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JP7653693B2 - インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法 - Google Patents
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JP7653693B2 - インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)令和5年 6月 3日 日本口臭学会第14回学術大会にて公開 (2)令和5年12月10日 第50回福岡歯科大学学会総会・学術大会にて公開 (3)令和6年 1月21日 日本口腔インプラント学会第41回九州支部学術大会にて公開
本発明は、インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法に関する。
歯科において、欠損補綴の治療法の一つとしてインプラント治療が臨床に応用されている。近年では治療を受けた患者のトラブルも増加している。その中でもインプラント周囲炎を発症する患者が増加しており、インプラント脱落の原因になる重大な問題となっている。上記に関連して、例えば、非特許文献1ではインプラント周囲炎に関連する細菌叢について報告されている。
J. Dent. Res., 2021 Jan; 100(1): 21-28.
インプラント周囲炎の診断に関しては、肉眼での観察、プロービング、X線撮影、インプラント周囲歯肉の細菌検査等が一般的に行われている。しかしながら、精度、侵襲性、被爆、細菌培養等において課題がある。
本発明の一態様は、インプラント周囲炎の発症リスクを低侵襲且つ簡便に評価することができる評価方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
[1] 互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を複数個備えるセンサと、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料とを接触させて、前記歯科インプラントのにおいデータを取得することと、
前記においデータを所定の座標変換により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換することと、
前記対象座標と、インプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する参照座標との距離を評価することと、を含む、評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法。
[2] 前記対象座標と前記参照座標との距離の評価は、クラスター分析で行われる[1]に記載の評価方法。
[3] 互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を複数個備えるセンサと、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料とを接触させて、前記歯科インプラントのにおいデータを取得することと、
前記においデータを所定の座標変換により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換することと、
前記対象座標と、予め特定されたインプラント周囲炎の発症リスクが高い領域(以下、「インプラント周囲炎特有エリア」ともいう)との距離を評価することと、を含む、評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法。
[4] 前記対象気体試料は、評価対象のインプラント上部構造及びインプラント周囲粘膜の少なくとも一方に由来する、[1]から[3]のいずれかに記載の評価方法。
[5] 前記センサは、2個以上180個以下の前記検知素子を備える、[1]から[4]のいずれかに記載の評価方法。
本発明の一態様によれば、インプラント周囲炎の発症リスクを低侵襲且つ簡便に評価することができる評価方法を提供することができる。
実施例1におけるインプラント上部構造のにおいデータの主成分分析結果の一例を示す図である。 実施例1におけるインプラント上部構造のにおいデータのクラスター分析樹形図の一例である。 実施例2におけるインプラント上部構造のにおいデータの主成分分析結果の一例を示す図である。 実施例2におけるインプラント上部構造のにおいデータのクラスター分析樹形図の一例である。 実施例3におけるインプラント上部構造のにおいデータの主成分分析結果の一例を示す図である。 実施例3におけるインプラント上部構造のにおいデータのクラスター分析樹形図の一例である。 ニオイセンサの検知素子からの出力値の比較図である。 インプラント周囲炎で認められる細菌群についての細菌数の比較図である。 健康なインプラントで認められる細菌群についての細菌数の比較図である。 インプラント周囲炎特有エリアにおける細菌群についての群間比較解析の結果を示す図である。 インプラント周囲炎特有エリアにおける細菌群についての群間比較解析の結果を示す図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、数値範囲として例示された数値をそれぞれ任意に選択して組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法を例示するものであって、本発明は、以下に示すインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法に限定されない。
インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法
評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法は、互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を複数個備えるセンサと、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料とを接触させて、評価対象の歯科インプラントのにおいデータを取得する第1工程と、取得したにおいデータを所定の座標変換により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換する第2工程と、対象座標とインプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する参照座標との距離を評価する第3工程とを含む。
本実施形態にかかるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法(以下、単に「評価方法」と略記することがある)においては、以下のようにして評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクを評価する。まず、インプラント周囲炎を発症していることが臨床的に確認されている患者を含む母集団から取得したにおいデータ群について、主成分分析を行って第一主成分と第二主成分とを予め決定しておく。次いで評価対象の歯科インプラントに由来するにおいデータを、母集団のにおいデータ群について実施した主成分分析の結果に基づく座標変換により、予め決定しておいた第一主成分と第二主成分をそれぞれ軸として有する座標空間における対象座標に変換する。得られた対象座標と、母集団におけるインプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する参照座標との距離を評価することで、対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクを評価する。
ここでインプラント周囲炎とは、プラークの蓄積などによって発生したインプラント周囲の炎症のうち、骨まで進行したものをいう。インプラント周りの炎症の進行度は、大きく分けると、インプラント周囲の粘膜のみに炎症が起こる状態であるインプラント周囲粘膜炎と、炎症がインプラント周囲の粘膜から歯槽骨にまで広がった状態のインプラント周囲炎の2段階に分けられる。従来インプラント周囲炎の発症は、出血、排膿、歯肉の発赤、インプラントの動揺、痛み、骨吸収などの臨床所見によって判断されてきた。また、インプラント周囲炎の診断に関しては、肉眼での観察、プロービング、X線撮影、インプラント周囲歯肉の細菌検査等が一般的に行われているが、診断精度、侵襲性、被爆、細菌培養等に課題があった。
対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法では、歯科インプラントに由来するにおいデータを用いて、インプラント周囲炎の発症リスクを評価する。これは、例えば、インプラント周囲炎においてその存在が確認されている細菌により生じる炎症症状と、それらの現象に起因して生じるにおいとが関連しているという新たな知見に基づく評価方法である。歯科インプラントに由来するにおいデータを分析評価することにより、インプラント周囲炎の発症リスクを低侵襲で、簡便に評価することができる。本実施形態にかかるインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法は、対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクの評価を補助する方法であってもよいし、対象におけるインプラント周囲炎の診断を補助する方法であってもよい。
第1工程では、評価対象の歯科インプラントに由来するにおいデータを、互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子の複数個を備えるセンサ(以下、「特定センサ」ともいう)を用いて取得する。特定センサは複数の検知素子を備えて構成され、検知素子は互いに異なるにおい分子を検出可能に構成される。検知素子には、例えば圧電薄膜に異なる感応膜を形成したものを用いることができる。圧電薄膜は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含んでいてよい。検知素子は、電圧が付与されて共振している状態の感応膜に、におい分子が付着することで変化する共振周波数等を検出することでにおいを識別することができる。特定センサが備える検知素子の数は、例えば2以上180以下であってよく、好ましくは6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、20以上、40以上、60以上、又は80以上であってよく、160以下、140以下、120以下、100以下、80以下、40以下、20以下、16以下、12以下、又は10以下であってよい。特定センサとして具体的には、例えばI-PEX社のニオイセンサ「nose@MEMS」(登録商標)を用いることができる。
