以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている面を前面23として前後方向8が定義され、複合機10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は互いに直交している。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(液体吐出装置の一例)は、概ね直方体形状の筐体14を有する。筐体14の下部に、プリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で用紙12(図2参照)の片面に画像記録する機能を有している。なお、複合機10は、用紙12の両面に画像記録するものであってもよい。筐体14の上部に、操作部17が設けられている。操作部17は、画像記録の指示や各種設定のために操作されるボタンや、各種情報が表示される液晶ディスプレイなどによって構成されている。本実施形態において、操作部17は、ボタン及び液晶ディスプレイの双方の機能を有するタッチパネルによって構成されている。
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送トレイ20、給送部16、外ガイド部材18、内ガイド部材19、搬送ローラ対59、排出ローラ対44、プラテン42、記録部24、エンコーダ35(図4参照)、ロータリエンコーダ75(図4参照)、コントローラ130(図4参照)、及びメモリ140(図4参照)を備えている。これらは、筐体14の内部に配置されている。筐体14の内部には、複合機10の状態を検知して、検知結果に応じた信号を出力する様々な状態センサ(不図示)が配置されている。
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の前面23に、開口13が形成されている。給送トレイ20は、前後方向8へ移動することによって、開口13を介して筐体14に対して挿入及び抜去可能である。給送トレイ20は、筐体14に装着された給送位置(図1及び図2に示される位置)と、筐体14から抜き出された非給送位置とに移動可能である。給送トレイ20は、筐体14に対して後方へ挿入されることによって給送位置へ移動し、筐体14に対して前方へ引き出されることによって非給送位置へ移動する。
給送トレイ20は、上方が開放された箱形状の部材であり、用紙12を収容する。図2に示されるように、給送トレイ20の底板22に、用紙12が重ねられた状態で支持される。給送トレイ20の前部の上方に、排出トレイ21が配置されている。記録部24によって画像記録されて排出された用紙12が、排出トレイ21の上面に支持される。給送トレイ20が給送位置にあるとき、給送トレイ20に支持された用紙12が搬送路65へ給送可能である。
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、記録部24の下方かつ給送トレイ20の底板22の上方に配置されている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、駆動伝達機構27、及び軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で回転可能に支持されている。給送アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向へ回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20又は給送トレイ20に支持された用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給送用モータ102(図4参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送位置の給送トレイ20の底板22に支持された用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最上の用紙12が、搬送路65へ給送される。なお、駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、上方へ向かいつつ後方から前方へUターンするように延びている。直線部34は、概ね前後方向8に沿って延びている。
湾曲部33は、所定の間隔を隔てて互いに対向する外ガイド部材18と内ガイド部材19とによって形成されている。外ガイド部材18及び内ガイド部材19は、左右方向9へ延設されている。直線部34は、記録部24が配置されている位置では所定の間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。
