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JP7643249B2 - 安定液の管理方法 - Google Patents
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JP7643249B2 - 安定液の管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地中孔を利用してコンクリート構造物を構築する際に循環利用する安定液の管理方法に関する。
従来より、場所打ちコンクリート杭や連続地中壁等のコンクリート構造物を地中孔に構築する工事では、地中孔の孔壁保護、掘削土砂の運搬、水中コンクリート打設時の置換流体としての利用などを主な目的として、安定液を使用する。安定液は、CMC等のポリマー材やベントナイトを主材として製造した泥水であり、掘削土砂とともに地中孔より揚泥したのち、安定液と砂分を分離する物理的処理や再生調合等の再生処理を実施して、再度地中孔に供給する。
このように循環利用する安定液は、再生処理を行っても微細粒分の残留やポリマー材の消耗、コンクリートと接触することに起因して生じる化学的劣化などにより経時的に性状が変化することが知られている。このため、比重、粘性、砂分率、造壁性等を管理項目とする安定液の品質管理を定期的に実施する。ところが、造壁性の管理に必要なろ水量を測定するろ水試験は、試験に長時間を要するとともに、作業が煩雑であるため、実施されていない場合が多い。
このような中、特許文献1には、ろ水量との間に相関性を有する見かけ粘度を測定し、安定液の劣化状態を管理する方法が開示されている。具体的には、あらかじめ安定液にCa成分が混入した際のろ水量と見かけ粘度の関係を把握しておく。また、ろ水量で規定されている品質管理基準値に対応する見かけ粘度を、見かけ粘度管理値に設定しておく。そのうえで、安定液の見かけ粘度の実測値を、見かけ粘度管理値と比較することにより、安定液の凝集に起因する劣化状態を管理する方法である。
特開2018―150689号公報
特許文献1によれば、安定液にCa成分が混入した際の安定液の凝集に起因する劣化状態を、迅速かつ経済的に管理することが可能となる。しかし、安定液の劣化はCa成分との接触だけでなく、様々な要因で生じる可能性がある。劣化を生じて造壁性を維持できない場合には、地中孔の孔壁崩壊やコンクリートの打設不良など不具合を生じる恐れがあるため、安定液の造壁性を適正に管理する方法が望まれている。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、循環利用する安定液の造壁性を、簡略かつ経済的でありながら適正に管理することである。
かかる目的を達成するため本発明の安定液の管理方法は、地中孔を利用してコンクリート構造物を構築する工事で循環利用される安定液の管理方法であって、前記地中孔から揚泥した前記安定液におけるポリマー比の算定値と、あらかじめ設定した前記ポリマー比の管理閾値とに基づいて、前記安定液に含有するポリマー材の適正量を管理するポリマー材管理工程を備え、前記ポリマー比は、前記安定液中に含有する前記ポリマー材に対する土粒子の重量比であり、前記管理閾値は、前記ポリマー比とろ水量の関係に基づいて設定され、前記ろ水量が前記安定液の造壁性を管理する管理基準値以下となる範囲の前記ポリマー比の上限値であることを特徴とする。
本発明の安定液の管理方法によれば、ろ水量の管理基準値に基づいてポリマー比に管理閾値を設定し、このポリマー比の管理閾値を利用して安定液に含有するポリマー材が適正量を満足するか否かを判定する。これにより、装置が煩雑で測定時間に多大な時間を要するろ水試験を実施することなく、安定液の造壁性を評価することが可能となる。
