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JP7638511B2 - メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法 - Google Patents
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メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法 Download PDF

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本発明は、メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびその製造方法、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体およびその製造方法、担持金属錯体およびその製造方法、並びに担持金属触媒の製造方法に関する。
金属錯体をシリカゲル等の無機酸化物に担持した担持金属錯体や担持金属錯体を酸素雰囲気等で熱処理することで得られる担持金属触媒は不均一系触媒として幅広く利用されている。
一般的に金属錯体を無機酸化物に担持する際には、金属錯体上のアニオン性配位子と無機酸化物の表面水酸基との配位子交換反応が利用される(非特許文献1)。そのため、担持前の金属錯体と担持金属錯体の中心金属周辺では大きな構造変化が起こり、担持前の金属錯体の性質から、担持金属錯体の性質を予測することは困難である。
そこで、Tilleyらはトリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子を有する金属錯体を用いる手法を開発している(非特許文献2)。トリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子を有する金属錯体の中心金属の隣は酸素原子、その隣はケイ素原子、さらにその隣は酸素原子であることから、トリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子とシリカゲルの表面水酸基との配位子交換反応により担持が進行しても、担持前の金属錯体と担持金属錯体の中心金属周辺の構造は大きく変化しない(下記化学反応式参照)。
Figure 0007638511000001
しかしながら、上記方法で生成する担持金属錯体は、1つの結合を介して無機酸化物表面に担持されることから、その安定性は低い。加えて、この担持金属錯体を熱処理して担持金属触媒を得る過程においても、その低い安定性に起因して、粒径の大きな金属粒子として無機酸化物上に担持される可能性がある。
そこで本発明者らは、担持前の骨格構造を保持したまま金属錯体を無機酸化物に担持する方法として、ジシロキサン配位子を有する金属錯体を用いる手法を開発してきた(特許文献1)。ジシロキサン配位子を有する金属錯体は、配位子交換反応ではなく、ジシロキサン配位子のケイ素原子上で無機酸化物の表面水酸基による置換反応が進行する。そのため、担持前後で中心金属周辺の構造が変化しないだけでなく、ジシロキサン配位子によるキレート構造が保持されることになり、1本の結合で担持されるトリス(tert-ブトキシ)シロキシ配位子を有する金属錯体を用いた場合に比べて、生成する担持金属錯体の高い安定性が期待できる。特許文献1は、ジシロキサンを配位子とする金属錯体および担持金属錯体、その製造方法、並びに、それを用いて調製した担持金属触媒を開示している。
特許第6090759号公報
Chem.Rev.,2016,116,323 Chem.Mater.,2008,20,6517
上記の特許文献1(特許第6090759号公報)では、2つのケイ素を酸素で架橋したジシロキサンを金属錯体の配位子として用いている。具体的には下記一般式で示される化合物を開示する。当該化合物中、ジシロキサンおよびそれを配位子として有する金属錯体のSi-O結合は加水分解性が高いため、その取り扱いには注意が必要であった。
Figure 0007638511000002
(上記式中Mはパラジウムまたは白金、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アミノ基から選択される有機基を表す。)
本発明の課題は、ジシロキサンおよびそれを配位子として有する金属錯体よりも取り扱いが簡便であり、かつ、当該金属錯体と同様に金属触媒等として利用可能な化合物の提供にある。
本発明者らは、2つのケイ素をメチレン炭素(CH)で架橋したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を金属錯体の配位子として用いることを着想した。本発明者らは鋭意検討の結果、メチレンビス(ジアルコキシシラノール)を新規に合成することに成功し、当該メチレンビス(ジアルコキシシラノール)からメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子として有する金属錯体の製造に成功した。本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の態様を含む:
本発明の一態様は、
〔1〕下記一般式(1)で示される化合物に関する:
Figure 0007638511000003
(式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
また本発明の別の態様は、
〔2〕上記〔1〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、下記一般式(2)で示される化合物を得る工程と
Figure 0007638511000004
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
(ii)前記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程と
