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JP7647838B2 - 再生リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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JP7647838B2 - 再生リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の再生方法、再生リチウムイオン二次電池に関する。
近年、国際的な環境意識の高まりにより、二酸化炭素の排出量が少ないハイブリット自動車、プラグインハイブリッド自動車などの環境自動車の普及が拡大している。そして、環境自動車用の電池として、出力特性と充放電サイクル特性とに優れたリチウムイオン二次電池の開発が、強く望まれている。
リチウムイオン二次電池には、一般的なものとして、非水系電解質二次電池がある。非水系電解質二次電池は、正極、負極の他、電解質等により構成され、正極および負極には、リチウムのインターカレーション、すなわち、可逆的にリチウムイオンの挿入・脱離が可能な物質が用いられる。正極と負極との間に電解質を配置することにより、リチウムイオンが、正極および負極で挿入・脱離される際の酸化還元反応を利用し、電気化学的エネルギーが得られる。
リチウムイオン二次電池における正極活物質としては、製造が比較的容易であるリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)、コバルトよりも安価であるニッケルを用いたリチウム・ニッケル複合酸化物(LiNiO)、マンガンを用いたリチウム・マンガン複合酸化物(LiMn)のほか、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(NCA)などのリチウム金属複合酸化物が挙げられる。
負極活物質としては、車載用の場合、コストが最重視されるため、安価な炭素系材料が挙げられるが、電池試験・評価用の場合には、金属リチウム、リチウム合金、リチウム金属酸化物、あるいは、リチウムと合金化する金属なども挙げることができる。
また、最近では、固体電解質を用いた全固体二次電池も、大変注目されている。全固体二次電池は、正極および負極と、リチウムイオン伝導性固体電解質などで構成され、正極および負極の両活物質としては、上述の場合と同様に、リチウムイオンを脱離・挿入することが可能な材料が用いられている。中でも、層状またはスピネル型の構造を有するリチウム金属複合酸化物を正極活物質に用いた全固体電池は、4.5V以上の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池としても期待されている。
ところで、正極活物質に用いられるリチウム金属複合酸化物は、上述の通り、有価金属であるリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの有価金属を多く含んでいる。このため、長期間の使用により老朽化したリチウムイオン電池(消耗リチウムイオン二次電池)から、これらの有価金属を回収する試みが従来からなされていた。特に、リデュース(Reduce:無駄の削減)、リユース(Reuse:再生・再使用)、リサイクル(Recycle:回収・再利用)の3R(スリーアール)活動を推進する雰囲気にも後押しされ、消耗リチウムイオン二次電池から有価金属を回収するニーズが更なる広がりを見せている。
例えば、特許文献1には、リチウムイオン二次電池用正極活物質に鉱酸又は鉱酸と過酸化水素との混合液を加えた後、溶出液を分離する第1工程、次いで分離した溶出液に金属抽出剤を含有する有機溶媒を接触させて抽出分離処理を行う第2工程、次いで抽出液有機溶媒相に鉱酸を接触させて逆抽出分離する第3工程よりなることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用正極活物質からの有価金属の回収方法が開示されている。
特許文献2には、焼成処理後の破砕処理によって得られるリチウムイオン電池の破砕粉末を所定粒度以下に篩い分けた後、該破砕粉末を磁着物および非磁着物に磁力選別する磁選工程と、リチウムイオン電池を構成する正極板に含まれるコバルトを第1の酸性溶媒下で抽出分離する第1の抽出工程と、前記磁選工程によって選別された磁着物に含まれるコバルトおよび前記第1の酸性溶媒中に浮遊または沈殿する抽出残渣に含まれるコバルトを第2の酸性溶媒下で抽出分離する第2の抽出工程と、を含んだことを特徴とするリチウムイオン電池内のコバルト回収方法が開示されている。
特許文献3には、リチウムイオン電池を解体する解体工程と、電池解体物をアルコール又は水で洗浄し、電解液及び電解質を除去する洗浄工程と、洗浄した電池解体物を硫酸水溶液に浸漬して、正極基板から正極活物質を剥離する正極活物質剥離工程と、剥離した正極活物質を固定炭素含有物の存在下に酸性溶液で浸出する浸出工程と、得られた浸出液から中和によりアルミニウム、銅を分離除去する中和工程と、中和工程後の浸出液からニッケル、コバルトを分離回収するニッケル・コバルト回収工程と、残った水溶液中のリチウムを溶媒抽出と逆抽出により濃縮した後、リチウムを炭酸リチウムの固体として分離回収するリチウム回収工程とを備えることを特徴とするリチウムイオン電池からの有価金属回収方法が開示されている。
特許文献4には、少なくともマンガンを含む遷移金属で構成された複合酸化物からなるリチウムイオン電池の正極活物質から有価金属を浸出させる方法において、硫酸を添加した水溶液中において、前記正極活物質のうちの硫酸溶液に可溶性の成分を溶解する第1工程と、第1工程の後固液分離せず、硫酸浸出スラリー溶液へ過酸化水素を添加して、硫酸浸出スラリー中に残留する未浸出成分をさらに浸出する第2工程とを含むことを特徴とする正極活物質の浸出方法が開示されている。
特許文献5には、電気化学的又は化学的にリチウムが一部引き抜かれたリチウム複合前駆体を準備する工程と、前記リチウムが一部引き抜かれたリチウム複合前駆体にリチウム化合物を反応させる工程とを含むことを特徴とするリチウム複合酸化物の再生方法が開示されている。
特開平10-287864号公報 特開2004-214025号公報 特開2007-122885号公報 特開2012-072488号公報 特開2016-085953号公報
先述した3R活動では、それらを進める上で、電気・熱などのエネルギーをはじめ、水や様々な資源の消費を極力削減する観点から、その優先順位は、第1がリデュース、第2がリユース、第3がリサイクルの順となっている。
しかしながら、特許文献1~4では、リチウムイオン二次電池の正極板に含まれる正極活物質からの有価金属の分離回収技術がそれぞれ開示されている。すなわち。特許文献1~4に開示されたどの技術も、最終手段であるリサイクルに関するものに限られ、リチウムイオン二次電池自体をリデュース、リユースできる技術については、何ら検討がなされていない。
