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JP7656797B2 - レーザ加工方法及び装置 - Google Patents
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Description

本発明はレーザ加工方法及び装置に係り、ウェーハの内部に形成されたレーザ加工領域を起点としてウェーハを分割するレーザ加工方法及び装置に関する。
従来、シリコン等のウェーハの内部に集光点を合わせてレーザ光を分割予定ラインに沿って照射し、分割予定ラインに沿ってウェーハの内部に切断の起点となるレーザ加工領域を形成するレーザ加工装置(レーザダイシング装置ともいう。)が知られている。レーザ加工領域が形成されたウェーハは研削装置(グラインダー)に搬送され、研削装置によってウェーハの裏面側が研削される。そして、ウェーハの表面に貼着されたバックグラインドテープをエキスパンドすることにより、ウェーハが個々のチップに分割される(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-086111号公報
上記のようなウェーハ加工では、レーザ加工領域は、ウェーハを確実にチップに分割するために、研削加工後のウェーハの厚みの目標値(以下、ターゲット厚という。)の近傍に形成される。
図6は、ウェーハWのターゲット厚Ht1の位置に対して外側にレーザ加工領域R1及びR2を形成した例を示している。この場合、研削加工によりレーザ加工領域R1及びR2が除去される。一方、図7は、ウェーハWのターゲット厚Ht2の位置に対して内側にレーザ加工領域R1及びR2を形成した例を示している。この場合、ウェーハWの分割後に、レーザ加工領域R1及びR2がチップの側面に残留する。
図6及び図7のいずれの場合も、レーザ加工領域R1及びR2は、研削加工前のウェーハWの厚み(以下、イニシャル厚Hiという。)方向の中心線Lcに対して表面Waに近い側(裏面Wbから遠い側)に偏在するように形成される。この場合、レーザ加工領域R1及びR2が形成されると、レーザ加工領域R1及びR2から進展する内部亀裂等によりウェーハWに反りが生じる。ウェーハWの周縁部における反り上がり量は数mm程度になることがある。
ウェーハWに反りが生じると、ウェーハWをレーザ加工装置から研削装置に搬送する際に、搬送手段のアームにウェーハWを安定して吸着することができず、ウェーハWが搬送中に落下する等の搬送不具合が生じる場合がある。また、ウェーハWを研削装置に搬送した後に、ウェーハWをチャックテーブルに安定して吸着保持することができず、研削加工中に吸着エラーが発生し、研削加工が停止してしまう場合がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、レーザ加工に起因して発生するウェーハの反りを低減することが可能なレーザ加工方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るレーザ加工方法は、基板の表面にデバイス層が積層されたウェーハの基板の内部に、レーザ光を集光させることにより、ウェーハの分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成するレーザ加工領域形成ステップと、ウェーハの内部にレーザ光を集光させることにより、レーザ加工領域によりウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域を形成する応力調整用加工領域形成ステップとを備える。
本発明の第2の態様に係るレーザ加工方法は、第1の態様において、レーザ加工領域を形成するときの第1のレーザ加工条件に基づいて、レーザ加工領域によりウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域を形成するための第2のレーザ加工条件を設定する条件設定ステップを備え、レーザ加工領域形成ステップでは、第1のレーザ加工条件に基づいてレーザ加工領域を形成し、応力調整用加工領域形成ステップでは、第2のレーザ加工条件に基づいて応力調整用加工領域を形成する。
本発明の第3の態様に係るレーザ加工方法は、第2の態様において、第2のレーザ加工条件は、応力調整用加工領域の層の数、ラインの数及び加工高さ、並びに応力調整用加工領域の形成時の集光点のスキャン方向の間隔及びレーザ光のパワーのうちの少なくとも1つを含む。
本発明の第4の態様に係るレーザ加工装置は、基板の表面にデバイス層が積層されたウェーハの基板の内部に、ウェーハの分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成するレーザ加工部と、レーザ加工部を制御して、ウェーハの基板の内部に、レーザ加工領域と、レーザ加工領域によりウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域とを形成する制御部とを備える。