給送トレイ20に支持された用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33を搬送されて、搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された用紙12は、直線部34を記録部24へ向けて前方へ搬送される。記録部24の直下に到達した用紙12は、記録部24により画像記録される。画像記録された用紙12は、直線部34を前方へ搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、用紙12は、図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2に示されるように、直線部34に、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における搬送ローラ対59よりも搬送向き15の下流に、排出ローラ対44が配置されている。
搬送ローラ対59は、搬送ローラ60と、搬送ローラ60の下方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。ピンチローラ61は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって搬送ローラ60に押圧されている。搬送ローラ対59は、用紙12を挟持可能である。
排出ローラ対44は、排出ローラ62と、排出ローラ62の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。拍車ローラ63は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって排出ローラ62へ向けて押圧されている。排出ローラ対44は、用紙12を挟持可能である。
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ101(図4参照)から駆動力を付与されて回転する。搬送ローラ対59に用紙12が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15へ搬送され、プラテン42上に搬送される。排出ローラ対44に用紙12が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15へ搬送され、排出トレイ21上に排出される。なお、搬送用モータ101と給送用モータ102として、共通のモータが用いられてもよい。この場合、当該共通のモータから各ローラへの駆動伝達経路が切替可能に構成される。
搬送用モータ101、搬送ローラ対59、及び排出ローラ対44は、左右方向9(走査方向の一例)と直交する向き(搬送向きの一例)に用紙12(シートの一例)を搬送する搬送機構の一例である。なお、用紙12を搬送させるものは、上述したようなローラ対に限らない。例えば、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44の代わりに、搬送ベルトが配置されていてもよい。
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、搬送路65の直線部34に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向している。プラテン42は、搬送路65を搬送される用紙12を下方から支持する。搬送路65を搬送される用紙12は、左右方向9において、プラテン42の右端及び左端の間の領域(図3に示される媒体通過領域70)を通過する。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、プラテン42の上方にプラテン42と対向して配置されている。記録部24は、キャリッジ40と、ヘッド38と、貯留部80とを備えている。
キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された上流側ガイドレール56及び下流側ガイドレール57によって搬送向き15と直交する左右方向9に沿って移動可能に支持されている。
上流側ガイドレール56は、ヘッド38よりも搬送向き15の上流に配置されている。下流側ガイドレール57は、ヘッド38よりも搬送向き15の下流に配置されている。上流側ガイドレール56及び下流側ガイドレール57は、左右方向9において搬送路65の直線部34の外方に配置された一対のサイドフレーム(不図示)によって支持されている。キャリッジ40は、キャリッジ駆動用モータ103(図4参照)から駆動力を付与されることにより左右方向9に移動する。
図3に示されるように、キャリッジ40の最も左の位置(最も左に移動したときの位置)は媒体通過領域70よりも左側にあり、キャリッジ40の最も右の位置(最も右に移動したときの位置)は媒体通過領域70よりも右側にある。キャリッジ40は、左右方向9において媒体通過領域70よりも左側の位置と媒体通過領域70よりも右側の位置との間で移動可能である。なお、キャリッジ40の移動方向は、左右方向9に限らず、搬送向き15と交差する方向であればよい。
