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JP7643229B2 - 有機光電変換素子 - Google Patents
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JP7643229B2 - 有機光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む光電変換層を有する有機光電変換素子に関する。
有機太陽電池や有機光検出器など光電変換素子には、素子製造時のリフロー工程時などの加熱環境に耐えうる耐熱性が必要とされている。しかし、一般的に、これらの素子は製造時に想定される加熱環境に耐えうる十分な耐熱性を有しておらず、その耐熱性不足が光電変換特性の低下を招く恐れがある。
この光電変換特性の低下の要因の1つとしては、以下の通り考えられる。
即ち、光電変換特性には、p型有機半導体とn型有機半導体とから成るバルクヘテロジャンクション(BHJ)型光電変換層の相分離構造(p型有機半導体とn型有機半導体との相溶性)が重要な役割を担っているが、この相分離構造は熱に対して十分な安定性を有していない。このため、高温環境下で相分離構造に変化が生じる。これは、光電変換層内のp型有機半導体とn型有機半導体が高温条件下で流動し、p型有機半導体同士、n型有機半導体同士で一部凝集することで、p型有機半導体とn型有機半導体のバルクヘテロ接合が損なわれるためである。
そこで、光電変換層の耐熱性の改善、相分離構造の耐熱安定性の改善に向けて従来様々な検討がなされてきた。
例えば、非特許文献1には、架橋基を導入したp型半導体を用いて光電変換層に架橋構造を導入することで、光電変換素子の耐熱性を改善することが示されている。
非特許文献2には、P3HT(poly(3-hexylthiophene))とPC61BM([6,6]-phenyl-C61butyric acid methyl ester)から成る活性層に熱架橋性モノマーOBOCO(octane-1,8-diylbis(1,4-dihydrobenzo[d][1,2]oxathiine-6-carboxylate-3-oxide))を添加して光電変換層を熱硬化させることで、光電変換層の耐熱性を改善することが示されている。
非特許文献3には、以下の通り、PM6とBTTT-2Clから成る光電変換層に、n型半導体PZ1を添加することで、光電変換層の耐熱性を改善することが示されている。
Figure 0007643229000001
特許文献1においては、所定の半導体材料を用いることで、150~220℃、50分の耐熱試験後においても良好な光電変換特性を維持した光電変換素子の開発に成功している。
Materials.Today.2015,18,425-435 J.Mater.Chem.A,2013,1,4589-4594 Nat.Commun.2020,11,1218
特開2021-057573号公報
しかしながら、上記非特許文献1~3の技術では、いずれも以下のような課題がある。
非特許文献1,3に記載の手法では、架橋基を有する有機半導体を新たに開発する必要がある。
また、非特許文献2の熱硬化性モノマーOBOCOの硬化反応にはフラーレン誘導体が必須であり、本手法を用いる場合、光電変換層の半導体材料の選択に制限が生じる。
特許文献1に記載の手法は、耐熱性に富む所定の半導体材料を用いなければならず、半導体材料の選択に制限が生じる点では汎用性に乏しい。
これらの従来技術の問題を鑑みると、半導体材料の選択に依らず、添加剤等の後添加によって、耐熱性を付与できる汎用的な系が理想的である。さらに、光電変換層の相分離構造安定化による耐熱性付与を考えた場合、光電変換層内に架橋構造を形成する系が有効である。即ち、p型有機半導体及びn型有機半導体とは別に配合した添加剤自体によって、光電変換層内に架橋構造を形成してその耐熱性を向上させることができるならば、半導体材料の選択の自由度が高く、既存のp型有機半導体及びn型有機半導体の組み合わせに容易に適用することができる。
さらに、光電変換を担う半導体材料への影響を考慮すると、その硬化反応は光ではなく熱で進行することが望ましい。加えて、ある程度の耐熱性(例えば、ガラス転移温度Tg:100~160℃)が期待できる多種多様かつ汎用的な熱硬化成分を添加剤として選択することができれば、その手法の汎用性の点で有用である。かつ、その手法で光電変換層内に形成した架橋構造の耐熱性よりも更に高い耐熱性を有する光電変換層を形成することができるならば、高い耐熱性の改善効果の点で有用である。
しかし、このような要求項目を満たす技術は報告されていないのが実状である。
本発明は、光電変換層内に熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造を形成することで、当該熱硬化成分の加熱硬化物の耐熱性よりも高い耐熱性を示す有機光電変換素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機光電変換素子に、光電変換層内に形成した架橋構造を構成する熱硬化成分の加熱硬化物の耐熱性よりも高い耐熱性を付与し得る技術を見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] p型有機半導体及びn型有機半導体を含む光電変換層を有する有機光電変換素子であって、
該光電変換層内に熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造が形成されており、
該有機光電変換素子は、以下に定義される耐熱温度Tが、該熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgよりも高いことを特徴とする有機光電変換素子。
<耐熱温度Tの定義>
該有機光電変換素子について、所定の試験温度に50分間保持する耐熱性試験後に測定した外部量子効率EQEの値と、該有機光電変換素子について、該耐熱性試験を行わずに測定した外部量子効率EQEの値とで、下記式により算出される外部量子効率維持率が85%以上となる該耐熱性試験の試験温度のうち、最も高い試験温度を、当該有機光電変換素子の耐熱温度Tとする。
外部量子効率維持率=(EQE/EQE)×100
[2] 前記耐熱温度Tが200℃以上であり、前記熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgが該耐熱温度Tよりも40℃以上低い[1]に記載の有機光電変換素子。
[3] 前記p型有機半導体が非架橋性p型有機半導体であり、前記n型有機半導体が非架橋性n型有機半導体である[1]又は[2]に記載の有機光電変換素子。
[4] 前記熱硬化成分がエポキシ樹脂を主成分として含む[1]ないし[3]のいずれかに記載の有機光電変換素子。
[5] 前記熱硬化成分が更に硬化剤を含む[4]に記載の有機光電変換素子。
[6] 前記熱硬化成分の硬化温度が100~220℃の範囲内にある[1]ないし[5]のいずれかに記載の有機光電変換素子。
[7] 前記p型有機半導体が共役高分子であり、前記n型有機半導体がフラーレン骨格非含有半導体である[1]ないし[6]のいずれかに記載の有機光電変換素子。
[8] 前記n型有機半導体が、下記式(I)で表される化合物及び/又は下記式(I)で表される化合物の2以上の多量体を含む[7]に記載の有機光電変換素子。
Figure 0007643229000002
(上記式(I)中、Aは周期表第14族から選ばれる原子を表し、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。R1a,R1bは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R~Rは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のチオアルキル基、或いは水素原子を表す。)
