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JP7638685B2 - 捺染用インクセット - Google Patents
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JP7638685B2 - 捺染用インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、捺染用インクセットに関する。
捺染とは布地や繊維製品等の布帛に模様をつける着色方法であり、スクリーン捺染法、ローラー捺染法が広く用いられているが、近年、インクジェット記録方式を利用したインクジェット捺染方法が検討されている。
インクジェット捺染方法は、インク液滴を吐出させ、布帛に付着させて印刷を行う方法であり、その機構が比較的簡便で、高精細、高品位な画像を形成できるという利点がある。また、従来法とは異なり版作成の必要がないため、手早く階調性に優れた画像を形成できるので、少量多品種生産対応でき、さらに画像として必要な少量のインクしか使用しないため廃液が少ない等、環境的にも優れている。
一方、捺染用インクとしては、染料インクと顔料インクがある。顔料インクは、耐光性が高く、後処理が不要という点で、染料インクに比べ簡便である。
ここで、布帛に白を表現する場合や、カラー着色時のカラーインクの発色性を向上させるための下地として、白色インクが用いられるが、この場合、布帛の色を白インクで十分に隠蔽する必要がある。
白色顔料インクを用いて捺染する場合、通常、インクの布帛への浸透を抑制するために、前処理剤を塗布した布帛を用いる。前処理剤塗布により、インクを布帛表面で凝集させ、布帛へのインクの浸透を抑制し、隠蔽性を高めることができる。しかし、インク塗膜と布帛との密着性が弱くなり、十分な摩擦堅牢性が得られないという問題がある。
分散安定性、隠蔽性を兼ね備えた白色インクを用いるインクジェット記録方法として、特許文献1には、記録媒体に表面処理用液体組成物とインクとを付着させる記録方法であって、前記液体組成物がノニオン性樹脂粒子と多価金属塩とを含み、前記インクが、揮発性溶剤、顔料、及び樹脂粒子を含有し、前記顔料が球状の無機中空粒子であるインクである記録方法が開示されている。
特開2019-178322号公報
白色顔料インクを用いてインクジェット捺染する場合、上記のとおり摩擦堅牢性の向上に課題があるが、その他にも、スクリーン捺染法等に比べて布帛に付着する色材量が少ないため、白色度が低下する傾向がある。また、得られる捺染物には良好な風合い、低タック性(ベタつきのなさ)が求められる。
本発明は、水系白インクを用いたインクジェット捺染であっても、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得ることができる捺染用インクセットを提供することを課題とする。
本発明者は、エチレン-酢酸ビニル樹脂を含有する捺染用前処理剤と、酸化チタン及び特定の水溶性有機溶媒を含有する水系白インクとを組み合わせることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、水系白インクと捺染用前処理剤を含む捺染用インクセットであって、捺染用前処理剤がエチレン-酢酸ビニル樹脂と水を含有し、
水系白インクが、酸化チタンと、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒とを含有する、捺染用インクセットを提供する。
本発明によれば、水系白インクを用いたインクジェット捺染であっても、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得ることができる捺染用インクセットを提供することができる。
[捺染用インクセット]
本発明の捺染用インクセットは、水系白インクと捺染用前処理剤を含む捺染用インクセットであって、捺染用前処理剤がエチレン-酢酸ビニル樹脂と水を含有し、
水系白インクが、酸化チタンと、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒とを含有する。
なお本明細書において、「水系」とは、媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
また、「印捺物」とは、印刷媒体である布帛の表面にインクが印刷されて画像等が形成されたものをいう。
本発明の捺染用インクセットは、インクジェット捺染用として特に有用である。
本発明の捺染用インクセットによれば、水系白インクを用いたインクジェット捺染であっても、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得ることができる。この理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明のインクセットに用いられる捺染用前処理剤は、エチレン-酢酸ビニル樹脂を含有するが、このエチレン-酢酸ビニル樹脂は、分子内で適度な間隔でアセトキシ基を比較的多く有しており、柔軟性と低い弾性率を有するため、布帛との密着性に優れ、風合いを悪化させないと考えられる。また、エチレン-酢酸ビニル樹脂は、印捺物の表面に滑沢性を付与し摩擦堅牢性の向上に寄与すると考えられる。
一方、本発明に係る水系白インクは、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒を含有するが、これらの水溶性有機溶媒は、エチレン-酢酸ビニル樹脂を濡らし易いため、界面密着性が上がり、摩擦堅牢性が向上すると考えられる。
また、水系白インクに含まれる水溶性有機溶媒の含有量を比較的少量にすることができるため、水系白インクが布帛に浸透せず、布帛の表面に留まるため、より隠蔽性が高まると考えられる。
<捺染用前処理剤>
本発明で用いられる捺染用前処理剤(以下、単に「前処理剤」ともいう)は、布帛がインクの吸収性、定着性に劣ることから、これを改善し、インクジェット捺染等において、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得る観点から、捺染の前処理で用いられるものである。前処理剤は、少なくともエチレン-酢酸ビニル樹脂と水を含有する。
〔エチレン-酢酸ビニル樹脂〕
