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JP7647504B2 - ボード部材およびボード部材の製造方法 - Google Patents
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JP7647504B2 - ボード部材およびボード部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、天然繊維を用いた繊維層を有するボード部材に関し、そのボード部材の製造方法に関する。
従来から、交絡させたケナフなどの植物繊維の繊維間を、熱可塑性樹脂によって結着させた構成の成形体が知られている。この成形体は、軽量化を主な目的として、植物繊維を含有させたものであり、この成形体を用いて製造された部材は、下記特許文献1に記載された車両用内装材のように、表面を表皮材や樹脂製の表面材で覆って、視認できない状態で用いられることが多い。一方で、下記特許文献2のように、上記のような植物繊維を含有させた成形体を、例えば乗物の内装材や家具等の意匠面に採用し、繊維柄の意匠の物品等を実現することが検討されている。なお、特許文献1に記載の車両用内装材は、透光性を有する基材に、印刷によって加飾されたフィルムを接着するとともに、そのフィルムの裏面側に照明手段を配した構成とされており、裏面側から光を照射することで、非照明時には表現されていない図柄等の意匠を浮き上がらせることができるものとなっている。
特開2015-003662号公報 特開2021-160118号公報
上記特許文献1および2のように、種々の物品等の意匠面において、天然繊維を直接視認できる構成や、裏面側から光を照射して天然繊維を浮き上がらせる構成によって、天然繊維感を表現することが検討されている。本願発明者らは、板状をなす基材に、天然繊維を用いてマット状に成形した繊維層とその表面側に接着されたフィルム材とで構成される意匠材を貼り付ける構成のボード材を検討した。しかしながら、フィルム材からなる意匠面に、天然繊維による凹凸が発生し、天然繊維感を損ねてしまうという問題が生じた。また、繊維層の表面は、天然繊維感を表現するために、天然繊維が不均一であることが望ましく、繊維層の基材あるいはフィルム材に対する接着において、接着ムラ(接着面上での接着力のばらつき)が生じるという問題が生じた。
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、ボード部材において、天然繊維によるフィルム上への凹凸を抑制するととともに、フィルム材および基材に対して繊維層を確実に接着することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のボード材は、
板状の基材と、
天然繊維を主体として構成されて前記基材の表面側に接着される繊維層と、
前記繊維層の表面側に接着されて意匠面を構成するフィルム材と、を備え、
前記繊維層は、前記天然繊維である第1繊維と、前記天然繊維の繊維径より細い繊維である第2繊維とが絡み合わされてマット状に成形されたことを特徴とする。
この構成のボード部材は、比較的繊維径の大きな天然繊維の周囲に、繊維径の小さな第2繊維が絡み合うことになるため、天然繊維とフィルム材との間や天然繊維と基材との間に第2繊維が介在することで、天然繊維によってフィルム材に凹凸が生じることを抑制することができる。また、この構成のボード部材は、第2繊維の存在によって、表面積が増加する、つまり、接着面積が増加するとともに、天然繊維が少ない箇所も第2繊維が分散することになるため、接着面上での接着力のばらつきを抑えることができ、フィルム材および基材に対して繊維層を確実に接着することができる。
例えば乗物用内装材の軽量化を目的として基材に天然繊維が用いられる場合、天然繊維の繊維間を熱可塑性樹脂によって結着させて板状に成形した構成の成形体とされる。それに対して、この構成のボード材における「繊維層」は、熱可塑性樹脂によって結着されておらず、比較的自由に形状を変更することが可能なものとなる。つまり、繊維層は、種々の形状の基材に対して接着することが可能となる。なお、この構成のボード部材における「繊維層」は、1種あるいは2種以上の天然繊維で成形されたものであってもよく、合成繊維を混合させたものであってもよい。