を含む、製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔3〕下記一般式(2)で示される化合物に関する:
Figure 0007638511000005
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
また本発明の別の態様は、
〔4〕上記〔3〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させる工程を含む、製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔5〕上記〔1〕に記載の化合物を製造する方法であって、
(ii)下記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程
を含む、製造方法に関する:
Figure 0007638511000006
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
また本発明の別の態様は、
〔6〕下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体に関する:
Figure 0007638511000007
(式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を表す。)
また本発明の別の態様は、
〔7〕上記〔6〕に記載の金属錯体を製造する方法であって、
(a)上記〔1〕に記載の化合物と塩基とを反応させる工程と
(b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程
を含む、金属錯体の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は
〔8〕下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体の有機溶媒溶液を無機酸化物に接触させることにより、前記金属錯体を無機酸化物に担持させる工程
を含む、担持金属錯体の製造方法に関する:
Figure 0007638511000008
(式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を表す。)
また本発明の別の態様は、
〔9〕上記〔6〕に記載の金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体であり、前記担持金属錯体が前記無機酸化物上に担持されている、担持金属錯体に関する。
また本発明の別の態様は、
〔10〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含む担持金属触媒の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔11〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を熱処理してなる、担持金属触媒に関する。
また本発明の別の態様は、
〔12〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体を酸素、空気、窒素、アルゴンまたは水素雰囲気下において80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含むオレフィン類の水素化反応用触媒の製造方法に関する。
また本発明の別の態様は、
〔13〕上記〔6〕に記載の金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒に関する。
また本発明の別の態様は、
〔14〕上記〔9〕に記載の担持金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒に関する。
本願により提供されるメチレンビス(ジアルコキシシラノール)は、ジシロキサンに比べて加水分解性が抑制される。よって、メチレンビス(ジアルコキシシラノール)およびメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)を配位子とする金属錯体を安定に取り扱うことが可能となる。
図1は下記実施例8において合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒のTEM観察像と平均粒度分布を示すグラフである。 図2は下記実施例9において合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒のTEM観察像と平均粒度分布を示すグラフである。 図3は下記実施例10において合成したアモルファスシリカ担持白金触媒のTEM観察像と平均粒度分布を示すグラフである。 図4は、下記実施例16~18において行った、各担持白金錯体を用いてシクロオクテンを水素化反応に供した際の反応時間(横軸)と収率(縦軸)を示すグラフである。図4中、(1)はメソポーラスシリカ担持白金触媒、(2)はアモルファスシリカ担持白金触媒、(3)はフュームドシリカ担持白金触媒の結果をそれぞれ示す。
1-1.メチレンビス(ジアルコキシシラノール)
本発明の一態様として下記一般式(1)で示される化合物を提供する:
Figure 0007638511000009
(式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
本明細書において、炭素原子数1~20のアルコキシ基というとき、直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルコキシ基であってよい。本明細書における炭素原子数1~20のアルコキシ基の具体例としては、以下に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、iso-ペントキシ基、tert-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-シクロヘキシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。好ましくは、tert-ブトキシ基、tert-ペントキシ基である。