エチレン-酢酸ビニル樹脂は、エチレン単量体及び酢酸ビニル単量体等が共重合して得られる樹脂である。エチレン-酢酸ビニル樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性剤等を乳化分散剤として併用し、エチレン単量体と酢酸ビニル単量体とを乳化重合法により共重合して得ることができる。
本発明に用いられるエチレン-酢酸ビニル樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン単量体由来の構成単位と酢酸ビニル単量体由来の構成単位以外のその他の単量体由来の構成単位を含むことができる。その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸、塩化ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル等が挙げられる。すなわち、本発明に係るエチレン-酢酸ビニル樹脂には、エチレン単量体、酢酸ビニル単量体の他、その他の単量体を構成単位として含む樹脂も包含される。
本発明に係るエチレン-酢酸ビニル樹脂において、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得る観点から、酢酸ビニル由来の構成単位の含有量は、好ましくは10質量%以上45質量%以下、より好ましくは15質量%以上40質量%以下、更に好ましくは20質量%以上35質量%以下である。
エチレン-酢酸ビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、摩擦堅牢性等に優れた印捺物を得る観点から、好ましくは-35℃以上、より好ましくは-30℃以上、更に好ましくは-25℃以上、より更に好ましくは-20℃以上であり、そして、好ましくは10℃以下、より好ましくは8℃以下、更に好ましくは5℃以下、より更に好ましくは2℃以下である。
エチレン-酢酸ビニル樹脂のガラス転移温度は、該樹脂を構成する単量体の含有量によって調整できる。一般に、エチレン単量体の含有量が増加するとエチレン-酢酸ビニル樹脂のガラス転移温度は下がり、酢酸ビニル単量体の含有量が増加するとエチレン-酢酸ビニル樹脂のガラス転移温度は上がる。
ガラス転移温度は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の質量比率から算出することができる。
1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+・・・+(W/Tg
+W+・・・W=1
前記Fox式中、Tgは重合体のガラス転移温度であり、Tg、Tg、・・・、Tgは各重合単量体のガラス転移温度である。温度の単位はKである。また、W、W、・・・、Wは各重合単量体の質量比率を表わす。
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度としては、例えば、Polymer Handbook Third Edition (Wiley-Interscience 1989) 記載の値を用いることができる。
なお、比較例で使用したスチレン-アクリル樹脂のガラス転移温度も、Fox式により算出することができる。
エチレン-酢酸ビニル樹脂は微粒子状であることが好ましく、エマルジョン状態で用いられることがより好ましい。
エチレン-酢酸ビニル樹脂が微粒子状である場合、前処理剤の保存安定性、及び良好な風合い、低タック性、白色度を維持する観点から、その平均粒径は、好ましくは1.2μm以下、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.9μm以下であり、そして、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.4μm以上、より更に好ましくは0.5μm以上である。
エチレン-酢酸ビニル樹脂の平均粒径は、レーザー粒子解析システム等を用いて測定することができる。また、エチレン-酢酸ビニル樹脂の平均粒径は、乳化重合時の乳化剤の濃度、重合開始剤の濃度等により調節することができる。
本発明で用いられる前処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン-酢酸ビニル樹脂以外の公知の樹脂をバインダーとして含有することができる。かかる公知の樹脂としては、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、前処理剤は、必要に応じて、公知の各種添加剤、例えば、分散剤、定着剤、カチオン化剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤等を含有することができる。
エチレン-酢酸ビニル樹脂は市販品を用いることもできる。その市販品例としては、住化ケムテックス株式会社製の商品名:スミカフレックス201HQ、305HQ、355HQ、400HQ、401HQ、408HQ、410HQ、450HQ、455HQ、456HQ、460HQ、465HQ、467HQ、7400HQ、470HQ、510HQ、755等、三井化学株式会社製の商品名:ケミパールシリーズ、株式会社クラレ製の商品名:パンフレックスシリーズ等が挙げられる。
また、エチレン-酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸系樹脂の市販品例としては、住化ケムテックス株式会社製の商品名:スミカフレックス900HL、950HQ、951HQ等が挙げられ、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル系樹脂の市販品例としては、住化ケムテックス株式会社製の商品名:スミカフレックス850HQ等が挙げられる。
前処理剤中のエチレン-酢酸ビニル樹脂の含有量は、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得る観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下である。
〔多価金属塩〕
本発明に用いる前処理剤は、カチオン濃度を上げ、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、更に多価金属塩を含有することが好ましい。多価金属塩は、インク中の酸化チタンを凝集させるインク凝集剤として作用すると共に、定着用樹脂を析出させて、布帛上にインクの強固な被膜を形成させることができると考えられる。