また、特許文献5では、リチウムが一部引き抜かれたリチウム複合前駆体に、リチウム化合物を反応させ、リチウム複合酸化物を再生する技術が記載されているものの、あくまで正極活物質であるリチウム複合酸化物の再生である。すなわち、リチウムイオン二次電池自体をリデュース、リユースできる技術には該当しない。しかも、特許文献5に開示された技術では、リチウム化合物を用いた焼成工程等を行っており、エネルギーや資源を十分に削減できているとは言えなかった。また、特許文献5では使用済みの消耗リチウムイオン二次電池の正極板から、リチウムが一部引き抜かれたリチウム複合前駆体を、どの様に固形のまま回収するのかについて、その詳細も全く記載されていない。つまり、リチウムイオン二次電池を対象とした場合、特許文献5に開示された技術もリサイクルに関するものに他ならない。
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、リチウムイオン二次電池自体をリユースできるリチウムイオン二次電池の再生方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面によれば、
複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池である消耗リチウムイオン二次電池を放電し、再生準備済みリチウムイオン二次電池とする準備工程と、
前記再生準備済みリチウムイオン二次電池の負極である使用負極を、リチウムを含むリチウム補充用電極に交換し、再生処理前リチウムイオン二次電池とする第1交換工程と、
前記再生処理前リチウムイオン二次電池を放電し、再生処理済みリチウムイオン二次電池とする再生工程と、
前記再生処理済みリチウムイオン二次電池の前記リチウム補充用電極を、前記使用負極、または未使用の負極と交換し、再生リチウムイオン二次電池を得る第2交換工程と、を有するリチウムイオン二次電池の再生方法を提供する。
本発明の一側面によれば、リチウムイオン二次電池自体をリユースできるリチウムイオン二次電池の再生方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る、リチウムイオン二次電池の再生方法を示す工程フロー図である。 本発明の一実施形態に係る、再生リチウムイオン二次電池を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[リチウムイオン二次電池の再生方法]
本発明の発明者は、リチウムイオン二次電池自体をリユースできるリチウムイオン二次電池の再生方法について検討するに当って、リチウムイオン二次電池の老朽化および消耗についての機構、中でも特に重要である、インターカレーション反応に寄与するリチウムの挙動に関して、鋭意研究を積み重ねた。その結果、リチウムイオン二次電池のリチウム(リチウムイオン)を不活性化、すなわちインターカレーション反応に寄与しない不活性リチウムとさせる主因子として、正極側に起因するカチオンミキシングの発生によるリチウムの固定化と、負極側に起因するSEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜形成によるリチウムの固定化の2つが挙げられることを見出した。
そして、上記固定化によりインターカレーション反応に寄与しなくなったリチウム(以下、「不活性リチウム」とも記載する)に対し、新たなリチウムを補充することで、リチウムイオン二次電池としての形態を損なわず、放電容量を回復させ、リチウムイオン二次電池の再生が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
ここではまずリチウムイオン二次電池の老朽化、および消耗のメカニズムについて説明する。
1.リチウムイオン二次電池の老朽化および消耗
リチウムイオン二次電池の充放電を行う際、リチウムイオン二次電池の内部では、リチウムイオンが正極および負極で挿入・脱離されるインターカレーション反応が生じている。しかしながら、充放電を繰り返し行うと、上述のように係るインターカレーション反応に寄与しなくなった不活性リチウムが生じる場合がある。不活性リチウムの量によっては、リチウムイオン二次電池の充放電容量が低下し、老朽化、消耗する場合がある。
係るリチウムイオン二次電池の老朽化および消耗についての主因子、つまり、リチウムイオン二次電池が含有するリチウムを不活性化させる主因子は、正極側、および負極側のどちらにも包含されている。
(1)正極側の主因子
まず、正極側に関しては、リチウムイオン二次電池に、例えばニッケル組成比の高い正極活物質を用いた場合、高い容量密度が得られる反面、2価のニッケルイオンの割合も増える。このため、正極活物質の結晶の例えば空間群R-3mにおいて、3aサイトに存在する1価のリチウムイオンと、3bサイトに存在する2価のニッケルイオンが入れ替わる、カチオンミキシングが発生し易くなる。
カチオンミキシングは、以下の(A)、(B)等の理由から生じると考えられている。(A)1価のリチウムイオンのイオン半径と、2価のニッケルイオンのイオン半径が、かなり近値であること。(B)正極活物質製造時の焼成工程における、炉内の酸素濃度不足による2価のニッケルイオンの増加や、過剰な焼成、例えば高い焼成温度や、長い焼成時間により正極活物質へのダメージが増加すること。
カチオンミキシングが生じると、正極活物質のリチウム席占有率、すなわち例えば3aサイトを占めるリチウムの割合が低下し、充放電時に挿入・脱離されるリチウム量が減少するので、容量密度が低下する。そして、正極活物質のリチウム席占有率が低下すると、マンガンやコバルトよりも、ニッケルの方が、リチウムの代わりに例えば空間群R-3mの3aサイトを占有し易い。このため、3aサイトを占有しなくなったリチウムはニッケルが配置されていた3bサイトを占有することになる。
上述のカチオンミキシングがリチウムに及ぼす影響は、部分的かつ限定的ではあるものの、その一方で、例えばニッケルイオンの代わりに3bサイトを占有したリチウムは固定化され、充放電にはほとんど寄与できなくなり、不活性リチウムとなる。しかも、リチウムの代わりに3aサイトを占有した金属イオンも固定化され、これにより、リチウムが正極活物質に挿入可能な領域をも、損失することになる。
ここでは、ニッケル組成比の高い、結晶の空間群がR-3mの正極活物質の場合を例に説明したが、他の金属や、他の空間群を有するリチウムイオン二次電池用正極活物質の場合であっても、繰り返し充放電を行った際に、同様にカチオンミキシングを起こし、不活性リチウムを生じる場合がある。なお、以下の説明の中でも、結晶の空間群がR-3mの正極活物質の場合を例に説明することがあるが、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法は、係る正極活物質を有するリチウムイオン二次電池だけではなく、各種リチウムイオン二次電池に適用することができる。
