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JP7655714B2 - ビールテイスト飲料 - Google Patents
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Description

本発明はビールテイスト飲料に関し、特に低麦芽のビールテイスト飲料に関する。
ビールテイスト飲料は、発酵工程の有無に関わらず、ビールを想起させる香味を有する飲料である。ビールテイスト飲料には、主原料として麦芽が用いられる。麦芽を使用することにより、麦芽由来の旨味や甘みが豊かなビールテイスト飲料が製造される。
近年、低価格指向を含む多様なニーズを背景に、麦芽使用量が低く抑えられたビールテイスト飲料が開発されている。該ビールテイスト飲料の開発において、ビールの香味の再現及び該ビールテイスト飲料自体の香味を改善する試みがなされている。
麦芽に含まれる成分の1つとしてプロリンが挙げられる。特許文献1には、麦芽使用量を減らしたビールテイスト飲料のプロリンの濃度を高めることで、コクを構成する要素である、旨味及び甘みが向上することが記載されている。
ビールテイスト飲料の香味改善物質として、特許文献2及び特許文献3には、3-メチル-2-ブテン-1-チオールが記載されている。3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、特許文献2では、非発酵ビールテイスト飲料に発酵感を付与するために使用されている。また、特許文献3では、3-メチル-2-ブテン-1-チオール及びジメチルスルフィドを用いて、麦芽比率が低いビールテイスト飲料に飲み応え(コク)が付与されている。
非特許文献1に関しては、まず、記載を抜粋し、その後、説明する。
第391頁、下から第15~13行、要約
「GC-MSの技術を使用して、淡色麦芽及び濃色麦芽中のパンのような芳香特性及び非常に低い風味閾値をする数種類の化合物を初めて同定した。」。
第393頁、第6~17行、序文
「麦芽を焙燥するか又は麦汁を煮沸する場合、・・・[中略]・・・今までにまだ知られていない焙煎したような、ポップコーンのような、パンのような芳香を有する化合物が生じる。パンのような芳香特性を有する香気物質は、ビールにとって中心的な重要性がある。この香気物質は麦芽中の芳香の主成分であるが、この香気物質は、加熱殺菌された、高温環境で貯蔵した及び劣化したビールにおける悪い芳香の原因となることがある。」
第401頁、第12~24行、ビール中のパンのような芳香成分の特性決定
「パンのような悪い芳香成分は、特に、ビールに熱負荷をかけるか又はビールを不適切に輸送しかつ貯蔵した場合に検出される。高すぎる温度及び長すぎる作用時間での加熱殺菌の場合に、特に際立った「オフフレーバー」の印象が感じられる。図11は、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムを示す。特性決定されたプロリン誘導体とほとんど同等の保持時間を示す、官能特性を有するいくつかのクロマトグラム部分が生じることが認められる。分取GC、キャピラリー-GC-NSD及びキャピラリー-GC-MSを用いて、4種の2-アセチルテトラヒドロピリジンを示準成分として特性決定することができた。」
図1に、非特許文献1の図11である、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムを示す。尚、ここでいう加熱殺菌の条件は、80℃で0.5~20時間である(第393頁、下から第19~18行)。このように高温で長時間加熱した場合、ビールは熱劣化する。
非特許文献1には、要するに、(1)麦芽を加熱した場合に、ポップコーンのような、パンのような芳香を有する化合物が生じること、(2)上記芳香は、熱負荷をかけたために劣化したビールに感じられる「オフフレーバー」、即ち、異臭であること、及び(3)上記オフフレーバーの分析結果を図11のガスクロマトグラムに示すこと、が記載されている。
ここに図1として示すが、非特許文献1の図11には、オフフレーバーの分析結果として、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジン等が示されている。
特開2020-103272号公報 WO2013/080357号 特開2018-186716号公報
プロリンは、主として麦芽に由来し、プロリンの濃度が低いと、ビールテイスト飲料のコクが少ない傾向にある。
3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、ビールテイスト飲料のコクや発酵感に寄与する。これらの効果の多くは、3-メチル-2-ブテン-1-チオールが提供する戻り香に起因する。
戻り香とは、口中から鼻に抜ける香気である。これに対し、鼻から直接入る香気はトップ香と呼ばれる。戻り香とトップ香とは、官能として区別することができる。
一方、3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、トップ香として、オフフレーバー(日光臭)を呈する。かかるトップ香のため、香味バランスを保ったままビールテイストが含有できる3-メチル-2-ブテン-1-チオールの量には、上限がある。日光臭は、ピルスナータイプ等の淡色のビールにおいて、特に問題となりやすく、軽快さを損なう一因となる。
本発明の目的は、香味バランスに優れ、コクが強化された、麦芽使用量が低いビールテイスト飲料を提供することにある。
