以下、本発明の一実施形態に係る天井下地用部材、天井構造、建築物および建築物の施工方法について図面に基づいて説明する。
本実施形態では、図1の紙面の法線方向を第1の方向Xとし、第1の方向Xに対して水平方向に直交する方向を第2の方向Yとする。第1の方向Xのうち、図1の紙面の奥行き方向を+X方向、手前方向を-X方向とし、第2の方向Yのうち、図1の右方向を+Y方向、左方向を-Y方向とする。
図1は本実施形態に係る建築物の第1の方向から見た断面図の模式図であり、図2は図1の一点鎖線IIで囲んだ部分の拡大断面図である。図3は、図1のIII-III線での拡大断面図である。図4は図1に示す建築物の下屋部の天井構造を下から見上げた斜視図であり、図5は図4に示す天井下地用部材の分解斜視図である。
図1に示すように、建築物1は、屋根の下に1階空間の形成された下屋部1aと、屋根の下に1階空間および2階空間の形成された総2階部1bと、を有する2階建ての住宅であり、建築物1の室内全体を包むように設けられた気密ライン2を有する。気密ライン2は、下屋部1aにおける天井構造30、総2階部1bにおける2階の天井構造1b1、建築物1の部屋の外周を取り囲む下屋部1aの壁体50および総2階部1bの2階の壁体60等の壁体、ならびに1階の床1cのそれぞれに設けられた気密シート等の気密部材が接続されることによって構成される。
建築物1は、構造躯体と、構造躯体に取り付けられた付設部材と、を有する。
構造躯体は、図1~図3に示すように、下屋部1aの天井構造30の上部で第1の方向Xに延びる複数の梁(図1および図2においては2本の梁3a、3bのみを示す)と、天井構造30の上部で第2の方向Yに延びる複数の梁(図3においては1本の梁3cのみを示す)と、を有する。梁3aは、下屋部1aの壁体50上で第1の方向Xに延びている。梁3bは、下屋部1aと総二階部1bとの境界部分(総2階部1bの2階の壁体60の下方)で第1の方向Xに延びるとともに梁3aと第2の方向Yに対向する。図示を省略するが、梁3aと梁3bとの間には、第1の方向Xに延びる少なくとも1本の梁が設けられている。図3に示すように、梁3cは、梁3aと梁3bとを接続するように第2の方向Yに延びている。以下では、梁3a~3cおよび図示を省略した梁を総称して梁3という。梁3は、H形鋼により構成されている。なお、梁3は、後述する吊り部材4を接続可能であれば、H形鋼以外の部材(例えば角材)により構成されていてもよい。
付設部材は、図1~図3に示すように、下屋部1aの天井構造30と、下屋部1aの壁体50と、総2階部1bにおける2階の壁体60を有する。下屋部1aの壁体50は、図1、図2に示す第1の方向Xに延びるX部分50aと、図3に示す第2の方向Yに延びるY部分50bと、を有する。
天井構造30は、図2および図4に示すように、複数の梁3から吊り下げられた複数の吊り部材4と、第1の方向Xに延びるとともに、第2の方向Yに離間して配置され、吊り部材4によりそれぞれ吊持された複数の天井下地用部材10と、天井下地用部材10の下部に取り付けられた野縁31と、天井下地用部材10の間に亘って設けられた下地間気密部材14と、一方の天井下地用部材10から他方の天井下地用部材10の反対側に延びるように設けられた複数の側方気密部材15と、梁3b側(+Y方向側)の側方気密部材15の端部から上方に延びるように設けられた梁側気密シート16と、野縁31の下面に設けられた天井板材32と、天井下地用部材10、下地間気密部材14および側方気密部材15の上に設けられた断熱材35と、を有する。
吊り部材4は、図2に示すように、下屋部1aと総2階部1bとの境界部分の梁3bおよび梁3aと梁3bとの間の図示しない梁3に取り付けられている。なお、下地間気密部材14は、図2において図示されている吊り部材4と図示しない吊り部材4との間に設けられた気密部材を含み、側方気密部材15は、図示しない吊り部材4から壁体50まで延びる気密部材および図示されている吊り部材4から梁側気密シート16まで延びる気密部材を含む。