(2)負極側の主因子
次に、負極側に関しては、リチウムイオン二次電池を繰り返し充放電を行うと、負極の表面上に、厚さが50nmにも満たない薄膜である、SEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜が形成される。SEI被膜とは、電解質の還元分解により、負極の表面上に形成される、リチウム、炭素、酸素、フッ素、リン、ケイ素などを含んだ、フッ化リチウム、リチウムアルキルカーボネート、炭酸リチウム、酸化リチウムの様な、複数の無機リチウム化合物や、有機リチウム化合物を含む複合体である。
SEI被膜は、イオン伝導性をもつ一方、電子伝導性をもたないことで、リチウムイオンを負極へ適度に取り込む役割を果たしつつ、電解質が負極上で分解するのを抑える働きをしている。このため、仮にSEI被膜が無ければ、電解質の分解が促進され、ひいては電池の動作が停止することにもつながるので、一定のSEI被膜が形成されていることは好ましい。
しかし、リチウムイオン二次電池の充放電が繰り返されると、SEI被膜の膜厚が変化する場合がある。SEI被膜の膜厚が薄くなると、電解質の分解反応が進み過ぎる場合がある。逆に、膜厚が厚くなると、電気抵抗が増加したりするほか、SEI被膜の形成自体にリチウムが使用され、SEI被膜の内部にもリチウムが捕捉され、固定化されることにより、充放電容量が減少したりする場合がある。このようにリチウムイオン二次電池の充放電を繰り返した際に、SEI被膜の膜厚が変化すると、電池の寿命および効率に悪影響を及ぼす恐れがある。従って、リチウムイオン二次電池の性能を高めるには、SEI被膜の膜厚を安定して制御することが好ましい。
しかしながら、SEI被膜形成の詳細なメカニズムは、現在のところ不明であり、その制御は極めて困難であるため、これから更にSEI被膜の評価方法が進歩し、そのメカニズムが解明されれば、今後、リチウムイオン二次電池の性能向上に、大いに役立つものと考えられる。
(3)消耗リチウムイオン二次電池
この様に、未使用のリチウムイオン二次電池は、長期間使用されることで、正極側のカチオンミキシングや、負極側のSEI被膜の形成などの影響を受け、老朽化した消耗リチウムイオン二次電池となる。ところが、カチオンミキシング、SEI被膜の形成のどちらも、一旦起こってしまうと、それらにより固定化されたリチウムは、インターカレーション反応に寄与する機能を奪われたまま元に戻らなくなる。このため、消耗リチウムイオン二次電池を、なるべく未使用のリチウムイオン二次電池の状態にまで戻し、再生するためには、何らかの方法で、固定化された不足分のリチウムを補充する必要がある。
本発明の発明者は、上記知見に基づきリチウムイオン二次電池の再生方法を完成させた。以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法を説明する。
2.リチウムイオン二次電池の再生方法
本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法について説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法は図1に示したフローチャートに従って実施することができ、以下の工程を有することができる。
複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池である消耗リチウムイオン二次電池を放電し、再生準備済みリチウムイオン二次電池とする準備工程。
再生準備済みリチウムイオン二次電池の負極である使用負極を、リチウムを含むリチウム補充用電極に交換し、再生処理前リチウムイオン二次電池とする第1交換工程。
再生処理前リチウムイオン二次電池を放電し、再生処理済みリチウムイオン二次電池とする再生工程。
再生処理済みリチウムイオン二次電池のリチウム補充用電極を、使用負極、または未使用の負極と交換し、再生リチウムイオン二次電池を得る第2交換工程。
既述の様に、本発明の発明者らの検討によれば、複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池である消耗リチウムイオン二次電池が含有するリチウムの少なくとも一部は、正極側のカチオンミキシングや、負極側のSEI被膜により固定化され、不活性リチウムとなっている。このため、係る消耗リチウムイオン二次電池を再生させるためには、固定化された不足分のリチウムを補充する必要がある。
そこで、本発明の発明者がリチウムの補充方法について検討した。
その結果、リチウムを含み、リチウムを供給、補充可能なリチウム補充用電極を用いることで、固定化された不足分のリチウムを補充可能であることを見出した。すなわち、消耗リチウムイオン二次電池から使用した使用負極を取り出し、リチウム補充用電極に交換し、該リチウム補充用電極を用いてリチウムを補充できることを見出した。
そして、リチウム補充用電極を用いてリチウムを補充することで、元の消耗リチウムイオン二次電池の形態を損なわず、放電容量を回復させた再生リチウムイオン二次電池にできることを見出した。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法によれば、電解質が液体、固体いずれの場合でも適用できる。このため、固体電解質を用いることで負極側のSEI被膜形成などの影響が小さく、劣化が起こり難いと言われている、全固体二次電池にも適用可能である。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法の各工程について詳述する。なお、各工程の名称の後に、図1でのステップの番号をそれぞれあわせて示している。
(1)準備工程(S11)
準備工程では、複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池である消耗リチウムイオン二次電池を放電し、再生準備済みリチウムイオン二次電池とすることができる。
リチウムイオン二次電池においては、複数回充放電を行うことで、インターカレーション反応に寄与するリチウムの一部が不活性化し、充放電時のインターカレーション反応に寄与しない不活性リチウムとなる。そして、係る複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池は、上記不活性リチウムを含む消耗リチウムイオン二次電池となっている。
そこで、準備工程(S11)ではまず、消耗リチウムイオン二次電池を放電し、不活性リチウム以外のリチウムを負極から正極に移動させ、再生準備済みリチウムイオン二次電池とすることができる。