本発明によれば、ある程度の耐熱性(例えば、ガラス転移温度Tg:100~160℃)が期待できる汎用的な熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造を光電変換層内に形成することで、当該熱硬化成分の加熱硬化物の耐熱性よりも高い耐熱性を示す有機光電変換素子を提供することができ、有機光電変換素子について、効率的な耐熱性の改善を行うことができ、高温環境下でも光電変換特性の低下の少ない有機光電変換素子を提供することができる。
有機物のみで光電変換層に高耐熱性(例えば、200℃以上)を付与する事は通常困難である。本発明では、ある程度の耐熱性が期待できる汎用的な熱硬化成分を用い(このような材料は数多くあり、添加剤選択の自由度が高い・適材適所の添加剤選択ができる)、かつ「架橋構造」を用いることで、材料そのものから期待される耐熱性以上の高耐熱性を付与することができる。
本発明による耐熱性向上のメカニズムを説明する模式図であり、(a)図は従来法を示し、(b)図は本発明を示す。 本発明の有機光電変換素子の実施形態の一例を示す断面模式図である。
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
[有機光電変換素子]
本発明の有機光電変換素子は、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む光電変換層を有する有機光電変換素子であって、該光電変換層内に熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造が形成されており、該有機光電変換素子は、以下に定義される耐熱温度Tが、該熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgよりも高いことを特徴とする。
<耐熱温度Tの定義>
該有機光電変換素子について、所定の試験温度に50分間保持する耐熱性試験後に測定した外部量子効率EQEの値と、該有機光電変換素子について、該耐熱性試験を行わずに測定した外部量子効率EQEの値とで、下記式により算出される外部量子効率維持率が85%以上となる該耐熱性試験の試験温度のうち、最も高い試験温度を、当該有機光電変換素子の耐熱温度Tとする。
外部量子効率維持率=(EQE/EQE)×100
なお、有機光電変換素子の外部量子効率は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
本発明の有機光電変換素子は、耐熱温度Tが100℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは180℃以上で、特に200℃以上であることが好ましい。また、光電変換層内に形成された熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgが該耐熱温度Tよりも5℃以上低く、好ましくは10℃以上低く、より好ましくは20℃以上低く、特に40℃以上低いことが好ましい。即ち、T-Tgは、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上、特に好ましくは40℃以上である。
Tが100℃以上であれば、多様な高温環境下での使用に対応できる点で好ましい。また、素子が製造工程で想定される加熱環境に耐えうる耐熱性の点では、Tは好ましくは140℃以上、より好ましくは180℃以上、特に200℃以上であることが好ましい。
このような本発明の有機光電変換素子は、例えば、光電変換層の形成に、p型有機半導体、n型有機半導体、熱硬化成分及び溶媒を含有する有機半導体インクを用い、光電変換層の形成に当たり、光電変換層を形成する面(通常は、後述の本発明の有機光電変換素子の電極面上、或いは電極上に形成された正孔輸送層等の他の層上)に、この有機半導体インクを湿式成膜法により成膜し、形成された塗膜を加熱硬化させることにより形成することができる。
ここで、本発明の有機半導体インクに用いるp型有機半導体及びn型有機半導体は、それぞれ非架橋性p型有機半導体及び非架橋性n型有機半導体であることが好ましい。
即ち、熱硬化成分を含む有機半導体インクであれば、有機半導体インク中の熱硬化成分自体で架橋構造を形成できるため、p型有機半導体やn型有機半導体に、架橋反応のための官能基の導入や架橋反応のための分子設計は必要とされない。このため、p型有機半導体及びn型有機半導体については非架橋性のものを用いることができ、このため、半導体材料の選択の自由度が高く、既存のp型有機半導体及びn型有機半導体の組み合わせに容易に適用することができる。
ここで、「熱硬化成分」とは、それ自体が熱により架橋硬化して架橋構造を形成する成分を含むものを意味する。
また、「非架橋性p型有機半導体」の「非架橋性」とは、p型有機半導体と熱硬化成分とが架橋反応しないことを意味し、p型有機半導体同士が架橋或いは重合ないし縮合反応することを排除するものではない。同様に、「非架橋性n型有機半導体」の「非架橋性」についても、n型有機半導体と熱硬化成分とが架橋反応しないことを意味し、n型有機半導体同士が架橋或いは重合ないし縮合反応することを排除するものではない。また、これらの有機半導体の「非架橋性」は、「p型有機半導体」と「n型有機半導体」が架橋或いは重合ないし縮合反応することを排除するものではない。
以下に非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体、熱硬化成分及び溶媒を含有する有機半導体インク(以下、「本発明の有機半導体インク」と称す場合がある。)を用いて本発明の有機光電変換素子の光電変換層(以下、「本発明の光電変換層」と称す場合がある。)を形成する実施の形態を例示して本発明の有機光電変換素子を説明するが、本発明の有機光電変換素子の光電変換層の形成方法は何ら本発明の有機半導体インクを用いる方法に限定されず、上記の通り、光電変換層内に形成された架橋構造を構成する熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgよりも高い耐熱温度Tを有する有機光電変換素子を得ることができる方法であればよい。
[本発明の有機半導体インクを用いた光電変換層の形成]
<メカニズム>
本発明の有機半導体インクによる光電変換層の耐熱性向上効果のメカニズムを図1を参照して説明する。
従来の有機半導体インクは、図1(a)に示すように、p型有機半導体(図1においてp型ポリマー)とn型有機半導体(図1においてn型分子)が溶媒に溶解したものであり、この有機半導体インクを成膜して形成される光電変換層内でp型ポリマーとn型分子が相溶することで、高い光電変換効率が得られる。
しかし、従来法では、高温環境(例えば150~220℃,50分の耐熱性試験)に晒されると、p型ポリマーとn型分子は流動し、それぞれが凝集することで相溶性が大きく損なわれ、これらが一部局在化することで、光電変換効率が低下する。
これに対して、本発明の有機半導体インクは、熱硬化成分を含むため、この有機半導体インクを成膜して熱硬化させると、形成される光電変換層内で熱硬化成分が架橋構造を形成する。このように熱硬化成分の架橋構造が形成された光電変換層では、高温環境(例えば150~220℃,50分の耐熱性試験)に晒されても、p型ポリマーとn型分子は熱硬化成分の架橋構造の網目に流動が阻止され、両者の相溶性は殆ど損なわれることなく、このため、光電変換効率の低下は抑制される。
<熱硬化成分>
本発明で用いる熱硬化成分は、加熱により硬化して、光電変換層内に、前述の通り、耐熱温度T>ガラス転移温度Tgとなる網目状の架橋構造を形成することができるものであればよく、特に制限はない。
熱硬化成分としては、耐熱温度T>ガラス転移温度Tgの条件を満たす耐熱性向上に有効な架橋構造を形成し易い観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の1種又は2種以上を主成分とするものが好ましく、特にエポキシ樹脂を用いることが好ましい。なお、ここで「主成分」とは、熱硬化成分に含まれる成分のうち最も含有量の多い成分をさし、好ましくは熱硬化成分中の主成分の含有量は38質量%以上、特に好ましくは49~100質量%である。
