次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の燃料タンクの圧力制御装置を含む車両の概略構成図である。同図に示す車両1は、エンジン2と、動力分配機構としてのシングルピニオン式のプラネタリギヤ3と、ギヤ列4と、何れも同期発電電動機(三相交流電動機)であるモータジェネレータMG1およびMG2と、バッテリ(蓄電装置)5と、当該バッテリ5に接続されると共にモータジェネレータMG1およびMG2を駆動する電力制御装置(以下、「PCU」という。)6と、車両全体を制御するハイブリッド電子制御ユニット(以下、「HVECU」という。)100とを含むハイブリッド車両である。
車両1のエンジン2は、複数の燃焼室(気筒)2cにおけるガソリン等(炭化水素系燃料)と空気との混合気の燃焼に伴うピストンPS(図2参照)の往復運動をクランクシャフト(出力軸)CSの回転運動へと変換する内燃機関である。すなわち、エンジン2では、エアクリーナ2aにて清浄された空気が吸気管2i、スロットルバルブ2s、図示しない吸気バルブ等を介して各燃焼室2c内に吸入され、吸入空気に対しては、吸気ポート2pのポート噴射弁2jpおよび/または各燃焼室2cの筒内噴射弁2jdから燃料が噴射される。更に、空気と燃料との混合気が各燃焼室2cで図示しない点火プラグからの電気火花によって爆発燃焼することで、ピストンPSが往復運動してクランクシャフトCSを回転させる。かかるエンジン2は、エンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)200により制御される。エンジンECU200は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含み、エンジン2の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火時期制御等を実行する。
プラネタリギヤ3は、サンギヤ3sと、リングギヤ3rと、複数のピニオンギヤ3pを回転自在に支持するプラネタリキャリヤ3cとを含む差動回転機構である。図1に示すように、サンギヤ3sは、モータジェネレータMG1のロータに連結され、プラネタリキャリヤ3cは、ダンパ機構DDを介してエンジン2のクランクシャフトCSに連結される。また、リングギヤ3rは、ギヤ列4のカウンタドライブギヤ4a(出力部材)と同軸かつ一体に回転する。ギヤ列4は、カウンタドライブギヤ4aに加えて、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ(ドライブピニオンギヤ)4cを含む。ファイナルドライブギヤ4cは、デファレンシャルギヤDFのデフリングギヤDrに噛合し、当該デファレンシャルギヤDFおよびドライブシャフトDSを介して左右の車輪(駆動輪)Wに連結される。これにより、プラネタリギヤ3、ギヤ列4、およびデファレンシャルギヤDFは、動力発生源としてのエンジン2の出力トルクの一部を車輪Wに伝達すると共にエンジン2とモータジェネレータMG1とを互いに連結するトランスアクスルを構成する。
モータジェネレータMG1は、主に、負荷運転されるエンジン2からの動力の少なくとも一部を電力に変換する発電機として作動する。また、モータジェネレータMG2は、ドライブギヤ4d、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ4c、デフリングギヤDrを含むデファレンシャルギヤDFおよびドライブシャフトDSを介して左右の車輪Wに連結される。かかるモータジェネレータMG2は、主に、バッテリ5からの電力およびモータジェネレータMG1からの電力の少なくとも何れか一方により駆動されてドライブシャフトDSに駆動トルクを発生する電動機として作動する。
バッテリ5は、例えばリチウムイオン二次電池またはニッケル水素二次電池である。バッテリ5は、図示しないCPU等を有するマイクロコンピュータ等を含むバッテリ管理電子制御装置(以下、「バッテリECU」という。)500により管理される。PCU6は、モータジェネレータMG1を駆動する第1インバータや、モータジェネレータMG2を駆動する第2インバータ、バッテリ5からの電力を昇圧すると共にモータジェネレータMG1、MG2側からの電力を降圧することができる昇圧コンバータ等(何れも図示省略)を含む。PCU6は、図示しないCPU等を有するマイクロコンピュータ等を含むモータ電子制御装置(以下、「MGECU」という。)600により制御される。HVECU100は、CPU等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。HVECU100は、上記ECU200,500,600や、図示しない油圧ブレーキアクチュエータを制御するブレーキ電子制御装置(図示省略)等と相互に情報をやり取りして車両1を統括的に制御する。
図2は、エンジン2の補機である蒸発燃料処理装置20を示す概略構成図であり、図3は、蒸発燃料処理装置20の制御ブロック図である。蒸発燃料処理装置20は、エンジン2の各燃焼室2cに供給される燃料を貯留する燃料タンク10で発生した燃料のベーパー(蒸発燃料)が外部へと漏洩するのを抑制するためのものである。燃料タンク10は、車両1の図示しない給油口を介して当該燃料タンク10内に燃料を供給するための燃料インレットパイプ11や、ベントライン12、燃料タンク10内から給油口への燃料の逆流を規制する逆止弁13、フロートにより燃料タンク10内の燃料の液面レベルを検出する燃料センダーゲージ14、燃料タンク10の内圧(タンク内圧)Ptを検出するタンク内圧センサ15等を有する。本実施形態において、タンク内圧センサ15は、燃料タンク10内の圧力(絶対圧)と大気圧Patmとの差圧を内圧Ptとして検出するものである。燃料センダーゲージ14およびタンク内圧センサ15は、図3に示すように、それぞれ検出値を示す信号を燃料タンク10の圧力制御装置としてのエンジンECU200に送信する。また、エンジン2には、大気圧Patmを検出する大気圧センサAPが設けられており、当該大気圧センサAPは、検出値を示す信号をエンジンECU200に送信する。
燃料タンク10の上部には、低圧燃料通路(燃料供給系統)16Lが接続されており、燃料タンク10内には、当該低圧燃料通路16Lに接続された燃料ポンプ(ポンプモジュール)17が配置されている。燃料ポンプ17は、図示しない補機バッテリからの電力により駆動されると共にエンジンECU200により制御される電動ポンプである。エンジン2の各ポート噴射弁2jpには、低圧燃料通路16Lおよび低圧デリバリパイプを介して燃料ポンプ17により圧送される燃料が供給される。更に、低圧燃料通路16Lの中途からは、高圧燃料通路16Hが分岐されている。高圧燃料通路16Hは、低圧燃料通路16Lとの分岐部側から順番に、電磁式の燃圧制御弁18と、例えばエンジン2により駆動されるピストンポンプである機械式ポンプ19とを含む。エンジン2の各筒内噴射弁2jdには、図示しない逆止弁および高圧デリバリパイプを介して機械式ポンプ19により圧送される燃料が供給される。
また、低圧燃料通路16Lには、図2に示すように、燃料ポンプ17から当該低圧燃料通路16L(各ポート噴射弁2jp)に供給される燃料の圧力である低圧燃圧(以下、単に「燃圧」という。)PFLを検出する低圧燃圧センサLFPが設置されている。更に、高圧燃料通路16Hには、機械式ポンプ19から各筒内噴射弁2jdに供給される燃料の圧力である高圧燃圧を検出する図示しない高圧燃圧センサが設置されている。低圧燃圧センサLFPおよび高圧燃圧センサは、それぞれ検出値を示す信号をエンジンECU200に送信する。
