以下、図面を参照しながら、本開示にかかる車両制御装置の実施形態について説明する。
(駆動システムの構成例)
図1は、実施形態にかかる駆動システム1の構成の一例を示す構成図である。実施形態の駆動システム1は、バッテリ(電池)の電力と内燃機関の動力とを駆動源とするハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の車両に搭載されて、車両に動力を供給する。
図1に示すように、駆動システム1は、ジェネレータ11、モータ12、電力制御装置20、バッテリ30、DC/ACコンバータ40、及びハイブリッド制御ECU(Electronic Control Unit)50を備える。
ジェネレータ11及びモータ12はいずれも、U相、V相、W相の三相の交流駆動電流を供給する三相交流電動機である。
ジェネレータ11は、車両の図示しないエンジン等の内燃機関に接続され、主に発電機として作動するモータジェネレータとして構成されている。ジェネレータ11は、内燃機関で発生する駆動力の少なくとも一部を電力に変換する。ジェネレータ11によって変換された電力は、バッテリ30の充電、またはモータ12の駆動に用いられる。
モータ12は、内燃機関からの動力を用いて発電するジェネレータ11からの電力により駆動され、主に走行用の動力および回生制動力を出力するモータジェネレータとして構成されている。すなわち、車両は専らモータ12からの動力により走行する。モータ12から出力される回生制動力によって、バッテリ30を充電することも可能である。
電力制御装置20は、ジェネレータ11及びモータ12と、バッテリ30との間に介在され、駆動源による動力を制御するPCU(Power Control Unit)等として構成されている。
電力制御装置20は、インバータ21、昇圧コンバータ22、降圧コンバータ23、DC/DCコンバータ24、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)ECU25、放電抵抗261、平滑コンデンサ262、フィルタコンデンサ263、電流センサ211,212、及び電圧センサ265a~265cを備える。
インバータ21は、ジェネレータ11を駆動する複数のスイッチング素子213a~213fと、モータ12を駆動する複数のスイッチング素子214a~214fとを備える。これらのスイッチング素子213a~213f,214a~214fは、それぞれが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタと、これらのトランジスタに逆方向に並列接続されたダイオードとを含む。
個々のトランジスタは、高圧電力ラインと負極側電力ラインとに対してソース側とシンク側とになるよう2個ずつ対をなす。また、対となる2つのトランジスタ同士の接続点の各々には、ジェネレータ11、またはモータ12のU相、V相、W相の三相コイルの各々が電気的に接続される。
昇圧コンバータ22は、複数のスイッチング素子221a,221bを備え、バッテリ30からの電力を昇圧する。昇圧コンバータ22のスイッチング素子221a,221bもまた、それぞれがIGBT等のトランジスタと、これらのトランジスタに逆方向に並列接続されたダイオードとを含む。
降圧コンバータ23は、例えばリアクトル等であり、モータ12等からの電力を降圧する。
降圧コンバータ23のリアクトルの一端は、正極側電力ラインに電気的に接続される。リアクトルの他端には、スイッチング素子221a,221bの一方のトランジスタのエミッタと、他方のトランジスタのコレクタとが電気的に接続される。また、上記一方のトランジスタのコレクタは、上記高圧電力ラインに電気的に接続される。また、上記他方のトランジスタのエミッタは、負極側電力ラインに電気的に接続される。
昇圧コンバータ22のインバータ21側には、平滑コンデンサ262が介在されている。平滑コンデンサ262の正極端子は、高圧電力ラインを介して、昇圧コンバータ22の一方のトランジスタのコレクタに電気的に接続される。平滑コンデンサ262の負極端子は、負極側電力ラインを介して、昇圧コンバータ22の他方のトランジスタのエミッタに電気的に接続される。
これにより、降圧コンバータ23により昇圧された電圧は、平滑コンデンサ262によって平滑化される。
放電抵抗261は、平滑コンデンサ262に付随して設けられ、内部電力を消費することで、例えば車両のイグニッション電源がオフされた後に、平滑コンデンサ262に帯電している電荷を放電する。
なお、平滑コンデンサ262と放電抵抗261とを含む構成を放電回路2とも呼ぶことがある。
上記の昇圧コンバータ22及び降圧コンバータ23のバッテリ30側には、フィルタコンデンサ263が設けられている。フィルタコンデンサ263の正極端子は、正極側電力ラインを介して、降圧コンバータ23のリアクトルの一端に電気的に接続される。フィルタコンデンサ263の負極端子は、負極側電力に電気的に接続される。