多価金属塩としては、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物等の塩が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンを効果的に凝集させ、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、アルミニウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選ばれる1種以上が好ましく、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩がより好ましく、カルシウム塩が更に好ましい。多価金属塩がカルシウム塩であると、前処理剤の安定性が増し、かつ、前処理後の布帛を熱プレスした場合にも布帛表面に塩が析出しにくくなる。
カルシウム塩の具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム等が挙げられるが、水溶性を確保し、前処理剤の跡残りを低減する観点から、硝酸カルシウム及び塩化カルシウムから選ばれる1種以上が好ましく、塩化カルシウムがより好ましい。
多価金属塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前処理剤中の多価金属塩の配合量(含有量)は、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
また、前処理剤中のカチオン濃度(金属イオンの含有量)は、白色度、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、前処理剤中、好ましくは0.2mmol/g以上、より好ましくは0.3mmol/g以上、そして、好ましくは8mmol/g以下、より好ましくは7mmol/g以下、更に好ましくは6mmol/g以下である。
前処理剤中のカチオン濃度は、下記式により算出される。
前処理剤中のカチオン濃度(mmol/g)=前処理剤1g中のカチオン基のモル数×価数
前処理剤中の水の配合量(含有量)は、風合いと白色度を両立できるようにする観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは96%以下である。
<水系白インク>
本発明で用いられる水系白インクは、酸化チタンと、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒とを含有する。
〔酸化チタン〕
酸化チタンとしては、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンを用いることができるが、安定性及び入手性の観点から、ルチル型二酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは、分散安定性を向上させる観点から、表面処理されたものが好ましい。酸化チタンの表面処理としては、特に限定されず、有機物での表面処理や無機物での表面処理のいずれの処理が施されていてもよい。光触媒能を抑制する観点から、無機物で表面処理された酸化チタンが好ましく、シリカとアルミナで表面処理された二酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンの平均一次粒径は、白色度の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上であり、そして、再分散性の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは350nm以下、より更に好ましくは300nm以下である。
なお、酸化チタンの平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により測定される。
ルチル型二酸化チタンの市販品例としては、石原産業株式会社製の商品名:タイペークR、CR、PFシリーズ、堺化学工業株式会社製の商品名:Rシリーズ、テイカ株式会社製の商品名:JR、MTシリーズ、チタン工業株式会社製の商品名:KURONOS KRシリーズ、富士チタン工業株式会社製の商品名:TRシリーズ等が挙げられる。
酸化チタンは、分散剤でインク中に分散状態で保持されていることが好ましい。酸化チタンを分散させるための分散剤としてはポリマー分散剤が好ましい。
水系白インク中での酸化チタン及びポリマー分散剤の存在形態としては、酸化チタンを含有するポリマー粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)の形態がより好ましい。
顔料含有ポリマー粒子とは、ポリマー分散剤が酸化チタンを包含した形態の粒子、ポリマー分散剤と酸化チタンからなる粒子の表面に酸化チタンの一部が露出している形態の粒子、ポリマー分散剤が酸化チタンの一部に吸着している形態の粒子のいずれか又はこれらの混合物を意味する。これらの中では、ポリマー分散剤の酸化チタンが内包されている形態がより好ましい。
〔酸化チタンを含有するポリマー粒子〕
酸化チタンを含有するポリマー粒子(顔料含有ポリマー粒子)を構成するポリマー(以下、「ポリマーa」ともいう)は、少なくとも酸化チタン分散能を有するものであれば特に制限はないが、水不溶性ポリマーが好ましい。
本発明においてポリマーaの「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることを意味する。ポリマーaがアニオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
ポリマーaは、酸化チタンの分散安定性等を向上させる観点から、イオン性基を有するものが好ましい。該イオン性基としては、酸基が好ましい。
ポリマーaの分子中に含まれるイオン性基は、イオン性モノマー(a-1)によりポリマー骨格に導入されてなるものが好ましい。すなわち、ポリマーaは、イオン性モノマー(a-1)由来の構成単位を含むものが好ましい。
ポリマーaとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられるが、ビニル系樹脂が好ましい。
前記のビニル系樹脂は、(a-1)成分由来の構成単位に加えて、疎水性モノマー(a-2)由来の構成単位やノニオン性モノマー(a-3)由来の構成単位を含むことができる。
〔イオン性モノマー(a-1)〕