また本明細書における炭素原子数1~20のアルコキシ基は、-ORで表すことができる。Rは、例えば、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、アリール基である。これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
1-2.メチレンビス(ジアルコキシシラノール)の合成
本発明により提供するメチレンビス(ジアルコキシシラノール)は、
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、下記一般式(2)で示される化合物を得る工程と
Figure 0007638511000010
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
(ii)前記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程
とにより合成することができる。
下記にメチレンビス(ジアルコキシシラノール)の製造方法の一実施の形態における合成スキームを記載する。
Figure 0007638511000011
(i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、上記一般式(2)で示される化合物を得る工程において、金属アルコキシドとしてはアルカリ金属アルコキシドが好ましく、具体例としては、以下に限定されないが、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-ペントキシド、ナトリウムtert-ペントキシド、カリウムtert-ペントキシド等を挙げることができる。
金属アルコキシドの使用量(仕込量)は、メチレンビス(トリクロロシラン)に対して物質量換算で、3~6当量である。
当該(ii)の工程に用いる塩基としては、ピリジン、2,6-ルチジン、3,5-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-メチルイミダゾール、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン等の含窒素有機塩基を挙げることができる。
塩基の使用量(仕込量)は、一般式(2)で示される化合物に対して物質量換算で、1.5~2.5当量である。
当該(i)の工程に用いる溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどを挙げることができる。反応は窒素やアルゴンなどの不活性化雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は-80℃~25℃とすることができる。反応時間は4時間~48時間とすることができる。
反応後の反応溶液は必要に応じてろ過処理や揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
(i)の工程によりメチレンビス(ジアルコキシシラノール)合成の中間体として下記一般式(2)で示される化合物を得ることができる。
Figure 0007638511000012
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
(i)の工程により上記一般式(2)で示される化合物を得た後、(ii)一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程を行う。
当該(ii)の工程に用いる溶媒としては、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応は窒素やアルゴンなどの不活性化雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は0℃~30℃とすることができる。反応時間は12時間~48時間とすることができる。
当該(ii)の工程に用いる水の使用量(仕込量)は、一般式(2)で示される化合物に対して物質量換算で、2~5当量である。
反応後の反応溶液はカラムクロマトグラフィーにより分離後、揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
2-1.メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体
本発明の別の態様として下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体を提供する:
Figure 0007638511000013
(式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基表す。)
一般式(3)および(3)’における配位子Lは、実質的に中心金属と配位結合ができるものであれば特に制限はないが、このような配位子として、一酸化炭素、オレフィン化合物としては、例えば、1,5-シクロオクタジエン(COD)、1,3-シクロペンタジエン、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン、2,5-ノルボルナジエン、エチレン、ジベンジリデンアセトン等が挙げられ、アミン化合物としては、例えば、2,2’-ビピリジル、1,10-フェナントロリン、エチレンジアミン、1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタン、1,2-ジフェニルエチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン等が挙げられ、ホスフィン化合物としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリ-tert-ブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、メチルジフェニルホスファイト、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ジフェニルホスフィノフェロセン等が挙げられ、N-複素環式カルベン化合物としては、例えば、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ(1-アダマンチル)イミダゾリジン-2-イリデン、1,3-ジ(1-アダマンチル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾール-2-イリデン等が挙げられ、ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、アセトニトリル等が挙げられ、イソシアニド化合物としては、例えば、tert-ブチルイソシアニド、1,1,3,3-テトラメチルブチルイソシアニド等が挙げられ、中でも1,5-シクロオクタジエン、ジベンジリデンアセトン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が好ましく、中でも更に1,5-シクロオクタジエン、トリメチルホスフィンが好ましい。
また、一般式(3)および(3)’におけるnは配位子の個数を表す0~2の整数である。配位子Lが、例えば1,5-シクロオクタジエンのような二座配位子である場合は、nは通常1であり、例えばトリメチルホスフィンのような単座配位子である場合は、nは通常2である。
有機基R~Rは、それぞれ独立に、無機酸化物への固定化を可能にする観点から、加水分解性を有する炭素原子数1~20のアルコキシ基が好ましい。
2-2.メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体の合成
本発明により提供するメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体は、下記工程(a)および工程(b)により製造することができる:
(a)下記一般式(1)で示される化合物と塩基とを反応させる工程
Figure 0007638511000014
(式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
(b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程。
下記にメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体の製造方法の一実施の形態における合成スキームを記載する。
Figure 0007638511000015
当該(a)の工程において用いることのできる塩基としては、以下に限定されないが、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物;n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム;リチウムジイソプロピルアミドなどのリチウムアミド;および、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどのアルカリ金属ジシラジド等を挙げることができる。好ましくは、水素化カリウム、水素化ナトリウムを挙げることができる。
塩基の使用量(仕込量)は、一般式(1)で示される化合物に対して物質量換算で、1.5~2.5当量である。
(a)の工程に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合溶媒などを挙げることができる。(a)の工程における反応は窒素やアルゴンなどの不活性化雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は0~30℃とすることができる。反応時間は1時間~6時間とすることができる。
当該(b)の工程に用いる金属錯体はLnMXで示すことができる。Mは白金またはロジウムを示す。Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子であり、上記一般式(3)または(3)’における配位子Lと同じ化合物から選択することができる。nは配位子の個数を表す0から2の整数を示し、Xはハロゲンまたは水酸基を示す。
金属錯体の使用量(仕込量)は、一般式(1)で示される化合物に対して物質量換算で、0.5~1.5当量である。
(b)の工程に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合溶媒などを挙げることができる。(b)の工程における反応は窒素やアルゴンなどの不活性化雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は-80~80℃とすることができる。反応時間は1時間~24時間とすることができる。
反応後の反応溶液は必要に応じてろ過処理や揮発成分の減圧留去をすることが好ましい。
3.担持金属錯体の合成
本発明の別の態様として、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体の製造方法および当該製造方法により製造される担持金属錯体を提供する。当該担持金属錯体は、それを構成する金属錯体が無機酸化物上に担持される構造を有する。
本発明に係る担持金属錯体の製造方法は、下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体の有機溶媒溶液を無機酸化物に接触させることにより、前記金属錯体を無機酸化物に担持させる工程を含む:
Figure 0007638511000016
(式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を表す。)