吊り部材4は、図2、図5に示すように、表面に雄ネジが形成された吊り棒4aと、吊り棒4aに取り付け可能な雌ネジが形成され、吊り棒4aに螺合された2個の固定部材4bと、梁3bの下側フランジに取り付けられ、吊り棒4aの上端を支持する支持部材4cと、を有する。なお、支持部材4cは、梁3bの上側フランジに取り付けてもよい。
天井下地用部材10は、図5に示すように、第1の方向Xに延びる野縁受け11と、野縁受け11の上面11b1に設けられた下地用気密部材12と、野縁受け11と野縁31とを連結するための野縁固定部材13と、を有する。
野縁受け11は、天板11bと、底板11cと、天板11bと底板11cとを接続する側板11dと、を有する。また、野縁受け11は、吊り部材4を接続可能であり、吊り部材4を接続するために複数の孔11a(被接続部)が形成された上面11b1を有する。具体的に、天板11bには、天板11bを上下方向に貫通する複数の孔11aが形成されている。吊り棒4aは、孔11aを通じて天板11bの上から天板11bの下まで延び、天板11bの上に設けられた固定部材4bと、天板11bの下に設けられた固定部材4bとの間で天板11bが挟持されることよって、吊り棒4aは野縁受け11に対して固定されている。天板11bと底板11cは、第2の方向Yのうち+Y方向側の端部で側板11dによって接続される。底板11cには、野縁固定部材13が取り付けられている。
下地用気密部材12は、野縁受け11の上面11b1に接着された被覆部12aと、被覆部12aから第1の方向Xと直交する第2の方向Yの両側に延びるとともに被覆部12aに沿って第1の方向Xに延びる延出部12bと、を有する。
下地用気密部材12は、気密性を有する部材であり、例えば発泡性のシートからなる。被覆部12aの野縁受け11に接着される側の面には、接着層12a2が設けられている。被覆部12aを野縁受け11に接着する前には接着層12a2は剥離紙12dによって覆われている。被覆部12aは、剥離紙12dが剥がされた状態で野縁受け11に接着されている。
被覆部12aは、野縁受け11の上面11b1の複数の孔11aを塞ぎ、かつ野縁受け11の上面11b1の全体を覆うように接着層12a2を介して野縁受け11の上面11b1に接着されている。被覆部12aにおける野縁受け11の孔11aの上の部分から吊り棒4aの端部を作業者が押し込んだときに、孔11aに連通する貫通孔12a1を形成することができるように被覆部12aの材質および厚みが設定されている。被覆部12aは、例えば材質をポリエチレン発泡体とし、厚さを1~4mmとすることが好ましい。
図5に示すように、天井下地用部材10の吊り部材4で吊持する部分において、被覆部12aには、野縁受け11の上面11b1の孔11aに連通する貫通孔12a1が形成されている。また、被覆部12aは、野縁受け11の天板11bに密着された状態で、固定部材4bにより挟持されている。これにより、被覆部12aと天板11bとの間の気体の流通が規制される。
貫通孔12a1は、野縁受け11に下地用気密部材12を取り付けた天井下地用部材10を建築物1の施工現場に搬入する前にあらかじめ形成しておいてもよく、建築物1の施工現場で形成してもよい。被覆部12aの吊り部材4で吊持されない孔11aに対向する部分では貫通孔12a1は形成されず、被覆部12aによって孔11aを覆った状態に維持される。
下地間気密部材14、側方気密部材15、および梁側気密シート16は、いずれも気密性を有する部材であり、例えば、軟質樹脂からなるシートである。下地間気密部材14、側方気密部材15、および梁側気密シート16は、いずれも同じ材質のシートで構成することができる。
図4に示すように、下地間気密部材14は、第2の方向Yに並ぶ2本の天井下地用部材10の間に設けられている。側方気密部材15は、図4の-Y方向側の天井下地用部材10から壁体50側(-Y方向)に延びるもの(以下、-Y側方気密部材15Aという)と、図4の+Y方向側の天井下地用部材10から壁体60側(+Y方向)に延びるもの(以下、+Y側方気密部材15Bという)と、を有する。