蒸発燃料処理装置20は、図2に示すように、キャニスタ22と、燃料タンク10とキャニスタ22とを結ぶベーパー通路24と、パージ通路26と、大気通路28と、ベーパー通路24の中途に設置された封鎖弁30とを含む。キャニスタ22は、その内部に配置された吸着材としての活性炭を有し、燃料タンク10内の蒸発燃料を当該吸着材により吸着するものである。ベーパー通路24の一端部(上流側端部)は、燃料タンク10内の気層部と連通するように当該燃料タンク10に接続され、ベーパー通路24の他端部(下流側端部)は、キャニスタ22の内部と連通するように当該キャニスタ22に接続される。
また、パージ通路26の一端部(上流側端部)は、キャニスタ22の内部と連通するように当該キャニスタ22に接続され、パージ通路26の他端部(下流側端部)は、エンジン2のスロットルバルブ2sよりも下流側で吸気管2iに接続される。更に、パージ通路26の中途には、当該パージ通路26を遮断可能なパージ弁27が設置されている。パージ弁27は、エンジンECU200により制御される開閉弁であり、通常閉弁状態に維持される。また、大気通路28の一端部は、蒸発燃料処理装置20の故障診断に使用される診断用部品としてのキーオフポンプモジュール40を介してキャニスタ22に接続されている。キーオフポンプモジュール40は、それぞれエンジンECU200により制御される開閉弁である切換弁(遮断弁)41および真空ポンプ(減圧ポンプ)45と、キャニスタ22の内圧Pcを検出してエンジンECU200に送信するキャニスタ内圧センサ47とを含む。切換弁41は、開弁状態でキャニスタ22の内部と大気通路28との連通を許容し、閉弁状態で両者の連通を遮断するものであり、真空ポンプ45は、切換弁41の閉弁状態でキャニスタ22の内部を減圧(負圧化)可能なものである。更に、大気通路28の中途には、エアフィルタ29が設置されており、大気通路28の他端部は大気開放されている。
封鎖弁30は、エンジンECU200により制御される流量調整弁であり、閉弁状態でベーパー通路24を封鎖して燃料タンク10とキャニスタ22との連通を遮断すると共に、開弁状態でベーパー通路24を流通する気体の流量を調整するものである。封鎖弁30は、ケーシング31と、ケーシング31に形成された弁座32と、ケーシング31内に軸方向に移動自在に配置される弁体33と、ケーシング31内に配置されると共に図示しないバルブガイドを介して弁体33に連結されるステッピングモータ34とを含む。ステッピングモータ34は、エンジンECU200により制御され、弁体33を弁座32に対して軸方向に進退移動させる。ステッピングモータ34の作動に伴って弁体33が弁座32に接近し、当該弁体33の図示しないシール部材が弁座32に当接することで封鎖弁30が閉弁する。また、ステッピングモータ34の作動に伴って弁体33が弁座32から離間し、当該弁体33の図示しないシール部材が弁座32から離間することで封鎖弁30が開弁する。更に、車両1のスタートスイッチがオンされた後、当該スタートスイッチがオフされた後、封鎖弁30を高速に開弁または閉弁させた後、蒸発燃料処理装置20の故障診断時等には、封鎖弁30のイニシャライズが実行される。当該イニシャライズは、ステッピングモータ34の回転開始位置と別途学習される封鎖弁30の開弁開始位置とが一致するように、ステッピングモータ34を回転させるものである。
上述のような蒸発燃料処理装置20において、車両1の駐車中(エンジン2の運転停止中)、封鎖弁30は閉弁状態に維持され、燃料タンク10内の蒸発燃料がキャニスタ22内に流入することはない。また、車両1の駐車中、パージ通路26は、パージ弁27が閉弁されることで遮断状態に維持され、キャニスタ22は、切換弁41が開弁されることで大気通路28に連通された状態に維持される。更に、蒸発燃料処理装置20では、車両1のスタートスイッチ(イグニッションスイッチ)がオフされた車両1のキーオフ時(エンジン2の運転停止時)に、エンジンECU200によってベーパー通路24やパージ通路26のリークの有無が診断される。
一方、スタートスイッチがオンされた後、エンジンECU200は、少なくともエンジン2が運転されていることを含む予め定められたパージ条件の成立に応じて、キャニスタ22の内部を大気通路28に連通させると共にパージ弁27を開弁させる。これにより、エンジン2(吸気管2i)の吸気負圧がパージ通路26を介してキャニスタ22内に供給されることで、キャニスタ22内に大気通路28から空気が流入する。更に、エンジンECU200は、パージ弁27が開弁されており、かつ燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値(タンク内圧閾値)Pop以上になると、当該燃料タンク10の圧抜きを実行すべく封鎖弁30を開弁させる。これにより、ベーパー通路24(封鎖弁30)を介してキャニスタ22内に燃料タンク10内のベーパー(蒸発燃料)が流入するようになる。そして、キャニスタ22の吸着材は、当該キャニスタ22内に流入する空気等によりパージされ、吸着材から離脱したベーパーは、空気と共にエンジン2の吸気管2iへと導かれて燃焼室2c内で燃焼させられる。
図4は、燃料タンク10の圧抜きの要否を判定するためにエンジンECU200により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。図4に示すルーチンは、スタートスイッチがオンされた後にエンジン2が運転されている間にエンジンECU200により所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行される。図4のルーチンの開始に際し、エンジンECU200は、タンク内圧センサ15により検出される燃料タンク10の内圧Pt(適宜なまし処理が施されたもの)、別途設定される開弁閾値Pop、別途設定されるベーパー高濃度フラグFvhおよび封鎖弁開弁フラグFopの値といった圧抜きの要否判定に必要なデータを取得する(ステップS100)。
開弁閾値Popは、燃料タンク10内に存在する気体中の蒸発燃料(ベーパー)の濃度であるベーパー濃度が高くなっていると判定されているときに、内圧Ptや大気圧Patmに基づいて設定され、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されていないときに、予め定められた一定の値Pref(例えば、2kPa前後の値)に設定されるものである。また、ベーパー高濃度フラグFvhは、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されているときに“1”に設定され、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されていないときに“0”に設定されるものである。更に、封鎖弁開弁フラグFopは、封鎖弁30を開弁させるべきときに“1”に設定され、封鎖弁30を閉弁させるべきときに“0”に設定されるものである。
