JP7638717B2 - 不純物除去方法及び鋳塊の製造方法 - Google Patents
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Description
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
当該不純物除去方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金に混入し、除去が困難な不純物を、JIS-A5000系の必須元素であるMg(マグネシウム)を用いて除去することができる。当該不純物除去方法は、アルミニウムのリサイクル過程で除去が困難な金属元素等の不純物を除去することができる。当該不純物除去方法は、JIS-A5000系のアルミニウム合金等で必須元素であるMgを溶湯中に含有させることで不純物の金属間化合物化を促し、生成された金属間化合物を分離することにより、不純物の除去を行うことができる。当該不純物除去方法は、上記金属間化合物を生成させるために、さらなる不純物を添加することを要しない。また、当該不純物除去方法は、後述する分離工程S3を備えるので、Mgの添加量を比較的低く抑えることができる。
上記不純物としては、(1)Fe(鉄)、及び(2)Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Zr(ジルコニウム)、Cr(クロム)のいずれか一方又は両方が挙げられる。上記不純物としては、上記(1)及び上記(2)に含まれる1種又は2種以上の任意の元素を含んでいてよい。上記不純物としてFeを含む場合、分離工程S3で分離される上記金属間化合物はアルミニウム及びFeを含有する。上記不純物としてMn、Co、Ti、V、Zr、Cr又はこれらの組み合わせを含む場合、分離工程S3で分離される上記金属間化合物はアルミニウムと、Mn、Co、Ti、V、Zr、Cr又はこれらの組み合わせとを含有すると考えられる。
Feは、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む溶湯中の不純物元素として最も混入しやすく、かつ除去が困難な元素である。Feは、締結部品、シュレッダー機等から容易に混入する。一方、アルミニウムは酸化しやすい元素であり、鉄鋼業における転炉のような酸化精錬ができないため、Feの除去は困難とされている。当該不純物除去方法は、アルミニウム及びMgを含む溶湯(Al-Mg系溶湯)からFeを効率よく除去することができるので、アルミニウムの展伸材から展伸材への水平リサイクルを容易に実現できる。
Mn、Ti、V、Zr及びCrは、アルミニウム合金の添加元素や、結晶粒微細化材、地金等に含まれる元素として混入する。また、Coは、電池に含まれる元素であり、スクラップから混入され得る。当該不純物除去方法によると、上記不純物としてMn、Co、Ti、V、Zr、Cr又はこれらの組み合わせが含まれる場合、保持工程S2によって、アルミニウムと、Mn、Co、Ti、V、Zr、Cr又はこれらの組み合わせとを含有する金属間化合物を容易に生成することができると考えられる。さらに、当該不純物除去方法によると、分離工程S3で、Mn、Co、Ti、V、Zr、Cr又はこれらの組み合わせを含む不純物をAl-Mg系溶湯から効率よく除去することができると考えられる。
混合工程S1では、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金と上記不純物とを含む溶湯にMg又はMg合金を添加する。より詳しくは、混合工程S1では、アルミニウムスクラップを溶解した溶湯にMg又はMg合金を添加する。
(a)液相線温度が下がることで上記溶湯を低温で保持でき、金属間化合物の生成が促進される。
(b)Mgが不純物元素の活量を増加させることで、金属間化合物の生成が促進される。
(c)Mgが直接不純物元素と反応して金属間化合物を生成する。
保持工程S2では、混合工程S1後の溶湯を固液共存状態で保持する。当該不純物除去方法は、保持工程S2で、上記溶湯を固液共存状態で保持することで、後述の分離工程S3で上記不純物を含む金属間化合物を十分に分離することができる。当該不純物除去方法は、上記溶湯を固液共存状態で保持すればよいので、上記溶湯中におけるMgの含有量を比較的小さくすることができ、上記不純物が除去された後の溶湯を希釈する際のアルミニウム地金(工業用純アルミニウム、Mg濃度の低いアルミスクラップ等)の添加量を低減することができる。
分離工程S3では、上記金属間化合物を上記固相アルミニウムと共に(上記固相アルミニウムとまとめて)、上記溶湯中で又は上記溶湯から分離する。
分離工程S3で上記溶湯を攪拌する場合、例えば図2に示すように、固液共存温度域で炉Y内に保持された溶湯Xを撹拌機10によって攪拌する。攪拌手段としては、α-アルミニウムデンドライトDを破壊できる程度の攪拌力が得られる限り特に限定されるものではなく、例えば棒や攪拌翼を用いた機械的攪拌、スターラを用いた電磁攪拌、不活性ガスを吹き込むことによる攪拌等が挙げられる(図2では、攪拌翼を用いた機械的攪拌を図示している)。
分離工程S3で上記溶湯を圧搾する場合、例えば図3に示すように、固液共存温度域で炉Y内に保持された溶湯Xを液面側から圧搾板20で押圧する。圧搾板20としては、例えば板厚方向に溶湯Xを通過可能な複数の孔(不図示)を有するものを用いることができる。