これにより、昇圧コンバータ22のバッテリ30側の電圧、つまり昇圧コンバータ22に印加される電圧は、フィルタコンデンサ263により平滑化される。
なお、ジェネレータ11、モータ12、インバータ21、昇圧コンバータ22、降圧コンバータ23、放電抵抗261、平滑コンデンサ262、及びフィルタコンデンサ263を含む構成を、駆動回路3とも呼ぶことがある。駆動回路3に、電流センサ211,212、及び電圧センサ265a~265cを含めてもよい。
バッテリ30は、例えばリチウムイオン二次電池、あるいはニッケル水素二次電池等であり、ジェネレータ11及びモータ12からの電力供給を受けて蓄電可能であり、また、ジェネレータ11及びモータ12への電力供給が可能である。
ジェネレータ11とインバータ21との間、及びモータ12とインバータ21との間には、それぞれ電流センサ211,212が設けられている。電流センサ211,212は、ジェネレータ11及びモータ12を流れる電流をそれぞれ検出する。
平滑コンデンサ262の端子間には電圧センサ265aが設けられている。電圧センサ265aは、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHを検出する。この平滑コンデンサ262の端子間電圧VHは、昇圧コンバータ22による昇圧後の電圧に相当する。
フィルタコンデンサ263の端子間には電圧センサ265bが設けられている。電圧センサ265bは、フィルタコンデンサ263の端子間電圧VLを検出する。このフィルタコンデンサ263の端子間電圧VLは、昇圧コンバータ22による昇圧前の電圧に相当する。
バッテリ30の端子間には電圧センサ265cが設けられている。電圧センサ265cは、バッテリ30の端子間電圧、つまり、バッテリ30から昇圧コンバータ22に印加されるバッテリ電圧VBを検出する。
DC/DCコンバータ24は、バッテリ30の出力側に接続され、バッテリ30からの直流(DC:Direct Current)電圧を、補機バッテリ等の低電圧系の各種機器の動作電圧に変換する。つまり、DC/DCコンバータ24は、バッテリ30からの高電圧を降圧して補機バッテリ等の低電圧系の各種機器に供給する。
MG-ECU25は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されており、インバータ21、昇圧コンバータ22、降圧コンバータ23、及びDC/DCコンバータ24等の電力制御装置20の各部を制御する電子制御ユニットである。
より具体的には、MG-ECU25は、ハイブリッド制御ECU50からの指令信号等を受信して、インバータ21及び昇圧コンバータ22に含まれる各トランジスタのオン/オフを制御する。また、MG-ECU25は、電流センサ211,212及び電圧センサ265a~265cの検出結果を取得して、ハイブリッド制御ECU50へと出力する。また、MG-ECU25は、トランジスタを含む電力制御装置20の各部の異常が検出されると、異常信号をハイブリッド制御ECU50へと出力する。
DC/ACコンバータ40は、DC/DCコンバータ24とバッテリ30との間に接続され、バッテリ30からの直流電力を交流(AC:Alternating Current))電力へと変換して、例えば車室内に出力する。これにより、交流電力で動作する家電製品等の各種機器を車室内で使用することが可能となる。
車両制御装置としてのハイブリッド制御ECU(HEV-ECU)50は、例えばバッテリ30の電力と内燃機関の動力との複数の駆動源を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。
すなわち、HEV-ECU50は、例えば内燃機関の効率が悪い車両の発進時、及び低速域等では、専らモータ12からの動力で車両を走行させたり、急加速の際には内燃機関とモータ12との双方の駆動力を用いて大きな加速力を得たりといった制御を行う。
また、HEV-ECU50は、車両のイグニッション電源がオフされる等のシステム終了時に、電力制御装置20のMG-ECU25に指令信号を出力して、平滑コンデンサ262に滞留している電荷を急速に放電させる。このとき、HEV-ECU50は、例えばMG-ECU25を介して平滑コンデンサ262の放電が正常に行われるか否かをモニタする。
また、HEV-ECU50は、再びイグニッション電源がオンされる等の次回のシステム起動時に、平滑コンデンサ262の放電が正常に行われているか否か等に応じて、システムの起動を許可するか否かを決定する。
(ハイブリッド制御ECUの構成例)
次に、図2を用いて、実施形態のHEV-ECU50の構成例について説明する。図2は、実施形態にかかるHEV-ECU50のハードウェア構成の一例を周辺構成とともに示すブロック図である。
図2に示すように、HEV-ECU50は、入出力部51、放電制御部52、判定部53、警告生成部54、及び記憶部55を機能部として備える。これらの機能部は、HEV-ECU50のCPUが、例えばROMに格納された制御プログラム等をRAMに展開して実行すること、及び制御プログラムを実行するCPUの制御下でROM及びRAM等が動作すること等によって実現される。