熱硬化成分としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤を併用することが好ましく、硬化剤を併用することで、熱硬化を速やかに進行させることができる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂として知られているものはすべて使用できる。
使用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹
脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、キシリレン骨格、ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂又は脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いても2種以上を組み合わせて併用して用いてもよい。
なかでも、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、加熱硬化によりp型有機半導体とn型有機半導体の流動を阻止し得る網状構造の架橋点を多く形成することで、光電変換層内に耐熱性向上に効果的な架橋構造を形成し易いことから、エポキシ当量が小さいものを用いることが好ましく、一方で、エポキシ樹脂の取り扱い性の面ではエポキシ当量の大きいものを用いることが好ましい。このような観点から、エポキシ樹脂のエポキシ当量は50~1000g/eq.であることが好ましく、70~500g/eq.であることがより好ましく、特に90~300g/eq.であることが好ましい。
なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
これらのエポキシ樹脂は、市販品を用いることができ、使用し得る市販のエポキシ樹脂としては、例えば、jER825(エポキシ当量175g/eq)、jER827(エポキシ当量185g/eq)、jER828(エポキシ当量189g/eq)、jER834(ポキシ当量250g/eq)、jER806(エポキシ当量165g/eq)、jER807(エポキシ当量170g/eq)、jER604(エポキシ当量120g/eq)、jER630(エポキシ当量98g/eq)、jER1032H60(エポキシ当量169g/eq)、jER152(エポキシ当量175g/eq)、jER154(エポキシ当量178g/eq)、jER157S70(エポキシ当量210g/eq)、YX-7700(エポキシ当量273g/eq)、YX-8000(エポキシ当量205g/eq)、YX-8800(エポキシ当量179g/eq)、YX-4000(エポキシ当量186g/eq)、YX-7105(エポキシ当量480g/eq)、YX-7400(エポキシ当量440g/eq)(いずれも商品名、三菱ケミカル株式会社製)、YD-127(エポキシ当量185g/eq)、YD-128(エポキシ当量189g/eq)、YDF-170(エポキシ当量170g/eq)、YDPN-638(エポキシ当量180g/eq)、TX-0911(エポキシ当量172g/eq)(いずれも商品名、新日鉄住金ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON840(エポキシ当量185g/eq)、EPICLON850(エポキシ当量189g/eq)、EPICLON830(エポキシ当量170g/eq)、EPICLON835(エポキシ当量172g/eq)、HP-4032(エポキシ当量150g/eq)、HP-4700(エポキシ当量162g/eq)、HP-4770(エポキシ当量204g/eq)、HP-4750(エポキシ当量185g/eq)、HP-7200(エポキシ当量265g/eq)、N-730A(エポキシ当量174g/eq)、N-740(エポキシ当量181g/eq)、N-770(エポキシ当量187g/eq)、TSR-400(エポキシ当量338g/eq)(いずれも商品名、DIC株式会社製)、GAN(エポキシ当量125g/eq)、GOT(エポキシ当量135g/eq)、NC-2000(エポキシ当量241g/eq)、NC-3000(エポキシ当量275g/eq)(いずれも商品名、日本化薬株式会社製)、MY-0500(エポキシ当量110g/eq)、MY-0600(エポキシ当量106g/eq)、ECN-1299(エポキシ当量230g/eq)(いずれも商品名、ハンツマンジャパン株式会社製)、D.E.R331、D.E.R354(エポキシ当量170g/eq)(エポキシ当量187/eq)、D.E.R332(エポキシ当量173g/eq)(いずれも商品名、THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
このようなエポキシ樹脂の熱硬化成分中の含有割合は38~100質量%であることが好ましく、49~99.5質量%であることがより好ましく、75~99.5質量%であることが特に好ましい。熱硬化成分中のエポキシ樹脂の含有割合が上記下限以上であればエポキシ樹脂により耐熱性向上に有効な架橋構造を効率的に形成することができる。熱硬化成分中のエポキシ樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、以下に示す硬化剤等の併用成分の含有割合を確保して硬化反応を円滑に促進させることができる。
(硬化剤)
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」、「硬化触媒」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類等が挙げられる。
このうち、耐熱性等の観点からは、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤を含むことが好ましい。また、イミダゾール類を用いることも、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’-ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’-ジハライドビフェニル重縮合物等の各種のフェノール樹脂類等が挙げられる。
これらのフェノール系硬化剤は、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.1~1000質量部であり、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは300質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。
脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。
ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。
脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。
芳香族アミン類としては、テトラクロロ-p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノアニソール、2,4-トルエンジアミン、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、2,4-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-アミノフェノール、m-アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α-(m-アミノフェニル)エチルアミン、α-(p-アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上で挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