この構成の「基材」は、平面状のものに限定されず、湾曲した形状や、凹凸を有する形状のものを採用することができる。そして、例えば、フィルム材と繊維層とで構成される意匠材を基材に貼り付ける場合において、基材の上下方向に延びる箇所に貼り付ける場合であっても、第2繊維層が存在することで、塗布した接着剤が下方に垂れていくことを抑え、意匠材を基材に対してしっかりと接着することが可能である。
上記構成において、前記第1繊維は、繊維径が80μm以上100μm以下のものとされ、前記第2繊維は、繊維径が10μm以上30μm以下のものとされた構成とすることができる。
この構成のボード部材は、第1繊維に対して第2繊維が絡み易く、繊維層の接着性を高めるのに好適である。
上記構成において、前記繊維層は、単位面積当たりの質量が8g/m以上20g/m以下である構成とすることができる。
例えば、乗物用内装材の軽量化を目的として基材に天然繊維が用いられる場合、天然繊維の繊維間を熱可塑性樹脂によって結着させて板状に成形した構成の成形体とされるが、その成形体の単位面積当たりの質量(目付け)は、400~600g/m程度とされる。この構成のボード部材に用いられる繊維層は、そのような基材として用いられる場合に比較して、目付が非常に小さいものとされており、種々の形状の物品に沿わせるのに好適である。また、この構成にボード部材は、基材およびフィルム基材が光透過性を有する材料から成形されたものとされ、裏面側から光を照射して、フィルム材表面に繊維層の天然繊維を浮き出させるような構成に好適である。なお、そのような構成の場合、繊維層の目付けは、できる限り小さい方が望ましいが、フィルム基材への接着性やマット状への成形性の観点から、8g/m~12g/mであることが望ましい。
上記構成において、前記繊維層における前記第2繊維の含有率は、20%以上50%以下とされた構成とすることができる。
裏面側からの光照射時に天然繊維感を表層に表現するためには、天然繊維は多いほどが望ましいが、この構成の光透過性意匠材によれば、第2繊維による接着力を十分に確保するとともに、第1繊維によって十分に天然繊維感を表現することができる。なお、第2繊維の含有率は、25~35%であることが、より望ましい。
上記構成において、前記フィルム材は、光透過性を有する材料からなり、表面に繊維柄が印刷されたものとされ、前記基材は、光透過性を有する材料からなる構成とすることができる。
この構成のボード部材は、裏面側から光が照射されていない場合、フィルム材表面に設けられた繊維柄によって、天然繊維感を表現する。一方で、裏面側から光が照射されている場合には、フィルム材に設けられた繊維柄は、光によって一部がぼやけてしまったり、消えてしまったりすることになるが、繊維層における天然繊維がフィルム材表面に浮き出て、天然繊維感を表現することができる。なお、この繊維層は、天然繊維感を表現するという観点からすれば、いわゆる不織布が望ましく、ニードルパンチも施されていないものであることが望ましい。
上記構成において、前記第2繊維は、光透過性を有する樹脂繊維とすることができる。
この構成のボード部材は、第2繊維が光透過性を有するため、裏面側から光を照射して、フィルム材表面に繊維層の天然繊維を浮き出させるような構成おいて、第2繊維がフィルム材表面に浮き出ることがなく、第1繊維による天然繊維感を際立たせつつ、フィルム材および基材への接着力を高めることができる。
上記構成において、前記繊維層は、前記第1繊維が特定方向に向かって揃って延びるように成形されたものであり、前記フィルム材の前記繊維柄は、前記特定方向に向かって揃って延びる柄とされている構成とすることができる。
上述したように裏面側から光を照射して、フィルム材表面に繊維層の天然繊維を浮き出させるような構成の場合、フィルム材に印刷された繊維柄のうち視認可能な一部のものと、光によって浮き出た繊維層の天然繊維とが、重なって視認される状態となる。この構成のボード部材によれば、それら印刷された繊維柄と浮き出た天然繊維の方向とが揃えられているため、裏面側から光を照射した際に視認される像に違和感を生じさせず、高い意匠性を確保することができる。
上記課題を解決するために、本発明のボード部材の製造方法は、
前記繊維層において目標となる単位面積当たりの質量の少なくとも2倍の量の前記第1繊維および第2繊維によって繊維ウェブを成形する繊維ウェブ成形工程と、
前記繊維ウェブの両面に2枚の前記フィルム材を接着するフィルム材接着工程と、
2枚の前記フィルム材の一方を、他方から剥がすようにして分離させる分離工程を含み、前記フィルム材に前記繊維層が積層された2枚の意匠材を成形する意匠材成形工程と、
前記意匠材を前記基材の表面に接着して、当該ボード部材を成形するボード部材成形工程と、
を有することを特徴とする。
