酸化物を形成することができる。金属酸化物として、インジウム、ガリウム、亜鉛を含むIn-Ga-Zn酸化物を形成する場合、少なくとも3つの原料供給部4021と、少なくとも1つの原料供給部4031が設けられた成膜装置を用いることが好ましい。第1の原料供給部4021からインジウムを含むプリカーサが供給され、第2の原料供給部4021からガリウムを含むプリカーサが供給され、第3の原料供給部4021から亜鉛を含むプリカーサが供給されることが好ましい。金属酸化物の形成に、インジウムおよびガリウムを含むプリカーサを用いる場合、原料供給部4021は、少なくとも2つ設けられればよい。インジウムを含むプリカーサ、ガリウムを含むプリカーサ、および亜鉛を含むプリカーサとして、それぞれ前述したプリカーサを用いることができる。
また、原料供給部4031からは、リアクタントが供給される。リアクタントとして、オゾン、酸素、水の少なくとも1つを含む酸化剤を用いることができる。
〔成膜シーケンス〕
図13Aに、図12Bに示すALD装置を用いた成膜シーケンスを示す。まず、チャンバー4020内の基板ホルダ4026に基板4030をセットする(ステップS101)。次に、ヒータ4027の温度調節を行う(ステップS102)。次に、基板4030の温度が基板面内で一様になるように、基板4030を基板ホルダ4026上で保持する(ステップS103)。次に、前述の第1ステップ乃至第4ステップにより、成膜を行う。すなわち、チャンバー4020に第1の原料ガス、および第2の原料ガスを交互に導入し、基板4030上に成膜を行う(ステップS104)。また、ステップS103とステップS104の間に、チャンバー4020内部を酸素雰囲気にする処理を行ってもよい。基板4030のセット、および保持後に、チャンバー4020内部を酸素雰囲気とすることで、基板4030、および基板4030上に設けられた膜に酸素を添加できる場合がある。また、成膜前の基板4030、および基板4030上に設けられた膜から水素を脱離できる場合がある。基板4030中、または膜中の水素が、基板4030中、または膜中に添加された酸素と反応し、水(H2O)となって基板4030、または膜から離脱する場合がある。
図13Bは、上記成膜シーケンスの具体例を示している。上記のステップS101乃至ステップS103に従って、基板4030を基板ホルダ4026にセットし、ヒータ4027の温度調整、および基板4030の保持を行う。
次に、第1の原料ガス、および第2の原料ガスを交互に導入し、基板4030上に成膜を行う(ステップS104)。第1の原料ガス、および第2の原料ガスの導入は、それぞれパルス状に行われる。図13Bでは、第1の原料ガス、および第2の原料ガスの導入をそれぞれONで示し、原料ガスが導入されていない期間をOFFで示している。第1の原料ガス、および第2の原料ガスが、いずれも導入されていない期間では、チャンバー4020内を排気する。チャンバー4020に第1の原料ガスを導入するパルス時間は、0.1秒以上1秒以下とするのが好ましく、0.1秒以上0.5秒以下とするのがより好ましい。また、第1の原料ガスが導入されていない期間は、1秒以上15秒以下、好ましくは、1秒以上5秒以下とする。チャンバー4020に第2の原料ガスを導入するパルス時間は、0.1秒以上30秒以下とするのが好ましく、0.3秒以上15秒以下とするのがより好ましい。また、第2の原料ガスが導入されていない期間は、1秒以上15秒以下、好ましくは、1秒以上5秒以下とする。
成膜は、第1の原料ガスの導入(上記第1ステップ)、第1の原料ガスの排気(上記第2ステップ)、第2の原料ガスの導入(上記第3ステップ)、第2の原料ガスの排気(上記第4ステップ)を1サイクル(1cycle)とし、これを繰り返すことで、所望の膜厚を有する膜が形成される。
また、ステップS103とステップS104の間に、チャンバー4020内部を酸素雰囲気にする処理を行う場合、チャンバー4020に第2の原料ガスを導入してもよい。第2の原料ガスとして、酸化剤として機能する、オゾン(O3)、酸素(O2)、および水(H2O)から選ばれた一、または複数を導入するのが好ましい。本実施の形態では、第2の原料ガスとして、オゾン(O3)、および酸素(O2)を用いる。このとき、第2の原料ガスは、ステップS104に示す方法と同様にパルス状に導入されることが好ましいが、本発明の一態様はこれに限らない。第2の原料ガスは、連続的に導入されてもよい。第2の原料ガスが導入されていない期間では、チャンバー4020内を排気する。チャンバー4020に第2の原料ガスを導入するパルス時間は、0.1秒以上30秒以下とするのが好ましく、0.3秒以上15秒以下とするのがより好ましい。また、第2の原料ガスが導入されていない期間は、1秒以上15秒以下、好ましくは、1秒以上5秒以下とする。チャンバー4020に酸化剤などの第2の原料ガスを導入することで、基板4030、または基板4030上に設けられた膜は、酸化剤などの第2の原料ガスに曝される。
なお、基板4030のセット(ステップS101)後に、ヒータ4027の温度調節が不要な場合は省略してもよい。また、基板4030の保持(ステップS103)後に、チャンバー4020内部を酸素雰囲気にする必要が無い場合は、省略してもよい。
図13Cは、プリカーサを含む原料ガスを複数種類用いて成膜する場合のシーケンスの例を示す。図13Cでは、プリカーサを含む原料ガスを、第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガスとし、酸化剤を含む原料ガスを第2の原料ガスとしている。上記のステップS101乃至ステップS103に従って、基板4030を基板ホルダ4026にセットし、ヒータ4027の温度調整、および基板4030の保持を行う。
次に、第1の原料ガス、第2の原料ガス、第3の原料ガス、第2の原料ガス、第4の原料ガス、および第2の原料ガスを順次導入して、基板4030上に成膜を行う(ステップS104)。第1の原料ガス乃至第4の原料ガスの導入は、それぞれパルス状に行われる。図13Cでは、第1の原料ガス乃至第4の原料ガスの導入をそれぞれONで示し、原料ガスが導入されていない期間をOFFで示している。第1の原料ガス乃至第4の原料ガスが、いずれも導入されていない期間では、チャンバー4020内を排気する。チャンバー4020に第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガスを導入するパルス時間は、0.1秒以上1秒以下とするのが好ましく、0.1秒以上0.5秒以下とするのがより好ましい。また、第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガスが導入されていない期間は、1秒以上15秒以下、好ましくは、1秒以上5秒以下とする。チャンバー4020に第2の原料ガスを導入するパルス時間は、0.1秒以上30秒以下とするのが好ましく、0.3秒以上15秒以下とするのがより好ましい。また、第2の原料ガスが導入されていない期間は、1秒以上15秒以下、好ましくは、1秒以上5秒以下とする。
成膜は、第1の原料ガスの導入、第1の原料ガスの排気、第2の原料ガスの導入、第2の原料ガスの排気、第3の原料ガスの導入、第3の原料ガスの排気、第2の原料ガスの導入、第2の原料ガスの排気、第4の原料ガスの導入、第4の原料ガスの排気、第2の原料ガスの導入、第2の原料ガスの排気を1サイクル(1cycle)とし、これを繰り返すことで、所望の膜厚を有する膜が形成される。
例えば、第1の原料ガスがインジウムを含むプリカーサを含み、第3の原料ガスがガリウムを含むプリカーサを含み、第4の原料ガスが亜鉛を含むプリカーサを含む場合、図13Cに示すシーケンスによりIn-Ga-Zn酸化物を形成することができる。
なお、図13Cに示すシーケンスにおいて、第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガスの導入順序は、これに限定されない。また、1サイクル中の第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガスの導入回数は1回とは限らない。ある原料ガスを、1サイクル中に複数回導入することで、その原料ガスに含まれる金属元素の濃度が高い膜を形成することができる。すなわち、それぞれのガスの導入回数を変えることで、形成される膜の原子数比を制御することができる。また、第1の原料ガス、第3の原料ガス、および第4の原料ガス、あるいはこれら原料ガスから選ばれた2種類の原料ガスを同時にチャンバー4020に導入してもよい。
以上が、ALD法を用いた金属酸化物の成膜方法についての説明である。
なお、本発明の一態様である金属酸化物を成膜する方法として、スパッタリング法を用いてもよい。
金属酸化物をスパッタリング法により成膜する場合、成膜時の基板温度(ステージ温度)が高いほど、結晶性の高い金属酸化物を成膜することができる。また、成膜時に用いる成膜ガス全体に対する酸素ガスの流量の割合(酸素流量比ともいう)が高いほど、結晶性の高い金属酸化物を成膜することができる。このように、成膜される金属酸化物の結晶性は、基板温度と成膜ガスにおける酸素流量比によって制御することができる。
〔加熱処理〕
スパッタリング法、またはALD法を用いて金属酸化物を成膜した後、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、金属酸化物に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
例えば、上記加熱処理として、金属酸化物を成膜した後に、窒素ガスと酸素ガスの流量比を4:1として、400℃以上550℃以下、好ましくは420℃以上480℃以下の温度で1時間の処理を行う。例えば、窒素ガスの流量を4slmとし、酸素ガスの流量を1slmとする。当該加熱処理によって、金属酸化物に含まれる水、水素などの不純物を除去することなどができる。
特に、炭素を含むプリカーサを用いてALD法により金属酸化物を成膜した場合、金属酸化物には炭素が含まれる場合がある。上記加熱処理を行うことで、金属酸化物中の炭素をCO2として除去することができる。また、水素を含むプリカーサを用いてALD法により金属酸化物を成膜した場合、金属酸化物には水素が含まれる場合がある。上記加熱処理を行うことで、金属酸化物中の水素をH2Oとして除去することができる。
または、当該加熱処理によって、金属酸化物の結晶性を高めることができる。例えば、金属酸化物が有する結晶を、当該加熱処理を行う前よりも大きくすることができる。よって、結晶間の距離(例えば、領域22_1の幅)を狭くすることができる。または、結晶の間に位置する領域(例えば、領域22_1)の密度を高くすることができる。したがって、金属酸化物20に欠陥が生成されるのを抑制することができる。
以上により、本発明の一態様である金属酸化物を形成することができる。
<結晶構造の分類>
以下では、金属酸化物(酸化物半導体)における結晶構造の分類について、説明する。
はじめに、酸化物半導体における結晶構造の分類について、図14Aを用いて説明を行う。図14Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
図14Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる(excluding single crystal and poly crystal)。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
なお、図14Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」、および「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを図14Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、図14Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、図14Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、図14Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
図14Bでは、横軸は2θ[deg.]であり、縦軸は強度(Intensity)[a.u.]である。図14Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、図14Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、図14Cに示す。図14Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、図14Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
図14Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
<CAAC構造を有する金属酸化物>
以下では、CAAC構造を有する金属酸化物の詳細について、説明を行う。
CAAC構造は、複数の結晶を有し、当該複数の結晶はc軸が特定の方向に配向している。なお、特定の方向とは、CAAC構造を有する金属酸化物の厚さ方向、CAAC構造を有する金属酸化物の被形成面の法線方向、またはCAAC構造を有する金属酸化物の表面の法線方向である。なお、結晶領域と表記する場合、当該結晶領域は、CAAC構造が有する結晶そのもの、または、CAAC構造が有する結晶およびその近傍の領域のことを指す。よって、CAAC構造が有する結晶を、CAAC構造が有する結晶領域と表記することがある。
結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC構造は、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC構造を有する金属酸化物は、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない金属酸化物である。
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC構造は、インジウム(In)、及び酸素を有する層と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウム、及び酸素を有する層には元素Mまたは亜鉛が含まれる場合がある。また、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層にはインジウムが含まれる場合がある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
CAAC構造を有する金属酸化物に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、金属酸化物を構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
また、例えば、CAAC構造を有する金属酸化物の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC構造を有する金属酸化物において、歪み近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC構造を有する金属酸化物が、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
CAAC構造を有する金属酸化物は、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない金属酸化物である。つまり、CAACを有する金属酸化物は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。よって、CAAC構造を有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC構造を有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。したがって、CAAC構造を有する金属酸化物は、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。
<金属酸化物を有するトランジスタ>
続いて、金属酸化物(酸化物半導体)をトランジスタに用いる場合について説明する。
本発明の一態様の金属酸化物(酸化物半導体)をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。また、微細化または高集積化されたトランジスタを実現することができる。例えば、チャネル長が2nm以上30nm以下のトランジスタを作製しうる。
トランジスタのチャネル形成領域には、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のチャネル形成領域のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
<金属酸化物中の不純物>
ここで、金属酸化物(酸化物半導体)中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンまたは炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域におけるシリコンまたは炭素の濃度と、酸化物半導体のチャネル形成領域との界面近傍のシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3以下、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域における中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体のチャネル形成領域において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは5×1019atoms/cm3未満、より好ましくは1×1019atoms/cm3未満、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
<トランジスタの半導体層に適用可能なその他の材料>
本発明の一態様は、上述の金属酸化物に限られない。例えば、上述した層状物質であってもよい。層状物質は、上述の金属酸化物と同様に、結晶21_1と、結晶21_2と、結晶21_1と結晶21_2との間に位置し、領域22_1と同様の特徴を有する領域と、を有する場合がある。
また、層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
層状物質として、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などがある。カルコゲン化物は、カルコゲンを含む化合物である。また、カルコゲンは、第16族に属する元素の総称であり、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、リバモリウムが含まれる。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。
トランジスタの半導体層として、例えば、半導体として機能する遷移金属カルコゲナイドを用いることが好ましい。トランジスタの半導体層として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS2)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe2)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe2)、硫化タングステン(代表的にはWS2)、セレン化タングステン(代表的にはWSe2)、タングステンテルル(代表的にはWTe2)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS2)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe2)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS2)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe2)などが挙げられる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図15乃至図27を用いて、先の実施の形態に示す金属酸化物を用いたトランジスタ200を有する半導体装置の一例、およびその作製方法について説明する。
<半導体装置の構成例>
図15を用いて、トランジスタ200を有する半導体装置の構成を説明する。図15A乃至図15Dは、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図および断面図である。図15Aは、当該半導体装置の上面図である。また、図15B乃至図15Dは、当該半導体装置の断面図である。ここで、図15Bは、図15AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図15Cは、図15AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図15Dは、図15AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図15Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
本発明の一態様の半導体装置は、基板(図示せず)上の絶縁体212と、絶縁体212上の絶縁体214と、絶縁体214上のトランジスタ200と、トランジスタ200上の絶縁体280と、絶縁体280上の絶縁体282と、絶縁体282上の絶縁体283と、絶縁体283上の絶縁体285と、を有する。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体285は層間絶縁膜として機能する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する、導電体240aおよび導電体240bを有する。なお、導電体240aの側面に接して絶縁体241aが設けられ、導電体240bの側面に接して絶縁体241bが設けられる。また、絶縁体285上、導電体240a、および導電体240b上には、導電体240と電気的に接続し、配線として機能する、導電体246aおよび導電体246bが設けられる。
なお、以下において、導電体240aと導電体240bをまとめて導電体240と呼ぶ場合がある。また、絶縁体241aと絶縁体241bをまとめて絶縁体241と呼ぶ場合がある。また、導電体246aと導電体246bをまとめて導電体246と呼ぶ場合がある。
絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体285の開口の内壁に接して絶縁体241aが設けられ、絶縁体241aの側面に接して導電体240aが設けられている。また、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体283、および絶縁体285の開口の内壁に接して絶縁体241bが設けられ、絶縁体241bの側面に接して導電体240bが設けられている。なお、絶縁体241は、第1の絶縁体が上記開口の内壁に接して設けられ、さらに内側に第2の絶縁体が設けられる構造になっている。また、導電体240は、第1の導電体が絶縁体241の側面に接して設けられ、さらに内側に第2の導電体が設けられる構造になっている。