第3級アミンとしては、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
以上で挙げた第3級アミンは1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
上記の第3級アミンは、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、1-メチル-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルグリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ樹脂との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物系硬化剤は1種のみでも2種以上を任意の組み合わせ及び配合量で組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<アミド系硬化剤>
アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
アミド系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
アミド系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂とアミド系硬化剤との合計に対してアミド系硬化剤が0.1~20質量%となるように用いることが好ましい。
<イミダゾール類>
イミダゾール類としては、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
イミダゾール類を用いる場合、エポキシ樹脂とイミダゾール類との合計に対してイミダゾール類が0.1~20質量%となるように用いることが好ましい。
(硬化促進剤)
本発明に係る熱硬化成分は、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤を含むことにより、硬化時間の短縮、硬化温度の低温化が可能となる。
硬化促進剤は特に制限されないが、具体例としては、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩等のリン系化合物、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
硬化促進剤として使用可能なリン系化合物としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等の化合物を付加してなる化合物等が例示される。
以上に挙げた硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類、ホスホニウム塩が好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。
また、硬化促進剤は、上記に挙げたもののうち、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、一方、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。硬化促進剤の含有割合が上記下限値以上であると、良好な硬化促進効果を得ることができ、一方、上記上限値以下であると、所望の硬化物性が得られやすいために好ましい。
(硬化温度)
本発明で用いる熱硬化成分は硬化温度が100~220℃の範囲内にあるものであることが好ましい。
硬化温度が100℃以上のものであれば、有機半導体インク調製時にインク中で熱硬化成分が反応することを防止することができる。光電変換層中に加熱により熱硬化成分を硬化させて架橋構造を形成するに当たっては、硬化温度は高い方が好ましい。一方、硬化温度が220℃以下のものであれば、光電変換層の形成に際して、加熱により熱硬化成分を硬化させて架橋構造を形成するに当たり、過度な高温加熱により、硬化により架橋構造が形成される前にp型有機半導体とn型有機半導体が流動して、相分離構造が変化し、光電変換特性が低下することを防止することができる。
このような観点から、熱硬化成分の硬化温度は120~220℃であることがより好ましく、特に140℃~220℃であることが好ましい。
熱硬化成分の硬化温度を上記範囲とするには、適正な硬化温度を有するエポキシ樹脂を選択する;適当な硬化剤や硬化促進剤を選択してその配合割合を調整する;といった手法を採用すればよい。
(熱硬化成分の含有割合)
本発明の有機半導体インク中の熱硬化成分の含有割合は、非架橋性p型有機半導体及び非架橋性n型有機半導体の合計100質量部に対して1~100質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましく、特に1~10質量部であることが好ましい。また、熱硬化成分としてエポキシ樹脂を用いる場合、本発明の有機半導体インク中のエポキシ樹脂の含有割合は、非架橋性p型有機半導体及び非架橋性n型有機半導体の合計100質量部に対して1~100質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましく、特に1~10質量部であることが好ましい。
なお、有機半導体インク中のp型有機半導体及びn型有機半導体の合計に対する熱硬化成分の含有割合は、本発明の光電変換層中のp型有機半導体及びn型有機半導体の合計に対する熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造の含有割合に相当する。
有機半導体インク中の熱硬化成分及びエポキシ樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、光電変換層内に耐熱性向上に有効な架橋構造を十分な割合で形成することができる。有機半導体インク中の熱硬化成分の含有割合が上記上限以下であれば、非架橋性p型有機半導体及び非架橋性n型有機半導体の含有量を確保して、光電変換効率に優れた光電変換層を形成することができる。
<非架橋性p型有機半導体>
非架橋性p型有機半導体は、特に限定されず公知の化合物が用いられ得るが、好ましくはドナー性の半導体であり、典型的には有機半導体(化合物)である。例えばp型共役高分子である正孔輸送性有機化合物が挙げられ、電子を供与しやすい性質がある化合物を用いることができる。
正孔輸送性に優れる骨格としては、具体的には、カルバゾール構造、チオフェン構造、ベンゾジチオフェン構造、チエノチオフェン構造、ジベンゾフラン構造、トリアリールアミン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造又はピレン構造が挙げられる。
このうち、特に後述の非架橋性n型有機半導体と混合して塗布により膜を形成できるものであることが好ましい。
具体的なものとしては、例えば下記式(II)で表されるものが用いられる。なお、式(II)中、nは正の数である。
Figure 0007643229000003
本発明で用いる非架橋性p型有機半導体は、p型半導体としての特性を向上させるためには、重量平均分子量が100000以上であることが好ましく、150000以上であることがさらに好ましい。また上限は溶媒への溶解性の面から、400000以下が好ましく、300000以下がさらに好ましい。
ここで、非架橋性p型有機半導体の重量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィーにより求めた値である。
<非架橋性n型有機半導体>
n型半導体は、アクセプター性半導体であり、主に電子輸送性化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある化合物をいう。さらに詳しくは2つの化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の化合物をいう。したがって、アクセプター性化合物は、電子受容性のある化合物であればいずれの化合物も使用可能である。
例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。