上流側ガイドレール56又は下流側ガイドレール57には、エンコーダ35(図4参照)が配置されている。エンコーダ35は、左右方向9に延びたエンコーダストリップと、キャリッジ40におけるエンコーダストリップに対向する箇所に設けられた光学センサとを備えている。エンコーダストリップには、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、左右方向9に等ピッチで交互に配置されたパターンが記されている。光学センサによって透光部及び遮断部が検出されることによってパルス信号が検出される。パルス信号は、キャリッジ40の左右方向9の位置に応じた信号である。パルス信号は、コントローラ130(図4参照)に出力される。コントローラ130は、エンコーダ35が出力するパルス信号に基づいてキャリッジ40の移動速度を求める。エンコーダ35は、キャリッジ40の移動速度を検知する検知部の一例である。
ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。ヘッド38の下面68は、下方へ露出しており、プラテン42と対向している。ヘッド38は、複数のノズル39と、インク流路37と、圧電素子45(図4参照)とを備えている。
複数のノズル39は、ヘッド38の下面68に開口されている。インク流路37は、貯留部80と複数のノズル39とを繋ぐ。圧電素子45は、インク流路37の一部を変形させることでノズル39から下方へインク滴を吐出させる。圧電素子45は、コントローラ130(図4参照)により給電されることで動作する。これにより、ノズル39は、インク(液体の一例)を吐出する。
貯留部80は、キャリッジ40に据え付けられた状態でキャリッジ40に支持されている。貯留部80は、インク90が貯留される内部空間81を有している。本実施形態では、記録部24は、1個の貯留部80を備えている。この1個の貯留部80には、黒色のインク90が貯留されている。なお、貯留部80に貯留されるインク90の色は黒色に限らない。
貯留部80は、ヘッド38より上方に位置している。なお、本実施形態では、貯留部80の全てがヘッド38より上方に位置しているが、貯留部80の一部がヘッド38より上方に位置しており、貯留部80の当該一部以外の部分がヘッド38以下の高さに位置していてもよい。貯留部80の内部空間81は、インク流路37を介して複数のノズル39と連通している。これにより、内部空間81からノズル39へインク90が供給される。
貯留部80の上壁82には、内部空間81へインク90を注入するための注入口(不図示)が設けられている。インク90を注入しないときには、注入口は蓋(不図示)で閉じられている。インク90を注入するときには、蓋が注入口から外され、ボトル(不図示)から注入口を介して内部空間81へインク90が注入される。なお、貯留部80には、内部空間81と外部とを連通する大気開放口(不図示)や、内部空間81の圧力を制御する背圧機構(不図示)が設けられていてもよい。
[ロータリエンコーダ75]
図4に示されるロータリエンコーダ75は、搬送用モータ101(図4参照)の軸に設けられて搬送用モータ101と共に回転するエンコーダディスクと光学センサとからなる。エンコーダディスクには、光が透過される透過部と光が透過されない非透過部とが円周方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。エンコーダディスクが回転すると、光学センサによって透過部と非透過部とが検出される毎にパルス信号が生成される。生成されたパルス信号は、コントローラ130(図4参照)に出力される。コントローラ130は、当該パルス信号に基づいて、搬送用モータ101の回転量を算出する。なお、ロータリエンコーダ75は、搬送用モータ101以外、例えば給送用モータ102や搬送ローラ60に設けられていてもよい。
[コントローラ130及びメモリ140]
以下、図4を参照しつつ、コントローラ130及びメモリ140の構成が説明される。コントローラ130は、複合機10の全体動作を制御するものである。コントローラ130は、CPU131及びASIC135を備えている。メモリ140は、ROM132、RAM133、及びEEPROM134を備えている。CPU131、ASIC135、ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、内部バス137によって接続されている。
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号などを一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグなどが格納される。
ASIC135には、搬送用モータ101、給送用モータ102、及びキャリッジ駆動用モータ103が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、CPU131から取得した駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。つまり、コントローラ130は、給送用モータ102を制御して、給送部16に用紙12を給送させる。また、コントローラ130は、搬送用モータ101を制御して、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に用紙12を搬送させる。また、コントローラ130は、キャリッジ駆動用モータ103を制御して、キャリッジ40を移動させる。