第1繊維である天然繊維が比較的まっすぐな繊維であるのに対して、繊維径の小さな第2繊維は、第1繊維に比較して縮れたものとなる場合が多い。この構成のボード部材の製造方法の分離工程において、2枚のフィルム材を互いに剥がす際に、第2繊維がフィルム材に対して立ち上がった状態となりやすい。それにより、繊維層は、第2繊維が第1繊維からフィルム材とは反対側に延び出した状態となりやすく、基材への接着面を確保して、基材への接着力を高めることができる。
上記構成の製造方法において、前記意匠材成形工程は、分離した2枚の前記意匠材を合わせて押圧することで貼り合わせる貼着工程を含み、前記貼着工程と前記分離工程とを繰り返す構成とすることができる。
この構成のボード部材の製造方法は、貼着工程と分離工程との繰り返しによって、2枚の意匠材の質量の均一化を図ることができる。
上記構成の製造方法において、前記意匠材成形工程は、前記分離工程の後に行われ、前記第1繊維および前記第2繊維の延びる方向が特定方向に揃うようにブラッシングを行うブラッシング工程を含む構成とすることができる。
この構成のボード部材の製造方法は、後に行われるボード部材成形工程において、意匠材を基材に接着する際に、繊維の延びる方向が揃っているため接着剤を塗布し易く、かつ接着面積を確実に確保することができる。また、先に述べた裏面側から光を照射してフィルム材表面に繊維層の天然繊維を浮き出させるような構成とする場合に、フィルム材の繊維柄と方向を合わせることもでき、光照射時において高い意匠性を確保することができる。
上記構成の製造方法において、前記意匠材成形工程は、前記ブラッシング工程の後に行われ、前記繊維層の厚みを所定の厚みとするプレス工程を含む構成とすることができる。
この構成のボード部材の製造方法によれば、立ち上がった第2繊維を寝かせることができ、接着面積をより確実に確保することができる。
本発明によれば、ボード部材において、天然繊維によるフィルム上への凹凸を抑制するととともに、フィルム材および基材に対して繊維層を確実に接着することができる。
本発明のボード部材が用いられた車両を車室内からの視点において示す図 図1に示したオーナメントを車両後方側からの視点において示す断面図 本発明のボード部材を概略的に示す拡大断面図 本発明のボード部材を構成する繊維層を概略的に示す平面図 分離工程を示す概略図 ブラッシング工程を示す概略図 プレス工程を示す概略図 完成した意匠材を概略的に示す断面図 非照射時における像を概略的に示す図 照射時における像を概略的に示す図
本発明のボード部材を用いた実施形態である乗物用内装材を図1に示す。本実施形態の乗物用内装材は、車両(自動車)のサイドドア10における車室内面を構成するドアトリム12に用いられている。サイドドア10は、運転席側(車幅方向右側)と助手席側(車幅方向左側)とにそれぞれ設けられ、車両前方側の概して上下方向に延びる回動軸を中心として回動することで、開閉可能な構成とされている。それら運転席側のサイドドア10およびその運転席側のサイドドア10のいずれのドアトリム12も、本実施形態の乗物用内装材が用いられている。以下に説明においては、運転席側のサイドドア10のドアトリム12を代表して説明することとする。
ドアトリム12は、サイドドア10の車室内側部分を構成するものであり、ドアインナパネルに対して車室内側から取り付けられるものである。ドアトリム12は、図1に示すように、ロアボード14、アッパボード15と、オーナメント16とを、含んで構成されている。なお、ロアボード14の上端には、アームレスト17が形成されており、オーナメント16は、そのアームレスト17の上方に配されている。
このオーナメント16が、本実施形態の乗物用内装材である。オーナメント16は、内部に空間が形成されたハウジング20を主体として構成される。ハウジング20は、図1に示すように、車両前後方向の延びる長手状のものであり、ドアトリム12を構成するロアボード14とアッパボード15との間に固定されて、ハウジング20の一面が車室内面の一部を構成している。
ハウジング20は、図2に示すように、概して箱状のものであり、車室内側の部分を構成する第1ハウジング部材21と、車室外側の部分を構成する第2ハウジング部材22と、からなる。詳しく言えば、第2ハウジング部材22は、底面部23(車室外側の部分)と、その底面部23の周縁から立設する壁部24と、を有し、概して皿状の部材とされている。一方、第1ハウジング部材21は、皿状に成形された第2ハウジング部材22の開口を塞ぐ蓋状の部材とされている。具体的には、第1ハウジング部材21は、車室内外方向における視点において、第2ハウジング部材22と同じ外形形状のものとされ、周縁において第2ハウジング部材22の壁部24の先端に接合されている。