具体的に、図2に示すように、-Y側方気密部材15Aは、-Y方向に延びて壁体50の後述する接続部材55に接続されている。また、+Y側方気密部材15Bは、下屋部1aと総2階部1bとの境界部分の梁3bよりも+Y方向側の位置まで延びている。梁側気密シート16は、+Y側方気密部材15Bに、粘着テープや接着剤によって接続され、後述の床体70まで上方に延びている。
本実施形態では、下地間気密部材14および側方気密部材15は、いずれも下地用気密部材12の延出部12bに取り付けられている。具体的に、延出部12bの上面に設けられた粘着層を介して延出部12bに下地間気密部材14および側方気密部材15が取り付けられている。このように、下地用気密部材12と下地間気密部材14と側方気密部材15は連結され、梁側気密シート16とともに、下屋部1aの天井構造30部分において気密ライン2の一部を形成する。下地間気密部材14および側方気密部材15は、接着剤によって延出部12bに取り付けてもよい。また、天井構造30の上方において小屋裏の空間がない場合や狭い場合には、下地間気密部材14および側方気密部材15は、延出部12bの下面に取り付けることが好ましい。この場合も延出部12bの下面に設けられた粘着層、または接着剤によって、下地間気密部材14および側方気密部材15を延出部12bに取り付けることができる。
本実施形態の天井構造では、図4および後述する図10に示すように、下地用気密部材12と下地間気密部材14とに跨がるように補強テープ17aが設けられており、下地用気密部材12と下地間気密部材14との間の気密性の確保が図られている。下地用気密部材12と側方気密部材15とについても同様に補強テープ17aが設けられている。なお、延出部12bの下面に下地間気密部材14および側方気密部材15を取り付ける場合、延出部12bの下面に設けられた粘着層を利用して十分な取り付け強度を確保できる場合には、補強テープ17aを省略することができる。
野縁31は、図2~4に示すように、第2の方向Yに延びる四角筒状の部材であり、上端近傍に被嵌合部31aが設けられている。野縁31は、被嵌合部31aに野縁固定部材13が嵌合することにより、野縁受け11の下部に取り付けられる。
断熱材35は、グラスウール等からなる軟質の繊維系断熱材であり、下地間気密部材14および側方気密部材15の上部において、梁3aから梁3bと梁側気密シート16との間の位置まで天井板材32に沿って設けられている。
天井板材32は、石膏ボード等からなる板材であり、図示しないビス等によって野縁31の下面に取り付けられる。
断熱材35は、グラスウール等からなる軟質の繊維系断熱材であり、下地間気密部材14および側方気密部材15の上部において、梁3aから梁3bと梁側気密シート16との間の位置まで天井板材32に沿って設けられている。
また、本実施形態の建築物1は、天井構造30部分において、図2、図4に示すように、野縁31と下地間気密部材14または側方気密部材15との間、すなわち気密ライン2の内側に設けられた配線81を有する。
次に下屋部1aの壁体50について説明する。上述のように、下屋部1aの壁体50は、第1の方向Xに延びるX部分50a(図2参照)と第2の方向Yに延びるY部分50b(図3参照)を有する。
図2に示すように、X部分50aは、横桟52aおよび縦桟52bを有する内壁枠52と、内壁枠52の室内側の面(+Y方向側の面)に沿って設けられた気密シート54と、気密シート54の室内側の面に沿って設けられた内壁板材51と、気密シート54の上端に接続された接続部材55と、接続部材55の室内側に設けられ、野縁31の端部を位置決めするための内壁ランナー57(後述の図7も参照)と、梁3aの下方に設けられた軸組59と、軸組59の屋外側の面(-Y方向側の面)に沿って設けられた外壁板材50cと、内壁枠52と外壁板材50cとの間に設けられたグラスウール等からなる繊維系断熱材56と、を有する。気密シート54と接続部材55とは、互いに接続され、壁体50の気密層、つまり気密ライン2の一部を形成する。図3に示すように、Y部分50bは、内壁ランナー57以外は、X部分50aと同様の構成を有する。
接続部材55は、気密シート54の上端から上に延びる壁側接続部55aと、壁側接続部55aにおける野縁受け11の下面よりも上方の部分から室内側(+Y方向)に延び、側方気密部材15に接続される天井側接続部55bと、を有する。これにより、気密ライン2の下屋部1aの壁体50部分と天井構造30部分とが接続される。