なお、トランジスタ200では、絶縁体241の第1の導電体および絶縁体241の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体241を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体240の第1の導電体および導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
[トランジスタ200]
図15A乃至図15Dに示すように、トランジスタ200は、絶縁体214上の絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205(導電体205a、および導電体205b)と、絶縁体216上、および導電体205上の絶縁体222と、絶縁体222上の絶縁体224と、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の導電体242aと、導電体242a上の絶縁体271aと、酸化物230b上の導電体242bと、導電体242b上の絶縁体271bと、酸化物230b上の絶縁体250(絶縁体250a、および絶縁体250b)と、絶縁体250上に位置し、酸化物230bの一部と重なる導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、絶縁体222、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、絶縁体271a、および絶縁体271bを覆って配置される絶縁体275と、を有する。
なお、以下において、酸化物230aと酸化物230bをまとめて酸化物230と呼ぶ場合がある。また、導電体242aと導電体242bをまとめて導電体242と呼ぶ場合がある。また、絶縁体271aと絶縁体271bをまとめて絶縁体271と呼ぶ場合がある。
絶縁体280および絶縁体275には、酸化物230bに達する開口が設けられる。当該開口内に、絶縁体250、および導電体260が配置されている。また、トランジスタ200のチャネル長方向において、絶縁体271a、および導電体242aと、絶縁体271b、および導電体242bと、の間に導電体260、および絶縁体250が設けられている。絶縁体250は、導電体260の側面と接する領域と、導電体260の底面と接する領域と、を有する。
酸化物230は、絶縁体224の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、を有することが好ましい。酸化物230bの下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
なお、トランジスタ200では、酸化物230が、酸化物230a、および酸化物230bの2層を積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、または3層以上の積層構造を設ける構成にしてもよいし、酸化物230a、および酸化物230bのそれぞれが積層構造を有していてもよい。
導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能し、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう)電極として機能する。また、絶縁体250は、第1のゲート絶縁膜として機能し、絶縁体224および絶縁体222は、第2のゲート絶縁膜として機能する。また、導電体242aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能し、導電体242bは、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。また、酸化物230の導電体260と重畳する領域の少なくとも一部はチャネル形成領域として機能する。
トランジスタ200のチャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、および酸化物230b)に、先の実施の形態に示す金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることができる。
先の実施の形態に示す金属酸化物は、半導体として機能することができる。このとき、当該金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、または、2.5eV以上である。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
先の実施の形態で説明したように、酸化物230として、例えば、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、酸化インジウムを用いてもよい。
ここで、酸化物230bに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
このように、酸化物230bの下に酸化物230aを配置することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物からの、酸化物230bに対する、不純物および酸素の拡散を抑制することができる。
また、酸化物230aおよび酸化物230bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、酸化物230aと酸化物230bの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
CAAC-OSなどの結晶性の高い金属酸化物は、不純物および欠陥(酸素欠損など)が少なく、緻密な構造を有しているので、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
ここで、トランジスタ200のチャネル形成領域近傍の拡大図を図16Aに示す。酸化物230bに酸素が供給されることで、導電体242aと導電体242bの間の領域にチャネル形成領域が形成される。よって、図16Aに示すように、酸化物230bは、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域230bcと、領域230bcを挟むように設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域230baおよび領域230bbと、を有する。領域230bcは、少なくとも一部が導電体260と重畳している。言い換えると、領域230bcは、導電体242aと導電体242bの間の領域に設けられている。領域230baは、導電体242aに重畳して設けられており、領域230bbは、導電体242bに重畳して設けられている。
チャネル形成領域として機能する領域230bcは、領域230baおよび領域230bbよりも、酸素欠損が少なく、または不純物濃度が低いため、キャリア濃度が低い高抵抗領域である。よって領域230bcは、i型(真性)または実質的にi型であるということができる。
また、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域230baおよび領域230bbは、酸素欠損が多く、または、水素、窒素、金属元素などの不純物濃度が高いことで、キャリア濃度が増加し、低抵抗化した領域である。すなわち、領域230baおよび領域230bbは、領域230bcと比較して、キャリア濃度が高く、低抵抗なn型の領域である。
ここで、チャネル形成領域として機能する領域230bcのキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域として機能する領域230bcのキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
また、領域230bcと領域230baまたは領域230bbとの間に、キャリア濃度が、領域230baおよび領域230bbのキャリア濃度と同等、またはそれよりも低く、領域230bcのキャリア濃度と同等、またはそれよりも高い領域が形成されていてもよい。つまり、当該領域は、領域230bcと領域230baまたは領域230bbとの接合領域として機能する。当該接合領域は、水素濃度が、領域230baおよび領域230bbの水素濃度と同等、またはそれよりも低く、領域230bcの水素濃度と同等、またはそれよりも高くなる場合がある。また、当該接合領域は、酸素欠損が、領域230baおよび領域230bbの酸素欠損と同等、またはそれよりも少なく、領域230bcの酸素欠損と同等、またはそれよりも多くなる場合がある。
なお、図16Aでは、領域230ba、領域230bb、および領域230bcが酸化物230bに形成される例について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、上記の各領域が酸化物230bだけでなく、酸化物230aまで形成されてもよい。
また、酸化物230において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
また、図15Cに示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面視において、酸化物230bの側面と酸化物230bの上面との間に、湾曲面を有してもよい。つまり、当該側面の端部と当該上面の端部は、湾曲してもよい(ラウンド状ともいう)。
上記湾曲面での曲率半径は、0nmより大きく、導電体242と重なる領域の酸化物230bの膜厚より小さい、または、上記湾曲面を有さない領域の長さの半分より小さいことが好ましい。上記湾曲面での曲率半径は、具体的には、0nmより大きく20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下とする。このような形状にすることで、絶縁体250および導電体260の、酸化物230bへの被覆性を高めることができる。
酸化物230は、化学組成が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
ここで、酸化物230aと酸化物230bの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230aと酸化物230bの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230bが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-M-Zn酸化物の場合、酸化物230aとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、元素Mの酸化物、In-Zn酸化物、酸化インジウムなどを用いてもよい。
具体的には、酸化物230aとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=5:1:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。また、元素Mとして、ガリウムを用いることが好ましい。
なお、金属酸化物をスパッタリング法により成膜する場合、上記の原子数比は、成膜された金属酸化物の原子数比に限られず、金属酸化物の成膜に用いるスパッタリングターゲットの原子数比であってもよい。
酸化物230aおよび酸化物230bを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は大きいオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
なお、トランジスタ200では、酸化物230が、酸化物230a、および酸化物230bの2層を積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、または3層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、酸化物230a、および酸化物230bのそれぞれが積層構造を有していてもよい。また、酸化物230を3層以上の積層構造にする場合、絶縁体250と同様に、絶縁体280および絶縁体275に形成された開口の中に、酸化物230の積層構造の一部を形成してもよい。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一は、水、水素などの不純物が、基板側から、または、トランジスタ200の上方からトランジスタ200に拡散することを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、バリア絶縁膜とは、バリア性を有する絶縁膜のことを指す。本明細書において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、および固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどを用いることができる。例えば、絶縁体212、絶縁体275、および絶縁体283として、より水素バリア性が高い、窒化シリコンなどを用いることが好ましい。また、例えば、絶縁体214、絶縁体271、および絶縁体282として、水素を捕獲および水素を固着する機能が高い、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウム、などを用いることが好ましい。これにより、水、水素などの不純物が絶縁体212、および絶縁体214を介して、基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、水、水素などの不純物が絶縁体283よりも外側に配置されている層間絶縁膜などから、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体212、および絶縁体214を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体280などに含まれる酸素が、絶縁体282などを介してトランジスタ200より上方に、拡散するのを抑制することができる。この様に、トランジスタ200を、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283で取り囲む構造とすることが好ましい。
ここで、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一として、アモルファス構造を有する酸化物を用いることが好ましい。例えば、AlOx(xは0より大きい任意数)、またはMgOy(yは0より大きい任意数)などの金属酸化物を用いることが好ましい。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物では、酸素原子がダングリングボンドを有しており、当該ダングリングボンドで水素を捕獲または固着する性質を有する場合がある。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ200の構成要素として用いる、またはトランジスタ200の周囲に設けることで、トランジスタ200に含まれる水素、またはトランジスタ200の周囲に存在する水素を捕獲または固着することができる。特にトランジスタ200のチャネル形成領域に含まれる水素を捕獲または固着することが好ましい。アモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ200の構成要素として用いる、またはトランジスタ200の周囲に設けることで、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、および半導体装置を作製することができる。
なお、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一は、アモルファス構造であることが好ましいが、一部に多結晶構造の領域が形成されていてもよい。また、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一は、アモルファス構造の層と、多結晶構造の層と、が積層された多層構造であってもよい。例えば、アモルファス構造の層の上に多結晶構造の層が形成された積層構造でもよい。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の成膜は、例えば、スパッタリング法を用いて行えばよい。スパッタリング法は、成膜ガスに水素を用いなくてよいので、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283の水素濃度を低減することができる。なお、成膜方法は、スパッタリング法に限られるものではなく、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いてもよい。例えば、絶縁体275は、被覆性が比較的良好なALD法を用いて成膜してもよい。また、ALD法の中でも、成膜温度を比較的低くすることができるPEALD法を用いてもよい。
また、絶縁体212、および絶縁体283の抵抗率を低くすることが好ましい場合がある。例えば、絶縁体212、および絶縁体283の抵抗率を概略1×1013Ωcmとすることで、半導体装置作製工程のプラズマ等を用いる処理において、絶縁体212、および絶縁体283が、導電体205、導電体242、導電体260、または導電体246のチャージアップを緩和することができる場合がある。絶縁体212、および絶縁体283の抵抗率は、好ましくは、1×1010Ωcm以上1×1015Ωcm以下とする。
また、絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間絶縁膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。ここで、導電体205は、絶縁体216に形成された開口に埋め込まれて設けることが好ましい。また、導電体205の一部が絶縁体214に埋め込まれる場合がある。
導電体205は、導電体205a、および導電体205bを有する。導電体205aは、当該開口の底面および側壁に接して設けられる。導電体205bは、導電体205aに形成された凹部に埋め込まれるように設けられる。ここで、導電体205bの上面の高さは、導電体205aの上面の高さおよび絶縁体216の上面の高さと略一致する。
ここで、導電体205aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体205aに、水素の拡散を低減する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bに含まれる水素などの不純物が、絶縁体224等を介して、酸化物230に拡散するのを防ぐことができる。また、導電体205aに、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205aとしては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。例えば、導電体205aは、窒化チタンを用いればよい。
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。例えば、導電体205bは、タングステンを用いればよい。
導電体205は、第2のゲート電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、導電体205に電位を印加しない場合よりトランジスタ200のVthを大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
なお、導電体205は、図15Aに示すように、酸化物230の導電体242aおよび導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、図15Cに示すように、導電体205は、酸化物230aおよび酸化物230bのチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、第1のゲート電極として機能する導電体260の電界と、第2のゲート電極として機能する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート、および第2のゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
なお、本明細書等において、S-channel構造のトランジスタとは、一対のゲート電極の一方および他方の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を表す。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
また、図15Cに示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体205は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体205を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
なお、トランジスタ200では、導電体205は、導電体205a、および導電体205bを積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁膜として機能する。
絶縁体222は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224よりも水素および酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230から基板側への酸素の放出、またはトランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の拡散を抑制する層として機能する。よって、絶縁体222を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ200の内側へ拡散することを抑制し、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電体205が、絶縁体224、および酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
または、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁体222は、これらの絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
酸化物230と接する絶縁体224は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体224を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。絶縁体224は、酸化物230aと重畳するように、島状に加工されていることが好ましい。この場合、絶縁体275が、絶縁体224の側面および絶縁体222の上面に接する構成になる。このような構成にすることで、絶縁体224の体積を著しく小さくし、絶縁体224と絶縁体280を絶縁体275によって離隔することができる。よって、絶縁体280に含まれる酸素が絶縁体224に拡散し、絶縁体224中の酸素が過剰になりすぎるのを抑制することができる。
なお、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。なお、図15Bなどにおいて、絶縁体224を、酸化物230aと重畳して島状に形成する構成について示したが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。絶縁体224に含まれる酸素量を適正に調整できるならば、絶縁体222と同様に、絶縁体224をパターニングしない構成にしてもよい。
また、トランジスタ200の作製工程中において、酸化物230の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上600℃以下、より好ましくは350℃以上550℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
