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JP7644610B2 - エンジンシステム - Google Patents
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Description

本発明は、エンジンを有するエンジンシステムに関する。
例えば、特許文献1には、エンジンのノックを防止することを目的としたエンジンシステムの一例が開示されている。なお、ノックは、ノッキングとも呼ばれる。
特開2004-3428号公報
特許文献1の技術では、混合気の点火時期と連動させて高圧空気を燃焼室に噴射させ、燃焼室内に乱流を発生させる。これにより、特許文献1の技術では、燃焼後期の燃焼速度を向上させて、ノックの抑制を図っている。しかし、特許文献1の技術を適用しても、ノックの抑制が十分ではなかった。このため、より適切にノックを抑制することが望まれている。
そこで、本発明は、エンジンのノックを抑制することが可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のエンジンシステムは、シリンダ内に形成される燃焼室と、シリンダを形成するシリンダブロック上にシリンダを塞ぐように配置されるシリンダヘッドの内部に、シリンダの中心軸を軸として円環状に設けられた通路であるエアチャンバーと、内径がシリンダの径よりも大きいガスケットがシリンダブロックとシリンダヘッドとにより挟持されることで、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に円環板状に形成され、燃焼室に連通する隙間部と、エアチャンバーと隙間部とを連通する連通孔であってエアチャンバーの円周方向に沿って分散して配置される複数の連通孔と、空気を圧縮して第1圧力の高圧空気を生成し、高圧空気を、エアチャンバー、連通孔および隙間部を介して、燃焼室に供給する空気加圧ポンプと、吸気バルブを動作させるカムシャフトに連結され、前記カムシャフトに連動して回転する空気カムと、前記空気加圧ポンプから前記エアチャンバーへ繋がる前記高圧空気の配管に設けられ、前記空気カムの回転に連動して前記配管を開閉する空気バルブと、を備え、空気加圧ポンプは、点火前に燃焼室のうちシリンダの内周面の周辺の周辺エリアに高圧空気を供給することにより、燃焼室内に存在するリッチな混合気を燃焼室のうち中央エリアに集合させ、中央エリアの混合気層と周辺エリアの空気層とからなる成層構造を形成させ、第1圧力は、燃焼室内の第2圧力より高い圧力であり、かつ、第1圧力と第2圧力との圧力差が所定範囲内となる圧力であり、所定範囲は、第1圧力の高圧空気が燃焼室に供給されても燃焼室内の混合気に乱流が発生しないとみなせる範囲に設定される。
また、高圧空気は、燃焼室への燃料の噴射が終了した後であり、圧縮行程中であり、かつ、混合気の点火前に、燃焼室に供給されるようにしてもよい。

本発明によれば、エンジンのノックを抑制することが可能となる。
図1は、本実施形態にかかるエンジンシステムの構成を示す概略図である。 図2は、シリンダヘッドの上方からシリンダヘッドおよび燃焼室を見た透視平面図である。 図3は、高圧空気の供給タイミングを説明する図である。 図4は、燃焼室内の様子を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかるエンジンシステム1の構成を示す概略図である。エンジンシステム1は、例えば、ハイブリッド車またはエンジン車に適用される。エンジンシステム1は、エンジン10、エンジン制御部12および給気部14を含む。エンジン10は、シリンダブロック20、ピストン22、シリンダヘッド24、吸気バルブ26および排気バルブ28を含む。
シリンダブロック20には、複数のシリンダ30が形成されている。ピストン22は、シリンダ30内に摺動可能に収容される。ピストン22は、コネクティングロッド32を通じて不図示のクランクシャフトに連結される。クランクシャフトは、ピストン22の往復運動に従って回転する。
シリンダヘッド24は、シリンダブロック20におけるクランクシャフトとは反対側に設けられる。シリンダヘッド24は、シリンダ30を塞ぐようにシリンダ30上に配置され、シリンダブロック20に連結される。シリンダ30内には、燃焼室34が形成される。具体的には、燃焼室34は、シリンダ30の内周面36、ピストン22の冠面およびシリンダヘッド24の内面によって囲まれて形成される。