これに限らず、上記したように、ドナー性半導体として用いた化合物よりも電子親和力の大きな化合物であればアクセプター性半導体として用いてよい。
n型半導体としてフラーレン骨格を有するものを用いると、光電変換効率を高めるために、バルクヘテロ接合構造としても、嵩高いフラーレン骨格の存在でn型半導体とp型半導体との距離が離れてしまい、光電変換効率が低下してしまう。
従って、本発明における非架橋性p型有機半導体は、フラーレン骨格を有するn型半導体の割合がフラーレン骨格を有さないn型半導体に対して10質量%以下であることが好ましく、n型半導体中にフラーレン骨格を有するものが実質的に含まれていないフラーレン骨格非含有半導体であることがより好ましい。
ここで、「フラーレン骨格を実質的に含まない」とは、光電変換層において発生した電荷の内、電子の輸送を非フラーレン型のn型半導体が担うという意味であり、光電変換層のモルフォロジーの改善のために少量含有することはあり得る。そのような目的においては、通常フラーレン骨格を含むn型半導体は、フラーレン骨格を有さない非フラーレン型のn型半導体に対して5質量%以下で含有されており、好ましくはこの割合は2質量%以下である。
本発明で用いる非架橋性n型有機半導体は、特に非架橋性p型有機半導体との相溶性および(BHJ)型光電変換層形成能の観点から、下記式(I)で表される化合物及び/又は下記式(I)で表される化合物の2以上の多量体を含むことが好ましい。
Figure 0007643229000004
(上記式(I)中、Aは周期表第14族から選ばれる原子を表し、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。R1a,R1bは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R~Rは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のチオアルキル基、或いは水素原子を表す。)
上記式(I)中、Aは好ましくは炭素原子又はケイ素原子である。
~Xは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子であり、ハロゲン原子としてはフッ素原子又は塩素原子が好ましい。
1a,R1bは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は8~24、特に10~20、とりわけ12~18であることが好ましい。
炭素数8~24の直鎖又は分岐のアルキル基としては、n-オクチル基、n-デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等の直鎖アルキル基;2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基等の分岐を有する1級アルキル基;2-オクチル基、2-ノニル基、2-デシル基等の2級アルキル基;等が挙げられる。これらのうち、直鎖アルキル基又は分岐を有する1級アルキル基が好ましく、とりわけ2-エチルヘキシル基又は2-ブチルオクチル基であることが好ましい。
~Rは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のチオアルキル基、或いは水素原子であり、該アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基の炭素数は8~24、特に10~20、とりわけ12~18であることが好ましい。
~Rとしては、それぞれ独立して、炭素数8~24のアルコキシ基であることが好ましく、具体的には2-エチルヘキシルオキシ基又はパルミチルオキシ基が挙げられる。
非架橋性p型有機半導体との相溶性およびBHJ型光電変換層形成能の観点からR1aとR1bは同じ基であることが好ましく、R~Rは2種類以上の異なる基で構成されることが好ましい。
<非架橋性p型有機半導体及び非架橋性n型有機半導体の含有割合>
本発明の有機半導体インクに含まれる非架橋性p型有機半導体と非架橋性n型有機半導体の割合は、非架橋性p型有機半導体に対する非架橋性n型有機半導体の質量比率(n型有機半導体/p型有機半導体質量比)で0.5~2.5倍、特に1.0~2.0倍であることが好ましい。上記範囲よりも非架橋性n型有機半導体が多く非架橋性p型有機半導体が少ないと、近赤外領域における感度が低下する傾向がある。逆に上記範囲よりも非架橋性p型有機半導体が多く非架橋性n型有機半導体が少ないと、暗電流が発生し易い傾向にある。
なお、有機半導体インク中のp型有機半導体とn型有機半導体の含有割合は、本発明の光電変換層中のp型有機半導体及びn型有機半導体の含有割合に相当する。
<溶媒>
本発明の有機半導体インクに含まれる溶媒は、非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体及び熱硬化成分を溶解し得るものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の芳香族系含ハロゲン溶媒などの芳香族系溶媒;1,2-ジクロロエタン等の脂肪族含ハロゲン溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル系溶媒;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル等のエステル系溶媒;などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの溶媒のうち、非架橋型p型有機半導体および非架橋型p型有機半導体の溶解性の観点から芳香族系溶媒が好ましく、特に芳香族系含ハロゲン溶媒が好ましい。
<その他の成分>
本発明の有機半導体インクには、前述の熱硬化成分、非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体及び溶媒の他、必要に応じて安定剤、増粘剤等が含まれていてもよい。
ただし、本発明の有機半導体インクがこれらのその他の成分を含む場合、有機半導体インク本来の効果を十分に得る上で、有機半導体インク中のその他の成分の含有量は、熱硬化成分、非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体及びその他の成分の合計に対して10質量%以下であることが好ましい。
<固形分濃度>
本発明の有機半導体インクの固形分濃度、即ち、有機半導体インク中の溶媒を除く熱硬化成分、非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体及び必要に応じて含まれるその他の成分の合計の含有量は、10~30mg/mLであることが好ましく、12~24mg/mLであることがより好ましい。
有機半導体インクの固形分濃度が上記下限以上であれば光電変換層の形成効率に優れ、一方上記上限以下であれば有機半導体インクを容易に調製することができ、また、その取り扱い性に優れる。
<有機半導体インクの製造方法>
本発明の有機半導体インクは、溶媒に上記の熱硬化成分、非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体及び必要に応じて含まれるその他の成分を所定の濃度となるように添加混合することで製造することができる。
その際の各成分の添加順には特に制限はない。
<光電変換層の形成方法>
本発明の光電変換層は、光電変換層を形成する面(通常は、後述の本発明の有機光電変換素子の電極面上、或いは電極上に形成された正孔輸送層等の他の層上)に、本発明の有機半導体インクを湿式成膜法により成膜し、形成された塗膜を加熱硬化させることにより形成することができる。
湿式成膜法としては特に制限はないが、具体的にはスピンコート法などが挙げられる。この場合、スピンコートの条件は、有機半導体インクの粘度等を考慮して、定法に従い適宜決定すればよい。成膜時の温度も特に限定されないが、熱硬化成分の硬化が進行しない温度であり、通常100℃以下、例えば20~80℃程度である。