なお、酸化物230に加酸素化処理を行うことで、酸化物230中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「VO+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物230中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物230中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
導電体242aおよび、導電体242bは、酸化物230bの上面に接して設けられることが好ましい。導電体242aと導電体242bは、それぞれトランジスタ200のソース電極またはドレイン電極として機能する。
導電体242(導電体242a、および導電体242b)としては、例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタルおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物などを用いることが好ましい。本発明の一態様においては、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
ここで、導電体242として、圧縮応力が大きい膜を用いることが好ましく、例えば、スパッタリング法を用いて成膜した窒化タンタルを用いることが好ましい。導電体242の応力によって、領域230baおよび領域230bbの結晶構造に歪が生じることで、これらの領域に酸素欠損が形成されやすくなる。これにより、領域230baおよび領域230bbに生じるVOHの量が増えるので、領域230baおよび領域230bbのキャリア濃度を増加させ、n型にすることができる。
なお、酸化物230bなどに含まれる水素が、導電体242aまたは導電体242bに拡散する場合がある。特に、導電体242aおよび導電体242bに、タンタルを含む窒化物を用いることで、酸化物230bなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに拡散しやすく、拡散した水素は、導電体242aまたは導電体242bが有する窒素と結合することがある。つまり、酸化物230bなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに吸い取られる場合がある。
また、導電体242の側面と導電体242の上面との間に、湾曲面が形成されないことが好ましい。当該湾曲面が形成されない導電体242とすることで、図15Dに示すような、チャネル幅方向の断面における、導電体242の断面積を大きくすることができる。これにより、導電体242の導電率を大きくし、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
絶縁体271aは、導電体242aの上面に接して設けられており、絶縁体271bは、導電体242bの上面に接して設けられている。絶縁体271は、水素などの不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。その場合、絶縁体271としては、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどの絶縁体を用いればよい。特に、絶縁体271として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウム、またはアモルファス構造の酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲または固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、および半導体装置を作製することができる。
また、絶縁体271は、酸素に対するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体271は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体271は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。この場合、絶縁体271としては、例えば、窒化シリコンなどのシリコンを含む窒化物を用いてもよい。
絶縁体275は、絶縁体222の上面、絶縁体224の側面、酸化物230aの側面、酸化物230bの側面、導電体242の側面、絶縁体271の側面および上面に接して設けられる。絶縁体275は、絶縁体250、および導電体260が設けられる領域に開口が形成されている。
また、絶縁体275は、酸素の透過を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。また、絶縁体275は、水、水素などの不純物の拡散を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましく、水素などの不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。絶縁体275としては、例えば、酸化アルミニウム、または窒化シリコンなどの絶縁体を単層で、または積層して用いればよい。例えば、アモルファス構造の酸化アルミニウム膜を設け、その上に積層して窒化シリコン膜を設ける構成にすればよい。このような積層構造とすることで、酸化アルミニウム膜の単層、または窒化シリコン膜の単層よりも、水素および酸素のバリア性を高めることができるので好ましい。
上記のような絶縁体271、および絶縁体275を設けることで、酸素に対するバリア性を有する絶縁体で、導電体242を包み込むことができる。つまり、絶縁体224、絶縁体280、および絶縁体250aに含まれる酸素が、導電体242に拡散するのを防ぐことができる。これにより、絶縁体224、絶縁体280、および絶縁体250aに含まれる酸素によって、導電体242が直接酸化されて抵抗率が増大し、オン電流が低減するのを抑制することができる。
また、絶縁体212と絶縁体275に挟まれた領域内で、水素などの不純物を捕獲する機能を有する、絶縁体214、絶縁体271、および絶縁体275を設けることで、絶縁体224、または絶縁体216などに含まれる水素などの不純物を捕獲し、当該領域内における、水素の量を一定値にすることができる。この場合は、絶縁体275の少なくとも一部に、アモルファス構造の酸化アルミニウムが含まれていることが好ましい。
絶縁体250は、絶縁体250aと、絶縁体250a上の絶縁体250bを有し、ゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁体250aは、酸化物230bの上面、および絶縁体280の側面に接して配置することが好ましい。また、絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
絶縁体250aは、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。なお、絶縁体250aとしては、膜中の炭素含有量が少ない方が好ましい。
ただし、本発明の一態様は、これに限定されず、絶縁体250aの膜中に炭素を有していてもよい。例えば、絶縁体250aの炭素濃度は、SIMSによる分析にて、好ましくは、1×1018atoms/cm3以上5×1020atoms/cm3以下、より好ましくは、5×1018atoms/cm3以上1×1020atoms/cm3以下である。なお、絶縁体250aの膜中の炭素濃度は、SIMS分析などにより測定することができる。
絶縁体250aは、絶縁体224と同様に、絶縁体250a中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
絶縁体250aは、加熱により酸素が拡散しやすくなる絶縁体を用いて形成し、絶縁体250bは、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体250aに含まれる酸素を拡散させる際に、導電体260へ酸素が拡散するのを抑制することができる。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250aに含まれる酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。例えば、絶縁体250bは、絶縁体222と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、絶縁体250aに酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体250bは、比誘電率が高いhigh-k材料である絶縁性材料を用いてもよい。ゲート絶縁体を、絶縁体250aと絶縁体250bとの積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
絶縁体250bとして、具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウムなどから選ばれた一種、もしくは二種以上が含まれた金属酸化物、または酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。また、絶縁体250bとして、酸化ハフニウム膜と、当該酸化ハフニウム膜上に窒化シリコン膜を設けた積層膜を用いてもよい。
なお、図15Bおよび図15Cでは、絶縁体250を2層の積層構造で図示したが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。絶縁体250を単層、または3層以上の積層構造としてもよい。例えば図16Bに示すように、絶縁体250bと導電体260aの間に絶縁体250cを設ける構成にしてもよい。絶縁体250cとしては、上述の絶縁体250bに用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体250cとしては、水素に対するバリア絶縁膜を用いることが好ましい。これにより、導電体260に含まれる水素などの不純物が、絶縁体250b、絶縁体250a、および酸化物230bに拡散するのを防ぐことができる。例えば、絶縁体250cとしてPEALD法で成膜した窒化シリコンを用いればよい。
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
なお、上記金属酸化物は、第1のゲート電極の一部としての機能を有する構成にしてもよい。例えば、酸化物230として用いることができる金属酸化物を、上記金属酸化物として用いることができる。その場合、導電体260aをスパッタリング法で成膜することで、上記金属酸化物の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。上記金属酸化物を有することで、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができる。
導電体260は、絶縁体250b上に設けられており、トランジスタ200の第1のゲート電極として機能する。導電体260は、導電体260aと、導電体260aの上に配置された導電体260bと、を有することが好ましい。例えば、導電体260aは、導電体260bの底面および側面を包むように配置されることが好ましい。また、図15Bおよび図15Cに示すように、導電体260の上面は、絶縁体250の上面と略一致している。なお、図15Bおよび図15Cでは、導電体260は、導電体260aと導電体260bの2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
また、トランジスタ200では、導電体260は、絶縁体280などに形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体260をこのように形成することにより、導電体242aと導電体242bとの間の領域に、導電体260を位置合わせすることなく確実に配置することができる。なお、図16Aなどに示すように、当該開口の上部が当該開口の下部より広がった形状の場合、導電体260も同様に、上部が下部より広がった形状になる。
また、図15Cに示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向において、絶縁体222の底面を基準としたときの、導電体260の、導電体260と酸化物230bとが重ならない領域の底面の高さは、酸化物230bの底面の高さより低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電体260が、絶縁体250などを介して、酸化物230bのチャネル形成領域の側面および上面を覆う構成とすることで、導電体260の電界を酸化物230bのチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。絶縁体222の底面を基準としたときの、酸化物230aおよび酸化物230bと、導電体260とが、重ならない領域における導電体260の底面の高さと、酸化物230bの底面の高さと、の差は、0nm以上100nm以下、好ましくは、3nm以上50nm以下、より好ましくは、5nm以上20nm以下とする。
絶縁体280は、絶縁体275上に設けられ、絶縁体250、および導電体260が設けられる領域に開口が形成されている。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。この場合、絶縁体280の上面は、絶縁体250の上面、および導電体260の上面と概略一致していることが好ましい。
層間絶縁膜として機能する絶縁体280は、誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間絶縁膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁体280は、例えば、絶縁体216と同様の材料を用いて設けることが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
絶縁体280は、絶縁体224と同様に、過剰酸素を有する場合がある。また、絶縁体280は、水、水素などの不純物濃度は低減されていることが好ましい。例えば、絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどのシリコンを含む酸化物を適宜用いればよい。絶縁体280を絶縁体250aに接して設けることにより、絶縁体250aを介して酸化物230に酸素を供給することができる。当該酸素によって、酸化物230中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
絶縁体282は、絶縁体280の上面、絶縁体250の上面、および導電体260の上面に接して設けられる。絶縁体282としては、例えば、酸化アルミニウムなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体282として、スパッタリング法を用いて酸化アルミニウムを成膜することで、絶縁体280に過剰酸素を含ませることができる。絶縁体282は、水、水素などの不純物が、上方から絶縁体280に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましく、水素などの不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。また、絶縁体282は、酸素の透過を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体212と絶縁体283に挟まれた領域内で、絶縁体280に接して、水素などの不純物を捕獲する機能を有する、絶縁体282を設けることで、絶縁体280などに含まれる水素などの不純物を捕獲し、当該領域内における、水素の量を一定値にすることができる。特に、絶縁体282として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウム、またはアモルファス構造の酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲または固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、および半導体装置を作製することができる。
絶縁体283は、水、水素などの不純物が、上方から絶縁体280に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能する。絶縁体283は、絶縁体282の上に配置される。絶縁体283としては、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどの、シリコンを含む窒化物を用いることが好ましい。例えば、絶縁体283としてスパッタリング法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。絶縁体283をスパッタリング法で成膜することで、密度が高く、鬆などが形成されにくい窒化シリコン膜を形成することができる。また、絶縁体283として、スパッタリング法で成膜された窒化シリコンの上に、さらに、ALD法で成膜された窒化シリコンを積層してもよい。このような構造とすることで、スパッタリング法によって成膜する窒化シリコンに欠陥、例えばボイドが生じても被覆性の良好なALD法によって成膜する窒化シリコンによって当該ボイドを埋めて、封止性能を高めることができるので好ましい。
絶縁体285は、絶縁体283上に設けられる。絶縁体285は、例えば、絶縁体280と同様の材料を用いて設けることが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。なお、図15Bおよび図15Cでは、絶縁体285を設ける構造を図示したが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。絶縁体285を設けず、絶縁体283に接して、導電体246を設ける構成にしてもよい。
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体240bはそれぞれ積層構造としてもよい。
また、導電体240を積層構造とする場合、絶縁体241と接する第1の導電体には、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。また、絶縁体283より上層に含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
絶縁体241aおよび絶縁体241bとしては、絶縁体275などに用いることができるバリア絶縁膜を用いればよい。例えば、絶縁体241aおよび絶縁体241bとして、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体241aおよび絶縁体241bは、絶縁体283、絶縁体282、および絶縁体271に接して設けられるので、絶縁体280などに含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
絶縁体241aおよび絶縁体241bを、図15Aに示すように積層構造にする場合、絶縁体280などの開口の内壁に接する第1の絶縁体と、その内側の第2の絶縁体は、酸素に対するバリア絶縁膜と、水素に対するバリア絶縁膜を組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、第1の絶縁体として、ALD法で成膜された酸化アルミニウムを用い、第2の絶縁体として、PEALD法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。このような構成にすることで、導電体240の酸化を抑制し、さらに、導電体240に水素が混入するのを低減することができる。
また、導電体240aの上面に接して配線として機能する導電体246a、および、導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体246bを配置してもよい。導電体246(導電体246a、および導電体246b)は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムを材料とした半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間絶縁膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などがある。
また、金属酸化物を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコンなどの金属窒化物を用いることができる。
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
<半導体装置の作製方法>
次に、図15A乃至図15Dに示す、本発明の一態様である半導体装置の作製方法を、図17乃至図26を用いて説明する。
図17A、図18A、図19A、図20A、図21A、図22A、図23A、図24A、図25A、および図26Aは上面図を示す。また、図17B、図18B、図19B、図20B、図21B、図22B、図23B、図24B、図25B、および図26Bはそれぞれ、図17A、図18A、図19A、図20A、図21A、図22A、図23A、図24A、図25A、および図26AにA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図17C、図18C、図19C、図20C、図21C、図22C、図23C、図24C、図25C、および図26Cはそれぞれ、図17A、図18A、図19A、図20A、図21A、図22A、図23A、図24A、図25A、および図26AにA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図17D、図18D、図19D、図20D、図21D、図22D、図23D、図24D、図25D、および図26Dはそれぞれ、図17A、図18A、図19A、図20A、図21A、図22A、図23A、図24A、図25A、および図26AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図17A、図18A、図19A、図20A、図21A、図22A、図23A、図24A、図25A、および図26Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
以下において、絶縁体を形成するための絶縁性材料、導電体を形成するための導電性材料、または半導体を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いて成膜することができる。
なお、スパッタリング法にはスパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、さらにパルス的に電極に印加する電圧を変化させるパルスDCスパッタリング法がある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタリング法は主に金属導電膜を成膜する場合に用いられる。また、パルスDCスパッタリング法は、主に、酸化物、窒化物、炭化物などの化合物をリアクティブスパッタリング法で成膜する際に用いられる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法(プラズマ化学気相成長法と呼ぶ場合もある)、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法(有機金属化学気相成長法と呼ぶ場合もある)に分けることができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