担持金属錯体は、上記のように、本発明のメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する金属錯体の有機溶媒溶液を無機酸化物に接触させることにより得られる。メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子上のアルコキシ基が無機酸化物表面の水酸基で置換されることにより担持が行われる。本発明の担持金属錯体は、金属錯体が無機酸化物上に担持される限りにおいて、4つあるアルコキシ基のうち、1~4箇所のいずれのアルコキシ基において置換が起こっていてもよい(すなわち、下記(a)~(e)のいずれか、または、それらの組み合わせのパターンで置換が起こっても良い)。
Figure 0007638511000017
担持金属錯体を製造するために用いることのできる無機酸化物としては、以下に限定されないが、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム等の単独酸化物またはそれらを含む複合酸化物等を挙げることができる。好ましくは、表面に水酸基としてシラノール基を多く有しており、有機脱離基と無機酸化物との間に強固な共有結合を形成できるという観点から、ケイ素の酸化物であるシリカ、例えばアモルファスシリカ、またはケイ素を含む複合酸化物、例えばアルミノシリケートを用いることが好ましく、さらに大きな表面積を利用して単位重量あたりの金属錯体の導入量を多くできることから、MCM-41、SBA-15等の規則性メソポーラシリカまたは規則性メソポーラスメタロシリケート、結晶性アルミノシリケート、メタロシリケート、アルミノホスフェート、シリカアルミノホスフェート等のゼオライト、多孔質ガラス、粘土鉱物等を用いることも好ましい。なお、本発明で用いる無機酸化物は、公知の手法で合成されたものでも、市販品でもよい。
上記無機酸化物は、0.5~500nmの平均細孔径を有するものが好ましく、1~100nmの平均細孔径を有するものがより好ましい。また、上記金属錯体を無機酸化物に高密度に結合させるためには、無機酸化物の表面積が大きなものが好ましく、例えば、100~1500m/gの比表面積を有するものが好ましい。
金属錯体を溶解する有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類を挙げることができ、単独でもしくは混合して用いても良い。
上記一般式(3)または(3)’の金属錯体を含む有機溶媒溶液と無機酸化物とを接触させる工程は、金属錯体を溶解させた有機溶媒溶液に無機酸化物を懸濁させ、室温又は加熱しながら撹拌すればよい。その後、ろ過によって固体を集め、洗浄、乾燥を行うことによって担持金属錯体を得ることができる。
また得られた担持金属錯体の担持金属量はICP-OES等の分析により決定できる。
本発明の担持金属錯体は、担体上に担持された金属錯体が担持前の金属錯体の骨格構造を保持しているので、担持前の金属錯体が有する触媒作用を維持することができる。
例えば、後述の実施例13~18において確認されているように、本発明の担持金属錯体は、担持前の対応する金属錯体と同様、オレフィン類のヒドロシリル化反応、例えばノルボルネンのヒドロシリル化反応に対して触媒活性を有している。また、本発明の担持金属触媒は、オレフィンの水素化反応、例えば、シクロオクテンの水素化反応に対して触媒活性を有している。
本発明の担持金属触媒は、本発明の担持金属錯体を酸素、空気、窒素、アルゴンまたは水素雰囲気下において80~600℃の温度で熱処理することによって得ることができる。得られた担持金属触媒の担持金属量はICP-OES等の分析により決定できる。
以下、具体的な実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の形態に限定されない。
(実施例1.メチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)の合成)
本実施例では、下記化学反応式に示すように、メチレンビス(トリクロロシラン)を用いてメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を合成した。
Figure 0007638511000018
具体的には、不活性雰囲気下にて、フラスコに入ったメチレンビス(トリクロロシラン)0.50gにn-ヘキサン15mLを加え、-50℃に冷却した。そこへカリウムtert-ブトキシド0.79gを加え、室温まで緩やかに昇温しながら19時間混合攪拌し反応溶液を得た。その後反応溶液をろ過し、ろ液の揮発成分を減圧留去することで無色油状物を収率87%(0.67g)で得た。当該無色油状物は、H-NMRおよび29Si-NMRにより、メチレンビス(ジ-tert-ブトキシクロロシラン)であることを確認した。
H NMR(600MHz,C);δ1.34((CH)C),0.73(Si-CH-Si)
29Si NMR(600MHz,C);δ-49.5
このメチレンビス(ジ-tert-ブトキシクロロシラン)0.30gとジエチルエーテル8mL、ピリジン0.12mLをフラスコに加えたのち、室温にて水0.06mLを加え、28時間混合攪拌し反応溶液を得た。この反応溶液を、ジオールシリカが詰められたカラムに通したのち(溶出液はジエチルエーテル)、得られた溶液を減圧留去することで、無色油状物を収率73%(0.2g)で得た。当該無色油状物は、H-NMRおよび29Si-NMRにより、メチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)であることを確認した。
H NMR(600MHz,C);δ3.78(Si-OH),1.39((CH)C),0.15(Si-CH-Si)
29Si NMR(600MHz,C);δ-49.5
(実施例2.メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体の合成)
本実施例では、下記化学反応式に示すように、実施例1で得られたメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を用いて、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体を合成した。