また、本発明の安定液の管理方法は、前記ポリマー材管理工程で含有する前記ポリマー材が適正量に満たないと判定された前記安定液について、B型粘度の実測値とあらかじめ設定した前記B型粘度の健全領域とに基づいて、前記安定液の健全性を評価する健全性評価工程を備え、前記健全領域は、前記ろ水量と前記B型粘度との関係に基づいて設定した、前記ろ水量が前記管理基準値以下となる範囲であることを特徴とする。
本発明の安定液の管理方法によれば、ポリマー材管理工程で安定液中のポリマー材が適正量に満たないと判定された安定液についてさらに、安定液における劣化の兆候を示すB型粘度を用いて、安定液の健全性を評価する。これにより、ポリマー材が適正量に満たない場合であっても、安定液に劣化が生じておらず造壁性を維持している安定液を判別できる。これにより、高い精度で安定液の造壁性を管理することが可能となる。
また、健全領域から逸脱し劣化の兆候が見られる安定液についてのみ、ろ水量試験を実施すればよく管理が容易で経済的であるため、工事中に実施する安定液の管理作業を効率化することができる。これにより、循環利用する安定液の劣化を早期の段階で把握し、適切な再生処理を実施して安定液の性状改善を図ることができ、安定液の長寿命化と廃棄処分量の低減を図ることが可能となる。
本発明によれば、ポリマー比及びB型粘度を組み合わせて安定液の健全性を評価したのち、劣化の兆候が見られる安定液にのみろ水試験を行うことにより、簡略かつ経済的でありながら適正に、循環利用する安定液の造壁性を管理することが可能となる。
本発明の実施の形態における工事現場で安定液を循環利用する様子を示す図である。 本発明の実施の形態におけるポリマー比とろ水量の関係を示す図である。 本発明の実施の形態における試験用安定液とB型粘度計を示す図である。 本発明の実施の形態におけるB型粘度とろ水量の関係を示す図である。 本発明の実施の形態における安定液の管理手順を示す図である。
本発明は、地中孔を利用して場所打ちコンクリート杭や連続地中壁のようなコンクリート構造物を構築する工事で循環利用される安定液の管理方法であって、特に安定液の造壁性を適正に管理しようとするものである。
以下に、安定液の管理方法を、主材に造壁性に寄与するポリマー材として知られるCMCを採用したCMC系安定液を循環利用し、場所打ちコンクリート杭の構築工事を行う場合を事例に挙げ、図1~図5を参照しつつ、その詳細を説明する。
図1で示すように、場所打ちコンクリート杭を構築予定の施工対象領域で、安定液3を供給しつつ地中孔1を構築すると、安定液3中のCMCが粘土粒子を結合し、粘土-CMC複合体である泥膜2を孔壁に形成する。こうして泥膜2を形成することにより孔壁に目詰まりが生じさせて、安定液3の液圧を孔壁に作用させる。これにより、安定液3は、地盤側7の土圧や水圧に抵抗して孔壁の崩壊を防止し、孔壁の安定性を確保することが可能となる。
≪≪≪安定液の循環利用≫≫≫
上記の安定液3は、地中孔1の掘削時に掘削土砂の排出媒体として機能し、地中掘削機4による地盤の掘削により生じた掘削土砂とともに揚泥される。揚泥された安定液3は、再生処理設備5に供給されて、再生処理が実施されたのち再度、地中孔1に供給されることで循環利用される。
再生処理設備5は一般に、安定液3から掘削土砂を分離する土砂分離装置51、分離した廃棄土砂6を貯留する廃砂槽52、掘削土砂が分離された安定液3の再生調合を行って再度、地中孔1に供給し循環させる調合装置53を備えている。
土砂分離装置51は、例えば、掘削土砂を重力により沈降させる沈砂槽511や、機械的に掘削土砂を分離する振動式マッドスクリーン、サイクロン、スクリューデカンタ等の土砂分離機512が装備されている。また、調合装置53は、安定液3に補充する調合用泥水33を作液する作液槽531や、この調合用泥水33と沈砂槽511に貯留された安定液3とを混合撹拌する循環槽532を備えている。
したがって、地中孔1より揚泥された安定液3は、混入した掘削土砂を土砂分離装置51にて分離する物理的処理や分散剤等を使用した化学的処理を行ったのち、調合装置53で再生調合等の再生処理が実施される。こうした再生処理を行うことで、循環利用される安定液3は、循環回数の増加に伴う安定液3の逸水や掘削残土への吸着によるCMCの消耗、セメント(Ca成分)の混入によるベントナイトや粘土コロイド粒子の凝集など、様々な原因により消失する可能性のある造壁性の機能を回復する。