本発明は、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、及び2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含むビールテイスト飲料であって、
該3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度が2.0ng/l以上であり、
該2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が5.0μg/l以上である、ビールテイスト飲料を提供する。
ある一形態においては、プロリンを含有し、プロリンの濃度(mg/l)に対する2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度(μg/l)の比率が0.02を超えるものである。
ある一形態においては、上記プロリンの濃度が400mg/l以下である。
ある一形態においては、酵母によるアルコール発酵工程を経て製造された発酵ビールテイスト飲料である。
ある一形態においては、麦芽比率が50~100重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%である。
ある一形態においては、麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が10~20重量%である。
ある一形態においては、麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%である。
ある一形態においては、上記3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、添加された香料に由来するものである。
ある一形態においては、上記2‐アセチル‐3,4,5,6‐テトラヒドロピリジンは、添加された香料に由来するものである。
また、本発明は、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含むビールテイスト飲料の製造方法であって、
該3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を2.0ng/l以上に調節する工程、及び該2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を5.0μg/l以上に調節する工程を包含する、ビールテイスト飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、上記ビールテイスト飲料がプロリンを含有し、プロリンの濃度(mg/l)に対する2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度(μg/l)の比率が0.02を超えるように調節する工程を包含する。
本発明によれば、香味バランスに優れ、コクが強化された、麦芽使用量が低いビールテイスト飲料が提供される。
非特許文献1の図11である、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<3-メチル-2-ブテン-1-チオール>
本発明のビールテイスト飲料に含まれる3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、チオール基を有する揮発性物質であり、ホップなどに微量に含まれる。また、煮沸などのビールテイスト飲料の製造工程において、増減することが知られている。3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、微量であっても、波長350~550nmの紫外線の照射により、ビール中の苦味成分であるイソフムロンのアリル側鎖から生じたラジカルと反応し、日光臭と称される臭いを生成する。しかしながら、3-メチル-2-ブテン-1-チオールを含有させることで、麦芽使用量の低いビールテイスト飲料に対してコクが付与される。
本明細書では、上記3-メチル-2-ブテン-1-チオールを、以下「MBT」と記載することがある。本発明のビールテイスト飲料に含まれるMBTは、天然物から単離又は抽出されたもの、食品化学的に許容される手法によって化学合成されたもの、MBTを含有する原料に由来するもの、製造工程において、MBTに変換される前駆体を含有する原料に由来するもの、香料として市販されているもの、香料としてMBTを含むもの、のいずれであってもよい。
本発明のビールテイスト飲料において、MBTの濃度は2.0ng/l以上である。MBTの濃度が2.0ng/l未満であると、ビールテイスト飲料のコクを感じ難くなる。MBTの濃度は、好ましくは2.0~20.0ng/l、より好ましくは3.0~5.0ng/lである。また、MBTの濃度が高すぎると硫黄様のトップ香が目立ち香味バランスが悪くなる。
<2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物>