内壁ランナー57は、第1の方向Xに延びるとともに第2の方向Yに開き、野縁31の端部が挿入される溝を有する。
次に総2階部1bにおける2階の壁体60とその周辺について説明する。図2に示すように、総2階部1bは、下屋部1aと総2階部1bとの境界部分の梁3bの上に設けられた2階の壁体60と2階の床体70とを有する。
床体70は、屋外側の端部(-Y方向側の端部)において梁3bに支持されている板状の床材71と、床材71の上面から下面にかけて床材71の屋外側の端部を覆うように設けられた床材気密シート72と、を有する。床材気密シート72は、下側部分において梁側気密シート16の上端に接続されている。
2階の壁体60は、床体70上に設けられた内壁枠62と、内壁枠62の室内側の面(+Y方向側の面)に沿って設けられ、床材気密シート72に接続された気密シート63と、気密シート63の室内側の面に沿って設けられた内壁板材64と、梁3bの上方に設けられた軸組65と、内壁枠62の屋外側の面(-Y方向側の面)に沿って設けられたグラスウール等からなる繊維系断熱材66と、を有する。気密シート63の下端は、床材気密シート72の上側部分に接続されている。このように、気密シート63と、床材気密シート72とが順に接続されることによって、下屋部1aの天井構造30部分から2階の壁体60部分まで気密ライン2の一部が形成される。
次に、本実施形態に係る天井下地用部材10を用いた天井構造および建築物1の施工方法について説明する。
本実施形態に係る施工方法は、次の工程(1)~工程(9)を有する。工程(1)では、建築物においてあらかじめ設定された位置に2つの吊り部材4を取り付ける。工程(2)では、吊り部材4が下地用気密部材12を貫通した状態で2つの吊り部材4をそれぞれ野縁受け11と接続する。工程(3)では、壁体50の上端部分に接続部材55および内壁ランナー57を取り付ける。工程(4)では、天井下地用部材10に野縁31を取り付ける。工程(5)では天井下地用部材10および野縁31の上に断熱材35を配置する。工程(6)では、断熱材35の上に送電線に接続された配線80を配置する。工程(7)では、断熱材35と野縁31との間に配線81を配置する。工程(8)では、一方の天井下地用部材10の下地用気密部材12と、他方の天井下地用部材10の下地用気密部材12との間に亘って下地間気密部材14を設ける。工程(9)では、一方の天井下地用部材10の下地用気密部材12から他方の天井下地用部材10の反対側に延びるように側方気密部材15を一方の天井下地用部材10に取り付ける。
図6は図3に示す壁体50のY部分50bの上端およびその周辺、図7は図2に示すX部分50aの上端およびその周辺のそれぞれを下から見上げたときの状態を示す斜視図である。図8は、図4に示す天井構造の施工途中の状態を示す図であり、天井下地用部材10に野縁31を取り付けた状態を示す下から見上げた斜視図である。
工程(1)では、建築物においてあらかじめ設定された位置に複数の吊り部材4を取り付ける。具体的に、複数の吊り部材4は、図2に示すように、梁3の所定の位置に取り付けられる。
工程(2)では、図5、図6に示すように、梁3に取り付けられた複数の吊り部材4をそれぞれ野縁受け11と接続する。工程(1)および工程(2)により、図4に示すように、複数の天井下地用部材10が第1の方向Xに延びるとともに第2の方向Yに互いに離間して配置される。
工程(3)では、図6、図7に示すように、壁体50のX部分50aおよびY部分50bの両方において、内壁枠52の上端(横桟52a)に接続部材55をビス58によって取り付ける。このとき、接続部材55の壁側接続部55aにおける野縁受け11の下面よりも上方の部分から天井側接続部55bが室内側に延びるように接続部材55を配置する。また、図7に示すように、野縁31の端部を位置決めするための高さとしてあらかじめ設定された高さに内壁ランナー57を位置決めした状態でビス58によって内壁ランナー57を壁体50のX部分50aに対して取り付ける。