≪≪≪安定液の管理方法に用いる指標≫≫≫
上記のとおり循環利用される安定液3は、揚泥したうちの一部を試料として採取し、比重、粘性、砂分率の測定を行う品質管理を定期的に実施するが、造壁性の機能が維持された状態にあるか否かについて、適正な評価がなされていない。そこで、安定液の管理方法では、造壁性を評価する指標として知られているろ水量に加えて、ポリマー比(S/P)とB型粘度を組み合わせて、循環利用する安定液3の造壁性を管理する。
ポリマー比(S/P)は、安定液3に含まれるCMCが適正量(安定液3に含まれる土粒子量に対して適正なCMC量)を満足するか否かを判定する指標であり、B型粘度は安定液3の健全性及び劣化の兆候を判定する指標である。以下に、ポリマー比(S/P)及びB型粘度について説明する。
≪≪ポリマー比(S/P)≫≫
ポリマー比(S/P)は、安定液3中のCMCに対する土粒子の重量比である。土粒子とは、安定液3を作液する際に添加したベントナイトと掘削土砂中の細粒分とを足し合わせたものをいう。
安定液3は図1で示したように、液中に含まれるCMCが地中孔1の孔壁に泥膜2を形成する機能である造壁性を有することにより、地中孔1の孔壁保護効果を発揮する。このような孔壁保護効果を、循環利用を繰り返した安定液3にも安定して発揮させるには、土粒子濃度に対して作液時と同程度の十分なCMC濃度が確保されている必要がある。
そこで、揚泥した安定液3のポリマー比(S/P)を算定することにより、循環利用している安定液3について、土粒子量に対して必要なCMC量が確保されていることを確認する。ポリマー比(S/P)は、次の(1)式で算定することができる。
Figure 0007643249000001
Figure 0007643249000002
Figure 0007643249000003
Figure 0007643249000004
≪CMCの質量P≫
一方、CMCの質量Pは、上記の(1)式のとおりCMC濃度pにより算定できる。しかし、現場で採取した安定液3のCMC濃度pを取得することは困難であるため、マスバランス(物質の出入りの量的関係)からCMC濃度pを推定する。
まず、循環利用される安定液3は図1で示すように、地中孔1と沈砂槽511と循環槽532に貯留されている。そして、地中孔1中の安定液3には、含有量AのCMCが含有され、沈砂槽511と循環槽532の安定液3には、両者を足し併せて含有量BのCMCが含有された状態にある。
次に、地中孔1の孔壁から逸水する逸水安定液31及び劣化により廃棄処分となった廃棄安定液32は、循環利用される安定液3の損失分である。そして、これら逸水安定液31と廃棄安定液32及び廃砂槽52に貯留された廃棄土砂6には、これらを足し併せて出量DのCMCが含まれており、これがマスバランスでいう物質の出量に相当する。
一方、作液槽531で作液された調合用泥水33は、循環槽532で安定液3に補充追加されるから、これらは循環利用される安定液3の追加分である。そして、調合用泥水33には入り量CのCMCが含まれており、これがマスバランスでいう物質の入り量に相当する。
してみると、揚泥した安定液3から試料として一部を採取した時点(採取当日)のCMC濃度pは、次の(5)式により算定できる。そして、含有量A、含有量B、入り量C、出量D、現場保有量及び損失量は、ぞれぞれ、次の(6)式~(11)式により算定される。なお、杭孔量、沈砂槽量、循環槽量、作液量はいずれも、図1で示すように、地中孔1、沈砂槽511、循環槽532、作液槽531に貯留する安定液3の体積である。
Figure 0007643249000005
≪≪ポリマー比(S/P)の閾値の設定≫≫
上記のポリマー比(S/P)を用いて、安定液3に含まれるCMCが適正量を満足するか否かを判定するにあたっては、予め、ポリマー比(S/P)に管理閾値Tを設定する。