成膜された塗膜の加熱硬化の際の加熱条件としては、熱硬化成分が硬化して架橋構造を形成し得る温度であり、熱硬化成分の種類によっても異なるが、前述の好適な硬化温度条件、即ち、100~220℃が好ましく、120~220℃がより好ましく、特に140~220℃とすることが好ましい。
加熱時間についても、熱硬化成分が硬化して架橋構造を形成し得る時間であればよく、熱硬化成分の種類、加熱温度によっても異なるが、通常1~60分程度である。
このようにして形成される本発明の光電変換層の膜厚は、光電変換層の構成や有機光電変換素子の用途に応じて任意に設計することができるが、薄過ぎると光吸収が不十分で効率が低下し、厚過ぎると内部抵抗が増大して損失が大きくなることから、通常10nm~1μm程度とされる。
[有機光電変換素子の構造]
本発明の有機光電変換素子の構造は、例えば特開2007-324587号公報の記載などを参照することができ、特段限定されず、例えば、透明基板上に、透明電極、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、及び金属電極の順に積層された構造であってよく、透明基板上に、透明電極、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層、及び金属電極の順に積層された構造であってもよい。
図1は、本発明の有機光電変換素子の一例を示す模式的断面図である。この有機光電変換素子10は、第1電極11、正孔輸送層12、光電変換層13、電子輸送層14、及び下部電極としての第2電極15がこの順で積層されている。正孔輸送層12、光電変換層13及び電子輸送層14で有機光電膜20を形成する。通常、第1電極11の正孔輸送層12とは反対側には基板が設けられる。
<基板>
有機光電変換素子は、第1電極、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層及び第2電極等を支持するために、基板を備えていてもよい。基板は、第1電極側、第2電極側のいずれに設けられていてもよく、両側に設けられてもよいが、少なくとも、第1電極側に設けられていることが好ましい。
基板は、任意の材料により形成することが可能であるが、光を基板側から入射する場合は、透明性の高い材料で形成する必要がある。
基板の構成材料の例を挙げると、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料;などが挙げられる。なお、基板の構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、基板の形状及び寸法に制限はなく、任意に設定することができる。
さらに、基板には、ガスバリア性の付与や表面状態の制御のために、別の層を積層してもよい。
基板の厚さは、有機光電変換素子の用途、構成材料等に応じて任意に設計可能であるが、過度に薄いと、強度が不足して支持部材としての機能を果たし得ず、過度に厚いとコストアップとなるので、通常10μm~50mm程度のフィルム状、ないし板状とされる。
<電極>
電極(第1電極、第2電極)は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。
電極の構成材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその複合酸化物(例えばITO、IZO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、電極の構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
有機光電変換素子において、電極は少なくとも一対(2個)設けられ、この一対の電極の間に光電変換層が設けられる。この際、一対の電極のうち、少なくとも一方は透明(即ち、発電のために光電変換層が吸収する光を透過させる)ことが好ましい。透明な電極の材料を挙げると、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の複合酸化物;金属薄膜などが挙げられる。また、この際、光の透過率の具体的範囲に制限は無いが、有機光電変換素子の光電変換効率を考慮すると、80%以上が好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
電極は、光電変換層内に生じた正孔及び電子を捕集する機能を有するものである。従って、電極の構成材料としては、上述した材料のうち、正孔及び電子を捕集するのに適した構成材料を用いることが好ましい。正孔の捕集に適した電極の材料を挙げると、例えば、Au、ITO等の高い仕事関数を有する材料が挙げられる。一方、電子の捕集に適した電極の材料を挙げると、例えば、Alのような低い仕事関数を有する材料が挙げられる。
電極の厚さには特に制限はなく、用いた材料と、必要とされる導電性、透明性等を考慮して適宜決定されるが、通常10nm~100μm程度である。
なお、電極の形成方法に制限はないが、例えば、真空蒸着、スパッタ等のドライプロセスにより形成することができる。また、例えば、導電性インク等を用いたウェットプロセスにより形成することもできる。この際、導電性インクとしては任意のものを使用することができ、例えば、導電性高分子、金属粒子分散液等を用いることができる。さらに、電極は2層以上積層してもよく、特性(電気特性やぬれ特性等)改良のための表面処理を施してもよい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層には、公知の正孔輸送物質を用いることができる。具体的なものとしては、例えば以下に例示されるポリトリアリールアミン化合物等の正孔輸送性高分子が用いられる。その他、例えば、特開2019-173032号公報に記載の2,7-ビス(4-ブロモフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレン、2-アミノ-9,9-ジヘキシルフルオレン、4-(4-(1,1-ビス(4'-ブロモ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)エチル)フェニル)-1,2-ジヒドロシクロブタ[a]ナフタレンから合成したポリトリルアリールアミン化合物、4,4’-ジブロモビフェニル、2-アミノ-9,9-ジヘキシルフルオレン、3-(1,2-ジヒドロキシシクロブタ[a]ナフタレン-4-イル)アニリンから合成したポリトリアリールアミン化合物、4,4’-ジブロモビフェニル、4-(3,5-ジブロモフェニル)-1,2-ジヒドロシクロブタ[a]ナフタレン、2-アミノ-9,9-ジヘキシルフルオレンから合成したポリトリアリールアミン化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007643229000005
Figure 0007643229000006
Figure 0007643229000007
正孔輸送層の製膜方法も特に限定されないが、好ましくは正孔輸送性高分子を用い、湿式成膜法により形成される。
湿式成膜法による正孔輸送層の形成には、正孔輸送性高分子と溶剤とを含む正孔輸送層形成用組成物が用いられる。
該溶剤は、正孔輸送性高分子を溶解すればよく、通常正孔輸送性高分子を常温で0.05質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上溶解する溶剤である。溶剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが好ましい。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、及び1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