既述の様に、カチオンミキシングやSEI被膜の形成により、リチウムの不活性化が一旦起こってしまうと、生じた不活性リチウムは、機能を奪われたまま元に戻らなくなる。さらに、カチオンミキシングでは、例えば正極活物質の結晶の空間群R-3mにおいて、本来挿入されるべきリチウムの代わりに、3aサイトを占有した金属のせいで、リチウムの挿入可能な領域も減少している。
そこで、準備工程では、放電を行うことにより、不活性リチウム以外のリチウムを、例えば3aサイトの中で、カチオンミキシングの影響を受けていない領域に移動させることが目的となる。但し、消耗リチウムイオン二次電池が、既に放電されており、不活性リチウム以外のリチウムが、負極から正極に移動している場合には、係る既になされた放電を準備工程とし、新たに準備工程を実施しなくてもよい。
既述の様に消耗リチウムイオン二次電池の構成は特に限定されず、消耗リチウムイオン二次電池は、電解質として、電解液を用いたリチウムイオン二次電池であっても、電解質として固体電解質を用いたいわゆる全固体電池のいずれであってもよい。すなわち、消耗リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、セパレータ、および電解液を有するか、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および固体電解質を有することができる。なお、いずれも場合も必要に応じて任意の部材をさらに有することもできる。
また、消耗リチウムイオン二次電池の正極が有する正極活物質の構成も特に限定されないが、特に複数回の充放電を行うことでカチオンミキシングを起こしやすい正極活物質の場合に、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法は特に高い効果を発揮できる。このため、消耗リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極を備えており、正極活物質が、ニッケル、およびコバルトを含むことが好ましい。
既述の様に消耗リチウムイオン二次電池が有する、正極活物質、および負極の表面に形成されたSEI被膜から選択された1種類以上が、消耗リチウムイオン二次電池の充放電時のインターカレーション反応に寄与しないリチウムである不活性リチウムを含んでいる。正極活物質においては、例えば既述の様に正極活物質の結晶の空間群R-3mの3bサイトに不活性リチウムが含まれている。
(2)第1交換工程(S12)
第1交換工程では、再生準備済みリチウムイオン二次電池の負極である使用負極を、リチウムを含むリチウム補充用電極に交換し、再生処理前リチウムイオン二次電池とすることができる。
上記の準備工程において、消耗リチウムイオン二次電池に含まれる、不活性リチウム以外のリチウムを、例えばリチウムサイトである3aサイトの中で、カチオンミキシングの影響を受けていない領域に移動させている。しかし、消耗リチウムイオン二次電池の正極のうち、SEI被膜の形成自体に使用されたリチウムや、SEI被膜の内部で固定化されたリチウムなどのリチウムが挿入される筈であった分の領域は、まだ空いたままの状態となっている。係る正極のリチウムが挿入可能な領域に、後述する再生工程で新たなリチウムを挿入するべく、消耗リチウムイオン二次電池で用いられていた負極である使用負極の代わりに、リチウムの供給源となるリチウム補充用電極に交換することが本工程の目的となる。リチウム補充用電極はリチウムを補充するための電極であることから、リチウムを含むことが好ましい。リチウム補充用電極としては、例えば金属リチウム、リチウム合金、リチウム金属酸化物等から選択された1種類以上を材料として有する電極を用いることができる。
なお、リチウムを含むリチウム補充用電極は、コスト等の観点から車載用等では一般的に用いられておらず、ハーフセルによる正極活物質の性能評価など電池試験・評価用の負極活物質として用いられているのみであった。しかし、上記リチウムを含むリチウム補充用電極は、リチウムイオン二次電池に新たなリチウムを補充することが目的であり、補充が終われば、後述する様に元の使用負極や未使用負極に交換するため、係るリチウムを含むリチウム補充用電極を用いたとしてもコストも十分に抑制できる。
(3)再生工程(S13)
再生工程では、再生処理前リチウムイオン二次電池を放電し、再生処理済みリチウムイオン二次電池とすることができる。
具体的には、第1交換工程で得られた、再生処理前リチウムイオン二次電池を放電し、リチウム補充用電極から正極に新たなリチウムを移動させ、再生処理済みリチウムイオン二次電池を得ることができる。再生工程で、リチウム補充用電極を配置した再生処理前リチウムイオン二次電池を放電することで、リチウム補充用電極から新たなリチウムイオンが供給される。このため、例えば正極活物質の結晶の空間群R-3mにおいて、3aサイトの中で、カチオンミキシングの影響を受けていない領域のうち、空いたままの状態となっている箇所へ、新たなリチウムを挿入・補充することができる。
(4)第2交換工程(S14)
第2交換工程では、再生処理済みリチウムイオン二次電池のリチウム補充用電極を、使用負極、または未使用の負極と交換し、再生リチウムイオン二次電池を得ることができる。
再生処理済みリチウムイオン二次電池のリチウム補充用電極を、消耗リチウムイオン二次電池で用いていた元の負極である使用負極、または未使用負極に交換し、再生リチウムイオン二次電池とすることができる。
リチウム補充用電極をそのまま負極として用いた場合、長期間にわたる充放電の繰り返しの過程で、リチウムデンドライト、すなわち樹枝状のリチウム析出物が成長し、係る析出物よるセパレータ等の損傷・貫通が起こり、場合によっては内部短絡等を生じる恐れがある。このほか、コスト面でも大きな負荷となるため、使用負極または未使用負極に交換することが好ましい。
使用負極、および未使用の負極としては、炭素を含む電極を好適に用いることができる。すなわち、使用負極、および未使用の負極は炭素を含むことができる。
なお、使用負極の表面上にはSEI被膜が形成されている場合がある。このため、SEI被膜を予め解析し、SEI被膜の膜厚が厚過ぎるなどの不具合がある場合には、未使用負極に交換するのが好ましい。また、使用負極において、リチウムを吸蔵できる容量が不足していると考えられる場合にも、未使用負極に交換するのが好ましい。
SEI被膜の解析方法は特に限定されないが、例えばクロスセクションポリシャ加工-電界放射型走査電子顕微鏡(CP-FE-SEM)、集束イオンビーム加工-インレンズ走査電子顕微鏡(FIB-in-lensSEM)、X線光電子分光(X-ray photoelectron spectroscopy)、硬X線光電子分光(hard X-ray photoemission spectroscopy:HAXPES)、集束イオンビーム加工-透過電子顕微鏡-電子エネルギー損失分光(FIB-TEM-EELS)のほか、これらの様な分析・評価装置により分析できる。