管理閾値Tは、次の手順により設定する。まず、比重やCMC濃度、セメント添加率等を適宜変化させて、様々な性状を有する複数の試験用安定液3’を作液する(作液方法は後述する)。次に、作液した試験用安定液3’ごとに、ろ水量を測定するとともにポリマー比(S/P)を算定する。ろ水量の測定は、従来より実施されているろ水量試験器を用いたろ水量試験にて実施すればよい。
これらを、図2(a)で示すように、縦軸にろ水量をとり、横軸にポリマー比(S/P)を取ったグラフにプロットする。こうして作成したポリマー比(S/P)とろ水量の関係を示すグラフから、ろ水量が30mlを超えない範囲の上限値に相当するポリマー比(S/P)を抽出し、これを管理閾値Tとして設定する。
ろ水量は、安定液3の管理方法において、造壁性を評価する際に一般的に用いられる指標であり、ろ水量の管理基準値は30mlに規定されている。つまり、安定液3から測定したろ水量が30mlを超えた場合、安定液3は造壁性を喪失したものと判定される。したがって、ろ水量が管理基準値である30ml以下範囲の上限値に相当するポリマー比(S/P)を管理閾値Tを設定する。
図2(a)の事例を見ると、ポリマー比(S/P)が40以下の場合に、すべての試験用安定液3’のろ水量が30mlを超えていない様子がわかる。したがって、本実施の形態では、管理閾値Tを40に設定し、ポリマー比(S/P)が40以下である場合には、安定液3に含まれるCMCが適正量を満足しており、安定液3は健全であると判定することとした。
上記の図2(a)のグラフにデータをプロットした試験用安定液3’は、図2(b)で示すように、セメントを添加する場合と添加しない場合の2ケースを準備した。セメントを添加しない試験用安定液3’は、比重とCMC濃度を適宜変化させて作液したものであり、比重が1.002~1.150の範囲、CMC添加率が0.01~0.4%の範囲に属する125種類を採用した。
一方、セメントを添加した試験用安定液3’は、セメント添加率、CMC添加率及び比重を適宜変化させて作液したものであり、セメント添加率が0.4~0.8%の範囲、CMC添加率が0.05~0.3%の範囲、比重が1.049~1.153の範囲に属する54種を採用した。なお、試験用安定液3’の作液にあたり、比重調整用の土砂は、ベントナイト、笠岡粘土、トチクレー、沖積粘土、土丹を混合し均質化したものを採用している。
≪管理閾値Tの設定する際に採用する試験用安定液3’の作成方法≫
このように試験用安定液3’は、安定液3が循環利用する過程で現場環境や施工条件等により性状を様々に変化させる可能性があることを考慮し、配合の異なる複数種類を準備するとよい。以下に、図3(a)を参照しつつ、試験用安定液3’の作成手順を示す。
まず、施工対象領域で実施したボーリング調査により取得した試料から、比重調整用の土砂8を採取して均質化する。また、安定液3の初期濃度からベントナイト濃度及びCMC濃度を設定する。ベントナイト濃度は、安全側を考慮して0%に設定し、必要に応じて0~初期濃度の範囲で添加率を設定する。CMC濃度は、初期濃度を最大値に設定するとともに、最小値を0.05%に設定し、段階的に濃度を減少させた複数のケースを準備する(例えば初期濃度が0.2%であれば、0.2、0.1、0.05%)。
こののち、複数のケースを準備したCMC濃度ごとに、ポリマー比(S/P)が概ね1~150の範囲となるように比重を設定し、比重調整用の土砂8の添加量を複数パターン設定する。さらに、これらに対して、添加するセメント9の添加率を設定する。セメント9の添加率は0.4~0.8%の範囲で、複数のパターンを設定する。
上記のとおり設計された配合をそれぞれ水10とともに攪拌混合し、複数種類の試験用安定液3’を作液する。こうしてCMC濃度、比重、セメント9の添加率の異なる様々な試験用安定液3’を作液し、これらを利用して上述した手順でポリマー比(S/P)の管理閾値Tを設定する。