正孔輸送層形成用組成物における正孔輸送性高分子の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、膜厚の均一性の点では低い方が好ましく、一方、正孔輸送層に欠陥が生じ難い点では高い方が好ましい。具体的には、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、また、一方、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
また、正孔輸送層形成用組成物中の溶剤の濃度は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
正孔輸送層形成用組成物を用いて正孔輸送層を成膜する場合、正孔輸送層形成用組成物の塗布後、通常加熱を行う。加熱の手法は特に限定されないが、加熱乾燥の場合の条件としては、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、また通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下に、正孔輸送層形成用組成物を用いて形成された層を加熱する。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、形成された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
正孔輸送層の膜厚は、一実施形態では50nm以上100nm以下であり、別の実施形態では100nmより大きく400nm以下、好ましくは350nm以下であり、すなわち50nm以上400nm以下、好ましくは350nm以下である。
正孔輸送層の膜厚が上記下限以上であれば、ブロッキング層として正孔輸送層を設けたことによる暗電流の低減効果を有効に得ることができる。正孔輸送層の膜厚が上記上限以下であれば、有機光電変換素子を利用したCMOSイメージセンサにおいて光の入射角を広くとることが可能であり、また、有機光電変換素子の薄膜化を図ることができる。
暗電流を効果的に低減するために、正孔輸送層は光電変換層のn型有機半導体に対して0.3eV以上浅いLUMOを有していることが好ましく、0.5eV以上浅いLUMOを有していることが好ましく、1.0eV以上浅いLUMOを有することがさらに好ましい。また、正孔輸送層は光電変換層で発生した正孔を効率よく第1電極へと運ぶ役割を果たすことから、光電変換層のp型有機半導体とのHOMOの差が0.5eV以内であることが好ましく、0.3eV以内であることが好ましい。
<光電変換層>
光電変換層は、光を吸収して電荷を分離する層であって、本発明の有機光電変換素子の光電変換層は、前述の本発明の有機半導体インクにより形成された前述の本発明の光電変換層であることが好ましい。
<電子輸送層>
電子輸送層は、有機光電変換素子に必ずしも必要とされるものではないが、光電変換層と第2電極との間に電子輸送層を設けることで、光電変換効率を高めたり、暗電流を低減したりすることができる。
電子輸送層は、光電変換層で生成した電子を効率よく第2電極に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、光電変換層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このために、電子輸送層は光電変換層のn型半導体とのLUMOの差が1.5eV以下であることが好ましく、1.0eVであることが好ましい。また、電子輸送層によって暗電流を低減させる場合、電子輸送層は光電変換層のp型半導体に対して0.3eV以上深いHOMOを有していることが好ましく、0.5eV以上深いHOMOを有していることが好ましく、1.0eV以上深いHOMOを有していることがさらに好ましい。
電子輸送層に用いる電子輸送性化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59-194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3-ヒドロキシフラボン金属錯体、5-ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6-207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5-331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N’-ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
また、電子輸送層の形成材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウムなどの金属酸化物を用いることもできる。その場合、電子輸送層の成膜方法としては、金属酸化物のナノ粒子を湿式成膜して乾燥して金属酸化物層とする方法や、前駆体を湿式成膜して加熱変換する方法を用いることができる。
電子輸送層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により形成することができるが、通常、真空蒸着法が用いられる。
<その他の構成層>
有機光電変換素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、上述した基板、第1及び第2電極、正孔輸送層、光電変換層及び電子輸送層以外の構成層を備えていてもよい。
例えば、有機光電変換素子は、外気の影響を最小限にするために、光電変換層部分、更には電極部分を含めて覆うように保護膜を備えていてもよい。保護層は、例えば、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、等のポリマー膜;酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜;あるいはこれらの積層膜などにより構成することができる。
前記の保護膜の形成方法に制限はない。例えば、保護膜をポリマー膜とする場合には、ポリマー溶液の塗布乾燥による形成方法、モノマーを塗布或いは蒸着して重合する形成方法などが挙げられる。また、ポリマー膜の形成に際しては、さらに架橋処理を行なったり、多層膜を形成したりすることも可能である。一方、保護膜を無機酸化膜や窒化膜等の無機物膜とする場合には、例えば、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法などを用いることができる。
また、光電変換層で発生した電荷を効率よく電極に捕集させるために、第1電極と正孔輸送層との間、あるいは電子輸送層と第2電極との間に電荷注入層を備えていてもよい。
更に、有機光電変換素子は、例えば紫外線を透過させない光学フィルタを光の入射側に備えていてもよい。紫外線は一般に有機光電変換素子の劣化を促進することが多いため、この紫外線を遮断することにより、有機光電変換素子を長寿命化させることができるからである。
<有機光電変換素子の製造方法>
有機光電変換素子は、通常、基板上に、第1電極、正孔輸送層、光電変換層、第2電極の順でこれらの層をそれぞれ前述した方法で積層形成することにより製造される。これらの層間に必要に応じて設けられる電子輸送層等の形成工程が設けられる。
<有機光電変換素子の用途>
本実施形態の光電変換素子は、光センサーや撮像素子等に使用される。その場合の光センサー及び撮像素子の構成は、既知のものを適用すればよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例により限定されるものではない。
<測定方法>
・膜厚の測定方法
膜厚は、接触型としては、例えば、触針式表面形状評価装置Dektak150(アルバック社製)、または、非接触型は、例えば、形状測定レーザマイクロスコープVK-X200(キーエンス社製)で測定することができる。
・外部量子効率の測定方法:
擬似太陽光装置・電気特性測定機器(分光計器社製)による分光感度の測定から、波長940nmの光において、素子に-5Vの電圧を印加した際の外部量子効率の値を得た。
<実施例1>