入出力部51は、電力制御装置20が備えるMG-ECU25、及び表示装置610を制御する表示制御ECU60等の周辺構成と、HEV-ECU50との間で、各種信号の授受を行うことが可能に構成される。
例えば、入出力部51は、電力制御装置20が備える電流センサ211,212及び電圧センサ265a~265cによる電流値または電圧値の検出結果をMG-ECU25から取得する。また、入出力部51は、電力制御装置20において何らかの異常が発生したことを示す異常信号をMG-ECU25から取得する。また、入出力部51は、放電制御部52及び判定部53等が生成した指令信号をMG-ECU25へと出力する。
また例えば、入出力部51は、システム終了時に平滑コンデンサ262の放電に異常が発生したことを示す異常信号をMG-ECU25から取得した場合、警告生成部54が生成した警告を表示制御ECU60へと出力する。
放電制御部52は、MG-ECU25に対する指令信号をシステム終了時に生成し、平滑コンデンサ262に滞留している電荷を急速に放電させる。すなわち、MG-ECU25は、入出力部51を介して放電制御部52からの指令信号を受信すると、モータ12のd軸に電流を流して電力を消費させて、平滑コンデンサ262をディスチャージする。
ここで、モータ12には、モータ12が備える永久磁石のN極からS極へと向かう磁力線と同じ方向のd軸(直軸;Direct Axis)と、d軸に直交する方向のq軸(横軸;Quadrature Axis)とが存在する。
通常時には、モータ12のq軸に電流を流すことでトルクを発生させて、モータ12を回転させることができる。一方、モータ12のd軸に電流を流した場合、トルクは発生せず、モータ12が備える電磁石のコイルで、電気エネルギが熱エネルギに変換されることにより電力が消費され、平滑コンデンサ262をディスチャージすることができる。
このように、モータ12のd軸に電流を流して平滑コンデンサ262を急速にディスチャージすることをアクティブ放電とも呼ぶ。このようなアクティブ放電は、例えば保守作業員等が、システム終了後に感電の恐れなく、平滑コンデンサ262等の高電圧部にアクセスすることができるように行われる。
なお、電力制御装置20は、上述のように、平滑コンデンサ262と放電抵抗261とを含む放電回路2を備えている。このため、何らかの不具合によってアクティブ放電が正常に行われなかった場合には、システム終了後であっても、放電抵抗261によって放電回路2内で電力が消費され続け、平滑コンデンサ262を徐々にディスチャージすることが可能である。
このように、放電回路2内での電力消費によって、平滑コンデンサ262をディスチャージすることをパッシブ放電とも呼ぶ。ただし、例えば数秒で平滑コンデンサ262をディスチャージすることが可能なアクティブ放電に対し、パッシブ放電では、平滑コンデンサ262のディスチャージに例えば数分程度を要する。
ここで、MG-ECU25は、アクティブ放電中、平滑コンデンサ262の電圧が所定時間内に所定の閾値以下とならないこと等によって、アクティブ放電に何らかの不具合が生じたことを検出することができる。平滑コンデンサ262の電圧は、例えば平滑コンデンサ262の端子間電圧VHを検出する電圧センサ262aの検出結果から知ることができる。
また、アクティブ放電に何らかの不具合が生じた場合、HEV-ECU50は、上述のように、入出力部51を介してMG-ECU25から異常信号を受信する。
放電制御部52は、アクティブ放電時にディスチャージ異常が生じたことを示す異常信号をMG-ECU25から受信すると、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録を記憶部55に記憶させる。なお、このようなディスチャージ異常の判定は、例えばシステム終了後に行われるため、ディスチャージ異常の記録は、より詳細には、不揮発性メモリであるROM等に記憶される。
ただし、アクティブ放電の指令信号を受けた際に、車両が一定速度以上で走行中であった場合等、制御上、アクティブ放電が実行されない、あるいは実行できない状況下にあったことが判っている場合には、このような異常判定はなされない。この場合、そもそもMG-ECU25が異常信号を出力しないか、あるいは、MG-ECU25から異常信号が出力されても、放電制御部52は記憶部55に記録せず、ディスチャージ異常は確定しない。
判定部53は、次回のシステム起動時に記憶部55を参照して、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されているか否かを確認する。記憶部55にディスチャージ異常の記録が残っていなければ、判定部53はシステムの起動を許可する。
一方、判定部53は、記憶部55にディスチャージ異常の記録が残っていた場合には、入出力部51を介してMG-ECU25に指令信号を出力して、電力制御装置20の電圧センサ262aの検出結果を読み出させる。判定部53は、電圧センサ262aの検出結果に基づいて、システムの起動を許可するか否かを決定する。