工程(4)では、図6、図8に示すように、壁体50または天井下地用部材10の野縁受け11の下面に第2の方向Yに延びるとともに、第1の方向Xに離間するように配置された状態で複数の野縁31を取り付ける。-X方向の端部の野縁31は、図6に示すように、ビス58によって壁体50のY部分50bに取り付けられる。それ以外の野縁31は、図8に示すように、野縁固定部材13を介して天井下地用部材10の野縁受け11の下面に取り付けられる。野縁31の第2の方向Yの端部は、図2に示すように内壁ランナー57の溝内に挿入される。天井下地用部材10の-X方向の端部は、Y部分50bに取り付けられた野縁31と接続部材55の天井側接続部55bとの間に配置される。
工程(5)では、図8に示すように、天井下地用部材10および野縁31の上に断熱材35を配置する。
工程(6)では、野縁31の上に配置された断熱材35の上に建築物1の外部から導入され、送電線に接続された配線80を配置する。
工程(7)では、断熱材35と野縁31との間に室内に導入するための配線81を配置する。
図9は、図8に示す天井下地用部材10において、下地用気密部材12に下地間気密部材14が取り付けられた状態、および側方気密部材15を取り付ける状態を示す斜視図である。図10は、図9に示す下地用気密部材12と下地間気密部材14および側方気密部材15との間に補強テープ17aを取り付けた状態を示す斜視図である。図11は、図5および図6に示す接続部材55の天井側接続部55bと、図9に示す側方気密部材15との間に補強テープ17aを取り付けた状態を示す斜視図である。
工程(8)では、天井下地用部材10に野縁31を設けた後、図9に示すように、隣接する一方の天井下地用部材10の下地用気密部材12と、他方の天井下地用部材10の下地用気密部材12との間に亘って下地間気密部材14を設ける。下地用気密部材12の延出部12bと下地間気密部材14とは、延出部12bの上面に設けられた粘着層を介して接続され、当該接続部分には、図10に示すように、補強のため、補強テープ17aを取り付ける。
工程(9)では、一方の天井下地用部材10の下地用気密部材12から、他方の天井下地用部材10と反対側に延びるように側方気密部材15を設ける。側方気密部材15の下地用気密部材12と反対側の端部のうち+Y方向側の端部は、図2に示すように、梁側気密シート16に接続され、-Y方向側の端部は接続部材55の天井側接続部55bに接続される。
このとき、下地用気密部材12の延出部12bと側方気密部材15とは、延出部12bの上面に設けられた粘着層を介して接続され、当該接続部分にも、図10に示すように、補強のため、補強テープ17aを取り付ける。また、図11に示すように、側方気密部材15と接続部材55の天井側接続部55bとは、天井側接続部55bの下面に設けられた粘着層を介して接続され、当該接続部分には、補強テープ17bを取り付ける。側方気密部材15と梁側気密シート16との接続部分にも、同様に補強テープ(不図示)を取り付ける。
なお、以上の工程(1)~工程(9)の順番は上記の順に限定されない。
上述の施工方法では、工程(1)の後に工程(2)を行った。しかし、工程(2)を工程(1)の前に行ってもよい。具体的に、吊り部材4を梁3に取り付ける前に、吊り部材4を天井下地用部材10の野縁受け11に接続し、その後、天井下地用部材10に接続された吊り部材4を梁3の所定の場所に取り付け、2つの天井下地用部材10を第1の方向Xに延びるとともに第2の方向Yに互いに離間して配置してもよい。
工程(3)は、工程(1)および工程(2)の前に行ってもよい。工程(4)~工程(7)の少なくとも一つは、工程(8)で下地用気密部材12に下地間気密部材14を設けた後、行ってもよい。工程(9)を工程(8)の前に行ってもよく、工程(8)と工程(9)とを同時に行ってもよい。
また、工程(8)および工程(9)において、下地間気密部材14および側方気密部材15は、接着剤によって延出部12bまたは天井側接続部55bに接続してもよい。下地間気密部材14および側方気密部材15は、延出部12bの下面に接続してもよく、側方気密部材15は、天井側接続部55bの上面に接続してもよい。