シリンダブロック20とシリンダヘッド24との間には、隙間部40が形成されている。隙間部40は、円環板状の空間となっており、燃焼室34の周囲を取り囲むように位置し、燃焼室34に連通している。シリンダブロック20とシリンダヘッド24との間における隙間部40の外側には、ガスケット42が配置されている。ガスケット42は、シリンダブロック20およびシリンダヘッド24により挟持される。隙間部40は、ガスケット42によって塞がれている。
シリンダヘッド24には、吸気ポート50および排気ポート52が形成される。吸気ポート50および排気ポート52は、燃焼室34と連通する。
吸気バルブ26は、吸気ポート50に設けられる。吸気バルブ26の弁体は、吸気ポート50における燃焼室34側の開口部に位置する。吸気バルブ26の基端側は、吸気カム54に当接する。吸気カム54は吸気カムシャフト56に連結されている。吸気カムシャフト56は、クランクシャフトに連動して回転する。吸気カム54は、吸気カムシャフト56に連動して回転する。吸気バルブ26は、吸気カム54の回転に従って吸気ポート50を開閉する。吸気バルブ26によって吸気ポート50が開かれると、吸気ポート50を通じて燃焼室34に空気が送入される。
排気バルブ28は、排気ポート52に設けられる。排気バルブ28の弁体は、排気ポート52における燃焼室34側の開口部に位置する。排気バルブ28の基端側は、排気カム58に当接する。排気カム58は排気カムシャフト60に連結されている。排気カムシャフト60は、クランクシャフトに連動して回転する。排気カム58は、排気カムシャフト60に連動して回転する。排気バルブ28は、排気カム58の回転に従って排気ポート52を開閉する。排気バルブ28によって排気ポート52が開かれると、燃焼室34内のガスが排気ポート52を通じて送出される。
シリンダヘッド24には、インジェクタ62および点火プラグ64が設けられる。インジェクタ62および点火プラグ64は、シリンダ30の中心軸付近に位置する。インジェクタ62は、噴射口を燃焼室34に向けて配置される。インジェクタ62は、ガソリンなどの燃料を所定のタイミングで燃焼室34に噴射する。点火プラグ64は、電極を燃焼室34に向けて配置される。点火プラグ64は、空気と燃料との混合気を所定のタイミングで点火して燃焼させる。かかる燃焼により、ピストン22がシリンダ30内で往復運動する。
エンジン制御部12は、中央処理装置、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。エンジン制御部12は、プログラムを実行することで、エンジン10の各部を制御する。例えば、エンジン制御部12は、インジェクタ62の燃料噴射タイミングを制御するとともに、点火プラグ64の点火タイミングを制御する。また、エンジン制御部12は、後述するが、給気部14に関する制御も行う。
給気部14は、空気加圧ポンプ70、エアコモンレール72、空気配管74、空気ポート76、エアチャンバー78、連通孔80および動弁機構82を含む。
空気加圧ポンプ70は、ポンプ本体部90および加圧機構92を含む。ポンプ本体部90の入口94には、入口配管96が接続されている。入口配管96は、例えば、不図示のエアクリーナとスロットルバルブとの間の吸気配管に接続される。ポンプ本体部90には、エアクリーナを通過した空気が入口配管96を通じて送入される。なお、入口配管96は、吸気配管のエアクリーナとは別のフィルタに接続されてもよい。この場合、ポンプ本体部90には、吸気配管を流通する吸気とは別に取得される空気が入口配管を通じて送入される。
加圧機構92は、入口配管96を通じてポンプ本体部90内の加圧室に導入された空気を加圧し、加圧後の空気をポンプ本体部90の出口98から送出する。以後、加圧後の空気を、高圧空気、あるいは、単に空気と呼ぶ場合がある。
加圧機構92は、具体的には、ポンプカム100およびプランジャ102を含む。ポンプカム100は、吸気カムシャフト56に連結されており、吸気カムシャフト56に連動して回転する。プランジャ102の基端側は、ポンプカム100に当接する。プランジャ102の先端側は、ポンプ本体部90内の加圧室に挿入される。プランジャ102は、ポンプカム100の回転に連動して摺動し、加圧室内の空気を加圧する。