第2交換工程においては、分解による電解液の減少が顕著であれば、電解液を補充することが好ましく、全固体二次電池ならば、固体電解質の劣化があれば、未使用ものと交換することが好ましい。その他、必要に応じてセパレータについても、点検等を行い、何か異常が発見されたなら、未使用ものと交換するのが好ましい。
以上、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の再生方法について、詳しく説明してきたが、この技術は、ある消耗リチウムイオン二次電池を、1回のみ再生するものではなく、複数回再生することもできる。すなわち、例えば、同じリチウムイオン二次電池に対して、使用→消耗→再生→再使用の操作を、何回も繰り返すことも可能である。
この様に、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法によれば、リチウムイオン二次電池を何度でも再生することができ、リチウムイオン二次電池をリユースすることができる。
[再生リチウムイオン二次電池]
次に、本実施形態の再生リチウムイオン二次電池について説明する。
なお、本実施形態の再生リチウムイオン二次電池は、既述のリチウムイオン二次電池の再生方法により、消耗リチウムイオン二次電池を再生することで製造することができる。このため、既に説明した事項の一部は説明を省略する。
本実施形態再生リチウムイオン二次電池は、未使用のリチウムイオン二次電池の充放電を複数回行い消耗リチウムイオン二次電池となった後、再生処理された再生リチウムイオン二次電池である。
そして、本実施形態の再生リチウムイオン二次電池は、含有するリチウムの量が、未使用のリチウムイオン電池よりも多く、再生リチウムイオン二次電池の充放電時のインターカレーション反応に寄与する活性リチウムの量を、消耗リチウムイオン二次電池よりも多くすることができる。さらに、インターカレーション反応に寄与しない不活性リチウムの量を、消耗リチウムイオン二次電池以下とすることができる。
図2は、本実施形態に係る、再生リチウムイオン二次電池を示す概略図である。
本実施形態の再生リチウムイオン二次電池20は、正極21、負極22、および電解質23を有することができる。電解質23としては、電解液であってもよく、固体電解質であってもよい。なお、図2に示す様に必要に応じてセパレータ24や、電極等を収容する筐体25を有することもできる。
既述の様にリチウムイオン二次電池においては、複数回充放電を行うことで、インターカレーション反応に寄与するリチウムの一部が不活性化し、充放電時のインターカレーション反応に寄与しない不活性リチウムとなる。係る複数回充放電を行ったリチウムイオン二次電池は、上記不活性リチウムを含む消耗リチウムイオン二次電池となっている。
そして、消耗リチウムイオン二次電池を再生する際、まず既述の第1交換工程で、消耗リチウムイオン二次電池の使用負極を、リチウム補充用電極に交換する。次いで、再生工程で、SEI被膜由来の不活性リチウムに相当する不足分のリチウム、別の言い方をすると、正極でのカチオンミキシング由来以外の不活性リチウムに相当する不足分のリチウムを、新たなリチウムにより補充する。その後、第2交換工程で、リチウム補充用電極を元の使用負極または未使用負極に交換することで再生リチウムイオン二次電池とすることができる。
このため、本実施形態の再生リチウムイオン二次電池は、正極21において、未使用のリチウムイオン二次電池を複数回充放電することで、カチオンミキシングにより生じた不活性リチウム211を含有している。また、正極21において、上記再生することで補充された新たな活性リチウム212をさらに含有している。なお、図2では不活性リチウム211や、新たな活性リチウム212を模式的に示しており、図2に示す様に、これらのリチウムが局在して存在することを意味するものではない。
つまり、最終的に得られた再生リチウムイオン二次電池は、再生工程でさらにリチウムを補充しているため、リチウムイオン二次電池として再使用される前の状態において、含まれるリチウムの量(総量)が、当初の製造直後の未使用のリチウムイオン二次電池を超えることになる。また、同様の理由から、再生リチウムイオン二次電池は、含有するリチウムの量を、再生前の消耗リチウムイオン二次電池より多くすることができる。なお、ここでいうリチウムの総量とは、インターカレーション反応に寄与する活性リチウムと、不活性リチウムとの合計となる。
また、再生リチウムイオン二次電池では、上述の様に再生工程で、インターカレーション反応に寄与する活性リチウムを補充している。このため、インターカレーション反応に寄与する活性リチウムの量が、消耗リチウムイオン二次電池を超えることになる。ただし、消耗リチウムイオン二次電池においては、既述の様にカチオンミキシングにより、正極のリチウムサイトの一部は、ニッケル等の他の金属により占有されている。このため、再生工程において、活性リチウムの量を、未使用のリチウムイオン二次電池と同じ量まで回復させることができず、再生リチウムイオン二次電池における活性リチウムの量は、未使用のリチウムイオン二次電池よりも少なくなる。
さらに、再生リチウムイオン二次電池では、不活性リチウムの量を、消耗リチウムイオン二次電池以下にできる。ただし、不活性リチウムの量は、該不活性リチウムをほとんど含まない未使用のリチウムイオン二次電池ほど少なくすることはできないため、再生リチウムイオン二次電池においては、不活性リチウムの量が、未使用のリチウムイオン電池よりも多くなっている。
なお、消耗リチウムイオン二次電池を再生させた本実施形態の再生リチウムイオン二次電池においては、上述の様に再生処理で活性リチウムが補充することで、初期放電容量を、消耗リチウムイオン二次電池の再生処理の直前の放電容量よりも大きくできる。
特に以下の式(1)で求められる放電容量回復率を10%以上とすることができる。
{(C-B)/(A-B)}×100(%)・・・(1)
A:未使用のリチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
B:消耗リチウムイオン二次電池の再生処理の直前の放電容量(mAh/g)
C:再生リチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
再生処理で、新たなリチウムの供給のために用いたリチウム補充用電極は、1回のみならず、繰り返し何回も使用でき、負極も、基本的に元の使用負極を再使用できる。このため、本実施形態の再生リチウムイオン二次電池により、リチウムイオン二次電池を分解・解体せず、エネルギーや資源の新たな消費を可能な限り削減して、リチウムイオン二次電池自体をリユースすることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