イオン性モノマー(a-1)としては、アニオン性モノマーが好ましく、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー等が挙げられる。これらの中では、カルボン酸モノマーがより好ましい。
カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸である。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
〔疎水性モノマー(a-2)〕
疎水性モノマー(a-2)の「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。
疎水性モノマー(a-2)としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー、片末端に重合性官能基を有するマクロモノマー等が挙げられる。
(a-2)成分の具体例としては、特開2018-83938号公報の段落〔0020〕~〔0022〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、炭素数1以上22以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましい。
〔ノニオン性モノマー(a-3)〕
ノニオン性モノマー(a-3)は、水や水溶性有機溶媒との親和性が高いモノマーであり、例えば水酸基やポリアルキレングリコール鎖を含むモノマーである。
(a-3)成分の具体例としては、特開2018-83938号公報の段落〔0018〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(n=1~30)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましい。
商業的に入手しうるノニオン性モノマー(a-3)の具体例としては、新中村化学工業株式会社製のNKエステルMシリーズ、日油株式会社のブレンマーシリーズ等が挙げられる。
(ビニル系樹脂中における各構成単位の含有量)
ビビニル系樹脂中における(a-1)~(a-3)成分由来の構成単位の含有量は、酸化チタンの分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a-1)成分の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
(a-2)成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
(a-3)成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
(ビニル系樹脂の製造)
ビニル系樹脂は、原料モノマー(a)を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることにより製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上5以下のケトン類、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられ、これらの1種以上と水との混合溶媒も好ましい。
重合の際には、公知の重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは80℃以下である。重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
ビニル系樹脂の重量平均分子量は、酸化チタンへの吸着性及び分散安定性を向上させる観点から、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、更に好ましくは4000以上であり、そして、好ましくは5万以下、より好ましくは2万以下である。重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
〔顔料含有ポリマー粒子の製造〕
顔料含有ポリマー粒子は、顔料水分散体として下記の工程Iを有する方法により、効率的に製造することができる。
工程I:酸化チタン、ポリマーa、及び水を含む顔料混合物を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(以下、「顔料水分散体(i)」ともいう)を得る工程
本発明においては、更に、得られた顔料水分散体(i)に架橋剤を添加し、架橋処理することもできる。
工程Iにおける顔料混合物は、ポリマーaに、酸化チタン、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を加えて混合し、分散処理する方法により得ることが好ましい。
ポリマーaが酸基を有する場合、該酸基の少なくとも一部は、中和剤を用いて中和されていることが好ましい。これにより、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、水系白インクにおける酸化チタンの分散安定性を向上できると考えられる。
中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種アミン等の塩基が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム及びアンモニアである。
また、ポリマーaを予め中和しておいてもよい。
中和剤の使用当量は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、中和前のポリマーaを「ポリマーa’」とする場合、次式によって求めることができる。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{ポリマーa’の酸価(mgKOH/g)×ポリマー(B)の質量(g)}/(56×1,000)]〕×100
工程Iにおける分散処理は、剪断応力による本分散だけで酸化チタン粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な顔料水分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することができる。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンを小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザー、ビーズミルを用いることが好ましい。