ガラス基板上に電極としてインジウムスズ酸化物(ITO)の透明導電膜がパターン成膜されたITO基板の表面を紫外線オゾン洗浄機(NL-UV253、日本レーザー電子社製)で10分間処理した後に、正孔輸送層を次のように成膜した。
下記式(1)に示すポリトリアリールアミン化合物(正孔輸送性高分子)60mgを1mLのアニソールに溶解させ、正孔輸送層形成用組成物を調製した。この組成物を回転数1000rpmで60秒間、ITO基板の電極面にスピンコートし、240℃で30分間時間加熱乾燥して、膜厚300nmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0007643229000008
以下の材料を用い、溶媒に非架橋性p型有機半導体、非架橋性n型有機半導体、エポキシ樹脂及び硬化剤を溶解させて有機半導体インクを調製した。
非架橋性p型有機半導体:前述の式(II)で表されるp型有機半導体(重量平均分子量240000)
非架橋性n型有機半導体:前述の式(I)において、
A=炭素原子
~X=塩素原子
1a,R1b=2-エチルヘキシル基
=2-エチルヘキシル基
=2-エチルヘキシルオキシ基
,R=水素原子
であるn型有機半導体化合物
エポキシ樹脂:下記式(2)で表されるエポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製
jER828(エポキシ当量189g/eq))
Figure 0007643229000009
硬化剤:2-エチル-4-メチルイミダゾール
溶媒 :クロロベンゼン
有機半導体インク中の非架橋性p型有機半導体と非架橋性n型有機半導体の含有質量比(n型有機半導体/p型有機半導体)は1.2であり、非架橋性p型有機半導体と非架橋性n型有機半導体の合計100質量部に対する熱硬化成分の含有量は5.25質量部(エポキシ樹脂の含有量は5質量部,硬化剤の含有量は0.25質量部)であり、有機半導体インクの固形分濃度は16.5mg/mLである。
この有機半導体インクを用いて、正孔輸送層上に毎分1000回転でスピンコートした後、200℃で30分間加熱処理してエポキシ樹脂を硬化させることで、膜厚150nmの光電変換層を形成した。
次いで、電子輸送材料としてC60フラーレン(フロンティアカーボン社製)40nmと金属電極としてアルミニウム100nmをそれぞれ真空にて成膜して有機光電変換素子を得た。
なお、本実施例で熱硬化成分として用いたエポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製jER828)と2-エチル-4-メチルイミダゾールを上記と同様にエポキシ樹脂5質量部に対して2-エチル-4-メチルイミダゾール0.25質量部を含む混合物から得た熱硬化物について、示差走査熱量計測定によりガラス転移温度Tgを測定したところ、Tgは160℃であった。
<比較例1>
実施例1において、光電変換層形成時の加熱硬化を行わなかったこと以外は同様にして有機光電変換素子を製造した。
<耐熱性試験>
実施例1及び比較例1で得られた有機光電変換素子について、200℃の温度条件に50分間保持する耐熱性試験を行い、耐熱性試験前後の各有機光電変換素子の外部量子効率EQE,EQEを測定し、下記式により外部量子効率維持率を算出した。
結果を表1に示した。
外部量子効率維持率=(EQE/EQE)×100
Figure 0007643229000010
表1から明らかなように、実施例1の有機光電変換素子は、光電変換層内に形成された架橋構造を構成する熱硬化成分(エポキシ樹脂)の加熱硬化物のガラス転移温度Tgが160℃であるのに対して、200℃の耐熱性試験において、外部量子効率維持率89%を示す。
即ち、光電変換層内の架橋構造のTgよりも耐熱温度Tの方が40℃も高く、効率的な熱硬化の向上効果が得られている。
比較例1は、光電変換層の形成に、熱硬化成分の加熱硬化のための200℃での加熱を行っていないために、耐熱性試験前の外部量子効率は高いが、耐熱性試験後の外部量子効率は著しく低下しており、耐熱性に劣る。
なお、実施例1の有機光電変換素子について、試験温度を240℃としたこと以外は上記と同様に耐熱性試験を行って、耐熱性試験後の外部量子効率を測定したところ、耐熱性試験後の外部量子効率は10%であり、外部量子効率維持率は22%と著しく低く、実施例1の有機光電変換素子は240℃の耐熱性は有していないことが判明した。
この耐熱性試験結果から、実施例1の耐熱温度Tは200℃と推定される。
10 有機光電変換素子
11 第1電極
12 正孔輸送層
13 光電変換層
14 電子輸送層
15 第2電極
20 有機光電膜

Claims (7)

  1. p型有機半導体及びn型有機半導体を含む光電変換層を有する有機光電変換素子であって、
    該光電変換層内に熱硬化成分の加熱硬化物よりなる架橋構造が形成されており、
    該有機光電変換素子は、以下に定義される耐熱温度Tが、該熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgよりも高い有機光電変換素子であって、
    前記p型有機半導体が共役高分子であり、前記n型有機半導体がフラーレン骨格非含有半導体であることを特徴とする有機光電変換素子。
    <耐熱温度Tの定義>
    該有機光電変換素子について、所定の試験温度に50分間保持する耐熱性試験後に測定した外部量子効率EQEの値と、該有機光電変換素子について、該耐熱性試験を行わずに測定した外部量子効率EQEの値とで、下記式により算出される外部量子効率維持率が85%以上となる該耐熱性試験の試験温度のうち、最も高い試験温度を、当該有機光電変換素子の耐熱温度Tとする。
    外部量子効率維持率=(EQE/EQE)×100
  2. 前記耐熱温度Tが100℃以上であり、前記熱硬化成分の加熱硬化物のガラス転移温度Tgが該耐熱温度Tよりも5℃以上低い請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記p型有機半導体が非架橋性p型有機半導体であり、前記n型有機半導体が非架橋性n型有機半導体である請求項1又は2に記載の有機光電変換素子。
  4. 前記熱硬化成分がエポキシ樹脂を主成分として含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  5. 前記熱硬化成分が更に硬化剤を含む請求項4に記載の有機光電変換素子。
  6. 前記熱硬化成分の硬化温度が100~220℃の範囲内にある請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  7. 前記n型有機半導体が、下記式(I)で表される化合物及び/又は下記式(I)で表される化合物の2以上の多量体を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
    Figure 0007643229000011
    (上記式(I)中、Aは周期表第14族から選ばれる原子を表し、X~Xは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。R1a,R1bは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R~Rは、それぞれ独立して、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のチオアルキル基、或いは水素原子を表す。)
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LANDERER, Dominik et al.,Thermal Stabilization of the Bulk-Heterojunction Morphology in Polymer:Fullerene Solar Cells Using a Bisazide Cross-Linker,Solar RRL,2018年11月23日,Vol.3,Article No. 1800266

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