ステップS100の処理の後、エンジンECU200は、取得した燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop未満であるか否かを判定する(ステップS110)。燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop以上であると判定した場合(ステップS110:NO)、エンジンECU200は、上述の封鎖弁開弁フラグFopに“1”を設定し(ステップS115)、図4のルーチンを一旦終了させる。ステップS115にて封鎖弁開弁フラグFopが“1”に設定され、かつ封鎖弁30が閉弁している場合、エンジンECU200は、上述のイニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)でステッピングモータ34を作動させて当該封鎖弁30を開弁させる。これにより、燃料タンク10内のベーパー(蒸発燃料)をベーパー通路24(封鎖弁30)を介してキャニスタ22内へと流出させて燃料タンク10の内圧Ptを低下させることができる。
一方、ステップS110にて燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop未満であると判定した場合(ステップS110:YES)、エンジンECU200は、上述の封鎖弁開弁フラグFopが“1”であるか否かを判定する(ステップS120)。内圧Ptが開弁閾値Pop未満であり、かつ封鎖弁開弁フラグFopが“0”であって封鎖弁30が閉弁されていると判定した場合(ステップS120:NO)、エンジンECU200は、封鎖弁30の開弁を許可することなく封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定(維持)して(ステップS170)、図4のルーチンを一旦終了させる。
また、ステップS120にて内圧Ptが開弁閾値Pop未満であり、かつ封鎖弁開弁フラグFopが“1”であって封鎖弁30が開弁されていると判定した場合(ステップS120:YES)、エンジンECU200は、ステップS100にて取得したベーパー高濃度フラグFvhが“0”であるか否かを判定する(ステップS130)。ベーパー高濃度フラグFvhが“0”である(燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていない)と判定した場合(ステップS130:YES)、エンジンECU200は、ステップS100にて取得した開弁閾値Popからヒステリシスとして予め定められた一定値ηconst(例えば、1.0kPa前後の値)を減じた値を閉弁閾値Pclに設定する(ステップS140)。
これに対して、ステップS130にてベーパー高濃度フラグFvhが“1”である(燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている)と判定した場合(ステップS130:NO)、エンジンECU200は、図示しないヒステリシス設定マップからステップS100にて取得した燃料タンク10の内圧Ptに対応したヒステリシスη(Pt)を導出する(ステップS150)。更に、ステップS150において、エンジンECU200は、ステップS100にて取得した開弁閾値Popからヒステリシスη(Pt)を減じた値を閉弁閾値Pclに設定する。ステップS150にて用いられるヒステリシス設定マップは、複数の内圧Ptごとに実験・解析等を経て適合されたヒステリシスを規定するものである。また、本実施形態ヒステリシス設定マップにおいて、複数の内圧Ptの各々に割り当てられたヒステリシスは、何れも上述の一定値ηconst未満の値に定められている。
ステップS140またはS150の処理の後、エンジンECU200は、ステップS100にて取得した燃料タンク10の内圧PtがステップS140またはS150にて設定した閉弁閾値Pcl以下であるか否かを判定する(ステップS160)。燃料タンク10の内圧Ptが閉弁閾値Pclを上回っていると判定した場合(ステップS160:NO)、エンジンECU200は、封鎖弁30を開弁させた後に燃料タンク10の内圧Ptが十分に低下していないとみなし、封鎖弁30の閉弁を許可することなく封鎖弁開弁フラグFopに“1”を設定(維持)して(ステップS115)、図4のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS160にて燃料タンク10の内圧Ptが閉弁閾値Pcl以下であると判定した場合(ステップS160:YES)、エンジンECU200は、封鎖弁30の開弁により燃料タンク10の内圧Ptが十分に低下したとみなし、封鎖弁30の閉弁を許可すべく封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定して(ステップS170)、図4のルーチンを一旦終了させる。ステップS170にて封鎖弁開弁フラグFopが“0”に設定されると、エンジンECU200は、例えば上述のイニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)でステッピングモータ34を作動させて当該封鎖弁30を閉弁させる。
上述のように、燃料タンク10の圧力制御装置としてのエンジンECU200は、燃料タンク10の圧抜きのために封鎖弁30を開弁させた後に当該燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop未満の閉弁閾値Pcl以下になったときに封鎖弁30を閉弁させる(ステップS110:NO,ステップS170)。また、エンジンECU200は、ベーパー高濃度フラグFvhが“1”であると判定したときに(ステップS130:NO)、開弁閾値Popと閉弁閾値Pclとの差を示すヒステリシスをベーパー高濃度フラグFvhが“0”であると判定したときに比べて小さくする(ステップS140,S150)。これにより、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているときに、燃料タンク10の内圧Ptが後述の基準減圧量ρrefに従って緩やかに変化するように封鎖弁30を開弁させても、燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop以上になってから閉弁閾値Pcl以下になるまでの間に当該内圧Ptが急減するのを抑制することが可能となる。
また、エンジンECU200は、ベーパー高濃度フラグFvhが“1”である(燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている)と判定したときに(ステップS130:NO)、開弁閾値Popと閉弁閾値Pclとの差を示すヒステリシスを燃料タンク10の内圧Ptに基づいて設定する(ステップS150)。すなわち、燃料タンク10の内圧Ptが高いほど、単位時間内に封鎖弁30を通過するベーパーの量が多くなる。従って、開弁閾値Popと閉弁閾値Pclとの差を燃料タンク10の内圧Ptに基づいて設定することで、燃料タンク10の内圧Ptが開弁閾値Pop以上になってから閉弁閾値Pcl以下になるまでの間に当該内圧Ptが急減するのを良好に抑制可能となる。
