以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするため、図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向のチャネル形成領域の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体の欠陥準位密度が高くなることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。なお、水も不純物として機能する場合がある。また、例えば不純物の混入によって、酸化物半導体に酸素欠損(VOと表記する場合がある。)が形成される場合がある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。また、「概略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「概略垂直」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む。)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう。)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電位を印加しない、またはゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりのドレイン電流が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または125℃において1×10-16A以下であることをいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1A乃至図19Bを用いて、金属酸化物、当該金属酸化物の形成方法、当該金属酸化物を有する半導体装置、およびその作製方法について説明する。
<金属酸化物、およびその形成方法>
本項では、トランジスタの半導体層に適用可能な金属酸化物、およびその形成方法について、説明する。
トランジスタは、チャネル形成領域を含む半導体層に、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
また、半導体として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態においてリーク電流(オフ電流)が極めて小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
酸化物半導体として、例えば、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物半導体として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、または酸化インジウムを用いてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム(In)、元素M、および亜鉛(Zn)を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に不純物および酸素欠損(VO)が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。酸化物半導体中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
特に、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して、H2O、および酸素欠損を形成する場合がある。また、酸素欠損近傍の水素が、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアとなる電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。
酸素欠損に水素が入った欠陥(VOH)は、金属酸化物のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、金属酸化物においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、金属酸化物のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。また、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「キャリア密度」と言い換えることができる。
以上より、酸化物半導体中のチャネル形成領域では、水素、および酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体中のチャネル形成領域において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。また、酸化物半導体中のチャネル形成領域は、キャリア濃度が低減され、i型化(真性化)または実質的にi型化されていることが好ましい。
そこで、トランジスタのチャネル形成領域に用いる金属酸化物は、水素の拡散が、抑制されていることが好ましい。なお、水素の拡散が抑制されている金属酸化物を、水素の拡散長が小さい金属酸化物と言い換えることができる。ここで、水素の拡散が抑制されるのは、金属酸化物の酸素欠損が低減されることで、酸素欠損を介した水素の拡散頻度が低下するためと推測される。本明細書では、水素の拡散を抑制することを、水素をfreezeする、ともいう。
水素の拡散が抑制された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、チャネル形成領域に水素が混入するのを抑制し、信頼性が良好なトランジスタを作製することができる。また、ソース領域またはドレイン領域の水素がチャネル形成領域に拡散するのを抑制し、チャネル形成領域、ソース領域、およびドレイン領域のキャリア濃度がトランジスタ間でばらつくのを抑制することができる。したがって、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を作製することができる。
金属酸化物中の水素の拡散長は、例えば、SIMSにて得られた結果から、拡散係数を見積り、拡散係数と温度のアレニウスプロットを作成し、アレニウスプロットから算出された振動数因子、および活性化エネルギーを用いて、算出することができる。なお、金属酸化物中の水素の拡散長の算出方法は、後述する実施例で詳細に説明する。具体的には、金属酸化物中の水素の拡散長は、200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下である。なお、当該水素の拡散長は、温度を400℃、1時間として、算出される。
さらに、上記金属酸化物に含まれる酸素欠損の量は低減されていることが好ましい。酸素欠損の量が低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、チャネル形成領域のキャリア濃度が低減され、チャネル形成領域をi型化(真性化)または実質的にi型化することができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタを含む半導体装置を作製することができる。
金属酸化物に含まれる酸素欠損の量は、例えば、一定光電流法(CPM:Constant Photocurrent Method)などを用いて評価すればよい。CPMを用いることで、金属酸化物に含まれる酸素欠損に起因する深い欠陥準位の評価を行うことができる。なお、酸素欠損に起因する深い欠陥準位とは、例えば、金属酸化物の価電子帯上端から伝導帯側へ0.5eV離れた位置から、金属酸化物の伝導帯下端から価電子帯側へ0.5eV離れた位置との範囲に形成される局在準位を指す。具体的には、金属酸化物において、CPMにより算出される局在準位に起因する吸収を2×10-2cm-1未満、好ましくは1×10-2cm-1未満にする。
なお、上記金属酸化物は、c軸配向の結晶を含むことが好ましい。c軸配向の結晶を含む金属酸化物とは、例えば、後述するCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)などである。
以上により、良好な電気特性を有するトランジスタを含む半導体装置を作製することができる。また、信頼性が良好なトランジスタを有する半導体装置を作製することができる。また、トランジスタ特性のばらつきが小さい半導体装置を作製することができる。
次に、上述した金属酸化物の形成方法について説明する。
はじめに、c軸配向した結晶を含む金属酸化物を成膜する。当該金属酸化物の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。特に、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。
上記金属酸化物をスパッタリング法によって成膜する場合、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットなどを用いる。また、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、当該金属酸化物の結晶性を向上させることができる。例えば、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。
また、上記金属酸化物をスパッタリング法によって成膜する場合、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該金属酸化物の結晶性を向上させることができる。例えば、基板の温度が、100℃以上500℃未満、好ましくは200℃以上400℃以下となるように基板を熱する。
次に、上記金属酸化物に対して、当該金属酸化物が多結晶化しない程度の温度で加熱処理を行う。金属酸化物が多結晶化しない程度の温度とは、具体的には、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、より好ましくは500℃以上600℃未満である。上記の温度で加熱処理を行うことで、金属酸化物の構造緩和が生じる。このとき、当該金属酸化物は多結晶化せず、酸素欠損の量を低減し、水素の拡散を抑制することができる。
なお、600℃以上700℃未満の温度で加熱処理を行うと、金属酸化物は多結晶化しないものの、600℃未満の温度での加熱処理を行う場合と比較して、金属酸化物中の結晶性が変化し、酸素欠損の量の低減が抑制される、または、酸素欠損が形成される蓋然性が高い。また、700℃以上の温度で加熱処理を行うと、金属酸化物は多結晶化する傾向がある。多結晶は結晶粒界を有し、結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲される。そのため、トランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。また、250℃未満の温度で加熱処理を行うと、金属酸化物中の水素濃度が十分に低減されない恐れがある。
また上記加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行うことが好ましい。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。例えば、加熱処理として、窒素雰囲気にて1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて1時間の処理を行うとよい。
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、金属酸化物に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
上記加熱処理により、金属酸化物の結晶性をより高めることができる。したがって、緻密で結晶性が高く、酸素欠損の量が低減され、水素の拡散が抑制された金属酸化物を形成することができる。
以上が、上述した金属酸化物の形成方法についての説明である。
ここで、上述のCAAC-OSの詳細について、説明を行う。
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するためには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、酸化インジウムよりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
<半導体装置の構成例>
図1A乃至図1Dを用いて、上述した金属酸化物を有するトランジスタ200を含む半導体装置の構成を説明する。図1A乃至図1Dは、トランジスタ200を含む半導体装置の上面図および断面図である。図1Aは、当該半導体装置の上面図である。また、図1B乃至図1Dは、当該半導体装置の断面図である。ここで、図1Bは、図1AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図1Cは、図1AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図1Dは、図1AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図1Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
本実施の形態における半導体装置は、基板(図示せず)上の絶縁体212と、絶縁体212上の絶縁体214と、絶縁体214上の絶縁体216と、絶縁体214上、および絶縁体216上のトランジスタ200と、トランジスタ200上の絶縁体254と、絶縁体254上の絶縁体280と、絶縁体280上の絶縁体282と、絶縁体282上の絶縁体283と、絶縁体283上の絶縁体284と、を有する。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284は層間膜として機能する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する、導電体240aおよび導電体240bを有する。なお、導電体240aの側面に接して絶縁体241aが設けられ、導電体240bの側面に接して絶縁体241bが設けられる。また、絶縁体284上、導電体240a、および導電体240b上には、導電体240aと電気的に接続し、配線として機能する導電体246a、および導電体240bと電気的に接続し、配線として機能する導電体246bが設けられる。また、導電体246a上、導電体246b上、および絶縁体284上には、絶縁体286が設けられる。
絶縁体254、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284の開口の側壁に接して絶縁体241aが設けられ、絶縁体241aの側面に接して導電体240aの第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240aの第2の導電体が設けられている。また、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284の開口の側壁に接して絶縁体241bが設けられ、絶縁体241bの側面に接して導電体240bの第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240bの第2の導電体が設けられている。ここで、導電体240a(導電体240b)の上面の高さと、導電体246a(導電体246b)と重なる領域の、絶縁体284の上面の高さと、は同程度にできる。なお、図1A乃至図1Dに示す半導体装置では、導電体240aの第1の導電体および導電体240aの第2の導電体を積層し、導電体240bの第1の導電体および導電体240bの第2の導電体を積層する構成について示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、導電体240aおよび導電体240bのそれぞれを単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
[トランジスタ200]
図1A乃至図1Dに示すように、トランジスタ200は、絶縁体214および/または絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205(導電体205a、および導電体205b)と、絶縁体216上、および導電体205上の絶縁体222と、絶縁体222上の絶縁体224と、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の、酸化物243a、酸化物243b、および酸化物230cと、酸化物243a上の導電体242aと、酸化物243b上の導電体242bと、酸化物230c上の酸化物230dと、酸化物230d上の絶縁体250と、絶縁体250上に位置し、酸化物230cの一部と重なる導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、を有する。また、酸化物230cは、酸化物243aの側面、酸化物243bの側面、導電体242aの側面、および導電体242bの側面と接する。また、絶縁体282は、導電体260、絶縁体250、酸化物230d、酸化物230c、および絶縁体280のそれぞれの上面と接する。
絶縁体280、および絶縁体254には、酸化物230bに達する開口が設けられる。当該開口内に、酸化物230c、酸化物230d、絶縁体250、および導電体260が配置されている。また、トランジスタ200のチャネル長方向において、導電体242a、および酸化物243aと、導電体242b、および酸化物243bと、の間に導電体260、絶縁体250、酸化物230d、および酸化物230cが設けられている。絶縁体250は、導電体260の側面と接する領域と、導電体260の底面と接する領域と、を有する。また、酸化物230cは、酸化物230bと接する領域と、酸化物230dおよび絶縁体250を介して、導電体260の側面と重なる領域と、酸化物230dおよび絶縁体250を介して、導電体260の底面と重なる領域と、を有する。
酸化物230は、絶縁体224の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上に配置され、少なくとも一部が酸化物230bに接する酸化物230cと、酸化物230cの上に配置された酸化物230dと、を有することが好ましい。
なお、トランジスタ200では、酸化物230が、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dの4層を積層する構成について示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230aと酸化物230bの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層構造、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230dの3層構造、または5層以上の積層構造を設ける構成にしてもよいし、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dのそれぞれが積層構造を有していてもよい。
導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能し、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう。)電極として機能する。また、絶縁体250、絶縁体224、および絶縁体222は、ゲート絶縁体として機能する。また、導電体242aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能し、導電体242bは、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。また、酸化物230はチャネル形成領域として機能する。
ここで、図1Bにおけるチャネル形成領域近傍の拡大図を図2に示す。図2に示すように、酸化物230は、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域234と、領域234を挟むように設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する、領域236aおよび領域236bと、を有する。領域234は、少なくとも一部が導電体260と重畳している。酸化物230b上には導電体242a、および導電体242bが設けられており、領域236aの導電体242a近傍、および領域236bの導電体242b近傍に、より低抵抗な領域が形成されている。
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域236aおよび領域236bは、酸素濃度が低い、水素、窒素、金属元素などの不純物を含む、などによりキャリア濃度が増加し、低抵抗化した領域である。すなわち、領域236aおよび領域236bは、領域234と比較して、キャリア濃度が高く、低抵抗な領域である。また、チャネル形成領域として機能する領域234は、領域236aおよび領域236bよりも、酸素濃度が高い、不純物濃度が低い、などにより、キャリア濃度が低く、高抵抗な領域である。また、領域234と領域236a(領域236b)の間に、酸素濃度が、領域236a(領域236b)の酸素濃度と同等、またはそれよりも高く、領域234の酸素濃度と同等、またはそれよりも低い、領域が形成されていてもよい。
また、図2では、領域234のチャネル長方向の幅が導電体260の幅と一致しているが、本実施の形態は、これに限られるものではない。領域234の幅が導電体260の幅より狭くなる場合、または領域234の幅が導電体260の幅より広くなる場合もある。
また、酸化物230において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される水素、窒素、金属元素などの不純物の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、水素、窒素、金属元素などの不純物の濃度が減少していればよい。
また、領域234の酸素濃度を高くするためには、酸化物半導体の近傍に、加熱により脱離する酸素(以下、過剰酸素と呼ぶ場合がある。)を含む絶縁体を設け、熱処理を行うことで、当該絶縁体から酸化物半導体に酸素を供給できる構成にすればよい。これにより、酸化物半導体中のチャネル形成領域に含まれる酸素欠損を、供給された酸素により修復することができる。さらに、供給された酸素が酸化物半導体中に残存した水素と反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物半導体にVOHが形成されるのを抑制することができる。
しかしながら、ソース領域またはドレイン領域に過剰な量の酸素が供給されると、ソース領域またはドレイン領域のキャリア濃度が低減し、トランジスタ200のオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こすおそれがある。さらに、ソース領域またはドレイン領域に供給される酸素の量が基板面内で不均一になることで、トランジスタを有する半導体装置の特性にばらつきが生じることになる。
よって、酸化物半導体中において、チャネル形成領域として機能する領域234は、キャリア濃度が低減され、i型化または実質的にi型化されていることが好ましいが、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域236aおよび領域236bは、キャリア濃度が高く、n型化していることが好ましい。
トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230d)に、上述した金属酸化物を用いることが好ましい。特に、酸化物230bに上述した金属酸化物を用いることが好ましい。
上述した金属酸化物を酸化物230bに用いることで、チャネル形成領域における水素の拡散が抑制され、ソース領域からドレイン領域、または、ドレイン領域からソース領域への水素の拡散を抑制することができる。よって、酸化物半導体中において、i型化または実質的にi型化した領域と、n型化した領域と、を保持することができる。したがって、信頼性が良好なトランジスタを有する半導体装置を作製することができる。また、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を作製することができる。
なお、上述した金属酸化物を、チャネル長が微細化されたトランジスタに用いると好適である。上述した金属酸化物を用いることで、チャネル長が微細化されたトランジスタにおいても、ソース領域からドレイン領域、または、ドレイン領域からソース領域への水素の拡散を防ぐことができる。よって、酸化物半導体中の、i型化または実質的にi型化した領域と、n型化した領域と、を保持することができる。具体的には、チャネル長を500nm以下、好ましくは300nm以下、さらに好ましくは150nm以下とすることが可能となる。もちろん、チャネル長が500nmよりも大きいトランジスタに上述した金属酸化物を用いても構わない。
また、上述した金属酸化物は、結晶性の高い、緻密な構造を有することで、金属酸化物中の酸素の拡散を抑制することができる。上述した金属酸化物を酸化物230bに用いることで、酸化物230b中の酸素の拡散が抑制される。よって、酸化物230cを介して領域234に供給された酸素が、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域236aおよび領域236bへ拡散するのを抑制することができる。これにより、領域234と領域236aまたは領域236bとの間にオフセット領域が形成されるのを抑制し、オン電流が大きいトランジスタを作製することができる。
また、酸化物230b中の酸素の拡散が抑制されることで、酸化物243a(酸化物243b)を介して、酸化物230bと接する導電体242a(導電体242b)に酸素が拡散するのを抑制することができる。よって、導電体242aおよび導電体242bの酸化を抑制し、トランジスタと配線とのコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。よって、トランジスタに良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
なお、上述した金属酸化物を酸化物230aに用いてもよい。上述した金属酸化物を酸化物230aに用いることで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの水素の拡散を抑制することができる。
また、上述した金属酸化物を酸化物230cに用いてもよい。上述した金属酸化物を酸化物230cに用いることで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
以上よりトランジスタのチャネル形成領域に、上述した金属酸化物を用いることで、電気特性の変動が抑制され、安定した電気特性を実現するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。
酸化物230は、化学組成が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。また、酸化物230は、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。
具体的には、酸化物230aまたは酸化物230dに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bまたは酸化物230cに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。Inに対する元素Mの原子数比が大きくなるほど、不純物または酸素の拡散を抑制しやすくなる。よって、酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230c上に酸化物230dを有することで、酸化物230dよりも上方に形成された構造物から、酸化物230cへの不純物の拡散を抑制することができる。