警告生成部54は、アクティブ放電におけるディスチャージ異常を示す異常信号をMG-ECU25から受信すると、アクティブ放電においてディスチャージ異常が生じたことを示す警告を生成する。なお、電力制御装置20から上記のディスチャージ異常以外の異常信号を受信した場合に、警告生成部54が、それらの異常についての警告を生成してもよい。
表示制御ECU60は、例えば車両の車室内等に設けられた表示装置610を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。表示制御ECU60は、HEV-ECU50からの指令信号に基づいて、表示装置610に各種表示を行わせる。
一例として、表示制御ECU60は、警告生成部54が生成した警告を入出力部51から受信すると、アクティブ放電におけるディスチャージ異常等の異常が電力制御装置20に生じたことの警告を表示装置610に表示させる。
表示装置610は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または有機ELディプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等であり、上記警告をはじめとする種々の情報を車両のユーザに提示する。
記憶部55は、HEV-ECU50のCPUが実行する制御プログラム、及びHEV-ECU50の動作に必要な各種制御パラメータ等を記憶する。また、アクティブ放電におけるディスチャージ異常を示す異常信号をMG-ECU25から受信すると、記憶部55は、上述のように、このディスチャージ異常の記録を記憶する。ディスチャージ異常の記録は、例えばHEV-ECU50にコンソールを繋ぎ込むなどしたうえで、保守作業員等によって消去されるまで、記憶部55に保持される。
(ハイブリッド制御ECUの動作例)
次に、図3A~図3Cを用いて、実施形態のHEV-ECU50の詳細な動作例について説明する。
図3Aは、実施形態にかかるHEV-ECU50が、アクティブ放電が正常に行われた場合に行う動作の一例を説明する図である。
図3Aに示すように、イグニッション電源がオフされる等のシステム終了時、HEV-ECU50の放電制御部52は、入出力部51を介して、アクティブ放電を行わせる指令信号をMG-ECU25へと出力する。MG-ECU25は、HEV-ECU50からの指令信号にしたがって、モータ12のd軸に電流を流してアクティブ放電を実施する。
これにより、図中、アクティブ放電による電圧曲線VHaで示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが急速に低下し、所定の閾値TH以下となるのが、例えば電圧センサ265aによって検出される。
その後、イグニッション電源がオンされる等の次回のシステム起動時に、HEV-ECU50の判定部53は、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶部55に記憶されているか否かを確認する。図3Aの例では、前回のシステム終了時、アクティブ放電が正常に行われたため、ディスチャージ異常の記録は記憶されていない。
この場合、HEV-ECU50はシステムの起動を許可する。これにより、バッテリ30から出力され、昇圧コンバータ22により昇圧された電力が、平滑コンデンサ262に供給されて、ジェネレータ11及びモータ12の駆動が開始される。よって、図中、昇圧コンバータ22の昇圧による電圧曲線VHcで示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが急速に上昇するのが、電圧センサ265a等によって検出される。
図3Bは、実施形態にかかるHEV-ECU50が、アクティブ放電においてディスチャージ異常が発生した場合に行う動作の一例を説明する図である。
図3Bに示すように、システム終了時、HEV-ECU50の放電制御部52は、アクティブ放電を行わせる指令信号をMG-ECU25へと出力し、MG-ECU25は、モータ12のd軸に電流を流してアクティブ放電を実施する。
このとき、電力制御装置20に何らかの不具合が生じ、アクティブ放電が正常に行われなかったものとする。この場合、図中、アクティブ放電による電圧曲線VHa’で示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHの急速な低下は検出されない。
MG-ECU25は、電圧センサ265aの上記検出結果に基づいて、アクティブ放電においてディスチャージ異常が発生したものと判定し、HEV-ECU50に異常信号を出力する。
MG-ECU25から異常信号を受信すると、放電制御部52は、アクティブ放電においてディスチャージ異常が発生したことの記録を記憶部55に記憶させる。また、警告生成部54は、ディスチャージ異常が発生したことの警告を生成し、入出力部51を介して表示制御ECU60へと出力する。表示制御ECU60は、受信した警告を表示装置610に表示させる。
