図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源である、エンジン12及び電動機MGを備えたハイブリッド車両である。又、車両10は、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16と、を備えている。
エンジン12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
電動機MGは、電力から機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的な動力から電力を発生させる発電機としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。電動機MGは、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。バッテリ54は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmが制御される。MGトルクTmは、例えば電動機MGの回転方向がエンジン12の運転時と同じ回転方向である正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。前記電力は、特に区別しない場合には電気エネルギも同意である。前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。
動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内において、K0クラッチ20、トルクコンバータ22、自動変速機24等を備えている。K0クラッチ20は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路におけるエンジン12と電動機MGとの間に設けられたクラッチである。トルクコンバータ22は、K0クラッチ20を介してエンジン12に連結されている。自動変速機24は、トルクコンバータ22に連結されており、トルクコンバータ22と駆動輪14との間の動力伝達経路に介在させられている。又、動力伝達装置16は、自動変速機24の出力回転部材である変速機出力軸26に連結されたプロペラシャフト28、プロペラシャフト28に連結されたディファレンシャルギヤ30、ディファレンシャルギヤ30に連結された1対のドライブシャフト32等を備えている。又、動力伝達装置16は、エンジン12とK0クラッチ20とを連結するエンジン連結軸34、K0クラッチ20とトルクコンバータ22とを連結する電動機連結軸36等を備えている。
電動機MGは、ケース18内において、電動機連結軸36に動力伝達可能に連結されている。つまり、電動機MGは、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路、特にはK0クラッチ20とトルクコンバータ22との間の動力伝達経路に動力伝達可能に連結されている。見方を換えれば、電動機MGは、K0クラッチ20を介することなくトルクコンバータ22や自動変速機24と動力伝達可能に連結されている。
トルクコンバータ22は、電動機連結軸36と連結されたポンプ翼車22a、及び自動変速機24の入力回転部材である変速機入力軸38と連結されたタービン翼車22bを備えている。トルクコンバータ22は、駆動力源(エンジン12、電動機MG)の各々からの駆動力を流体を介して電動機連結軸36から変速機入力軸38へ伝達する流体式伝動装置である。トルクコンバータ22は、ポンプ翼車22aとタービン翼車22bとを連結する、つまり電動機連結軸36と変速機入力軸38とを連結する直結クラッチとしてのLUクラッチ40を備えている。LUクラッチ40は、公知のロックアップクラッチである。
自動変速機24は、例えば不図示の1組又は複数組の遊星歯車装置と、複数の係合装置CBと、を備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。係合装置CBは、例えば公知の油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、各々、油圧制御回路56から供給される調圧された油圧であるCB油圧PRcbによりそれぞれのトルク容量であるCBトルクTcbが変化させられることで、係合状態や解放状態などの作動状態つまり制御状態が切り替えられる。
自動変速機24は、係合装置CBのうちの何れかの係合装置が係合されることによって、変速比(ギヤ比ともいう)γat(=AT入力回転速度Ni/AT出力回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかのギヤ段が形成される有段変速機である。自動変速機24は、後述する電子制御装置90によって、ドライバー(=運転者)のアクセル操作や車速V等に応じて形成されるギヤ段が切り替えられる。AT入力回転速度Niは、変速機入力軸38の回転速度であり、自動変速機24の入力回転速度である。AT入力回転速度Niは、トルクコンバータ22の出力回転速度であるタービン回転速度Ntと同値である。AT入力回転速度Niは、タービン回転速度Ntで表すことができる。AT出力回転速度Noは、変速機出力軸26の回転速度であり、自動変速機24の出力回転速度である。
K0クラッチ20は、例えば多板式或いは単板式のクラッチにより構成される油圧式の摩擦係合装置である。K0クラッチ20は、油圧制御回路56から供給される油圧であるK0油圧PRk0によりK0クラッチ20のトルク容量であるK0トルクTk0が変化させられることで、係合状態や解放状態などの制御状態が切り替えられる。K0油圧PRk0は、K0クラッチ20の制御状態を切り替える為の油圧であるクラッチ油圧である。
車両10において、K0クラッチ20の係合状態では、エンジン12とトルクコンバータ22とが動力伝達可能に連結される。一方で、K0クラッチ20の解放状態では、エンジン12とトルクコンバータ22との間の動力伝達が遮断される。電動機MGはトルクコンバータ22に連結されているので、K0クラッチ20は、エンジン12を電動機MGと断接するクラッチとして機能する。