工程Iにおいて有機溶媒を用いた場合は、工程Iの後、該有機溶媒を除去することが好ましい。用いる有機溶媒に制限はないが、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール等が好ましく、酸化チタンへの濡れ性、ポリマーaの溶解性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましい。ポリマーaとしてビニル系樹脂を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
有機溶媒の除去は、公知の方法で行うことができる。また、粗大粒子等を除去する目的で、有機溶媒を除去した水分散体を、更に遠心分離した後、液層部分をフィルター等で濾過し、顔料水分散体(i)として得ることが好ましい。
得られる顔料水分散体(i)の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体(I)中の酸化チタンの含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは150nm以上であり、そして、好ましくは500nm以下、より好ましくは450nm以下、更に好ましくは350nm以下である。
顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
〔定着用樹脂〕
本発明に係る水系白インクは、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、定着用樹脂を含有することが好ましい。定着用樹脂は、顔料を含有せず、ポリマー単独で構成されるポリマー粒子である。
定着用樹脂の好適例としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられるが、これらの中ではウレタン樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂としては、カーボネート結合を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂、エステル結合を有するポリエステル系ウレタン樹脂、エーテル結合を有するポリエーテル系ウレタン樹脂等が挙げられるが、得られる印捺物の摩擦堅牢性等を高める観点から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、イソシアネート基、シラノール基等の架橋性基を含有することも好ましい。
定着用樹脂は、エマルジョン状態で使用することが好ましい。
定着用樹脂は、合成することもできるが市販品を用いてもよい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の市販品例としては、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックス150、170、420、460、470、610、700、800等、三洋化成株式会社製のパーマリンUA、ユーコートUX等が挙げられる。
〔水溶性有機溶媒〕
本発明に係る水系白インクは、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得る観点から、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒を含有する。
水溶性有機溶媒は、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上が好ましい。
前記水溶性有機溶媒の沸点は、200℃以上255℃以下である。
本発明に係る水系白インクにおいては、水溶性有機溶媒として、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記水溶性有機溶媒以外のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール等のアルカンジオール、グリセリン等の多価アルコール等を含有することができる。
これらの中では、グリセリン及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上が好ましく、グリセリンとプロピレングリコールを共に含有することがより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明に係る水系白インクは、摩擦堅牢性等を高める観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる1種以上がより好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
(アセチレングリコール系界面活性剤)
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,4-ジメチル-5-ヘキシン-3-オール等のアセチレン系ジオール、及びそれらのエチレンオキシド付加物が挙げられる。
前記エチレンオキシド付加物のエチレンオキシ基(EO)の平均付加モル数の和(n)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品例としては、日信化学工業株式会社製の「サーフィノール」シリーズ、「オルフィン」シリーズ、川研ファインケミカル株式会社製の「アセチレノール」シリーズ等が挙げられる。
(シリコーン系界面活性剤)
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が挙げられるが、上記と同様の観点から、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製のKFシリーズ、日信化学工業株式会社製のシルフェイスSAGシリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKシリーズ等が挙げられる。
本発明に係る水系白インクは、顔料水分散体(i)と、定着用樹脂の水分散液と、水溶性有機溶媒と、必要に応じて、界面活性剤等とを混合することにより、効率的に製造することができる。それらの混合方法に特に制限はない。