特定センサが備える検知素子には、インプラント周囲炎を発症している患者に由来するにおいに対する感度が高い検知素子を選択して用いてもよい。検知素子の選択は、ニオイデータ群の主成分分析によって、インプラント周囲炎を発症している患者に対応する参照座標への寄与を比較することで行うことができる。具体的には、例えば80種の検知素子での分析を元に得られる主成分得点プロット及び主成分負荷量プロットを対比して、目的とするインプラント周囲炎データ群により強く反応している検知素子を、大まかに例えば20種選択する。このとき対比比較に用いるデータはなるべく他の群と異なる主成分軸を有するか、離れたクラスターを形成しているデータを用いることが好ましい。次いで、大まかに選定した検知素子(例えば20種)による分析を再度行い、上記と同様の対比比較により強く反応している検知素子を、例えば8種選択する。それぞれ全ての検知素子が、全てのプロットに対する情報を持っているため、ここでの検知素子の選択においては、分析を繰り返すことが好ましい。クラスター分析樹形図において、最も群の分離が見て取れるデータが望ましいため、検知素子の選択においては、クラスター分析を重要視することが好ましい。
特定センサとして、例えばI-PEX社のニオイセンサ「nose@MEMS」(登録商標)を用いる場合、検知素子としては、例えば、1021、1022、1023、1024、1025、1026、1027、1028、1029、1030、1031、1032、1033、1034、1035、200A、200B、200C、200D、200F、200G、200H、200I、200J、200K、200M、200N、200O、200P、200Q、200S、200T、200U、200V、200W、200X、200Y、200Z、20AA、20AB、20BQ、20BR、20BS、20BT、20BU、20BV、20BW、20BX、20BY、20BZ、20CA、20CB、20CC、20CD、20CE、20CF、20CG、20CH、20CI、20CJ、20CK、20CL、20CM、20CN、20CO、20CP、20CQ、20CR、20CS、20CT、20CU、20CV、20CW、20CX、20CY、20CZ、20DA、20DB、20DC、20DD等を組合せて用いることができる。好ましくは、検知素子として1026、1029、200K、200T、200V、200W、200X、200Y、20CG、20CH、20CI、20CS、20CT、20CU、20CV、20CX、20CY、20CZ、20DA、20DB等を組合せて用いることができ、より好ましくは200K、200V、200W、200X、20CG、20CH、20CV、20DA等を組合せて用いることができる。
歯科インプラントに由来するにおいデータは、特定センサに代えて、ガスクロマトグラフィー、評価者による官能試験等で取得してもよい。ガスクロマトグラフィー、官能試験等で取得したにおいデータは、単独で評価方法に用いてもよいし、特定センサを用いて取得したにおいデータと共に評価方法に用いてもよい。
評価対象の歯科インプラントに由来するにおいデータは、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料と特定センサとを接触させることで取得することができる。具体的には例えば、評価対象の歯科インプラントの上部構造及びインプラント周囲粘膜の少なくとも一方を含む試料を気体試料採取用の容器に入れ、容器から対象気体試料を吸引により採取して、特定センサが備える検知素子上に流通させてにおい分子と検知素子とを接触させることで、においデータを取得することができる。においデータを取得する試料は、歯科インプラントの上部構造のみであってもよいし、上部構造に加えてインプラント周囲粘膜が含まれていてもよい。また、対象気体試料は容器から吸引ポンプによって採取する他、容器に窒素ガス、大気等の気体を供給することで対象気体試料を容器から排出させて採取してもよい。さらに、容器からの対象気体試料の採取は連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。
気体試料取得用の容器は、上部構造を収容可能で、固体、液体の侵入を防止することができる気密容器又は密閉容器であればよい。また、容器は所定の吸引速度又は排出速度で対象気体試料を採取可能に構成されていてよい。容器からの対象気体試料の採取速度は、例えば0.6L/分以上2.4L/分以下であってよく、好ましくは1L/分以上、又は1.4L/分以下であってよい。また、対象気体試料の採取は、例えば20℃以上28℃以下の温度で、40%RH以上60%RH以下、大気下で実施してよい。
対象気体試料と特定センサの接触温度は、例えば20℃以上28℃以下であってよく、好ましくは22℃以上、又は26℃以下であってよい。また、対象気体試料と特定センサの接触時間は、例えば10秒以上1分以下であってよく、好ましくは20秒以上、又は40秒以下であってよい。
においデータの取得は、対象気体試料の採取と対象気体試料の特定センサへの接触を1サイクルとして実施される。においデータの取得は1サイクルでおこなってもよいし、1サイクル目の後に、必要に応じて更に複数サイクルを追加して、においデータの取得を行ってもよい。複数サイクルで、においデータの取得を行う場合、2サイクル目以降の取得は1サイクル目と同一の試料について連続して行ってよい。また、各サイクルの開始前に特定センサのキャリブレーションを実施してもよい。においデータ取得のサイクル数は、例えば1以上10以下、好ましくは1以上5以下であってよい。複数サイクルでにおいデータを取得した場合、すべてのにおいデータを主成分分析に供してもよいし、1サイクル目のみ、又は1サイクル目と2サイクル目以降のにおいデータを主成分分析に供してもよい。複数サイクルのにおいデータを用いることで、より高い精度でインプラント周囲炎の発症リスクを評価することができる。