動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、K0クラッチ20が係合された場合に、エンジン連結軸34から、K0クラッチ20、電動機連結軸36、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、ディファレンシャルギヤ30、及びドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。又、電動機MGから出力される動力は、K0クラッチ20の制御状態に拘わらず、電動機連結軸36から、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、ディファレンシャルギヤ30、及びドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP58、電動式のオイルポンプであるEOP60、ポンプ用モータ62等を備えている。MOP58は、ポンプ翼車22aに連結されており、駆動力源(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて動力伝達装置16にて用いられる作動油OILを吐出する(後述する図2参照)。ポンプ用モータ62は、EOP60を回転駆動する為のEOP60専用のモータである。EOP60は、ポンプ用モータ62により回転駆動させられて作動油OILを吐出する(後述する図2参照)。MOP58やEOP60が吐出した作動油OILは、油圧制御回路56へ供給される。油圧制御回路56は、MOP58及び/又はEOP60が吐出した作動油OILを元にして各々調圧した、CB油圧PRcb、K0油圧PRk0などを供給する。
図2は、油圧制御回路56のうちのK0クラッチ20への油圧供給に関わる部分を説明する図であり、又、油圧制御回路56へ作動油OILを供給する油圧源を説明する図である。図2において、MOP58とEOP60とは、作動油OILが流通する油路の構成上、並列に設けられている。MOP58及びEOP60は、各々、ケース18の下部に設けられたオイルパン100に還流した作動油OILを、共通の吸い込み口であるストレーナ102を介して吸い上げて、各々の吐出油路104、106へ吐出する。吐出油路104、106は、各々、油圧制御回路56が備える油路、例えばライン圧PLが流通する油路であるライン圧油路108に連結されている。MOP58から作動油OILが吐出される吐出油路104は、油圧制御回路56に備えられたMOP用チェックバルブ110を介してライン圧油路108に連結されている。EOP60から作動油OILが吐出される吐出油路106は、油圧制御回路56に備えられたEOP用チェックバルブ112を介してライン圧油路108に連結されている。
油圧制御回路56は、ライン圧油路108、MOP用チェックバルブ110、及びEOP用チェックバルブ112の他に、レギュレータバルブ114、調圧油路116、K0供給油路118、PL用ソレノイドバルブSLT、調圧バルブSK0、K0油路切替バルブSCK0などを備えている。
レギュレータバルブ114は、MOP58及びEOP60の少なくとも一方が吐出する作動油OILを元にしてライン圧PLを調圧する。PL用ソレノイドバルブSLTは、例えばリニアソレノイドバルブであり、モジュレータ圧PMを元にして、自動変速機24への入力トルクTinat等に応じたパイロット圧Psltをレギュレータバルブ114へ出力するように電子制御装置90により制御される。モジュレータ圧PMは、例えばライン圧PLを元圧として不図示のモジュレータバルブによって一定値に調圧された油圧である。
調圧バルブSK0は、例えばリニアソレノイドバルブであり、ライン圧PLを元圧として、調圧油路116へ供給する油圧であるSK0油圧PRsk0を調圧するように電子制御装置90により制御される。SK0油圧PRsk0は、ライン圧PLを調圧した調圧油圧である。
K0油路切替バルブSCK0は、ソレノイドの作動によって油路が切り替えられる切替バルブである。具体的には、K0油路切替バルブSCK0は、ソレノイドが非通電とされたオフ(=OFF)状態では、調圧油路116とK0供給油路118との間の油路を遮断し、ライン圧油路108とK0供給油路118とを接続するように油路が切り替えられる。一方で、K0油路切替バルブSCK0は、ソレノイドが通電されたオン(=ON)状態では、ライン圧油路108とK0供給油路118との間の油路を遮断し、調圧油路116とK0供給油路118とを接続するように油路が切り替えられる。K0供給油路118は、K0クラッチ20に連結された油路であって、K0クラッチ20へ供給されるK0油圧PRk0が流通する油路である。従って、K0油路切替バルブSCK0のオフ状態では、ライン圧PLがK0油圧PRk0とされる。一方で、K0油路切替バルブSCK0のオン状態では、SK0油圧PRsk0がK0油圧PRk0とされる。K0油路切替バルブSCK0は、オフ状態とオン状態とを切り替えるように電子制御装置90により制御される。
このように、油圧制御回路56は、K0油圧PRk0として、K0油圧PRk0の元圧であるライン圧PL及びライン圧PLを調圧したSK0油圧PRsk0のうちの一方を択一的にK0クラッチ20へ供給する。
車両10は、更に、車両10の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、ブレーキスイッチ82、バッテリセンサ84、油温センサ86など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne、AT入力回転速度Niと同値であるタービン回転速度Nt、車速Vに対応するAT出力回転速度No、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、バッテリ54のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、油圧制御回路56内の作動油OILの温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ポンプ用モータ62など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、電動機MGを制御する為のMG制御指令信号Sm、係合装置CBを制御する為のCB油圧制御指令信号Scb、K0クラッチ20を制御する為の指令値としての、調圧バルブSK0を制御する為のSK0油圧PRsk0の指令値であるSK0油圧指令値Ssk0及びK0油路切替バルブSCK0のオンオフを制御する為のSCK0指令信号Ssck0、LUクラッチ40を制御する為のLU油圧制御指令信号Slu、EOP60を制御する為のEOP制御指令信号Seopなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部92、クラッチ制御手段すなわちクラッチ制御部94、及び変速制御手段すなわち変速制御部96を備えている。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部92aとしての機能と、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御手段すなわち電動機制御部92bとしての機能と、を含んでおり、それらの制御機能によりエンジン12及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