図5は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている状態でエンジン2や蒸発燃料処理装置20を適正に作動させるべくエンジンECU200により実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。図5に示すルーチンも、スタートスイッチがオンされた後にエンジン2が運転されている間にエンジンECU200により所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行される。図5のルーチンの開始に際し、エンジンECU200は、タンク内圧センサ15により検出される燃料タンク10の内圧Ptや、低圧燃圧センサLFPにより検出される燃圧PFL、大気圧センサAPにより検出される大気圧(現大気圧)Patm、吸気管2iに設置された図示しない温度センサにより検出される吸入空気の温度である吸気温度Ta、燃料タンク10内のベーパー濃度の推定値である推定ベーパー濃度Cvといった燃料タンク10内のベーパー濃度の度合いの判定に必要なデータを取得する(ステップS200)。推定ベーパー濃度Cvは、パージ弁27が開弁されているときの各燃焼室2cにおける空燃比と目標空燃比との差分等に基づいてエンジンECU200により別途算出されるものである。
次いで、エンジンECU200は、ステップS100にて取得した燃圧PFL、大気圧Patm、吸気温度Taおよび推定ベーパー濃度Cvに基づいて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210において、エンジンECU200は、大気圧Patmが所定圧以下であるか否かを判定すると共に、吸気温度Taが所定温度以上であるか否かを判定する。また、ステップS210において、エンジンECU200は、推定ベーパー濃度Cvが大気圧Patmに基づいて設定される閾値以上であるか否かを判定する。更に、ステップS210において、エンジンECU200は、燃圧PFLが低圧燃料通路16Lにおける燃料の圧力の目標値の下限すなわち燃料ポンプ17により低圧燃料通路16Lに供給されるべき燃圧の下限値である目標下限燃圧(目標燃圧)Ptagに十分に近づいているか否かを判定する。本実施形態において、目標下限燃圧Ptagは、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていないと判定されているときに、エンジン2の運転状態等に応じて、例えば300kPa,400kPaおよび500kPaの何れかに設定される。
エンジンECU200は、大気圧Patmが所定圧以下であり、吸気温度Taが所定温度以上であり、かつ推定ベーパー濃度Cvが上記閾値以上であるときに、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定する(ステップS220:YES)。また、エンジンECU200は、大気圧Patmが所定圧以下であり、吸気温度Taが所定温度以上であり、かつ燃圧PFLが目標下限燃圧Ptagよりも所定値以上低く、目標下限燃圧Ptagに十分に近づいていないときにも、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定する(ステップS220:YES)。更に、エンジンECU200は、これら以外の場合、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていないと判定する(ステップS220:NO)。ステップS220にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていないと判定した場合(ステップS220:NO)、エンジンECU200は、上述のベーパー高濃度フラグFvhに“0”を設定し、開弁閾値Popに上述の一定の値Prefを設定し、かつタイマや後述の燃圧低下カウンタCLをリセットし(ステップS225)、図5のルーチンを一旦終了させる。
一方、ステップS220にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定した場合(ステップS220:YES)、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されてからの経過時間tを計時するタイマをオンし(ステップS230)、上述のベーパー高濃度フラグFvhに“1”を設定する(ステップS240)。更に、エンジンECU200は、ステップS200にて取得した大気圧Patmを考慮して開弁閾値Popを設定する(ステップS250)。ステップS250において、エンジンECU200は、図示しないマップからステップS200にて取得した大気圧Patmに対応した値を導出すると共に、当該マップから導出した値と、ステップS200にて取得した燃料タンク10の内圧Ptとのうちの大きい方を開弁閾値Popに設定する。ステップS250にて用いられるマップは、複数の大気圧Patmごとに実験・解析等を経て適合された開弁閾値Popとされ得る値を規定するものである。また、エンジンECU200は、ステップS250にて設定した開弁閾値Popの値を燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている状態で封鎖弁30を開弁させるときの初期目標内圧Pintに設定すると共にRAMあるいは不揮発性メモリに記憶させる(ステップS260)。更に、エンジンECU200は、ステップS200にて取得した大気圧Patmを基準大気圧P0atmとしてRAMあるいは不揮発性メモリに記憶させる(ステップS270)。
続いて、エンジンECU200は、上述の目標下限燃圧Ptagを高くする(ステップS280)。すなわち、ステップS220にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されると、ステップS280にて目標下限燃圧Ptagがそれまでの値(例えば、300,400または500kPa)から予め定められた値(例えば、650kPa前後の値)まで引き上げられる。これにより、燃料ポンプ17の吐出圧(回転数)を高めて低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLを高めることができるので、当該低圧燃料通路16Lでのベーパーロックの発生を抑制することが可能となる。更に、エンジンECU200は、低圧燃料通路16Lでベーパーロックが発生するおそれがあるか否かを判定するための燃圧低下判定閾値PLを設定する(ステップS290)。ステップS290において、エンジンECU200は、ステップS280にて変更される(引き上げられる)前の目標下限燃圧Ptag(例えば、300,400または500kPa)から所定値α(例えば、200kPa前後の値)を減じた値(例えば、Ptag-200kPa)を燃圧低下判定閾値PLに設定する。
ステップS290の処理の後、エンジンECU200は、ステップS200にて取得した燃圧PFLがステップS290にて設定した燃圧低下判定閾値PL以下であるか否かを判定する(ステップS300)。燃圧PFLが燃圧低下判定閾値PL以下であると判定した場合(ステップS300:YES)、エンジンECU200は、燃圧低下カウンタCLをインクリメントする(ステップS310)。更に、エンジンECU200は、封鎖弁30の
開弁を禁止すべく封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定し(ステップS320)、図5のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS300にて燃圧PFLが燃圧低下判定閾値PLを上回っていると判定した場合(ステップS300:NO)、エンジンECU200は、封鎖弁開弁フラグFopの値が前回値に維持されるようにステップS310およびS320の処理をスキップして図5のルーチンを一旦終了させる。