また、ASIC135には、ロータリエンコーダ75の光学センサが接続されている。コントローラ130は、ロータリエンコーダ75の光学センサから受け取った電気信号に基づいて、搬送用モータ101の回転量を算出する。また、ASIC135には、エンコーダ35が接続されている。コントローラ130は、エンコーダ35から受け取ったパルス信号に基づいて、キャリッジ40の位置や移動速度を認識する。
また、ASIC135には、圧電素子45が接続されている。圧電素子45は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子45への給電を制御し、複数のノズル39から選択的にインク滴を吐出させる。また、ASIC135には、状態センサ(不図示)が接続されている。コントローラ130は、状態センサから受け取った信号に基づいて、以下に示す画像記録や、異常処理などを行う。
コントローラ130は、用紙12に画像記録する際、搬送処理と印刷処理とを交互に実行する。搬送処理は、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に所定の改行量だけ用紙12を搬送させる処理である。コントローラ130は、搬送用モータ101を制御することによって、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に搬送処理を実行させる。印刷処理は、キャリッジ40を左右方向9に沿って移動させながら、圧電素子45への給電を制御して、ヘッド38にノズル39からインク滴を吐出させる処理である。印刷処理の間、キャリッジ40は、図3に示される媒体通過領域70内に位置しており、プラテン42と対向している。
コントローラ130は、今回の搬送処理と次回の搬送処理との間、用紙12を一定期間停止させる。そして、用紙12が停止している間に印刷処理を実行する。つまり、コントローラ130は、印刷処理において、キャリッジ40を右向き又は左向きに移動させながら、ノズル39からインク滴を吐出させる1回のパスを実行する。これにより、用紙12に対して1パス分の画像記録が実行される。
コントローラ130は、搬送処理と印刷処理とを交互に繰り返し実行することによって、用紙12の画像記録可能な全領域に、画像記録することが可能である。つまり、コントローラ130は、複数回のパスで1枚の用紙12に画像記録させる。
なお、コントローラ130は、上記に限らず、CPU131のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC135のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU131とASIC135とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、コントローラ130は、1個のCPU131が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU131が処理を分担して行うものであってもよい。また、コントローラ130は、1個のASIC135が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC135が処理を分担して行うものであってもよい。
[移動部材150]
以下、図5から図8を参照しつつ、用紙12のジャムを検知するために設けられる移動部材150について説明される。図5及び図7に示されるように、下流側ガイドレール57は、底面171、左側面172、後側面173、右側面174、及び前側面175を有する。移動部材150は、これら5枚の面によって規定される空間及びその下の空間に跨がって設けられる。
移動部材150は、左側部151、中間部152、右側部153、及び3個の用紙検出部154を有する。左側部151、中間部152、及び右側部153は、この順序で左右方向9に沿って左から右に順に並んでいる。左側部151は媒体通過領域70(図3参照)よりも左に配置され、右側部153は媒体通過領域70よりも右に配置される。移動部材150は、移動部材150の左右方向9の中央を通り、左右方向9に直交する面を基準として面対称な形状を有する。
中間部152は、左右方向9の長さが前後方向8の長さよりも長い板状形状を有する。左側部151及び右側部153は、直方体の一部を斜めに切り落とした形状を有する。左側部151及び右側部153の前後方向8の長さは、中間部152の前後方向8の長さと同じである。左側部151及び右側部153の上下方向7の高さは、傾斜面159の位置を除いて、用紙検出部154の水平部(後述)の高さと同じである。
左側部151には、左後部分の高さを他の部分よりも低くするための傾斜面159が形成される。傾斜面159が形成された位置では、左側部151の上下方向7の高さは、前後方向8に沿って後へ行くほど低くなり、左右方向9に沿って左へ行くほど低くなる。右側部153にも、同様の傾斜面159が形成される。これらの傾斜面159は、左右方向9の中央に向かってキャリッジ40に近づくように傾斜する。