ハイブリッド制御部92は、例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。前記駆動要求量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である。前記駆動要求量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdem[Nm]は、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。前記駆動要求量としては、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、変速機出力軸26における要求AT出力トルク等を用いることもできる。前記駆動要求量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機24の変速比γat等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御指令信号Seと、電動機MGを制御するMG制御指令信号Smと、を出力する。
ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、走行モードをモータ走行(=EV走行)モードとする。ハイブリッド制御部92は、EV走行モードでは、K0クラッチ20の解放状態において、駆動力源(エンジン12、電動機MG)のうちの電動機MGのみから駆動力を出力して走行するEV走行を行う。一方で、ハイブリッド制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、走行モードをエンジン走行モードすなわちハイブリッド走行(=HV走行)モードとする。ハイブリッド制御部92は、HV走行モードでは、K0クラッチ20の係合状態において、駆動力源(エンジン12、電動機MG)のうちの少なくともエンジン12から駆動力を出力して走行するエンジン走行すなわちHV走行を行う。他方で、ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ54の充電が必要な場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HV走行モードを成立させる。
クラッチ制御部94は、HV走行モードのようにK0クラッチ20が完全係合状態とされているエンジン12の運転状態では、K0油路切替バルブSCK0のオフ状態によってライン圧PLがK0クラッチ20へ供給されるように、SCK0指令信号Ssck0を出力して油圧制御回路56を制御する。この際、クラッチ制御部94は、調圧バルブSK0によるSK0油圧PRsk0の値をゼロ[kPa]とした状態で、ライン圧PLがK0クラッチ20へ供給されるように、SK0油圧指令値Ssk0及びSCK0指令信号Ssck0を出力して油圧制御回路56を制御しても良い。一方で、クラッチ制御部94は、EV走行モードのようにK0クラッチ20が完全解放状態とされているエンジン12の停止状態では、調圧バルブSK0によるSK0油圧PRsk0の値をゼロとした状態で、K0油路切替バルブSCK0のオン状態によってSK0油圧PRsk0がK0クラッチ20へ供給されるように、SK0油圧指令値Ssk0及びSCK0指令信号Ssck0を出力して油圧制御回路56を制御する。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の制御状態を停止状態から運転状態へ切り替えるエンジン12の始動要求であるエンジン始動要求の有無を判定する。例えば、ハイブリッド制御部92は、EV走行モード時に、要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲よりも増大したか否か、又は、エンジン12等の暖機が必要であるか否か、又は、バッテリ54の充電が必要であるか否かなどに基づいて、エンジン始動要求が有るか否かを判定する。
クラッチ制御部94は、ハイブリッド制御部92によりエンジン始動要求が有ると判定された場合には、エンジン回転速度Neを引き上げるトルクであるエンジン12のクランキングに必要なトルクをエンジン12側へ伝達する為のK0トルクTk0が得られるように、K0油路切替バルブSCK0をオン状態としたままでSK0油圧PRsk0によって解放状態のK0クラッチ20を係合状態に向けて制御する為のSK0油圧指令値Ssk0及びSCK0指令信号Ssck0を油圧制御回路56へ出力する。本実施例では、エンジン12のクランキングに必要なトルクを必要クランキングトルクTcrnという。
ハイブリッド制御部92は、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、クラッチ制御部94によるK0クラッチ20の係合状態への切替えに合わせて、電動機MGが必要クランキングトルクTcrnを出力する為のMG制御指令信号Smをインバータ52へ出力する。又、ハイブリッド制御部92は、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、K0クラッチ20及び電動機MGによるエンジン12のクランキングに連動して、燃料供給やエンジン点火などを開始する為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。
クラッチ制御部94は、ハイブリッド制御部92によるエンジン12の始動が完了し、K0クラッチ20の完全係合状態への切替えが完了した後には、K0油路切替バルブSCK0をオン状態からオフ状態へ切り替えてライン圧PLをK0クラッチ20へ供給する為のSCK0指令信号Ssck0を油圧制御回路56へ出力する。この後、クラッチ制御部94は、SK0油圧PRsk0の値をゼロとする為のSK0油圧指令値Ssk0を油圧制御回路56へ出力することが好ましい。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の制御状態を運転状態から停止状態へ切り替えるエンジン12の停止要求であるエンジン停止要求の有無を判定する。例えば、ハイブリッド制御部92は、HV走行モード時に、要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲内であって、エンジン12等の暖機が不要であり、バッテリ54の充電が不要であるか否かなどに基づいて、エンジン停止要求が有るか否かを判定する。
