JP7656914B2 - 遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法およびそのための装置 - Google Patents
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Description
また、2次元結晶の面直(c軸)方向に不飽和結合(ダングリングボンド)が無い特徴的な結晶構造をもつため、格子不整合や表面再結合など、従来の半導体材料が抱える諸問題が大幅に緩和されると期待されている。
加えて、単層膜の形成だけでなく、ファンデルワールス(vdW)力を介したTMDC間のヘテロ構造にも興味がもたれていて、MOSFETのチャネルやトンネルトランジスタをはじめ、軽量かつ超低消費電力で、機械的柔軟性にも優れる電子デバイスへの応用も検討されている。
さらに、単層化されたTMDCが直接遷移型のバンド構造をもち、極めて大きな励起子効果などユニークな物性を示すことが明らかにされていることから、極薄かつ柔軟性に優れた発光・受光素子のほか、光機能デバイス材料としても極めて有望と考えられている。
この方法では、昇華の開始と終了をはじめ、原料輸送量を容易には制御できないという問題があるほか、粉末原料の減少や枯渇による昇華量の低下や、MoO3粉末がボート内でSと反応して変化して昇華が妨げられるといった課題も生じる。このことから、成膜プロセスにおいて毎回MoO3粉末を交換することが必要になるが、それでも再現性を得ることが難しい。また、小さなボート内に置いたMoO3粉末と基板との幾何学的な配置関係はPoint-to-face供給法とも呼ばれるが、この方法は成膜領域でのガス成分の空間的濃度の均一化の実現が難しく、原理的に成膜の均一化や大面積化が容易ではないという問題がある。
この方法では、Mo箔の下部空間に置いた基板上に均一にMo原料が供給されるため、MoO3粉末を用いる方法と比べて、成膜の均一化が得られやすいという利点が報告されている。しかしながら、この方法では、基板上だけでなくMo箔表面にも硫黄元素Sが供給されるので、Mo箔表面でMoS2が意図せず形成されたり、MoO3のような揮発性の高い成分が揮発性の低いMoO2のような低酸化数の物質に変化し、Mo酸化物ガスの生成効率が下がったり、その生成が不安定になったりという色々な問題が発生する。
また、単層MoS2の単結晶ドメインサイズを大きくするためには、ごく微量の体積のMoO3を使って気相中のMoO3の過飽和度を大幅に下げることが極めて重要との考えから、非特許文献5には、基板上にMoO3を溶かした溶液をあらかじめスピンコート法で分散・乾燥させ、これをMoO3の昇華源として用いる方法が開示されている。
非特許文献4,5に開示されている方法は、前記した粉末法とMoフォイル法の中間的な複合法の位置づけの技術である。
また、非特許文献4の方法に関しては、昇華用のMoO3と原料Sの直接反応があり、原料ガスの安定供給の問題があるとの課題提起もなされている。
なお、TMDC成膜法に関する特許としては、特許文献1および2が開示されている。
以上述べてきたように、従来の方法には、成膜の安定性、制御性、成膜面積の大面積化およびコストといった品質および実用上の問題を抱えていた。なお、ここでは主にMoS2膜についての従来技術について述べたが、上記の課題はMoS2膜に限らずMoSe2や、さらにWS2やWSe2膜でも同様と考えられ、TMDCに共通の課題になっている。
(構成1)
遷移金属のブロックを酸化させて前記遷移金属の表面に前記遷移金属の酸化物層を形成することと、
前記酸化物層から前記酸化物を昇華させ、専用配管を介して、第1の不活性キャリアガスとともに前記酸化物のガスを基板に供給することと、
カルコゲン原子を含む反応性ガスを第2の不活性キャリアガスとともに前記基板に供給することと、
前記酸化物のガスおよび前記反応性ガスの前記基板への供給時に前記基板を加熱することと、
前記酸化物のガス、前記反応性ガス、前記第1の不活性キャリアガスおよび前記第2の不活性キャリアガスを排気すること、を含む遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成2)
前記遷移金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)およびレニウム(Re)からなる群より選ばれる1である、構成1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成3)
さらに、前記酸化物層を水素化された酸化物層とすることを含む、構成1または2記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成4)
前記水素化は、前記酸化を行う際に水素ガスを添加することによってなされる、構成3記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成5)
酸素を含むガスを供給しながらモリブデンからなるブロックを第1の温度T1で加熱して前記ブロックの表面に酸化モリブデン層を形成することと、
前記酸化モリブデン層から三酸化モリブデン(MoO3)を昇華させ、専用配管を介して、第1の不活性キャリアガスとともに前記MoO3のガスを基板に供給することと、
カルコゲン原子を含む反応性ガスを第2の不活性キャリアガスとともに前記基板に供給することと、
前記MoO3のガスおよび前記反応性ガスの前記基板への供給時に前記基板を第2の温度T2で加熱することと、
前記MoO3のガス、前記反応性ガス、前記第1の不活性キャリアガスおよび前記第2の不活性キャリアガスを排気すること、を含む遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成6)
前記第1の温度T1は、500℃以上1200℃以下である、構成5記載のカルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成7)
前記第2の温度T2は、300℃以上1200℃以下である、構成5または6に記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成8)
前記専用配管は、生成した前記MoO3の原料ガス成分が管内の途中で再堆積することを防止する温度で、少なくとも前記ブロックが配置されている場所から前記基板の直前の領域まで加熱されている、構成5から7の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成9)