3個の用紙検出部154は、同じ板状形状を有し、左右方向9に離れた位置に、互いに平行に設けられる。1番目の用紙検出部154は、左側部151と中間部152との境界に設けられる。2番目の用紙検出部154は、中間部152の中央に設けられる。3番目の用紙検出部154は、中間部152と右側部153との境界に設けられる。図6には、移動部材150のうち、右側部153と3番目の用紙検出部154とだけが記載されている。
各用紙検出部154は、初期状態において下流側ガイドレール57の底面171よりも上にある水平部155と、初期状態において下流側ガイドレール57の底面171よりも下にある突出部156とを有する(図6参照)。水平部155は、前後方向8の長さが上下方向7の高さよりも長い概ね長方形の板状形状を有する。水平部155には、切り欠き157と貫通孔158とが形成される。突出部156は、水平部155から下方に突出する台形の板状形状を有する。
移動部材150は、下流側ガイドレール57の上記5枚の面によって規定される空間及びその下の空間に、長手方向が左右方向9に一致するように配置される。移動部材150の近傍には、左右方向9に延伸する軸161及びストッパ162が設けられる。軸161は、各用紙検出部154に形成された貫通孔158を貫通する。ストッパ162は、移動部材150の上方近傍に配置される。軸161及びストッパ162の両端は、下流側ガイドレール57の左側面172及び右側面174に固着される。ストッパ162は、移動部材150の上向きの回動を制限するために設けられる。
下流側ガイドレール57の底面171には、用紙検出部154の位置に対応して、突出部156を挿入するための挿入口176が形成される。本実施形態では、底面171には、3個の挿入口176が形成される。挿入口176の前後方向8のサイズは、突出部156の前後方向8のサイズよりも大きく、水平部155の小さい方の前後方向8のサイズよりも小さい。このため、突出部156は挿入口176に挿入されるが、水平部155は挿入口176に挿入されない。したがって、初期状態において、水平部155は下流側ガイドレール57の底面171よりも上にあり、突出部156は下流側ガイドレール57の底面171よりも下にある。
移動部材150は、軸161とは固定されておらず、全体として軸161を中心として回動可能である。なお、水平部155に切り欠き157が形成される理由は、この回動を可能にするためである。移動部材150は、用紙12のジャムが生じていないときに(以下、「通常時」と称される)用紙12が突出部156と当接せず、用紙12のジャムが生じたときに(以下、「ジャム時」と称される)用紙12が突出部156と当接する位置に配置される。
また、移動部材150は、ヘッド38よりも搬送向き15の下流に位置しており、軸161から搬送向き15に沿ってヘッド38に近づく向き(搬送向き15の下流へ向かう向き)に延出している。軸161は、移動部材150においてヘッド38から遠い側(搬送向き15の下流側)に位置する。
図7に示されるように、通常時には、用紙12は、搬送路65上で撓むことなく平面状態を保って搬送向き15に搬送される。このとき、用紙12は、移動部材150の突出部156と当接しない。移動部材150は、水平部155の下面が下流側ガイドレール57の底面171の上面と当接する位置にある。
一方、図8に示されるように、用紙12が排出ローラ対44以降に正しく搬送されずに、ジャムが生じたときには、用紙12は搬送路65上でヘッド38に向かって上向きに撓む。このとき、用紙12は移動部材150の突出部156と当接し、移動部材150は軸161を中心として回動する。移動部材150は、最大で水平部155がストッパ162と当接するまで回動する。移動部材150は、所定以上に回動すると、左右方向9に移動するキャリッジ40の当接部41と当接する。このとき、キャリッジ40に抵抗が生じ、キャリッジ40の移動速度が変化するので、キャリッジ40の移動速度が許容範囲を超えたときに、用紙12のジャムが検知可能となる。
移動部材150は、軸161を中心として、図7に示される位置と図8に示される位置との間で回動する。移動部材150の位置は、移動部材150がキャリッジ40及びヘッド38と当接しない第1位置と、移動部材150がキャリッジ40と当接する第2位置とに分けられる。図7に示される位置は第1位置の一例であり、図8に示される位置は第2位置の一例である。
移動部材150はジャム時に撓んだ用紙12と当接し、第2位置の移動部材150はキャリッジ40とも当接する。移動部材150において、キャリッジ40と当接する部分は第1当接部と称され、用紙12と当接する部分は第2当接部と称される。ジャムは、主としてキャリッジ40が媒体通過領域70外にあるときに生じ、キャリッジ40が媒体通過領域70内にあるときにも生じ得る。
傾斜面159は、媒体通過領域70に進入しようとするキャリッジ40を、左側部151の左側面160及び右側部153の右側面(移動部材150の左右方向9の中央を通り、左右方向9に直交する面を基準として、左側部151の左側面160と対称な位置にある、不図示の側面)と当接させないために設けられている。