これにより、ポリマー比(S/P)の管理閾値Tを利用して、安定液3に含有するCMCが適正量を満足するか否かを判定できる。したがって、装置が煩雑で測定時間に多大な時間を要するろ水試験を実施することなく、安定液3の造壁性を評価することが可能となる。また、試験用安定液3’を作液する際、ベントナイト及びCMCとして施工時に使用予定の材料を採用する、また、施工対象領域で採取した土砂を比重調整用の土砂として採用すると、より高い精度で安定液3の健全性を評価することが可能となる。
≪≪B型粘度≫≫
B型粘度は、B型粘度計11(単一円筒形回転粘度計:ブルックフィールド型粘度計)を用いたB型粘度測定試験にて取得する。
B型粘度計11は、図3(b)で示すように、浸漬マーク111とローター112とガイドレール113とを備え、B型粘度測定試験では、まず、ガイドレール113がビーカーの底部に近接するまでローター112をビーカーに挿入させる。次に、ビーカーに試験用安定液3’を液面が浸漬マーク111に到達するまで供給し、ローター112を回転させる。このとき、ローター112に働く試験用安定液3’の粘性抵抗トルクを測定する。
B型粘度は、このトルク値と所定の係数に基づいて、粘度値に換算したものである。このように、B型粘度測定試験は、簡略かつ迅速にB型粘度を測定することができる。そして、B型粘度は、ろ水量との間に相関性があること、セメント(Ca成分)の混入に起因する安定液3の劣化を評価する指標として利用できることが知られている。詳細は、特開2018-150689号公報に譲る。
そこで、B型粘度とろ水量の関係から、セメント(Ca成分)の混入に起因する安定液3の劣化だけでなく、CMCの不足に起因する安定液3の劣化についても評価が可能であることを検証するべく、次のような試験を実施した。
≪≪B型粘度とろ水量に基づく安定液の評価試験≫≫
安定液の評価試験は、次の手順により設定する。まず、様々な条件の安定液3を想定して複数の試験用安定液3’を作成する。
試験用安定液3’は、図4(a)で示すように、比重、セメント添加率及びCMC添加率を適宜変化させて作液したもので、比重が1.002~1.160の範囲、セメント添加率が0~5.0%の範囲、CMC添加率が0.01~0.4%の範囲に属する238種を採用した。作液にあたり、採用した比重調整用の土砂は、ベントナイト、笠岡粘土、トチクレー、沖積粘土、土丹を混合し均質化したものを採用している。
次に、作液した試験用安定液3’ごとに、ろ水量とB型粘度を測定した。ろ水量の測定は、従来より実施されているろ水量試験器を用いたろ水量試験にて実施した。また、B型粘度は、上述したB型粘度測定試験にて測定した。
B型粘度計11のローター112の回転数は、6~60rpmの間で段階的に変更可能であるため、回転数を変えて試験を行ったところ、好適な回転数が6rpmであることを見出した。このため、上記の238種の試験用安定液3’すべてについて、回転数を6rpmに設定し、試験を行っている。
これらを、図4(b)で示すように、縦軸にろ水量をとり、横軸にB型粘度を取ったグラフにプロットした。図4(b)のB型粘度とろ水量の関係を示すグラフをみると、B型粘度が6~100mPa・sの範囲で、ろ水量がほぼ30ml以下に収まっている様子がわかる。つまり、この範囲にある試験用安定液3’は、造壁性を有する健全な状態にあるといえる。
その一方で、6mPa・sを下回ると、ろ水量が徐々に上昇して30mlを超えるケースが増加している様子がわかる。これは、試験用安定液3’が十分な粘性を有していない低粘度領域にあることを意味する。つまり、CMCが不足している状態にあるといえる。
また、B型粘度が100mPa・sを上回った場合も、ろ水量が徐々に上昇して30mlを超えるケースが増加している様子がわかる。これは、試験用安定液3’がローター112の回転に高い抵抗を有する程度の高粘度領域にあることを意味する。つまり、添加したセメント(Ca成分)によりベントナイトや粘土コロイド粒子の凝集が生じている状態にあるといえる。