Figure 0007638511000019
具体的には、不活性雰囲気下にて、フラスコに入った水素化カリウム0.26gにTHF25mLを加え、0℃に冷却した。そこへメチレンビス(ジアルコキシシラノール)1.24gを含有するTHF15mL溶液を、0℃で加えた。0℃で2時間混合攪拌したのち、室温にて0.5時間混合攪拌し反応溶液を得た。そののち、この反応溶液を-80℃下にて、白金ジクロロ(シクロオクタジエン)錯体1.15gを含有するTHF15mL懸濁液に加えた。こののち、懸濁液を3時間かけて緩やかに室温まで昇温させながら混合攪拌した。さらに室温にて0.5時間攪拌したのち、揮発成分を減圧留去した。得られた固体にジエチルエーテル50mLを加えたのち、溶液をろ過した。得られたろ液を減圧留去し、ヘキサンから再結晶を行うことで、白色固体を収率50%(1.10g)得た。当該白色固体は、H-NMR、13C-NMRおよび29Si-NMRにより、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体であることを確認した。
H NMR(600MHz,C);δ4.73(m,4H,HC=CH(COD)),1.81(m,4H,HC=CH(COD)),1.60(s,36H,(CH)C),1.19(m,4H,HC=CH(COD)),0.53(s,2H,Si-CH-Si)
13C NMR(600MHz,C);δ91.0, 71.5, 32.6, 29.8, 8.1
29Si NMR(600MHz, C);δ-50.3
(実施例3.メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体の合成)
本実施例では、下記化学反応式に示すように、実施例1で得られたメチレンビス(ジ-tert-ブトキシシラノール)を用いて、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体を合成した。
Figure 0007638511000020
具体的には、不活性雰囲気下にて、フラスコに入った水素化カリウム0.08gにTHF10mLを加え、0℃に冷却した。そこへメチレンビス(ジアルコキシシラノール)0.40gを含有するTHF10mL溶液を、0℃で加えた。0℃で2時間混合攪拌したのち、室温にて0.5時間混合攪拌した。そののち、この反応溶液を-60℃下にて、ロジウムクロロ(シクロオクタジエン)ダイマー錯体0.49gを含有するTHF10mL溶液に加えた。こののち、反応溶液を4時間かけて緩やかに室温まで昇温させながら混合攪拌した。さらに室温にて0.5時間攪拌したのち、揮発成分を減圧留去した。得られた固体にジエチルエーテル50mLを加えたのち、溶液をろ過した。得られたろ液を減圧留去し、ヘキサンから再結晶を行うことで、黄色固体を収率42%(0.3g)で得た。黄色固体は、H-NMRおよび29Si-NMRにより、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム二核錯体であることを確認した。
H NMR(600MHz,C);δ4.41(m,8H,HC=CH(COD)),2.57(m,8H,HC=CH(COD)),1.71(m,8H,HC=CH(COD)),1.51(s,36H,(CH)C),0.63(s,2H,Si-CH-Si)
29Si NMR(600MHz,C);δ-59.2
(実施例4.メソポーラスシリカ担持白金錯体の合成)
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をメソポーラスシリカ(MCM-41)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
メソポーラスシリカMCM-41(0.3g)を減圧下、120℃で1時間乾燥した。室温まで冷却後、反応系内を不活性雰囲気に置換し、そこにトルエン15mLを加え、室温にて2時間機械攪拌した。ここにメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体0.01gを含有するトルエン8mLの溶液を加え、室温で24時間、混合撹拌した。得られた固体をろ過し、トルエンで洗浄した。その後、減圧下で乾燥し、メソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金錯体を得た。29Si CP/MAS NMRにより、メソポーラスシリカ表面に白金錯体が担持されていることを確認した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-47.2
(実施例5. アモルファスシリカ担持白金錯体の合成)
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をアモルファスシリカ(富士シリシア(株)CARiACT Q-10)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
アモルファスシリカ(富士シリシア(株)CARiACT Q-10)(0.5g)を減圧下、120℃で1時間乾燥した。室温まで冷却後、不活性雰囲気に置換し、トルエン12mLを加え、室温にて2時間機械攪拌した。ここにメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体0.02gとトルエン5mLの溶液を加え、室温で24時間、混合撹拌した。得られた固体をろ過し、トルエンで洗浄した。その後、減圧下で乾燥し、アモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金錯体を得た。29Si CP/MAS NMRにより、アモルファスシリカ表面に白金錯体が担持されていることを確認した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-51.6.