以上の工程により、図4に示すように、吊り部材4と、天井下地用部材10と、野縁31と、下地間気密部材14と、側方気密部材15とを有する天井構造30が形成され、天井構造30に断熱材35、配線80および配線81が設けられた状態となる。なお、図4において、配線80は図示していない。
配線81は、気密ライン2の内側(室内側)に設けられており、気密ライン2を破ることなく室内に導入することができる。しかし、配線81だけでは、建築物1の外部の送電線から給電されない。そのため、建築物1の外部の送電線から給電され断熱材35および下地間気密部材14上に配置された配線80を気密ライン2の内側(室内側)に導入し、配線81と接続して配線81に給電する必要がある。
図12は下地間気密部材14上の配線80を室内に引き入れる状態を示す斜視図であり、図13は下地間気密部材14を補修した状態を示す斜視図である。断熱材35および下地間気密部材14の上に配置された配線80を室内に導入する場合、断熱材35および下地間気密部材14に設けた貫通孔を通じて配線80を導入する。下地間気密部材14に設けられた貫通孔14aは、図13に示すように貫通孔14aの周囲に下地間気密部材14と配線80に跨がって補修テープ82を貼り付け、下地間気密部材14の気密性を確保する。室内に導入された配線80の端部を配線81の一端と接続することにより、配線81への給電が達成される。
その後、図2、図3に示すように、野縁31の下面に天井板材32を取り付けて、建築物1の天井構造30が完成する。配線80および配線81を室内に導入する場合、天井板材32に孔を空けて導入してもよいし、壁体50内を経由して内壁板材51に孔を空けて導入してもよい。
(作用、効果)
上記実施形態に係る天井下地用部材10では、図5に示すように、下地用気密部材12の吊り部材4を接続する部分(野縁受け11の上面11b1に形成された孔11aを覆う部分)に貫通孔12a1を設けることにより容易に吊り部材4に野縁受け11を接続することができる。一方、吊り部材4との接続に使用されない野縁受け11の孔11aは、下地用気密部材12により塞がれているため、これらの孔11aによる気密性の低下を防止することができる。
また、野縁受け11の上面11b1全体が被覆部12aにより覆われているため、図4に示すように、第2の方向Yに互いに離間して吊り部材4により吊持された2つの天井下地用部材10における下地用気密部材12同士に跨がるように下地間気密部材14を取り付けることにより、2つの天井下地用部材10同士の間に気密ライン2を形成することができる。そのため、特許文献1に開示された建築物のようにシートとともに寄せ集めた複数の野縁受けをまとめて野縁上に持ち上げる場合に比べて、野縁受け11間に跨がるように下地用気密部材12および下地間気密部材14を取り付けるための施工性を向上することができる。
さらに、下地用気密部材12は、第2の方向Yの両側に延びる延出部12bを有するため、2本の天井下地用部材10同士の間に下地間気密部材14を取り付ける際に、吊り部材4から離れた延出部12bに対して容易に下地間気密部材14を取り付けることができる。側方気密部材15についても同様である。
また、図5に示すように、接着層12a2によって野縁受け11の所定の位置に下地用気密部材12を取り付けた状態に維持できるため、作業者が野縁受け11の所定の位置に下地用気密部材12を保持する必要がなく、天井下地用部材10を吊り部材4に接続するための施工性を向上させることができる。
上記実施形態では、下地用気密部材12の被覆部12aの第2の方向Yの両側において吊り部材4から離れた位置で下地間気密部材14および側方気密部材15を下地用気密部材12に接続することができるため、被覆部12aの第2の方向Yの一方にのみ延出部12bを有する場合に比べて、下地用気密部材12に下地間気密部材14および側方気密部材15を取り付けるための施工性を向上させることができる。
上記のように高い施工性で下地用気密部材12に下地間気密部材14を接続した2本の天井下地用部材10に対し、さらに側方気密部材15を用いて第2の方向Yに気密ライン2を延ばすことができる。