また、ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD(Thermal ALD)法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD法などを用いることができる。
また、ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるので、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、低温での成膜が可能、などの効果がある。PEALD法では、プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送および圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体212を成膜する(図17A乃至図17D参照)。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体212中の水素濃度を低減することができる。ただし、絶縁体212の成膜は、スパッタリング法に限られるものではなく、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いてもよい。
本実施の形態では、絶縁体212として、窒素ガスを含む雰囲気でシリコンターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法で窒化シリコンを成膜する。パルスDCスパッタリング法を用いることで、ターゲット表面のアーキングによるパーティクルの発生を抑制することができるので、膜厚分布をより均一にすることができる。また、パルス電圧を用いることで、高周波電圧より、放電の立ち上がり、立ち下がりを急峻にすることができる。これにより、電極に電力をより効率的に供給し、スパッタレート、および膜質を向上することができる。
窒化シリコンのように水、水素などの不純物が透過しにくい絶縁体を用いることにより、絶縁体212より下層に含まれる水、水素などの不純物の拡散を抑制することができる。また、絶縁体212として、窒化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、絶縁体212より下層(図示しない)の導電体に銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が絶縁体212を介して上方に拡散するのを抑制することができる。
次に、絶縁体212上に絶縁体214を成膜する(図17A乃至図17D参照)。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体214中の水素濃度を低減することができる。ただし、絶縁体214の成膜は、スパッタリング法に限られるものではなく、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いてもよい。
本実施の形態では、絶縁体214として、酸素ガスを含む雰囲気でアルミニウムターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法で酸化アルミニウムを成膜する。パルスDCスパッタリング法を用いることで、膜厚分布をより均一にし、スパッタレート、および膜質を向上することができる。ここで、基板にRF(Radio Frequency)電力を印加してもよい。例えば、絶縁体214の下層を成膜するときは、RF電力を印加せず、絶縁体214の上層を成膜するときにRF電力を印加する構成にしてもよい。基板に印加するRF電力の大きさによって、絶縁体214より下層へ注入する酸素量を制御することができる。RF電力としては、0W/cm2以上、1.86W/cm2以下とする。つまり、絶縁体214の形成の際のRF電力によって、トランジスタの特性に適する酸素量を変化させて注入することができる。従って、トランジスタの信頼性向上に適する酸素量を注入することができる。また、RFの周波数は、10MHz以上が好ましい。代表的には、13.56MHzである。RFの周波数が高いほど基板へ与えるダメージを小さくすることができる。
絶縁体214として、水素を捕獲および水素を固着する機能が高い、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば酸化アルミニウムを用いることが好ましい。これにより、絶縁体216などに含まれる水素を捕獲または固着し、当該水素が酸化物230に拡散するのを防ぐことができる。特に、絶縁体214として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウム、またはアモルファス構造の酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲または固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、および半導体装置を作製することができる。
次に、絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体216中の水素濃度を低減することができる。ただし、絶縁体216の成膜は、スパッタリング法に限られるものではなく、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いてもよい。
本実施の形態では、絶縁体216として、酸素ガスを含む雰囲気でシリコンターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法で酸化シリコンを成膜する。パルスDCスパッタリング法を用いることで、膜厚分布をより均一にし、スパッタレート、および膜質を向上することができる。
絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216は、大気に暴露することなく連続して成膜することが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。これにより、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216を、膜中の水素を低減して成膜し、さらに、各成膜工程の合間に膜中に水素が混入するのを低減することができる。
次に、絶縁体216に絶縁体214に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝、スリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウェットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体214として、絶縁体216をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体216に酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いた場合は、絶縁体214は窒化シリコン、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムを用いるとよい。なお、絶縁体216の開口に重畳して、絶縁体214に凹部が形成される場合がある。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電圧を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。または、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜として窒化チタン膜を成膜する。このような金属窒化物を導電体205bの下面および側面に接して設けることにより、絶縁体216などによって、導電体205bが酸化されるのを抑制することができる。また、導電体205bとして銅などの拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体205aから外に拡散するのを防ぐことができる。
次に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。該導電膜としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金などを用いることができる。該導電膜の成膜は、メッキ法、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、該導電膜として、タングステン膜を成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜および導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する(図17A乃至図17D参照)。その結果、開口部のみに、導電体205aおよび導電体205bが残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205を形成することができる。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体222を成膜する(図18A乃至図18D参照)。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体222として、ALD法を用いて、酸化ハフニウムを成膜する。
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、絶縁体222などに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体222の成膜後に、窒素ガスと酸素ガスの流量比を4slm:1slmとして、400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体222に含まれる水、水素などの不純物を除去することなどができる。また、絶縁体222として、ハフニウムを含む酸化物を用いる場合、当該加熱処理によって、絶縁体222の一部が結晶化する場合がある。また、加熱処理は、絶縁体224の成膜後などのタイミングで行うこともできる。
次に、絶縁体222上に絶縁膜224Aを成膜する(図18A乃至図18D参照)。絶縁膜224Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁膜224Aとして、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜を成膜する。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁膜224A中の水素濃度を低減することができる。絶縁膜224Aは、後の工程で酸化物230aと接するので、このように水素濃度が低減されていることが好適である。
次に、絶縁膜224A上に、酸化膜230A、酸化膜230Bを順に成膜する(図18A乃至図18D参照)。なお、酸化膜230Aおよび酸化膜230Bは、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MOCVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットなどを用いることができる。
なお、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁膜224Aに供給される場合がある。したがって、当該スパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下として成膜すると、酸素過剰型の酸化物半導体が形成される。酸素過剰型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い信頼性が得られる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとしては、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の酸化物ターゲットを用いてもよい。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230a、および酸化物230bに求める特性に合わせて形成するとよい。
なお、絶縁膜224A、酸化膜230A、および酸化膜230Bを、大気に暴露することなく、スパッタリング法で成膜することが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。これにより、絶縁膜224A、酸化膜230A、および酸化膜230Bを、膜中の水素を低減して成膜し、さらに、各成膜工程の合間に膜中に水素が混入するのを低減することができる。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、酸化膜230A、および酸化膜230Bが多結晶化しない温度範囲で行えばよく、250℃以上650℃以下、好ましくは400℃以上600℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、酸化膜230A、および酸化膜230Bなどに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
本実施の形態では、上記加熱処理として、窒素ガスと酸素ガスの流量比を4slm:1slmとして、450℃の温度で1時間の処理を行う。このような酸素ガスを含む加熱処理によって、酸化膜230Aおよび酸化膜230B中の炭素、水、水素などの不純物を低減することなどができる。このように膜中の不純物を低減することで、酸化膜230Bの結晶性を向上させ、より密度の高い、緻密な構造にすることができる。これにより、酸化膜230Aおよび酸化膜230B中の結晶領域を増大させ、酸化膜230Aおよび酸化膜230B中における、結晶領域の面内ばらつきを低減することができる。よって、トランジスタ200の電気特性の面内ばらつきを低減することができる。
次に、酸化膜230B上に導電膜242Aを成膜する(図18A乃至図18D参照)。導電膜242Aの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、導電膜242Aとして、スパッタリング法を用いて窒化タンタル膜を成膜すればよい。なお、導電膜242Aの成膜前に、加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して導電膜242Aを成膜してもよい。このような処理を行うことによって、酸化膜230Bの表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化膜230A中、酸化膜230B中、および酸化膜230B中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。本実施の形態では、加熱処理の温度を200℃とする。
次に、導電膜242A上に絶縁膜271Aを成膜する(図18A乃至図18D参照)。絶縁膜271Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁膜271Aは、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、絶縁膜271Aとして、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜すればよい。
なお、導電膜242A、および絶縁膜271Aを、大気に暴露することなく、スパッタリング法で成膜することが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。これにより、導電膜242A、および絶縁膜271Aを、膜中の水素を低減して成膜し、さらに、各成膜工程の合間に膜中に水素が混入するのを低減することができる。また、絶縁膜271A上にハードマスクを設ける場合、当該ハードマスクとなる膜も大気に暴露することなく連続して成膜すればよい。
次に、リソグラフィー法を用いて、絶縁膜224A、酸化膜230A、酸化膜230B、導電膜242A、および絶縁膜271Aを島状に加工して、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bを形成する(図19A乃至図19D参照)。ここで、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。上記加工はドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、絶縁膜224A、酸化膜230A、酸化膜230B、導電膜242A、および絶縁膜271Aの加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体、または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームまたはイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームまたはイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチング処理を行うことで、除去することができる。
さらに、レジストマスクの下に絶縁体または導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、導電膜242A上にハードマスク材料となる絶縁膜または導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。導電膜242Aなどのエッチングは、レジストマスクを除去してから行っても良いし、レジストマスクを残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。導電膜242Aなどのエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去しても良い。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。本実施の形態では、絶縁層271Bをハードマスクとして用いている。
ここで、絶縁層271Bが導電層242Bのマスクとして機能するので、図19B乃至図19Dに示すように、導電層242Bは側面と上面の間に湾曲面を有さない。これにより、図15Bおよび図15Dに示す導電体242aおよび導電体242bは、側面と上面が交わる端部が角状になる。導電体242の側面と上面が交わる端部が角状になることで、当該端部が曲面を有する場合に比べて、導電体242の断面積が大きくなる。これにより、導電体242の抵抗が低減されるので、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
また、図19B乃至図19Dに示すように、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bの断面がテーパー形状になっていてもよい。なお、本明細書等において、テーパー形状とは、構造の側面の少なくとも一部が、基板面に対して傾斜して設けられている形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面とがなす角(以下、テーパー角と呼ぶ場合がある)が90°未満であることが好ましい。絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bは、例えば、テーパー角が60°以上90°未満になるようにすればよい。このように断面をテーパー形状にすることで、これより後の工程において、絶縁体275などの被覆性が向上し、鬆などの欠陥を低減することができる。
ただし、上記に限られず、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直になる構成にしてもよい。このような構成にすることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。
また、上記エッチング工程で発生した副生成物が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bの側面に層状に形成される場合がある。この場合、当該層状の副生成物が、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電層242B、および絶縁層271Bと絶縁体275の間に形成されることになる。よって、当該層状の副生成物は、除去することが好ましい。
次に、絶縁体224、および絶縁層271Bなどを覆って、絶縁体275を成膜する。(図20A乃至図20D参照)。ここで、絶縁体275は、絶縁体222の上面および絶縁体224の側面に密接することが好ましい。絶縁体275の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体275は、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、絶縁体275として、スパッタリング法を用いて、酸化アルミニウムを成膜し、その上にPEALD法を用いて窒化シリコンを成膜すればよい。絶縁体275をこのような積層構造とすることで、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能が向上することがある。
このようにして、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および導電層242Bを、酸素の拡散を抑制する機能を有する、絶縁体275、および絶縁層271Bで覆うことができる。これにより、のちの工程で、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および導電層242Bに、絶縁体280などから酸素が直接拡散するのを低減することができる。
次に、絶縁体275上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、当該絶縁膜として、スパッタリング法を用いて酸化シリコン膜を成膜すればよい。当該絶縁膜を、酸素を含む雰囲気で、スパッタリング法で成膜することで、過剰酸素を含む絶縁体280を形成することができる。また、成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体280中の水素濃度を低減することができる。なお、当該絶縁膜の成膜前に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して当該絶縁膜を成膜してもよい。このような処理を行うことによって、絶縁体275の表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化物230a中、酸化物230b中、および絶縁体224中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。当該加熱処理には、上述した加熱処理条件を用いることができる。
次に、絶縁体280となる絶縁膜にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体280を形成する(図20A乃至図20D参照)。なお、絶縁体280上に、例えば、スパッタリング法によって窒化シリコンを成膜し、該窒化シリコンを絶縁体280に達するまで、CMP処理を行ってもよい。
次に、絶縁体280の一部、絶縁体275の一部、絶縁層271Bの一部、導電層242Bの一部を加工して、酸化物230bに達する開口を形成する。当該開口は、導電体205と重なるように形成することが好ましい。当該開口の形成によって、絶縁体271a、絶縁体271b、導電体242a、および導電体242bを形成する(図21A乃至図21D参照)。