本発明の第5の態様に係るレーザ加工装置は、第4の態様において、レーザ加工領域を形成するときの第1のレーザ加工条件に基づいて、レーザ加工領域によりウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域を形成するための第2のレーザ加工条件を設定する条件設定部を備える。
本発明によれば、レーザ加工に起因して発生するウェーハの反りを低減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るウェーハ加工システムのうちレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るウェーハ加工システムのうち研削装置の構成を示すブロック図である。 図3は、応力調整用加工領域の実施例1を示す断面図である。 図4は、応力調整用加工領域の実施例2を示す断面図である。 図5は、応力調整用加工領域の実施例3を示す断面図である。 図6は、ウェーハのターゲット厚の位置に対して外側にレーザ加工領域を形成した例を示す断面図である。 図7は、ウェーハのターゲット厚の位置に対して内側にレーザ加工領域を形成した例を示す断面図である。
以下、添付図面に従って本発明に係るレーザ加工方法及び装置の実施の形態について説明する。
[ウェーハ加工システム]
本実施形態に係るウェーハ加工システム10は、レーザ加工装置10-1(図1参照)と、研削装置10-2(図2参照)とを備える。レーザ加工装置10-1は、ウェーハWの分割予定ラインに沿って、ウェーハWの内部にレーザ加工領域を形成する(レーザ加工ステップ)。研削装置10-2は、ウェーハWの裏面Wbに研削加工を行ってウェーハWの厚みをターゲット厚にする(研削ステップ)。そして、ウェーハWの表面Waに貼着されたバックグラインドテープBGをエキスパンドすることにより、ウェーハWを個々のチップCに分割する(分割ステップ)。
(レーザ加工)
図1は、本発明の一実施形態に係るウェーハ加工システムのうちレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、レーザ加工装置10-1は、制御部12、ウェーハ移動部14及びレーザ加工部16を備える。
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)、ストレージ(例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等)及び入出力回路部等を有しており、レーザ加工装置10-1の各部の動作を制御する。制御部12は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションにより実現される。
ウェーハ移動部14は、ウェーハWを吸着保持する吸着ステージT1と、レーザ加工装置10-1の本体ベース(不図示)に設けられ、吸着ステージT1をXYZθ方向に移動させるXYZθテーブルとを備える。
ウェーハWは、例えば、シリコン製の円板状の半導体ウェーハである。ウェーハWの基板の表面Waは、例えば、XY方向に伸びる複数の分割予定ラインにより格子状の領域に区画されており、この格子状の領域には、それぞれ電子回路等のデバイス(デバイス層)が形成(積層)されている。
ウェーハWを個々のチップCに分割する際には、まず、ウェーハWの表面Waにバックグラインドテープ(保護テープ)BGを貼着し、レーザ加工装置10-1のテーブルTの保持面に、表面Waを下側にして載置する。そして、吸着ステージT1により、ウェーハWが吸着保持される。なお、バックグラインドテープBGを貼着せずにウェーハWを吸着保持してもよい。
レーザ加工部16は、レーザ光源、コンデンスレンズ等の光学素子及びレーザ光LをウェーハWに対してZ方向に微小移動させる駆動手段等を含んでいる。レーザ光源としては、例えば、半導体レーザ励起Nd:YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザが用いられる。レーザ光源から出射されたレーザ光Lは、コンデンスレンズによりウェーハWの内部に集光される。これにより、ウェーハWの内部に、レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成される。
ここで、レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLとは、レーザ光Lの照射によってウェーハWの内部の密度、屈折率、機械的強度等の物理的特性が周囲と異なる状態となり、周囲よりも強度が低下する領域のことをいう。レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLは、例えば、クラック領域を含む領域である。
レーザ加工部16は、レーザ光Lの集光点FPの位置を調整して、ウェーハWの内部の表面Wa側にレーザ加工領域R1及びR2を順次形成する。図1に示すように、レーザ加工領域R1及びR2が形成されると、ウェーハWの内部にはレーザ加工領域R1及びR2が形成された方向(±Y方向)にウェーハWを拡張する内部応力(引張応力)が生じる。この内部応力は、ウェーハWの表面Wa側を拡張するように作用するため、ウェーハWの周縁部が裏面Wb側に反り上がる原因となる。