ハイブリッド制御部92は、エンジン停止要求が有ると判定した場合には、エンジントルクTeを漸減する為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。その後、ハイブリッド制御部92は、後述するようにクラッチ制御部94によってK0クラッチ20が完全解放状態へ切り替えられた後に、エンジン12への燃料供給を停止するフューエルカット(=FC)を実施する為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。
クラッチ制御部94は、ハイブリッド制御部92によりエンジン停止要求が有ると判定された場合には、エンジントルクTeが漸減させられる過渡中において、K0油路切替バルブSCK0をオフ状態からオン状態へ切り替えてSK0油圧PRsk0をK0クラッチ20へ供給する為のSCK0指令信号Ssck0を油圧制御回路56へ出力すると共に、SK0油圧PRsk0の値をK0クラッチ20を係合状態とする値からゼロへ漸減してK0クラッチ20を完全解放状態へ切り替える為のSK0油圧指令値Ssk0を油圧制御回路56へ出力する。
変速制御部96は、例えば予め定められた関係である変速マップを用いて自動変速機24の変速判断を行い、必要に応じて自動変速機24の変速制御を実行する為のCB油圧制御指令信号Scbを油圧制御回路56へ出力する。前記変速マップは、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、自動変速機24の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。前記変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、要求駆動トルクTrdemに替えて要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
ここで、エンジン12の停止に際してK0クラッチ20の制御状態が制御される為に、エンジン12の停止過程において切り替えられるK0クラッチ20の制御状態毎に区分された複数の進行段階すなわちフェーズが定義されている。
図3は、エンジン12の停止過程におけるK0クラッチ20の各フェーズの一例を説明するタイムチャートである。図3において、「K0制御フェーズ」は、エンジン12の停止過程におけるK0クラッチ20の各フェーズの遷移状態を示している。これらの各フェーズは、「停止K0待機」、「K0調圧前待機」、「K0解放前調圧」、「K0解放移行SW」、「K0完全解放移行SW」、「K0解放後SW」、「K0完全解放」などが定義されている。「・・・SW」は、「・・・スイープ」を示している。
図3において、t1時点は、HV走行モード時に、エンジン停止要求が有ると判定されたことに伴って、停止制御要求フラグがオフ(=OFF)からオン(=ON)へ切り替えられ、運転状態にあるエンジン12を停止するエンジン停止制御が開始された時点を示している。
エンジン停止制御の開始後、「停止K0待機」フェーズ(t1時点-t2時点参照)が実行される。「停止K0待機」フェーズは、エンジン停止制御の開始後に、K0油路切替バルブSCK0のオフ状態からオン状態への切替えに備えて、すなわちK0油圧PRk0のライン圧PLからSK0油圧PRsk0への切替えに備えて、事前にエンジントルクTeに応じたK0トルクTk0を確保する為のSK0油圧指令値Ssk0を出力するにあたり、エンジントルクTeが所定エンジントルクTefに低下するまで、K0油圧PRk0をライン圧PLとし、K0クラッチ20を係合保障しつつ、SK0油圧PRsk0をEV定常時K0油圧PRk0evとするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。EV定常時K0油圧PRk0evは、EV走行モード時のSK0油圧指令値Ssk0であって、SK0油圧PRsk0をゼロ[kPa]とするSK0油圧指令値Ssk0である。
エンジントルクTeに応じたK0トルクTk0を確保する為のSK0油圧指令値Ssk0は、K0油圧PRk0がSK0油圧PRsk0とされた場合に、SK0油圧PRsk0をK0クラッチ20が係合状態に維持された状態でエンジントルクTeに応じたK0トルクTk0を発生させる係合維持油圧PRk0cとするSK0油圧指令値Ssk0である。係合維持油圧PRk0cが設定されるときのエンジントルクTeは、例えばエンジントルクTeの実際値である実エンジントルクTer(太実線参照)に安全率SFを掛けた値(線分の長い破線参照)が用いられる。具体的には、実エンジントルクTerに安全率SFを掛けた値がK0トルクTk0の要求値である要求K0トルクTk0d(細実線参照)とされ、K0クラッチ20のパックエンド圧相当分に、要求K0トルクTk0dを発生させるK0油圧PRk0の相当分を加えた合計のK0油圧PRk0が係合維持油圧PRk0cとして設定される。K0クラッチ20のパックエンド圧は、K0クラッチ20のパッククリアランスが詰められた状態である所謂パック詰め完了状態のときのK0油圧PRk0、すなわちK0クラッチ20におけるピストンがストロークエンドに到達し、且つK0トルクTk0が発生していない状態とする為のK0油圧PRk0である。K0クラッチ20は、パック詰め完了状態から更にK0油圧PRk0が増大させられることで、K0トルクTk0が発生させられる。安全率SFは、1より大きな値であって、例えば係合維持油圧PRk0cが大きくされ過ぎない範囲で、実エンジントルクTerに対してK0クラッチ20の係合状態が維持され易くされる予め定められた値である。実エンジントルクTerは、例えば予め定められたエンジントルクマップにエンジン回転速度Neとスロットル弁開度θthとが適用されることで算出されるエンジントルクTeの推定値である。
所定エンジントルクTefは、係合維持油圧PRk0cの出力時に調圧バルブSK0における油圧振動を抑制又は防止できる予め定められた閾値である。所定エンジントルクTefは、実エンジントルクTerと比較される閾値であっても良いし、実エンジントルクTerに安全率SFを掛けた値と比較される閾値であっても良い。
「停止K0待機」フェーズにおいて、エンジントルクTeが所定エンジントルクTefに低下すると、「K0調圧前待機」フェーズ(t2時点-t3時点参照)に遷移させられる。「K0調圧前待機」フェーズは、SK0油圧PRsk0が供給される調圧油路116に作動油OILが充填されるまで、K0油圧PRk0をライン圧PLとし、K0クラッチ20を係合保障しつつ、K0油圧PRk0のライン圧PLからSK0油圧PRsk0への切替えに備えて、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cとするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。従って、「K0調圧前待機」フェーズまでは、K0トルクTk0の実際値である実K0トルクTk0r(線分の短い破線参照)は、ライン圧PLとされたK0油圧PRk0によって発生させられる。