ハウジング20には、照明装置30が設けられている。照明装置30は、図2に示すように、長手状の基板31とその基板31上に長手方向に沿って配列された複数のLED32とからなるLEDテープ33を複数本含んで構成される。それらLEDテープ33は、上下方向に間隔をおいて、車両前後方向に延びる状態で第2ハウジング部材22の底面23に貼着されている。なお、この第2ハウジング部材22は、合成樹脂からなり、光を透過させず、また、光を反射させないものとなっている。そして、照明装置30は、LED32の点灯状態を制御すること、具体的には、LED32の点灯・消灯を切り替え可能とされるとともに、照度を一定範囲で変更可能であり、点灯時においては、相対的に明るい高照度から暗い低照度の範囲で段階的に照度を変更可能とされている。
第1ハウジング部材21が、本発明のボード部材であり、表皮材40と、基材42とからなる。基材42は、透光性の高い合成樹脂(例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト)からなる。なお、本実施例においては、基材42は、アクリルからなる。この基材42は、図2に示すように、上下方向における中央が室内側に膨らんで、断面山形の形状のものとされている。そして、この基材42の室内側面に、光透過性意匠材である表皮材40が接着されている。
表皮材40は、図3に示すように、意匠面を構成する表層44と、表層44の裏面に接着された繊維層46とからなる。表層44は、光透過性を有する材料からなるフィルム基材50を主体とするフィルム材である。なお、フィルム基材50は、特に限定されないが、本実施例においては、ポリ塩化ビニルから成形されている。そして、表層44は、そのフィルム基材50の表面側(車室内側)に、印刷により繊維層46を模した繊維柄がインクジェット塗料によって成形された印刷層52と、その印刷層52の表面側に、印刷層52の繊維柄に合わせて凹凸形状が光透過性を有する樹脂材料(例えば、UV硬化樹脂)によって成形された立体形状層54と、が積層されたものとなっている。なお、本実施形態において、この表層44の厚みは、130μm~230μm程度となっている。より詳しく言えば、フィルム基材50の厚みが、70μm~90μm程度、印刷層52の厚みが、15μm~40μm程度、立体形状層54の厚みが、45μm~100μm程度となっている。
また、繊維層46は、第1繊維としての天然繊維である植物繊維60と、第2繊維としての樹脂繊維62とが絡み合わされてマット状に成形されている。その植物繊維60には、ケナフ等の靭皮植物繊維や木材等を解繊して得た木質繊維等を例示することができる。また、天然繊維として植物繊維60を例示しているが、動物繊維や鉱物繊維であってもよい。なお、本実施形態の繊維層46においては、天然繊維である植物繊維60はケナフ繊維である。また、樹脂繊維62は、透明あるいは半透明で光透過性を有する樹脂材料からなり、その熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂)等を例示することができる。なお、本実施形態においては、樹脂繊維62は、ポリプロピレン(PP)からなる。
本実施形態において、ケナフ繊維である植物繊維60には、平均繊維径が80μm以上100μm以下のものが用いられるのに対して、樹脂繊維62は、植物繊維60の繊維径よりも小さいものとされている。樹脂繊維62の繊維径は、10μm以上30μm以下のものとされている。また、図4に示すように、植物繊維60が、比較的直線的な形状の繊維であるのに対して、樹脂繊維62は、縮れたような形状の繊維となっている。
繊維層46は、植物繊維60と樹脂繊維62とを、所定の割合で混合し、その混合したものをカード機によって開繊して積層することで成形されている。なお、繊維層46は、ニードルパンチは行われておらず、そのニードルパンチによる孔等が形成されていないものとなっている。また、本実施形態においては、それらを混合した混合繊維の総質量を100wt%とした場合、その混合繊維は、例えば、植物繊維60を70wt%、樹脂繊維62を30wt%の割合で含有したものとすることができる。さらに、本実施形態において、繊維層46は、単位面積当たりの質量が10g/m程度となるように成形されている。なお、繊維層46は、後に詳しく説明するが、第1ハウジング部材21の意匠面に天然繊維の像を表現するためのものであるため、繊維層46の単位面積当たりの質量は、比較的小さく、8g/m以上20g/m以下であることが望ましい。さらに言えば、8g/m以上12g/m以下であることが、より望ましい。