加圧機構92には、形状またはサイズが異なる複数のポンプカム100が設けられてもよい。この場合、エンジン制御部12は、スロットル開度などの運転状態に応じて、プランジャ102に当接するポンプカム100の切り替えを行わせる。これにより、空気の加圧の程度または加圧タイミングを変更することができる。また、エンジン制御部12は、吸気カムシャフト56を進角または遅角させてもよい。ポンプカム100は、吸気カムシャフト56に連結されているため、吸気カムシャフト56の進角または遅角に応じて位相が変更される。これにより、空気の加圧タイミングを変更することができる。
なお、ポンプカム100は、吸気カムシャフト56に連動する態様に限らない。例えば、ポンプカム100は、排気カムシャフト60に連結されてもよい。この場合、排気カムシャフト60の進角または遅角に応じて、空気の加圧タイミングが変更されてもよい。また、ポンプカム100は、吸気カムシャフト56および排気カムシャフト60とは別の独立したカムシャフトに連結されてもよい。この場合、独立したカムシャフトの進角または遅角に応じて、空気の加圧タイミングが変更されてもよい。
エアコモンレール72は、例えば、管状に形成され、ポンプ本体部90の出口98に接続される。エアコモンレール72は、シリンダヘッド24上に配置され、複数のシリンダ30に亘って延びている。エアコモンレール72は、ポンプ本体部90の出口98から送出された高圧空気を、圧力を維持して蓄えることができる。
エアコモンレール72の側面には、開口部110が形成される。開口部110には、空気配管74が接続される。空気配管74は、シリンダヘッド24に形成される空気ポート76に接続される。空気ポート76は、吸気ポート50および排気ポート52とは別に形成されている。空気ポート76は、シリンダヘッド24内に形成されるエアチャンバー78に連通している。エアチャンバー78は、隙間部40の上方に位置する。連通孔80は、エアチャンバー78から下方に延びており、エアチャンバー78と隙間部40とを連通する。このように、給気部14は、隙間部40と連通している。
図2は、シリンダヘッド24の上方からシリンダヘッド24および燃焼室34を見た透視平面図である。図2で示すように、エアチャンバー78は、燃焼室34の外側を取り囲むように円環状に形成される。空気ポート76は、エアチャンバー78の外周面の任意の位置を貫通している。連通孔80は、エアチャンバー78の円周方向に分散して複数形成される。例えば、連通孔80は、エアチャンバー78の円周方向に等間隔で8個形成される。なお、連通孔80の数および位置は、図2で示す例に限らず、適宜設計することができる。
図1に戻って、動弁機構82は、空気バルブ120および空気カム122を含む。空気バルブ120の弁体は、エアコモンレール72における空気配管74が接続される開口部110に位置する。空気バルブ120の基端側は、空気カム122に当接する。空気カム122は、吸気カムシャフト56に連結されており、吸気カムシャフト56に連動して回転する。空気バルブ120は、空気カム122の回転に連動してエアコモンレール72の開口部110を開閉する。
空気バルブ120によって開口部110が閉じられているとき、空気配管74には高圧空気が送出されない。一方、空気バルブ120によって開口部110が開かれると、エアコモンレール72内の高圧空気の一部は、開口部110を通じて空気配管74に送出される。空気配管74に送出された高圧空気は、空気配管74、空気ポート76、エアチャンバー78および連通孔80を通じて隙間部40に供給される。そして、隙間部40の高圧空気は、隙間部40の径方向の内側に位置する燃焼室34に供給される。
すなわち、給気部14は、燃焼室34のうちシリンダ30の内周面36の周辺の周辺エリアに、隙間部40を通じて空気を供給する。
動弁機構82には、形状またはサイズが異なる複数の空気カム122が設けられてもよい。この場合、エンジン制御部12は、スロットル開度などの運転状態に応じて、空気バルブ120に当接する空気カム122の切り替えを行わせる。これにより、空気の供給量または供給タイミングを変更することができる。また、エンジン制御部12は、吸気カムシャフト56を進角または遅角させてもよい。空気カム122は、吸気カムシャフト56に連結されているため、吸気カムシャフト56の進角または遅角に応じて位相が変更される。これにより、空気の供給タイミングを変更することができる。