本発明のビールテイスト飲料に含まれる2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンは、互変異性体として2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンを有する。したがって、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジンをビールテイスト飲料に添加した場合、ビールテイスト飲料には、一般に、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及び2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンが両方とも含有される。それらの存在比率は、周囲のpH環境等に依存して決定される。
本明細書では、上記2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を、以下「ATHP」と記載することがある。ATHPは、上述の通り、発酵ビールテイスト飲料を製造する過程で麦芽を加熱する場合に生成する化合物である。ATHPが存在することで、ビールテイスト飲料の硫黄様のトップ香が抑制され、コクが強化される。本発明のビールテイスト飲料に含まれるATHPは、香料として市販されているATHPを添加したものであってもよい。
本発明のビールテイスト飲料において、ATHPの濃度は5.0μg/l以上である。ATHPの濃度が5.0μg/l未満であると、MBT由来の硫黄様のトップ香を十分に抑制できないことがある。ATHPの濃度は、好ましくは5.0~50μg/l、より好ましくは6.0~20μg/l、更に好ましくは7.0~10μg/lである。また、ATHPの濃度が高すぎると渋味が目立ち香味バランスが悪くなる。特にその濃度が1ppmを超えると、非特許文献1にある通り、加熱したパン様のオフフレーバーとなる。
<プロリン>
プロリンとは、タンパク質を構成するアミノ酸である。本発明のビールテイスト飲料に含まれるプロリンは、多くが麦芽に由来するものである。
通常のビールテイスト飲料において、プロリンの濃度は、500mg/l以上である。本発明のビールテイスト飲料は、プロリンの濃度が低いビールテイスト飲料であり、例えば、プロリンの濃度が400mg/l以下、300mg/l以下、250mg/l以下、200mg/l以下、150mg/l以下、又は100mg/l以下のビールテイスト飲料である。
本発明のビールテイスト飲料において、プロリンの濃度[mg/l]に対するATHPの濃度[μg/l]の比率は、好ましくは、0.02より大きい。該比率が0.02以下であると、麦芽比率又は原麦汁エキス濃度の低いビールテイスト飲料においては、コクが弱い又はトップ香を十分に抑制できないため、香味バランスが悪くなりやすい。該比率は、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.04以上である。また、該比率は、好ましくは、1.5以下である。該比率が1.5を超えると、ATHPのオフフレーバーが目立ち、香味バランスが悪くなりやすい。該比率は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下である。
<ビールテイスト飲料>
本発明のビールテイスト飲料は、発酵工程を経て製造されたビールテイスト飲料であっても、発酵工程を経ずに製造されたビールテイスト飲料であってもよい。本発明のビールテイスト飲料は、好ましくは、麦芽使用量が低いものである。麦芽使用量が低いビールテイスト飲料の例には、[麦芽比率(重量%)、原麦汁エキス濃度(重量%)]の組み合わせが、それぞれ[50~100、1~10]、[1~50、10~20]、又は[1~50、1~10]であるビールテイスト飲料が挙げられる。ここで、麦芽比率とは、デンプン質原料の重量に対する麦芽の重量の比率であり、原麦汁エキス濃度とは、麦汁やそれに含まれる糖分、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、麦芽とホップから抽出されたエキス濃度のことで、麦汁全体に対する割合を示すものである。また、原麦汁エキス濃度は、ビールテイスト飲料の濾過工程の後に、水を加えることで調整することができる。
本発明のビールテイスト飲料の具体例には、発泡酒、ローアルコール発泡性飲料、リキュール等が挙げられる。より具体的なビールテイスト飲料の例としては、発酵工程を経ず製造されたビールテイスト飲料、麦芽比率の低い発酵ビールテイスト飲料、原麦汁エキス濃度の低い発酵ビールテイスト飲料などが挙げられる。
<製造方法>
本発明のビールテイスト飲料は、以下の発酵工程を含む製造工程及び発酵工程を含まない製造工程によって製造される。
<発酵ビールテイスト飲料の製造方法>
原料として麦芽の粉砕物を用意する。また、副原料として、米、コーンスターチ等のデンプン質材料、たんぱく質又はたんぱく質分解物、等を用意する。原料と副原料とを混合し、温水を加え、加温し、麦芽を糖化させる。得られた麦汁を濾過し、添加物を添加する。このとき、原麦汁エキスの濃度を加水調整した。次いで、煮沸釜において麦汁を煮沸する。煮沸後、麦汁を沈殿槽(ワールプール等と呼ばれる)に移送し、ホップ粕等の沈殿物を除去する。沈殿物の除去後、熱交換器(プレートクーラー)により、適切な発酵温度にまで冷却する。冷却後、麦汁に酵母を接種してアルコール発酵させ、濾過を行い、発酵ビールテイスト飲料を得る。得られた発酵ビールテイスト飲料に対し、香料としてMBT及び/又ATHPをそれぞれ添加し、各成分の濃度を調整してもよい
<非発酵ビールテイスト飲料の製造方法>