第2工程では、取得したにおいデータを所定の座標変換手段により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換する。所定の座標変換手段は、例えば以下のようにして決定される。歯科インプラントを有する対象者からなり、インプラント周囲炎の発症者と非発症者の両方を含む母集団を設定する。ここで、母集団に含まれる対象者については、臨床観察により歯肉炎指数(mGI)、プラーク指数(mPI)及び歯肉出血指数(mBI)を決定しておくと共に、口腔内自覚症状についてアンケート調査、インプラント上部構造のにおい官能試験等を併せて実施し、インプラント周囲炎群、臭気あり群及び臭気なし群の3群に分類しておいてよい。母集団に含まれる対象者からそれぞれ、上述のようにして歯科インプラント上部構造を含む試料に由来するにおいデータを取得する。母集団から取得したにおいデータ群について、主成分分析により第一主成分と第二主成分とを決定する。主成分分析は、例えば汎用の多変量解析用ソフトウェアを用いて実行してもよいし、特定センサに付属の分析用ソフトウェアを用いて実行してもよい。母集団から取得したにおいデータ群についての第一主成分と第二主成分とが決定されたことにより、評価対象のにおいデータを第一主成分に対応する軸と第二主成分に対応する軸とを含む座標空間内の対象座標に座標変換する座標変換手段が決定される。
第3工程では、評価対象のにおいデータを座標変換して得られる対象座標とインプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する参照座標との距離を評価する。評価された距離に基づいて、評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクが評価される。対象座標と参照座標の距離の評価は、第一主成分と第二主成分を軸として含む座標空間内における距離を常法により算出して絶対値として評価してもよい。また、インプラント周囲炎を発症していない母集団中の対象のにおいデータに対応する座標と参照座標との距離の平均値を基準として、対象座標と参照座標との距離を相対値として評価してもよい。また、主成分軸におけるクラスター分析樹形図により、対象座標と参照座標との距離を評価してもよい。なお、においデータに対応する座標とは、主成分分析で決定した座標変換によって、においデータを座標変換して得られる座標であって、主成分分析における第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における座標を意味する。
インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法においては、評価された対象座標と参照座標との距離に基づいて、評価対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクが評価される。発症リスクの評価方法においては、対象座標と参照座標の分布位置に基づいて発症リスクを評価してもよいし、主成分軸におけるクラスター分析樹形図に基づいて発症リスクを評価してもよい。クラスター分析樹形図に基づいて発症リスクを評価する場合、対象座標が参照座標と一群をなすと見做される場合に発症リスクが高いと評価してよい。また、対象座標と参照座標との距離が、予め設定した閾値と比較して、閾値よりも小さい場合に発症リスクが高いと評価してもよい。
インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法の一態様においては、上記の第3工程に代えて、対象座標と、予め特定されるインプラント周囲炎特有エリア(インプラント周囲炎の発症リスクが高い領域)との距離を評価する第4工程を含んでいてもよい。においデータの主成分分析によれば、インプラント周囲炎患者群に対応する座標群と、官能試験における臭気なし群に対応する座標群とは、第一主成分軸と第二主成分軸との関係において、互いに遠い領域に分布すると考えられる。従って、インプラント周囲炎特有エリアは、例えば、官能試験において臭気なし群と分類されるにおいデータに対応する座標群を含む領域(以下、単に「臭気なし領域」ともいう)以外の領域であって、インプラント周囲炎患者群に分類されるにおいデータに対応する座標群を含む領域及び臭気あり領域を含む領域であってよい。ここで官能試験において臭気なし群と分類されるにおいデータは官能試験における平均値が閾値(例えば、2)を下回るデータであってよい。臭気あり領域は、官能試験において臭気あり群と分類されるにおいデータに対応する座標群を含む領域であってよく、官能試験における平均値が閾値以上であるにおいデータに対応する座標群を含む領域であってよい。さらに臭気なし領域は、主成分分析において、官能試験における臭気なし群に分類されるにおいデータに対応する座標群の分散が最も広い方向を長軸とし、長軸に直交する方向の分散を短軸とする楕円領域であってよい。なお、臭気なし領域は、臭気あり群に分類されるにおいデータに対応する座標群及びインプラント周囲炎患者群に分類されるにおいデータに対応する座標群の一部含んでいてもよい。臭気なし領域に含まれるこれらのにおいデータは、臭気なし群および臭気あり群に共通する細菌叢に由来するにおいを検出していると考えられる。更にインプラント周囲炎特有エリアは、クラスター分析樹形図に基づいて、インプラント周囲炎患者群と一群をなすと見做される座標群を含むものであってもよい。