ステップS320にて封鎖弁開弁フラグFopが“0”に設定され、かつ燃料タンク10の圧抜きのために封鎖弁30が開弁されている場合、エンジンECU200は、上述のイニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)でステッピングモータ34を作動させて当該封鎖弁30を閉弁させる。これにより、少なくとも大気圧Patmに基づいて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定され、かつ低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下していると判定されたときには(ステップS220:YES,ステップS300:YES)、封鎖弁30が強制的に閉弁される。
すなわち、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているときに、燃料タンク10の内圧Ptの上昇に応じて封鎖弁30が開弁されると、封鎖弁30の開弁に伴う内圧Ptの低下に応じて燃料タンク10内で大量のベーパーが発生するおそれがある。また、燃料タンク10内で大量のベーパーが発生すると、燃料ポンプ17によるベーパーの噛み込みに起因して低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFL(燃料ポンプ17の吐出圧)が低下する。これらを踏まえ、エンジン2の制御装置であるエンジンECU200は、少なくとも大気圧Patmに基づいて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定し、かつ低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下していると判定したときに(ステップS220:YES,ステップS300:YES)、封鎖弁30を閉弁させるべく封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定する(ステップS320)。
これにより、封鎖弁30の閉弁によって燃料タンク10の内圧Ptの低下およびベーパーの発生が抑えられるので、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLの低下およびベーパーロックの発生を良好に抑制することが可能となる。更に、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下していないときには(ステップS220:YES,ステップS300:NO)、封鎖弁30の開弁を許容して燃料タンク10の内圧Ptの上昇を抑えることができる。この結果、エンジン2では、燃料タンク10の内圧Ptの上昇を抑えつつ、低圧燃料通路16Lでベーパーロックが発生するのを良好に抑制することが可能となる。
また、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときに(ステップS220:YES)、大気圧Patmを考慮して開弁閾値Popを設定する(ステップS250)。すなわち、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときに、図示しないマップから取得した大気圧Patmに対応した値と燃料タンク10の内圧Ptとのうちの大きい方を開弁閾値Popに設定する。これにより、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているときに、開弁閾値Popを適正に設定し、周囲の大気圧Patmが低い場合であっても、封鎖弁30の開弁に伴って燃料タンク10の内圧Ptが急減しないようにして燃料タンク10内で大量のベーパーが発生するのを抑制することができる。
ここで、封鎖弁30が開弁された状態で図5のステップS320にて封鎖弁開弁フラグFopが“0”に設定された場合には、封鎖弁30が閉弁されることになるが、この場合、本来、封鎖弁30を開弁させたままにして燃料タンク10の圧抜きを継続することが好ましい。このため、エンジンECU200は、ステップS320にて封鎖弁開弁フラグFopが“0”に設定されたのに応じて封鎖弁30が閉弁されると、図6のルーチンを所定時間(微少時間)おきに実行して封鎖弁30の開弁すなわち燃料タンク10の圧抜きの再開の可否を判定する。また、図6のルーチンは、図5のステップS220にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定された後に、図4のステップS615の処理に応じて封鎖弁30が開弁されたときにも実行される。
図6のルーチンの開始に際して、エンジンECU200は、低圧燃圧センサLFPにより検出される燃圧PFLや、上述の経過時間tといった判定に必要なデータを取得する(ステップS400)。次いで、エンジンECU200は、ステップS400にて取得した経過時間tが予め定められた開弁規制時間tref0を上回っているか否かを判定する(ステップS410)。本実施形態において、開弁規制時間tref0は、例えば200msec前後の値である。ステップS410にて経過時間tが開弁規制時間tref0以下であると判定した場合(ステップS410:NO)、エンジンECU200は、その時点で図6のルーチンの一旦終了させ、次の実行タイミングの到来に応じてステップS400以降の処理を実行する。
また、ステップS410にて経過時間tが開弁規制時間tref0を上回っていると判定した場合(ステップS410:YES)、エンジンECU200は、ステップS400にて取得した燃圧PFLが予め定められた開弁許可圧(開弁許可閾値)PH以上であるか否か判定する(ステップS420)。開弁許可圧PHは、低圧燃料通路16Lでのベーパーロックの発生を回避させることができる圧力であり、本実施形態では、図5のステップS280にて引き上げられた目標下限燃圧Ptag(例えば、650kPa前後の値)よりも若干低い値(例えば、620kPa前後の値)に定められている。燃圧PFLが開弁許可圧PH未満であると判定した場合(ステップS420:NO)、エンジンECU200は、その時点で図6のルーチンの一旦終了させ、次の実行タイミングの到来に応じてステップS400以降の処理を実行する。
これに対して、ステップS420にて燃圧PFLが開弁許可圧PH以上であると判定した場合(ステップS420:YES)、エンジンECU200は、封鎖弁30の開弁を許可すべく、封鎖弁開弁フラグFopに“1”を設定し(ステップS430)、図6のルーチンを一旦終了させる。ステップS430にて封鎖弁開弁フラグFopが“1”に設定されると、エンジンECU200は、例えば上述のイニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)でステッピングモータ34を作動させて当該封鎖弁30を開弁させる。