キャリッジ40が媒体通過領域70よりも左にあるときにジャムが生じ、移動部材150が第1位置から第2位置に移動した場合、媒体通過領域70に左から進入しようとするキャリッジ40は、左側部151の傾斜面159と当接する。この場合、左側部151(より詳細には、左側部151の傾斜面159)が第1当接部として機能する。
キャリッジ40が媒体通過領域70よりも右にあるときにジャムが生じ、移動部材150が第1位置から第2位置に移動した場合、媒体通過領域70に右から進入しようとするキャリッジ40は、右側部153の傾斜面159と当接する。この場合、右側部153(より詳細には、右側部153の傾斜面159)が第1当接部として機能する。
キャリッジ40が媒体通過領域70内にあるときにジャムが生じ、移動部材150が第1位置から第2位置に移動した場合、媒体通過領域70内を移動しているキャリッジ40は、中間部152の上面と当接する。この場合、中間部152(より詳細には、中間部152の上面)が、第1当接部として機能する。
これらの第1当接部は、移動部材150の他の部分よりも高い摩擦係数を有するように構成されてもよい。例えば、第1当接部の表面に小さい凹凸が形成されていてもよく、第1当接部の表面にゴムなどが張られていてもよい。また、キャリッジ40のうち第1当接部と当接する部分が、キャリッジ40の他の部分よりも高い摩擦係数を有するように形成されていてもよい。
移動部材150の3個の突出部156は、ヘッド38へ向かって撓んだ用紙12と当接する第2当接部として機能する。移動部材150では、複数の第2当接部が左右方向9に並んでいる。
このように移動部材150は、キャリッジ40及びヘッド38と当接しない第1位置、及びキャリッジ40と当接する第2位置に移動可能であり、ジャム時に、ヘッド38に向かって撓んだ用紙12によって、第1位置から第2位置に移動する。
[コントローラ130による画像記録制御]
上述のように構成されたプリンタ部11では、コントローラ130によって、用紙12が給送されて、給送された用紙12に画像記録される一連の画像記録制御が実行される。以下、図9に示されるフローチャートを参照しつつ、コントローラ130による画像記録制御が説明される。
画像記録制御が実行されていないとき、キャリッジ40は、左右方向9において媒体通過領域70の外部に位置しており(この位置は、メンテナンス位置と称される)、プラテン42と対向していない。
複合機10の操作部17(図1参照)や複合機10と接続された外部機器などから、印刷コマンドがコントローラ130へ送られる。印刷コマンドは、画像記録制御を開始する旨のコマンドと、用紙12のサイズに関する情報と、用紙12へ画像記録される印刷データとを含んでいる。
コントローラ130は、印刷コマンドを取得すると(S10:Yes)、給送トレイ20に支持された用紙12の給送を実行する(S20)。
ステップS20において、コントローラ130は、給送用モータ102を駆動させる。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送路65へ給送する。また、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動させる。これにより、給送ローラ25によって搬送路65へ給送された用紙12の先端が搬送ローラ対59へ到達したときに、搬送ローラ対59が用紙12を搬送向き15に搬送する。
次に、コントローラ130は、キャリッジ駆動用モータ103を駆動させて、キャリッジ40をメンテナンス位置から開始位置へ移動させる。開始位置は、印刷処理(S30)が実行されるときのキャリッジ40の移動開始位置であり、印刷データに基づいて決定される。ステップS20において、用紙12の給送動作と、キャリッジ40の移動動作とは、並行して実行される。
次に、コントローラ130は印刷処理を実行する(S30)。ステップS30の印刷処理において、コントローラ130は、1回のパスを実行する。つまり、コントローラ130は、キャリッジ40を開始位置から移動させながら、ノズル39からインク滴を吐出させる。なお、ステップS20においてメンテナンス位置から移動を開始したキャリッジ40は開始位置で停止することなく、そのまま印刷処理のために移動を続けてもよい。もちろん、キャリッジ40は、開始位置で一旦停止してもよい。
次に、コントローラ130は、印刷コマンドに含まれる用紙12のサイズに関する情報や印刷データに基づいて、現在の用紙12への画像記録が終了したか否かを判断する(S40)。
ステップS40において、現在の用紙12への画像記録が終了していない場合(S40:No)、搬送処理が実行される(S50)。ステップS50の搬送処理において、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動させて、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に用紙12を所定の改行量だけ搬送させる。その後、コントローラ130の制御は、ステップS30へ進む。