主成分分析における第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間におけるインプラント周囲炎特有エリアの形状は、インプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する座標群を含んでいる限り、特に限定されない。インプラント周囲炎特有エリアの形状は、例えば円形状、楕円形状等であってよく、好ましくは楕円形状であってよい。また、臭気なし領域の形状は、臭気なし群と分類されたにおいデータに対応する座標群を含んでいる限り、特に限定されない。臭気なし領域の形状は、例えば円形状、楕円形状等であってよく、好ましくは楕円形状であってよい。
また、インプラント周囲炎特有エリアは、主成分分析における第一主成分と第二主成分を軸として含む座標空間内において、特定の細菌が検出される試料に由来するにおいデータと対応付けられる座標群を含む領域として特定される領域であってよい。インプラント周囲炎においては、細菌叢に特定の細菌が検出されることが知られている。(例えば、G.N.Belibasakis,D.Manoil JDR 2021.を参照)インプラント周囲炎における細菌叢で有意に多く検出される細菌としては、例えば、Eubacterium、Campylobacter、Treponema denticola、Fretibacterium fastidiosum、Porphyromonas gingivalis、Porphyromonas endodontalis、Treponema socranskii、Treponema letithinolyticum、Anaeroglobus geminatus、Tannerella forsythia、Mogibacterium、Peptococcus、Actinomyces、Butyvibrio、Filifactor alocis等が挙げられる。これらのうち、Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythia、Treponema denticolaは、RED COMPLEXと称され、特に悪性の強い歯周病原菌として知られている。インプラント周囲炎特有エリアに属する試料の細菌叢においては、RED COMPLEXに属する細菌からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上が有意に多く検出されてよい。インプラント周囲炎特有エリアに属する試料の細菌叢においては、RED COMPLEXに属する細菌に加えて、RED COMPLEXに属する細菌以外の細菌からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上が有意に多く検出されてよい。
インプラント周囲炎特有エリアに対応する細菌叢においては、Porphyromonas gingivalis、Tannerella forsythia、Porphyromonas endodontalis、Fusobacteriumからなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上が有意に多く検出されてよい。
一方、健康なインプラントにおいても細菌叢に特定の細菌が検出されることが知られている。健康なインプラントにおける細菌叢で有意に多く検出される細菌としては、例えば、Leptorrichia、Streptococcus parasanguinis、Streptococcus sanguinis、Streptococcus gordonii、Porphyromonas HMT-277/278、Rothia aeria、Propionibacter、Anaerofilum、Haemophilus等が挙げられる。さらに健康なインプラントとインプラント周囲炎とで共通に検出される細菌としては、例えば、Fusobacterium、Veillonella parvula、Veillonella dispar、Neisseria、Campylobacter gracilis、Streptococcus、Anaerococcus等が挙げられる。
インプラント周囲炎特有エリアに対応する細菌叢においては、健康なインプラントにおける細菌叢で有意に多く検出される細菌からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上が有意に少なく検出されてもよい。
第4工程では、対象座標と、予め特定されたインプラント周囲炎特有エリアとの距離を評価することでインプラント周囲炎の発症リスクを評価する。発症リスクの評価方法としては、対象座標がインプラント周囲炎特有エリアに存在する場合に対象におけるインプラント周囲炎の発症リスクが高いと評価してもよいし、対象座標とインプラント周囲炎特有エリアとの距離が、予め設定した閾値と比較して、小さい場合に発症リスクが高いと評価してもよいし、クラスター分析樹形図に基づいて発症リスクを評価してもよい。
インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法によって、インプラント周囲炎の発症リスクが高いと評価された対象には、必要に応じて適切な発症予防処置を施してもよい。これにより、対象におけるインプラント周囲炎の発症を効果的に抑制することができる。すなわち、インプラント周囲炎の発症リスクの評価方法は、発症予防措置と組み合わせて、インプラント周囲炎の発症予防方法、又は発症予防を補助する方法を構成してもよい。発症予防処置としては、例えば乳酸菌によるプロバイオティクス、インプラント周囲炎特異的な細菌に対する狭域スペクトルの抗生剤の局所投与、広域スペクトルのペリオフィール貼付、メインテナンスサイクルの短縮(例えば、通常の3ヶ月を1ヶ月にする)等を挙げることができる。またインプラント周囲炎の発症リスクの評価方法によって、インプラント周囲炎の発症リスクが低いと評価された対象に対しては、メインテナンスサイクルを延長することも考えられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