上記のとおりであるから、安定液の管理方法では、B型粘度が6~100mPa・sの範囲を健全領域と定義し、この健全領域から逸脱した安定液3は、劣化の兆候が見られるものと判定する。また、劣化の兆候が見られる安定液3についてはB型粘度を、劣化の誘因(セメントの混入もしくはCMCの不足)を特定する支援情報として活用する。
≪≪≪安定液の管理方法≫≫≫
上記のポリマー比(S/P)、B型粘度及びろ水量の3つの指標を組み合わせて、循環利用する安定液3の造壁性を評価する手順を、以下に図5を参照しつつ説明する。
≪≪安定液のポリマー材管理工程:STEP1≫≫
地中孔1より揚泥した安定液3のポリマー比(S/P)を算定し、安定液3中に含まれるCMC量が土粒子量に対して適正であることを確認する。
事前準備として、ポリマー比(S/P)の管理閾値Tを設定する。設定方法及び試験用安定液3’の作液方法は上述したとおりであり、試験用安定液3’の作液にあたっては、ベントナイト及びCMCとして施工時に使用予定の材料を採用し、また、工事現場で採取した土砂を比重調整用の土砂として採用するとよい。次に、地中孔1より揚泥した安定液3から一部を試料として採取し、比重、砂分率、粘性度を測定する。
Figure 0007643249000006
Figure 0007643249000007
ポリマー比(S/P)の算定値とあらかじめ取得したポリマー比(S/P)の管理閾値Tとを比較し、管理閾値T未満の場合には、循環利用中の安定液3に含まれるCMC量が適正量を満たしているものと推定できる。したがって、安定液3は良好であると判定する。一方、ポリマー比(S/P)の算定値が管理閾値T以上の場合には、CMC量が適正量を満たしていないものと判定し、STEP2に進む。
≪≪安定液の健全性評価工程:STEP2≫≫
STEP1において、安定液3に含有するCMCが適正量を満たしていないと判定された安定液3について、B型粘度計11によりB型粘度の実測値Viを取得し、安定液3の健全性を評価する。
B型粘度の実測値Viが、上記の健全領域(6~100mPa・sの範囲)に収まる場合には、安定液3が健全であると判定する。一方、B型粘度の実測値Viが健全領域から逸脱している安定液3については、劣化の兆候があるものとして取り扱うこととし、STEP3に進み劣化原因を特定する。
このように、ポリマー比(S/P)とB型粘度を組み合わせることにより、安定液3に含有するCMCが適正量に満たない場合であっても、劣化が生じておらず造壁性を維持している安定液3を判別できる。これにより、高い精度で安定液3の造壁性を管理することが可能となる。
≪≪安定液の劣化判定工程:STEP3≫≫
STEP2で劣化の兆候が見られた安定液3についてろ水試験を実施してろ水量の実測値Fiを取得し、安定液3の劣化判定を行う。
ろ水量の実測値Fiが30ml以下の場合には、安定液3は健全であると評価する。これは、前述したように、造壁性を評価するろ水量の管理基準値が30mlに設定されていることに起因する。一方、ろ水量の実測値Fiが30mlを超える場合には、次のとおり判定する。
ろ水量の実測値Fiが30mlを超えるとともにB型粘度の実測値Viが健全領域の下限値(6mPa・s)より低い場合、安定液3中のポリマー不足に起因する劣化が生じているものと判定する。また、ろ水量の実測値Fiが30mlを超えるとともにB型粘度の実測値Viが健全領域の上限値(100mPa・s)を超える場合、安定液3中のセメント(Ca成分)の混入による劣化が生じているものと判定する。
このように、健全領域から逸脱し劣化の兆候が見られる安定液3についてのみ、ろ水量試験を実施することから管理が容易で経済的であるため、工事中に実施する安定液3の管理作業を効率化することができる。これにより、循環利用する安定液3の劣化を早期の段階で把握し、適切な再生処理を実施して安定液3の性状改善を図ることができ、安定液3の長寿命化と廃棄処分量の低減を図ることが可能となる。
≪≪劣化原因に基づく対策:STEP4≫≫
劣化原因が特定された安定液3について、劣化原因に基づく対策を実施する。