ここで、図3Bの例では、システム終了後、放電回路2によりパッシブ放電が正常に行われたものとする。つまり、放電回路2の放電抵抗261によって電力が消費され、平滑コンデンサ262がディスチャージされたものとする。これにより、図中、パッシブ放電による電圧曲線VHpで示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが徐々に低下し、所定の閾値TH以下となる。
その後、次回のシステム起動時に、HEV-ECU50の判定部53が記憶部55を参照すると、図3Bの例では、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されている。
そこで、判定部53は、入出力部51を介して、電圧センサ265aの検出結果を読み出させる指令信号をMG-ECU25へと出力する。MG-ECU25は、HEV-ECU50からの指令信号にしたがって、電圧センサ265aの検出結果を取得してHEV-ECU50へと出力する。
判定部53は、電圧センサ265aの検出結果に基づいて、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが閾値TH以下となっているか否かを判定する。図3Bの例では、システム終了後にパッシブ放電が正常に行われたため、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが閾値TH以下となっていることが検出される。
この場合、判定部53はシステムの起動を許可する。これにより、平滑コンデンサ262が蓄電されて、図中、昇圧コンバータ22の昇圧による電圧曲線VHcで示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが急速に上昇するのが、電圧センサ265a等によって検出される。
図3Cは、実施形態にかかるHEV-ECU50が、アクティブ放電においてディスチャージ異常が発生した場合に行う動作の他の例を説明する図である。
図3Aに示すように、システム終了時、HEV-ECU50の放電制御部52は、アクティブ放電を行わせる指令信号をMG-ECU25へと出力し、MG-ECU25は、モータ12のd軸に電流を流してアクティブ放電を実施する。
このとき、図3Cの例でも、電力制御装置20に何らかの不具合が生じ、図中、アクティブ放電による電圧曲線VHa’で示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが閾値TH以下とならなかったものとする。
MG-ECU25は、HEV-ECU50に異常信号を出力し、HEV-ECU50の放電制御部52は、ディスチャージ異常の記録を記憶部55に記憶させる。警告生成部54は、ディスチャージ異常の警告を生成し、その警告が表示装置610に表示される。
図3Cの例では、システム終了後、放電回路2によるパッシブ放電も正常に行われず、図中、パッシブ放電による電圧曲線VHp’で示すように、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが高いまま維持されているものとする。
その後、次回のシステム起動時に、HEV-ECU50の判定部53が記憶部55を参照すると、図3Cの例においても、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されている。判定部53は、電圧センサ265aの検出結果をMG-ECU25に出力させる。
また、判定部53は、電圧センサ265aの検出結果に基づいて、平滑コンデンサ262の端子間電圧VHが閾値THを超えていると判定する。この場合、判定部53はシステムの起動を許可しない。
ここで、アクティブ放電の異常には、一時的に生じる不具合が要因となる場合がある。一時的な不具合としては、アクティブ放電の指令信号をHEV-ECU50からMG-ECU25へと出力する出力回線に、例えばコネクタ等の接触不良によって、一時的な断線が生じた場合が想定される。あるいは、電力制御装置20がリセット中であるなどして、一時的にアクティブ放電の指令信号を受信できない状態に遷移していた場合が想定される。またあるいは、車両が傾斜路上にあるなどして、車輪の回転等によってモータ12が外部から回転されていたため、電力制御装置20が、アクティブ放電の指令信号を受け付けなかった場合が想定される。
次回のシステム起動時において、ディスチャージ異常の記録が記憶されている場合でも、平滑コンデンサ262の電圧が閾値TH以下となっていた場合には、判定部53は、上記のように、システムの起動を許可する。これにより、アクティブ放電が一時的な不具合により生じたような場合にまで、システムの起動が禁止されてしまうことが抑制される。