ここで、図21Bおよび図21Cに示すように、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体271、および導電体242の側面がテーパー形状となる場合がある。また、絶縁体280のテーパー角が、導電体242のテーパー角より大きくなる場合がある。また、図21A乃至図21Cには図示していないが、上記開口を形成する際に、酸化物230bの上部が除去される場合がある。
また、絶縁体280の一部、絶縁体275の一部、絶縁層271Bの一部、導電層242Bの一部の加工は、ドライエッチング法、またはウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、当該加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。例えば、絶縁体280の一部をドライエッチング法で加工し、絶縁体275の一部、絶縁層271Bの一部、をウェットエッチング法で加工し、導電層242Bの一部をドライエッチング法で加工してもよい。
ここで、酸化物230aの側面、酸化物230bの上面および側面、導電体242の側面、絶縁体280の側面などへの不純物の付着、またはこれらの内部への該不純物の拡散が生じる場合がある。このような不純物を除去する工程を行ってもよい。また、上記ドライエッチングで酸化物230b表面に損傷領域が形成される場合がある。このような損傷領域を除去してもよい。当該不純物としては、絶縁体280、絶縁体275、絶縁層271Bの一部、および導電層242Bに含まれる成分、上記開口を形成する際に用いられる装置に使われている部材に含まれる成分、エッチングに使用するガスまたは液体に含まれる成分などに起因したものが挙げられる。当該不純物としては、例えば、ハフニウム、アルミニウム、シリコン、タンタル、フッ素、塩素などがある。
特に、アルミニウム、またはシリコンなどの不純物は、酸化物230bのCAAC化を阻害する。よって、アルミニウム、またはシリコンなどの、CAAC化を阻害する不純物元素が、低減または除去されていることが好ましい。例えば、酸化物230b、およびその近傍における、アルミニウム原子の濃度が、5.0原子%以下とすればよく、2.0原子%以下が好ましく、1.5原子%以下がより好ましく、1.0原子%以下がさらに好ましく、0.3原子%未満がさらに好ましい。
なお、アルミニウム、またはシリコンなどの不純物によりCAAC化が阻害され、a-like構造となった金属酸化物の領域を、非CAAC領域と呼ぶ場合がある。非CAAC領域では、結晶構造の緻密さが低下しているため、VOHが多量に形成され、トランジスタがノーマリーオン化しやすくなる。よって、酸化物230bの非CAAC領域は、低減または除去されていることが好ましい。
これに対して、酸化物230bにCAAC構造を有していることが好ましい。特に、酸化物230bのドレイン下端部までCAAC構造を有することが好ましい。ここで、トランジスタ200において、導電体242aまたは導電体242b、およびその近傍がドレインとして機能する。つまり、導電体242a(導電体242b)の下端部近傍の、酸化物230bが、CAAC構造を有することが好ましい。このように、ドレイン耐圧に顕著に影響するドレイン端部においても、酸化物230bの損傷領域が除去され、CAAC構造を有することで、トランジスタ200の電気特性の変動をさらに抑制することができる。また、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
上記エッチング工程で酸化物230b表面に付着した不純物などを除去するために、洗浄処理を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウェット洗浄(ウェットエッチング処理ということもできる)、プラズマを用いたプラズマ処理、熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。なお、当該洗浄処理によって、上記溝部が深くなる場合がある。
ウェット洗浄としては、アンモニア水、シュウ酸、リン酸、フッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液、純水、炭酸水などを用いて洗浄処理を行ってもよい。または、これらの水溶液、純水、または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。または、これらの洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
なお、本明細書等では、市販のフッ化水素酸を純水で希釈した水溶液を希釈フッ化水素酸と呼び、市販のアンモニア水を純水で希釈した水溶液を希釈アンモニア水と呼ぶ場合がある。また、当該水溶液の濃度、温度などは、除去したい不純物、洗浄される半導体装置の構成などによって、適宜調整すればよい。希釈アンモニア水のアンモニア濃度は0.01%以上5%以下、好ましくは0.1%以上0.5%以下とすればよい。また、希釈フッ化水素酸のフッ化水素濃度は0.01ppm以上100ppm以下、好ましくは0.1ppm以上10ppm以下とすればよい。
なお、超音波洗浄には、200kHz以上、好ましくは900kHz以上の周波数を用いることが好ましい。当該周波数を用いることで、酸化物230bなどへのダメージを低減することができる。
また、上記洗浄処理を複数回行ってもよく、洗浄処理毎に洗浄液を変更してもよい。例えば、第1の洗浄処理として希釈フッ化水素酸、または希釈アンモニア水を用いた処理を行い、第2の洗浄処理として純水、または炭酸水を用いた処理を行ってもよい。
上記洗浄処理として、本実施の形態では、希釈アンモニア水を用いてウェット洗浄を行う。当該洗浄処理を行うことで、酸化物230a、酸化物230bなどの表面に付着または内部に拡散した不純物を除去することができる。
上記エッチング後、または上記洗浄後に加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、100℃以上500℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガス、不活性ガス、または酸化性ガスの雰囲気で行えばよい。または、窒素ガス、または不活性ガスに、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行えばよい。例えば、加熱処理は酸素ガスと窒素ガスの混合雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230aおよび酸化物230bに酸素を供給して、酸素欠損の低減を図ることができる。また、このような熱処理を行うことで、酸化物230bの結晶性を向上させることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、酸素雰囲気で加熱処理した後に、大気に露出せずに連続して窒素雰囲気で加熱処理を行ってもよい。また、酸素雰囲気で加熱処理した後に、大気に露出せずに連続して窒素雰囲気で加熱処理を行う場合、酸素雰囲気での加熱処理を窒素雰囲気での加熱処理よりも長時間行ってもよい。
次に絶縁膜250Aを成膜する(図22A乃至図22D参照)。絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行ってもよく、当該加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して絶縁膜250Aを成膜してもよい。また、当該加熱処理は、酸素を含む雰囲気で行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化物230bの表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化物230a中、および酸化物230b中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。
絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、PECVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて成膜することができる。また、絶縁膜250Aは、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁膜250Aの水素濃度を低減することができる。絶縁膜250Aは、後の工程で酸化物230bと接する絶縁体250aとなるので、このように水素濃度が低減されていることが好適である。
また、絶縁膜250AはALD法を用いて成膜することが好ましい。微細化されたトランジスタ200の、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体250の膜厚は、極めて薄く(例えば、5nm以上30nm以下程度)、且つバラつきが小さくなるようにする必要がある。これに対して、ALD法は、プリカーサと、リアクタント(例えば酸化剤など)を交互に導入して行う成膜方法であり、このサイクルを繰り返す回数によって膜厚を調節することができるため、精密な膜厚調節が可能である。よって、微細化されたトランジスタ200が要求するゲート絶縁膜の膜厚の精度を達成することができる。また、図22Bおよび図22Cに示すように、絶縁膜250Aは、絶縁体280等によって形成される開口の底面および側面に、被覆性良く成膜される必要がある。当該開口の底面および側面において、原子の層を一層ずつ堆積させることができるので、絶縁膜250Aを当該開口に対して良好な被覆性で成膜することができる。
また、例えば、SiH4(またはSi2H6)などの水素を含むガスを成膜ガスとして、PECVD法を用いて絶縁膜250Aの成膜を行う場合、水素を含む成膜ガスがプラズマ中で分解されて、大量の水素ラジカルが発生する。水素ラジカルの還元反応によって、酸化物230b中の酸素が引き抜かれてVOHが形成されると、酸化物230b中の水素濃度が高くなる。しかしながら、ALD法を用いて絶縁膜250Aを成膜すると、プリカーサの導入時もリアクタントの導入時も、水素ラジカルの発生を抑制することができる。よって、ALD法を用いて絶縁膜250Aを成膜することにより、酸化物230b中の水素濃度が高くなることを防ぐことができる。
本実施の形態では、絶縁膜250Aとして酸化シリコン膜をPEALD法によって成膜する。
なお、絶縁膜250Aの成膜前に上述した不純物の除去を行わない場合、酸化物230a、酸化物230b、導電体242、絶縁体280などと絶縁体250aとの間に該不純物が残存する場合がある。
次に、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことが好ましい(図22A乃至図22D参照)。ここで、マイクロ波処理とは、例えばマイクロ波を用いて高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いた処理のことを指す。また、本明細書などにおいて、マイクロ波とは、300MHz以上300GHz以下の周波数を有する電磁波を指すものとする。
図22B乃至図22Dに示す、点線はマイクロ波、RFなどの高周波酸素プラズマ、または酸素ラジカルなどを示す。マイクロ波処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する、マイクロ波処理装置を用いることが好ましい。ここで、マイクロ波処理装置の周波数は、300MHz以上300GHz以下、好ましくは2.4GHz以上2.5GHz以下、例えば、2.45GHzにすればよい。また、マイクロ波処理装置のマイクロ波を印加する電源の電力は、1000W以上10000W以下、好ましくは2000W以上5000W以下にすればよい。また、マイクロ波処理装置は基板側にRFを印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができる。また、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素イオンを、効率よく酸化物230b中に導くことができる。
また、上記マイクロ波処理は、減圧下で行うことが好ましく、圧力を60Pa以上、好ましくは133Pa以上、より好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。例えば、10Pa以上1000Pa以下、好ましくは300Pa以上700Pa以下にすればよい。また、処理温度は、750℃以下、好ましくは500℃以下、例えば400℃程度で行えばよい。また、酸素プラズマ処理を行った後に、外気に曝すことなく、連続して熱処理を行ってもよい。例えば、100℃以上750℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下にすればよい。
また、例えば、上記マイクロ波処理は、酸素ガスとアルゴンガスを用いて行えばよい。ここで、酸素流量比(O2/(O2+Ar))は、0%より大きく、100%以下にすればよい。好ましくは、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を、0%より大きく、50%以下にすればよい。より好ましくは、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を、10%以上、40%以下にすればよい。さらに好ましくは、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を、10%以上、30%以下にすればよい。このように、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、領域230bc中のキャリア濃度を低下させることができる。また、マイクロ波処理において、チャンバーに過剰な量の酸素が導入されないようにすることで、領域230baおよび領域230bbでキャリア濃度が過剰に低下するのを防ぐことができる。
図22B乃至図22Dに示すように、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、マイクロ波、またはRF等の高周波を用いて酸素ガスをプラズマ化し、当該酸素プラズマを酸化物230bの導電体242aと導電体242bの間の領域に作用させることができる。このとき、マイクロ波、またはRF等の高周波を領域230bcに照射することもできる。つまり、図16Aに示す領域230bcに、マイクロ波、またはRF等の高周波酸素プラズマなどを作用させることができる。プラズマ、マイクロ波などの作用により、領域230bcのVOHを分断し、水素Hを領域230bcから除去することができる。つまり、領域230bcにおいて、「VOH→H+VO」という反応が起きて、領域230bcに含まれるVOHを低減することができる。よって、領域230bc中の酸素欠損、およびVOHを低減し、キャリア濃度を低下させることができる。また、領域230bcで形成された酸素欠損に、上記酸素プラズマで発生した酸素ラジカル、または絶縁体250に含まれる酸素を供給することで、さらに、領域230bc中の酸素欠損を低減し、キャリア濃度を低下させることができる。
一方、図16Aに示す領域230baおよび領域230bb上には、導電体242aおよび導電体242bが設けられている。ここで、導電体242は、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う際、マイクロ波、RF等の高周波、酸素プラズマなどの作用に対する遮蔽膜として機能することが好ましい。このため、導電体242は、300MHz以上300GHz以下、例えば、2.4GHz以上2.5GHz以下の電磁波を遮蔽する機能を有することが好ましい。
図22B乃至図22Dに示すように、導電体242aおよび導電体242bは、マイクロ波、またはRF等の高周波酸素プラズマなどの作用を遮蔽するので、これらの作用は領域230baおよび領域230bbには及ばない。これにより、マイクロ波処理によって、領域230baおよび領域230bbで、VOHの低減、および過剰な量の酸素供給が発生しないので、キャリア濃度の低下を防ぐことができる。
このようにして、酸化物半導体の領域230bcで選択的に酸素欠損、およびVOHを除去して、領域230bcをi型または実質的にi型とすることができる。さらに、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域230baおよび領域230bbに過剰な酸素が供給されるのを抑制し、n型化を維持することができる。これにより、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制し、基板面内でトランジスタ200の電気特性がばらつくのを抑制することができる。
なお、マイクロ波処理では、マイクロ波と酸化物230b中の分子の電磁気的な相互作用により、酸化物230bに直接的に熱エネルギーを伝達する場合がある。この熱エネルギーにより、酸化物230bが加熱される場合がある。このような加熱処理をマイクロ波アニールと呼ぶ場合がある。マイクロ波処理を、酸素を含む雰囲気中で行うことで、酸素アニールと同等の効果が得られる場合がある。また、酸化物230bに水素が含まれる場合、この熱エネルギーが酸化物230b中の水素に伝わり、これにより活性化した水素が酸化物230bから放出されることが考えられる。
次に、絶縁膜250Bを成膜する(図23A乃至図23D参照)。絶縁膜250Bの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜250Bは、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体250aに含まれる酸素が、導電体260へ拡散するのを抑制することができる。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250aに含まれる酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。例えば、絶縁膜250Aは、上述した絶縁体250aに用いることができる材料を用いて設け、絶縁膜250Bは、絶縁体222と同様の材料を用いて設けることができる。
絶縁膜250Bとして、具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウムなどから選ばれた一種、もしくは二種以上が含まれた金属酸化物、または酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることが好ましい。
本実施の形態では、絶縁膜250Bとして酸化ハフニウム膜を熱ALD法で成膜する。
絶縁膜250Bの成膜後にマイクロ波処理を行ってもよい(図23A乃至図23D参照)。当該マイクロ波処理は、前述の絶縁膜250Aの成膜後に行うマイクロ波処理条件を用いてもよい。また、絶縁膜250Aの成膜後に行うマイクロ波処理は行わずに、絶縁膜250Bの成膜後にマイクロ波処理を行ってもよい。
また、絶縁膜250Aの成膜後、および絶縁膜250Bの成膜後それぞれのマイクロ波処理後に減圧状態を保ったままで、加熱処理を行ってもよい。このような処理を行うことで、絶縁膜250A中、絶縁膜250B中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素を効率よく除去することができる。また、水素の一部は、導電体242(導電体242a、および導電体242b)にゲッタリングされる場合がある。または、マイクロ波処理後に減圧状態を保ったままで、加熱処理を行うステップを複数回繰り返して行ってもよい。加熱処理を繰り返し行うことで、絶縁膜250A中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素をさらに効率よく除去することができる。なお、加熱処理温度は、300℃以上500℃以下とすることが好ましい。また、上記マイクロ波処理、すなわちマイクロ波アニールが該加熱処理を兼ねてもよい。マイクロ波アニールにより、酸化物230bなどが十分加熱される場合、該加熱処理を行わなくてもよい。
また、マイクロ波処理を行って絶縁膜250A、および絶縁膜250Bの膜質を改質することで、水素、水、不純物等の拡散を抑制することができる。従って、導電体260となる導電膜の成膜などの後工程、または熱処理などの後処理により、絶縁体250を介して、水素、水、不純物等が、酸化物230b、酸化物230aなどへ拡散することを抑制することができる。
次に、導電体260aとなる導電膜、導電体260bとなる導電膜を順に成膜する。導電体260aとなる導電膜および導電体260bとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、ALD法を用いて、導電体260aとなる導電膜を成膜し、CVD法を用いて導電体260bとなる導電膜を成膜する。
次に、CMP処理によって、絶縁膜250A、絶縁膜250B、導電体260aとなる導電膜、および導電体260bとなる導電膜を絶縁体280が露出するまで研磨することによって、絶縁体250a、絶縁体250b、導電体260a、および導電体260bを形成する(図24A乃至図24D参照)。これにより、絶縁体250は、酸化物230bに達する開口の内壁(側壁、および底面)を覆うように配置される。また、導電体260は、絶縁体250を介して、上記開口を埋め込むように配置される。
次に、上記の加熱処理と同様の条件で加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。該加熱処理によって、絶縁体250および絶縁体280中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。なお、上記加熱処理後、大気に曝すことなく連続して、絶縁体282の成膜を行ってもよい。
次に、絶縁体250上、導電体260上、および絶縁体280上に、絶縁体282を形成する(図25A乃至図25D参照)。絶縁体282の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。絶縁体282の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体282中の水素濃度を低減することができる。また、スパッタリング法を用いて、酸素を含む雰囲気で絶縁体282の成膜を行うことで、成膜しながら、絶縁体280に酸素を添加することができる。これにより、絶縁体280に過剰酸素を含ませることができる。このとき、基板加熱を行いながら、絶縁体282を成膜することが好ましい。
本実施の形態では、絶縁体282として、酸素ガスを含む雰囲気でアルミニウムターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法で酸化アルミニウムを成膜する。パルスDCスパッタリング法を用いることで、膜厚分布をより均一にし、スパッタレート、および膜質を向上することができる。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。当該加熱処理は、上述の加熱処理と同様の条件で行うことができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体282の成膜によって添加された酸素を絶縁体280、絶縁体250aへ拡散させ、酸化物230のチャネル形成領域へ選択的に供給することができる。これにより、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。また、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。
なお、上記加熱処理は、絶縁体282の形成後に限らず、絶縁体283の成膜後などに行ってもよい。