分離工程S3によって不純物が分離され、さらにこの不純物が除去された後の溶湯は、希釈してアルミニウムのリサイクルに供することができる。より詳しくは、分離工程S3で不純物を分離した後に回収された液相アルミニウムは、希釈することでアルミニウムのリサイクルに供することができる。上述の混合工程S1、保持工程S2及び分離工程S3に、希釈工程を加えたアルミニウムのリサイクル方法は、本発明の一実施形態である。上記希釈工程では、分離工程S3を経て上記不純物が除去された溶湯を、工業用純アルミニウム又はMg濃度の低いアルミスクラップ(例えばJIS-A1000系)と混合して、JISで規定されるA5000系(Al-Mg系合金)のMg基準濃度まで希釈する。
当該不純物除去方法は、分離工程S3で溶湯Xを固液共存温度域内において攪拌又は圧搾することによって、α-アルミニウムデンドライトD等の固相アルミニウムと金属間化合物Iとを溶湯X中で又は溶湯Xから効率的に分離することができる。より詳しく説明すると、固液共存温度域内において、溶湯Xには固相アルミニウム(α-アルミニウム)、液相アルミニウム及び金属間化合物Iが略均一に分散している。この状態において、金属間化合物Iは、α-アルミニウムデンドライト間の隙間に捕捉され、又は上述の粒状体の内部に取り込まれており、除去が困難である。これに対し、当該不純物除去方法は、分離工程S3でα-アルミニウムデンドライトD及び上記粒状体を破壊することで、金属間化合物Iをα-アルミニウムデンドライトD及び上記粒状体と共に溶湯X中で又は溶湯Xから効率的に分離することができる。従って、当該不純物除去方法によると、アルミニウム又はアルミニウム合金中に混入し、除去が困難な不純物を効率よく除去することができる。
次に、当該不純物除去方法を用いた鋳塊の製造方法について説明する。当該鋳塊の製造方法は、図4に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、Mg又はMg合金を混合する工程(混合工程S1)と、混合工程S1後の溶湯の温度を固液共存温度域内に保持する工程(保持工程S2)と、保持工程S2で生成された固相アルミニウムと上記不純物を含む金属間化合物とを上記固液共存温度域において上記溶湯中で又は上記溶湯から分離する工程(分離工程S3)と、分離工程S3後に、上記溶湯を凝固させる工程(凝固工程S4)とを備える。当該鋳塊の製造方法は、分離工程S3で、上記溶湯を攪拌又は圧搾する。当該鋳塊の製造方法における混合工程S1、保持工程S2及び分離工程S3は、図1の不純物除去方法における混合工程S1、保持工程S2及び分離工程S3と同様の手順で行うことができる。そのため、混合工程S1、保持工程S2及び分離工程S3についての説明は省略する。
凝固工程S4は、分離工程S3を経て不純物が除去された後の溶湯を凝固させてもよく、分離工程S3によって不純物が偏在している溶湯を凝固させてもよい。また、凝固工程S4では、分離工程S3後に希釈された溶湯を凝固させてもよい。凝固工程S4で、希釈された溶湯を凝固させる場合、当該鋳塊の製造方法は、分離工程S3と凝固工程S4との間に上述の希釈工程を備えていてもよい。
当該鋳塊の製造方法は、分離工程S3で上記固相アルミニウムと上記不純物を含む金属間化合物とを上記溶湯中で効率的に分離することで、得られる鋳塊から不純物を容易に除去することができる。また、当該鋳塊の製造方法は、分離工程S3で上記固相アルミニウムと上記不純物を含む金属間化合物とを上記溶湯中から効率的に分離することで、不純物の含有量が低減された鋳塊を製造することができる。
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
[No.1]
不純物を含むアルミニウム合金と純Mgとを黒鉛坩堝に溶解し、不純物としてFeを含み、その他の元素としてSiを含む溶湯を調製した(混合工程)。この溶湯における各種元素の含有量を表1に示す。その後、この溶湯を641℃まで炉冷し、この溶湯に窒化ケイ素製の攪拌棒を挿入して溶湯の攪拌を開始した。この攪拌を行いつつ、溶湯を602℃以下まで炉冷した後、固液共存温度域内に保持した(保持工程)。この溶湯を固液共存温度域内に保持した状態で、上記攪拌を継続し、上記溶湯が591℃に達した時点で攪拌棒を引き抜き、上記溶湯を590℃の固液共存温度で15分間静置した(分離工程)。この分離工程によって、α-アルミニウムデンドライトとFeを含む金属間化合物とが、上記溶湯の底部側に分離された。この分離工程後に、炉の電源を切って上記溶湯を凝固させることで鋳塊を得た。この鋳塊の上部から一部を採取し、ICP発光分光分析法にてFeの濃度を分析した。この分析結果を表1に示す。
不純物を含むアルミニウム合金と純Mgとを黒鉛坩堝に溶解し、不純物としてFeを含み、その他の元素としてSiを含む溶湯を調製した(混合工程)。この溶湯における各種元素の含有量を表1に示す。その後、この溶湯を固液共存温度である594℃まで炉冷し(保持工程)、坩堝を炉から出したうえ、鉄製の治具を用いて上記溶湯を液面側から速やかに圧搾した(分離工程)。この分離工程によって、α-アルミニウムデンドライトとFeを含む金属間化合物とが、上記溶湯の底部側に分離された。この分離工程後に、上記溶湯を空冷凝固させることで鋳塊を得た。なお、上記分離工程で用いた治具は、上記溶湯に挿入された状態で鋳包んだ。この鋳塊の治具の上部側の一部を採取し、ICP発光分光分析法にてFeの濃度を分析した。この分析結果を表1に示す。