側方気密部材15は、図2に示すように、壁体50に設けられた気密層(気密シート54および接続部材55)に接続してもよい。また、隣接する他の天井下地用部材10に接続してもよい。
上記実施形態に係る建築物1では、壁体50の気密層と、側方気密部材15とを第2の方向Y接続することができる。
上記実施形態に係る建築物1では、側方気密部材15の少なくとも第2の方向Yの一端を野縁31よりも上(野縁受け11の下面よりも上)に配置することができるため、側方気密部材15と天井板材32との間に配線81等の配置スペースを確保することができる。
上記実施形態に係る建築物1の施工方法では、上記実施形態に係る天井下地用部材10を使用するため、高い施工性で建築物1を施工することができる。
(変形例)
上記の実施形態では、下地用気密部材12の被覆部12aの一方の面における野縁受け11に接着される部分にのみ接着層12a2を設け、接着層12a2を覆うように剥離紙12dを設けたが、接着層12a2の形成範囲はこれに限定されない。例えば、下地用気密部材12の一方の面の全体に接着層を設け、接着層の被覆部12aと延出部12bのそれぞれに対応する部分に剥離紙を設けてもよい。この場合、野縁受け11の上面11b1に被覆部12aを接着する際には被覆部12aの剥離紙12dのみを剥がし、延出部12bに気密部材を取り付ける際に延出部12bの剥離紙を剥がし、延出部12bの接着層によって延出部12bに下地間気密部材14または側方気密部材15を取り付けることができる。
上記の実施形態では、延出部12bは被覆部12aから第2の方向Yの両側に延びることとしたが、第2の方向Yの少なくとも一方に延びるものであればよい。延出部12bが第2の方向Yの一方にしか延びていない場合、延出部12bの延びていない側では、下地間気密部材14または側方気密部材15を被覆部12aの上面に取り付ければよい。
上記の実施形態では、野縁受け11の天板11bにのみ孔11aを設け、天板11bを固定部材4bで挟み込んだが、図5において二点鎖線で示すように底板11cにも孔11aを設け、天板11bおよび底板11cの両方の孔11aに吊り棒4aを貫通させ、天板11bの上面11b1および底板11cの下面を固定部材4bによって挟み込んでもよい。また、底板11cに孔11aを設けた場合であっても、天板11bだけを固定部材4bによって挟み込んでもよい。天板11bおよび底板11cの両方に孔11aを設けることにより、野縁受け11の形状が上下で対称となり、上下の区別が不要となる。
上記の実施形態では、壁体50の気密層を、気密シート54と接続部材55とを有するものとしたが、接続部材55を設けずに気密シート54を壁体50から天井構造30まで延ばして側方気密部材15に直接接続してもよい。
上記の実施形態では、野縁受け11に吊り部材4を接続可能な被接続部として、野縁受け11の上面11b1に孔11aを設け、下地用気密部材12の被覆部12aに孔11aに連通する貫通孔12a1を形成する場合について説明した。しかし、被接続部は、野縁受け11に設けられた孔11aに限定されない。また、被接続部への吊り部材4の取り付け方は、孔11aに貫通させた吊り棒4aに螺合させた固定部材4bにより野縁受け11の天板11bまたは天板11bおよび底板11cを挟み込む方法に限定されない。
具体的に、図5において二点鎖線で示すように、吊り部材4を下地用気密部材12を-Y方向に迂回するように屈曲した吊り棒4dと、吊り棒4dの下側の先端部に設けられ、野縁受け11の底板11cを挟持することが可能な挟持部4eと、を有するものとしてもよい。この場合、野縁受け11の底板11cが、挟持部4eに挟持されることで吊り部材4と接続可能な被接続部を有する。吊り棒4dは、下地用気密部材12の-Y方向側の延出部12bと下地間気密部材14または側方気密部材15との接続部分を通すように配置する。また、吊り棒4dは、下地間気密部材14または側方気密部材15に設けた貫通孔に通してもよい。
以上の変形例において、下地間気密部材14または側方気密部材15は、延出部12bの上面に取り付けてもよいし、延出部12bの下面に取り付けてもよい。