ちなみに、第1ハウジング部材21の意匠面に繊維感を表現するとういう観点からすれば、繊維層46は、植物繊維60のみあれば、樹脂繊維62は不要である。一方で、繊維層46が植物繊維60のみで構成された場合には、フィルム基材50を主体とするもので、比較的厚みの薄いものであるため、表層44の意匠面(室内側面)に、天然繊維による不自然な凹凸が発生し、天然繊維感を損ねてしまうという問題が生じた。また、繊維層46の表面は、天然繊維感を表現するために、天然繊維が不均一であることから、繊維層46の基材42あるいは表層44に対する接着において、接着ムラ(接着面上での接着力のばらつき)が生じるという問題が生じた。
本実施形態においては、上述したように、繊維層46が、植物繊維60を主体として、その植物繊維60より繊維径の細い樹脂繊維62を絡み合わせたものとされているため、植物繊維60と表層44との間や植物繊維60と基材42との間に植物繊維62が介在することで、植物繊維60によって表層44に凹凸が生じることを抑制することができる。また、樹脂繊維62の存在によって、繊維層46の表面積が増加する、つまり、接着面積が増加することになる。また、植物繊維60が少ない箇所も樹脂繊維62が分散することになるため、接着面上での接着力のばらつきを抑えることができる。したがって、本実施形態においては、繊維層46を、表層44および基材42に対して確実に接着することができる。なお、繊維感を表現しつつ、接着力を高めるためには、例えば、植物繊維60の含有率を50wt%以上80wt%以下とし、その植物繊維60に対して総質量100wt%となるように、樹脂繊維62を50wt%以下20wt%以上の割合で含有したものとすることが望ましい。さらに言えば、植物繊維60の含有率を65wt%以上75wt%以下とし、樹脂繊維62を35wt%以下25wt%以上の割合で含有したものとすることが、より望ましい。
ここで、本実施形態のボード部材である第1ハウジング部材21の製造方法について説明する。まず、上述した所定の割合で、植物繊維60と樹脂繊維62とを混合する。この混合繊維をカード機によって開繊・積層することで、図5に示すような平面状の繊維ウェブ70を成形する(繊維ウェブ成形工程)。ただし、この繊維ウェブ70は、繊維層46の目標となる目付けに対して、2倍量を超える目付けとなるように成形されている。
次に、上述した表層44に対応するフィルム材72を2枚用意する。それら2枚のフィルム材72A,72Bを、繊維ウェブ70の2つの面の各々に、貼り付ける(フィルム材接着工程)。ちなみに、フィルム材72の裏面には、詳しく言えば、フィルム基材50の裏面には、粘着剤が積層されており、その粘着剤によって、繊維ウェブ70に接着させることが可能とされている。なお、この場合において、繊維ウェブ70は、植物繊維60の周りに繊維径の小さい樹脂繊維62が存在する構成となっているため、フィルム材72A,72Bをしっかりと接着させることができる。
続いて、図5に示すように、上側のフィルム材72Aを、下側のフィルム材72Bから剥がすようにして、2つに分離させる(分離工程)。なお、繊維ウェブ70は、植物繊維60に対して繊維径の小さな樹脂繊維62が絡みついて、樹脂繊維62が植物繊維60から外側に延び出した状態となりやすい。つまり、フィルム材72A,72Bには、樹脂繊維62が貼り付いた状態となりやすい。この状態から繊維ウェブ70を分離させると、それぞれのフィルム材72A,72Bに接着された繊維ウェブ70A,70Bは、特に、繊維径の小さな樹脂繊維62が、他方に引っ張られるような状態となり、フィルム材72に対して立ち上がって、毛羽立った状態になりやすい。これにより、樹脂繊維62の一部は、植物繊維60に対して、フィルム材72とは反対側に延び出した状態となる。つまり、このフィルム材72A,72Bと繊維ウェブ70A,70Bとからなる意匠材74を、基材42に接着する際に、立ち上がった樹脂繊維62によって、接着面積を確実に確保することができる。
また、本実施形態においては、上記分離工程の後に、分離した2枚の意匠材74は、それぞれの繊維ウェブ70A,70B側の面を合わせて押圧されることで、互いに貼り合わせられる(貼着工程)。そして、この貼着工程と上述した分離工程とが繰り返し行われ、2枚の意匠材74の質量の均一化が図られるようになっている。