ただし、例えば電力制御装置20が継続的に故障した状態にあるなどして、次回のシステム起動時にも、平滑コンデンサ262の電圧が閾値THより大きいまま維持されている場合には、上記のように、判定部53はシステムの起動を許可しない。これにより、車両のユーザ及び保守作業員等の安全が確保される。
一方で、電力制御装置20のアクティブ放電に関わる機構等に、一次的ではない何らかの故障が実際に生じている場合であっても、パッシブ放電が正常に行われることで、システムの起動が許可されうる。しかし、この場合であっても、例えばシステム起動時に繰り返し警告が表示されるため、車両のユーザ等が電力制御装置20の故障に気づくことが可能である。
(ハイブリッド制御ECUの処理例)
次に、図4を用いて、実施形態のHEV-ECU50の処理例について説明する。図4は、実施形態にかかるHEV-ECU50による処理の手順の一例を示すフロー図である。
図4に示すように、HEV-ECU50の判定部53は、イグニッション電源がオンされる等のシステムの起動操作が行われるのを待ち受ける(ステップS101)。判定部53は、システムの起動操作が行われるまで待機する(ステップS101:No)。
システムの起動操作が行われると(ステップS101:Yes)、判定部53は、記憶部55を参照して、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されているか否かを確認する(ステップS102)。
ディスチャージ異常の記録が残っていた場合には(ステップS102:Yes)、判定部53は、MG-ECU25に電圧センサ265aの検出結果の読み出し指示を行う(ステップS103)。
MG-ECU25から電圧センサ265aの検出結果が出力されると、判定部53は、電圧センサ265aの検出結果に基づいて、平滑コンデンサ262の電圧が閾値TH以下となっているか否かを判定する(ステップS104)。
平滑コンデンサ262の電圧が閾値THより大きかった場合には(ステップS104:No)、判定部53は、システムの起動を許可することなく(ステップS111)処理を終了する。
平滑コンデンサ262の電圧が閾値TH以下であった場合には(ステップS104:Yes)、判定部53は、システムの起動を許可する(ステップS105)。
また、記憶部55を参照してディスチャージ異常の記録が残っていなかった場合には(ステップS102:No)、判定部53は、ステップS103,S104,S111等の処理を行うことなく、システムの起動を許可する(ステップS105)。
システムが起動されると、HEV-ECU50の放電制御部52は、イグニッション電源がオフされる等のシステムの終了操作が行われるのを待ち受ける(ステップS106)。放電制御部52は、システムの終了操作が行われるまで待機する(ステップS106:No)。
システムの終了操作が行われると(ステップS106:Yes)、放電制御部52は、MG-ECU25にアクティブ放電の実施を指示する(ステップS107)。また、放電制御部52は、アクティブ放電が正常に終了したか否かを判定する(ステップS108)。
MG-ECU25から異常信号が出力され、アクティブ放電が正常に行われなかった場合には(ステップS108:No)、放電制御部52は、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録を記憶部55に記憶させる(ステップS110)。また、HEV-ECU50の警告生成部54は、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の警告を生成し、入出力部51を介して表示制御ECU60へと出力する(ステップS110)。出力された警告は、表示制御ECU60の制御にしたがって表示装置610に表示される。
MG-ECU25から異常信号が出力されることなく、アクティブ放電が正常に終了した場合には(ステップS108:Yes)、ステップS109,S110の処理はスキップされる。
以上により、実施形態のHEV-ECU50による処理が終了する。
(概括)
ハイブリッド自動車等の少なくとも駆動源の一部として電力を使用する車両においては、システム終了時に平滑コンデンサ等に滞留している電荷を放電するアクティブ放電が行われる。これにより、車両のユーザ及び保守作業員等が、高電圧部にアクセスして感電することを未然に防ぐことができる。
アクティブ放電において、平滑コンデンサの電圧が正常に低下しないなどのディスチャージ異常が発生した場合には、ディスチャージ異常の記録が記憶部等に記憶される。また、次回のシステム起動時には、フェイルセーフ機能により、システムの起動が禁止される。ディスチャージ異常の記録は、保守作業員等が消去するまで記憶部に保持される。
ここで、ディスチャージ異常が検出されたにも関わらず、駆動回路等に故障が認められない場合がある。このようなディスチャージ異常は、コネクタの一時的な接触不良、電力制御装置20側の一時的な応答不能等、一時的な不具合によるものであることが想定される。しかしながら、一時的な不具合によってディスチャージ異常が発生した場合にまで、フェイルセーフ機能を発動させてしまうと、例えばディスチャージ異常の記録を保守作業員等が消去するまでシステムを起動させることができず、路上故障に至る可能性もある。