次に、絶縁体282上に、絶縁体283を形成する(図25A乃至図25D参照)。絶縁体283の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体283の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。成膜ガスに水素を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁体283中の水素濃度を低減することができる。また、絶縁体283は、多層としてもよい。例えば、スパッタリング法を用いて、窒化シリコンを成膜し、当該窒化シリコン上に、CVD法を用いて窒化シリコンを成膜してもよい。
次に、絶縁体283上に、絶縁体285を成膜する。絶縁体285の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体285として、CVD法を用いて酸化シリコンを成膜すればよい。
次に、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体285に、導電体242に達する開口を形成する(図26A乃至図26D参照)。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。なお、図26Aで当該開口の形状は、上面視において円形状にしているが、これに限られるものではない。例えば、当該開口が、上面視において、楕円などの略円形状、四角形などの多角形状、四角形等の多角形の角部を丸めた形状になっていてもよい。
次に、絶縁体241aおよび絶縁体241bとなる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして絶縁体241aおよび絶縁体241bを形成する。(図26A乃至図26D参照)。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。当該絶縁膜としては、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を成膜し、その上に、PEALD法を用いて、窒化シリコン膜を成膜することが好ましい。窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好ましい。
また、絶縁体241aおよび絶縁体241bとなる絶縁膜の異方性エッチングとしては、例えばドライエッチング法などを用いればよい。開口の側壁部に絶縁体241を設けることで、外方からの酸素の透過を抑制し、次に形成する導電体240の酸化を防止することができる。また、導電体240aおよび導電体240bに、絶縁体280などに含まれる、水、水素などの不純物が拡散することを防ぐことができる。
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、水、水素など不純物の透過を抑制する機能を有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタンなどと、タングステン、モリブデン、銅などとの積層とすることができる。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体285の上面を露出する。その結果、開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(図26A乃至図26D参照。参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体285の上面の一部が除去される場合がある。
次に、導電体246となる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、導電体246となる導電膜をリソグラフィー法によって加工し、導電体240aの上面と接する導電体246a、および導電体240bの上面と接する導電体246bを形成する。この時、導電体246aおよび導電体246bと、絶縁体285とが重ならない領域の絶縁体285の一部が除去されることがある。
以上により、図15A乃至図15Dに示すトランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図17乃至図26に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トランジスタ200を作製することができる。
<半導体装置の変形例>
以下では、図27を用いて、本発明の一態様である半導体装置の一例について説明する。
図27Aは半導体装置500の上面図を示す。図27Aに示すx軸は、トランジスタ200のチャネル長方向に平行にとっており、y軸はx軸に垂直にとっている。また、図27Bは、図27AにA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。図27Cは、図27AにA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、開口領域400およびその近傍の断面図でもある。なお、図27Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
なお、図27A乃至図27Cに示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目においても、半導体装置の構成材料については<半導体装置の構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
図27A乃至図27Cに示す半導体装置500は、図15A乃至図15Dに示した半導体装置の変形例である。図27A乃至図27Cに示す半導体装置500は、絶縁体282および絶縁体280に開口領域400が形成されている点が、図15A乃至図15Dに示す半導体装置と異なる。また、複数のトランジスタ200を取り囲むように封止部265が形成されている点が、図15A乃至図15Dに示す半導体装置と異なる。
半導体装置500は、マトリクス状に配列された、複数のトランジスタ200、および複数の開口領域400を有している。また、トランジスタ200のゲート電極として機能する、複数の導電体260のそれぞれが、y軸方向に延伸して設けられている。開口領域400は、酸化物230、および導電体260と重畳しない領域に形成されている。また、複数のトランジスタ200、複数の導電体260、および複数の開口領域400を取り囲むように封止部265が形成されている。なお、トランジスタ200、導電体260、および開口領域400の個数、配置、および大きさは、図27Aに示す構造に限られることなく、半導体装置500の設計に合わせて適宜設定すればよい。
図27Bおよび図27Cに示すように、封止部265は、複数のトランジスタ200、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体275、絶縁体280、および絶縁体282を取り囲むように設けられている。言い換えると、絶縁体283は、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体275、絶縁体280、および絶縁体282を覆うように設けられている。また、封止部265では、絶縁体283が絶縁体214の上面に接している。また、封止部265では、絶縁体283と絶縁体285の間に絶縁体274が設けられている。絶縁体274の上面は、絶縁体283の最上面と高さが概略一致している。また、絶縁体274としては、絶縁体280と同様の絶縁体を用いることができる。
このような構造にすることで、複数のトランジスタ200を、絶縁体283と絶縁体214および絶縁体212とで包み込むことができる。ここで、絶縁体283、絶縁体214、および絶縁体212の一または複数は、水素に対するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。これにより、封止部265の領域外に含まれる水素が、封止部265の領域内に混入することを抑制することができる。
図27Cに示すように、開口領域400において、絶縁体282は開口部を有する。また、開口領域400において、絶縁体280は、絶縁体282の開口部に重なって、溝部を有していてもよい。絶縁体280の溝部の深さは、深くとも絶縁体275の上面が露出するまでにすればよく、例えば、絶縁体280の最大膜厚の1/4以上1/2以下程度にすればよい。
また、図27Cに示すように、絶縁体283は、開口領域400の内側で、絶縁体282の側面、絶縁体280の側面、および絶縁体280の上面に接する。また、開口領域400内で、絶縁体283に形成された凹部を埋め込むように、絶縁体274の一部が形成される場合がある。このとき、開口領域400内に形成された絶縁体274の上面と、絶縁体283の最上面の高さが、概略一致する場合がある。
このような開口領域400が形成され、絶縁体282の開口部から絶縁体280が露出した状態で、加熱処理を行うことにより、酸化物230に酸素を供給しながら、絶縁体280に含まれる酸素の一部を開口領域400から外方拡散させることができる。これにより、加熱により脱離する酸素を含む絶縁体280から、酸化物半導体層中の、チャネル形成領域として機能する領域、およびその近傍に、十分な酸素を供給し、かつ過剰な量の酸素が供給されないようにすることができる。
このとき、絶縁体280に含まれる水素を、酸素と結合させて、開口領域400を介して外部に放出することができる。酸素と結合した水素は、水として放出される。よって、絶縁体280に含まれる水素を低減し、絶縁体280中に含まれる水素が酸化物230に混入するのを低減することができる。
また、図27Aにおいて、開口領域400の上面視における形状は、略長方形状にしているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、開口領域400の上面視における形状は、長方形、楕円形、円形、菱形、またはこれらを組み合わせた形状としてもよい。また、開口領域400の面積、および配置間隔は、トランジスタ200を含む半導体装置の設計に合わせて適宜設定することができる。例えば、トランジスタ200の密度が小さい領域では、開口領域400の面積を広げる、または、開口領域400の配置間隔を狭めればよい。また、例えば、トランジスタ200の密度が大きい領域では、開口領域400の面積を狭める、または開口領域の配置間隔を広げればよい。
本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、電界効果移動度が大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、周波数特性が良好な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、低消費電力の半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図28乃至図32を用いて説明する。
[記憶装置1]
本発明の一態様に係る半導体装置(記憶装置)の一例を図28に示す。本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。なお、トランジスタ200として、先の実施の形態で説明したトランジスタ200を用いることができる。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図28に示す半導体装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
また、図28に示す記憶装置は、マトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成することができる。
<トランジスタ300>
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、ゲートとして機能する導電体316、ゲート絶縁体として機能する絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
ここで、図28に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
なお、図28に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成または駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
<容量素子100>
容量素子100は、トランジスタ200の上方に設けられる。容量素子100は、第1の電極として機能する導電体110と、第2の電極として機能する導電体120と、誘電体として機能する絶縁体130とを有する。ここで、絶縁体130は、上記実施の形態に示す絶縁体275として用いることができる絶縁体を用いることが好ましい。
また、例えば、導電体240上に設けた導電体112と、導電体110は、同時に形成することができる。なお、導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。
図28では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料と、高誘電率(high-k)材料との積層構造を用いることが好ましい。当該構成により、容量素子100は、高誘電率(high-k)の絶縁体を有することで、十分な容量を確保でき、絶縁耐力が大きい絶縁体を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
一方、絶縁耐力が大きい材料(低い比誘電率の材料)としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
<配線層>
各構造体の間には、層間膜、配線、およびプラグ等が設けられた配線層が設けられていてもよい。また、配線層は、設計に応じて複数層設けることができる。ここで、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
例えば、トランジスタ300上には、層間膜として、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線として機能する。
また、層間膜として機能する絶縁体は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図28において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線として機能する。
同様に、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。さらに、導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。
ここで、上記実施の形態に示す絶縁体241と同様に、プラグとして機能する導電体218の側面に接して絶縁体217が設けられる。絶縁体217は、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216に形成された開口の内壁に接して設けられている。つまり、絶縁体217は、導電体218と、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216と、の間に設けられている。なお、導電体205は導電体218と並行して形成することができるので、導電体205の側面に接して絶縁体217が形成される場合もある。
絶縁体217としては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体217は、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体222に接して設けられるので、絶縁体210または絶縁体216などから水または水素などの不純物が、導電体218を通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体210または絶縁体216に含まれる酸素が導電体218に吸収されるのを防ぐことができる。
絶縁体217は、絶縁体241と同様の方法で形成することができる。例えば、PEALD法を用いて、窒化シリコンを成膜し、異方性エッチングを用いて導電体356に達する開口を形成すればよい。
層間膜として用いることができる絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
例えば、絶縁体150、絶縁体210、絶縁体352、および絶縁体354等には、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、当該絶縁体は、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂との積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。従って、絶縁体214、絶縁体212および絶縁体350等には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
配線、プラグに用いることができる導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
例えば、導電体328、導電体330、導電体356、導電体218、および導電体112等としては、上記の材料で形成される金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステン、モリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウム、銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
<酸化物半導体が設けられた層の配線、またはプラグ>
なお、トランジスタ200に、酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体の近傍に過剰酸素領域を有する絶縁体が設けることがある。その場合、該過剰酸素領域を有する絶縁体と、該過剰酸素領域を有する絶縁体に設ける導電体との間に、バリア性を有する絶縁体を設けることが好ましい。
例えば、図28では、過剰酸素または不純物を有する、絶縁体285および絶縁体280と、導電体240との間に、絶縁体241を設けるとよい。絶縁体241と、絶縁体222、絶縁体275、絶縁体282、および絶縁体283とが接して設けられることで、絶縁体224、およびトランジスタ200は、バリア性を有する絶縁体により、封止する構造とすることができる。
つまり、絶縁体241を設けることで、絶縁体280が有する過剰酸素が、導電体240に吸収されることを抑制することができる。また、絶縁体241を有することで、不純物である水素が、導電体240を介して、トランジスタ200へ拡散することを抑制することができる。
なお、絶縁体241としては、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いため好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物などを用いることができる。
また、上記実施の形態で示したように、トランジスタ200は、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283で封止される構成にしてもよい。このような構成とすることで、絶縁体285、絶縁体150などに含まれる水素が絶縁体280などに混入するのを低減することができる。
ここで絶縁体283、および絶縁体282には導電体240が、絶縁体214、および絶縁体212には導電体218が貫通しているが、上記の通り、絶縁体241が導電体240に接して設けられ、絶縁体217が導電体218に接して設けられている。これにより、導電体240および導電体218を介して、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283の内側に混入する水素を低減することができる。このようにして、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体241、および絶縁体217でトランジスタ200を封止し、絶縁体285等に含まれる水素などの不純物が外側から混入するのを低減することができる。
<ダイシングライン>
以下では、大面積基板を半導体素子ごとに分断することによって、複数の半導体装置をチップ状で取り出す場合に設けられるダイシングライン(スクライブライン、分断ライン、又は切断ラインと呼ぶ場合がある)について説明する。分断方法としては、例えば、まず、基板に半導体素子を分断するための溝(ダイシングライン)を形成した後、ダイシングラインにおいて切断し、複数の半導体装置に分断(分割)する場合がある。
ここで、例えば、図28に示すように、絶縁体283と、絶縁体214とが接する領域がダイシングラインと重なるように設計することが好ましい。つまり、複数のトランジスタ200を有するメモリセルの外縁に設けられるダイシングラインとなる領域近傍において、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、および絶縁体216に開口を設ける。
つまり、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、および絶縁体216に設けた開口において、絶縁体214と、絶縁体283とが接する。例えば、このとき、絶縁体214と、絶縁体283とを同材料及び同方法を用いて形成してもよい。絶縁体214、および絶縁体283を、同材料、および同方法で設けることで、密着性を高めることができる。
当該構造により、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283で、トランジスタ200を包み込むことができる。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283の少なくとも一は、酸素、水素、及び水の拡散を抑制する機能を有しているため、本実施の形態に示す半導体素子が形成された回路領域ごとに、基板を分断することにより、複数のチップに加工しても、分断した基板の側面方向から、水素又は水などの不純物が混入し、トランジスタ200に拡散することを防ぐことができる。
また、当該構造により、絶縁体280の過剰酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。従って、絶縁体280の過剰酸素は、効率的にトランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物に供給される。当該酸素により、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物の酸素欠損を低減することができる。これにより、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物を欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。つまり、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
なお、図28に示す記憶装置では、容量素子100の形状をプレーナ型としたが、本実施の形態に示す記憶装置はこれに限られるものではない。たとえば、図29に示すように、容量素子100の形状をシリンダ型にしてもよい。なお、図29に示す記憶装置は、絶縁体150より下の構成は、図28に示す半導体装置と同様である。
図29に示す記憶装置は、絶縁体130上に絶縁体150が配置され、絶縁体150上に絶縁体142が配置されている。なお、絶縁体150および絶縁体142には開口が形成されている。
図29に示す容量素子100は、導電体115と、導電体115および絶縁体142上の絶縁体145と、絶縁体145上の導電体125と、を有する。ここで、絶縁体150および絶縁体142に形成された開口の中に導電体115、絶縁体145、および導電体125の少なくとも一部が配置される。