なお、空気カム122は、吸気カムシャフト56に連動する態様に限らない。例えば、空気カム122は、排気カムシャフト60に連結されてもよい。この場合、排気カムシャフト60の進角または遅角に応じて空気の供給タイミングが変更されてもよい。また、空気カム122は、吸気カムシャフト56および排気カムシャフト60とは別の独立したカムシャフトに連結されてもよい。この場合、独立したカムシャフトの進角または遅角に応じて、空気の供給タイミングが変更されてもよい。
上述のように、空気加圧ポンプ70で生成された高圧空気は、燃焼室34に供給される。そのことを踏まえ、高圧空気の燃焼室34への供給時の燃焼室34内の圧力を、基準圧力とする。空気加圧ポンプ70は、その基準圧力より高い圧力の高圧空気であり、かつ、その基準圧力との圧力差が所定範囲内の圧力の高圧空気を生成する。つまり、高圧空気の圧力は、燃焼室34内の基準圧力よりも少しだけ高い圧力とされる。
高圧空気の圧力が燃焼室34内の基準圧力よりも高いため、給気部14は、高圧空気を燃焼室34に供給することができる。また、燃焼室34内の基準圧力との圧力差が所定範囲内であるため、隙間部40から燃焼室34に供給される高圧空気の流速が比較的低くなり、燃焼室34内の混合気に乱流を発生させない。ここでの圧力差の所定範囲は、乱流が発生しないとみなせる小さな範囲に設定され、燃焼室34内の基準圧力を考慮して適宜設定することができる。
そして、乱流を発生させないようにすることで、給気部14は、燃焼室34内に供給された高圧空気を、燃焼室34のうちシリンダ30の内周面36の周辺の周辺エリアに留め置くことができる。高圧空気の作用については、後に詳述する。
図3は、高圧空気の供給タイミングを説明する図である。エンジン10は、吸気行程、圧縮工程、膨張行程、排気行程の順に各行程を繰り返す。吸気行程は、ピストン22が上死点から下死点に移動する間に行われる。圧縮工程は、吸気行程の後、ピストン22が下死点から上死点に移動する間に行われる。膨張行程は、圧縮工程の後、ピストン22が上死点から下死点に移動する間に行われる。排気行程は、図示を省略するが、膨張行程の後、ピストン22が下死点から上死点に移動する間に行われる。
エンジン10は、吸気行程において吸気ポート50を通じて吸気する。エンジン制御部12は、図3のクロスハッチングエリアA10で示すように、吸気行程中にインジェクタ62から燃料を噴射させる。これにより、燃焼室34内において、吸気行程の吸気とインジェクタ62による燃料とが混合された混合気が生成される。図3のタイミングTAは、吸気行程から圧縮工程に切り替わるタイミングを示す。
圧縮工程に移ると、ピストン22の上昇に従って燃焼室34内の混合気が圧縮され、燃焼室34内の圧力を示す筒内圧が上昇する。そして、エンジン制御部12は、圧縮工程の後期の所定のタイミングTCとなると、点火プラグ64に混合気を点火させる。
ここで、図3のクロスハッチングエリアA12で示すように、給気部14は、点火プラグ64による混合気の点火前に、隙間部40を通じて空気(すなわち、高圧空気)を燃焼室34に供給する。
具体的には、給気部14による空気の供給開始タイミングは、燃料噴射終了タイミングと、点火タイミング(すなわち、タイミングTC)との間とされる。給気部14は、点火タイミングの所定時間前となると、空気バルブ120により開口部110を開き始めて高圧空気の供給を開始する。エンジン制御部12は、給気部14による空気の供給開始タイミングが適切なタイミングとなるように、動弁機構82の空気カム122の切り替えなどを行ってもよい。
図3のタイミングTBは、給気部14による空気の供給終了タイミングを示す。給気部14による空気の供給終了タイミングは、点火タイミング(すなわち、タイミングTC)以前とされる。なお、少なくとも給気部14による空気の供給開始タイミングが点火タイミングより前であればよく、給気部14による空気の供給終了タイミングが点火タイミング以降となってもよい。
このように、燃焼室34内には、吸気行程の吸気と燃料との混合気と、給気部14による高圧空気とが収容される。そこで、エンジン10では、吸気と燃料との混合気と、高圧空気とを合わせたガス全体が、ストイキとなるように、吸気量、燃料噴射量および高圧空気の供給量が調整される。つまり、吸気と燃料との混合気は、高圧空気を考慮して、ストイキを基準にして燃料の割合が多いリッチな混合気とされる。