また、水系インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加することができる。
(水系白インク中の各成分の含有量)
本発明に係る水系白インクの各成分の含有量は、白色度、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、以下のとおりである。
(酸化チタンの含有量)
白インク中の酸化チタンの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましく15質量%以下である。
(顔料含有ポリマー粒子の含有量)
白インク中の顔料含有ポリマー粒子の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(定着用樹脂の含有量)
白インクが定着用樹脂を含有する場合、その含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
顔料含有ポリマー粒子に対する定着用樹脂の質量比〔定着用樹脂/顔料含有ポリマー粒子〕は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。
白インク中の酸化チタンに対するポリマーの質量比〔ポリマー/酸化チタン〕は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。
なお、本発明に係る水系白インクには、顔料含有ポリマー粒子と定着用樹脂が含まれるため、前記質量比〔ポリマー/酸化チタン〕におけるポリマーの量は、ポリマーaと定着用樹脂の合計量である。
(水溶性有機溶媒の含有量)
白インク中のトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-ピロリドン、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒の合計含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましく15質量%以下である。
(界面活性剤の含有量)
白インク中の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
白インク中のアセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、白インク中のシリコーン系界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
(水の含有量)
白インク中の水の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
(水系白インクの物性)
白インクの25℃における粘度は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上であり、そして、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下である。
白インクの25℃におけるpHは、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.5以下、更に好ましくは10.0以下である。
[捺染方法]
本発明の捺染用インクセットを用いる捺染方法は、下記の工程1及び2を有することが好ましい。
工程1:エチレン-酢酸ビニル樹脂と水を含む捺染用前処理剤を布帛に付着させる工程
工程2:工程1で得られた布帛に水系白インクを付与する工程
工程1と2の間に布帛を乾燥させる工程を設けることが好ましい。
捺染方法としては、インクジェット捺染方法が好ましい。
本発明の捺染方法により、インクジェット捺染であっても、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得ることができる。
(工程1)
工程1において、前処理剤を、布帛の印刷領域に付着させる方法は特に限定されない。例えば、布帛を前処理剤に浸漬する方法、布帛布の全面又は印刷領域に各種塗工機(インクジェット印刷機を含む)で塗布する方法、噴霧する方法等の公知の方法が挙げられる。
印刷媒体である布帛は、従来から使用されているいずれのものでもよい。例えば、綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維からなる布帛、及びこれら繊維の2種以上からなる混紡布帛等が挙げられる。
前処理剤で処理される前の布帛は、顔料等で着色又は染色されていないものであることが好ましい。
前処理剤の布帛への付着量は、白色度の観点から、乾燥後質量で、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、そして、風合いを損なわないようする観点から、好ましくは30g/m以下、より好ましくは20g/m以下である。
工程1の終了後、工程2の開始前には、必要に応じて、前処理剤が付着した布帛を乾燥させる工程を有することが好ましい。布帛を乾燥方法に特に制限はないが、前処理剤の定着性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上で、そして、布帛及び前処理剤の劣化防止の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下で、1分間以上1時間以下の加熱処理を行うことができる。
(工程2)
工程2において、工程1で得られた布帛に水系白インクを付与して印刷する方法に特に制限はないが、インクジェット捺染装置で印刷する方法が好ましい。
例えば、ドロップオンデマンド型のインクジェット捺染装置が挙げられる。このインクジェット捺染装置としては、ヘッドに配設された圧電素子を用いたピエゾ式を採用した装置、ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いたサーマル式を採用した装置等が挙げられるが、ピエゾ式のインクジェット捺染装置がより好ましい。
(インクジェット捺染装置)
ピエゾ式のインクジェット捺染装置は、多数のノズルが、各々圧力室に連通しており、この圧力室の壁面をピエゾ素子で振動させることにより、ノズルからインク液滴を吐出させる。インクジェット捺染装置の印刷条件は以下のとおりである。
印刷ヘッドの印加電圧は、好ましくは5V以上、より好ましくは10V以上であり、そして、好ましくは40V以下、より好ましくは30V以下である。