ステップS40において、現在の用紙12への画像記録が終了した場合(S40:Yes)、コントローラ130は、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に、用紙12を搬送向き15へ搬送させて、排出トレイ21へ排出させる(S60)。
次に、コントローラ130は、印刷コマンドに含まれる画像データに未だ用紙12に記録されていない画像データがあるか否か、すなわち、次ページの画像記録があるか否かを判断する(S70)。
次ページの画像記録がある場合(S70:Yes)、コントローラ130の制御は、ステップS20へ進む。この場合、コントローラ130は、後続の用紙12を給送トレイ20から搬送路65へ給送する(S20)。なお、後続の用紙12の給送(S20)は、先行の用紙12の排出(S60)と並行して実行されてもよい。次ページの画像記録がない場合(S70:No)、コントローラ130は、一連の画像記録制御を終了する。
なお、ここでは、コントローラ130が正常に画像記録制御を行う場合について説明したが、コントローラ130は、画像記録制御を行いながら、異常を検出する処理と、異常を検出した時の処理(いずれも不図示)とを実行してもよい。
図9に示すステップS20及びS30では、コントローラ130は、キャリッジ40を左右方向9に移動させる。コントローラ130は、ステップS20及びS30を実行するときには、図10に示すジャム検出処理を繰り返し実行する。
図10に示すジャム検出処理において、コントローラ130は、まず、エンコーダ35が出力したパルス信号を受け取る(S110)。次に、コントローラ130は、ステップS110で受け取ったパルス信号に基づき、キャリッジ40の移動速度を求める(S120)。次に、コントローラ130は、ステップS120で求めたキャリッジ40の移動速度が許容範囲を超えたかを判定する(S130)。ジャム時には、キャリッジ40は第1位置から第2位置に移動した移動部材150と当接する。このとき、左右方向9へ移動するキャリッジ40に抵抗が生じるので、ジャム時のキャリッジ40の移動速度は、通常時のキャリッジ40の移動速度から変化する(一般に低下する)。その結果、ジャム時のキャリッジ40の移動速度は、予め定められた許容範囲を超えることがある。
コントローラ130は、キャリッジ40の移動速度は許容範囲を超えなかったと判定したことに応じて(S130:No)、通常時と判断して、ジャム検出処理を正常終了する。コントローラ130は、キャリッジ40の移動速度は許容範囲を超えたと判定したことに応じて(S130:Yes)、ジャム時と判断して、キャリッジ40を停止し(S140)、ジャム検出処理を異常終了する。この場合、図9に示すステップS20又はS30は異常終了し、画像記録制御はその時点で中断される。
このようにコントローラ130は、ジャム検出処理において、エンコーダ35が出力するパルス信号に基づいてキャリッジ40の移動速度が許容範囲を超えたかを判定し、キャリッジ40の移動速度が許容範囲を超えたと判定したことに応じて、キャリッジ40を停止する。
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、用紙12が撓まずに搬送機構により搬送されるとき、第1位置の移動部材150と用紙12とは当接しない。用紙12がヘッド38へ向かって撓むと、撓んだ用紙12によって移動部材150が第1位置から第2位置へ移動する。左右方向9へ移動するキャリッジ40は、第2位置の移動部材150と当接する。これにより左右方向9へ移動するキャリッジ40に抵抗が生じて、用紙12のジャムが検知可能となる。
また、コントローラ130は、図10に示すジャム検出処理を実行する。したがって、第2位置の移動部材150が当接してキャリッジ40の移動速度が許容範囲を超えると、キャリッジ40が停止されるので、ヘッド38が用紙12に接触する可能性を低減できる。
また、キャリッジ40と当接する第1当接部は、左右方向9において用紙12が搬送される媒体通過領域70の外側に位置する。用紙12が撓むと、媒体通過領域70の外側において第1当接部とキャリッジ40とが当接するので、媒体通過領域70にキャリッジ40が進入する前に用紙12のジャムが検知可能となる。
また、第1当接部は傾斜面159を有するので、キャリッジ40が左右方向9に移動するに伴って、傾斜面159による摩擦抵抗が大きくなる。また、ヘッド38へ向かって撓んだ用紙12と当接する第2当接部が、左右方向9に複数が並んでいるので、多様なサイズの用紙12が第2当接部と当接し得る。
[変形例]
上記実施形態では、第2位置の移動部材150はキャリッジ40と当接することとしたが(図8参照)、第2位置の移動部材150はヘッド38と当接することとしてもよい。ヘッド38はキャリッジ40と共に左右方向9に移動するので、この構成でも上記実施形態と同じ効果が得られる。複合機10では、第1位置の移動部材150はキャリッジ40及びヘッド38と当接せず、第2位置の移動部材150はキャリッジ40又はヘッド38と当接すればよい。傾斜面159は、左右方向9の中央に向かってヘッド38に近づくように傾斜すればよい。