(実施例6.フュームドシリカ担持白金錯体の合成)
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体をフュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)に担持させ、担持白金錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持白金錯体を合成した。
フュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)(2g)を減圧下、120℃で1時間乾燥した。室温まで冷却後、反応系内を不活性雰囲気に置換し、トルエン163mLを加え、室温にて2時間機械攪拌した。ここにメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体0.07gとトルエン25mLの溶液を加え、室温で24時間、混合撹拌した。得られた固体をろ過し、トルエンで洗浄した。その後、減圧下、室温で乾燥し、フュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金錯体を得た。29Si CP/MAS NMRにより、フュームドシリカ表面に白金錯体が担持されていることを確認した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-51.6,-59.3
(実施例7.フュームドシリカ担持ロジウム錯体の合成)
本実施例では、実施例3で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体をフュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)に担持させ、担持ロジウム錯体を合成した。具体的には下記のようにして担持ロジウム錯体を合成した。
フュームドシリカ(日本アエロジル(株)Aerosil 200)(2g)を減圧下、120℃で1時間乾燥した。室温まで冷却後、反応系内を不活性雰囲気に置換し、トルエン95mLを加え、室温にて2時間機械攪拌した。ここにメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有するロジウム錯体0.9gとトルエン18mLの溶液を加え、室温で24時間、混合撹拌した。得られた固体をろ過し、トルエンで洗浄した。その後、減圧下、室温で乾燥し、フュームドシリカ(Aerosil 200)担持ロジウム錯体を得た。29Si CP/MAS NMRにより、フュームドシリカ表面にロジウム錯体が担持されていることを確認した。
29Si CP/MAS NMR(400MHz);δ-61.9
(実施例8.メソポーラスシリカ担持白金触媒の合成)
本実施例では、実施例4で合成したメソポーラスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりメソポーラスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例4で合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金錯体0.5gを300℃で2時間、酸素気流下で熱処理することでメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒0.49gを得た。得られたメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、0.95重量%であった。また、TEM観察像により評価し、平均粒子径は2.8nmであった(図1)。
(実施例9.メソポーラスシリカ担持白金触媒の合成)
本実施例では、実施例4で合成したメソポーラスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりメソポーラスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例4で合成したメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金錯体0.5gを300℃で2時間、アルゴン気流下で熱処理することでメソポーラスシリカ(MCM-41)担持白金触媒0.49gを得た。また、TEM観察像により評価し、平均粒子径は1.1nmであった(図2)。
(実施例10.アモルファスシリカ担持白金触媒の合成)
本実施例では、実施例5で合成したアモルファスシリカ担持白金錯体を熱処理することによりアモルファスシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例5で合成したアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金錯体0.5gを用いた以外は、実施例8と同様の操作を行うことによりアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金触媒0.49gを得た。得られたアモルファスシリカ(CARiACT Q-10)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、1.04重量%であった。また、粒子径をTEM観察像により評価し、平均粒子径は1.5nmであった(図3)。
(実施例11.フュームドシリカ担持白金触媒の合成)
本実施例では、実施例6で合成したフュームドシリカ担持白金錯体を熱処理することによりフュームドシリカ担持白金触媒を合成した。
具体的には、実施例6で合成したフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金錯体0.5gを用いた以外は、実施例8と同様の操作を行うことによりフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金触媒0.48gを得た。得られたフュームドシリカ(Aerosil 200)担持白金触媒に担持された白金量は、ICP-OES法により求め、1.04重量%であった。
(実施例12.メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体を用いたオレフィンのヒドロシリル化反応)
本実施例では、実施例2で合成したメチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体を用いてオレフィンであるノルボルネンのヒドロシリル化について検証した。
Figure 0007638511000021