まず、実施例に対する空(ブランク)試験の位置付けとなる、比較例について説明する。
[比較例1]
NMC系正極活物質、および炭素系の負極活物質を有する負極を備えた未使用のリチウムイオン二次電池について、充放電を2000回繰り返したものを消耗リチウムイオン二次電池とした。NMC系正極活物質は、金属元素としてLi、Ni、Mn、Coを含有する酸化物であり、Ni、Mn、Coを物質量の比でNi:Mn:Co=8:1:1の割合で含有している。また、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.05となっている。また、消耗リチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、セパレータ、および電解液を有し、正極活物質、および負極の表面に形成されたSEI被膜が、不活性リチウムを含んでいた。以下の他の実施例、比較例でも同様である。
また、本比較例で用いた消耗リチウムイオン二次電池は、不活性リチウム以外のリチウムは、既に正極へ移動済みであり、準備工程は既に実施され、再生準備済みリチウムイオン二次電池となっている。このため、ここでは以下の第1交換工程以降の操作を行った。
再生準備済みリチウムイオン二次電池の負極である使用負極を、リチウム補充用電極と交換した(第1交換工程)。使用負極と交換するリチウム補充用電極には、リチウムを含有しない未使用の炭素系負極を使用した。
次に、再生処理前リチウムイオン二次電池を放電することで再生処理を行った(再生工程)。これにより再生処理済みリチウムイオン二次電池とした。
そして、リチウム補充用電極を、再生準備済みリチウムイオン電池の負極であった使用負極に交換すると共に、電解液も補充して、再生リチウムイオン二次電池を得た(第2交換工程)。
未使用のリチウムイオン二次電池の初期放電容量、消耗リチウムイオン二次電池の再生処理の直前の放電容量、再生リチウムイオン二次電池の初期放電容量から、下記式(1)により、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率を求めた。
{(C-B)/(A-B)}×100(%)・・・(1)
A:未使用のリチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
B:消耗リチウムイオン二次電池の再生処理の直前の放電容量(mAh/g)
C:再生リチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
なお、放電容量は、各電池について、作製してから12時間程度放置し、開回路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.05mA/cmとしてカットオフ電圧4.3Vまで充電した後、10分間の休止後、カットオフ電圧2.5Vまで放電したときの容量を放電容量とした。消耗リチウムイオン二次電池の再生処理の直前の放電容量は、任意のタイミングで、開回路電圧が安定した後、同様にして測定した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例2]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Mn、Coを含有する酸化物であり、Ni、Mn、Coを物質量の比でNi:Mn:Co=6:2:2の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.04となっているNMC系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例1と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例3]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Co、Alを含有する酸化物であり、Ni、Co、Alを物質量の比でNi:Co:Al=9:0.7:0.3の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.01となっているNCA系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例1と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例4]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Co、Alを含有する酸化物であり、Ni、Co、Alを物質量の比でNi:Co:Al=8.2:1.5:0.3の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.02となっているNCA系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例1と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例5]
放電による再生処理の後、元の負極を戻さず、未使用の炭素系負極をそのまま使用した点以外は、比較例1と同様の手順を行った。すなわち、第2交換工程を実施せず、再生工程で得られた再生処理済みリチウムイオン二次電池を再生リチウムイオン二次電池とした。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例6]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Mn、Coを含有する酸化物であり、Ni、Mn、Coを物質量の比でNi:Mn:Co=6:2:2の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.04となっているNMC系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例7]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Mn、Coを含有する酸化物であり、Ni、Mn、Coを物質量の比でNi:Mn:Co=2:2:6の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.05となっているNMC系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例8]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Mn、Coを含有する酸化物であり、Ni、Mn、Coを物質量の比でNi:Mn