麦芽等のデンプン質原料を糖化して糖溶液を得る。糖溶液と、甘味料、香料、穀物エキス、食物繊維、苦味料、色素、ホップ等の副原料、及び要すればアルコールとを混合して調合液を得る。糖溶液に、各原料を混合する順番は特に限定されるものではない。次いで、調合液に炭酸ガスを添加することで非発酵ビールテイスト飲料を得る。炭酸ガスの添加は、常法により行うことができる。例えば、調合工程により得られた調合液、及び炭酸水を混合してよく、調合工程により得られた調合液に炭酸ガスを直接加えて溶け込ませてもよい。得られた非発酵ビールテイスト飲料に対し、香料としてMBT及び/又ATHPをそれぞれ添加し、各成分の濃度を調整してもよい。
MBTの濃度は、例えば、用いるホップの種類又は量、もしくは、煮沸又は発酵などの製造工程において、その時間及び温度などを制御することで調節することができる。MBTの濃度は、例えば、中間製造物又は最終製造物にMBTそのものを添加することで調節してもよい。
ATHPの濃度は、例えば、使用する麦芽の量を増減する、麦芽を加熱する温度又は時間を増減する等の方法で調節することができる。ATHPの濃度は、例えば、中間製造物又は最終製造物にATHPそのものを添加することで調節してもよい。
プロリンの濃度は、例えば、麦芽比率及び/又は原麦汁エキスの濃度を調整することで調節してもよい。
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1>
実施例1では、麦芽比率が低いビールテイスト飲料における、MBT及びATHPの効果を調べた。
<参考例1>
[ビールテイスト飲料の製造]
原料として麦芽の粉砕物を用意した。また、副原料として、米、コーンスターチ等のデンプン質材料、たんぱく質又はたんぱく質分解物、等を用意した。原料と副原料とを混合し、麦芽比率100%のデンプン質原料を調製した。デンプン質原料に温水を加えて、加温し、麦芽を糖化させた。得られた麦汁を濾過し、添加物を添加した。このとき、加水調整により、原麦汁エキスの濃度を12重量%にした。次いで、煮沸釜において麦汁を煮沸した。煮沸後、麦汁を沈殿槽(ワールプール等と呼ばれる)に移送し、ホップ粕等の沈殿物を除去した。沈殿物の除去後、熱交換器(プレートクーラー)により、適切な発酵温度にまで冷却した。冷却後、麦汁に酵母を接種して発酵させた。発酵後、濾過を行い、発酵麦芽ビールテイスト飲料を得た。
得られた発酵ビールテイスト飲料のスペックとして、MBT、ATHP及びプロリンの分析を行って、濃度を決定した。分析方法を以下に示す。分析結果は表1に示す。
[MBTの分析]
MBTの濃度は、岸本らの方法(Kishimoto, T. et al., Odorants comprising hop aroma of beer: hop-derived odorants increased in the beer hopped with aged hops, Proceedings of the 31st E BC Congress, Venice 2007)を使用して測定した。
[ATHPの分析]
20gのビールテイスト飲料に50μLの内部標準溶液(4μg/mLのATHP安定同位体)及び、200μLのギ酸及び10mLの蒸留水を加え、OASIS MCX 500mg/6ml(Waters)へ負荷した。
5mLの1%ギ酸水で、カラムを洗浄後、5mLの2%アンモニア-メタノールで溶出し、溶出液を蒸留水で2倍希釈したのち、LC/MS/MSにて分析した。
LC/MS/MS(AB-SCIEX社製5500QTRAP)を使用し、カラムはACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×100mm(waters)を用いて分離した。移動相条件はA液:10mM 炭酸水素アンモニウム、B液:アセトニトリルにて、(B%,t):(10%、1min)、(50%、6min)、ATHPのトラジションは126→84(コリジョンエナジー:23V)として分析した。定量は、標準品を添加して作成した検量線を使用して行った。
[プロリンの分析]
ビールテイスト飲料中のプロリンは、(米国)ウォーターズ社製AcquityUPLC分析装置を用いて、アキュタグウルトラ(AccQ-TagUltra)ラベル化法により測定した。検量線は、アミノ酸混合標準液H型(和光純薬社製)を用いて作成した。
<比較例1-1>
デンプン質原料の麦芽比率を45%に調節すること以外は参考例1と同様にして、ビールテイスト飲料を得、スペックの分析を行った。MBT濃度は1ng/l、ATHPの濃度は1.5μg/l、プロリンの濃度は200mg/lであった。
<比較例1-2、1-3及び1-4>
比較例1-1のビールテイスト飲料にMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、2ng/l、3ng/l及び5ng/lに増加させた。
<実施例1-1及び1-2>
比較例1-2のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例1-3及び1-4>
比較例1-3のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例1-5及び1-6>
比較例1-4のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
次いで、専門評価者によって、製造したビールテイスト飲料の官能評価を行った。評価項目は、飲料のトップ香(日光臭)、コクとした。3名のビール類の専門評価者が各ビールテイスト飲料を試飲し、以下の評価基準に基づいて採点した。3名の評価者の官能評点の平均値を評点とした。また、香味バランスは2つの項目で評点が3以上のときに、「○」とした。評価結果を表1に示す。