より具体的には、吸気と燃料とのリッチな混合気は、空気に対する燃料の割合を示す等量比が約1.1とされる。換言すると、ストイキとなる空気量を100%とすると、ストイキとなる空気量の90%を吸気による空気とし、ストイキとなる空気量の10%を給気部14により供給される空気とする。
エンジン制御部12は、スロットル開度などの運転状態に従って、ストイキとなる空気量および燃料噴射量を決定する。エンジン制御部12は、ストイキとなる空気量に基づいて給気部14による高圧空気の空気量を導出する。エンジン制御部12は、高圧空気の空気量に基づいて高圧空気の供給開始タイミングを決定する。エンジン制御部12は、決定した供給開始タイミングで高圧空気の供給が開始されるように、空気カム122の切り替えなどの調整を行う。
図3で示すように、混合気が点火されると、火炎が伝播していき、燃焼室34内の熱発生率が上昇していく。そして、熱発生率は、ピークを迎えた後、下降していく。図3のタイミングTDは、熱発生率がピークとなったタイミングを示す。図3のタイミングTEは、燃焼が混合気全体に広がったタイミングを示す。
図4は、燃焼室34内の様子を説明する図である。図4Aは、図3のタイミングTAのときの燃焼室34内の様子を示す。図4Bは、図3のタイミングTBのときの燃焼室34内の様子を示す。図4Cは、図3のタイミングTCのときの燃焼室34内の様子を示す。図4Dは、図3のタイミングTDのときの燃焼室34内の様子を示す。図4Eは、図3のタイミングTEのときの燃焼室34内の様子を示す。
図4AのハッチングエリアA20で示すように、タイミングTAでは、燃焼室34内は、吸気と燃料とのリッチな混合気で満たされている。この状態で、その後、給気部14によって高圧空気が燃焼室34内に供給される。
高圧空気は、燃焼室34のうちシリンダ30の内周面36の周辺の周辺エリアに供給され、燃焼室34内で乱流を発生させない。このため、高圧空気は、燃焼室34内に先に存在するリッチな混合気を、シリンダ30の中心軸に向かう方向に押し込む。これにより、燃焼室34内に先に存在するリッチな混合気は、燃焼室34のうち中央エリアに集合させられる。
そうすると、図4BのハッチングエリアA20で示すように、中央エリアにはリッチな混合気からなる混合気層が形成され、図4BのクロスハッチングエリアA22で示すように、周辺エリアには高圧空気からなる空気層が形成される。つまり、給気部14は、燃焼室34のうち周辺エリアに空気を供給することにより、燃焼室34内に存在するリッチな混合気を燃焼室34のうち中央エリアに集合させ、中央エリアの混合気層と周辺エリアの空気層とからなる成層構造を形成させる。空気層は、先に存在していた混合気が高圧空気で置換されるため、燃料がほとんど存在しない。
このような成層構造を形成させた後に混合気を点火させると、燃焼室34の中央付近で火炎が発生し、図4Cの白抜きエリアA24で示すように、混合気の燃焼が開始される。そして、発生した火炎は混合気を伝播していき、図4Dの白抜きエリアA24で示すように、混合気の燃焼範囲が広がっていく。そして、図4Eの白抜きエリアA24で示すように、中央エリアに集合された混合気全体が燃焼される。
ここで、燃焼室34のうち周辺エリアには空気層が形成されているため、この周辺エリアには火炎が伝播せず、空気層には燃焼が広がらない。このため、エンジンシステム1では、火炎伝播距離あるいは混合気の燃焼距離を、空気層の径方向の層厚により、実質的に短くすることができる。その結果、エンジンシステム1では、未燃の混合気の自着火が生じる前に混合気全体を早期に燃焼させることができ、ノックを抑制することが可能となる。
また、燃焼室34のうち中央エリアの混合気層では、リッチな混合気が集合される。このため、エンジンシステム1では、中央エリアの混合気の燃焼速度を、ストイキの混合気と比べ、早くすることができる。その結果、エンジンシステム1では、混合気全体をより早期に燃焼させることができ、ノックをより抑制することができる。
また、エンジンシステム1では、混合気が中央エリアに集合されるため、混合気をより確実に燃焼させることができる。このため、エンジンシステム1では、混合気が未燃となる未燃損失を低減することが可能となる。
また、燃焼室34のうち周辺エリアに形成される空気層は、断熱層としても機能し、混合気の燃焼による熱がシリンダ30の内周面36へ伝わることを抑制する。このため、エンジンシステム1では、ノックの抑制に加え、熱損失を低減することが可能となる。