駆動周波数は、好ましくは2kHz以上、より好ましくは5kHz以上であり、そして、好ましくは60kHz以下、より好ましくは50kHz以下である。
インクの吐出液滴量は、1滴あたり好ましくは1.0pL以上、より好ましくは1.5pL以上であり、そして、好ましくは20pL以下、より好ましくは15pL以下である。
印刷ヘッド解像度は、好ましくは400dpi(ドット/インチ)以上、より好ましくは500dpi以上である。
布帛に対する水系白インクの付与量は、摩擦堅牢性等を向上させる観点から、乾燥後質量(固形分)で、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1.0g/m2以上であり、そして、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは7g/m2以下である。
印刷された布帛は、必要に応じて加熱処理することができる。加熱処理としては、例えば、ヒートプレス法、熱風乾燥法、常圧~高圧スチーム法、及び赤外線(ランプ)によるサーモフィックス法が挙げられる。
加熱処理時の温度は、白インクを効率的に定着・硬化させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下で、30秒間以上30分間程度行うことが好ましい。
加熱処理後は、印捺物を水洗、乾燥することができる。このとき、必要に応じて、未固着の酸化チタンを熱石鹸液等で洗い落とすソーピング処理を行ってもよい。
このようにして、布帛上に、本発明のインクセットによる画像が形成された印捺物を得ることができる。こうして得られた印捺物は、従来のスクリーン捺染で得られる捺染物に劣らない風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性に優れている。
以下の製造例、調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、各物性等の測定方法は以下のとおりである。
(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw)の測定
N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolum Super AW-H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中にポリマー0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC-13HP、PTFE製、0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
(2)顔料水分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS-8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、平均粒径を測定した。測定する粒子の濃度が5×10-3重量%(固形分濃度換算)になるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力し、得られたキュムラント平均粒径を顔料含有ポリマー粒子の平均粒径とした。
(3)顔料水分散体の固形分濃度の測定
30mLのポリプロピレン製容器(φ:40mm、高さ:30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃、ゲージ圧-0.08MPaの環境下で2時間維持して、揮発分を除去し、更に室温(25℃)のデシケーター内で更に15分間放置した後に、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(4)酸化チタンの平均一次粒子径の測定
酸化チタンの平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡「JEM-2100」(日本電子株式会社製)を用いて、画像解析で500個の酸化チタン一次粒子を抽出してその粒子径を測定し、その平均を算出して数平均粒子径とした。なお、酸化チタンに長径と短径がある場合は、長径を用いて算出した。
(5)顔料水分散体、水系インクのpHの測定
pH電極「6337-10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F-71」(株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃における水系インクのpHを測定した。
製造例1(白色顔料水分散体の製造)
2Lのポリ容器に、ポリマー分散剤としてポリアクリル酸(PAA、富士フイルム和光純薬株式会社製、Mw:5000)6g、5N水酸化ナトリウム水溶液4.2g、イオン交換水4.8gを混ぜて溶解させていたもの(ポリマー中和度:50モル%)を投入し、酸化チタン(石原産業株式会社製、C.I.ピグメント・ホワイト6、商品名:タイペークCR-80、ルチル型、Al・Si処理、酸化チタンの平均一次粒子径250nm)300g、水255gを加えて、ジルコニアビーズを1000g添加して、卓上型ポットミル架台(アズワン株式会社)にて8時間分散処理した。金属メッシュを用いてジルコニアビーズを除去し、イオン交換水で固形分濃度を調整して平均粒径328nmの白色顔料含有ポリマー粒子を含む白色顔料水分散体(固形分濃度:53.2%、顔料:52.1%、PAA:1.1%、pH:7.3)を得た。
調製例I-1~I-8(水系白インク1~8の調製)
ガラス製容器に製造例1で得られた白色顔料水分散体を投入し、さらにカーボネート系ウレタン樹脂水系エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス470)、イオン交換水を添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌し、混合物を得た。