別言すると、酸化物230bまたは酸化物230cに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aまたは酸化物230dに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。インジウムの含有量が多い金属酸化物をチャネル形成領域に用いることで、トランジスタのオン電流を増大することができる。このとき、キャリアの主たる経路は、酸化物230b、酸化物230cまたはその近傍、例えば、酸化物230bと酸化物230cとの界面になる。また、酸化物230b、および酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
また、酸化物230b、酸化物230cまたはその近傍、例えば、酸化物230bと酸化物230cとの界面をキャリアの主たる経路とするためには、酸化物230bおよび酸化物230cの伝導帯下端は、酸化物230aおよび酸化物230dの伝導帯下端より真空準位から離れていることが好ましい。言い換えると、酸化物230bおよび酸化物230cの電子親和力は、酸化物230aおよび酸化物230dの電子親和力より大きいことが好ましい。
酸化物230bおよび酸化物230cは、結晶性を有することが好ましい。特に、酸化物230bおよび酸化物230cとして、上述したCAAC-OSを用いることが好ましい。また、酸化物230dが結晶性を有する構成にしてもよい。
CAAC-OSを、酸化物230bまたは酸化物230cに用いることで、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域で、不純物、および酸素欠損の低減を図ることができる。これにより、電気特性の変動が抑制され、安定した電気特性を実現するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。
また、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるため、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
また、CAAC-OSは、上記金属酸化物が有する結晶のc軸と垂直方向に酸素を移動させやすい性質を有する。したがって、酸化物230cが有する酸素を、酸化物230bに効率的に供給することができる。
CAAC-OSは、結晶性の高い、緻密な構造を有しており、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少ない金属酸化物である。特に、金属酸化物の形成後に、金属酸化物が多結晶化しない程度の温度(例えば、400℃以上600℃以下)で加熱処理することで、CAAC-OSをより結晶性の高い、緻密な構造にすることができる。このようにして、CAAC-OSの密度をより高めることで、当該CAAC-OS中の不純物または酸素の拡散をより低減することができる。
また、酸化物230bとして、上述した金属酸化物を用いることで、酸化物230b中の、不純物、および酸素の拡散を低減することができる。よって、酸化物230bの領域234に供給された酸素が、酸化物230bの領域236aおよび領域236bに拡散するのを低減することができる。
以上のようにして、チャネル形成領域として機能する領域234に選択的に酸素を供給して、領域234のi型化または実質的にi型化を図り、且つソース領域またはドレイン領域として機能する領域236aおよび領域236bに拡散する酸素を抑制し、領域236aおよび領域236bのn型化を維持することができる。これにより、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制し、基板面内でトランジスタ200の電気特性がばらつくのを抑制することができる。
また、酸化物230dは、酸化物230cに用いられる金属酸化物を構成する金属元素の少なくとも一つを含むことが好ましく、当該金属元素を全て含むことがより好ましい。例えば、酸化物230cとして、In-M-Zn酸化物、In-Zn酸化物、または酸化インジウムを用い、酸化物230dとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、または元素Mの酸化物を用いるとよい。これにより、酸化物230cと酸化物230dとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。
また、酸化物230dは、酸化物230cより、酸素の拡散または透過を抑制する金属酸化物であることが好ましい。絶縁体250と酸化物230cとの間に酸化物230dを設けることで、絶縁体280に含まれる酸素が、絶縁体250に拡散するのを抑制することができる。したがって、当該酸素は、酸化物230cを介して、酸化物230bに効率的に供給することができる。また、当該酸素が絶縁体250を介して導電体260に供給され、導電体260が酸化するのを抑制することができる。
また、酸化物230dに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対するInの原子数比を、酸化物230cに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対するInの原子数比より小さくすることで、Inが絶縁体250側に拡散するのを抑制することができる。絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが絶縁体250などに混入した場合、トランジスタの特性不良となる。したがって、酸化物230cと絶縁体250との間に酸化物230dを設けることで、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、酸化物230bと酸化物230cとの界面、および酸化物230cと酸化物230dとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
例えば、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230c、酸化物230cと酸化物230dが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-M-Zn酸化物の場合、酸化物230a、酸化物230c、および酸化物230dとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、元素Mの酸化物、In-Zn酸化物、酸化インジウムなどを用いるとよい。
具体的には、酸化物230aとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230b、および酸化物230cとして、In:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=4:2:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230dとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、M:Zn=2:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはM:Zn=2:5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物、または、元素Mの酸化物を用いればよい。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。また、元素Mとして、ガリウムを用いることが好ましい。
酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、酸化物230bと酸化物230cとの界面、および酸化物230cと酸化物230dとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は大きいオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
また、トランジスタのチャネル長方向の断面視において、酸化物230bに溝部を設け、当該溝部に、CAAC-OSを有する酸化物230cを埋め込むことが好ましい。このとき、酸化物230cは、当該溝部の内壁(側壁、および底面)を覆うように配置される。
また、酸化物230bの溝部の深さは、酸化物230cの膜厚と概略一致することが好ましい。言い換えると、酸化物230bと重なる領域の酸化物230cの上面が、酸化物230bと酸化物243aまたは酸化物243bの界面と概略一致して配置されることが好ましい。例えば、絶縁体222の底面を基準としたとき、酸化物230bと酸化物243aまたは酸化物243bの界面の高さと、酸化物230cと酸化物230dの界面の高さの差が、酸化物230cの膜厚以下であることが好ましく、酸化物230cの膜厚の半分以下であることがより好ましい。
上記構成にすることで、トランジスタにおいて、VOHなどの欠陥や不純物の影響を低減して、チャネルを酸化物230cに形成することができる。これにより、トランジスタに良好な電気特性を付与することができる。さらに、トランジスタ特性のばらつきが少なく、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。
また、酸化物230bと酸化物230cの界面、およびその近傍における不純物が、低減または除去されていることが好ましい。元素Mがアルミニウムでない場合、特に、アルミニウム、シリコンなどの不純物は、酸化物230cおよび酸化物230bの結晶性またはc軸配向性の向上を阻害するため、低減または除去されていることが好ましい。例えば、酸化物230bと酸化物230cの界面、およびその近傍における、アルミニウム原子の濃度が、2.0原子%以下が好ましく、1.5原子%以下がより好ましく、1.0原子%以下がさらに好ましい。
なお、アルミニウム、シリコンなどの不純物により結晶性またはc軸配向性の向上が阻害され、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)となった金属酸化物の領域を、非CAAC領域と呼ぶ場合がある。非CAAC領域ではVOHが多量に形成され、トランジスタがノーマリーオン化しやすくなる蓋然性が高い。以上より、非CAAC領域は、縮小または除去されていることが好ましい。
これに対して、CAAC構造を有する酸化物230bおよび酸化物230cにおいては、緻密な結晶構造が形成されているので、VOHは安定に存在しにくくなる。さらに、後述する加酸素化処理において、過剰酸素を酸化物230bおよび酸化物230cに供給することで、酸化物230bおよび酸化物230c中のVOH、およびVOを低減することができる。このように、酸化物230bおよび酸化物230cがCAAC構造を有することで、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
なお、図2では、導電体260等を埋め込む開口の側面が、酸化物230bの溝部も含めて、酸化物230bの被形成面に対して概略垂直である構成について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。当該開口の底部が緩やかな曲面を有する、U字型の形状となってもよい。
ここで、酸化物230cにおいて、CAAC構造のc軸は、酸化物230cの被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが好ましい。よって、上記開口の底面および側面に対して概略平行になるように結晶の層が伸長した領域を有する。なお、酸化物230dも酸化物230cと同様の結晶構造を有するとより好ましい。
また、上記溝部内の酸化物230cのCAAC構造のa-b面と、酸化物230bのCAAC構造のa-b面のなす角は、60度以下であることが好ましく、45度以下であることがより好ましく、30度以下であることがさらに好ましい。このように、上記溝部内の酸化物230cのCAAC構造のa-b面と、酸化物230bのCAAC構造のa-b面のなす角を小さくすることで、当該溝部において、酸化物230cの結晶性を高くすることができる。
なお、非CAAC領域からなる酸化物は、酸化物230b、酸化物243a、酸化物230c、および酸化物230dに囲まれるように形成される場合に限られず、酸化物230bと酸化物230cに挟まれるように形成される場合もある。
また、図1Cに示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面視において、酸化物230bの側面と酸化物230bの上面との間に、湾曲面を有してもよい。つまり、当該側面の端部と当該上面の端部は、湾曲してもよい(以下、ラウンド状ともいう。)。
上記湾曲面での曲率半径は、0nmより大きく、導電体242aまたは導電体242bと重なる領域の酸化物230bの膜厚より小さい、または、酸化物230bの上面の、上記湾曲面を有さない領域の長さの半分より小さいことが好ましい。上記湾曲面での曲率半径は、具体的には、0nmより大きく20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下とする。このような形状にすることで、後の工程で形成する絶縁体250および導電体260の、当該溝部への被覆性を高めることができる。また、酸化物230bの上面の、上記湾曲面を有さない領域の長さの減少を防ぎ、トランジスタ200のオン電流、移動度の低下を抑制することができる。したがって、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
なお、酸化物230cは、トランジスタ200毎に設けてもよい。つまり、トランジスタ200の酸化物230cと、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cと、は、接しなくてもよい。また、トランジスタ200の酸化物230cと、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cと、を、離隔してもよい。別言すると、酸化物230cが、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に配置されない構成としてもよい。
複数のトランジスタ200がチャネル幅方向に配置されている半導体装置において、上記構成にすることで、トランジスタ200に酸化物230cがそれぞれ独立して設けられる。よって、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、寄生トランジスタが生じるのを抑制し、導電体260に沿ったリークパスが生じるのを抑制することができる。したがって、良好な電気特性を有し、かつ、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
例えば、トランジスタ200のチャネル幅方向において、互いに向かい合う、トランジスタ200の酸化物230cの側端部と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cの側端部との距離をL1として表すと、L1を0nmよりも大きくする。また、トランジスタ200のチャネル幅方向において、互いに向かい合う、トランジスタ200の酸化物230aの側端部と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230aの側端部との距離をL2として表すと、L2に対するL1の比(L1/L2)の値は、好ましくは0より大きく1未満、より好ましくは0.1以上0.9以下、さらに好ましくは0.2以上0.8以下である。なお、L2は、互いに向かい合う、トランジスタ200の酸化物230bの側端部と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230bの側端部との距離であってもよい。
上記のL2に対するL1の比(L1/L2)を小さくすることで、酸化物230cが、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に配置されない領域の位置ずれが生じても、トランジスタ200の酸化物230cと、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230cと、を、離隔することができる。
また、上記のL2に対するL1の比(L1/L2)を大きくすることで、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間隔を狭めても、最小加工寸法の幅を確保することができ、半導体装置のさらなる微細化または高集積化を図ることができる。
なお、導電体260、絶縁体250のそれぞれは、隣接するトランジスタ200間で共通して用いられてもよい。つまり、トランジスタ200の導電体260は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の導電体260と連続して設けられた領域を有する。また、トランジスタ200の絶縁体250は、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の絶縁体250と連続して設けられた領域を有する。
また、上記構成とすることで、酸化物230dは、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、絶縁体224に接する領域を有する。なお、トランジスタ200の酸化物230dは、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200の酸化物230dと、離隔する構成にしてもよい。このとき、絶縁体250は、トランジスタ200と、当該トランジスタ200に隣接するトランジスタ200との間に、絶縁体224に接する領域を有する。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体254、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体284、および絶縁体286は、水、水素などの不純物が、基板側から、または、トランジスタ200の上方からトランジスタ200に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体254、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体284、および絶縁体286は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、バリア絶縁膜とは、バリア性を有する絶縁膜のことを指す。本明細書において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、および固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
例えば、絶縁体212、絶縁体283、および絶縁体284として、窒化シリコンなどを用い、絶縁体214、絶縁体254、および絶縁体282として、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、水、水素などの不純物が絶縁体212、および絶縁体214を介して、基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。また、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体212、および絶縁体214を介して、基板側に拡散するのを抑制することができる。この様に、トランジスタ200を、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体212、絶縁体214、絶縁体254、絶縁体282、絶縁体283、および絶縁体284で取り囲む構造とすることが好ましい。
また、絶縁体212、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率を低くすることが好ましい場合がある。例えば、絶縁体212、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率を概略1×1013Ωcmとすることで、半導体装置作製工程のプラズマ等を用いる処理において、絶縁体212、絶縁体284、および絶縁体286が、導電体205、導電体242a、導電体242b、導電体260、導電体246a、または導電体246bのチャージアップを緩和することができる場合がある。絶縁体212、絶縁体284、および絶縁体286の抵抗率は、好ましくは、1×1010Ωcm以上1×1015Ωcm以下とする。
なお、絶縁体283または絶縁体284は、必ずしも設けなくてもよい。
絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
導電体205(導電体205a、および導電体205b)は、第2のゲート電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。
なお、導電体205は、図1Aに示すように、酸化物230の導電体242aおよび導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、図1Cに示すように、導電体205は、酸化物230aおよび酸化物230bのチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、第1のゲート電極として機能する導電体260の電界と、第2のゲート電極として機能する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
なお、本明細書等において、S-channel構造のトランジスタとは、一対のゲート電極の一方および他方の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を表す。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
また、図1Cに示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体205は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体205を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
ここで、導電体205aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体205aに、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205aは、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。例えば、導電体205aは、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムと、チタンまたは窒化チタンとの積層としてもよい。
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと、当該導電性材料との積層としてもよい。
なお、トランジスタ200では、導電体205は、導電体205aと導電体205bとを積層する構成について示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
絶縁体222は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224よりも水素および酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230から基板側への酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の拡散を抑制する層として機能する。よって、絶縁体222を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ200の内側へ拡散することを抑制し、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
または、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁体222は、これらの絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。例えば、絶縁体224は、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
絶縁体224として、具体的には、化学量論的組成よりも酸素が過剰に存在する領域(以下、過剰酸素領域ともいう)、または過剰酸素を含む絶縁体材料を用いることが好ましい。過剰酸素領域または過剰酸素を含む酸化膜とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素分子の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm3以上、または3.0×1020molecules/cm3以上である酸化膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度は100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物230と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物230中の水、または水素を除去することができる。なお、水素の一部は、導電体242aおよび導電体242bに拡散または捕獲(ゲッタリングともいう)される場合がある。
上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物230、または酸化物230近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとして、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下でマイクロ波処理を行うとよい。
また、トランジスタ200の作製工程中において、酸化物230の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230に酸素を供給して、酸素欠損の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
なお、酸化物230に加酸素化処理を行うことで、酸化物230中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる反応を促進させることができる。さらに、酸化物230中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物230中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
なお、絶縁体222、および絶縁体224のそれぞれが、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
酸化物243aおよび酸化物243bを、酸化物230b上に設けてもよい。
酸化物243aおよび酸化物243bは、酸素の透過を抑制する機能を有することが好ましい。ソース電極やドレイン電極として機能する導電体242a(導電体242b)と酸化物230bとの間に酸素の透過を抑制する機能を有する酸化物243a(酸化物243b)を配置することで、導電体242a(導電体242b)と、酸化物230bとの間の電気抵抗が低減されるので好ましい。このような構成とすることで、トランジスタ200の電気特性およびトランジスタ200の信頼性を向上させることができる。なお、導電体242a(導電体242b)と酸化物230bの間の電気抵抗を十分低減できる場合、酸化物243a(酸化物243b)を設けない構成にしてもよい。
