JP7638511B2 - メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法 - Google Patents
メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法 Download PDFInfo
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Description
一般的に金属錯体を無機酸化物に担持する際には、金属錯体上のアニオン性配位子と無機酸化物の表面水酸基との配位子交換反応が利用される(非特許文献1)。そのため、担持前の金属錯体と担持金属錯体の中心金属周辺では大きな構造変化が起こり、担持前の金属錯体の性質から、担持金属錯体の性質を予測することは困難である。
そこで、Tilleyらはトリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子を有する金属錯体を用いる手法を開発している(非特許文献2)。トリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子を有する金属錯体の中心金属の隣は酸素原子、その隣はケイ素原子、さらにその隣は酸素原子であることから、トリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子とシリカゲルの表面水酸基との配位子交換反応により担持が進行しても、担持前の金属錯体と担持金属錯体の中心金属周辺の構造は大きく変化しない(下記化学反応式参照)。
本発明の課題は、ジシロキサンおよびそれを配位子として有する金属錯体よりも取り扱いが簡便であり、かつ、当該金属錯体と同様に金属触媒等として利用可能な化合物の提供にある。
本発明の一態様は、
〔1〕下記一般式(1)で示される化合物に関する:
また本発明の別の態様は、
〔2〕上記〔1〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、下記一般式(2)で示される化合物を得る工程と
(ii)前記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程と
を含む、製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔3〕下記一般式(2)で示される化合物に関する:
〔4〕上記〔3〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させる工程を含む、製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔5〕上記〔1〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(ii)下記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程
を含む、製造方法に関する:
また本発明の別の態様は、
〔6〕下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体に関する:
〔7〕上記〔6〕に記載の金属錯体を製造する方法であって、
(a)上記〔1〕に記載の化合物と塩基とを反応させる工程と
(b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX2(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程
を含む、金属錯体の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は
〔8〕下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体の有機溶媒溶液を無機酸化物に接触させることにより、前記金属錯体を無機酸化物に担持させる工程
を含む、担持金属錯体の製造方法に関する:
〔9〕上記〔6〕に記載の金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体であり、前記担持金属錯体が前記無機酸化物上に担持されている、担持金属錯体に関する。
また本発明の別の態様は、
〔10〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含む担持金属触媒の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔11〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を熱処理してなる、担持金属触媒に関する。
また本発明の別の態様は、
〔12〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を酸素、空気、窒素、アルゴンまたは水素雰囲気下において80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含むオレフィン類の水素化反応用触媒の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔13〕上記〔6〕に記載の金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒に関する。
また本発明の別の態様は、
〔14〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒に関する。
また本明細書における炭素原子数1~20のアルコキシ基は、-OR5で表すことができる。R5は、例えば、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、アリール基である。これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
本発明により提供するメチレンビス(ジアルコキシシラノール)は、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、下記一般式(2)で示される化合物を得る工程と
(ii)前記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程
とにより合成することができる。
下記にメチレンビス(ジアルコキシシラノール)の製造方法の一実施の形態における合成スキームを記載する。
金属アルコキシドの使用量(仕込量)は、メチレンビス(トリクロロシラン)に対して物質量換算で、3~6当量である。
塩基の使用量(仕込量)は、一般式(2)で示される化合物に対して物質量換算で、1.5~2.5当量である。
反応後の反応溶液は必要に応じてろ過処理や揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
当該(ii)の工程に用いる溶媒としては、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応は窒素やアルゴンなどの不活性化雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は0℃~30℃とすることができる。反応時間は12時間~48時間とすることができる。
当該(ii)の工程に用いる水の使用量(仕込量)は、一般式(2)で示される化合物に対して物質量換算で、2~5当量である。
反応後の反応溶液はカラムクロマトグラフィーにより分離後、揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
本発明の別の態様として下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体を提供する:
また、一般式(3)および(3)’におけるnは配位子の個数を表す0~2の整数である。配位子Lが、例えば1,5-シクロオクタジエンのような二座配位子である場合は、nは通常1であり、例えばトリメチルホスフィンのような単座配位子である場合は、nは通常2である。
有機基R1~R4は、それぞれ独立に、無機酸化物への固定化を可能にする観点から、加水分解性を有する炭素原子数1~20のアルコキシ基が好ましい。
本発明により提供するメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体は、下記工程(a)および工程(b)により製造することができる:
(a)下記一般式(1)で示される化合物と塩基とを反応させる工程
(b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX2(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程。
塩基の使用量(仕込量)は、一般式(1)で示される化合物に対して物質量換算で、1.5~2.5当量である。
金属錯体の使用量(仕込量)は、一般式(1)で示される化合物に対して物質量換算で、0.5~1.5当量である。
反応後の反応溶液は必要に応じてろ過処理や揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
本発明の別の態様として、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体の製造方法および当該製造方法により製造される担持金属錯体を提供する。当該担持金属錯体は、それを構成する金属錯体が無機酸化物上に担持される構造を有する。
金属錯体を溶解する有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類を挙げることができ、単独でもしくは混合して用いても良い。
上記一般式(3)または(3)’の金属錯体を含む有機溶媒溶液と無機酸化物とを接触させる工程は、金属錯体を溶解させた有機溶媒溶液に無機酸化物を懸濁させ、室温又は加熱しながら撹拌すればよい。その後、ろ過によって固体を集め、洗浄、乾燥を行うことによって担持金属錯体を得ることができる。
また得られた担持金属錯体の担持金属量はICP-OES等の分析により決定できる。
例えば、後述の実施例13~18において確認されているように、本発明の担持金属錯体は、担持前の対応する金属錯体と同様、オレフィン類のヒドロシリル化反応、例えばノルボルネンのヒドロシリル化反応に対して触媒活性を有している。また、本発明の担持金属触媒は、オレフィンの水素化反応、例えば、シクロオクテンの水素化反応に対して触媒活性を有している。
本実施例では、下記化学反応式に示すように、メチレンビス(トリクロロシラン)を用いてメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を合成した。
1H NMR(600MHz,C6D6);δ1.34((CH3)C),0.73(Si-CH2-Si)
29Si NMR(600MHz,C6D6);δ-49.5