具体的には、ジメチルフェニルシラン0.16g、ノルボルネン0.11g、基準物質である1,3,5-トリメチルベンゼン0.1mLを含有するトルエン溶液4mLに対して、メチレンビス(ジアルコキシシラノレート)配位子を有する白金錯体0.02gを含有するトルエン溶液0.20mLを加え、室温にて20分混合攪拌した。そののち、ガスクロマトグラフ分析により生成物の収率(67%)を求めた。
(実施例13~15.担持白金錯体を用いたオレフィンのヒドロシリル化反応)
本実施例では、実施例4~6で合成した各担持白金錯体(メソポーラスシリカ担持白金錯体、アモルファスシリカ担持白金錯体、および、フュームドシリカ担持白金錯体)を用いてオレフィンであるノルボルネンのヒドロシリル化反応について検証した。
Figure 0007638511000022
真空下、80℃で1時間乾燥処理を行った実施例4~6で合成した担持金属錯体のいずれかをフラスコへ45mg測りとり、トルエンを1mL加えた。そこに、ジメチルフェニルシラン0.16g、ノルボルネン0.11g、基準物質である1,3,5-トリメチルベンゼン0.1mLを含有するトルエン溶液4mLを加え、室温にて20分混合攪拌した。そののち、ガスクロマトグラフ分析によりヒドロシリル化生成物の収率を求めた(表1)。
Figure 0007638511000023
(実施例16~18.シリカ担持白金触媒を用いたオレフィンの水素化反応)
本実施例では、実施例8、10、11で合成した各担持白金触媒(メソポーラスシリカ担持白金触媒、アモルファスシリカ担持白金触媒、および、フュームドシリカ担持白金触媒)を用いてオレフィンであるシクロオクテンの水素化反応について検証した。
Figure 0007638511000024
50mL容積のシュレンク管に、実施例8、10、11で得られた担持白金触媒を20mg量り取り、40mL・min-1の水素気流下、300℃で1時間還元処理を行った。シュレンク管を室温まで冷やした後、アルゴンガスでシュレンク管内部を置換し、イソプロパノール4mL、シクロオクテン0.32mL(2.45mmol)および基準物質としてメシチレン0.12mLを加えた。その後、シュレンク管内部を水素ガスで置換し、水素1気圧下、25℃で攪拌した。所定時間経過後に反応溶液をサンプリングし、ガスクロマトグラフ分析によりシクロオクタンの収率を求めた(図4;(1)メソポーラスシリカ担持白金触媒、(2)アモルファスシリカ担持白金触媒、および、(3)フュームドシリカ担持白金触媒をそれぞれ示す)。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物。
    Figure 0007638511000025
    (式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
  2. 請求項1に記載の化合物を製造する方法であって、
    (i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させて、下記一般式(2)で示される化合物を得る工程と
    Figure 0007638511000026
    (式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
    (ii)前記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程と
    を含む、製造方法。
  3. 下記一般式(2)で示される化合物を製造する方法であって、
    Figure 0007638511000027
    (式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
    (i)メチレンビス(トリクロロシラン)と金属アルコキシドとを反応させる工程を含む、製造方法
  4. 請求項1に記載の化合物を製造する方法であって、
    (ii)下記一般式(2)で示される化合物を塩基存在下、水と反応させる工程
    を含む、製造方法。
    Figure 0007638511000028
    (式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を示す)
  5. 下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体。
    Figure 0007638511000029
    (式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を表す。)
  6. 請求項5に記載の金属錯体を製造する方法であって、
    (a)請求項1に記載の化合物と塩基とを反応させる工程と
    (b)上記工程(a)で得られた化合物と金属錯体LnMX(式中Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数を表す。Xはハロゲンまたは水酸基を表す)とを反応させる工程
    を含む、金属錯体の製造方法。
  7. 下記一般式(3)または(3)’で示される金属錯体の有機溶媒溶液を無機酸化物に接触させることにより、前記金属錯体を無機酸化物に担持させる工程
    を含む、担持金属錯体の製造方法。
    Figure 0007638511000030
    (式(3)および(3)’中、Mは白金またはロジウム、Lは一酸化炭素、オレフィン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、N-複素環式カルベン化合物、ニトリル化合物、イソシアニド化合物から選ばれる配位子、nは配位子の個数を表す0から2の整数、R~Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルコキシ基を表す。
  8. 請求項5に記載の金属錯体と無機酸化物とを含む担持金属錯体であり、前記金属錯体が前記無機酸化物上に担持されている、担持金属錯体。
  9. 請求項8に記載の担持金属錯体を80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含む担持金属触媒の製造方法。
  10. 請求項8に記載の担持金属錯体を熱処理してなる、担持金属触媒。
  11. 請求項8に記載の担持金属錯体を酸素、空気、窒素、アルゴンまたは水素雰囲気下において80℃~600℃の温度で熱処理する工程を含むオレフィン類の水素化反応用触媒の製造方法。
  12. 請求項5に記載の金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒。
  13. 請求項8に記載の担持金属錯体からなるオレフィン類のヒドロシリル化反応用触媒。
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