また、導電体125および絶縁体145上に絶縁体152が配置され、絶縁体152上に絶縁体154が配置され、絶縁体154上に導電体153および絶縁体156が配置される。ここで、導電体140は、絶縁体130、絶縁体150、絶縁体142、絶縁体145、絶縁体152、および絶縁体154に形成された開口の中に設けられている。
導電体115は容量素子100の下部電極として機能し、導電体125は容量素子100の上部電極として機能し、絶縁体145は、容量素子100の誘電体として機能する。容量素子100は、絶縁体150および絶縁体142の開口において、底面だけでなく、側面においても上部電極と下部電極とが誘電体を挟んで対向する構成となっており、単位面積当たりの静電容量を大きくすることができる。よって、当該開口の深さを深くするほど、容量素子100の静電容量を大きくすることができる。このように容量素子100の単位面積当たりの静電容量を大きくすることにより、半導体装置の微細化または高集積化を推し進めることができる。
絶縁体152は、絶縁体280に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体142は、絶縁体150の開口を形成するときのエッチングストッパとして機能することが好ましく、絶縁体214に用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体150および絶縁体142に形成された開口を上面から見た形状は、四角形としてもよいし、四角形以外の多角形状としてもよいし、多角形状において角部を湾曲させた形状としてもよいし、楕円を含む円形状としてもよい。ここで、上面視において、当該開口とトランジスタ200の重なる面積が多い方が好ましい。このような構成にすることにより、容量素子100とトランジスタ200を有する半導体装置の占有面積を低減することができる。
導電体115は、絶縁体142、および絶縁体150に形成された開口に接して配置される。導電体115の上面は、絶縁体142の上面と略一致することが好ましい。また、導電体115の下面は、絶縁体130の開口を介して導電体110に接する。導電体115は、ALD法またはCVD法などを用いて成膜することが好ましく、例えば、導電体205に用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体145は、導電体115および絶縁体142を覆うように配置される。例えば、ALD法またはCVD法などを用いて絶縁体145を成膜することが好ましい。絶縁体145は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。例えば、絶縁体145として、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。
また、絶縁体145には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料、または高誘電率(high-k)材料を用いることが好ましい。または、絶縁耐力が大きい材料と高誘電率(high-k)材料の積層構造を用いてもよい。
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。このようなhigh-k材料を用いることで、絶縁体145を厚くしても容量素子100の静電容量を十分確保することができる。絶縁体145を厚くすることにより、導電体115と導電体125の間に生じるリーク電流を抑制することができる。
一方、絶縁耐力が大きい材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、樹脂などがある。例えば、ALD法を用いて成膜した窒化シリコン、PEALD法を用いて成膜した酸化シリコン、ALD法を用いて成膜した窒化シリコンの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。このような、絶縁耐力が大きい絶縁体を用いることで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
導電体125は、絶縁体142および絶縁体150に形成された開口を埋めるように配置される。また、導電体125は、導電体140、および導電体153を介して配線1005と電気的に接続している。導電体125は、ALD法またはCVD法などを用いて成膜することが好ましく、例えば、導電体205に用いることができる導電体を用いればよい。
また、導電体153は、絶縁体154上に設けられており、絶縁体156に覆われている。導電体153は、導電体112に用いることができる導電体を用いればよく、絶縁体156は、絶縁体152に用いることができる絶縁体を用いればよい。ここで、導電体153は導電体140の上面に接しており、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300の端子として機能する。
[記憶装置2]
本発明の一態様に係る半導体装置(記憶装置)の一例を図30に示す。
<メモリデバイスの構成例>
図30は、メモリデバイス290を有する半導体装置の断面図である。図30に示すメモリデバイス290は、図15A乃至図15Dに示すトランジスタ200に加えて、容量デバイス292を有する。図30は、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図に相当する。
容量デバイス292は、導電体242bと、導電体242b上に設けられた絶縁体271bと、導電体242bおよび絶縁体271bを覆って設けられた絶縁体275と、絶縁体275上の導電体294と、を有する。すなわち、容量デバイス292は、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量を構成している。なお、容量デバイス292が有する一対の電極の一方、すなわち導電体242bは、トランジスタのソース電極を兼ねることができる。また、容量デバイス292が有する誘電体層は、トランジスタに設けられる保護層、すなわち絶縁体271および絶縁体275を兼ねることができる。したがって、容量デバイス292の作製工程において、トランジスタの作製工程の一部を兼用することができるため、生産性の高い半導体装置とすることができる。また、容量デバイス292が有する一対の電極の一方、すなわち導電体242bは、トランジスタのソース電極を兼ねているため、トランジスタと、容量デバイスとが配置される面積を低減させることが可能となる。
なお、導電体294としては、例えば、導電体242に用いることのできる材料を用いればよい。
<メモリデバイスの変形例>
以下では、図31A、図31B、および図32を用いて、先の<メモリデバイスの構成例>で示したものとは異なる、本発明の一態様に係るトランジスタ200、および容量デバイス292を有する半導体装置の一例について説明する。なお図31A、図31B、および図32に示す半導体装置において、先の実施の形態および<メモリデバイスの構成例>に示した半導体装置(図30参照)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目において、トランジスタ200、および容量デバイス292の構成材料については、先の実施の形態および<メモリデバイスの構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
<<メモリデバイスの変形例1>>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bを有する半導体装置600の一例について図31Aを用いて説明する。
図31Aは、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bを有する半導体装置600のチャネル長方向の断面図である。ここで、容量デバイス292aは、導電体242aと、導電体242a上に設けられた絶縁体271aと、導電体242aおよび絶縁体271aを覆って設けられた絶縁体275と、絶縁体275上に設けられた導電体294aと、を有する。また、容量デバイス292bは、導電体242bと、導電体242b上に設けられた絶縁体271bと、導電体242bおよび絶縁体271bを覆って設けられた絶縁体275と、絶縁体275上に設けられた導電体294bと、を有する。
半導体装置600は、図31Aに示すように、A3-A4の一点鎖線を対称軸とした線対称の構成となっている。トランジスタ200aのソース電極またはドレイン電極の一方と、トランジスタ200bのソース電極またはドレイン電極の一方は、導電体242cが兼ねる構成となっている。なお、導電体242c上には絶縁体271cが設けられる。また、プラグとして機能する導電体240が、配線として機能する導電体246とトランジスタ200aとの接続、および、配線として機能する導電体246とトランジスタ200bとの接続を兼ねる構成となっている。このように、2つのトランジスタと、2つの容量デバイスと、配線とプラグとの接続を上述の構成とすることで、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bのそれぞれの構成および効果については、図15A乃至図15D、および図30に示す半導体装置の構成例を参酌することができる。
<<メモリデバイスの変形例2>>
上記においては、半導体装置の構成例としてトランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292aおよび容量デバイス292bを挙げたが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、図31Bに示すように半導体装置600と、半導体装置600と同様の構成を有する半導体装置が容量部を介して接続されている構成としてもよい。本明細書では、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bを有する半導体装置をセルと称する。トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292aおよび容量デバイス292bの構成については、上述のトランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292aおよび容量デバイス292bに係る記載を参酌することができる。
図31Bは、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bを有する半導体装置600と、半導体装置600と同様の構成を有するセルが容量部を介して接続されている断面図である。
図31Bに示すように、半導体装置600が有する容量デバイス292bの一方の電極として機能する導電体294bは、半導体装置600と同様の構成を有する半導体装置601が有する容量デバイスの一方の電極を兼ねる構成となっている。また、図示しないが、半導体装置600が有する容量デバイス292aの一方の電極として機能する導電体294aが、半導体装置600の左側、つまり図31Bにおいて、A1方向に隣接する半導体装置の容量デバイスの一方の電極を兼ねている。また、半導体装置601の右側、つまり、図31Bにおいて、A2方向のセルについても同様の構成となっている。つまりセルアレイ(メモリデバイス層ともいう)を構成することができる。この様なセルアレイの構成とすることで、隣り合うセルの間隔を小さくすることができるので、セルアレイの投影面積を小さくすることができ、高集積化が可能となる。また、図31Bに示すセルアレイの構成を、マトリクス状に配置することで、マトリクス状のセルアレイを構成することができる。
上述のように、本実施の形態に示す構成で、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292aおよび容量デバイス292bを形成することにより、セルの面積を低減し、セルアレイを有する半導体装置の微細化または高集積化を図ることができる。
また、上記セルアレイを平面のみでなく積層する構成としてもよい。図32にセルアレイ610をn層積層する構成の断面図を示す。図32に示すように、複数のセルアレイ(セルアレイ610_1乃至セルアレイ610_n)を積層することにより、セルアレイの占有面積を増やすことなく、セルを集積して配置することができる。つまり、3Dセルアレイを構成することができる。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、図33A、図33Bおよび図34A乃至図34Hを用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ場合がある)、および容量素子が適用されている記憶装置(以下、OSメモリ装置と呼ぶ場合がある)について説明する。OSメモリ装置は、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有する記憶装置である。OSトランジスタのオフ電流は極めて小さいので、OSメモリ装置は優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
<記憶装置の構成例>
図33AにOSメモリ装置の構成の一例を示す。記憶装置1400は、周辺回路1411、およびメモリセルアレイ1470を有する。周辺回路1411は、行回路1420、列回路1430、出力回路1440、およびコントロールロジック回路1460を有する。
列回路1430は、例えば、列デコーダ、プリチャージ回路、センスアンプ、書き込み回路等を有する。プリチャージ回路は、配線をプリチャージする機能を有する。センスアンプは、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。なお、上記配線は、メモリセルアレイ1470が有するメモリセルに接続されている配線であり、詳しくは後述する。増幅されたデータ信号は、出力回路1440を介して、データ信号RDATAとして記憶装置1400の外部に出力される。また、行回路1420は、例えば、行デコーダ、ワード線ドライバ回路等を有し、アクセスする行を選択することができる。
記憶装置1400には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路1411用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1470用の高電源電圧(VIL)が供給される。また、記憶装置1400には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、行デコーダおよび列デコーダに入力され、データ信号WDATAは書き込み回路に入力される。
コントロールロジック回路1460は、外部から入力される制御信号(CE、WE、RE)を処理して、行デコーダ、列デコーダの制御信号を生成する。制御信号CEは、チップイネーブル信号であり、制御信号WEは、書き込みイネーブル信号であり、制御信号REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1460が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
メモリセルアレイ1470は、行列状に配置された、複数個のメモリセルMCと、複数の配線を有する。なお、メモリセルアレイ1470と行回路1420とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一列に有するメモリセルMCの数などによって決まる。また、メモリセルアレイ1470と列回路1430とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一行に有するメモリセルMCの数などによって決まる。
なお、図33Aにおいて、周辺回路1411とメモリセルアレイ1470を同一平面上に形成する例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、図33Bに示すように、周辺回路1411の一部の上に、メモリセルアレイ1470が重なるように設けられてもよい。例えば、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にしてもよい。
図34A乃至図34Hに上述のメモリセルMCに適用できるメモリセルの構成例について説明する。
[DOSRAM]
図34A乃至図34Cに、DRAMのメモリセルの回路構成例を示す。本明細書等において、1OSトランジスタ1容量素子型のメモリセルを用いたDRAMを、DOSRAM(登録商標、Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ場合がある。図34Aに示す、メモリセル1471は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、ゲート(トップゲートと呼ぶ場合がある)、及びバックゲートを有する。
トランジスタM1の第1端子は、容量素子CAの第1端子と接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CAの第2端子は、配線LLと接続されている。
配線BILは、ビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線LLは、容量素子CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、及び読み出し時において、配線LLは、接地電位でも、低レベル電位としてもよい。配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
ここで、図34Aに示すメモリセル1471は、図30に示す記憶装置に対応している。つまり、トランジスタM1はトランジスタ200に、容量素子CAは容量デバイス292に対応している。
また、メモリセルMCは、メモリセル1471に限定されず、回路構成の変更を行うことができる。例えば、メモリセルMCは、図34Bに示すメモリセル1472のように、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図34Cに示すメモリセル1473のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM1で構成されたメモリセルとしてもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1471等に用いる場合、トランジスタM1としてトランジスタ200を用い、容量素子CAとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に小さくすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1471、メモリセル1472、メモリセル1473に対して多値データ、又はアナログデータを保持することができる。
また、DOSRAMにおいて、上記のように、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にすると、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線容量が小さくなり、メモリセルの保持容量を低減することができる。
[NOSRAM]
図34D乃至図34Gに、2トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの回路構成例を示す。図34Dに示す、メモリセル1474は、トランジスタM2と、トランジスタM3と、容量素子CBと、を有する。なお、トランジスタM2は、トップゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある)、及びバックゲートを有する。本明細書等において、トランジスタM2にOSトランジスタを用いたゲインセル型のメモリセルを有する記憶装置を、NOSRAM(Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM)と呼ぶ場合がある。
トランジスタM2の第1端子は、容量素子CBの第1端子と接続され、トランジスタM2の第2端子は、配線WBLと接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM2のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CBの第2端子は、配線CALと接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SLと接続され、トランジスタM3のゲートは、容量素子CBの第1端子と接続されている。
配線WBLは、書き込みビット線として機能し、配線RBLは、読み出しビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CBの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、データ保持の最中、データの読み出し時において、配線CALまたは配線SLのいずれかに適宜電位を印加し、トランジスタM3のゲートとソースの電位差を制御することが好ましい。配線BGLは、トランジスタM2のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM2のしきい値電圧を増減することができる。
ここで、図34Dに示すメモリセル1474は、図28に示す記憶装置に対応している。つまり、トランジスタM2はトランジスタ200に、容量素子CBは容量素子100に、トランジスタM3はトランジスタ300に、配線WBLは配線1003に、配線WOLは配線1004に、配線BGLは配線1006に、配線CALは配線1005に、配線RBLは配線1002に、配線SLは配線1001に対応している。
また、メモリセルMCは、メモリセル1474に限定されず、回路の構成を適宜変更することができる。例えば、メモリセルMCは、図34Eに示すメモリセル1475のように、トランジスタM2のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図34Fに示すメモリセル1476のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM2で構成されたメモリセルとしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図34Gに示すメモリセル1477のように、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1474等に用いる場合、トランジスタM2としてトランジスタ200を用い、トランジスタM3としてトランジスタ300を用い、容量素子CBとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM2としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM2のリーク電流を非常に小さくすることができる。これにより、書き込んだデータをトランジスタM2によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1474に多値データ、又はアナログデータを保持することができる。メモリセル1475乃至メモリセル1477も同様である。
なお、トランジスタM3は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ場合がある)であってもよい。Siトランジスタの導電型は、nチャネル型としてもよいし、pチャネル型としてもよい。Siトランジスタは、OSトランジスタよりも電界効果移動度が高くなる場合がある。よって、読み出しトランジスタとして機能するトランジスタM3として、Siトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタM3にSiトランジスタを用いることで、トランジスタM3の上に積層してトランジスタM2を設けることができるので、メモリセルの占有面積を低減し、記憶装置の高集積化を図ることができる。