実施形態のHEV-ECU50によれば、次回のシステム起動時において、平滑コンデンサ262の電圧が閾値以下である場合には、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されている場合でもシステムの起動を許可する。これにより、一時的な不具合によってシステムの起動に制限がかかってしまうのを抑制することができる。よって、車両が路上故障に至るのを抑制することができる。
実施形態のHEV-ECU50によれば、次回のシステム起動時において、アクティブ放電におけるディスチャージ異常の記録が記憶されており、かつ、平滑コンデンサ262の電圧が閾値よりも大きい場合には、システムの起動を許可しない。これにより、車両のユーザ及び保守作業員等の安全を確保することができる。
実施形態のHEV-ECU50によれば、アクティブ放電において、放電制御部52がディスチャージ異常を検出した場合には、車両に設けられた表示装置610に表示する警告を生成する。これにより、電力制御装置20等に何らかの故障が実際に生じている可能性があることを車両のユーザ等に知らせることができる。
なお、上述の実施形態では、電力制御装置20が備える複数の電圧センサ265a~265cのうち、平滑コンデンサ262の電圧を検出する電圧センサ265aの検出結果に基づいて、システム起動の可否を判定することとした。しかし、複数の電圧センサ265a~265cの全てにそれぞれ所定の閾値を設け、少なくとも一部の電圧センサの検出結果が閾値以下であった場合、あるいは、これらの電圧センサの全ての検出結果が閾値以下であった場合に、システムの起動を許可することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、ハイブリッド自動車である車両を制御するHEV-ECU50が、ディスチャージ異常の記録の有無、及び平滑コンデンサ262の実際の電圧に基づいて、システム起動の可否を判定することとした。しかし、実施形態の上記構成は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)等のように、専ら電力を駆動源とする車両を制御する車両制御装置に適用することも可能である。
(付記)
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
少なくとも駆動源の一部として電力を使用する車両を制御する車両制御装置であって、
モータ及びコンデンサを有する駆動回路において、システム終了時に前記モータのd軸に電流を流して前記コンデンサをディスチャージするアクティブ放電を行わせる放電制御部と、
次回のシステム起動時に、システムの起動を許可するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記放電制御部は、
前記アクティブ放電においてディスチャージ異常を検出した場合には、前記ディスチャージ異常の記録を記憶部に記憶させ、
前記判定部は、
次回のシステム起動時において、前記コンデンサの電圧が閾値以下である場合には、前記ディスチャージ異常の記録が記憶されている場合でもシステムの起動を許可する、
車両制御装置が提供される。
(付記2)
上記の付記1に記載の車両制御装置において、
前記判定部は、
次回のシステム起動時において、前記ディスチャージ異常の記録が記憶されており、かつ、前記コンデンサの電圧が前記閾値よりも大きい場合には、前記システムの起動を許可しない。
(付記3)
上記の付記1または付記2に記載の車両制御装置において、
前記アクティブ放電において、前記放電制御部がディスチャージ異常を検出した場合には、前記車両に設けられた表示装置に表示する警告を生成する警告生成部を更に備える。
(付記4)
上記の付記1乃至付記3のいずれかに記載の車両制御装置において、
前記駆動回路は、
システム終了後であっても、内部回路での電力消費によって前記コンデンサをディスチャージするパッシブ放電を行う放電回路を更に有する。
(付記5)
上記の付記1乃至付記4のいずれかに記載の車両制御装置において、
前記駆動回路は、
前記コンデンサの電圧を検出する電圧センサを少なくとも有し、
前記判定部は、
次回のシステム起動時に、前記ディスチャージ異常の記録が記憶されている場合には、前記電圧センサの検出結果に基づいて前記システムの起動を許可するか否かを決定する。
(付記6)
上記の付記1乃至付記4のいずれかに記載の車両制御装置において、
前記駆動回路は、
前記コンデンサの電圧を検出する電圧センサを含む複数の電圧センサを更に有し、
前記判定部は、
次回のシステム起動時に、前記ディスチャージ異常の記録が記憶されている場合、前記複数の電圧センサの全ての検出結果が前記閾値以下であれば、前記ディスチャージ異常の記録が記憶されている場合でもシステムの起動を許可する。