:Co=2.5:5:2.5の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.05となっているNMC系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例9]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Co、Alを含有する酸化物であり、Ni、Co、Alを物質量の比でNi:Co:Al=9:0.7:0.3の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.01となっているNCA系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例10]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Co、Alを含有する酸化物であり、Ni、Co、Alを物質量の比でNi:Co:Al=8.2:1.5:0.3の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.02となっているNCA系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[比較例11]
未使用のリチウムイオン二次電池の正極活物質として、金属元素としてLi、Ni、Co、Alを含有する酸化物であり、Ni、Co、Alを物質量の比でNi:Co:Al=7.6:1.4:1.0の割合で含有し、Liの、Li以外の金属に対する物質量の比がLi/金属=1.06となっているNCA系正極活物質を用いた。以上の点以外は、比較例5と同様の手順でリチウムイオン二次電池の消耗、再生を行った。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、0%であった。
[実施例1]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例1において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例1の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用した。
以上の点以外は、比較例1の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、64%であった。
[実施例2]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例2において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例2の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用した。
以上の点以外は、比較例2の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、73%であった。
[実施例3]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例3において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例3の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用した。
以上の点以外は、比較例3の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、12%であった。
[実施例4]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例4において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例4の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用した。
以上の点以外は、比較例4の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、43%であった。
[実施例5]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例5において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例5の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例5の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、80%であった。
[実施例6]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例6において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例6の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例6の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、83%であった。
[実施例7]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例7において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例7の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例7の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、96%であった。
[実施例8]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例8において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例8の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例8の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、90%であった。
[実施例9]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例9において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例9の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例9の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、21%であった。