また、トランジスタM3はOSトランジスタであってもよい。トランジスタM2およびトランジスタM3にOSトランジスタを用いた場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
また、図34Hに3トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの一例を示す。図34Hに示すメモリセル1478は、トランジスタM4乃至トランジスタM6、および容量素子CCを有する。容量素子CCは適宜設けられる。メモリセル1478は、配線BIL、配線RWL、配線WWL、配線BGL、および配線GNDLに電気的に接続されている。配線GNDLは低レベル電位を与える配線である。なお、メモリセル1478を、配線BILに代えて、配線RBL、配線WBLに電気的に接続してもよい。
トランジスタM4は、バックゲートを有するOSトランジスタであり、バックゲートは配線BGLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM4のバックゲートとゲートとを互いに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタM4はバックゲートを有さなくてもよい。
なお、トランジスタM5、トランジスタM6はそれぞれ、nチャネル型Siトランジスタまたはpチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、トランジスタM4乃至トランジスタM6がOSトランジスタでもよい。この場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1478に用いる場合、トランジスタM4としてトランジスタ200を用い、トランジスタM5、トランジスタM6としてトランジスタ300を用い、容量素子CCとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM4としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM4のリーク電流を非常に小さくすることができる。
なお、本実施の形態に示す、周辺回路1411、メモリセルアレイ1470等の構成は、上記に限定されるものではない。これらの回路、および当該回路に接続される配線、回路素子等の、配置または機能は、必要に応じて、変更、削除、または追加してもよい。
一般に、コンピュータなどの半導体装置では、用途に応じて様々な記憶装置(メモリ)が用いられる。本発明の一態様の半導体装置は、例えば、CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、3D NANDメモリに好適に用いることができる。
CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリは、演算結果の一時保存などに用いられるため、演算処理装置からのアクセス頻度が高い。よって、記憶容量よりも速い動作速度が求められる。また、レジスタは演算処理装置の設定情報などを保持する機能も有する。
SRAMは、例えばキャッシュに用いられる。キャッシュは、メインメモリに保持されている情報の一部を複製して保持する機能を有する。使用頻繁が高いデータをキャッシュに複製しておくことで、データへのアクセス速度を高めることができる。
DRAMは、例えばメインメモリに用いられる。メインメモリは、ストレージから読み出されたプログラムまたはデータを保持する機能を有する。DRAMの記録密度は、おおよそ0.1乃至0.3Gbit/mm2である。
3D NANDメモリは、例えばストレージに用いられる。ストレージは、長期保存が必要なデータ、演算処理装置で使用する各種のプログラムなどを保持する機能を有する。よって、ストレージには動作速度よりも大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。ストレージに用いられる記憶装置の記録密度は、おおよそ0.6乃至6.0Gbit/mm2である。
本発明の一態様の記憶装置は、動作速度が速く、長期間のデータ保持が可能である。本発明の一態様の記憶装置は、キャッシュが位置する階層とメインメモリが位置する階層の双方を含む境界領域に位置する記憶装置として好適に用いることができる。また、本発明の一態様の記憶装置は、メインメモリが位置する階層とストレージが位置する階層の双方を含む境界領域に位置する記憶装置として好適に用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、図35Aおよび図35Bを用いて、本発明の半導体装置が実装されたチップ1200の一例を示す。チップ1200には、複数の回路(システム)が実装されている。このように、複数の回路(システム)を一つのチップに集積する技術を、システムオンチップ(System on Chip:SoC)と呼ぶ場合がある。
図35Aに示すように、チップ1200は、CPU1211、GPU1212、一または複数のアナログ演算部1213、一または複数のメモリコントローラ1214、一または複数のインターフェース1215、一または複数のネットワーク回路1216等を有する。
チップ1200には、バンプ(図示しない)が設けられ、図35Bに示すように、プリント基板(Printed Circuit Board:PCB)1201の第1の面と接続する。また、PCB1201の第1の面の裏面には、複数のバンプ1202が設けられており、マザーボード1203と接続する。
マザーボード1203には、DRAM1221、フラッシュメモリ1222等の記憶装置が設けられていてもよい。例えば、DRAM1221に先の実施の形態に示すDOSRAMを用いることができる。また、例えば、フラッシュメモリ1222に先の実施の形態に示すNOSRAMを用いることができる。
CPU1211は、複数のCPUコアを有することが好ましい。また、GPU1212は、複数のGPUコアを有することが好ましい。また、CPU1211、およびGPU1212は、それぞれ一時的にデータを格納するメモリを有していてもよい。または、CPU1211、およびGPU1212に共通のメモリが、チップ1200に設けられていてもよい。該メモリには、前述したNOSRAM、またはDOSRAMを用いることができる。また、GPU1212は、多数のデータの並列計算に適しており、画像処理または積和演算に用いることができる。GPU1212に、本発明の酸化物半導体を用いた画像処理回路、または積和演算回路を設けることで、画像処理、および積和演算を低消費電力で実行することが可能になる。
また、CPU1211、およびGPU1212が同一チップに設けられていることで、CPU1211およびGPU1212間の配線を短くすることができ、CPU1211からGPU1212へのデータ転送、CPU1211、およびGPU1212が有するメモリ間のデータ転送、およびGPU1212での演算後に、GPU1212からCPU1211への演算結果の転送を高速に行うことができる。
アナログ演算部1213はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、およびD/A(デジタル/アナログ)変換回路の一、または両方を有する。また、アナログ演算部1213に上記積和演算回路を設けてもよい。
メモリコントローラ1214は、DRAM1221のコントローラとして機能する回路、およびフラッシュメモリ1222のインターフェースとして機能する回路を有する。
インターフェース1215は、表示装置、スピーカー、マイクロフォン、カメラ、コントローラなどの外部接続機器とのインターフェース回路を有する。コントローラとは、マウス、キーボード、ゲーム用コントローラなどを含む。このようなインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などを用いることができる。
ネットワーク回路1216は、LAN(Local Area Network)などとの接続を制御する機能を有する。また、ネットワークセキュリティー用の回路を有してもよい。
チップ1200には、上記回路(システム)を同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、チップ1200に必要な回路の数が増えても、製造プロセスを増やす必要が無く、チップ1200を低コストで作製することができる。
GPU1212を有するチップ1200が設けられたPCB1201、DRAM1221、およびフラッシュメモリ1222が設けられたマザーボード1203は、GPUモジュール1204と呼ぶことができる。
GPUモジュール1204は、SoC技術を用いたチップ1200を有しているため、そのサイズを小さくすることができる。また、画像処理に優れていることから、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPC、携帯型(持ち出し可能な)ゲーム機などの携帯型電子機器に用いることが好適である。また、GPU1212を用いた積和演算回路により、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができるため、チップ1200をAIチップ、またはGPUモジュール1204をAIシステムモジュールとして用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す記憶装置などが組み込まれた電子部品および電子機器の一例を示す。
<電子部品>
まず、記憶装置720が組み込まれた電子部品の例を、図36Aおよび図36Bを用いて説明を行う。
図36Aに電子部品700および電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図を示す。図36Aに示す電子部品700は、モールド711内に記憶装置720を有している。図36Aは、電子部品700の内部を示すために、一部を省略している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は電極パッド713と電気的に接続され、電極パッド713は記憶装置720とワイヤ714によって電気的に接続されている。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
記憶装置720は、駆動回路層721と、記憶回路層722と、を有する。
図36Bに電子部品730の斜視図を示す。電子部品730は、SiP(System in package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、および複数の記憶装置720が設けられている。
電子部品730では、記憶装置720を広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735は、CPU、GPU、FPGAなどの集積回路(半導体装置)を用いることができる。
パッケージ基板732は、セラミック基板、プラスチック基板、ガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
インターポーザ731としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
また、シリコンインターポーザを用いたSiP、MCMなどでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、記憶装置720と半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。図36Bでは、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
電子部品730は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。図37A乃至図37Eにリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
図37AはUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。メモリチップ1105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
図37BはSDカードの外観の模式図であり、図37Cは、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。メモリチップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
図37DはSSDの外観の模式図であり、図37Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDOSRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。メモリチップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体装置は、CPU、GPUなどのプロセッサ、またはチップに用いることができる。図38A乃至図38Hに、本発明の一態様に係るCPU、GPUなどのプロセッサ、またはチップを備えた電子機器の具体例を示す。
<電子機器・システム>
本発明の一態様に係るGPUまたはチップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型またはノート型の情報端末用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機、などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子ブックリーダー、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。また、本発明の一態様に係るGPUまたはチップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像、情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。図38A乃至図38Hに、電子機器の例を示す。
[情報端末]
図38Aには、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5100は、筐体5101と、表示部5102と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5102に備えられ、ボタンが筐体5101に備えられている。
情報端末5100は、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、会話を認識してその会話内容を表示部5102に表示するアプリケーション、表示部5102に備えるタッチパネルに対してユーザが入力した文字、図形などを認識して、表示部5102に表示するアプリケーション、指紋、声紋などの生体認証を行うアプリケーションなどが挙げられる。
図38Bには、ノート型情報端末5200が図示されている。ノート型情報端末5200は、情報端末の本体5201と、表示部5202と、キーボード5203と、を有する。
ノート型情報端末5200は、先述した情報端末5100と同様に、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、設計支援ソフトウェア、文章添削ソフトウェア、献立自動生成ソフトウェアなどが挙げられる。また、ノート型情報端末5200を用いることで、新規の人工知能の開発を行うことができる。
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、およびノート型情報端末を例として、それぞれ図38A、図38Bに図示したが、スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップ型情報端末、ワークステーションなどが挙げられる。
[ゲーム機]
図38Cは、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5300を示している。携帯ゲーム機5300は、筐体5301、筐体5302、筐体5303、表示部5304、接続部5305、操作キー5306等を有する。筐体5302、および筐体5303は、筐体5301から取り外すことが可能である。筐体5301に設けられている接続部5305を別の筐体(図示せず)に取り付けることで、表示部5304に出力される映像を、別の映像機器(図示せず)に出力することができる。このとき、筐体5302、および筐体5303は、それぞれ操作部として機能することができる。これにより、複数のプレイヤーが同時にゲームを行うことができる。筐体5301、筐体5302、および筐体5303の基板に設けられているチップなどに先の実施の形態に示すチップを組み込むことができる。
また、図38Dは、ゲーム機の一例である据え置き型ゲーム機5400を示している。据え置き型ゲーム機5400には、無線または有線でコントローラ5402が接続されている。
携帯ゲーム機5300、据え置き型ゲーム機5400などのゲーム機に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、低消費電力のゲーム機を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、およびモジュールへの影響を少なくすることができる。
更に、携帯ゲーム機5300に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、人工知能を有する携帯ゲーム機5300を実現することができる。
本来、ゲームの進行、ゲーム上に登場する生物の言動、ゲーム上で発生する現象などの表現は、そのゲームが有するプログラムによって定められているが、携帯ゲーム機5300に人工知能を適用することにより、ゲームのプログラムに限定されない表現が可能になる。例えば、プレイヤーが問いかける内容、ゲームの進行状況、時刻、ゲーム上に登場する人物の言動が変化するといった表現が可能となる。
また、携帯ゲーム機5300で複数のプレイヤーが必要なゲームを行う場合、人工知能によって擬人的にゲームプレイヤーを構成することができるため、対戦相手を人工知能によるゲームプレイヤーとすることによって、1人でもゲームを行うことができる。
図38C、図38Dでは、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機、および据え置き型ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のGPUまたはチップを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のGPUまたはチップを適用するゲーム機としては、例えば、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
[大型コンピュータ]
本発明の一態様のGPUまたはチップは、大型コンピュータに適用することができる。
図38Eは、大型コンピュータの一例である、スーパーコンピュータ5500を示す図である。図38Fは、スーパーコンピュータ5500が有するラックマウント型の計算機5502を示す図である。
スーパーコンピュータ5500は、ラック5501と、複数のラックマウント型の計算機5502と、を有する。なお、複数の計算機5502は、ラック5501に格納されている。また、計算機5502には、複数の基板5504が設けられ、当該基板上に上記実施の形態で説明したGPUまたはチップを搭載することができる。
スーパーコンピュータ5500は、主に科学技術計算に利用される大型コンピュータである。科学技術計算では、膨大な演算を高速に処理する必要があるため、消費電力が高く、チップの発熱が大きい。スーパーコンピュータ5500に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、低消費電力のスーパーコンピュータを実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、およびモジュールへの影響を少なくすることができる。
図38E、図38Fでは、大型コンピュータの一例としてスーパーコンピュータを図示しているが、本発明の一態様のGPUまたはチップを適用する大型コンピュータはこれに限定されない。本発明の一態様のGPUまたはチップを適用する大型コンピュータとしては、例えば、サービスを提供するコンピュータ(サーバー)、大型汎用コンピュータ(メインフレーム)などが挙げられる。
[移動体]
本発明の一態様のGPUまたはチップは、移動体である自動車、および自動車の運転席周辺に適用することができる。
図38Gは、移動体の一例である自動車の室内におけるフロントガラス周辺を示す図である。図38Gでは、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示している。
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、スピードメーター、タコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定などを表示することで、様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目、レイアウトなどは、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めることが可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いることも可能である。
表示パネル5704には、自動車に設けられた撮像装置(図示しない)からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮像装置からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることもできる。
本発明の一態様のGPUまたはチップは人工知能の構成要素として適用できるため、例えば、当該チップを自動車の自動運転システムに用いることができる。また、当該チップを道路案内、危険予測などを行うシステムに用いることができる。表示パネル5701乃至表示パネル5704には、道路案内、危険予測などの情報を表示する構成としてもよい。
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
[電化製品]
図38Hは、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様のチップを適用することによって、人工知能を有する電気冷凍冷蔵庫5800を実現することができる。人工知能を利用することによって電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限などを基に献立を自動生成する機能、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材に合わせた温度に自動的に調節する機能などを有することができる。
電化製品の一例として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電子オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、人工知能の応用例、その効果などは、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。