「K0調圧前待機」フェーズの開始後、調圧油路116に作動油OILが充填される為の予め定められた所定充填時間TMfilが経過すると、「K0解放前調圧」フェーズ(t3時点-t4時点参照)に遷移させられる。「K0解放前調圧」フェーズは、K0油路切替バルブSCK0をオフ状態からオン状態へ切り替えるSCK0指令信号Ssck0を出力してK0油圧PRk0をライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替え、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cとするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。t3時点は、SCK0指令信号Ssck0がK0油路切替バルブSCK0のソレノイドが非通電とされた非通電(OFF)信号からK0油路切替バルブSCK0のソレノイドが通電された通電(ON)信号へ切り替えられた時点、つまりK0油圧PRk0のライン圧PLからSK0油圧PRsk0への油圧切替え開始時点であるSK0切替開始時点PTstsk0である。「K0解放前調圧」フェーズでは、実K0トルクTk0rは、SK0油圧PRsk0つまり係合維持油圧PRk0cとされたK0油圧PRk0によって発生させられるので、要求K0トルクTk0dに向かって低下させられる。「K0解放前調圧」フェーズは、エンジントルクTeがK0クラッチ20の解放状態への切替えが可能と判断できる予め定められた所定低トルクTelowに低下するまで実行される。所定低トルクTelowは、例えばK0クラッチ20の解放状態への切替え時に、駆動力Frの段差及び/又はエンジン回転速度Neの吹き上がりが抑制できる予め定められた閾値であって、例えばゼロ[Nm]又はアイドル運転状態におけるアイドルトルクTeidlである。所定低トルクTelowと比較する際のエンジントルクTeは、実エンジントルクTerでも良いし、実エンジントルクTerに安全率SFを掛けた値でも良い。
「K0解放前調圧」フェーズにおいて、エンジントルクTeが所定低トルクTelowに低下すると、「K0解放移行SW」フェーズ(t4時点-t5時点参照)に遷移させられる。「K0解放移行SW」フェーズは、K0クラッチ20を解放状態とする為に、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cからK0クラッチ20のパックエンド圧へ第1勾配SW1にてスイープダウン(=漸減)するSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。「K0解放移行SW」フェーズは、K0トルクTk0がゼロ[Nm]となるパックエンド圧にSK0油圧指令値Ssk0が低下するまで実行される。
「K0解放移行SW」フェーズにおいて、SK0油圧指令値Ssk0がパックエンド圧に低下すると、「K0完全解放移行SW」フェーズ(t5時点-t6時点参照)に遷移させられる。「K0完全解放移行SW」フェーズは、SK0油圧PRsk0をパックエンド圧から解放保障油圧PRk0rlへ第1勾配SW1にてスイープダウンするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。解放保障油圧PRk0rlは、例えばK0クラッチ20が解放状態となったことを保障できる予め定められたSK0油圧PRsk0の値である。「K0完全解放移行SW」フェーズは、SK0油圧指令値Ssk0が解放保障油圧PRk0rlに低下するまで実行される。
「K0完全解放移行SW」フェーズにおいて、SK0油圧指令値Ssk0が解放保障油圧PRk0rlに低下すると、「K0解放後SW」フェーズ(t6時点-t7時点参照)に遷移させられる。「K0解放後SW」フェーズは、SK0油圧PRsk0を解放保障油圧PRk0rlからEV定常時K0油圧PRk0ev(=0[kPa])へ第2勾配SW2にてスイープダウンするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。第2勾配SW2の絶対値は、第1勾配SW1の絶対値よりも大きい値とされている。「K0解放後SW」フェーズは、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0evに低下するまで実行される。
「K0解放後SW」フェーズにおいて、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)に低下すると、「K0完全解放」フェーズ(t7時点-t9時点参照)に遷移させられる。「K0完全解放」フェーズは、エンジン停止制御が完了させられるまでSK0油圧PRsk0をEV定常時K0油圧PRk0evとするSK0油圧指令値Ssk0を出力するフェーズである。
「K0完全解放」フェーズでは、例えば必要に応じてエンジン12が自立運転状態例えばアイドル運転状態で待機させられる(t7時点-t8時点参照)。その後、エンジン12のフューエルカットが実施されてエンジン12が停止させられる(t8時点-t9時点参照)。エンジン回転速度Neがゼロ[rpm]と判定されるとエンジン停止制御が完了させられる(t9時点参照)。
「停止K0待機」フェーズ及び「K0調圧前待機」フェーズでは、K0クラッチ20は完全係合状態とされている。「K0解放前調圧」フェーズでは、K0クラッチ20は解放状態とされる前の準備状態とされている。「K0解放移行SW」フェーズでは、K0クラッチ20は解放状態への過渡中の状態とされている。「K0完全解放移行SW」フェーズでは、K0クラッチ20は完全解放状態への過渡中の状態とされている。「K0解放後SW」フェーズ及び「K0完全解放」フェーズでは、K0クラッチ20は完全解放状態とされている。
このように、クラッチ制御部94は、エンジン停止要求に伴ってエンジントルクTeが漸減させられる過渡中には、K0油圧PRk0をライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えるように油圧制御回路56を制御すると共に、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cとするように油圧制御回路56を制御する。