不純物を含むアルミニウム合金と純Mgとを黒鉛坩堝に溶解し、不純物としてMnを含み、その他の元素としてSi、Cu及びZnを含む溶湯を調製した(混合工程)。この溶湯における各種元素の含有量を表1に示す。その後、この溶湯を固液共存温度である593℃まで炉冷し(保持工程)、坩堝を炉から出したうえ、鉄製の治具を用いて上記溶湯を液面側から速やかに圧搾した(分離工程)。この分離工程によって、α-アルミニウムデンドライトとMnを含む金属間化合物とが、上記溶湯の底部側に分離された。この分離工程後に、上記溶湯を空冷凝固させることで鋳塊を得た。なお、上記分離工程で用いた治具は、上記溶湯に挿入された状態で鋳包んだ。この鋳塊の治具の上部側の一部を採取し、ICP発光分光分析法にてMnの濃度を分析した。この分析結果を表1に示す。
[No.4]
不純物を含むアルミニウム合金と純Mgとを黒鉛坩堝に溶解し、不純物としてFeを含み、その他の元素としてSiを含む溶湯を調製した(混合工程)。この溶湯における各種元素の含有量を表1に示す。その後、この溶湯を固液共存温度である600℃まで空冷したうえで15分間静置した。その後、炉の電源を切って上記溶湯を凝固させることで鋳塊を得た。この鋳塊の上部から一部を採取し、ICP発光分光分析法にてFeの濃度を分析した。この分析結果を表1に示す。
不純物を含むアルミニウム合金と純Mgとを黒鉛坩堝に溶解し、不純物としてFeを含み、その他の元素としてSiを含む溶湯を調製した(混合工程)。この溶湯における各種元素の含有量を表1に示す。その後、この溶湯を固液共存温度よりも高い651℃まで炉冷し、この温度を保持しつつ上記溶湯に窒化ケイ素製の攪拌棒を挿入して溶湯を攪拌した。この攪拌後、上記溶湯を651℃で15分間保持した。その後、炉の電源を切って上記溶湯を凝固させることで鋳塊を得た。この鋳塊の上部から一部を採取し、ICP発光分光分析法にてFeの濃度を分析した。この分析結果を表1に示す。
Al-X二元系平衡状態図(但し、X=Mn)から、700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取った。次に、計算ソフト「FactSage8.0」を用い、Al-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
X=Coとした以外はNo.6と同様にして、Al-X二元系平衡状態図から700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取り、さらにAl-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
X=Tiとした以外はNo.6と同様にして、Al-X二元系平衡状態図から700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取り、さらにAl-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
X=Vとした以外はNo.6と同様にして、Al-X二元系平衡状態図から700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取り、さらにAl-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
X=Zrとした以外はNo.6と同様にして、Al-X二元系平衡状態図から700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取り、さらにAl-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
X=Crとした以外はNo.6と同様にして、Al-X二元系平衡状態図から700℃での液相アルミニウム中におけるXの溶解度[質量%]を読み取り、さらにAl-10質量%Mg-1質量%Xについて、固液共存温度である590℃での平衡状態における液相アルミニウム中のXの濃度[質量%]を計算した。この結果を表2に示す。
20 圧搾板
D α-アルミニウムデンドライト
I 金属間化合物
X 溶湯
Y 炉
Claims (4)
- アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、Mg又はMg合金を混合する工程と、
上記混合工程後の溶湯の温度を固液共存温度域内に保持する工程と、
上記保持工程で生成された固相アルミニウムと上記不純物を含む金属間化合物とを上記固液共存温度域において上記溶湯中で偏在させ、又は上記溶湯から除去する分離工程と
を備え、
上記分離工程で、上記溶湯を攪拌及び静置し、又は上記溶湯を圧搾する不純物除去方法。 - 上記混合工程後の上記溶湯におけるMgの含有量が5質量%以上である請求項1に記載の不純物除去方法。
- 上記固相アルミニウムがα-アルミニウムデンドライトを含んでおり、
上記分離工程で、上記α-アルミニウムデンドライトを破壊する請求項1又は請求項2に記載の不純物除去方法。 - アルミニウム又はアルミニウム合金と不純物とを含む溶湯に、Mg又はMg合金を混合する工程と、
上記混合工程後の溶湯の温度を固液共存温度域内に保持する工程と、
上記保持工程で生成された固相アルミニウムと上記不純物を含む金属間化合物とを上記固液共存温度域において上記溶湯中で偏在させ、又は上記溶湯から除去する分離工程と、
上記分離工程後に、上記溶湯を凝固させる工程と
を備え、
上記分離工程で、上記溶湯を攪拌及び静置し、又は上記溶湯を圧搾する鋳塊の製造方法。
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