[実施例10]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例10において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例10の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例10の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、48%であった。
[実施例11]
空(ブランク)試験の位置付けであった比較例11において、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が0%であったことから、比較例11の再生リチウムイオン二次電池を、そのまま消耗リチウムイオン二次電池として用いた。
そして、第1交換工程において、使用負極と交換するリチウム補充用電極として、金属リチウムを材料とした電極を使用し、第2交換工程ではリチウム補充用電極と、未使用の炭素電極とを交換した。
以上の点以外は、比較例11の場合と同様にして、準備工程、第1交換工程、再生工程、第2交換工程を実施した。
その結果、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率は、表1に示す通り、72%であった。
Figure 0007647838000001

空(ブランク)試験の位置付けであった比較例1~比較例11については、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が全て0%であり、供給できる新たなリチウムイオンを含まない未使用の炭素系負極では、リチウム補充用電極として機能しないことが確認できた。
これに対し、実施例1~実施例11については、再生リチウムイオン二次電池における放電容量回復率が、10%~100%程度の範囲に分布しており、全ての実施例で放電容量が回復することを確認できた。
また、放電による再生処理の後、元の使用負極を戻した実施例1~実施例4と、未使用の炭素系負極を使用した実施例5~実施例11とでは、前者に比べて後者のほうが、実施例における放電容量回復率が、高い傾向が見られた。
この原因については、未だ明らかでは無いが、前者の場合に、元の負極が、SEI被膜形成の影響のみならず、負極自体に何らかの形で、リチウムが固定化されている可能性が挙げられる。つまり、使用負極では、未使用の炭素系負極よりも、リチウムを吸蔵できる容量が減少しており、新たなリチウムを補充した後のリチウムの全量を、吸蔵しきれていないことが考えられる。
別の観点から見れば、後者の実施例5、6(NMC系)、および実施例9、10(NCA系)の放電容量回復率を基準(ゼロ)とするなら、前者の実施例1、2(NMC系)の放電容量回復率が-15%~-10%の範囲、実施例3、4(NCA系)の放電容量回復率が-10%~-5%の範囲であるとも言えよう。従って、係る範囲が使用負極でリチウムを吸蔵できなくなっている容量に対応しているということができる。
なお、実施例1~実施例11で得られた再生リチウムイオン二次電池は、交換工程で新たな活性リチウムが補充されている。
このため、実施例1~実施例11で得られた再生リチウムイオン二次電池はいずれも、含有するリチウムの量が、未使用のリチウムイオン二次電池や、再生前の消耗リチウムイオン二次電池よりも多くなっている。
また、これらの再生リチウムイオン二次電池は、活性リチウムの量が、再生前の消耗リチウムイオン二次電池よりも多いものの、未使用のリチウムイオン二次電池よりも少なく、不活性リチウムの量が、未使用のリチウムイオン二次電池よりも多く、消耗リチウムイオン二次電池以下となっている。
これらの結果から、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法、および再生リチウムイオン二次電池が、非常に優れた効果を発揮し、リチウムイオン二次電池を分解・解体せず、エネルギーや資源の新たな消費を可能な限り削減して、リチウムイオン二次電池自体をリユースできることが裏付けられた。
以上に説明したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池の再生方法、および再生リチウムイオン二次電池は、グローバルな3R活動を推進する雰囲気にも相応しく、地球環境にとても優しい技術である以外に、産業上の利用に関する面でも、今後、大きな役割を果たすものと考えられる。
S11 準備工程
S12 第1交換工程
S13 再生工程
S14 第2交換工程

Claims (4)

  1. 未使用のリチウムイオン二次電池の充放電を複数回行い消耗リチウムイオン二次電池となった後、再生処理された再生リチウムイオン二次電池(ただし、リチウムを補充するための、金属リチウムを有する電極を挿入する挿入口を有する場合を除く)であって、
    含有するリチウムの量が、前記未使用のリチウムイオン二次電池よりも多く、
    前記再生リチウムイオン二次電池の充放電時のインターカレーション反応に寄与する活性リチウムの量が、前記消耗リチウムイオン二次電池よりも多く、
    前記インターカレーション反応に寄与しない不活性リチウムの量が、前記消耗リチウムイオン二次電池以下である再生リチウムイオン二次電池。
  2. 含有するリチウムの量が、前記消耗リチウムイオン二次電池より多く、
    前記活性リチウムの量が、前記未使用のリチウムイオン二次電池よりも少なく、
    前記不活性リチウムの量が、前記未使用のリチウムイオン二次電池よりも多い、請求項1に記載の再生リチウムイオン二次電池。
  3. 初期放電容量が、前記消耗リチウムイオン二次電池の前記再生処理の直前の放電容量よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の再生リチウムイオン二次電池。
  4. 下記式(1)で求められる放電容量回復率が、10%以上である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の再生リチウムイオン二次電池。
    {(C-B)/(A-B)}×100(%)・・・(1)
    A:前記未使用のリチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
    B:前記消耗リチウムイオン二次電池の前記再生処理の直前の放電容量(mAh/g)
    C:前記再生リチウムイオン二次電池の初期放電容量(mAh/g)
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