安定液3の劣化原因がCMC不足であると特定された場合には、腐敗状況の調査を行うとともに、腐敗対策、CMCの追加、安定液3の希釈もしくは廃棄を検討する。一方、安定液3の劣化原因がセメント(Ca成分)の混入であると特定された場合には、CMCの追加、分散剤の追加、安定液3の希釈もしくは廃棄を検討する。
安定液3は造壁性が確保されていれば、低比重・低粘性であることが好ましい。したがって、上記の対策を実施するなどして造壁性を確保したうえで、安定液3を好適な比重・粘性に調整すれば、地中孔1に構築する場所打ちコンクリート杭の品質向上に寄与することが可能となる。
本発明の安定液の管理方法によれば、ポリマー比(S/P)及びB型粘度を組み合わせて安定液3の健全性を評価したのち、劣化の兆候が見られる安定液3にのみ、ろ水試験を行う。これにより、簡略かつ経済的でありながら適正に、循環利用する安定液3の造壁性を管理することが可能となる。
本発明の安定液の管理方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、CMC系安定液を事例に挙げ、安定液の管理方法を説明したが、これに限定するものではない。例えば、ベントナイトを多く含むベントナイト系安定液や、CMCと同様の機能を有するポリマー材を多く含むポリマー系安定液など、ベントナイトと造壁性に寄与するポリマー材を含むものであれば、いずれの安定液3にも採用可能である。
また、安定液3に採用するポリマー材としては、SSD(Super Slurry D:ポリカルボン酸系の泥膜形成剤)、SSC(Super Slurry C:分散性と泥膜形成性の2つの機能をあわせ持つ掘削泥水材料)、Sarari(泥水調整剤)など、地中孔1孔壁に泥膜2を形成する機能を有するものであれば、いずれも採用可能である。
さらに、本実施の形態では、安定液の管理方法を、場所打ちコンクリート杭の構築工事で採用する場合を事例に挙げたが、これに限定するものではなく、安定液3を循環利用して地中孔や地中溝に場所打ちコンクリート造の構造物を構築する工事であれば、いずれにも採用することが可能である。
1 地中孔
2 泥膜
3 安定液
31 逸水安定液
32 廃棄安定液
33 調合用泥水
4 地中掘削機
5 再生処理装置
51 土砂分離装置
511 沈砂槽
512 土砂分離機
52 廃砂槽
53 調合装置
531 作液槽
532 循環槽
6 廃棄土砂
7 地盤側
8 土砂
9 セメント
10 水
11 B型粘度計
111 浸漬マーク
112 ローター
113 ガイドレール
A 含有量(CMC)
B 含有量(CMC)
C 入り量(CMC)
D 出量(CMC)
T 管理閾値(ポリマー比)
Vi 実測値(B型粘度)
Fi 実測値(ろ水量)

Claims (2)

  1. 地中孔を利用してコンクリート構造物を構築する工事で循環利用される安定液の管理方法であって、
    前記地中孔から揚泥した前記安定液におけるポリマー比の算定値と、あらかじめ設定した前記ポリマー比の管理閾値とに基づいて、前記安定液に含有するポリマー材の適正量を管理するポリマー材管理工程を備え、
    前記ポリマー比は、前記安定液中に含有する前記ポリマー材に対する土粒子の重量比であり、
    前記管理閾値は、前記ポリマー比とろ水量の関係に基づいて設定され、前記ろ水量が前記安定液の造壁性を管理する管理基準値以下となる範囲の前記ポリマー比の上限値であることを特徴とする安定液の管理方法。
  2. 請求項1に記載の安定液の管理方法において、
    前記ポリマー材管理工程で含有する前記ポリマー材が適正量に満たないと判定された前記安定液におけるB型粘度の実測値と、あらかじめ設定した前記B型粘度の健全領域とに基づいて、前記安定液の健全性を評価する健全性評価工程を備え、
    前記健全領域は、前記ろ水量と前記B型粘度との関係に基づいて設定した、前記ろ水量が前記管理基準値以下となる範囲であることを特徴とする安定液の管理方法。
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