酸化物243aおよび酸化物243bとして、元素Mを有する金属酸化物を用いてもよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。酸化物243aおよび酸化物243bは、酸化物230bよりも元素Mの濃度が高いことが好ましい。また、酸化物243aおよび酸化物243bとして、酸化ガリウムを用いてもよい。また、酸化物243aおよび酸化物243bとして、In-M-Zn酸化物等の金属酸化物を用いてもよい。具体的には、酸化物243aおよび酸化物243bに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物243aおよび酸化物243bの膜厚は、0.5nm以上5nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以上3nm以下、さらに好ましくは1nm以上2nm以下である。また、酸化物243aおよび酸化物243bは、結晶性を有すると好ましい。酸化物243aおよび酸化物243bが結晶性を有する場合、酸化物230中の酸素の放出を好適に抑制することが出来る。例えば、酸化物243aおよび酸化物243bが、六方晶などの結晶構造を有すると、酸化物230中の酸素の放出を抑制できる場合がある。
導電体242aは酸化物243a上に設けられ、導電体242bは酸化物243b上に設けられる。
導電体242aおよび導電体242bとして、例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタルおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物などを用いることが好ましい。本実施の形態においては、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
導電体242a(導電体242b)の側面と導電体242a(導電体242b)の上面との間に、湾曲面を有する場合がある。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲している場合がある。湾曲面は、例えば、導電体242aおよび導電体242bのそれぞれの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
なお、酸化物243a(酸化物243b)を設けない場合、導電体242a(導電体242b)と、酸化物230bまたは酸化物230cとが接することで、酸化物230bまたは酸化物230c中の酸素が導電体242a(導電体242b)へ拡散し、導電体242a(導電体242b)が酸化することがある。導電体242aおよび導電体242bが酸化することで、導電体242aおよび導電体242bの導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物230bまたは酸化物230c中の酸素が導電体242aおよび導電体242bへ拡散することを、導電体242aおよび導電体242bが酸化物230bまたは酸化物230c中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
また、酸化物230bまたは酸化物230c中の酸素が導電体242aおよび導電体242bへ拡散することで、導電体242aと酸化物230bとの間、および、導電体242bと酸化物230bとの間、または、導電体242aと酸化物230cとの間、および、導電体242bと酸化物230cとの間に層が形成される場合がある。当該層は、導電体242aまたは導電体242bよりも酸素を多く含むため、当該層は絶縁性を有すると推定される。このとき、導電体242aまたは導電体242bと、当該層と、酸化物230bまたは酸化物230cとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造、またはMIS構造を主としたダイオード接合構造とみることができる。
なお、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素が、導電体242aまたは導電体242bに拡散する場合がある。特に、導電体242aおよび導電体242bに、タンタルを含む窒化物を用いることで、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに拡散しやすく、拡散した水素は、導電体242aまたは導電体242bが有する窒素と結合することがある。つまり、酸化物230b、酸化物230cなどに含まれる水素は、導電体242aまたは導電体242bに吸い取られる場合がある。
絶縁体254は、酸化物230aの側面、酸化物230bの側面、酸化物243aの側面、酸化物243bの側面、導電体242aの側面、導電体242aの上面、導電体242bの側面、および導電体242bの上面を覆って設けられる。
絶縁体254は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体254として、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。
また、絶縁体254は、バイアススパッタリング法によって、酸素を含む雰囲気にて酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムを成膜することが好ましい。バイアススパッタリング法とは、基板にRF電力を印加しながらスパッタリングする方法である。基板にRF電力を印加することで、基板の電位はプラズマ電位に対して負電位(バイアス電位と言う。)となり、プラズマ中の+イオンは、このバイアス電位に加速されて基板に注入される。バイアス電位は、基板に印加するRF電力の大きさによって制御することができる。従って、バイアススパッタリング法によって、酸素を含む雰囲気にて酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムを成膜することで絶縁体224に酸素を注入することができる。
なお、バイアススパッタリング法では、基板に印加するRF電力の大きさによって、絶縁体254の下地となる絶縁体224へ注入する酸素量を制御することができる。たとえば、RF電力として、電力密度が0.31W/cm2以上、好ましくは0.62W/cm2以上、さらに好ましくは1.86W/cm2以上のバイアスを基板に印加すればよい。つまり、絶縁体254を成膜する際のRF電力によって、トランジスタの特性に適する酸素量を変化させて注入することができる。また、トランジスタの信頼性向上に適する酸素量を注入することができる。また、RFの周波数は、10MHz以上が好ましい。代表的には、13.56MHzである。RFの周波数が高いほど基板へ与えるダメージを小さくすることができる。したがって、基板に印加するRF電力を調整することで、絶縁体224に注入する酸素量を制御できるため、絶縁体224に注入する酸素量を最適化できる。
なお、バイアススパッタリング法において、基板に印加するバイアスは、RF電力に限られず、DC電圧でもよい。
以上のように、絶縁体254は、下地となる膜へ酸素を注入する機能を有するが、絶縁体254自体は、酸素の透過を抑制する機能を有する。従って、のちの工程で絶縁体254上に絶縁体280を形成し、絶縁体280から酸素を拡散させたときに、絶縁体280から、酸化物230a、酸化物230b、酸化物243aおよび酸化物243bとなる酸化物層、ならびに、導電体242aおよび導電体242bとなる導電層に、酸素が直接拡散するのを防ぐことができる。
上記のような絶縁体254を設けることで、酸化物230a、酸化物230b、酸化物243a、酸化物243b、導電体242a、および導電体242bを、絶縁体280から離隔することができる。よって、酸化物230a、酸化物230b、酸化物243a、酸化物243b、導電体242a、および導電体242bに、絶縁体280から酸素が直接拡散するのを抑制することができる。これにより、酸化物230のソース領域およびドレイン領域に過剰な酸素が供給されて、ソース領域およびドレイン領域のキャリア濃度が低減するのを防ぐことができる。また、導電体242aおよび導電体242bが過剰に酸化されて抵抗率が増大し、オン電流が低減するのを抑制することができる。
絶縁体250は、酸化物230dの少なくとも一部に接して配置することが好ましい。絶縁体250として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230dの少なくとも一部に接して設けることにより、酸化物230のチャネル形成領域に効果的に酸素を供給し、酸化物230のチャネル形成領域の酸素欠損を低減することができる。したがって、電気特性の変動が抑制され、安定した電気特性を実現するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
なお、図1Bおよび図1Cでは、絶縁体250を単層で図示したが、2層以上の積層構造としてもよい。なお、積層構造を有する絶縁体250の説明は、後述する。
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
なお、上記金属酸化物は、第1のゲート電極の一部としての機能を有することが好ましい。上記金属酸化物を有することで、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができる。例えば、酸化物230として用いることができる金属酸化物を、上記金属酸化物として用いることができる。その場合、導電体260aをスパッタリング法で成膜することで、上記金属酸化物の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
上記金属酸化物を有することで、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができる。
導電体260は、導電体260aと、導電体260aの上に配置された導電体260bと、を有することが好ましい。例えば、導電体260aは、導電体260bの底面および側面を包むように配置されることが好ましい。また、図1Bおよび図1Cに示すように、導電体260の上面は、絶縁体250の上面、酸化物230dの上面、および酸化物230cの上面と略一致して配置される。なお、図1Bおよび図1Cでは、導電体260は、導電体260aと導電体260bの2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
また、トランジスタ200では、導電体260は、絶縁体280などに形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体260をこのように形成することにより、導電体242aと導電体242bとの間の領域に、導電体260を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
また、図1Cに示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向において、導電体260の、導電体260と酸化物230bとが重ならない領域の底面は、酸化物230bの底面より低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電体260が、絶縁体250などを介して、酸化物230bのチャネル形成領域の側面および上面を覆う構成とすることで、導電体260の電界を酸化物230bのチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。絶縁体222の底面を基準としたとき、酸化物230aおよび酸化物230bと、導電体260とが、重ならない領域における導電体260の底面の高さと、酸化物230bの底面の高さと、の差は、0nm以上100nm以下、好ましくは、3nm以上50nm以下、より好ましくは、5nm以上20nm以下とする。
絶縁体280は、絶縁体254上に設けられる。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
また、絶縁体280中の水、水素などの不純物濃度は低減されていることが好ましい。また、絶縁体280は、水素濃度が低く、過剰酸素領域または過剰酸素を有することが好ましく、例えば、絶縁体216と同様の材料を用いて設けてもよい。また、絶縁体280は、上記の材料が積層された構造でもよく、例えば、スパッタリング法で成膜した酸化シリコンと、その上にCVD法で成膜した酸化窒化シリコンとの積層構造とすればよい。また、さらに上に窒化シリコンを積層してもよい。
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。
また、導電体240aおよび導電体240bのそれぞれは積層構造としてもよい。導電体240aおよび導電体240bのそれぞれを積層構造とする場合、絶縁体284、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280、および絶縁体254と接する導電体には、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。また、絶縁体284より上層に含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
絶縁体241aおよび絶縁体241bとしては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体241aおよび絶縁体241bは、絶縁体254に接して設けられるので、絶縁体280などに含まれる水、水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
また、導電体240aの上面に接して配線として機能する導電体246a、および導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体246bを配置してもよい。導電体246aおよび導電体246bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
絶縁体286は、導電体246a上、導電体246b上、および絶縁体284上に設けられる。これにより、導電体246aの上面、導電体246aの側面、導電体246bの上面、および導電体246bの側面は、絶縁体286と接し、導電体246aの下面、および導電体246bの下面は、絶縁体284と接する。つまり、導電体246aおよび導電体246bのそれぞれは、絶縁体284、および絶縁体286で包まれる構成とすることができる。この様な構成とすることで、外方からの酸素の透過を抑制し、導電体246aおよび導電体246bの酸化を防止することができる。また、導電体246aおよび導電体246bから、水、水素などの不純物が外部に拡散することを防ぐことができるため好ましい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
[基板]
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムを材料とした半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
[絶縁体]
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などがある。
また、金属酸化物を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコンなどの金属窒化物を用いることができる。
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
[導電体]
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
[金属酸化物]
酸化物230として、半導体として機能する金属酸化物(酸化物半導体)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
<<結晶構造の分類>>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、図3Aを用いて説明を行う。図3Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
図3Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
なお、図3Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを図3Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、図3Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、図3Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、図3Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
図3Bでは、横軸は2θ[deg.]であり、縦軸は強度(Intensity)[a.u.]である。図3Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、図3Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、図3Cに示す。図3Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、図3Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
図3Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、図3Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、a-like OS、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
ここで、上述のnc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比をそれぞれ、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本実施の形態の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
<<酸化物半導体を有するトランジスタ>>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。また、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。なお、本明細書等においては、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度が1×1016cm-3以下の場合を実質的に高純度真性として定義する。
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に不純物および酸素欠損が存在すると、当該酸化物半導体が低抵抗化する場合がある。また、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタにおいては、チャネル形成領域に低抵抗領域が形成されると、当該低抵抗領域にトランジスタのソース電極とドレイン電極との間のリーク電流(寄生チャネル)が発生しやすい。また、当該寄生チャネルによって、トランジスタのノーマリーオン化、リーク電流の増大、ストレス印加によるしきい値電圧の変動(シフト)など、トランジスタの特性不良が起こりやすくなる。また、トランジスタの加工精度が低いと、当該寄生チャネルがトランジスタ毎にばらつくことで、トランジスタ特性にばらつきが生じてしまう。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。
<<不純物>>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体に不純物が混入すると、欠陥準位または酸素欠損が形成される場合がある。よって、酸化物半導体のチャネル形成領域に不純物が混入することで、酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、チャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。
金属酸化物を用いたトランジスタは、金属酸化物中の不純物及び酸素欠損によって、その電気特性が変動し、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中に、適量値を超えた過剰な酸素を有した状態で、該トランジスタを駆動した場合、過剰な酸素原子の価数が変化し、該トランジスタの電気特性が変動することで、信頼性が悪くなる場合がある。
また、酸化物半導体のチャネル形成領域に不純物が存在すると、チャネル形成領域の結晶性が低くなる場合がある、また、チャネル形成領域に接して設けられる酸化物の結晶性が低くなる場合がある。チャネル形成領域の結晶性が低いと、トランジスタの安定性または信頼性が悪化する傾向がある。また、チャネル形成領域に接して設けられる酸化物の結晶性が低いと、界面準位が形成され、トランジスタの安定性または信頼性が悪化する場合がある。
金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
<半導体装置の変形例1>
以下では、図4A乃至図4Dを用いて、半導体装置の一例について説明する。
図4Aは半導体装置の上面図を示す。また、図4Bは、図4AにA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、図4Cは、図4AにA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、図4Dは、図4AにA5-A6の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。図4Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
なお、図4A乃至図4Dに示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目においても、半導体装置の構成材料については<半導体装置の構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
図4A乃至図4Dに示す半導体装置は、図1A乃至図1Dに示した半導体装置の変形例である。図4A乃至図4Dに示す半導体装置は、図1A乃至図1Dに示した半導体装置とは、絶縁体283の形状が異なる。また、絶縁体287、および絶縁体274を有することが異なる。また、絶縁体284を有さないことが異なる。
図4A乃至図4Dに示す半導体装置では、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体280、および絶縁体282がパターニングされている。また、絶縁体287、および絶縁体283は、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体280、および絶縁体282を覆う構造になっている。つまり、絶縁体287は、絶縁体212の上面、絶縁体214の側面、絶縁体216の側面、絶縁体222の側面、絶縁体224の側面、絶縁体254の側面、絶縁体280の側面、絶縁体282の側面、および絶縁体282の上面に接し、絶縁体283は、絶縁体287の上面および側面に接する。これにより、酸化物230、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体280、および絶縁体282は、絶縁体287および絶縁体283と、絶縁体212とによって、外部から隔離される。別言すると、トランジスタ200は、絶縁体287および絶縁体283と絶縁体212とで封止された領域内に配置される。
例えば、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体287を、水素を捕獲および水素を固着する機能を有する材料を用いて形成し、絶縁体212、および絶縁体283を水素および酸素に対する拡散を抑制する機能を有する材料を用いて形成すると好ましい。代表的には、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体287として、酸化アルミニウムを用いることができる。また、代表的には、絶縁体212、および絶縁体283として、窒化シリコンを用いることができる。
上記構成にすることで、上記封止された領域外に含まれる水素が、上記封止された領域内に混入することを抑制することができる。したがって、トランジスタ中の低い水素濃度を保持することができる。
なお、図4A乃至図4Dに示すトランジスタ200では、絶縁体212、絶縁体287、および絶縁体283を、単層として設ける構成について示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体212、絶縁体287、および絶縁体283のそれぞれを2層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
また、絶縁体287は、設けなくてもよい。当該構成にすることで、トランジスタ200は、絶縁体212と絶縁体283とで封止された領域内に配置される。当該構造にすることで、当該封止された領域外に含まれる水素が、当該封止された領域内に混入することをより抑制することができる。したがって、トランジスタ中の低い水素濃度をより保持することができる。
絶縁体274は、層間膜として機能する。絶縁体274は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁体274は、例えば、絶縁体280と同様の材料を用いて設けることができる。
<半導体装置の作製方法>
次に、図4A乃至図4Dに示す、本発明の一態様である半導体装置の作製方法を、図5A乃至図17Dを用いて説明する。
図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図11A、図12A、図13A、図14A、図15A、図16A、および図17Aは上面図を示す。また、図5B、図6B、図7B、図8B、図9B、図10B、図11B、図12B、図13B、図14B、図15B、図16B、および図17Bはそれぞれ、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図11A、図12A、図13A、図14A、図15A、図16A、および図17AにA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図5C、図6C、図7C、図8C、図9C、図10C、図11C、図12C、図13C、図14C、図15C、図16C、および図17Cはそれぞれ、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図11A、図12A、図13A、図14A、図15A、図16A、および図17AにA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図5D、図6D、図7D、図8D、図9D、図10D、図11D、図12D、図13D、図14D、図15D、図16D、および図17Dはそれぞれ、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図11A、図12A、図13A、図14A、図15A、図16A、および図17AにA5-A6の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。なお、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図11A、図12A、図13A、図14A、図15A、図16A、および図17Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
まず、基板(図示しない。)を準備し、当該基板上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
また、ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD(Thermal ALD)法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法などを用いることができる。
また、ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるため、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、低温での成膜が可能、などの効果がある。PEALD(Plasma Enhanced ALD)法では、プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