福岡歯科大学医科歯科総合病院インプラント科にて、歯科衛生士によるメンテナンス中の対象者9名(男性4名、女性5名、平均62.1歳)について、書面でのインフォームドコンセントに同意を得た。これらの対象者について、口腔内にて歯肉炎指数(mGI)、プラーク指数(mPI)及び歯肉出血指数(mBI)を観察記録して、インプラント周囲炎群と非インプラント周囲炎群とに分類した。観察記録は、頬舌測の近心乳頭部、辺縁部、遠心乳頭部の6箇所について行った。さらに対象者には口腔内の自覚症状についてのアンケート調査を実施した。アンケートの項目は、「口のネバつき」、「ブラッシング時の出血」、「歯が浮いた感じ」、「歯肉がむず痒い、痛い」、「口臭」、「舌の表面が白っぽい」、「歯の表面がヌルヌルした感じ」、「冷たい水を飲んだときにしみる感じ」であった。
対象者が装着中の歯科インプラントの上部構造からのにおいデータの取得を以下のようにして実施した。測定の条件を一定にするため、同じ部屋で空調条件を24℃、50%RH程度に調整した。患者から歯科インプラント上部構造を口腔外に取り外し、吸引用ホースが接続された密閉容器内に入れた。容器には、UV処理(株式会社キクタニ製、Fressy)したビーカーを用いた。2台のエアーポンプを用いて風量1.2L/分の速度で気体試料を採取して、それぞれが20個の検知素子を有する4台のニオイセンサ(I-PEX社製;nose@MEMS)内に気体試料を導入して、においデータを取得した。データの取得は30秒間5サイクルで行い、1サイクル毎にニオイセンサのキャリブレーションを実施した。ニオイセンサの制御は、全てI-PEX社のソフトウェア(nose@MEMS Viewer)にて行った。得られたにおいデータは温度、湿度、80種類の検知素子によるデータであった。
ニオイセンサの検知素子としては、1021、1022、1023、1024、1025、1026、1027、1028、1029、1030、1031、1032、1033、1034、1035、200A、200B、200C、200D、200F、200G、200H、200I、200J、200K、200M、200N、200O、200P、200Q、200S、200T、200U、200V、200W、200X、200Y、200Z、20AA、20AB、20BQ、20BR、20BS、20BT、20BU、20BV、20BW、20BX、20BY、20BZ、20CA、20CB、20CC、20CD、20CE、20CF、20CG、20CH、20CI、20CJ、20CK、20CL、20CM、20CN、20CO、20CP、20CQ、20CR、20CS、20CT、20CU、20CV、20CW、20CX、20CY、20CZ、20DA、20DB、20DC、20DDの80種を用いた。
ニオイセンサによるにおいデータの取得に併せて、4人の検査者(歯科医師)による官能試験を実施して、非インプラント周囲炎群を臭気あり群と臭気なし群とに分類した。官能試験は、臭気強度を0から5の6段階で評価し、臭気の種類についてコメントを調査した。官能試験は4人の検査者が、事前に評価基準を揃えた上で実施した。
取得したにおいデータについては、ニオイセンサに付属のソフトウェア(I-PEX社;nose@MEMS Viewer)を用いて、主成分分析とクラスター分析を実施した。得られるデータは寄与率と累積寄与率・主成分得点プロット・主成分負荷量プロット・主成分得点(自由操作)・主成分負荷量(自由操作)・主成分得点(3D・自由操作)・主成分負荷量(3D・自由操作)・散布図行列・クラスター分析樹形図・分析結果の数値データ・比較データを回転して重ねた主成分得点プロットであった。データに欠損値がある場合、そのセンサにおける中央値で欠損値を穴埋めした。なお、全データが欠損値の場合は分析に使用しなかった。また、どのデータも分散は0でなかった。
取得したにおいデータは、インプラント周囲炎群、臭気あり群、臭気なし群及びチタン上ジルコニアクラウンについて比較分析を行った。主成分分析の結果を図1に、クラスター分析樹形図を図2に示す。
図1及び図2から、インプラント周囲炎群がまとまって分布していることが分かる。
第一主成分と第二主成分について、各主成分軸に含まれる変数全体に占める情報量の比である寄与率を算出したところ、第一主成分については87.4%であり、第二主成分については7.0%で、合計が94.4%であった。
参考例1
実施例1における分析結果を元にして、インプラント周囲炎データ群に強く反応する検知素子を以下のようにして選択した。実施例1で得られたにおいデータのうち、1サイクル目のデータのみを用いて上記と同様にして主成分分析を行った。主成分得点プロットおよび主成分負荷量プロットを対比して、目的とするインプラント周囲炎データ群により強く反応している検知素子を20種選択した。このとき対比比較に用いるデータとしては、なるべく他の群と異なる主成分軸を有するか、離れたクラスターを形成しているデータを用いた。選択された検知素子は、1026、1029、200K、200T、200V、200W、200X、200Y、20CG、20CH、20CI、20CS、20CT、20CU、20CV、20CX、20CY、20CZ、20DA、20DBであった。
上記20種の検知素子を用いた分析において、第一主成分と第二主成分の寄与率を算出したところ、第一主成分については93.6%であり、第二主成分については4.4%で、合計が98.0%であった。
参考例2