すなわち、車両1では、図7に示すように、時刻t1にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されてから予め定められた開弁規制時間tref0が経過するまで、一旦閉弁された封鎖弁30を低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLに基づいて開弁させることが禁止される。これにより、図5のステップS280にて目標下限燃圧Ptagが高く設定された後であって低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが十分に高くなる前に、例えば高圧燃料通路16Hの機械式ポンプ19で生じる燃料の脈動等に起因した一時的な燃圧PFLの上昇(図7におけるA部参照)に応じて封鎖弁30が開弁されてしまうのを良好に抑制することが可能となる。また、車両1では、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されてから開弁規制時間tref0が経過した後、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLがステップS280にて引き上げられた目標下限燃圧Ptagに基づく開弁許可圧PH以上になったときに(ステップS420:YES,図7における時刻t2)、封鎖弁30の開弁が許可される。これにより、目標下限燃圧Ptagが高く設定された後に低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLがベーパーロックを回避し得る程度まで十分に高まってから封鎖弁30を開弁させて燃料タンク10の圧抜きを再開することが可能となる。
さて、図5のステップS310およびS320の処理がスキップされ、かつ封鎖弁30が閉弁されている場合、封鎖弁30は閉弁状態に維持される。また、ステップS310およびS320の処理がスキップされ、かつ封鎖弁30が開弁されている場合、封鎖弁30は開弁状態に維持される。この場合、封鎖弁30は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されるまで、例えば推定ベーパー濃度Cv等に応じた開度で開弁するように制御される。そして、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定した後(ステップS220:YES,ステップS300:NO)、時間の経過と共に徐減するように燃料タンク10の目標内圧P*を設定し、内圧Ptが目標内圧P*になるように封鎖弁30を制御する。より詳細には、エンジンECU200は、当該目標内圧P*を流量に変換し、当該流量のベーパーが封鎖弁30を通過するようにステッピングモータ34を制御する。
図8は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定された後に、燃料タンク10の目標内圧P*を設定するためにエンジンECU200により所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行されるルーチンを示すフローチャートである。また、図8のルーチンは、図5のステップS220にて燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定された後に、図4のステップS615の処理に応じて封鎖弁30が開弁された後にも所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行される。
図8のルーチンの開始に際し、エンジンECU200は、大気圧センサAPにより検出される大気圧(現大気圧)Patm、上述の基準大気圧P0atm、燃圧低下カウンタCLの値といった目標内圧P*の設定に必要なデータを取得する(ステップS500)。次いで、エンジンECU200は、図8のルーチンの実行周期(所定時間)あたりの目標内圧P*の減圧量ρを算出する(ステップS510)。ステップS510において、エンジンECU200は、次式(1)に従って、予め定められた基準減圧量ρrefから同様に予め定められた変化量Δρと燃圧低下カウンタCLの値との積値を減算することにより減圧量ρを算出する。本実施形態において、基準減圧量ρrefは、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定される間に目標内圧P*を例えば2kPa/minで減少させるように定められ、ρref=2kPa×実行周期/60secである。また、変化量Δρは、基準減圧量ρrefよりも小さくなるように実験・解析を経て適合された一定の値(例えば、Δρ=0.5kPa×実行周期/60sec前後の値)である。
ρ=ρref-Δρ×CL …(1)
更に、エンジンECU200は、ステップS500にて取得した基準大気圧P0atmから大気圧(現大気圧)Patmを減じて大気圧補正量ΔPatmを算出する(ステップS520)。大気圧補正量ΔPatmは、現在の大気圧Patmと燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときの大気圧である基準大気圧P0atmとの差を示すものである。そして、エンジンECU200は、図8のルーチンの前回実行時に設定された目標内圧(前回目標内圧)P*から減圧量ρを減じた値に大気圧補正量ΔPatmを加算して目標内圧P*を設定し(ステップS530)、図8のルーチンを一旦終了させる。なお、図8のルーチンの開始直後には、図5のステップS260にて設定された初期目標内圧PintがステップS530における前回目標内圧となる。
このように、燃料タンク10の圧力制御装置としてのエンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている状態で当該燃料タンク10の圧抜きのために封鎖弁30を開弁させるときに、所定時間おきに、目標内圧P*を予め定められた減圧量ρだけ低下させると共に大気圧補正量ΔPatmで補正する(ステップS500-S530)。これにより、燃料タンク10の内圧Ptを周囲の大気圧Patmに応じて緩やかに低下させ、燃料タンク10の内圧上昇の抑制と、ベーパーロックの発生の抑制とを両立させることが可能となる。
また、図5のステップS310にてインクリメントされる燃圧低下カウンタCLは、後述するように、燃料タンク10内のベーパー濃度に応じて封鎖弁30が開弁している間に低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下するたびにインクリメントされていくものである。従って、図8のステップS510の処理により、目標内圧P*の減圧量ρは、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下したと判定された回数を示す燃圧低下カウンタCLの値の増加に応じて小さくなっていく。これにより、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下したと判定されるたびに目標内圧P*の減圧量ρを小さくして、ベーパーの発生を抑えつつ、燃料タンク10の内圧Ptを緩やかに低下させていくことができる。
ただし、車両1が高地を走行していたり、燃料タンク10内に例えば冬期用の揮発性の高い燃料が貯留されていたりすると、大気圧の変化や燃料の性状等に起因して、封鎖弁30の開弁に伴う内圧Ptの急減に応じて燃料タンク10内で大量のベーパーが発生してしまうおそれがある。これを踏まえて、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている状態で当該燃料タンク10の圧抜きのために封鎖弁30が開弁される間、内圧Ptの急減を抑制すべく、図8のルーチンと並行して図9のルーチンを所定時間(微少時間)おきに繰り返し実行する。