又、クラッチ制御部94は、係合維持油圧PRk0cを設定するときに用いるエンジントルクTeとして、実エンジントルクTerに安全率SFを掛けた値を用いる。
又、クラッチ制御部94は、エンジン停止要求が有ったときには、エンジントルクTeが所定エンジントルクTefに低下するまでSK0油圧PRsk0をゼロとするように油圧制御回路56を制御する。
ところで、エンジン停止制御の過渡中において、「K0調圧前待機」フェーズから「K0解放前調圧」フェーズに遷移させられると、K0油路切替バルブSCK0がオフ状態からオン状態へ切り替えられる為、K0油圧PRk0の実際値である実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0つまり係合維持油圧PRk0cに向かって低下させられる。そうすると、実K0油圧PRk0rがSK0油圧指令値Ssk0よりも低下する、実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生する可能性がある。実K0油圧PRk0rのアンダーシュートは、K0クラッチ20の滑りを招くおそれがあり、エンジン回転速度Neの吹き上がりが発生してしまう可能性がある。
そこで、クラッチ制御部94は、エンジン停止要求が有ったときには、少なくともSK0切替開始時点PTstsk0から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えると共に、エンジントルクTeが所定低トルクTelowに低下する時点までに補正油圧PRk0addをゼロ[kPa]に向けて低下させるように油圧制御回路56を制御する。つまり、クラッチ制御部94は、少なくとも「K0解放前調圧」フェーズの開始時点から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えたSK0油圧指令値Ssk0を出力すると共に、「K0解放移行SW」フェーズの開始時点までに補正油圧PRk0addをゼロに向けて低下させるSK0油圧指令値Ssk0を出力する。補正油圧PRk0addは、例えばK0クラッチ20がスリップ状態とされない為の予め定められた加算油圧である。つまり、補正油圧PRk0addは、例えば実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられたことに伴って発生する可能性がある実K0油圧PRk0rのアンダーシュートを見越して、そのアンダーシュートが発生した場合でも実K0油圧PRk0rがK0クラッチ20の滑りを抑制又は防止することができる程に高い油圧とされる為の予め定められた加算油圧である。
クラッチ制御部94は、SK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過後に補正油圧PRk0addをゼロに向けて低下させるように油圧制御回路56を制御する。所定時間TMfは、例えば補正油圧PRk0addによってK0クラッチ20の滑りが抑制又は防止される効果が得られつつエンジントルクTeが所定低トルクTelowに低下する時点までに補正油圧PRk0addがゼロとされる為の予め定められた時間である。
「K0解放移行SW」フェーズでは、エンジントルクTeがK0クラッチ20の解放状態への切替えが可能となる所定低トルクTelowに低下させられており、補正油圧PRk0addを加える必要がない。又、「K0解放移行SW」フェーズでは、K0クラッチ20を解放状態とするフェーズである。その為、「K0解放移行SW」フェーズでは、補正油圧PRk0addをゼロとして、速やかにK0クラッチ20を解放状態とする。或いは、K0クラッチ20に滑りが発生したことで「K0解放移行SW」フェーズに遷移した場合には、調圧バルブSK0の故障等が想定される。その為、K0クラッチ20の滑り発生時は、速やかにK0クラッチ20を解放状態とする為に、補正油圧PRk0addをゼロとする。
クラッチ制御部94は、エンジン停止要求が有ったときには、SK0切替開始時点PTstsk0よりも前から、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cとすると共に係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えるように油圧制御回路56を制御しても良い。つまり、クラッチ制御部94は、「K0調圧前待機」フェーズの開始時点から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えたSK0油圧指令値Ssk0を出力しても良い。
クラッチ制御部94は、補正油圧PRk0addをK0クラッチ20の入力トルクTink0に応じた油圧に設定すると共に、補正油圧PRk0addの設定に用いる入力トルクTink0の値をSK0切替開始時点PTstsk0での入力トルクTink0の値に保持しつつ、SK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過後に補正油圧PRk0addをゼロに向けて低下させるように油圧制御回路56を制御しても良い。入力トルクTink0は、基本的にはエンジントルクTeであり、MGトルクTmが出力されているときにはMGトルクTm分が考慮される。
具体的には、ハイブリッド制御部92は、エンジン停止要求が有ると判定した場合には、実エンジントルクTerを漸減する為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。この際、ハイブリッド制御部92は、FCフラグを、フューエルカットを禁止するFC禁止とする。
クラッチ制御部94は、ハイブリッド制御部92によりエンジン停止要求が有ると判定された場合には、SCK0指令信号Ssck0を非通電(OFF)信号としたままで、SK0油圧指令値Ssk0をEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)とする。
クラッチ制御部94は、ハイブリッド制御部92によりエンジン停止要求が有ると判定された場合には、実エンジントルクTerが漸減させられる過渡中において、例えば実エンジントルクTerが所定エンジントルクTef以下になったか否かを判定する。
クラッチ制御部94は、実エンジントルクTerが所定エンジントルクTef以下になったと判定した場合には、SCK0指令信号Ssck0を非通電(OFF)信号としたままで、SK0油圧指令値Ssk0をEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えた値へ切り替える。