次いで、図6に示すように、各意匠材74に対し、繊維ウェブ70A,70Bが、特定方向に向かってブラッシングされる。このブラッシング工程により、繊維ウェブ70A,70Bは、繊維の延びる方向が特定方向に揃えられることになる。さらに、このブラッシング工程において、繊維ウェブ70A,70Bの目付けが、目標となる目付けとされるようになっている。なお、意匠材74における繊維ウェブ70A,70Bは、上述したように、樹脂繊維62がフィルム材72に接着された状態となりやすく、植物繊維60は、その樹脂繊維62に保持された状態となりやすい。したがって、ブラッシング工程において、樹脂繊維62の存在により、植物繊維60も特定方向に向かってブラッシングさせやすい構成となっている。
ちなみに、このブラッシング工程に利用されるブラシ80は、各繊維が弾性を有するものとされるとともに、先端が球形とされている。これにより、フィルム材72を傷つけることを防止しつつ、効果的に繊維の方向を揃えることができる。また、ブラシ80は、繊維径の大きい植物繊維60をブラッシングするとともに、フィルム材72の反対側に延び出した樹脂繊維62をブラッシングするために、長い繊維と短い繊維が混在しているものであることが望ましい。
さらに、このブラッシング工程の後には、図7に示すように、ローラ82によるプレス工程が行なわれ、繊維ウェブ70A,70Bの厚みが所定の厚みとされる。これにより、立ち上がっていた樹脂繊維62が、特定方向に揃えられた状態で、寝かされた状態となる。これにより、図8に示すように、光透過性意匠材である表皮材40が完成する。そして、この表皮材40は、ブラッシング工程とプレス工程によって、樹脂繊維62が特定方向に揃えられて寝かされた状態となっているため、繊維ウェブ70A,70B上に接着剤を塗布し易く、かつ、基材42への接着面積を確実に確保することができるのである。なお、前述したフィルム材72において、印刷層52の繊維柄は、上述したブラッシングを行った植物繊維60を模したものであり、特定方向に延びる繊維柄とされている。以上のように、意匠材74を成形する意匠材成形工程は、上述した分離工程,貼着工程,ブラッシング工程,プレス工程を含んで構成されている。
そして、上記の表皮材40の繊維ウェブ70A,70Bに接着剤を塗布して、基材42に対して貼り付けることで、本発明のボード部材である第1ハウジング部材21が完成する(ボード部材成形工程)。なお、表皮材40の繊維ウェブ70A,70Bの部分が熱可塑性樹脂によって結着されておらず、比較的自由に形状を変化させることができるため、基材42が、断面山形の形状のものとされているが、その形状に沿って接着させることができる。また、この構成により、表皮材40を種々の形状のものに貼り付けることが可能であり、種々の形状のボード部材を実現することができる。また、繊維ウェブ70A,70Bは、樹脂繊維62が存在することで、植物繊維60のみで繊維ウェブを成形した場合に、液体状の接着剤をしっかりと保持できるため、基材42への接着を確実に行えるようになっている。さらに言えば、表皮材40を、立壁状の個所に対して接着する場合であっても、接着剤が下方に垂れにくく、しっかりと接着させることができる。
以上のように構成されたボード部材である第1ハウジング部材21は、照明装置30が消灯され裏面側から光が照射されていない場合、図9に示すように、表層44に設けられた繊維柄によって、天然繊維感を表現する。一方で、照明装置30が点灯され、裏面側から光が照射されている場合には、表層44に設けられた繊維柄は、光によって一部がぼやけてしまったり、消えてしまったりすることになるが、図10に示すように、繊維層46における植物繊維60が表層44の表面に浮き出て、天然繊維感を表現することができる。なお、照明装置30の点灯時において、表層44の繊維柄の延びる方向と、表層44に浮き出る繊維層46の植物繊維60の延びる方向が、同じ方向とされているため、表現された像に違和感を生じさせず、高い意匠性を確保したものとなっている。
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態においては、繊維層46が、第2繊維として樹脂繊維62を混合されたものとされていたが、それに限定されず、第1繊維である植物繊維60より繊維径の細い天然繊維(例えば、コットン)とすることもできる。この態様によれば、照明装置30の点灯時において、繊維径の異なる2種類の天然繊維によって、奥行き感を表現することができる。さらに言えば、混合繊維を開繊・積層する際に、表層44側ほど、繊維径の大きな第1繊維(ケナフ繊維)60が第2繊維(コットン)に比較して多くなるようなマット状に成形することで、より奥行き感を出すことができる。また、混合させる繊維は3種以上、例えば互いに繊維径の異なるものを混合させて、繊維層を成形してもよい。