本実施の形態では、絶縁体212として、スパッタリング法によって窒化シリコンを成膜する。このように、絶縁体212として、窒化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、絶縁体212より下層(図示せず。)の導電体に銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が絶縁体212を介して上方に拡散するのを抑制することができる。また、窒化シリコンのように水、水素などの不純物が透過しにくい絶縁体を用いることにより、絶縁体212より下層に含まれる水、水素などの不純物の拡散を抑制することができる。
次に、絶縁体212上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、酸化アルミニウムを用いる。
絶縁体214の水素濃度は、絶縁体212の水素濃度より低いことが好ましい。絶縁体212としてスパッタリング法によって窒化シリコンを成膜することで、水素濃度が低い窒化シリコンを形成することができる。また、絶縁体214を酸化アルミニウムとすることで、絶縁体212よりも水素濃度を低くすることができる。
この後の工程にて絶縁体214上に、トランジスタ200を形成するが、トランジスタ200に近接する膜は、水素濃度が比較的低いことが好ましく、水素濃度が比較的高い膜は、トランジスタ200から遠隔して配置することが好ましい。
次に、絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いる。また、絶縁体216は、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体216の水素濃度を低減することができる。
次に、絶縁体216に絶縁体214に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝やスリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウェットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体214は、絶縁体216をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体216に酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いた場合は、絶縁体214は窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムを用いるとよい。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電圧を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電圧を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。または、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体と、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜を多層構造とする。まず、スパッタリング法によって窒化タンタルを成膜し、当該窒化タンタルの上に窒化チタンを積層する。このような金属窒化物を導電体205bの下層に用いることにより、後述する導電体205bとなる導電膜として銅などの拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体205aから外に拡散するのを防ぐことができる。
次に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。該導電膜の成膜は、メッキ法、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、該導電膜として、銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、および導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205aおよび導電体205bが残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205を形成することができる(図5A乃至図5D参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合がある。
なお、上記においては、導電体205を絶縁体216の開口に埋め込むように形成したが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体214上に導電体205を形成し、導電体205上に絶縁体216を成膜し、絶縁体216にCMP処理を行うことで、絶縁体216の一部を除去し、導電体205の表面を露出させればよい。
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、絶縁体222などに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体222の成膜後に、窒素ガスの流量を4slm、酸素ガスの流量を1slmとして、400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体222に含まれる水、水素などの不純物を除去することなどができる。また、絶縁体222として、ハフニウムを含む酸化物を用いる場合、当該加熱処理によって、絶縁体222の結晶性を向上させることができる。また、加熱処理は、絶縁体224の成膜後などのタイミングで行うこともできる。
次に、絶縁体222上に絶縁体224を成膜する。絶縁体224の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体224として、CVD法によって酸化シリコンまたは酸化窒化シリコン膜を成膜する。絶縁体224は、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体224の水素濃度を低減することができる。絶縁体224は、後の工程で酸化物230aと接する絶縁体224となるので、このように水素濃度が低減されていることが好適である。
ここで、絶縁体224に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁体224内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224に含まれる水、水素などの不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
ここで、絶縁体224上に、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜した後、絶縁体224に達するまで、CMP処理を行ってもよい。当該CMP処理を行うことで絶縁体224表面の平坦化および平滑化を行うことができる。当該酸化アルミニウムを絶縁体224上に配置してCMP処理を行うことで、CMP処理の終点検出が容易となる。また、CMP処理によって、絶縁体224の一部が研磨されて、絶縁体224の膜厚が薄くなることがあるが、絶縁体224の成膜時に膜厚を調整すればよい。絶縁体224表面の平坦化および平滑化を行うことで、後に成膜する酸化物の被覆率の悪化を防止し、半導体装置の歩留りの低下を防ぐことができる場合がある。また、絶縁体224上に、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜することにより、絶縁体224に酸素を添加することができるため好ましい。
次に、絶縁体224上に、酸化膜230A、酸化膜230Bを順に成膜する(図5A乃至図5D参照。)。なお、酸化膜230A、および酸化膜230Bは、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A上、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットなどを用いることができる。
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224に供給される場合がある。したがって、当該スパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下として成膜すると、酸素過剰型の酸化物半導体が形成される。酸素過剰型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い信頼性が得られる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。
本実施の形態では、酸化膜230Aを、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bを、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230a、および酸化物230bに求める特性に合わせて形成するとよい。
次に、酸化膜230B上に酸化膜243Aを成膜する(図5A乃至図5D参照)。酸化膜243Aの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。酸化膜243Aは、Inに対するGaの原子数比が、酸化膜230BのInに対するGaの原子数比より大きいことが好ましい。本実施の形態では、酸化膜243Aを、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。
なお、絶縁体222、絶縁体224、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜243Aを、大気に暴露することなく成膜することが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。当該加熱処理は、<金属酸化物、およびその形成方法>で説明した加熱処理条件を用いることができる。
本実施の形態では、加熱処理として、窒素雰囲気にて550℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて550℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、酸化膜230A中、酸化膜230B中、および酸化膜243A中の水、水素などの不純物を除去することなどができる。さらに、当該加熱処理によって、酸化膜230Bの結晶性を向上させ、より密度の高い、緻密な構造にすることができる。これにより、酸化膜230B中における、酸素または不純物の拡散を抑制することができる。
次に、酸化膜243A上に導電膜242Aを成膜する(図5A乃至図5D参照。)。導電膜242Aの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、導電膜242Aの成膜前に、加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して導電膜242Aを成膜してもよい。このような処理を行うことによって、酸化膜243Aの表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化膜230A中、酸化膜230B中、および酸化膜243A中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。本実施の形態では、加熱処理の温度を200℃とする。
次に、リソグラフィー法を用いて、酸化膜230A、酸化膜230B、酸化膜243A、および導電膜242Aを島状に加工して、酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bを形成する。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、酸化膜230A、酸化膜230B、酸化膜243A、および導電膜242Aの加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。なお、当該工程において、絶縁体224の酸化物230aと重ならない領域の膜厚が薄くなることがある(図6A乃至図6D参照。)。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bの側面は、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。または、酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bの側面と、絶縁体222の上面とのなす角が低い角度になる構成にしてもよい。この様な形状とすることで、これより後の工程において、絶縁体254などの被覆性が向上し、鬆などの欠陥を低減することができる。
また、導電層242Bの側面と導電層242Bの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、当該側面の端部と当該上面の端部は、湾曲していることが好ましい。湾曲面は、例えば、導電層242Bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、酸化物層243B、および導電層242Bの上に、絶縁体254を成膜する(図7B乃至図7D参照。)。絶縁体254の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体254として、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜する。
次に、絶縁体254の上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、当該絶縁膜として、スパッタリング法を用いて酸化シリコン膜を成膜し、その上にPEALD法または熱ALD法を用いて酸化シリコン膜を成膜すればよい。また、当該絶縁膜は、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体280の水素濃度を低減することができる。なお、当該絶縁膜の成膜前に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して当該絶縁膜を成膜してもよい。このような処理を行うことによって、絶縁体254の表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化物230a中、酸化物230b中、酸化物層243B中、および絶縁体224中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。また、加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
次に、上記絶縁膜にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体280を形成する(図7B乃至図7D参照。)。なお、絶縁体224と同様に、絶縁体280上に、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜し、該酸化アルミニウムを絶縁体280に達するまで、CMPを行ってもよい。
ここで、マイクロ波処理を行ってもよい。マイクロ波処理は、酸素を含む雰囲気下、および減圧下にて行うことが好ましい。マイクロ波処理を行うことにより、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素濃度を低減することができる。また、水素の一部は、絶縁体254を介して、導電体242aおよび導電体242bにゲッタリングされる場合がある。また、酸化物230a中、酸化物230b中のVOを修復または補填することができる。
また、マイクロ波処理後に減圧状態を保ったままで、加熱処理を行ってもよい。このような処理を行うことで、絶縁体280中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素を効率よく除去することができる。なお、加熱処理温度は、300℃以上500℃以下とすることが好ましい。
また、マイクロ波処理を行うことにより、絶縁体280の膜質を改質することで、水素、水、不純物などの拡散を抑制することができる。したがって、絶縁体280形成以降の後工程、または熱処理などにより、絶縁体280を介して、水素、水、不純物などが、酸化物230へ拡散することを抑制することができる。
次に、絶縁体280の一部、絶縁体254の一部、導電層242Bの一部、および酸化物層243Bの一部を加工して、酸化物230bに達する開口を形成する。当該開口は、導電体205と重なるように形成することが好ましい。当該開口の形成によって、導電体242a、導電体242b、酸化物243a、および酸化物243bを形成する(図8A乃至図8D参照。)。
上記開口を形成する際に、酸化物230bの上部が除去される。酸化物230bの一部が除去されることで、酸化物230bに溝部が形成される。当該溝部の深さによっては、当該溝部を、上記開口の形成工程で形成してもよいし、上記開口の形成工程と異なる工程で形成してもよい。
また、絶縁体280の一部、絶縁体254の一部、導電層242Bの一部、酸化物層243Bの一部、および酸化物230bの一部の加工は、ドライエッチング法、またはウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、当該加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。例えば、絶縁体280の一部をドライエッチング法で加工し、絶縁体254の一部をウェットエッチング法で加工し、酸化物層243Bの一部、導電層242Bの一部、および酸化物230bの一部をドライエッチング法で加工してもよい。また、酸化物層243Bの一部および導電層242Bの一部の加工と、酸化物230bの一部の加工とは、異なる条件で行ってもよい。
ここで、ドライエッチング法を用いて、酸化物230bの一部を除去して、溝部を形成する際に、バイアス電力を強くして処理することが好ましい。例えば、バイアス電力の電力密度を、0.03W/cm2以上にするのが好ましく、0.06W/cm2以上にするのがより好ましい。また、ドライエッチング処理時間は、溝部の深さに合わせて適宜設定すればよい。
ここで、酸化物230a、酸化物230bなどの表面に付着または内部に拡散した不純物を除去することが好ましい。当該不純物としては、絶縁体280、絶縁体254、および導電層242Bに含まれる成分、上記開口を形成する際に用いられる装置に使われている部材に含まれる成分、エッチングに使用するガスまたは液体に含まれる成分などに起因したものが挙げられる。当該不純物としては、例えば、アルミニウム、シリコン、タンタル、フッ素、塩素などがある。
上記の不純物などを除去するために、洗浄処理を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。なお、当該洗浄処理によって、上記溝部が深くなる場合がある。
ウェット洗浄としては、アンモニア水、シュウ酸、リン酸、フッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液、純水、炭酸水などを用いて洗浄処理を行ってもよい。または、これらの水溶液、純水、または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。または、これらの洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
なお、本明細書等では、市販のフッ化水素酸を純水で希釈した水溶液を希釈フッ化水素酸と呼び、市販のアンモニア水を純水で希釈した水溶液を希釈アンモニア水と呼ぶ場合がある。また、当該水溶液の濃度、温度などは、除去したい不純物、洗浄される半導体装置の構成などによって、適宜調整すればよい。希釈アンモニア水のアンモニア濃度は0.01%以上5%以下、好ましくは0.1%以上0.5%以下とすればよい。また、希釈フッ化水素酸のフッ化水素濃度は0.01ppm以上100ppm以下、好ましくは0.1ppm以上10ppm以下とすればよい。
なお、超音波洗浄には、200kHz以上、好ましくは900kHz以上の周波数を用いることが好ましい。当該周波数を用いることで、酸化物230bなどへのダメージを低減することができる。
また、上記洗浄処理を複数回行ってもよく、洗浄処理毎に洗浄液を変更してもよい。例えば、第1の洗浄処理として希釈フッ化水素酸、または希釈アンモニア水を用いた処理を行い、第2の洗浄処理として純水、または炭酸水を用いた処理を行ってもよい。
上記洗浄処理として、本実施の形態では、希釈フッ化水素酸を用いてウェット洗浄を行い、続いて純水、または炭酸水を用いてウェット洗浄を行う。当該洗浄処理を行うことで、酸化物230a、酸化物230bなどの表面に付着または内部に拡散した不純物を除去することができる。さらに、酸化物230b上に形成される酸化物230cの結晶性を高めることができる。
これまでのドライエッチングなどの加工、または上記洗浄処理によって、上記開口と重なり、かつ酸化物230bと重ならない領域の、絶縁体224の膜厚が、酸化物230bと重なる領域の、絶縁体224の膜厚より薄くなる場合がある。
上記エッチング後、または上記洗浄後に加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、100℃以上450℃以下、好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230aおよび酸化物230bに酸素を供給して、酸素欠損の低減を図ることができる。また、このような熱処理を行うことで、酸化物230bの結晶性を向上させ、酸化物230bの溝部に形成される酸化物230cの結晶性も向上させることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、酸素雰囲気で加熱処理した後に、大気に露出せずに連続して窒素雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
次に、酸化膜230Cを成膜する。酸化膜230Cの成膜前に加熱処理を行ってもよく、当該加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して酸化膜230Cを成膜することが好ましい。また、当該加熱処理は、酸素を含む雰囲気で行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化物230bの表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化物230a中および酸化物230b中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。本実施の形態では、加熱処理の温度を200℃とする。
ここで、酸化膜230Cは、少なくとも酸化物230bに形成された溝部の内壁、酸化物243aの側面の一部、酸化物243bの側面の一部、導電体242aの側面の一部、導電体242bの側面の一部、絶縁体254の側面の一部、および絶縁体280の側面の一部と接するように設けられることが好ましい。導電体242a(導電体242b)は、酸化物243a(酸化物243b)、絶縁体254、および酸化膜230Cに囲まれることで、以降の工程において導電体242a(導電体242b)の酸化による導電率の低下を抑制することができる。
酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。酸化膜230Cに求める特性に合わせて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cを成膜すればよい。本実施の形態では、酸化膜230Cを、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の酸化物ターゲット、In:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]の酸化物ターゲット、In:Ga:Zn=10:1:3[原子数比]の酸化物ターゲット、または酸化インジウムのターゲットを用いて成膜する。
酸化膜230Cの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化物230aおよび酸化物230bに供給される場合がある。または、酸化膜230Cの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体280に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Cのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。また、このように酸素を多く含む雰囲気で酸化膜230Cを成膜することで、酸化膜230CをCAAC-OS化しやすくなる。
酸化膜230Cの成膜は、基板を加熱しながら行うことが好ましい。このとき、基板温度を200℃以上にすることで、酸化膜230Cおよび酸化物230b中の酸素欠損を低減することができる。基板を加熱しながら成膜することで、酸化膜230Cおよび酸化物230bの結晶性の向上を図ることができる。
次に、リソグラフィー法により、酸化膜230Cの一部を選択的に除去する(図9A、図9Cおよび図9D参照。)。なお、酸化膜230Cの一部は、ウェットエッチング法などを用いて除去するとよい。本工程により、チャネル幅方向に隣接するトランジスタ200の間に位置する酸化膜230Cの一部を除去することができる。
なお、上記工程により、酸化膜230Cの一部が除去された領域では、絶縁体224の表面、絶縁体280の表面が露出する。このとき、当該領域の、絶縁体224の膜厚および絶縁体280の膜厚が薄くなる場合がある。また、当該領域の絶縁体224が除去され、絶縁体222の表面が露出する場合がある。
次に、酸化膜230Dを成膜する(図10A乃至図10D参照)。酸化膜230Dの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。酸化膜230Dに求める特性に合わせて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Dを成膜すればよい。本実施の形態では、酸化膜230Dとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜する。
酸化膜230Dの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化膜230Cに供給される場合がある。または、酸化膜230Dの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体280に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Dのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
次に絶縁膜250Aを成膜する(図10A乃至図10D参照)。絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行ってもよく、当該加熱処理は、減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して絶縁膜250Aを成膜してもよい。また、当該加熱処理は、酸素を含む雰囲気で行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化膜230Dの表面などに吸着している水分および水素を除去し、さらに酸化物230a中、酸化物230b中、酸化膜230C中、および酸化膜230D中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。
絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて成膜することができる。また、絶縁膜250Aは、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁膜250Aの水素濃度を低減することができる。絶縁膜250Aは、後の工程で酸化物230dと接する絶縁体250となるので、このように水素濃度が低減されていることが好適である。