上記実施形態では、移動部材150は、図5及び図6に示す形状を有し、図5及び図7に示す位置に配置されることとしたが、移動部材150の形状および位置は、ヘッド38に向かって撓んだ用紙12によって、キャリッジ40及びヘッド38と当接しない第1位置からキャリッジ40又はヘッド38と当接する第2位置に移動する限り任意でよい。
例えば、移動部材150は、図11に示されるように、ヘッド38よりも搬送向きの上流に設けられていてもよい。図11に示す変形例でも、移動部材150は、左右方向9に沿った軸161周りの回動により第1位置及び第2位置に移動し、軸161から搬送向き15に沿ってヘッド38に近づく向き(搬送向き15の上流へ向かう向き)に延出している。軸161は、移動部材150においてヘッド38から遠い側(搬送向き15の上流側)に位置する。なお、ストッパ163は、移動部材150の下向きの回動を制限するために設けられている。
上記実施形態では、移動部材150の3個の突出部156が、ヘッド38へ向かって撓んだ用紙12と当接する第2当接部として機能することとしたが、第2当接部は、図12に示されるように、左右方向9に沿った軸212周りに回転可能な拍車211であってもよい。この場合、軸212は突出部156の先端に形成された貫通孔(不図示)に挿入され、拍車211は軸212周りに回転可能に取り付けられる。図12に示す変形例によれば、用紙12と移動部材150とが当接する部分の面積を小さくしながら、用紙12のジャムを検知できる。
上記実施形態では、プリンタ部11には1個の移動部材150が設けられることとしたが、プリンタ部11には、図13に示されるように、複数(ここでは3個)の移動部材221~223が設けられることとしてもよい。図13に示す3個の移動部材221~223は、上記実施形態に係る移動部材150(図5参照)に用紙検出部154を1個追加し、中間部152を左側部151に近い位置と右側部153に近い位置とで3個に分割することに得られたものである。3個の移動部材221~223は、左右方向9に並んでおり、各々が独立して、キャリッジ40及びヘッド38と当接しない第1位置、及びキャリッジ40と当接する第2位置に移動可能である。図13に示す変形例によれば、移動部材221~223による用紙12への負荷が軽減されるので、撓んだ用紙12により移動部材221~223が第2位置へ移動しやすい。
上記実施形態では、移動部材150の左側部151及び右側部153は傾斜面159を有することとしたが、図14に示されるように、移動部材230の左側部151及び右側部153は傾斜面を有しなくてもよい。
この変形例では、キャリッジ40が媒体通過領域70よりも左にあるときにジャムが生じ、移動部材150が第1位置から第2位置に移動した場合、媒体通過領域70に左から進入しようとするキャリッジ40は、左側部151の左側面160と当接する。この場合、左側部151(より詳細には、左側部151の左側面160)が第1当接部として機能する。
キャリッジ40が媒体通過領域70よりも右にあるときにジャムが生じ、移動部材150が第1位置から第2位置に移動した場合、媒体通過領域70に右から進入しようとするキャリッジ40は、右側部153の右側面(不図示)と当接する。この場合、右側部153(より詳細には、右側部153の右側面)が第1当接部として機能する。
上記実施形態では、貯留部80はキャリッジ40に支持されていたが、貯留部80はキャリッジ40に支持されていなくてもよい。例えば、貯留部80は、複合機10におけるキャリッジ40とは別の箇所に配置されていてもよい(図15参照)。この場合、貯留部80とヘッド38とはチューブ241などによって接続されており、貯留部80に貯留されたインクは、チューブ241などを介してヘッド38へ供給される。
上記実施形態では、貯留部80は、キャリッジ40に据え付けられており、注入口からインク90が注入されることによってインク90が補充されることとした。しかし、貯留部80は、このような構成に限らない。例えば、貯留部80は、キャリッジ40に着脱可能なカートリッジであってもよい。この場合、カートリッジに貯留されたインクが少なくなる、あるいは無くなると、新しいカートリッジと取り換えられる。
上記実施形態では、記録部24には貯留部80が1個だけ設けられていたが、記録部24には複数の貯留部80が設けられていてもよい。例えば、図16に示されるように、記録部24は、4つの貯留部80C、80M、80Y、80Bを備えていてもよい。
貯留部80Cには、シアンのインク(不図示)が貯留されている。貯留部80Mには、マゼンタのインク(不図示)が貯留されている。貯留部80Yには、イエローのインク(不図示)が貯留されている。貯留部80Bには、ブラックのインク(不図示)が貯留されている。貯留部80C、80M、80Y、80Bは、左右方向9に並んで配置されている。なお、貯留部80C、80M、80Y、80Bは、左右方向9以外、例えば前後方向8に並んで配置されていてもよい。また、貯留部80C、80M、80Y、80Bの配列順序は、図16に示された順序に限らない。また、各貯留部80C、80M、80Y、80Bの大きさは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。