参考例1の分析結果を元にして、主成分得点プロットおよび主成分負荷量プロットを対比して、目的とするインプラント周囲炎データ群により強く反応している検知素子を8種選択した。選択された検知素子は、200K、200V、200W、200X、20CG、20CH、20CV、20DAであった。
上記8種の検知素子を用いた分析において、第一主成分と第二主成分の寄与率を算出したところ、第一主成分については82.8%であり、第二主成分については14.1%で、合計が96.9%であった。
実施例2
実施例1で取得したにおいデータについて、ニオイセンサに付属のソフトウェア(I-PEX社;nose@MEMS Viewer)を用いて、主成分分析とクラスター分析を実施した。但し、データ分析には、インプラント周囲炎患者に由来するにおいデータの参照座標への寄与率が高かった8種の検知素子からのデータのみを用い、使用した検知素子が異なる以外は実施例1と同様にして主成分分析とクラスター分析を実施した。使用した検知素子は、20CV、20DA、20CG、20CH、200K、200V、200W、200Xであった。主成分分析の結果を図3に、クラスター分析樹形図を図4に示す。
図3及び図4から、特定の検知素子を用いることで、主成分分析におけるインプラント周囲炎群の分布がより直線状になることが分かる。これにより、臭気あり群と臭気なし群との比較がより容易になっている。また、インプラント周囲炎群の分布がより狭い範囲になっていることが分かる。
実施例3
対象者を29名(男性11名、女性18名、平均63.59歳)としたこと以外は実施例1と同様にして、においデータの取得、官能試験を実施した。取得したにおいデータについて実施例2と同様に8種の検知素子からのデータを用いて、主成分分析とクラスター分析を実施した。主成分分析の結果を図5に、クラスター分析樹形図を図6に示す。
なお、官能試験において平均スコアが閾値の2以上である臭気あり群に分類された対象者は13名(男性4名、女性9名、平均64.46歳;官能試験の平均スコア3.19±0.78)であり、官能試験において平均スコアが閾値の2未満である臭気なし群に分類された対象者は8名(男性4名、女性4名、平均58.63歳;官能試験の平均スコア0.97±0.41)であった。また、インプラント周囲炎群の患者は8名(男性3名、女性5名、平均67.1歳;官能試験の平均スコア3.78±1.52)であった。官能試験のスコアにおいて、臭気あり群と臭気なし群とでは有意差があったが、臭気あり群とインプラント周囲炎群とには有意差は認められなかった。
図5に示すように、官能試験において臭気なし群と分類されたにおいデータに対応する座標群を含む領域(臭気なし領域)20と、インプラント周囲炎群に分類されるにおいデータに対応する座標群を含む領域(インプラント周囲炎特有エリア)10とが切り分けられている。また、図6に示すように、図5のインプラント周囲炎特有エリア10に属するデータは、クラスター分析樹形図において1群をなしている。
図5では、官能試験における臭気なし群に分類されるにおいデータに対応する座標群の分散が最も広い方向を長軸とし、長軸に直交する方向の分散を短軸とする楕円領域を臭気なし領域とした。また、臭気なし領域外であって、インプラント周囲炎群に分類されるにおいデータに対応する座標群及び臭気あり群に分類されるにおいデータに対応する座標群を含む円形領域をインプラント周囲炎特有エリアとした。インプラント周囲炎特有エリアには、臭気あり群のうち6名(男性3名、女性3名、平均60.17歳)とインプラント周囲炎群のうち5名(男性2名、女性3名、平均60.00歳)の、合わせて11名(男性5名、女性6名、平均60.09歳)が含まれていた。
インプラント周囲炎特有エリアには、インプラント周囲炎患者に由来するにおいデータが5点と、官能試験で臭気あり群と分類されたにおいデータ6点が含まれている。そこで、インプラント周囲炎特有エリアに属するにおいデータと、それ以外のにおいデータについて、ニオイセンサの検知素子の出力値を比較した。結果を図7に示す。
図7に示すように、使用した8種の検知素子のすべてについて、インプラント周囲炎特有エリアの方が、それ以外の領域に比べて検知素子の出力値が有意に高いことが分かる。すなわち、選択した検知素子はインプラント周囲炎の発症リスクの評価に適していることが分かる。
細菌叢解析
においデータを採取した対象者から細菌叢解析用の試料を採取して、16SrDNA部分塩基配列を標的としたアンプリコンシーケンス解析により、試料に含まれる細菌叢を解析した。試料の採取は、においデータ取得のためにインプラント上部構造を外した際に、小綿球にて口腔内のインプラント部アクセスホール内と周囲歯肉を拭い、それをマイクロチューブに入れてPBS溶液内に撹拌させて行った。また、アンプリコンシーケンス解析は、株式会社テクノスルガ・ラボに依頼して実施した。解析条件は以下の通りである。
1.DNA抽出
・抽出方法 MORA-EXTRACT kit (Kyokuto Pharmaceutical, Japan)
細胞破砕装置: FastPrep 24 5G (MP Biomedicals, USA)
・吸光度測定 NanoDrop N D8000 (Thermo Fisher Scientific, USA)
2.PCR
・使用プライマー Pro341F-Pro805R(細菌・アーキア 16SrDNA V3からV4領域;約430bp)
Dual index (8 bp barcode)
・PCR条件 Hell et al. (hemi nested PCR)
(Takahashi S et al. PLoS One 2014;9:e105592.;Hell et al. ISME J 2013;7:1814 1826;Nakayama J. et al. Biosci. Microflora 2010; 29 83 96.)