そこで、レーザ加工部16は、レーザ光Lの集光点FPの位置を調整して、ウェーハWの内部の裏面Wb側に応力調整用加工領域RLを形成する。応力調整用加工領域RLは、ウェーハWの裏面Wb側を拡張する内部応力をウェーハWの裏面Wb側に発生させる。応力調整用加工領域RLを形成する際には、制御部12(条件設定部)を用いて、レーザ加工領域R1及びR2により生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせることが可能な応力調整用加工領域RLを形成するためのレーザ加工条件が設定される(条件設定ステップ)。換言すれば、応力調整用加工領域RLにより生じる内部応力がレーザ加工領域R1及びR2により生じる内部応力とは逆向きにウェーハWを反らせるものであって、好ましくは、内部応力の大きさが略等しくなるようにレーザ加工条件が設定される。なお、より好ましくは、応力調整用加工領域RLにより生じる内部応力がレーザ加工領域R1及びR2により生じる内部応力とつり合う(を相殺する)ようにレーザ加工条件が設定される。ここで、応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件は、例えば、応力調整用加工領域RLの層の数、レーザ光Lのパワー(例えば、強度又は照射時間等)並びに集光点FPの位置(スキャン方向(XY方向)の間隔(以下、インデックスという。)及び厚み方向(Z方向)の位置(裏面Wbからの距離))等である。応力調整用加工領域RLについては後述する。
ウェーハWにレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLを形成する場合、レーザ加工部16からレーザ光Lが出射され、コンデンスレンズ等の光学系を経由してウェーハWに照射される。照射されるレーザ光Lの集光点FPのZ方向位置は、XYZθテーブルによるウェーハWのZ方向位置調整、及びコンデンスレンズの位置制御によって、ウェーハWの内部の所定位置に正確に設定される。
この状態でXYZθテーブルがダイシング方向であるX方向に加工送りされる。これにより、ウェーハWの分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが1ライン形成される。そして、分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが1ライン形成されると、XYZθテーブルがY方向に1ピッチ割り出し送りされ、次の分割予定ラインにもレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成される。次に、すべてのX方向の分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成されると、XYZθテーブルがZ軸回りに90°回転され、回転後のX方向の分割予定ラインにも同様にしてレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成される。
なお、レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLを形成する手順は特に限定されない。例えば、図1に示すように、1層目のレーザ加工領域R1をウェーハWの全面に形成した後に、2層目(ウェーハWの裏面Wb側)のレーザ加工領域R2を形成し、その後に応力調整用加工領域RLを形成してもよい。ここで、レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLを形成する際のレーザ加工条件は相互に異なっていてもよいし、同一であってもよい。あるいは、レーザ光Lを分岐させる分岐部(例えば、ビームスプリッター等)を設けて、ウェーハWの内部においてZ方向の位置(深さ)が異なる2つの集光点に集光させることにより、1回のスキャンで2層のレーザ加工領域R1及びR2並びに1層又は複数層の応力調整用加工領域RLを形成するようにしてもよい。すなわち、レーザ加工領域形成ステップと応力調整用加工領域形成ステップとは、同時並行的に実施されてもよいし、別々に実施されてもよい。
レーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成されたウェーハWは、レーザ加工装置10-1から研削装置10-2に搬送され、ウェーハWの裏面が研削されて、裏面側のレーザ加工領域R2の一部が除去され、個々のチップに分割される(図2参照)。
なお、本実施形態では、レーザ加工領域をR1及びR2の2層としたが、本発明はこれに限定されない。レーザ加工領域は、1層のみ又は3層以上の複数層形成してもよい。
(研削加工)
図2は、本発明の一実施形態に係るウェーハ加工システムのうち研削装置の構成を示すブロック図である。図2は、ウェーハWの裏面WbがWb1まで研削された状態を示している。
図2に示すように、本実施形態に係る研削装置10-2は、研削制御部18、厚み測定部20、ウェーハ移動部22及び研削機(グラインダー)50を備える。研削機50は、回転研削盤52と、回転研削盤52に取り付けられた砥石54とを備える。