クラッチ制御部94は、SK0油圧指令値Ssk0を係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えた値へ切り替えた時点から所定充填時間TMfilが経過したか否かに基づいて、SK0油圧PRsk0が供給される調圧油路116に作動油OILが充填されたか否かを判定する。
クラッチ制御部94は、調圧油路116に作動油OILが充填されたと判定した場合には、SK0油圧指令値Ssk0を係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えた値としたままで、SCK0指令信号Ssck0を非通電(OFF)信号から通電(ON)信号へ切り替えて、K0油圧PRk0をライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替える。
クラッチ制御部94は、K0油圧PRk0をSK0油圧PRsk0へ切り替えたSK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過したか否かを判定する。
クラッチ制御部94は、SK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過したと判定した場合には、SK0油圧指令値Ssk0のうちの補正油圧PRk0addをゼロに向けて漸減する。その後、クラッチ制御部94は、実エンジントルクTerが所定低トルクTelowに低下したか否かを判定する。
クラッチ制御部94は、実エンジントルクTerが所定低トルクTelowに低下したと判定した場合には、SK0油圧指令値Ssk0を係合維持油圧PRk0cからK0クラッチ20を解放状態へ移行する値に切り替える。その後、クラッチ制御部94は、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)となったか否かを判定する。
ハイブリッド制御部92は、クラッチ制御部94によりSK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)となったと判定された場合には、必要に応じてエンジン12を自立運転状態とする為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。その後、ハイブリッド制御部92は、FCフラグを、フューエルカットを実施するFC実施へ切り替えて、エンジン12を停止状態とする為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。
図4は、電子制御装置90の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、エンジン12を運転状態から停止状態へ切り替える際にK0クラッチ20の滑りを抑制しつつ速やかにK0油圧PRk0を低下させる為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば繰り返し実行される。図5は、図4のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
図4において、先ず、ハイブリッド制御部92の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、エンジン停止要求が有るか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合はハイブリッド制御部92の機能に対応するS20において、実エンジントルクTerが漸減させられる。又、FCフラグはFC禁止とされる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS30において、SCK0指令信号Ssck0が非通電(OFF)信号とされたままで、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)とされる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS40において、実エンジントルクTerが所定エンジントルクTef以下になったか否かが判定される。このS40の判断が否定される場合はこのS40が繰り返し実行される。このS40の判断が肯定される場合はクラッチ制御部94の機能に対応するS50において、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えた値へ切り替えられる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS60において、SK0油圧PRsk0が供給される調圧油路116に作動油OILが充填されたか否かが判定される。このS60の判断が否定される場合はこのS60が繰り返し実行される。このS60の判断が肯定される場合はクラッチ制御部94の機能に対応するS70において、SCK0指令信号Ssck0が非通電(OFF)信号から通電(ON)信号へ切り替えられて、K0油圧PRk0がライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS80において、SK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過したか否かが判定される。このS80の判断が否定される場合はこのS80が繰り返し実行される。このS80の判断が肯定される場合はクラッチ制御部94の機能に対応するS90において、SK0油圧指令値Ssk0のうちの補正油圧PRk0addがゼロに向けて漸減させられる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS100において、実エンジントルクTerが所定低トルクTelowに低下したか否かが判定される。このS100の判断が否定される場合はこのS100が繰り返し実行される。このS100の判断が肯定される場合はクラッチ制御部94の機能に対応するS110において、SK0油圧指令値Ssk0が係合維持油圧PRk0cからK0クラッチ20を解放状態へ移行する値に切り替えられる。次いで、クラッチ制御部94の機能に対応するS120において、SK0油圧指令値Ssk0がEV定常時K0油圧PRk0ev(=0)となったか否かが判定される。このS120の判断が否定される場合はこのS120が繰り返し実行される。このS120の判断が肯定される場合はハイブリッド制御部92の機能に対応するS130において、必要に応じてエンジン12が自立運転状態で待機させられる。その後、FCフラグがFC実施へ切り替えられてエンジン12が停止状態とされる。