また、繊維層は、同系色で濃淡の異なる2種類以上の天然繊維を混合して成形したものとすることができる。この態様によれば、濃淡の異なる2種類の天然繊維によって、奥行き感を表現することができる。さらに言えば、混合繊維を開繊・積層する際に、表層44側ほど、色の濃い天然繊維が色の薄い天然繊維に比較して多くなるようなマット状に成形することで、より奥行き感を出すことができる。
上記実施形態において、ボード部材は、車両用のドアトリム12に採用されていたが、それに限定されず、車両の天井材やインパネなど、他の車両用内装材に採用することもできる。また、車両に限定されず、他の乗物の内装材に採用することもできる。さらに言えば、乗物の内装材に限定されず、建築物の内装や家具などに採用することもできる。
16…オーナメント〔乗物用内装材〕、21…第1ハウジング部材〔ボード部材〕、30…照明装置、40…表皮材〔意匠材〕、42…基材、44…表層、46…繊維層、50…フィルム基材、52…印刷層、54…立体形状層、60…植物繊維〔天然繊維,第1繊維〕、62…樹脂繊維〔第2繊維〕、70,70A,70B…繊維ウェブ、72A,72B…フィルム材、74…意匠材

Claims (11)

  1. 板状の基材と、
    天然繊維を主体として構成されて前記基材の表面側に接着される繊維層と、
    前記繊維層の表面側に接着されて意匠面を構成するフィルム材と、を備え、
    前記繊維層は、前記天然繊維である第1繊維と、前記天然繊維の繊維径より細い繊維である第2繊維とが絡み合わされてマット状に成形されたことを特徴とするボード部材。
  2. 前記第1繊維は、繊維径が80μm以上100μm以下のものとされ、前記第2繊維は、繊維径が10μm以上30μm以下のものとされた請求項1に記載のボード部材。
  3. 前記繊維層は、単位面積当たりの質量が8g/m以上20g/m以下である請求項1または請求項2に記載のボード部材。
  4. 前記繊維層における前記第2繊維の含有率は、20%以上50%以下とされた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボード部材。
  5. 前記フィルム材は、光透過性を有する材料からなり、表面に繊維柄が印刷されたものとされ、
    前記基材は、光透過性を有する材料からなる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボード部材。
  6. 前記第2繊維は、光透過性を有する樹脂繊維である請求項5に記載のボード部材。
  7. 前記繊維層は、前記第1繊維が特定方向に向かって揃って延びるように成形されたものであり、
    前記フィルム材の前記繊維柄は、前記特定方向に向かって揃って延びる柄とされている請求項5または請求項6に記載のボード部材。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボード部材を製造するための製造方法であって、
    前記繊維層において目標となる単位面積当たりの質量の少なくとも2倍の量の前記第1繊維および第2繊維によって繊維ウェブを成形する繊維ウェブ成形工程と、
    前記繊維ウェブの両面に2枚の前記フィルム材を接着するフィルム材接着工程と、
    2枚の前記フィルム材の一方を、他方から剥がすようにして分離させる分離工程を含み、前記フィルム材に前記繊維層が積層された2枚の意匠材を成形する意匠材成形工程と、
    前記意匠材を前記基材の表面に接着して、当該ボード部材を成形するボード部材成形工程と、
    を有するボード部材の製造方法。
  9. 前記意匠材成形工程は、分離した2枚の前記意匠材を合わせて押圧することで貼り合わせる貼着工程を含み、前記貼着工程と前記分離工程とを繰り返すことを特徴とする請求項8に記載のボード部材の製造方法。
  10. 前記意匠材成形工程は、前記分離工程の後に行われ、前記第1繊維および前記第2繊維の延びる方向が特定方向に揃うようにブラッシングを行うブラッシング工程を含む請求項8または請求項9に記載のボード部材の製造方法。
  11. 前記意匠材成形工程は、前記ブラッシング工程の後に行われ、前記繊維層の厚みを所定の厚みとするプレス工程を含む請求項10に記載のボード部材の製造方法。
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