図9のルーチンの開始に際して、エンジンECU200は、低圧燃圧センサLFPにより検出される燃圧PFLや、上述の経過時間tといった判定に必要なデータを取得する(ステップS600)。次いで、エンジンECU200は、ステップS600にて取得した経過時間tが予め定められた第1継続時間(所定時間)tref1を上回っているか否かを判定する(ステップS610)。本実施形態において、第1継続時間tref1は、例えば200msec前後の値である。ステップS610にて経過時間tが第1継続時間tref1以下であると判定した場合(ステップS610:NO)、エンジンECU200は、ステップS600にて取得した燃圧PFLが燃圧低下判定閾値PL以下であるか否かを判定する(ステップS650)。ステップS610にて経過時間tが第1継続時間tref1以下であると判定される間、燃圧低下判定閾値PLは、図5のステップS290にて設定された比較的小さい値である。
エンジンECU200は、経過時間tが第1継続時間tref1を上回っていると判定した場合(ステップS610:YES)、当該経過時間tが第1継続時間tref1よりも長い第2継続時間tref2以下であるか否かを判定する(ステップS620)。ステップS620にて経過時間tが第2継続時間tref2以下であると判定した場合(ステップS620:YES)、エンジンECU200は、目標下限燃圧Ptagに基づいて燃圧低下判定閾値PLを設定する(ステップS630)。ステップS630において、エンジンECU200は、図5のステップS280にて引き上げられた目標下限燃圧Ptag(例えば、650kPa前後の値)から所定値α(例えば、200kPa前後の値)を減じた値を燃圧低下判定閾値PLに設定する。すなわち、燃圧低下判定閾値PLは、経過時間tが第1継続時間tref1を上回ると、それまでの値(図5のステップS290にて設定された値)よりも高い値に変更される。ステップS630の処理の後、エンジンECU200は、ステップS600にて取得した燃圧PFLがステップS630にて設定した燃圧低下判定閾値PL以下であるか否かを判定する(ステップS650)。
また、ステップS620にて経過時間tが第2継続時間tref2を上回っていると判定した場合(ステップS620:NO)、エンジンECU200は、図5のステップS280にて引き上げられた目標下限燃圧Ptag(例えば、650kPa前後の値)から所定値β(β<α、例えば、140kPa前後の値)を減じた値を燃圧低下判定閾値PLに設定する(ステップS640)。これにより、燃圧低下判定閾値PLは、経過時間tが第2継続時間tref2を上回ると、それまでの値(ステップS630にて設定された値)よりも高い値に変更される。すなわち、燃圧低下判定閾値PLは、経過時間tが長くなるのに応じて段階的に高く設定されていく。そして、エンジンECU200は、ステップS600にて取得した燃圧PFLがステップS640にて設定した燃圧低下判定閾値PL以下であるか否かを判定する(ステップS650)。
ステップS600にて取得した燃圧PFLが図5のステップS290、ステップS630またはS640にて設定した燃圧低下判定閾値PLを上回っていると判定した場合(ステップS650:NO)、エンジンECU200は、その時点で図9のルーチンの一旦終了させ、次の実行タイミングの到来に応じてステップS600以降の処理を実行する。また、ステップS600にて取得した燃圧PFLが図5のステップS290、ステップS630またはS640にて設定した燃圧低下判定閾値PL以下であると判定した場合(ステップS650:YES)、エンジンECU200は、燃圧低下カウンタCLをインクリメントし(ステップS660)、燃圧低下カウンタCLの値が“2”以上であるか否を判定する(ステップS670)。
燃圧低下カウンタCLの値が“2”未満であると判定した場合(ステップS670:YES)、エンジンECU200は、封鎖弁30の閉弁により燃料タンク10の内圧低下を抑制すべく、封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定すると共に低速度(例えば、30msec/step)での閉弁を指定し(ステップS680)、図9のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS670にて燃圧低下カウンタCLの値が“2”以上であると判定した場合(ステップS670:NO)、エンジンECU200は、封鎖弁30の閉弁により燃料タンク10の内圧低下を抑制すべく、封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定すると共に高速度(例えば、4msec/step)での閉弁を指定し(ステップS690)、図9のルーチンを一旦終了させる。
上述のように、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときに(ステップS220:YES)、低圧燃料通路16Lにおける目標下限燃圧Ptagを燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていないと判定したときに比べて高くする(図5のステップS280)。更に、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定してからの経過時間tが第1継続時間(所定時間)tref1以下である間、燃圧低下判定閾値PLを上述のように引き上げられる前の目標下限燃圧Ptagに基づく比較的小さい値に維持し、経過時間tが第1継続時間tref1を上回ると、燃圧低下判定閾値PLを上述のように引き上げられた目標下限燃圧Ptagに基づく比較的高い値に変更する(ステップS610-S640)。これにより、燃料ポンプ17の吐出圧(回転数)を高めて低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLを高めることができるので、当該低圧燃料通路16Lでのベーパーロックの発生を良好に抑えることが可能となる。加えて、図10からわかるように、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが確保されているにも拘わらず当該燃圧PFLが低下していると判定されてしまうのを抑制することが可能となる(図中B部参照)。
また、エンジンECU200は、図10に示すように、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっている間に目標下限燃圧Ptagに基づいて燃圧低下判定閾値PLを時間の経過と共に段階的に高くする(ステップS610-S640)。これにより、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLの低下の誤判定を良好に抑制することが可能となる。
更に、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているときに、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下しているとの1回目の判定に応じて(ステップS670:YES、図10の時刻t10)、封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定すると共に低速度での閉弁を指定する(ステップS680)。この場合、エンジンECU200は、図10に示すように、上記イニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)で封鎖弁30を閉弁させる。これにより、封鎖弁30を閉弁させた後、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが高まって開弁許可圧PH以上になったときに(図10における時刻t20)、封鎖弁30イニシャライズを実行することなく速やかに開弁させることが可能となる。