1H NMR(600MHz,C6D6);δ3.78(Si-OH),1.39((CH3)C),0.15(Si-CH2-Si)
29Si NMR(600MHz,C6D6);δ-49.5
本実施例では、下記化学反応式に示すように、実施例1で得られたメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を用いて、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体を合成した。
1H NMR(600MHz,C6D6);δ4.73(m,4H,HC=CH(COD)),1.81(m,4H,H2C=CH2(COD)),1.60(s,36H,(CH3)C),1.19(m,4H,H2C=CH2(COD)),0.53(s,2H,Si-CH2-Si)
13C NMR(600MHz,C6D6);δ91.0, 71.5, 32.6, 29.8, 8.1
29Si NMR(600MHz, C6D6);δ-50.3
本実施例では、下記化学反応式に示すように、実施例1で得られたメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を用いて、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体を合成した。
1H NMR(600MHz,C6D6);δ4.41(m,8H,HC=CH(COD)),2.57(m,8H,H2C=CH2(COD)),1.71(m,8H,H2C=CH2(COD)),1.51(s,36H,(CH3)C),0.63(s,2H,Si-CH2-Si)
29Si NMR(600MHz,C6D6);δ-59.2
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をメソポーラスシリカ(MCM-41)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-47.2
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をアモルファスシリカ(富士シリシア(株)CARiACT Q-10)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-51.6.
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をフュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-51.6,-59.3
本実施例では、実施例3で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体をフュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)に担持させ、担持ロジウム錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持ロジウム錯体を合成した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-61.9
本実施例では、実施例4で合成したメソポーラスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりメソポーラスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例4で合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金錯体0.5gを300℃で2時間、酸素気流下で熱処理することでメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒0.49gを得た。得られたメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、0.95重量%であった。また、TEM観察像により評価し、平均粒子径は2.8nmであった(図1)。
本実施例では、実施例4で合成したメソポーラスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりメソポーラスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例4で合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金錯体0.5gを300℃で2時間、アルゴン気流下で熱処理することでメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒0.49gを得た。また、TEM観察像により評価し、平均粒子径は1.1nmであった(図2)。
本実施例では、実施例5で合成したアモルファスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりアモルファスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例5で合成したアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金錯体0.5gを用いた以外は、実施例8と同様の操作を行うことによりアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金触媒0.49gを得た。得られたアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、1.04重量%であった。また、粒子径をTEM観察像により評価し、平均粒子径は1.5nmであった(図3)。
本実施例では、実施例6で合成したフュームドシリカ担持白金錯体を熱処理することによりフュームドシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例6で合成したフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金錯体0.5gを用いた以外は、実施例8と同様の操作を行うことによりフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金触媒0.48gを得た。得られたフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、1.04重量%であった。
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体を用いてオレフィンであるノルボルネンのヒドロシリル化について検証した。
本実施例では、実施例4~6で合成した各担持白金錯体(メソポーラスシリカ担持白金錯体、アモルファスシリカ担持白金錯体、および、フュームドシリカ担持白金錯体)を用いてオレフィンであるノルボルネンのヒドロシリル化反応について検証した。
本実施例では、実施例8、10、11で合成した各担持白金触媒(メソポーラスシリカ担持白金触媒、アモルファスシリカ担持白金触媒、および、フュームドシリカ担持白金触媒)を用いてオレフィンであるシクロオクテンの水素化反応について検証した。
Claims (13)
- 請求項5に記載の金属錯体を製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の化合物と塩基とを反応させる工程と
(b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX2(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程
を含む、金属錯体の製造方法。 - 請求項5に記載の金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体であり、前記金属錯体が前記無機酸化物上に担持されている、担持金属錯体。
- 請求項8に記載の担持金属錯体を80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含む担持金属触媒の製造方法。
- 請求項8に記載の担持金属錯体を熱処理してなる、担持金属触媒。
- 請求項8に記載の担持金属錯体を酸素、空気、窒素、アルゴンまたは水素雰囲気下において80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含むオレフィン類の水素化反応用触媒の製造方法。
- 請求項5に記載の金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒。
- 請求項8に記載の担持金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒。
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| JP2021052174A JP7638511B2 (ja) | 2021-03-25 | 2021-03-25 | メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法 |
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|---|---|---|---|---|
| WO2014142252A1 (ja) | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | ジシロキサンを配位子とする金属錯体および担持金属錯体、その製造方法、並びに、それを用いて調製した担持金属触媒 |
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| WO2014142252A1 (ja) | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | ジシロキサンを配位子とする金属錯体および担持金属錯体、その製造方法、並びに、それを用いて調製した担持金属触媒 |
Non-Patent Citations (2)
| Title |
|---|
| ARNASON,I. et al,Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie,2003年,Vol.629, No.6,p.951-954 |
| CHERNYSHEV,E.A. et al,Zhurnal Obshchei Khimii,1995年,Vol.65, No.2,p.281-4 |
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| JP2022149850A (ja) | 2022-10-07 |
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