ここで、絶縁膜250Aを成膜後に、酸素を含む雰囲気下、および減圧下にて、マイクロ波処理を行ってもよい。マイクロ波処理を行うことで、絶縁膜250A中、酸化膜230D中、酸化膜230C中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素濃度を低減することができる。また、水素の一部は、導電体242aおよび導電体242bにゲッタリングされる場合がある。また、酸化物230a中、酸化物230b中、酸化膜230C中、および酸化膜230D中のVOを修復または補填することができる。
また、マイクロ波処理後に減圧状態を保ったままで、加熱処理を行ってもよい。このような処理を行うことで、絶縁膜250A中、酸化膜230D中、酸化膜230C中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素を効率よく除去することができる。また、水素の一部は、導電体242aおよび導電体242bにゲッタリングされる場合がある。または、マイクロ波処理後に減圧状態を保ったままで、加熱処理を行うステップを複数回繰り返して行ってもよい。加熱処理を繰り返し行うことで、絶縁膜250A中、酸化膜230D中、酸化膜230C中、酸化物230b中、および酸化物230a中の水素をさらに効率よく除去することができる。なお、加熱処理温度は、300℃以上500℃以下とすることが好ましい。
また、マイクロ波処理を行うことにより、絶縁膜250Aの膜質を改質することで、水素、水、不純物等の拡散を抑制することができる。従って、導電体260となる導電膜の成膜などの後工程、または熱処理などの後処理により、絶縁体250を介して、水素、水、不純物等が、酸化物230b、酸化物230aなどへ拡散することを抑制することができる。
次に、導電膜260A、導電膜260Bを順に成膜する(図11A乃至図11D参照。)。導電膜260Aおよび導電膜260Bの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、ALD法を用いて、導電膜260Aを成膜し、CVD法を用いて導電膜260Bを成膜する。
次に、CMP処理によって、酸化膜230C、酸化膜230D、絶縁膜250A、導電膜260A、および導電膜260Bを絶縁体280が露出するまで研磨することによって、酸化物230c、酸化物230d、絶縁体250、および導電体260(導電体260a、および導電体260b)を形成する(図12A乃至図12D参照。)。これにより、酸化物230cは、酸化物230bに達する開口および酸化物230bの溝部の内壁(側壁、および底面)の一部を覆うように配置される。また、酸化物230dは、酸化物230cを介して、上記開口および上記溝部の内壁を覆うように配置される。また、絶縁体250は、酸化物230cおよび酸化物230dを介して、上記開口および上記溝部の内壁を覆うように配置される。また、導電体260は、酸化物230c、酸化物230d、および絶縁体250を介して、上記開口および上記溝部を埋め込むように配置される。
次に、加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体250および絶縁体280中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。なお、上記加熱処理後、大気に曝すことなく連続して、絶縁体282の成膜を行ってもよい。
次に、酸化物230c上、酸化物230d上、絶縁体250上、導電体260上、および絶縁体280上に、絶縁体282を形成する(図13B乃至図13D参照。)。絶縁体282の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。絶縁体282としては、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いて、酸素を含む雰囲気で絶縁体282の成膜を行うことで、成膜しながら、絶縁体280に酸素を添加することができる。このとき、基板加熱を行いながら、絶縁体282を成膜することが好ましい。また、導電体260の上面に接して、絶縁体282を形成することで、この後の加熱処理において、絶縁体280が有する酸素が導電体260へ吸収されることを抑制することができるため好ましい。
次に、絶縁体282の一部、絶縁体280の一部、絶縁体254の一部、絶縁体224の一部、絶縁体222の一部、絶縁体216の一部、および絶縁体214の一部を加工して、絶縁体212に達する開口を形成する(図14A乃至図14D参照。)。当該開口は、トランジスタ200が囲まれるように形成される場合がある。または、当該開口は、複数のトランジスタ200が囲まれるように形成される場合がある。よって、当該開口において、絶縁体282の側面の一部、絶縁体280の側面の一部、絶縁体254の側面の一部、絶縁体224の側面の一部、絶縁体222の側面の一部、絶縁体216の側面の一部、および絶縁体214の側面の一部が露出する。
絶縁体282の一部、絶縁体280の一部、絶縁体254の一部、絶縁体224の一部、絶縁体222の一部、絶縁体216の一部、および絶縁体214の一部の加工は、ドライエッチング法、またはウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、当該加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。なお、当該工程において、絶縁体212の上記開口と重なる領域の膜厚が薄くなることがある。
次に、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体254、絶縁体224、絶縁体222、絶縁体216、および絶縁体214を覆って、絶縁体287を形成する(図15B乃至図15D参照。)。絶縁体287の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。また、絶縁体287は、多層としてもよい。例えば、スパッタリング法を用いて酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法を用いて窒化シリコンを成膜してもよい。図15B乃至図15Dに示すように、絶縁体287は、上記開口の底面において、絶縁体212と接する。つまり、トランジスタ200は、上面及び側面が絶縁体287に、下面が絶縁体212に包み込まれることになる。このように、バリア性の高い絶縁体287および絶縁体212でトランジスタ200を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。
次に、絶縁体287上に絶縁体283を形成してもよい(図15B乃至図15D参照。)。なお、絶縁体283は、被膜性が高い成膜方法を用いて成膜することが好ましい。例えば、絶縁体283の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。また、絶縁体283は、絶縁体212と同じ材料を用いることが好ましい。
具体的には、CVD法を用いて窒化シリコンを成膜するとよい。特に、絶縁体283は、水素原子を含まない、または水素原子の含有量が少ない、化合物ガスを用いてCVD法により成膜するとよい。
次に絶縁体283上に、絶縁体274となる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、CVD法を用いて酸化シリコンを成膜するとよい。また、当該絶縁膜は、上述の水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で成膜することが好ましい。これにより、当該絶縁膜の水素濃度を低減することができる。
続いて、絶縁体274となる絶縁膜にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体274を形成する(図15B乃至図15D参照。)。
次に、加熱処理を行ってもよい。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体282の成膜によって添加された酸素を絶縁体280へ拡散させ、さらに酸化物230cを介して、酸化物230a、および酸化物230bへ供給することができる。なお、当該加熱処理は、絶縁体274の形成後に限らず、絶縁体282の成膜後、絶縁体283の成膜後などに行ってもよい。
次に、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283に、導電体242aに達する開口、および導電体242bに達する開口を形成する(図16Aおよび図16B参照。)。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。なお、図16Aで当該開口の形状は、上面視において円形状にしているが、これに限られるものではない。例えば、当該開口が、上面視において、楕円などの略円形状、四角形などの多角形状、四角形等の多角形の角部を丸めた形状になっていてもよい。
次に、絶縁体241aおよび絶縁体241bとなる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして絶縁体241aおよび絶縁体241bを形成する。(図16Aおよび図16B参照。)。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。当該絶縁膜としては、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。または、PEALD法を用いて、窒化シリコン膜を成膜することが好ましい。窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好ましい。
また、絶縁体241aおよび絶縁体241bとなる絶縁膜の異方性エッチングとしては、例えばドライエッチング法などを用いればよい。開口の側壁部に絶縁体241aおよび絶縁体241bを設けることで、外方からの酸素の透過を抑制し、次に形成する導電体240aおよび導電体240bの酸化を防止することができる。また、導電体240aおよび導電体240bから、水、水素などの不純物が外部に拡散することを防ぐことができる。
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、水、水素など不純物の透過を抑制する機能を有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタンなどと、タングステン、モリブデン、銅など、と、の積層とすることができる。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体283および絶縁体274の上面を露出する。その結果、開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(図16Aおよび図16B参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体283の上面の一部および絶縁体274の上面の一部が除去される場合がある。
次に、導電体246aおよび導電体246bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
次に、導電体246aおよび導電体246bとなる導電膜をリソグラフィー法によって加工し、導電体240aの上面と接する導電体246a、および導電体240bの上面と接する導電体246bを形成する。この時、導電体246aおよび導電体246bと、絶縁体283とが重ならない領域の絶縁体283の一部が除去されることがある(図17Aおよび図17B参照。)。
次に、導電体246a上、導電体246b上、および絶縁体283上に、絶縁体286を成膜する(図4A乃至図4D参照。)。絶縁体286の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いて行うことができる。また、絶縁体286は、多層としてもよい。例えば、スパッタリング法を用いて、窒化シリコンを成膜し、当該窒化シリコン上に、CVD法を用いて窒化シリコンを成膜してもよい。
以上により、図4A乃至図4Dに示すトランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図5A乃至図17Dに示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トランジスタ200を作製することができる。
<半導体装置の変形例2>
以下では、図18A乃至図18Dを用いて、本実施の形態における半導体装置の一例について説明する。
図18Aはトランジスタ200Aを有する半導体装置の上面図を示す。また、図18Bは、図18AにA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、図18Cは、図18AにA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、図18Dは、図18AにA5-A6の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。図18Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
なお、図18A乃至図18Dに示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>および<半導体装置の変形例1>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目においても、半導体装置の構成材料については<半導体装置の構成例>および<半導体装置の変形例1>で詳細に説明した材料を用いることができる。
図18A乃至図18Dに示す半導体装置は、図4A乃至図4Dに示した半導体装置の変形例である。図18A乃至図18Dに示す半導体装置は、図4A乃至図4Dに示した半導体装置とは、絶縁体271a、および絶縁体271bを有することが異なる。また、酸化物230c、および酸化物230dを有さないことが異なる。また、絶縁体250が、絶縁体250aと絶縁体250bの2層構造であることが異なる。
図18A乃至図18Dに示す半導体装置では、導電体242aと絶縁体254との間に絶縁体271aが設けられ、導電体242bと絶縁体254との間に絶縁体271bが設けられている。
ここで、絶縁体271a、および絶縁体271bは、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。これにより、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体242aおよび導電体242bによる、絶縁体280が有する過剰酸素の吸収を抑制することができる。また、導電体242a、および導電体242bの酸化を抑制することで、トランジスタと配線とのコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。よって、トランジスタ200Aに良好な電気特性および信頼性を与えることができる。絶縁体271a、および絶縁体271bは、例えば、絶縁体254と同様の材料を用いて設けることができる。
また、図18A乃至図18Dに示す半導体装置の作製方法において、絶縁体271aおよび絶縁体271bとなる絶縁層、ならびに当該絶縁膜上に設けた導電層を、導電膜242Aのマスクとして機能させることで、導電体242aおよび導電体242bのそれぞれは、側面と上面が交わる端部が角状となる。導電体242aおよび導電体242bのそれぞれの側面と上面が交わる端部で角状になることで、当該端部が曲面を有する場合に比べて、導電体242aおよび導電体242bの断面積が大きくなる。これにより、導電体242aおよび導電体242bの抵抗が低減されるので、トランジスタ200Aのオン電流を大きくすることができる。
また、酸化物230c、および酸化物230dを設けない構成にすることで、トランジスタ200Aと、当該トランジスタ200Aに隣接するトランジスタ200Aとの間に、寄生トランジスタが生じるのを抑制し、導電体260に沿ったリークパスが生じるのを抑制することができる。したがって、良好な電気特性を有し、かつ、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
図18Bに示すように、絶縁体250は、絶縁体250aと絶縁体250bの積層構造としてもよい。
絶縁体250を絶縁体250aと絶縁体250bの積層構造とする場合、絶縁体250aは、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成し、絶縁体250bは、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体250aに含まれる酸素が、導電体260へ拡散するのを抑制することができる。つまり、酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250aに含まれる酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。例えば、絶縁体250aは、上述した絶縁体250に用いることができる材料を用いて設け、絶縁体250bは、絶縁体222と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、絶縁体250aに酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体250bは、比誘電率が高いhigh-k材料である絶縁性材料を用いてもよい。ゲート絶縁体を、絶縁体250aと絶縁体250bとの積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
絶縁体250bとして、具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウムなどから選ばれた一種、もしくは二種以上が含まれた金属酸化物、または酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることが好ましい。
絶縁体250を絶縁体250aと絶縁体250bの積層構造とすることで、絶縁体250の物理的な厚みにより、導電体260と、酸化物230との間の距離が保たれ、導電体260と酸化物230との間のリーク電流を抑制することができる。また、導電体260と酸化物230との間の物理的な距離、および導電体260から酸化物230へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
<半導体装置の応用例>
以下では、図19Aおよび図19Bを用いて、先の<半導体装置の構成例>および先の<半導体装置の変形例1>で示したものとは異なる、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。なお、図19Aおよび図19Bに示す半導体装置において、<半導体装置の変形例1>に示した半導体装置(図4A乃至図4D参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目において、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>および<半導体装置の変形例1>で詳細に説明した材料を用いることができる。
図19Aおよび図19Bに、複数のトランジスタ(トランジスタ200_1乃至トランジスタ200_n)を、絶縁体287および絶縁体283と絶縁体212とで、包括して封止した構成について示す。なお、図19Aおよび図19Bにおいて、複数のトランジスタは、チャネル長方向に並んでいるように見えるが、これにかぎられるものではない。複数のトランジスタは、チャネル幅方向に並んでいてもよいし、マトリクス状に配置されていてもよい。また、設計に応じて、規則性を持たずに配置されていてもよい。
図19Aに示すように、複数のトランジスタ(トランジスタ200_1乃至トランジスタ200_n)の外側において、絶縁体287および絶縁体283と絶縁体212とが接する部分(以下、封止部265と呼ぶ場合がある。)が形成されている。封止部265は、複数のトランジスタ(トランジスタ群ともいう。)を囲むように形成されている。このような構造にすることで、複数のトランジスタを絶縁体287および絶縁体283と絶縁体212とで包み込むことができる。よって封止部265に囲まれたトランジスタ群が、基板上に複数設けられることになる。
また、封止部265に重ねてダイシングライン(スクライブライン、分断ライン、又は切断ラインと呼ぶ場合がある)を設けてもよい。上記基板はダイシングラインにおいて分断されるので、封止部265に囲まれたトランジスタ群が1チップとして取り出されることになる。
また、図19Aでは、複数のトランジスタ(トランジスタ200_1乃至トランジスタ200_n)を一つの封止部265で囲む例について示したが、これに限られるものではない。図19Bに示すように、複数のトランジスタを複数の封止部で囲む構成にしてもよい。図19Bでは、複数のトランジスタを封止部265aで囲み、さらに外側の封止部265bでも囲む構成にしている。
このように、複数の封止部で複数のトランジスタ(トランジスタ200_1乃至トランジスタ200_n)を囲む構成にすることで、絶縁体287と絶縁体212が接する部分が増えるので、絶縁体287と絶縁体212の密着性をより向上させることができる。これにより、より確実に複数のトランジスタを封止することができる。
この場合、封止部265aまたは封止部265bに重ねてダイシングラインを設けてもよいし、封止部265aと封止部265bの間にダイシングラインを設けてもよい。
本発明の一態様により、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態、実施例などに示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図20および図21を用いて説明する。
[記憶装置1]
本発明の一態様に係る半導体装置(記憶装置)の一例を図20に示す。本発明の一態様の半導体装置では、トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。なお、トランジスタ200として、先の実施の形態で説明したトランジスタ200を用いることができる。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図20に示す半導体装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
また、図20に示す記憶装置は、マトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成することができる。
<トランジスタ300>
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、ゲートとして機能する導電体316、ゲート絶縁体として機能する絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
ここで、図20に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
なお、図20に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
<容量素子100>
容量素子100は、トランジスタ200の上方に設けられる。容量素子100は、第1の電極として機能する導電体110と、第2の電極として機能する導電体120と、誘電体として機能する絶縁体130とを有する。ここで、絶縁体130は、上記実施の形態に示す絶縁体286として用いることができる絶縁体を用いることが好ましい。
また、例えば、導電体240上に設けた導電体112と、導電体110は、同時に形成することができる。なお、導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。
図20では、導電体112、および導電体110を単層構造で示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、絶縁体130には、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料と、高誘電率(high-k)材料との積層構造を用いることが好ましい。当該構成により、容量素子100は、高誘電率(high-k)の絶縁体を有することで、十分な容量を確保でき、絶縁耐力が大きい絶縁体を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
一方、絶縁耐力が大きい材料(低い比誘電率の材料)としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
<配線層>
各構造体の間には、層間膜、配線、およびプラグ等が設けられた配線層が設けられていてもよい。また、配線層は、設計に応じて複数層設けることができる。ここで、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
例えば、トランジスタ300上には、層間膜として、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線として機能する。
また、層間膜として機能する絶縁体は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図20において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線として機能する。
同様に、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。さらに、導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。
ここで、上記実施の形態に示す絶縁体241と同様に、プラグとして機能する導電体218の側面に接して絶縁体217が設けられる。絶縁体217は、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216に形成された開口の側壁に接して設けられている。つまり、絶縁体217は、導電体218と、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216と、の間に設けられている。なお、導電体205は導電体218と並行して形成することができるため、導電体205の側面に接して絶縁体217が形成される場合もある。
絶縁体217としては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体217は、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体222に接して設けられるので、絶縁体210または絶縁体216などから水または水素などの不純物が、導電体218を通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体210または絶縁体216に含まれる酸素が導電体218に吸収されるのを防ぐことができる。
絶縁体217は、絶縁体241と同様の方法で形成することができる。例えば、PEALD法を用いて、窒化シリコンを成膜し、異方性エッチングを用いて導電体356に達する開口を形成すればよい。
層間膜として用いることができる絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
例えば、絶縁体150、絶縁体210、絶縁体352、および絶縁体354等には、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、当該絶縁体は、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂との積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。従って、絶縁体214、絶縁体212、および絶縁体350等には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