研削制御部18は、回転研削盤52をシャフトの周りに回転させるためのモータを含んでいる。研削制御部18は、制御部12からの指令に応じて、不図示のスラリー供給口からスラリーをウェーハWの裏面Wbに供給しながら、回転研削盤52のZ方向位置を調整して、ウェーハWの裏面Wbに砥石54を当接させて回転させる。
ウェーハ移動部22は、ウェーハWを吸着保持するチャックテーブルT2と、研削装置10-2内において、チャックテーブルT2をXY方向に移動させるXYテーブル(不図示)とを備える。
ウェーハWは、レーザ加工装置10-1においてレーザ加工領域R1及びR2並びに応力調整用加工領域RLが形成された後、研削装置10-2に搬送される。そして、ウェーハWは、チャックテーブルT2の保持面に表面Waを下側にして載置され、チャックテーブルT2により吸着保持される。次に、ウェーハ移動部22によりチャックテーブルT2をXY方向に移動させながら、研削制御部18によりウェーハWの裏面Wbに砥石54を当接させて回転させることにより、ウェーハWの裏面Wbの全面が研削される。
厚み測定部20は、ウェーハWの厚みを測定する手段である。厚み測定部20は、ウェーハWの裏面Wbの研削中に、in-situでウェーハWの厚みを測定可能となっている。厚み測定部20としては、接触式のハイトゲージをウェーハWの裏面Wbに接触させて測定する接触式の手段を用いてもよい。また、厚み測定部20としては、レーザ光源(例えば、半導体レーザ)からのレーザ光をウェーハWの裏面Wbに照射してウェーハWの裏面Wbまでの距離を測定する非接触式の手段(例えば、ToF(Time-of-Flight)方式)を用いてもよい。
研削制御部18は、厚み測定部20からの出力に基づいてウェーハWの厚みを算出しながら、ウェーハWの裏面Wbの研削を行う。これにより、ウェーハWの厚みをターゲット厚にすることができる。
なお、図2に示す例では、研削装置10-2はレーザ加工装置10-1と同じ制御部12により制御されるようになっているが、レーザ加工装置10-1とは別の制御部(例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等)により制御されるようにしてもよい。すなわち、レーザ加工装置10-1と研削装置10-2とは別個独立の装置であってもよい。この場合、研削装置10-2の制御部は、レーザ加工装置10-1の制御部12からレーザ加工領域R1及びR2の位置及びサイズに関する情報と、ウェーハWの厚みのターゲット厚に関する情報を、通信回線又はストレージデバイス等を介して共有するようにしてもよい。
[応力調整用加工領域の例]
次に、応力調整用加工領域RLの例について説明する。
(レーザ加工条件と内部応力との関係)
表1及び表2は、それぞれレーザ加工領域及び応力調整用加工領域RLを形成するときのレーザ加工条件(第1のレーザ加工条件及び第2のレーザ加工条件)とウェーハWの内部に生じる内部応力との関係をまとめたものである。なお、表1及び表2の両者において対応する条件には、同一の符号を付している。
Figure 0007656797000001
表1に示すように、(A)レーザ加工領域の層の数が多いほど、又は(B)レーザ加工領域のラインの数(XY方向の本数。分割予定ラインの数)が多いほど、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力の影響が大きくなる。また、(C)レーザ加工時の集光点FPのスキャン方向(XY方向)の間隔(インデックス)が短いほど、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力の影響が大きくなる。
そして、(D)レーザ加工領域がウェーハWの表面Waに近いほど、又は(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワー(例えば、強度又は照射時間等)が大きいほど、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力の影響が大きくなる。
レーザ加工条件のうち(D)及び(E)のいずれかの条件を調整することにより、ハーフカット(HC)条件及びステルス(ST)条件の調整をすることが可能である。ここで、HC条件とは、レーザ加工領域から伸びる亀裂KがウェーハWの表面Waに到達するように、(D)レーザ光Lの集光点FPとウェーハWの表面Waとの間の距離(加工高さ)、及び(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワーのうちの少なくとも1つの条件を調整した場合をいう。また、ST条件とは、レーザ加工領域から伸びる亀裂KがウェーハWの表面Waに到達しないように、(D)レーザ光Lの集光点FPとウェーハWの表面Waとの間の距離(加工高さ)、及び(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワーのうちの少なくとも1つの条件を調整した場合をいう。HC条件の場合には、レーザ加工領域から伸びる亀裂KがウェーハWの表面Waに到達するため、ST条件の場合と比較して、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力の影響が大きくなる。