<評価基準:トップ香(日光臭)>
評点
4: とても弱い
3: 弱い
2: 強い
1: とても強い
<評価基準:コク>
評点
4: とても強い
3: 強い
2: 弱い
1: とても弱い
Figure 0007655714000001
表1の評価結果から、参考例1及び比較例1-1の比較により、麦芽比率が低いビールテイスト飲料において、コクが不足することが理解される。また、比較例どうしの比較により、MBTの濃度が高くなると、コクが付与されるものの、トップ香のために香味バランスが悪くなることが理解される。
さらに、表1の評価結果から、ATHPの効果により、麦芽比率が低いビールテイスト飲料において、ATHPの濃度が5.0μg/l以上、特に10.0μg/l以上でトップ香(日光臭)が抑制され、コクが増強され、香味バランスが優れることが理解される。
<実施例2>
実施例2では、原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料における、MBT及びATHPの効果を調べた。
<比較例2-1>
原麦汁エキス濃度を5%に調節すること以外は参考例1と同様にして、ビールテイスト飲料を得、スペックの分析を行った。MBT濃度は1ng/l、ATHPの濃度は2μg/l、プロリンの濃度は200mg/lであった。
<比較例2-2、2-3及び2-4>
比較例2-1のビールテイスト飲料にMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、2ng/l、3ng/l及び5ng/lに増加させた。
<実施例2-1及び2-2>
比較例2-2のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例2-3及び2-4>
比較例2-3のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例2-5及び2-6>
比較例2-4のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
表1に示したビールテイスト飲料と同様にして、上記ビールテイスト飲料の官能評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0007655714000002
表2の評価結果から、参考例1及び比較例2-1の比較により、原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料において、コクが不足することが理解される。また、比較例どうしの比較により、MBTの濃度が高くなると、コクが付与されるものの、トップ香のために香味バランスが悪くなることが理解される。
さらに、表2の評価結果から、ATHPの効果により、原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料において、ATHPの濃度が5.0μg/l以上、特に10.0μg/l以上でトップ香(日光臭)が抑制され、コクが増強され、香味バランスが優れることが理解される。
<実施例3>
実施例3では、麦芽比率及びプロリンの濃度が低いビールテイスト飲料における、MBT及びATHPの効果を調べた。
<比較例3-1>
デンプン質原料の麦芽比率を30%に調節すること以外は参考例1と同様にして、ビールテイスト飲料を得、スペックの分析を行った。MBT濃度は1ng/l、ATHPの濃度は1.5μg/l、プロリンの濃度は120mg/lであった。
<比較例3-2、3-3及び3-4>
比較例3-1のビールテイスト飲料にMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、2ng/l、3ng/l及び5ng/lに増加させた。
<実施例3-1及び3-2>
比較例3-2のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例3-3及び3-4>
比較例3-3のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例3-5及び3-6>
比較例3-4のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
表1に示したビールテイスト飲料と同様にして、上記ビールテイスト飲料の官能評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0007655714000003
表3の評価結果から、参考例1及び比較例3-1の比較により、麦芽比率及びプロリンの濃度が低いビールテイスト飲料において、コクが不足することが理解される。また、比較例どうしの比較により、MBTの濃度が高くなるとコクが付与されるものの、トップ香のために香味バランスが悪くなることが理解される。
さらに、表3の評価結果から、ATHPの効果により、麦芽比率及びプロリンの濃度が低いビールテイスト飲料において、ATHPの濃度が5.0μg/l以上、特に10.0μg/l以上でトップ香(日光臭)が抑制され、コクが増強され、香味バランスが優れることが理解される。
<実施例4>
実施例4では、麦芽比率及び原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料における、MBT及びATHPの効果を調べた。
<比較例4-1>