3.アンプリコンシーケンス解析
・シーケンサー MiSeq(Illumina, USA)
・シーケンシングキット MiSeq Reagent Kit v3(600 サイクル) (Illumina)
4.取得データの前処理
・プライマー配列の除去 ソフトウェア Cutadapt ver sion 1.18 5) デフォルト値
・ペアエンド配列の結合 ソフトウェア f astq join 6) デフォルト値
・クオリティーフィルタリング ソフトウェア FASTX Toolkit version 0 .0.14
各リードの99%以上がQV20以上の配列をデータ解析に使用
・キメラチェック ソフトウェア QIIME1.8.0 8)
usearch6.1.544_i86を用いキメラ配列を検出・除去
5.相同性検索
・ソフトウェア Metagenome@KIN version 2.3 (World Fusion, Japan)
1)Ribosomal Database Project (RDP) による検索
・データベース RDP Classifier version 2.13 (16S rDNA)
・解析条件 16S rDNA
Cut Off ALL: 0.8 1 , 帰属分類群: 界~属
2)微生物同定データベースによる検索
・データベース 微生物同定データベースNGS DB BA 17.0
(TechnoSuruga Laboratory,
・解析条件 相同率97% 以上かつ最上位の菌種を近縁種として出力
6.検体間の比較解析
・主成分分析 分散共分散行列の固有値・固有ベクトルを用いて描画
・クラスター分析 クラスタリング手法:
Average (UPGMA 、Single(single linkage)、
Complete(Complete linkage)
距離行列:
Canberra distance 、Pearson's Correlation coefficients 、
Euclidean distance 、Manhattan distance 、Maximum distance、 Minkowski distance
7. α多様性解析
・データ解析ソフトウェア R version 3.1.0
・α多様性指数 分類階級ごとに検体のshannon entropy 、simpson 指数を算出
インプラント周囲炎で認められる細菌群について、インプラント周囲炎特有エリアとそれ以外の領域における細菌数での比較結果を図8に示す。また、健康インプラント及び共通に認められる細菌群について、インプラント周囲炎特有エリアとそれ以外の領域における細菌数での比較結果を図9に示す。
図8に示すように、RED COMPLEXとして知られるPorphyromonas gingivalis及びTannerella forsythia、並びにPorphyromonas endodontalisがインプラント周囲炎特有エリアにおいて有意に多く検出された。また図9に示すように、健康インプラントで検出されるRothia aeria、Streptococcus gordonii、Streptococcus parasanguinis、インプラント周囲炎特有エリアにおいて有意に少なく検出された。
インプラント周囲炎特有エリアとそれ以外の領域におけるアルファ多様性シャノン指数は、H=0.05、p値0.82、q値0.82であった。この結果は、インプラント周囲炎特有エリアとそれ以外の領域とでは、細菌叢の多様性に違いがないことを示していると考えられる。
図10及び図11に、群間比較解析(LEfSe)の結果を示す。図10及び図11に示されるようにインプラント周囲炎特有エリアとそれ以外の領域とでは、細菌叢に差が認められた。
以上のように、歯科インプラントに由来するにおいデータを、互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を複数個備えるニオイセンサを用いて解析することで、インプラント周囲炎の発症リスクを評価することができる。

Claims (5)

  1. 互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を6個以上備えるセンサと、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料とを接触させて、前記歯科インプラントのにおいデータを取得することと、
    前記においデータを所定の座標変換により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換することと、
    前記対象座標と、インプラント周囲炎患者のにおいデータに対応する参照座標との距離を評価することと、を含む、評価対象におけるインプラント周囲炎の診断を補助する方法。
  2. 前記対象座標と前記参照座標との距離の評価は、クラスター分析で行われる請求項1に記載の診断を補助する方法。
  3. 互いに異なるにおい分子を検出可能な検知素子を6個以上備えるセンサと、評価対象の歯科インプラントに由来するにおい分子を含む対象気体試料とを接触させて、前記歯科インプラントのにおいデータを取得することと、
    前記においデータを所定の座標変換により、主成分分析における所定の第一主成分軸及び第二主成分軸を含む座標空間における対象座標に変換することと、
    前記対象座標と、予め特定されたインプラント周囲炎の発症リスクが高い領域との距離を評価することと、を含む、評価対象におけるインプラント周囲炎の診断を補助する方法。
  4. 前記対象気体試料は、評価対象のインプラント上部構造及びインプラント周囲粘膜の少なくとも一方に由来する、請求項1から3のいずれか1項に記載の診断を補助する方法。
  5. 前記センサは、6個以上180個以下の前記検知素子を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の診断を補助する方法。
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