Figure 0007656797000002
応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件とウェーハWの裏面Wb側に生じる内部応力との関係も上記と同様になる。すなわち、表2に示すように、(A)応力調整用加工領域RLの層の数が多いほど、又は(B)応力調整用加工領域RLのラインの数(XY方向の本数)が多いほど、ウェーハWの裏面Wb側に生じる内部応力の影響が大きくなる。また、(C)レーザ加工時の集光点FPのスキャン方向(XY方向)の間隔(インデックス)が短いほど、ウェーハWの裏面Wb側に生じる内部応力の影響が大きくなる。
そして、(D)応力調整用加工領域RLがウェーハWの裏面Wbに近いほど、又は(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワー(例えば、強度又は照射時間等)が大きいほど、ウェーハWの裏面Wb側に生じる内部応力の影響が大きくなる。すなわち、HC条件の場合(図4の亀裂K)には、応力調整用加工領域RLから伸びる亀裂がウェーハWの裏面Wbに到達するため、ST条件の場合(図5の亀裂K)と比較して、ウェーハWの裏面Wb側に生じる内部応力の影響が大きくなる。
レーザ加工領域のレーザ加工条件は、生産するチップ(例えば、半導体デバイス等)の製造条件(チップサイズ、厚み等)に応じて決定される。このため、本実施形態では、レーザ加工領域のレーザ加工条件に応じて、応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件を調整する。これにより、レーザ加工に起因して発生するウェーハWの反りを低減することができる。
なお、応力調整用加工領域RLは、ウェーハWの反り及びたわみを低減するため、ウェーハWの全面に万遍なく形成することが好ましい。
以下、応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件の設定方法について説明する。まず、制御部12により、レーザ加工領域のレーザ加工条件を表1に列挙したファクターを評価し、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力の影響を評価する。そして、ウェーハWの表面Wa側に生じる内部応力とつりあう内部応力を裏面Wb側に生じさせるための応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件(表2)を設定する。
ここで、応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件は、制御部12を用いて手動で設定するようにしてもよいし、制御部12がレーザ加工領域のレーザ加工条件の入力を受け付けた場合に、自動的に設定するようにしてもよい。
なお、応力調整用加工領域RLは、研削ステップにより消滅するため、レーザ加工領域に起因する内部応力の影響の大きさによっては、研削ステップの途中でウェーハWの内部応力の均衡が破れて研削エラーが生じうる。このため、応力調整用加工領域RLをより内側(表面Wa側)に形成することが考えられる。
例えば、レーザ加工領域に起因する内部応力の影響の大きさの評価値がしきい値以上の場合には、応力調整用加工領域RLの(D)ウェーハWの裏面Wbからの距離(加工高さ)に拘束条件(下限値)を設定する。そして、この拘束条件の下で、(A)から(C)及び(E)の条件を設定する。これにより、応力調整用加工領域RLの位置を内側(表面Wa側)に制限することができ、研削エラーを防止することができる。
また、応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件を設定する際には、レーザ加工プロセスのスループットを考慮するようにしてもよい。例えば、レーザ加工領域のレーザ加工条件とともに、スループットを重視するか否かを設定可能としてもよい。スループットを重視する設定がされた場合には、(A)層の数を少なくすること(例えば、1層)、(B)ラインの数レーザ加工領域と同じか又は少なくすること、及び(C)インデックスをレーザ加工領域と同じか又は少なくすることを拘束条件に設定する。そして、制御部12は、この拘束条件の下で、(D)ウェーハWの裏面Wbからの距離(加工高さ)及び(E)レーザ光Lのパワーのうちのうちの少なくとも1つの条件を調整する。
(実施例1)
図3は、応力調整用加工領域の実施例1を示す断面図である。
図3に示す例では、ウェーハWの表面Wa側に、2層のレーザ加工領域R1及びR2が形成されている。そして、応力調整用加工領域RLは、研削加工前のウェーハWの厚み方向の中心線Lcに対して、レーザ加工領域R1及びR2と対称に形成されている。
すなわち、図3において、レーザ加工領域R1及びR2と応力調整用加工領域RLの層の数及びラインの数はそれぞれ等しい(条件(A)及び(B))。