デンプン質原料の麦芽比率、及び原麦汁エキス濃度をそれぞれ6%、及び7%に調節すること以外は参考例1と同様にして、ビールテイスト飲料を得、スペックの分析を行った。MBT濃度は1ng/l、ATHPの濃度は0.4μg/l、プロリンの濃度は20mg/lであった。
<比較例4-2、4-3及び4-4>
比較例4-1のビールテイスト飲料にMBTを添加することでMBT濃度を、それぞれ、2ng/l、3ng/l及び5ng/lに増加させた。
<実施例4-1及び4-2>
比較例4-2のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例4-3及び4-4>
比較例4-3のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
<実施例4-5及び4-6>
比較例4-4のビールテイスト飲料にATHPを添加することでATHP濃度を、それぞれ、5μg/l及び10μg/lに増加させた。
表1に示したビールテイスト飲料と同様にして、上記ビールテイスト飲料の官能評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0007655714000004
表4の評価結果から、参考例1及び比較例4-1の比較により、麦芽比率及び原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料において、コクが不足することが理解される。また、比較例どうしの比較により、MBTの濃度が高くなるとコクが付与されるものの、トップ香のために香味バランスが悪くなることが理解される。
さらに、表4の評価結果から、ATHPの効果により、麦芽比率及び原麦汁エキス濃度が低いビールテイスト飲料において、ATHPの濃度が5.0μg/l以上、特に10.0μg/l以上でトップ香(日光臭)が抑制され、コクが増強され、香味バランスが優れることが理解される。

Claims (5)

  1. 3-メチル-2-ブテン-1-チオール、及び2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含
    麦芽比率が50~100重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%であるか、
    麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が10~20重量%であるか、又は
    麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%であり、
    プロリンを含有し、プロリンの濃度(mg/l)に対する2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度(μg/l)の比率が0.02を超えるものであり
    プロリンの濃度が400mg/l以下であり
    該3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度が2.0~ng/lであり、
    該2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が5.0~10μg/lである、ビールテイスト飲料。
  2. 前記3-メチル-2-ブテン-1-チオールは、添加された香料に由来するものである、請求項に記載のビールテイスト飲料。
  3. 前記2‐アセチル‐3,4,5,6‐テトラヒドロピリジンは、添加された香料に由来するものである、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 3-メチル-2-ブテン-1-チオール、2-アセチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2-アセチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含み、
    麦芽比率が50~100重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%であるか、
    麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が10~20重量%であるか、又は
    麦芽比率が1~50重量%であり、原麦汁エキス濃度が1~10重量%であり、
    プロリンを含有し、プロリンの濃度(mg/l)に対する2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度(μg/l)の比率が0.02を超えるものであり
    プロリンの濃度が400mg/l以下である、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
    該3-メチル-2-ブテン-1-チオールの濃度を2.0~ng/lに調節する工程、及び該2-アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度を5.0~10μg/lに調節する工程を包含する、ビールテイスト飲料の製造方法。
  5. 酵母によるアルコール発酵工程を経て製造される、請求項に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
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