得られた混合物を攪拌しながら、表1に示す組成の水溶性有機溶媒、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール465、4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのエチレンオキシド(10モル)付加物、有効分100%)、及びシリコーン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:シルフェイスSAG005、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を添加し、1時間攪拌した。その後、5μmのメンブランフィルター(ザルトリウス社製、商品名:ミニザルトシリンジフィルター)を用いて濾過を行い、表1に示す水系白インク1~8(固形分濃度:23.2%、酸化チタン:12.0%、ポリマー:11.2%(PAA:0.2%、ウレタン樹脂:11.0%)、pH:8.0)を得た。
表1中の白色顔料水分散体、樹脂エマルジョンの量は、固形分量である。
調製例II-1~II-8(前処理剤1~8の調製)
ガラス製容器に、多価金属塩として塩化カルシウム(富士フイルム和光製薬株式会社製)、及びイオン交換水を投入し、マグネチックスターラーで10分間攪拌し混合物を得た。
得られた混合物を攪拌しながら、表2に示すエチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン又はスチレン-アクリル樹脂エマルジョンを表2に示す組成となるように添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して、前処理剤1~8を得た。
なお、表2に示す下記の「スミカフレックス」は、住化ケムテックス株式会社製であり、「LDM7651」はCelanese社製であり、量は固形分量である。
実施例1~13、比較例1~2
調製例I-1~I-8で得られた水系白インク1~8と、調製例II-1~II-8で得られた前処理剤1~8との組み合わせを含むインクセットを用いて、下記(1)に示す方法で印捺物を作製し、下記(2)~(5)に示す方法で摩擦堅牢性、風合い、低タック性、白色度の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)印捺物の作製
布帛(トムス株式会社製、Printstarへビーウェイト、綿100%、黒色TシャツをA4サイズに裁断)に対し、A4サイズあたり10gの塗布量で、前処理剤を均一にスプレー塗布した。スプレー塗布後、160℃の定温乾燥機にて10分間加熱乾燥させた後に、室温23±1℃、相対湿度50±5%の環境で、テキスタイルプリンター(株式会社マスターマインド製、MMP8130、カラー/白インク使用)の白用循環ヘッドに水系白インクを充填した。
印刷モード(黒生地・白インクベース、印刷速度10(1440×1800dpi)、片方向印字)の条件にて、Duty100%のベタ画像を印刷し、印捺物を作製した。得られた印捺物は直ぐに160℃の定温乾燥機にて10分間加熱乾燥させた。
(2)摩擦堅牢性の評価
II型(学振型)摩擦堅牢度試験機(株式会社大栄科学精器製作所、RT-300)を用いて、200gの荷重で100mmの長さを30往復/minの速度で100回往復擦過させた。
試験片は220mm×30mmであり、添付布は黒織物(NASKA生地カラーブロード黒色)を50mm×50mmに切り取ったものを摩擦子に取り付けた。
摩擦試験前後の添付布のLを、分光光度計(X-Rite社製、SpectroEye)を用いて測定し、以下の式に示す変化率ΔLから摩擦堅牢性を評価した。
ΔL=(摩擦試験前の添付布のL/摩擦試験後の添付布のL)×100
ΔL(%)が100%に近いほど摩擦堅牢性がよく、90%以上あれば実用上問題ない
(3)風合いの評価
得られた印捺物の2ヶ所を両手の人差し指と親指でつまみ、上下、前後、左右方向へ両手をそれぞれ逆方向に動かし、下記の評価基準で布帛の風合いを評価した。
評価がB以上あれば、風合いは実用上問題ない。
[評価基準]
A:印刷前後にて布帛の柔らかさに変化がない。
B:印刷前後にてわずかに布帛が硬くなる。
C:印刷前後にて非常に布帛が硬くなる。
(4)低タック性の評価
得られた印捺物の印刷面を利き手の人差し指で触り、下記の評価基準により、そのときのべたつき具合で低タック性を評価した。
評価がB以上あれば、低タック性は実用上問題ない。
[評価基準]
A:べたつきが全くない。
B:べたつきがわずかにある。
C:べたつきがかなりある。
(5)白色度の評価
得られた印捺物の明度Lを、分光光度計(X-Rite社製、SpectroEye)を用いて測定し、白色度を評価した。
が90以上あれば、白色度は実用上問題ない。
表3から、実施例のインクセットを用いて得られた印捺物は、比較例のインクセットを用いて得られた印捺物に比べて、良好な風合い、低タック性、白色度を維持しつつ、摩擦堅牢性が大幅に向上していることが分かる。

Claims (8)

  1. 水系白インクと捺染用前処理剤を含む捺染用インクセットであって、
    捺染用前処理剤がエチレン-酢酸ビニル樹脂と水を含有し、
    水系白インクが、酸化チタンと、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒とを含有する、
    捺染用インクセット。
  2. エチレン-酢酸ビニル樹脂の含有量が、前処理剤中、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項に記載の捺染用インクセット。
  3. エチレン-酢酸ビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)が-35℃以上10℃以下である、請求項1又は2に記載の捺染用インクセット。
  4. トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上の水溶性有機溶媒の合計含有量が、水系白インク中、0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1~のいずれかに記載の捺染用インクセット。
  5. 水溶性有機溶媒が、更にグリセリン及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上を含有する、請求項1~のいずれかに記載の捺染用インクセット。
  6. 酸化チタンが、酸化チタンを含有するポリマー粒子の形態である、請求項1~のいずれかに記載の捺染用インクセット。
  7. 捺染用前処理剤が多価金属塩を含有する、請求項1~のいずれかに記載の捺染用インクセット。
  8. インクジェット捺染用である、請求項1~のいずれかに記載の捺染用インクセット。
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