また、ウェーハWの表面Waとレーザ加工領域R1との間の距離HR1は、ウェーハWの裏面Wbと応力調整用加工領域RLA1との間の距離HA1と等しい。ウェーハWの表面Waとレーザ加工領域R2との間の距離HR2は、ウェーハWの裏面Wbと応力調整用加工領域RLA2との間の距離HA2と等しい(条件(D))。
また、レーザ加工領域R1及びR2と応力調整用加工領域RLを形成するときの集光点FPのスキャン方向(XY方向)の間隔(インデックス)は等しく(条件(C))、かつ、レーザ光Lのパワーは等しい(条件(E))。
実施例1によれば、レーザ加工領域R1及びR2と応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件を同じにして同等のレーザ加工を行う。これにより、応力調整用加工領域RLが中心線Lcに対してレーザ加工領域R1及びR2と線対称に形成されるので、ウェーハWの内部応力を均等化することすることができる。
(実施例2)
図4は、応力調整用加工領域の実施例1を示す断面図である。図4(a)はウェーハWの断面図であり、図4(b)は図4(a)の一部拡大断面図である。
図4(a)に示す例では、レーザ加工領域R1及びR2が2層形成されており、応力調整用加工領域RLが1層形成されている(表3の条件(A)参照)。
なお、実施例2では、レーザ加工領域R1及びR2と応力調整用加工領域RLを形成するときの条件(B)及び(C)はそれぞれ同じとする。
実施例2では、レーザ加工領域R1及びR2を形成するときの条件がST条件であるのに対して、応力調整用加工領域RLを形成するときの条件がHC条件となっている。すなわち、図4(b)に示すように、レーザ加工領域R1及びR2から伸びる亀裂KがウェーハWの表面Waに到達しないように、(D)レーザ光Lの集光点FPとウェーハWの表面Waとの間の距離HR1及びHR2(加工高さ)、及び(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワーのうちの少なくとも1つの条件が調整されている。さらに、応力調整用加工領域RLから伸びる亀裂KがウェーハWの裏面Wbに到達するように、(D)レーザ光Lの集光点FPとウェーハWの裏面Wbとの間の距離H(加工高さ)、及び(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワーのうちの少なくとも1つの条件が調整されている。
実施例2では、ウェーハWの裏面Wb側に亀裂KBを到達させることにより、ウェーハWの裏面Wb側の内部応力を大きくする。これにより、応力調整用加工領域RLの層の数を1層としても、ウェーハWの表面Wa及び裏面Wb側の内部応力をつり合わせることが可能になる。そして、応力調整用加工領域RLの層の数を1層とすることができるので、レーザ加工におけるスループットを上げることができる。
Figure 0007656797000003
(実施例3)
図5は、応力調整用加工領域の実施例1を示す断面図である。図5(a)はウェーハWの断面図であり、図5(b)は図5(a)の一部拡大断面図である。
図5(a)に示す例では、レーザ加工領域R1及びR2が2層形成されており、応力調整用加工領域RLが1層形成されている(表4の条件(A)参照)。
なお、実施例3では、レーザ加工領域R1及びR2と応力調整用加工領域RLを形成するときの条件(B)は同じとする。
また、条件(D)及び(E)はともにST条件とする。すなわち、応力調整用加工領域RLから伸びる亀裂KがウェーハWの裏面Wbに到達しないように、(D)レーザ光Lの集光点FPとウェーハWの裏面Wbとの間の距離H(加工高さ)、及び(E)レーザ加工時のレーザ光Lのパワーのうちの少なくとも1つの条件が調整されている。
実施例3では、応力調整用加工領域RLを形成するときのインデックスDが、レーザ加工領域R1及びR2を形成するときのインデックスDの2分の1に設定されている。すなわち、D=D/2であり、一例でD=1.0mm、D=0.5mmである。
実施例3では、応力調整用加工領域RLを形成するときのインデックスDを短くすることにより、ウェーハWの裏面Wb側の内部応力を大きくする。これにより、応力調整用加工領域RLの層の数を1層としても、ウェーハWの表面Wa及び裏面Wb側の内部応力をつり合わせることが可能になる。
Figure 0007656797000004
本実施形態によれば、レーザ加工領域のレーザ加工条件に応じて応力調整用加工領域RLのレーザ加工条件を調整することにより、ウェーハWの反り及びたわみを低減することができる。
レーザ加工領域R1及びR2の形成時における集光点FPのスキャン方向(XY方向)の間隔(インデックス)を小さくすると、ウェーハWの反りが大きくなりやすい。このため、従来のGAL(Grind After Laser)プロセスでは、インデックスを小さくすることは困難であった。これに対して、本実施形態では、応力調整用加工領域RLによりレーザ加工領域におけるインデックスを小さくしても反りを低減することができるので、小インデックスのGALプロセスのレーザ加工を実現することが可能になる。