本実施形態において、封鎖弁30を閉弁させた後、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが高まって開弁許可圧PH以上になったときに(図10における時刻t20)、エンジンECU200は、上述のイニシャライズを不要にする低速度(例えば、30msec/step)でステッピングモータ34を作動させて当該封鎖弁30を開弁させる。このように、封鎖弁30の閉弁後の開弁条件に成立に応じて、イニシャライズを不要にする低速度で封鎖弁30を開弁させることで、その後の低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLの低下に応じて、イニシャライズを実行することなく封鎖弁30を速やかに開弁させることが可能となる。
また、エンジンECU200は、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっているときに、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下しているとの2回目の判定に応じて(ステップS670:NO、図10の時刻t20)、封鎖弁30の閉弁により燃料タンク10の内圧低下を抑制すべく、封鎖弁開弁フラグFopに“0”を設定すると共に高速での閉弁を指定する(ステップS690)。この場合、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定された後、一度燃圧PFLが低下して高まったにも拘わらず燃料の性状や大気圧Patm等の影響により再度燃圧PFLが低下している想定されることから、エンジンECU200は、封鎖弁30を最高速度(例えば、4msec/step)で閉弁させる。これにより、燃料タンク10の内圧Ptの急減を抑えて低圧燃料通路16Lでのベーパーロックの発生を抑制することが可能となる。
なお、上記実施形態では、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定され、かつ低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが燃圧低下判定閾値PL以下であると判定されたときに封鎖弁30が閉弁されるが、これに限られるものでない。すなわち、例えば燃圧低下判定閾値PLを極端に大きな値に設定しておき、燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなっていると判定されたときに、低圧燃料通路16Lにおける燃圧PFLが低下しているとみなして封鎖弁30を強制的に閉弁させてもよい。すなわち、燃料タンク10内のベーパー濃度が高いときには、ベーパーロックが発生するおそれがあることから、ベーパー濃度が高くなっていると判定された時点で一律に封鎖弁30の開弁を禁止してもよい。これにより、低圧燃料通路16Lでベーパーロックが発生するのを極めて良好に抑制することが可能となる。また、本開示の発明は、エンジン2が間欠的に運転されることで燃料タンク10内のベーパー濃度が高くなりがちなハイブリッド車両である車両1に有用なものであるが、本開示の発明が適用されるエンジン2が搭載される車両は、当該エンジン2のみを走行用の動力を出力する動力源として有するものであってもよい。
以上説明したように、本開示の燃料タンクの圧力制御装置は、車両(1)の燃料タンク(10)とキャニスタ(22)との間に配置された封鎖弁(30)を開閉させて前記燃料タンク(10)の内圧(Pt)を調整する燃料タンクの圧力制御装置200)であって、前記燃料タンク(10)の前記内圧(Pt)が開弁閾値(Pop)以上であるときに前記封鎖弁(30)を開弁させると共に(ステップS110:NO,ステップS170)、前記燃料タンク(10)内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときに大気圧を考慮して前記開弁閾値を設定する(ステップS220:YES,ステップS250)ものである。
本開示の燃料タンクの圧力制御装置は、燃料タンクの内圧が開弁閾値以上であるときに封鎖弁を開弁させるものである。更に、当該圧力制御装置は、燃料タンク内のベーパー濃度が高くなっていると判定したときに大気圧を考慮して開弁閾値を設定する。これにより、周囲の大気圧が低い場合であっても、封鎖弁の開弁に伴って燃料タンクの内圧が急減しないようにして燃料タンク内で大量のベーパーが発生するのを抑制することができる。この結果、本開示の燃料タンクの圧力制御装置によれば、燃料タンクの内圧の上昇を抑えつつ、燃料供給系統でベーパーロックが発生するのを良好に抑制することが可能となる。
また、前記圧力制御装置(200)は、前記燃料タンク(10)内の前記ベーパー濃度が高くなっていると判定したときに(ステップS220:YES)、大気圧(Patm)に対応した予め定められた値と前記燃料タンク(10)の前記内圧(Pt)とのうちの大きい方を前記開弁閾値(Pop)に設定する(ステップS250)ものであってもよい。これにより、燃料タンク内のベーパー濃度が高くなっているときに開弁閾値を適正に設定することが可能となる。
更に、前記圧力制御装置(200)は、前記封鎖弁(30)を開弁させた後に前記燃料タンク(10)の前記内圧(Pt)が前記開弁閾値(Pop)未満の閉弁閾値(Pcl)以下になったときに前記封鎖弁を閉弁させる(ステップS110:NO,ステップS170)と共に、前記燃料タンク(10)内の前記ベーパー濃度が高くなっていると判定したときに(ステップS130:NO)、前記開弁閾値(Pop)と前記閉弁閾値(Pcl)との差(η(Pt))を前記燃料タンク(10)内の前記ベーパー濃度が高くなっていないと判定したとき(ステップS130:YES,ηconst)に比べて小さくする(ステップS140,S150)ものであってもよい。これにより、燃料タンク内のベーパー濃度が高くなっているときに、燃料タンクの内圧が緩やかに変化するように封鎖弁を開弁させても、燃料タンクの内圧が開弁閾値以上になってから閉弁閾値以下になるまでの間に当該内圧が急減するのを抑制することが可能となる。
また、前記圧力制御装置(200)は、前記燃料タンク(10)内の前記ベーパー濃度が高くなっていると判定したときに(ステップS130:NO)、前記開弁閾値(Pop)と前記閉弁閾値(Pcl)との差(η(Pt))を前記燃料タンク(10)の前記内圧(Pt)に基づいて設定する(ステップS150)ものであってもよい。すなわち、燃料タンクの内圧が高いほど、単位時間内に封鎖弁を通過するベーパーの量が多くなる。従って、開弁閾値と閉弁閾値との差を燃料タンクの内圧に基づいて設定することで、燃料タンクの内圧が開弁閾値以上になってから閉弁閾値以下になるまでの間に当該内圧が急減するのを良好に抑制可能となる。
ただし、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。