配線、プラグに用いることができる導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
例えば、導電体328、導電体330、導電体356、導電体218、および導電体112等としては、上記の材料で形成される金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが特に好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
<酸化物半導体が設けられた層の配線、またはプラグ>
なお、トランジスタ200に、酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体の近傍に過剰酸素領域を有する絶縁体が設けることがある。その場合、該過剰酸素領域を有する絶縁体と、該過剰酸素領域を有する絶縁体に設ける導電体との間に、バリア性を有する絶縁体を設けることが好ましい。
例えば、図20では、過剰酸素を有する絶縁体224および絶縁体280と、導電体240との間に、絶縁体241を設けるとよい。絶縁体241と、絶縁体222、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283とが接して設けられることで、絶縁体224、およびトランジスタ200は、バリア性を有する絶縁体により、封止する構造とすることができる。
つまり、絶縁体241を設けることで、絶縁体224および絶縁体280が有する過剰酸素が、導電体240に吸収されることを抑制することができる。また、絶縁体241を有することで、不純物である水素が、導電体240を介して、トランジスタ200へ拡散することを抑制することができる。
なお、絶縁体241としては、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いため好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物などを用いることができる。
また、上記実施の形態と同様に、トランジスタ200は、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283で封止されることが好ましい。このような構成とすることで、絶縁体274、絶縁体150などに含まれる不純物(特に水素、水)が絶縁体280などに混入するのを低減することができる。
ここで、絶縁体283、絶縁体287、および絶縁体282には導電体240が、絶縁体214、および絶縁体212には導電体218が貫通しているが、上記の通り、絶縁体241が導電体240に接して設けられ、絶縁体217が導電体218に接して設けられている。これにより、導電体240および導電体218を介して、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283の内側に混入する水素を低減することができる。このようにして、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体287、絶縁体283、絶縁体241、および絶縁体217でトランジスタ200をより確実に封止し、絶縁体274等に含まれる水素などの不純物がトランジスタ200に混入するのを低減することができる。
また、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、および絶縁体274は、先の実施の形態に示すように、水素原子が低減または除去されたガスを用いた成膜方法で形成されることが好ましい。これにより、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、および絶縁体274の水素濃度を低減することができる。
このようにして、トランジスタ200近傍のシリコン系絶縁膜の水素濃度を低減し、酸化物230の水素濃度を低減することができる。
<ダイシングライン>
以下では、大面積基板を半導体素子ごとに分断することによって、複数の半導体装置をチップ状で取り出す場合に設けられるダイシングライン(スクライブライン、分断ライン、又は切断ラインと呼ぶ場合がある)について説明する。分断方法としては、例えば、まず、基板に半導体素子を分断するための溝(ダイシングライン)を形成した後、ダイシングラインにおいて切断し、複数の半導体装置に分断(分割)する場合がある。
ここで、例えば、図20に示すように、絶縁体287および絶縁体283と、絶縁体212とが接する領域がダイシングラインと重なるように設計することが好ましい。つまり、複数のトランジスタ200を有するメモリセルの外縁に設けられるダイシングラインとなる領域近傍において、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体254、絶縁体224、絶縁体222、絶縁体216、および絶縁体214に開口を設ける。
つまり、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体254、絶縁体224、絶縁体222、絶縁体216、および絶縁体214に設けた上記開口において、絶縁体212と、絶縁体287および絶縁体283とが接する。例えば、このとき、絶縁体212と、絶縁体287または絶縁体283とを同材料及び同方法を用いて形成してもよい。絶縁体212と、絶縁体287または絶縁体283とを、同材料、および同方法で設けることで、密着性を高めることができる。例えば、窒化シリコンを用いることが好ましい。
当該構造により、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283で、トランジスタ200を包み込むことができる。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体287、および絶縁体283の少なくとも一は、酸素、水素、及び水の拡散を抑制する機能を有しているため、本実施の形態に示す半導体素子が形成された回路領域ごとに、基板を分断することにより、複数のチップに加工しても、分断した基板の側面方向から、水素又は水などの不純物が混入し、トランジスタ200に拡散することを防ぐことができる。
また、当該構造により、絶縁体280、および絶縁体224の過剰酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。従って、絶縁体280、および絶縁体224の過剰酸素は、効率的にトランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物に供給される。当該酸素により、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物の酸素欠損を低減することができる。これにより、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物を欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。つまり、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
なお、図20に示す記憶装置では、容量素子100の形状をプレーナ型としたが、本実施の形態に示す記憶装置はこれに限られるものではない。たとえば、図21に示すように、容量素子100の形状をシリンダ型にしてもよい。なお、図21に示す記憶装置は、絶縁体150より下の構成は、図20に示す半導体装置と同様である。
また、絶縁体130上に絶縁体150が設けられ、絶縁体150上に絶縁体142が設けられている。なお、絶縁体150および絶縁体142に開口が形成されている。
図21に示す容量素子100は、導電体115と、導電体115および絶縁体142上の絶縁体145と、絶縁体145上の導電体125と、を有する。ここで、上記開口の中に導電体115、絶縁体145、および導電体125の少なくとも一部が配置される。
導電体115は容量素子100の下部電極として機能し、導電体125は容量素子100の上部電極として機能し、絶縁体145は、容量素子100の誘電体として機能する。容量素子100は、絶縁体150および絶縁体142の開口において、底面だけでなく、側面においても上部電極と下部電極とが誘電体を挟んで対向する構成となっており、単位面積当たりの静電容量を大きくすることができる。よって、当該開口の深さを深くするほど、容量素子100の静電容量を大きくすることができる。このように容量素子100の単位面積当たりの静電容量を大きくすることにより、半導体装置の微細化または高集積化を推し進めることができる。
導電体125および絶縁体145上には、絶縁体152が設けられている。
絶縁体152は、絶縁体280に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体142は、絶縁体150の開口を形成するときのエッチングストッパとして機能することが好ましく、絶縁体214に用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体150および絶縁体142に形成された開口を上面から見た形状は、四角形としてもよいし、四角形以外の多角形状としてもよいし、多角形状において角部を湾曲させた形状としてもよいし、楕円を含む円形状としてもよい。ここで、上面視において、当該開口とトランジスタ200の重なる面積が大きい方が好ましい。このような構成にすることにより、容量素子100とトランジスタ200を有する半導体装置の占有面積を低減することができる。
導電体115は、絶縁体142、および絶縁体150に形成された開口に接して配置される。導電体115の上面は、絶縁体142の上面と略一致することが好ましい。また、導電体115の下面は、絶縁体130の開口を介して導電体110に接する。導電体115は、ALD法またはCVD法などを用いて成膜することが好ましく、例えば、導電体205に用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体145は、導電体115および絶縁体142を覆うように配置される。例えば、ALD法またはCVD法などを用いて絶縁体145を成膜することが好ましい。絶縁体145には、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。例えば、絶縁体145として、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。
また、絶縁体145には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料、または高誘電率(high-k)材料を用いることが好ましい。または、絶縁耐力が大きい材料と高誘電率(high-k)材料の積層構造を用いてもよい。
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。このようなhigh-k材料を用いることで、絶縁体145を厚くしても容量素子100の静電容量を十分確保することができる。絶縁体145を厚くすることにより、導電体115と導電体125の間に生じるリーク電流を抑制することができる。
一方、絶縁耐力が大きい材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、樹脂などがある。例えば、ALD法を用いて成膜した窒化シリコン、PEALD法を用いて成膜した酸化シリコン、ALD法を用いて成膜した窒化シリコンの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。このような、絶縁耐力が大きい絶縁体を用いることで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
導電体125は、絶縁体142および絶縁体150に形成された開口を埋めるように配置される。また、導電体125は、導電体140、および導電体153を介して配線1005と電気的に接続している。導電体125は、ALD法またはCVD法などを用いて成膜することが好ましく、例えば、導電体205に用いることができる導電体を用いればよい。
また、導電体153は、絶縁体154上に設けられており、絶縁体156に覆われている。導電体153は、導電体112に用いることができる導電体を用いればよく、絶縁体156は、絶縁体152に用いることができる絶縁体を用いればよい。ここで、導電体153は導電体140の上面に接しており、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300の端子として機能する。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態、実施例などに示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図22乃至図25を用いて説明する。
[記憶装置2]
本実施の形態における半導体装置(記憶装置)の一例を図22に示す。
<メモリデバイスの構成例>
図22は、メモリデバイス290を有する半導体装置の断面図である。図22に示すメモリデバイス290は、図4A乃至図4Dに示すトランジスタ200に加えて、容量デバイス292を有する。図22は、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図に相当する。
なお、図22に示す半導体装置において、先の実施の形態に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目においても、半導体装置の構成材料については先の実施の形態で詳細に説明した材料を用いることができる。
図22に示すように、メモリデバイス290は、絶縁体283と絶縁体212とで封止されることが好ましい。このような構成とすることで、メモリデバイス290への不純物(特に水素、水)の混入を抑制することができる。なお、上記実施の形態で示したように、メモリデバイス290と、絶縁体283との間に、絶縁体287を設けてもよい。
容量デバイス292は、導電体242bと、導電体242b上に設けられた絶縁体293と、絶縁体293上に設けられた導電体294と、を有する。すなわち、容量デバイス292は、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量を構成している。なお、容量デバイス292が有する一対の電極の一方、すなわち導電体242bは、トランジスタのソース電極またはドレイン電極を兼ねることができる。したがって、容量デバイス292の作製工程において、トランジスタの作製工程の一部を兼用することができるため、生産性の高い半導体装置とすることができる。また、トランジスタと、容量デバイスとが配置される面積を低減させることが可能となる。
なお、導電体294としては、例えば、導電体240に用いることのできる材料を用いればよい。
絶縁体293としては、例えば、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムとの積層構造を用いるとよい。また、例えば、絶縁体130に用いることのできる材料を用いればよく、積層または単層で設けるとよい。
また、メモリデバイス290上に配線層を設けてもよい。例えば、図22に示すように、トランジスタ200、および容量デバイス292上に、層間膜として機能する絶縁体160が設けられている。また、絶縁体283、および絶縁体160にはトランジスタ200と電気的に接続する導電体166が埋め込まれている。なお、導電体166はプラグ、または配線として機能する。
絶縁体160、および導電体166上に、配線層を設けてもよい。例えば、図22に示すように、絶縁体162、および絶縁体164が順に積層して設けられている。また、絶縁体162、および絶縁体164には、導電体168が埋め込まれている。なお、導電体168は、プラグ、または配線として機能する。
絶縁体160、および絶縁体164には、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体160、および絶縁体164には、絶縁体352などに用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体162には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。例えば、絶縁体162には、絶縁体350などに用いることができる絶縁体を用いればよい。
なお、上記メモリデバイス290は、積層する構成としてもよい。図23にメモリデバイス290を有する層を5層積層した記憶装置の断面図を示す。図23に示すように、メモリデバイス290は、導電体240、および導電体166を介して、異なるメモリデバイス290と電気的に接続する。
なお、図23に示すように、複数のメモリデバイス(メモリデバイス290_1乃至メモリデバイス290_5)を包括して、絶縁体283と絶縁体212とで封止してもよい。複数のメモリデバイスを包括して封止することで、記憶装置の作製工程を簡略化することができる。なお、トランジスタ200を構成する構造の一部、およびトランジスタ200の周辺に設けられた構造の一部を、スパッタリング法を用いて成膜することで、トランジスタ200の水素濃度を低くすることができる。よって、トランジスタ200の上方に、異なるトランジスタ200を作製する場合においても、下方に位置するトランジスタ200の水素濃度を低く保つことができる。したがって、メモリデバイス290を積層する構成とする場合、メモリデバイス290を個別に封止しなくても、複数のメモリデバイスを包括して封止することで、トランジスタ200中の水素濃度を低くすることができる。
なお、絶縁体283と絶縁体212による、複数のメモリデバイスの封止は、複数のメモリデバイス全てを包括して行われてもよいし、一部ずつ包括して行われてもよい。
また、絶縁体214と絶縁体282とに同じ材料を用いる場合、絶縁体214および絶縁体282のいずれか一方は設けなくてもよい。これにより、記憶装置の作製工程数を削減することができる。
図23に示すように、複数のメモリデバイス(メモリデバイス290_1乃至メモリデバイス290_5)を積層することにより、メモリデバイスの占有面積を増やすことなく、メモリデバイスを集積して配置することができる。つまり、3Dメモリデバイスを構成することができる。
なお、図23では、各層が1つのメモリデバイスを有する構成を例示したが、これに限られるものではない。先の<半導体装置の応用例>に示したように、各層は複数のメモリデバイスを有していてもよく、複数のメモリデバイスは、チャネル長方向に並んでいてもよいし、チャネル幅方向に並んでいてもよいし、マトリックス状に配置されていてもよい。また、設計に応じて、規則性を持たずに配置されていてもよい。
<メモリデバイスの変形例>
以下では、図24A、図24B、および図25を用いて、先の<メモリデバイスの構成例>で示した半導体装置とは異なる、本実施の形態におけるトランジスタ200、および容量デバイス292を有する半導体装置の一例について説明する。なお、図24A、図24B、および図25に示す半導体装置において、先の実施の形態および図22に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目において、トランジスタ200、および容量デバイス292の構成材料については、先の実施の形態および先の<メモリデバイスの構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
<<メモリデバイスの変形例1>>
以下では、メモリデバイス600を有する半導体装置の一例について図24Aおよび図24Bを用いて説明する。メモリデバイス600は、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bを有する。
図24Aは、メモリデバイス600を有する半導体装置の上面図である。また、図24Bは、図24AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200a、およびトランジスタ200bのチャネル長方向の断面図でもある。なお、図24Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
メモリデバイス600は、図24Bに示すように、A3-A4の一点鎖線を対称軸とした線対称の構成となっている。トランジスタ200aのソース電極またはドレイン電極の一方と、トランジスタ200bのソース電極またはドレイン電極の一方は、導電体242cが兼ねる構成となっている。また、トランジスタ200aと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体と、トランジスタ200bと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体とは、導電体240cが兼ねる構成となっている。また、導電体240cの側面に接して、絶縁体241cが設けられている。
このように、2つのトランジスタと、2つの容量デバイスと、配線とプラグとの接続を上述の構成とすることで、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量デバイス292a、および容量デバイス292bのそれぞれの構成および効果については、図4A乃至図4D、および図22に示す半導体装置の構成例を参酌することができる。
<<メモリデバイスの変形例2>>
図25は、メモリユニット470が、トランジスタ200Tを有するトランジスタ層413と、4層のメモリデバイス層415(メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4)を有する例を示す。
メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_4は、それぞれ複数のメモリデバイス420を有する。メモリデバイス420には、例えば、図22に示すメモリデバイス290、または図24Aおよび図24Bに示すメモリデバイス600を用いることができる。
メモリデバイス420は、導電体424、および導電体166を介して、異なるメモリデバイス層415が有するメモリデバイス420、およびトランジスタ層413が有するトランジスタ200Tと電気的に接続する。
メモリユニット470は、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283により封止される(便宜的に、以下では封止構造と呼ぶ)。絶縁体283の周囲には絶縁体274が設けられる。また、絶縁体274、絶縁体283、および絶縁体212には導電体440が設けられ、素子層411と電気的に接続する。なお、メモリユニット470と、絶縁体283との間に、絶縁体287を設けてもよい。
なお、絶縁体212、および絶縁体283は、水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料であると好適である。また、絶縁体214、および絶縁体282は、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料であると好適である。
例えば、上記水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料は、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどが挙げられる。また、上記水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、並びにアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などが挙げられる。
なお、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、および絶縁体283に用いる材料の結晶構造については、特に限定は無いが、非晶質または結晶性を有する構造とすればよい。例えば、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料として、非晶質の酸化アルミニウム膜を用いると好適である。非晶質の酸化アルミニウムは、結晶性の高い酸化アルミニウムよりも、水素の捕獲、および固着する量が大きい場合がある。
また、トランジスタ層413とメモリデバイス層415_1の間、または各メモリデバイス層415の間にも、絶縁体282、および絶縁体214が設けられることが好ましい。また、絶縁体282、および絶縁体214の間に絶縁体296が設けられることが好ましい。絶縁体296は、絶縁体283と同様の材料を用いることができる。または、酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。または、公知の絶縁性材料を用いてもよい。
また、封止構造の内部には、絶縁体280が設けられる。絶縁体280は、加熱により酸素を放出する機能を有する。または、絶縁体280は、過剰酸素領域を有する。
ここで、絶縁体280中の過剰酸素は、絶縁体280と接する酸化物半導体中の水素の拡散に対し、下記のようなモデルが考えられる。
酸化物半導体中に存在する水素は、酸化物半導体に接する絶縁体280を介して、他の構造体へと拡散する。当該水素は、絶縁体280中の過剰酸素とOH結合を形成し、OHとして絶縁体280中を拡散する。OH結合を有した水素原子は、水素を捕獲、または水素を固着する機能を有する材料(代表的には、絶縁体282)に到達した際に、絶縁体282中の原子(例えば、金属原子など)と結合した酸素原子と反応し、絶縁体282中に捕獲、または固着される。一方、OH結合を有した過剰酸素は、過剰酸素として絶縁体280中に残ると推測される。つまり、当該水素の拡散において、絶縁体280中の過剰酸素が、橋渡しの役割を担う蓋然性が高い。
上記のモデルを満たすためには、半導体装置の作製プロセスが重要な要素の一つとなる。
一例として、酸化物半導体上に、過剰酸素を有する絶縁体280を形成し、その後、絶縁体282を形成する。そのあとに、加熱処理を行うことが好ましい。当該加熱処理は、具体的には、酸素を含む雰囲気、窒素を含む雰囲気、または酸素と窒素の混合雰囲気にて、350℃以上、好ましくは400℃以上の温度で行う。加熱処理の時間は、1時間以上、好ましくは4時間以上、さらに好ましくは8時間以上とする。
上記の加熱処理によって、酸化物半導体中の水素が、絶縁体280、および絶縁体282を介して、外方に拡散することができる。つまり、酸化物半導体、及び当該酸化物半導体近傍に存在する水素の絶対量を低減することができる。
上記加熱処理のあと、絶縁体283を形成する。絶縁体283は、水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料であるため、外方に拡散させた水素、または外部に存在する水素を、内部、具体的には、酸化物半導体、または絶縁体280側に入り込むのを抑制することができる。
なお、上記の加熱処理については、絶縁体282を形成したあとに行う工程について、例示したが、これに限定されない。例えば、トランジスタ層413の形成後、またはメモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_3の形成後に、それぞれ上記加熱処理を行っても良い。また、上記加熱処理によって、水素を外方に拡散させる際には、トランジスタ層413の上方または横方向に水素が拡散される。同様に、メモリデバイス層415_1乃至メモリデバイス層415_3形成後に加熱処理をする場合においては、水素は上方または横方向に拡散される。
なお、上記の作製プロセスとすることで、絶縁体212と、絶縁体283と、が接着することで、上述した封止構造が形成される。
以上より、信頼性が良好な半導体装置、およびその作製方法を提供することができる。また、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置、およびその作製方法を提供することができる。
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態、実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、図26A、図26Bおよび図27A乃至図27Hを用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ場合がある。)、および容量素子が適用されている記憶装置(以下、OSメモリ装置と呼ぶ場合がある。)について説明する。OSメモリ装置は、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有する記憶装置である。OSトランジスタのオフ電流は極めて小さいので、OSメモリ装置は優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