また、エンジンシステム1では、給気部14が隙間部40と連通しており、隙間部40を通じて高圧空気が供給される。換言すると、給気部14は、シリンダヘッド24から燃焼室34の中心軸に向かって径方向に直接的に高圧空気を供給していない。そして、給気部14は、シリンダヘッド24からシリンダブロック20へ向かう方向、すなわち、径方向とは異なる下方向に向かって、隙間部40に高圧空気を供給している。このため、エンジンシステム1では、高圧空気が燃焼室34に導入される前に隙間部40を介することで高圧空気の流れる方向を変えることでき、高圧空気の流速を抑えることが可能となる。その結果、エンジンシステム1では、高圧空気の供給時に乱流の発生を適切に抑制することができ、混合気層と空気層とからなる成層構造を適切に形成させることが可能となる。
なお、高圧空気の供給時に燃焼室34内で乱流が発生すると、実質的な火炎伝播距離を短くすることができず、ノックを十分に抑制できない。これに対し、本実施形態のエンジンシステム1では、乱流を発生させないように、混合気層と空気層とからなる成層構造を形成させるため、実質的な火炎伝播距離を適切に短くすることができ、エンジン10のノックをより適切に抑制することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、エアチャンバー78から連通孔80を通じて隙間部40に高圧空気を供給していた。しかし、連通孔80は、隙間部40を介することなく、エアチャンバー78と燃焼室34とを直接的に連通させてもよい。この場合、高圧空気の流速を燃焼室34内で乱流を発生させない程度の流速とし、混合気層と空気層とからなる成層構造を形成することが可能な構成が適用される。例えば、連通孔80の燃焼室34への開口をマイクロホールとする構成が適用される。ただし、連通孔80が隙間部40に連通する態様の方が、混合気層と空気層とからなる成層構造を、より適切に形成させることができる。
1 エンジンシステム
14 給気部
20 シリンダブロック
24 シリンダヘッド
30 シリンダ
34 燃焼室
36 内周面
40 隙間部

Claims (2)

  1. シリンダ内に形成される燃焼室と、
    前記シリンダを形成するシリンダブロック上に前記シリンダを塞ぐように配置されるシリンダヘッドの内部に、前記シリンダの中心軸を軸として円環状に設けられた通路であるエアチャンバーと、
    内径が前記シリンダの径よりも大きいガスケットが前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとにより挟持されることで、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に円環板状に形成され、前記燃焼室に連通する隙間部と、
    前記エアチャンバーと前記隙間部とを連通する連通孔であって前記エアチャンバーの円周方向に沿って分散して配置される複数の連通孔と、
    空気を圧縮して第1圧力の高圧空気を生成し、前記高圧空気を、前記エアチャンバー、前記連通孔および前記隙間部を介して、前記燃焼室に供給する空気加圧ポンプと、
    吸気バルブを動作させるカムシャフトに連結され、前記カムシャフトに連動して回転する空気カムと、
    前記空気加圧ポンプから前記エアチャンバーへ繋がる前記高圧空気の配管に設けられ、前記空気カムの回転に連動して前記配管を開閉する空気バルブと、
    を備え、
    前記空気加圧ポンプは、点火前に前記燃焼室のうち前記シリンダの内周面の周辺の周辺エリアに前記高圧空気を供給することにより、前記燃焼室内に存在するリッチな混合気を前記燃焼室のうち中央エリアに集合させ、前記中央エリアの混合気層と前記周辺エリアの空気層とからなる成層構造を形成させ、
    前記第1圧力は、前記燃焼室内の第2圧力より高い圧力であり、かつ、前記第1圧力と前記第2圧力との圧力差が所定範囲内となる圧力であり、
    前記所定範囲は、前記第1圧力の前記高圧空気が前記燃焼室に供給されても前記燃焼室内の混合気に乱流が発生しないとみなせる範囲に設定される、
    エンジンシステム。
  2. 前記高圧空気は、前記燃焼室への燃料の噴射が終了した後であり、圧縮行程中であり、かつ、前記混合気の点火前に、前記燃焼室に供給される、
    請求項に記載のエンジンシステム。
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