レーザ加工時のレーザ光Lのパワーが大きいと、ウェーハWの表面Wa側への抜け光により表面Wa側に形成されたデバイスにダメージ(以下、スプラッシュダメージという。)が生じうる。このため、これまで小インデックスではLAG(Laser After Grind)プロセスを選択してきたデバイスに対して、GALプロセスの利点である低スプラッシュ加工(レーザ照射時のウェーハWの厚さ寸法が大きく、レーザ加工領域を表面Waから離間して形成できるため、LAGプロセスと比較して低スプラッシュ加工が実施しやすい)を適用できる。
また、LAGプロセス特有の課題である、レーザ加工中のウェーハたわみ(加工中のチップ微小移動)による精度問題を低減できる。
なお、実施例1から3では、応力調整用加工領域RL(RL、RL及びRL)は、レーザ加工領域R1及びR2と重なるように(集光点FPのスキャン方向(XY方向)の位置が一致するように)形成されているが(図4(b)及び図5(b)参照)、本発明はこれに限定されない。応力調整用加工領域RLと、レーザ加工領域R1及びR2の形成時の集光点FPの横方向の位置は互いに異なっていてもよい。
また、図3から図5では、ターゲット厚の位置の図示は省略したが、レーザ加工領域R1及びR2は、ターゲット厚の位置に対して外側及び内側のいずれに形成してもよいし、ターゲット厚の位置と重なるように形成してもよい。
10…ウェーハ加工システム、10-1…レーザ加工装置、10-2…研削装置、12…制御部、14…ウェーハ移動部、16…レーザ加工部、18…研削制御部、20…厚み測定部、22…ウェーハ移動部、50…研削機、52…回転研削盤、54…砥石、T1…吸着ステージ、T2…チャックテーブル

Claims (5)

  1. 基板の表面にデバイス層が積層されたウェーハの基板の内部の第1の集光点に、分岐部により分岐した第1のレーザ光を集光させることにより、前記ウェーハの分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成するレーザ加工領域形成ステップと、
    前記ウェーハの基板の内部の前記第1の集光点とは深さが異なる第2の集光点に前記分岐部により分岐した第2のレーザ光を集光させることにより、前記レーザ加工領域により前記ウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域を、前記レーザ加工領域と同時並行的に形成する応力調整用加工領域形成ステップと、
    前記レーザ加工領域を形成するときの第1のレーザ加工条件に基づいて、前記応力調整用加工領域を形成するための第2のレーザ加工条件を設定する条件設定ステップであって、前記レーザ加工領域に起因する内部応力の影響の大きさの評価値がしきい値以上の場合に、前記応力調整用加工領域の加工高さに拘束条件を設定し、前記拘束条件の下で、前記加工高さ以外の前記第2のレーザ加工条件を設定する条件設定ステップと、
    を備えるレーザ加工方法。
  2. 記レーザ加工領域形成ステップでは、前記第1のレーザ加工条件に基づいて前記レーザ加工領域を形成し、
    前記応力調整用加工領域形成ステップでは、前記第2のレーザ加工条件に基づいて前記応力調整用加工領域を形成する、請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記第2のレーザ加工条件は、前記応力調整用加工領域の層の数、ラインの数及び加工高さ、並びに前記応力調整用加工領域の形成時の集光点のスキャン方向の間隔及びレーザ光のパワーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のレーザ加工方法。
  4. 基板の表面にデバイス層が積層されたウェーハの基板の内部に、前記ウェーハの分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成するレーザ加工部と、
    レーザ光を分岐させる分岐部と、
    前記ウェーハの基板の内部の深さが異なる2つの集光点に前記分岐部により分岐させたレーザ光を集光させて、前記レーザ加工領域と、前記レーザ加工領域により前記ウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域とを同時並行的に形成する制御部と、
    前記レーザ加工領域を形成するときの第1のレーザ加工条件に基づいて、前記レーザ加工領域により前記ウェーハの内部に生じる内部応力に対抗する内部応力を生じさせる応力調整用加工領域を形成するための第2のレーザ加工条件を設定する条件設定部であって、前記レーザ加工領域に起因する内部応力の影響の大きさの評価値がしきい値以上の場合に、前記応力調整用加工領域の加工高さに拘束条件を設定し、前記拘束条件の下で、前記加工高さ以外の前記第2のレーザ加工条件を設定する条件設定部と、
    を備えるレーザ加工装置。
  5. 前記第2のレーザ加工条件は、前記応力調整用加工領域の層の数、ラインの数及び加工高さ、並びに前記応力調整用加工領域の形成時の集光点のスキャン方向の間隔及びレーザ光のパワーのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のレーザ加工装置。
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