図5は、図3と同様に、エンジン12の停止過程におけるK0クラッチ20の各フェーズの一例を説明するタイムチャートである。図5において、t1b時点、・・・、t9b時点の各時点は、順に、図3におけるt1時点、・・・、t9時点の各時点に対応している。図5におけるエンジン12の停止過程において、図3におけるエンジン12の停止過程と相違する部分を主に説明する。図5におけるエンジン12の停止過程において、「K0調圧前待機」フェーズ(t2b時点-t3b時点参照)及び「K0解放前調圧」フェーズ(t3b時点-t4b時点参照)では、係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えたSK0油圧指令値Ssk0が出力させられる。これにより、SCK0指令信号Ssck0が非通電(OFF)信号から通電(ON)信号へ切り替えられて実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に、実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生した場合でも、実K0油圧PRk0rは係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addが加えられない場合に比べて高い油圧とされ、K0クラッチ20の滑りを抑制又は防止することができる程に高い油圧とされているので、K0クラッチ20の滑りが抑制又は防止される。尚、「K0解放前調圧」フェーズでは、t3b時点から所定時間TMf経過後に補正油圧PRk0addがゼロに向けて低下させられ、「K0解放移行SW」フェーズ(t4b時点-t5b時点参照)の開始時点までに補正油圧PRk0addがゼロとされている。
上述のように、本実施例によれば、エンジン停止要求が有ったときには、少なくともSK0切替開始時点PTstsk0から係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えると共に、エンジントルクTeが所定低トルクTelowに低下する時点までに補正油圧PRk0addをゼロに向けて低下させるように油圧制御回路56が制御されるので、実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生した場合でも、実K0油圧PRk0rはK0クラッチ20の滑りを抑制することができる程に高い油圧とされていると共に、K0クラッチ20の解放状態への切替え過渡中は補正油圧PRk0addがゼロとされている。よって、エンジン12を運転状態から停止状態へ切り替える際に、K0クラッチ20の滑りを抑制しつつ、速やかにK0油圧PRk0を低下させることができる。
また、本実施例によれば、エンジン停止要求が有ったときには、SK0切替開始時点PTstsk0よりも前から、SK0油圧PRsk0を係合維持油圧PRk0cとすると共に係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えるように油圧制御回路56が制御されるので、SK0切替開始時点PTstsk0でSK0油圧PRsk0が供給される調圧油路116に作動油OILが速やかに充填され易くされ、実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に、実K0油圧PRk0rはK0クラッチ20の滑りを抑制することができる程に高い油圧とされ易くされる。
また、本実施例によれば、補正油圧PRk0addがK0クラッチ20の入力トルクTink0に応じた油圧に設定されると共に、補正油圧PRk0addの設定に用いられる入力トルクTink0の値がSK0切替開始時点PTstsk0での入力トルクTink0の値に保持されつつ、SK0切替開始時点PTstsk0から所定時間TMf経過後に補正油圧PRk0addをゼロに向けて低下させるように油圧制御回路56が制御されるので、実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生した場合でも、実K0油圧PRk0rはK0クラッチ20の滑りを抑制することができる程に適切に高い油圧とされていると共に、K0クラッチ20の解放状態への切替え過渡中は補正油圧PRk0addが適切にゼロとされている。
また、本実施例によれば、係合維持油圧PRk0cを設定するときに用いられるエンジントルクTeとして、実エンジントルクTerに安全率SFを掛けた値が用いられるので、実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生した場合でも、実K0油圧PRk0rはK0クラッチ20の滑りを抑制することができる程に一層高い油圧とされている。
また、本実施例によれば、エンジン停止要求が有ったときには、エンジントルクTeが所定エンジントルクTefに低下するまでSK0油圧PRsk0をゼロとするように油圧制御回路56が制御されるので、SK0油圧PRsk0がエンジントルクTeに応じた係合維持油圧PRk0cとされるときに調圧バルブSK0における油圧振動が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、「K0調圧前待機」フェーズにおいて、係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えたSK0油圧指令値Ssk0が出力させられたが、少なくとも「K0解放前調圧」フェーズにおいて、係合維持油圧PRk0cに補正油圧PRk0addを加えたSK0油圧指令値Ssk0が出力させられれば良い。このようにしても、実K0油圧PRk0rがライン圧PLからSK0油圧PRsk0へ切り替えられた際に実K0油圧PRk0rのアンダーシュートが発生した場合でも、実K0油圧PRk0rはK0クラッチ20の滑りを抑制することができる程に高い油圧とされているという一定の効果は得られる。
また、前述の実施例では、自動変速機24として遊星歯車式の自動変速機を例示したが、この態様に限らない。自動変速機24は、公知のDCT(Dual Clutch Transmission)を含む同期噛合型平行2軸式自動変速機、公知のベルト式無段変速機などであっても良い。又は、自動変速機24は、必ずしも備えられている必要はない。
また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ22が用いられたが、この態様に限らない。例えば、流体式伝動装置として、トルクコンバータ22に替えて、トルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。又は、流体式伝動装置は、必ずしも備えられている必要はなく、例えば発進用のクラッチに置き換えられても良い。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。