<記憶装置の構成例>
図26AにOSメモリ装置の構成の一例を示す。記憶装置1400は、周辺回路1411、およびメモリセルアレイ1470を有する。周辺回路1411は、行回路1420、列回路1430、出力回路1440、およびコントロールロジック回路1460を有する。
列回路1430は、例えば、列デコーダ、プリチャージ回路、センスアンプ、書き込み回路等を有する。プリチャージ回路は、配線をプリチャージする機能を有する。センスアンプは、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。なお、上記配線は、メモリセルアレイ1470が有するメモリセルに接続されている配線であり、詳しくは後述する。増幅されたデータ信号は、出力回路1440を介して、データ信号RDATAとして記憶装置1400の外部に出力される。また、行回路1420は、例えば、行デコーダ、ワード線ドライバ回路等を有し、アクセスする行を選択することができる。
記憶装置1400には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路1411用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1470用の高電源電圧(VIL)が供給される。また、記憶装置1400には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、行デコーダおよび列デコーダに入力され、データ信号WDATAは書き込み回路に入力される。
コントロールロジック回路1460は、外部から入力される制御信号(CE、WE、RE)を処理して、行デコーダ、列デコーダの制御信号を生成する。制御信号CEは、チップイネーブル信号であり、制御信号WEは、書き込みイネーブル信号であり、制御信号REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1460が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
メモリセルアレイ1470は、行列状に配置された、複数個のメモリセルMCと、複数の配線を有する。なお、メモリセルアレイ1470と行回路1420とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一列に有するメモリセルMCの数などによって決まる。また、メモリセルアレイ1470と列回路1430とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一行に有するメモリセルMCの数などによって決まる。
なお、図26Aにおいて、周辺回路1411とメモリセルアレイ1470を同一平面上に形成する例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、図26Bに示すように、周辺回路1411の一部の上に、メモリセルアレイ1470が重なるように設けられてもよい。例えば、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にしてもよい。
図27A乃至図27Hに上述のメモリセルMCに適用できるメモリセルの構成例について説明する。
[DOSRAM]
図27A乃至図27Cに、DRAMのメモリセルの回路構成例を示す。本明細書等において、1OSトランジスタ1容量素子型のメモリセルを用いたDRAMを、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ場合がある。図27Aに示す、メモリセル1471は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、ゲート(トップゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。
トランジスタM1の第1端子は、容量素子CAの第1端子と接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CAの第2端子は、配線CALと接続されている。
配線BILは、ビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、及び読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
ここで、図27Aに示すメモリセル1471は、図22に示す記憶装置に対応している。つまり、トランジスタM1はトランジスタ200に、容量素子CAは容量デバイス292に対応している。
また、メモリセルMCは、メモリセル1471に限定されず、回路構成の変更を行うことができる。例えば、メモリセルMCは、図27Bに示すメモリセル1472のように、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図27Cに示すメモリセル1473ように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM1で構成されたメモリセルとしてもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1471等に用いる場合、トランジスタM1としてトランジスタ200を用い、容量素子CAとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に小さくすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1471、メモリセル1472、メモリセル1473に対して多値データ、又はアナログデータを保持することができる。
また、DOSRAMにおいて、上記のように、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にすると、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線容量が小さくなり、メモリセルの保持容量を低減することができる。
[NOSRAM]
図27D乃至図27Gに、2トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの回路構成例を示す。図27Dに示す、メモリセル1474は、トランジスタM2と、トランジスタM3と、容量素子CBと、を有する。なお、トランジスタM2は、トップゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。本明細書等において、トランジスタM2にOSトランジスタを用いたゲインセル型のメモリセルを有する記憶装置を、NOSRAM(Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM)と呼ぶ場合がある。
トランジスタM2の第1端子は、容量素子CBの第1端子と接続され、トランジスタM2の第2端子は、配線WBLと接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM2のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CBの第2端子は、配線CALと接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SLと接続され、トランジスタM3のゲートは、容量素子CBの第1端子と接続されている。
配線WBLは、書き込みビット線として機能し、配線RBLは、読み出しビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CBの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、データ保持の最中、データの読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM2のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM2のしきい値電圧を増減することができる。
ここで、図27Dに示すメモリセル1474は、図20に示す記憶装置に対応している。つまり、トランジスタM2はトランジスタ200に、容量素子CBは容量素子100に、トランジスタM3はトランジスタ300に、配線WBLは配線1003に、配線WOLは配線1004に、配線BGLは配線1006に、配線CALは配線1005に、配線RBLは配線1002に、配線SLは配線1001に対応している。
また、メモリセルMCは、メモリセル1474に限定されず、回路の構成を適宜変更することができる。例えば、メモリセルMCは、図27Eに示すメモリセル1475のように、トランジスタM2のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図27Fに示すメモリセル1476のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM2で構成されたメモリセルとしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図27Gに示すメモリセル1477のように、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1474等に用いる場合、トランジスタM2としてトランジスタ200を用い、トランジスタM3としてトランジスタ300を用い、容量素子CBとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM2としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM2のリーク電流を非常に小さくすることができる。これにより、書き込んだデータをトランジスタM2によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に小さいため、メモリセル1474に多値データ、又はアナログデータを保持することができる。メモリセル1475乃至メモリセル1477も同様である。
なお、トランジスタM3は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ場合がある)であってもよい。Siトランジスタの導電型は、nチャネル型としてもよいし、pチャネル型としてもよい。Siトランジスタは、OSトランジスタよりも電界効果移動度が高くなる場合がある。よって、読み出しトランジスタとして機能するトランジスタM3として、Siトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタM3にSiトランジスタを用いることで、トランジスタM3の上に積層してトランジスタM2を設けることができるため、メモリセルの占有面積を低減し、記憶装置の高集積化を図ることができる。
また、トランジスタM3はOSトランジスタであってもよい。トランジスタM2およびトランジスタM3にOSトランジスタを用いた場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
また、図27Hに3トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの一例を示す。図27Hに示すメモリセル1478は、トランジスタM4乃至トランジスタM6、および容量素子CCを有する。容量素子CCは適宜設けられる。メモリセル1478は、配線BIL、配線RWL、配線WWL、配線BGL、および配線GNDLに電気的に接続されている。配線GNDLは低レベル電位を与える配線である。なお、メモリセル1478を、配線BILに代えて、配線RBL、配線WBLに電気的に接続してもよい。
トランジスタM4は、バックゲートを有するOSトランジスタであり、バックゲートは配線BGLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM4のバックゲートとゲートとを互いに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタM4はバックゲートを有さなくてもよい。
なお、トランジスタM5、トランジスタM6はそれぞれ、nチャネル型Siトランジスタまたはpチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、トランジスタM4乃至トランジスタM6がOSトランジスタでもよい。この場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1478に用いる場合、トランジスタM4としてトランジスタ200を用い、トランジスタM5、トランジスタM6としてトランジスタ300を用い、容量素子CCとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM4としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM4のリーク電流を非常に小さくすることができる。
なお、本実施の形態に示す、周辺回路1411、メモリセルアレイ1470等の構成は、上記に限定されるものではない。これらの回路、および当該回路に接続される配線、回路素子等の、配置または機能は、必要に応じて、変更、削除、または追加してもよい。
一般に、コンピュータなどの半導体装置では、用途に応じて様々な記憶装置(メモリ)が用いられる。図28に、各種の記憶装置を階層ごとに示す。上層に位置する記憶装置ほど速いアクセス速度が求められ、下層に位置する記憶装置ほど大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。図28では、最上層から順に、CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、3D NANDメモリを示している。
CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリは、演算結果の一時保存などに用いられるため、演算処理装置からのアクセス頻度が高い。よって、記憶容量よりも速い動作速度が求められる。また、レジスタは演算処理装置の設定情報などを保持する機能も有する。
SRAMは、例えばキャッシュに用いられる。キャッシュは、メインメモリに保持されている情報の一部を複製して保持する機能を有する。使用頻繁が高いデータをキャッシュに複製しておくことで、データへのアクセス速度を高めることができる。
DRAMは、例えばメインメモリに用いられる。メインメモリは、ストレージから読み出されたプログラムやデータを保持する機能を有する。DRAMの記録密度は、おおよそ0.1乃至0.3Gbit/mm2である。
3D NANDメモリは、例えばストレージに用いられる。ストレージは、長期保存が必要なデータや、演算処理装置で使用する各種のプログラムなどを保持する機能を有する。よって、ストレージには動作速度よりも大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。ストレージに用いられる記憶装置の記録密度は、おおよそ0.6乃至6.0Gbit/mm2である。
本発明の一態様の記憶装置は、動作速度が速く、長期間のデータ保持が可能である。本発明の一態様の記憶装置は、キャッシュが位置する階層とメインメモリが位置する階層の双方を含む境界領域901に位置する記憶装置として好適に用いることができる。また、本発明の一態様の記憶装置は、メインメモリが位置する階層とストレージが位置する階層の双方を含む境界領域902に位置する記憶装置として好適に用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、図29Aおよび図29Bを用いて、本発明の半導体装置が実装されたチップ1200の一例を示す。チップ1200には、複数の回路(システム)が実装されている。このように、複数の回路(システム)を一つのチップに集積する技術を、システムオンチップ(System on Chip:SoC)と呼ぶ場合がある。
図29Aに示すように、チップ1200は、CPU1211、GPU1212、一または複数のアナログ演算部1213、一または複数のメモリコントローラ1214、一または複数のインターフェース1215、一または複数のネットワーク回路1216等を有する。
チップ1200には、バンプ(図示しない)が設けられ、図29Bに示すように、プリント基板(Printed Circuit Board:PCB)1201の第1の面と接続する。また、PCB1201の第1の面の裏面には、複数のバンプ1202が設けられており、マザーボード1203と接続する。
マザーボード1203には、DRAM1221、フラッシュメモリ1222等の記憶装置が設けられていてもよい。例えば、DRAM1221に先の実施の形態に示すDOSRAMを用いることができる。また、例えば、フラッシュメモリ1222に先の実施の形態に示すNOSRAMを用いることができる。
CPU1211は、複数のCPUコアを有することが好ましい。また、GPU1212は、複数のGPUコアを有することが好ましい。また、CPU1211、およびGPU1212は、それぞれ一時的にデータを格納するメモリを有していてもよい。または、CPU1211、およびGPU1212に共通のメモリが、チップ1200に設けられていてもよい。該メモリには、前述したNOSRAMや、DOSRAMを用いることができる。また、GPU1212は、多数のデータの並列計算に適しており、画像処理や積和演算に用いることができる。GPU1212に、本発明の酸化物半導体を用いた画像処理回路や、積和演算回路を設けることで、画像処理、および積和演算を低消費電力で実行することが可能になる。
また、CPU1211、およびGPU1212が同一チップに設けられていることで、CPU1211およびGPU1212間の配線を短くすることができ、CPU1211からGPU1212へのデータ転送、CPU1211、およびGPU1212が有するメモリ間のデータ転送、およびGPU1212での演算後の、GPU1212からCPU1211への演算結果の転送を高速に行うことができる。
アナログ演算部1213はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、およびD/A(デジタル/アナログ)変換回路の一、または両方を有する。また、アナログ演算部1213に上記積和演算回路を設けてもよい。
メモリコントローラ1214は、DRAM1221のコントローラとして機能する回路、およびフラッシュメモリ1222のインターフェースとして機能する回路を有する。
インターフェース1215は、表示装置、スピーカー、マイクロフォン、カメラ、コントローラなどの外部接続機器とのインターフェース回路を有する。コントローラとは、マウス、キーボード、ゲーム用コントローラなどを含む。このようなインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などを用いることができる。
ネットワーク回路1216は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク用の回路を有する。また、ネットワークセキュリティー用の回路を有してもよい。
チップ1200には、上記回路(システム)を同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、チップ1200に必要な回路の数が増えても、製造プロセスを増やす必要が無く、チップ1200を低コストで作製することができる。
GPU1212を有するチップ1200が設けられたPCB1201、DRAM1221、およびフラッシュメモリ1222が設けられたマザーボード1203は、GPUモジュール1204と呼ぶことができる。
GPUモジュール1204は、SoC技術を用いたチップ1200を有しているため、そのサイズを小さくすることができる。また、画像処理に優れていることから、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPC、携帯型(持ち出し可能な)ゲーム機などの携帯型電子機器に用いることが好適である。また、GPU1212を用いた積和演算回路により、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができるため、チップ1200をAIチップ、またはGPUモジュール1204をAIシステムモジュールとして用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す記憶装置などが組み込まれた電子部品および電子機器の一例を示す。
<電子部品>
まず、記憶装置720が組み込まれた電子部品の例を、図30Aおよび図30Bを用いて説明を行う。
図30Aに電子部品700および電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図を示す。図30Aに示す電子部品700は、モールド711内に記憶装置720を有している。図30Aは、電子部品700の内部を示すために、一部を省略している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は電極パッド713と電気的に接続され、電極パッド713は記憶装置720とワイヤ714によって電気的に接続されている。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
記憶装置720は、駆動回路層721と、記憶回路層722と、を有する。
図30Bに電子部品730の斜視図を示す。電子部品730は、SiP(System in package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、および複数の記憶装置720が設けられている。
電子部品730では、記憶装置720を広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735は、CPU、GPU、FPGAなどの集積回路(半導体装置)を用いることができる。
パッケージ基板732は、セラミック基板、プラスチック基板、ガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
インターポーザ731としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
また、シリコンインターポーザを用いたSiPやMCMなどでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、記憶装置720と半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。図30Bでは、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
電子部品730は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。図31A乃至図31Eにリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
図31AはUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。メモリチップ1105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
図31BはSDカードの外観の模式図であり、図31Cは、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。メモリチップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
図31DはSSDの外観の模式図であり、図31Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDOSRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。メモリチップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体装置は、CPUやGPUなどのプロセッサ、またはチップに用いることができる。図32A乃至図32Hに、本発明の一態様に係るCPUやGPUなどのプロセッサ、またはチップを備えた電子機器の具体例を示す。
<電子機器・システム>
本発明の一態様に係るGPUまたはチップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型またはノート型の情報端末用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機、などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子ブックリーダー、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。また、本発明の一態様に係るGPUまたはチップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。図32A乃至図32Hに、電子機器の例を示す。
[情報端末]
図32Aには、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5100は、筐体5101と、表示部5102と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5102に備えられ、ボタンが筐体5101に備えられている。
情報端末5100は、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、会話を認識してその会話内容を表示部5102に表示するアプリケーション、表示部5102に備えるタッチパネルに対してユーザが入力した文字、図形などを認識して、表示部5102に表示するアプリケーション、指紋や声紋などの生体認証を行うアプリケーションなどが挙げられる。
図32Bには、ノート型情報端末5200が図示されている。ノート型情報端末5200は、情報端末の本体5201と、表示部5202と、キーボード5203と、を有する。
ノート型情報端末5200は、先述した情報端末5100と同様に、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、設計支援ソフトウェア、文章添削ソフトウェア、献立自動生成ソフトウェアなどが挙げられる。また、ノート型情報端末5200を用いることで、新規の人工知能の開発を行うことができる。
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、およびノート型情報端末を例として、それぞれ図32A、図32Bに図示したが、スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップ型情報端末、ワークステーションなどが挙げられる。
[ゲーム機]
図32Cは、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5300を示している。携帯ゲーム機5300は、筐体5301、筐体5302、筐体5303、表示部5304、接続部5305、操作キー5306等を有する。筐体5302、および筐体5303は、筐体5301から取り外すことが可能である。筐体5301に設けられている接続部5305を別の筐体(図示せず)に取り付けることで、表示部5304に出力される映像を、別の映像機器(図示せず)に出力することができる。このとき、筐体5302、および筐体5303は、それぞれ操作部として機能することができる。これにより、複数のプレイヤーが同時にゲームを行うことができる。筐体5301、筐体5302、および筐体5303の基板に設けられているチップなどに先の実施の形態に示すチップを組み込むことができる。
また、図32Dは、ゲーム機の一例である据え置き型ゲーム機5400を示している。据え置き型ゲーム機5400には、無線または有線でコントローラ5402が接続されている。
携帯ゲーム機5300、据え置き型ゲーム機5400などのゲーム機に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、低消費電力のゲーム機を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、およびモジュールへの影響を少なくすることができる。
更に、携帯ゲーム機5300に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、人工知能を有する携帯ゲーム機5300を実現することができる。
本来、ゲームの進行、ゲーム上に登場する生物の言動、ゲーム上で発生する現象などの表現は、そのゲームが有するプログラムによって定められているが、携帯ゲーム機5300に人工知能を適用することにより、ゲームのプログラムに限定されない表現が可能になる。例えば、プレイヤーが問いかける内容、ゲームの進行状況、ゲーム中のイベントが発生するタイミング、ゲーム上に登場する人物の言動、等をゲームのプログラムに限定されずに変化させて表現することが可能となる。
また、携帯ゲーム機5300で複数のプレイヤーが必要なゲームを行う場合、人工知能によって擬人的にゲームプレイヤーを構成することができるため、対戦相手を人工知能によるゲームプレイヤーとすることによって、1人でもゲームを行うことができる。
図32C、図32Dでは、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機、および据え置き型ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のGPUまたはチップを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のGPUまたはチップを適用するゲーム機としては、例えば、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
[大型コンピュータ]
本発明の一態様のGPUまたはチップは、大型コンピュータに適用することができる。
図32Eは、大型コンピュータの一例である、スーパーコンピュータ5500を示す図である。図32Fは、スーパーコンピュータ5500が有するラックマウント型の計算機5502を示す図である。
スーパーコンピュータ5500は、ラック5501と、複数のラックマウント型の計算機5502と、を有する。なお、複数の計算機5502は、ラック5501に格納されている。また、計算機5502には、複数の基板5504が設けられ、当該基板上に上記実施の形態で説明したGPUまたはチップを搭載することができる。
スーパーコンピュータ5500は、主に科学技術計算に利用される大型コンピュータである。科学技術計算では、膨大な演算を高速に処理する必要があるため、消費電力が高く、チップの発熱が大きい。スーパーコンピュータ5500に本発明の一態様のGPUまたはチップを適用することによって、低消費電力のスーパーコンピュータを実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、およびモジュールへの影響を少なくすることができる。
図32E、図32Fでは、大型コンピュータの一例としてスーパーコンピュータを図示しているが、本発明の一態様のGPUまたはチップを適用する大型コンピュータはこれに限定されない。本発明の一態様のGPUまたはチップを適用する大型コンピュータとしては、例えば、サービスを提供するコンピュータ(サーバー)、大型汎用コンピュータ(メインフレーム)などが挙げられる。
[移動体]
本発明の一態様のGPUまたはチップは、移動体である自動車、および自動車の運転席周辺に適用することができる。
図32Gは、移動体の一例である自動車の室内におけるフロントガラス周辺を示す図である。図32Gでは、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示している。
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、スピードメーターやタコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定などを表示することで、その他様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目やレイアウトなどは、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めることが可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いることも可能である。
表示パネル5704には、自動車の外側に設けられた撮像装置(図示しない。)からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮像装置からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることもできる。
本発明の一態様のGPUまたはチップは人工知能の構成要素として適用できるため、例えば、当該チップを自動車の自動運転システムに用いることができる。また、当該チップを道路案内、危険予測などを行うシステムに用いることができる。表示パネル5701乃至表示パネル5704には、道路案内、危険予測などの情報を表示する構成としてもよい。
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
[電化製品]
図32Hは、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様のチップを適用することによって、人工知能を有する電気冷凍冷蔵庫5800を実現することができる。人工知能を利用することによって電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限などを基に献立を自動生成する機能や、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材に合わせた温度に自動的に調節する機能などを有することができる。
電化製品の一例として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電子オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、人工知能の応用例、その効果などは、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物を有する積層構造を作製し、一定光電流法(CPM:Constant photocurrent method)測定を用いて分析した。なお、本実施例においては、試料1A乃至試料1Eを作製した。
<1.各試料の構成と作製方法>
以下では、本実施例の試料1A、試料1B、試料1C、試料1D、および試料1Eについて説明する。
試料1A乃至試料1Eの構造910を、図33に示す。試料1A乃至試料1Eは、基板911と、基板911上の絶縁体912と、絶縁体912上の絶縁体913と、絶縁体913上の酸化物914と、酸化物914上の、導電体915aおよび導電体915bと、酸化物914上、導電体915a上、および導電体915b上の絶縁体916と、を有する。
次に、各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板911として、石英基板を準備した。続いて、基板911上に、絶縁体912として、ALD法により、膜厚10nmの酸化アルミニウムを成膜した。
次に、絶縁体912上に、絶縁体913として、CVD法により、膜厚100nmの酸化シリコンを成膜した。
続いて、絶縁体913上に、酸化物914として、スパッタリング法を用いて、膜厚40nmのIn、Ga、およびZnを含む酸化物を成膜した。酸化物914は、In、Ga、およびZnを含む酸化物(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])ターゲットを用い、成膜ガスとして、流量45sccmの酸素(O2)を用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500Wとし、基板温度を130℃とし、ターゲット-基板間距離を60mmとして、成膜した。
続いて、窒素雰囲気下で、1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下で、1時間の加熱処理を行った。
ここで、試料1A乃至試料1Eは、それぞれ加熱処理の温度を異ならせた。試料1A乃至試料1Eにおける、加熱処理の温度を表1に示す。
次に、酸化物914上に、導電体915aおよび導電体915bとなる導電膜として、スパッタリング法により、膜厚30nmのタングステン膜を成膜した。続いて、当該導電膜を加工し、電極として機能する、導電体915aおよび導電体915bを形成した。
続いて、導電体915a上、導電体915b上、および酸化物914上に、保護膜として機能する絶縁体916を形成した。絶縁体916となる絶縁膜として、CVD法により、膜厚100nmの酸化シリコン膜を成膜した。続いて、導電体915aの一部、および導電体915bの一部を露出させるように、当該絶縁膜の一部を開口して、絶縁体916を形成した。
以上の工程により、本実施例の試料1A乃至試料1Eを作製した。
<2.各試料のCPM測定の測定結果>
試料1A乃至試料1Eに対し、CPM測定を行い、各試料の酸化物914の局在準位を評価した。また、CPM測定には、分析装置として、分光計器製 サブギャップ光吸収スペクトル測定シテム(SGA-5型)を用いた。
なお、CPM測定では、局在準位における光吸収量を高感度で測定し、局在準位の密度、または、局在準位に起因する吸収を、試料間で相対比較することができる。具体的には、酸化物914に接して設けられた一対の電極として機能する、導電体915aおよび導電体915bの間に電圧を印加した状態で、光電流の値が一定となるように端子間の試料面に照射する単色光の光量を調整し、当該単色光の照射光量から吸収係数を導出した。なお、当該単色光は、波長が350nm以上750nm以下の範囲において、長波長から短波長に向かって10nm刻みで掃引して、照射した。なお、CPM測定によって得られた、波長に対する吸収係数の推移を、CPMスペクトルと呼ぶ場合がある。
また、本実施例では、吸収係数の導出を単色光の各波長にて行った。CPM測定では、エネルギー(波長より換算)における吸収係数は、局在準位密度に応じて増加する。また、CPMスペクトルのカーブのうち、価電子帯側のバンドテイルに起因する光吸収(アーバックテイルともいう。)よりも吸収係数が大きくなっている領域を積分することで、試料の局在準位に起因する吸収を導出することができる。
試料の局在準位に起因する吸収αは、具体的には、以下の式から算出することができる。
ここで、Eはエネルギー、αCPMはCPM測定によって得られた吸収係数を表し、αUはアーバックテイルの吸収係数を表す。
図34には、試料1A乃至試料1EのCPM測定の測定結果を示す。縦軸を、局在準位に起因する吸収[cm-1]とし、横軸を、各試料の酸化物914成膜後の加熱処理の温度[℃]とした。なお、試料1A、試料1C、試料1D、および試料1Eはそれぞれ、2点のサンプルを測定した。また、試料1Bは、1点のサンプルを測定した。
図34に示す結果より、酸化物914を成膜した後の加熱処理の条件により、局在準位密度が変化することが分かった。特に、当該加熱処理の温度が、400℃以上550℃以下の範囲では、高温にするにしたがって、局在準位密度は減少していく傾向があることが分かった。一方、当該加熱処理の温度が600℃の場合では、少なくとも加熱処理の温度が550℃の場合よりも、局在準位密度が増加することが分かった。
従って、酸化物半導体膜を成膜した後、適切な条件で、加熱処理を行うことで、酸化物半導体中の局在準位密度を低減できることが分かった。
具体的には、酸化物半導体膜を成膜した後、450℃以上600℃以下で加熱処理を行うとよい。当該処理により、酸化物半導体膜中の局在準位による吸収を1.0×10-2cm-1以下とすることができる。当該酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、チャネル形成領域のキャリア濃度が低減され、チャネル形成領域をi型化(真性化)または実質的にi型化することができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタを含む半導体装置を作製することができる。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例、実施の形態などと適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物と、絶縁体との積層構造を作製し、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて分析した。なお、本実施例においては、試料2A群(試料2A-1、試料2A-2、試料2A-3、および試料2A-4)、試料2B群(試料2B-1、試料2B-2、試料2B-3、および試料2B-4)、試料2C群(試料2C-1、試料2C-2、試料2C-3、および試料2C-4)、試料2D群(試料2D-1、試料2D-2、試料2D-3、および試料2D-4)、および試料2E群(試料2E-1、試料2E-2、試料2E-3、および試料2E-4)を作製した。
また、本実施例では、試料2A-1、試料2B-1、試料2C-1、試料2D-1および試料2E-1を、試料2-1群と呼ぶ場合がある。同様に、試料2-2群(試料2A-2、試料2B-2、試料2C-2、試料2D-2および試料2E-2)、試料2-3群(試料2A-3、試料2B-3、試料2C-3、試料2D-3および試料2E-3)、試料2-4群(試料2A-4、試料2B-4、試料2C-4、試料2D-4および試料2E-4)とする。
<1.各試料の構成と作製方法>
以下では、本実施例の、試料2A群、試料2B群、試料2C群、試料2D群、および試料2E群について説明する。試料2A群乃至試料2E群の構造を、図35に示す。試料2A群乃至試料2E群は、基板921と、基板921上の絶縁体922と、絶縁体922上の絶縁体923と、絶縁体923上の酸化物924と、酸化物924上の絶縁体925と、絶縁体925上の絶縁体926と、を有する。
ここで、各試料は、異なる条件で第1の加熱処理、および第2の加熱処理を行った。なお、本実施例では、酸化物924を成膜した後に行う加熱処理を第1の加熱処理とする。また、絶縁体926を成膜した後に行う加熱処理を第2の加熱処理とする。
具体的に、各試料に対して行う、第1の加熱処理、および第2の加熱処理の温度を表2に示す。なお、表2内の“-”は、該当する加熱処理を行わなかったことを表す。
次に、各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板921として、シリコン基板を準備した。続いて、基板921上に、絶縁体922として、膜厚100nmの熱酸化膜を形成した。
次に、絶縁体922上に、絶縁体923として、スパッタリング法を用いて、膜厚20nmの窒化シリコンを成膜した。なお、当該窒化シリコンは、水素に対する拡散を抑制する機能を有する。従って、基板921側からの水素の混入は無視できる程度であるものとする。
続いて、絶縁体923上に、酸化物924として、スパッタリング法を用いて、300nmのIn、Ga、およびZnを含む酸化物を成膜した。酸化物924は、In、Ga、およびZnを含む酸化物(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])ターゲットを用い、成膜ガスとして、流量45sccmの酸素(O2)を用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500Wとし、基板温度を200℃とし、ターゲット-基板間距離を60mmとして、成膜した。
続いて、試料2B群乃至試料2E群に対し、第1の加熱処理を行った。第1の加熱処理として、窒素雰囲気下において、表2に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下において、表2に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った。
次に、酸化物924上に、絶縁体925として、CVD法を用いて、膜厚50nmの、重水素(D)を含む酸化シリコンを成膜した。絶縁体925は、成膜ガスとして、流量2sccmのシラン(SiH4)、流量800sccmの一酸化二窒素(N2O)、および流量200sccmの重水素(D2)を用い、基板温度を160℃、成膜圧力を200Pa、成膜電力を150Wとして、成膜した。
次に、絶縁体925上に、絶縁体926を成膜した。絶縁体926は、スパッタリング法を用いて、膜厚20nmの窒化シリコンを成膜した。なお、当該窒化シリコンは、水素に対する拡散を抑制する機能を有する。従って、絶縁体926よりも上方からの水素の混入は無視できる程度であるものとする。
続いて、試料2-2群乃至試料2-4群に対し、第2の加熱処理を行った。第2の加熱処理は、窒素雰囲気下において、表2に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った。
以上の工程により、本実施例の試料2A群乃至試料2E群を作製した。
<2.各試料のSIMSの測定結果>
次に、基板921側からSIMS分析を行い、酸化物924中の重水素(D)濃度を検出した。なお、重水素濃度の評価には、分析装置としてアルバック・ファイ株式会社製四重極型二次イオン質量分析装置PHI ADEPT1010を用いた。
各試料における膜中の重水素濃度の深さ方向のプロファイルを図36A、図36B、図37A、図37B、および図38に示す。なお、本実施例のSIMS分析結果はすべて、酸化物924と同じIn、Ga、およびZnを含む酸化物で作製した標準試料を用いて定量している。図36A、図36B、図37A、図37B、および図38では、横軸は、試料表面からの、垂直方向の深さ[nm]であり、縦軸は、酸化物924中の重水素(D)濃度[atoms/cm3]である。
図36Aには、試料2A群(第1の加熱処理:なし)の分析結果を示し、図36Bには、試料2B群(第1の加熱処理の温度:400℃)の分析結果を示す。図37Aには、試料2C群(第1の加熱処理の温度:450℃)の分析結果を示し、図37Bには、試料2D群(第1の加熱処理の温度:500℃)の分析結果を示す。図38には、試料2E群(第1の加熱処理の温度:550℃)の分析結果を示す。
また、図36A、図36B、図37A、図37B、および図38において、試料2-1群(第2の加熱処理:なし)の、膜中の重水素(D)濃度の深さ方向プロファイルを点線で示す。試料2-2群(第2の加熱処理の温度:300℃)の、膜中の重水素(D)濃度の深さ方向プロファイルを一点鎖線で示す。試料2-3群(第2の加熱処理の温度:350℃)の、膜中の重水素(D)濃度の深さ方向プロファイルを二点鎖線で示す。試料2-4群(第2の加熱処理の温度:400℃)の、膜中の重水素(D)濃度の深さ方向プロファイルを実線で示す。
図36A、図36B、図37A、図37B、および図38より、第1の加熱処理を行った場合、第2の加熱処理時に生じる、絶縁体925から酸化物924への重水素の拡散を抑制することが分かった。
ここで、測定結果の傾向を確認するため、SIMS分析の測定結果を用い、試料2A群、試料2B群、試料2C群、試料2D群、および試料2E群における重水素の拡散長を、それぞれ算出した。
ここで、重水素の拡散長の算出方法について説明する。
酸化物924表面からの距離x[nm]、温度T、時間tにおける重水素濃度C(x、T、t)は、以下の式で示すように、相補誤差関数erfc(y)(yは変数である。)を用いて表現できるとする。
上記の式において、Csは、表面での重水素の濃度であり、D(T)は、温度Tにおける拡散係数であり、cは、定数である。
SIMS測定で得られた、距離xに対する重水素濃度C(x、T、t)のプロファイルを、上記の式を用いて最小二乗法によりフィッティングする。このとき、フィッティングパラメータを、CsおよびD(T)とする。
次に、温度Tの逆数に対する拡散係数D(T)を片対数グラフにプロットする(アレニウスプロットを作成する)。当該アレニウスプロットより、振動数因子、および活性化エネルギーを算出する。
次に、上記算出した、振動数因子、および活性化エネルギーを用いて、温度Tを400℃、時間tを1時間として、重水素の拡散長を算出した。
試料2A群、試料2B群、試料2C群、試料2D群、および試料2E群における重水素の拡散長の算出結果を、図39に示す。
上記方法にて算出した、重水素の拡散長は、試料2A群では1953nmであり、試料2B群では218nmであり、試料2C群では46nmであり、試料2D群では43nmであり、試料2E群では23nmであった。なお、試料2E群に対して、重水素の拡散長の算出を試みたところ、重水素の拡散長は小さかったため、図39では、試料2E群における重水素の拡散長を、算出下限以下と記している。
また、試料2B群乃至試料2D群における、膜中の重水素(D)濃度の深さ方向プロファイルの推移を考慮すると、試料2C群における重水素の拡散長は、46nmよりも大きいと推測される。具体的には、試料2C群における重水素の拡散長は、46nm乃至128nmの範囲と推定される。
上記結果より、第1の加熱処理の温度を高温化するほど、水素の拡散長が短くなることが分かった。従って、酸化物半導体膜を成膜した後、加熱処理を行うことで、後工程の処理で生じる熱により、酸化物半導体中に水素が拡散することを抑制できることが確認できた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例、実施の形態などと適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物と、絶縁体との積層構造を作製し、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて分析した。なお、本実施例においては、試料3A群(試料3A-1、試料3A-2、および試料3A-3)、試料3B群(試料3B-1、試料3B-2、および試料3B-3)、試料3C群(試料3C-1、試料3C-2、および試料3C-3)、試料3D群(試料3D-1、試料3D-2、および試料3D-3)、および試料3E群(試料3E-1、試料3E-2、および試料3E-3)を作製した。
また、本実施例では、試料3A-1、試料3B-1、試料3C-1、試料3D-1、および試料3E-1を、試料3-1群と呼ぶ場合がある。同様に、試料3-2群(試料3A-2、試料3B-2、試料3C-2、試料3D-2、および試料3E-2)、試料3-3群(試料3A-3、試料3B-3、試料3C-3、試料3D-3、および試料3E-3)とする。
<1.各試料の構成と作製方法>
以下では、本実施例の試料3A群、試料3B群、試料3C群、試料3D群、および試料3E群について説明する。試料3A群乃至試料3E群の構造を、図40に示す。試料3A群乃至試料3E群は、基板931と、基板931上の絶縁体932と、絶縁体932上の絶縁体933と、絶縁体933上の酸化物934と、酸化物934上の絶縁体935と、絶縁体935上の絶縁体936と、を有する。
ここで、各試料は、異なる条件で第1の加熱処理、および第2の加熱処理を行った。なお、本実施例では、酸化物934を成膜した後に行う加熱処理を第1の加熱処理とする。また、絶縁体936を成膜した後に行う加熱処理を第2の加熱処理とする。
具体的に、各試料に対して行う、第1の加熱処理、および第2の加熱処理の温度を表3に示す。なお、表3内の“-”は、該当する加熱処理を行わなかったことを表す。
次に、各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板931として、シリコン基板を準備した。続いて、基板931上に、絶縁体932として、膜厚100nmの熱酸化膜を形成した。
次に、絶縁体932上に、絶縁体933として、スパッタリング法を用いて、膜厚20nmの酸化アルミニウムを成膜した。なお、当該酸化アルミニウムは、酸素の拡散を抑制する機能を有する。従って、基板931側からの酸素の混入は無視できる程度であるものとする。
続いて、絶縁体933上に、酸化物934として、スパッタリング法を用いて、300nmのIn、Ga、およびZnを含む酸化物を成膜した。酸化物934は、In、Ga、およびZnを含む酸化物(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])ターゲットを用い、成膜ガスとして、流量45sccmの酸素(O2)を用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500Wとし、基板温度を200℃とし、ターゲット-基板間距離を60mmとして、成膜した。
続いて、試料3B群乃至試料3E群に対し、第1の加熱処理を行った。第1の加熱処理は、窒素雰囲気下において、表3に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気下において、表3に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った。
次に、酸化物934上に、絶縁体935として、スパッタリング法を用いて、膜厚50nmの、質量数が18の酸素安定同位体(18Oと表記する。)を含む酸化シリコンを成膜した。絶縁体935は、酸化シリコン(SiO2)ターゲットを用い、成膜ガスとして、流量25sccmの、18Oを含む酸素(O2)を用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を2.5kW(RF)とし、基板温度を100℃とし、ターゲット-基板間距離を60mmとして、成膜した。
次に、絶縁体935上に、絶縁体936を成膜した。絶縁体936は、スパッタリング法を用いて、膜厚20nmの酸化アルミニウムを成膜した。なお、当該酸化アルミニウムは、酸素の拡散を抑制する機能を有する。従って、絶縁体936よりも上方からの酸素の混入は無視できる程度であるものとする。
続いて、試料3-2群、および試料3-3群に対し、第2の加熱処理を行った。第2の加熱処理は、窒素雰囲気下において、表3に示した所定の温度で1時間の加熱処理を行った。
以上の工程により、本実施例の試料3A群乃至試料3E群を作製した。
<2.各試料のSIMSの測定結果>
次に、試料3A群乃至試料3E群の酸化物934を定量層として、基板931側からSIMS分析を行い、酸化物934中の18O濃度を検出した。なお、18Oの濃度評価には、分析装置としてアルバック・ファイ株式会社製四重極型二次イオン質量分析装置PHI ADEPT1010を用いた。
各試料における膜中の18O濃度の深さ方向のプロファイルを図41A、図41B、図42A、図42B、および図43に示す。なお、本実施例のSIMS分析結果はすべて、酸化物934と同じIn、Ga、およびZnを含む酸化物で作製した標準試料を用いて定量している。図41A、図41B、図42A、図42B、および図43では、横軸は、試料表面からの、垂直方向の深さ[nm]であり、縦軸は、酸化物934中の18O濃度[atoms/cm3]である。
図41Aには、試料3A群(第1の加熱処理:なし)の分析結果を示し、図41Bには、試料3B群(第1の加熱処理の温度:400℃)の分析結果を示す。図42Aには、試料3C群(第1の加熱処理の温度:450℃)の分析結果を示し、図42Bには、試料3D群(第1の加熱処理の温度:500℃)の分析結果を示す。図43には、試料3E群(第1の加熱処理の温度:550℃)の分析結果を示す。
また、図41A、図41B、図42A、図42B、および図43において、試料3-1群(第2の加熱処理:なし)の、膜中の18O濃度の深さ方向プロファイルを点線で示す。試料3-2群(第2の加熱処理の温度:400℃)の、膜中の18O濃度の深さ方向プロファイルを一点鎖線で示す。試料3-3群(第2の加熱処理の温度:500℃)の、膜中の18O濃度の深さ方向プロファイルを実線で示す。
図41A、図41B、図42A、図42B、および図43より、第1の加熱処理を行った場合、第2の加熱処理時に生じる、絶縁体935から酸化物934への酸素の拡散を抑制することが分かった。また、第1の加熱処理の温度を高温化するほど、第2の加熱処理時に生じる、絶縁体935から酸化物934への酸素の拡散が抑制される傾向がみられた。
従って、酸化物半導体膜を成膜した後、加熱処理を行うことで、後工程の処理で生じる熱により、酸化物半導体中に酸素が拡散することを抑制できることが確認できた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例、実施の形態などと適宜組み合わせて用いることができる。