前記カルコゲン原子は、硫黄(S)、セレン(Se)およびテルル(Te)からなる群より選ばれる1である、構成1から8の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成10)
前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガス、ネオンガス、ヘリウムガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる1以上である、構成1から9の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成11)
前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガスである、構成1から9の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成12)
前記基板は、アルカリ金属元素を組成として含有することを特徴とする、構成1から11の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成13)
前記アルカリ金属元素は、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)およびカリウム(K)からなる群より選ばれる1以上である、構成12記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成14)
前記基板は、アルカリ・アルミノ・シリケートガラスである、構成1から12の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
(構成15)
酸化物のガスを基板に供給する酸化物ガス供給手段と、反応性ガスを前記基板に供給する反応性ガス供給手段と、前記基板上に遷移金属カルゴゲナイドを層状膜として形成する反応室部と、排気手段とを備え、
前記酸化物ガス供給手段は、酸素を含むガスを流量を制御して供給する手段と、第1の不活性ガスを流量を制御して供給する手段と、ブロック状の遷移金属と、前記遷移金属を加熱する第1の加熱手段と、前記遷移金属から昇華生成される酸化物のガスを前記基板上に供給する専用配管とを備え、
前記反応性ガス供給手段は、カルコゲン原子を含む反応性ガスを流量を制御して供給する手段と、第2の不活性ガスを流量を制御して供給する手段とを備え、
前記反応室部は、試料台と、前記試料台上に載置された前記基板を加熱する第2の加熱手段を備え、かつ前記遷移金属が載置されている場所とは別室になっており、
前記専用配管の管壁には、前記遷移金属の酸化物の昇華温度以上の温度に保たれる熱処理手段が備えられている、遷移金属カルコゲナイド層状膜を形成するための装置。
(構成16)
前記酸化物ガス供給手段は、さらに水素を含むガスを流量を制御して供給する手段を有する、構成15記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜を形成するための装置。
(構成17)
MoO3のガスを基板に供給するMoO3ガス供給手段と、硫黄を含む反応性ガスを前記基板に供給する反応性ガス供給手段と、前記基板上にMoS2を層状膜として形成する反応室部と、排気手段とを備え、
前記MoO3ガス供給手段は、酸素を含むガスを流量を制御して供給する手段と、第1の不活性ガスを流量を制御して供給手段と、モリブデンからなるブロックと、前記ブロックを加熱する第1の加熱手段と、前記ブロックから昇華生成されるMoO3のガスを前記基板上に供給する専用配管とを備え、
前記反応性ガス供給手段は、前記反応性ガスを流量を制御して供給する手段と、第2の不活性ガスを流量を制御して供給手段とを備え、
前記反応室部は、試料台と、前記試料台上に載置された前記基板を加熱する第2の加熱手段を備え、かつ前記ブロックが載置されている場所とは別室になっており、
前記専用配管の管壁には、MoO3の昇華温度以上の温度に保たれる熱処理手段が備えられている、MoS2層状膜を形成するための装置。
(構成18)
前記反応性ガスは、硫黄(S)、硫化水素(H2S)、ジメチル硫黄((CH3)2S)、ジエチル硫黄((C2H5)2S),ジターシャリブチル硫黄([(CH3)3C]2S)、ジイソプロピル硫黄((i-C3H7)2S)からなる群より選ばれる1以上である、構成17記載の装置。
(構成19)
前記第1の加熱手段および第2の加熱手段は、抵抗加熱、誘導加熱およびランプ加熱からなる群より選ばれる1以上の方式による、構成15から18の何れか1記載の装置。
(構成20)
前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガス、ネオンガス、ヘリウムガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる1以上である、構成15から19の何れか1記載の装置。
(構成21)
前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガスである、構成15から19の何れか1記載の装置。
(構成22)
前記専用配管は、石英ガラス、ガラス、ステンレスおよびセラミックスからなる群より選ばれる1からなる、構成15から21の何れか1記載の装置。
(構成23)
前記セラミックスは、アルミナ、SiCからなる群より選ばれる、構成22に記載の装置。
(構成24)
前記専用配管の前記基板近接部にはシャワーヘッドが備えられている、構成15から23の何れか1記載の装置。
(構成25)
前記試料台には回転機構が備えられている、構成15から24の何れか1記載の装置。
第1の実施の形態では、MoS2を例示しながら、遷移金属カルコゲナイド層状膜の成膜装置およびその装置を使った成膜方法について述べる。
本発明の遷移金属カルコゲナイド層状膜形成装置は、図1に示すように、酸化物のガスを基板上に供給する酸化物ガス供給手段6と、反応性ガスを基板上に供給する反応性ガス供給手段7と、基板(試料)上に遷移金属カルゴゲナイドを層状膜として形成する反応室部8と、排気手段9とを具備する。
具体的には、本発明の遷移金属カルコゲナイド層状膜形成装置10の酸化物ガス供給手段は、図2に示すように、酸素を含むガスを流量を制御して供給する手段としての開閉・流量制御装置33、第1の不活性ガスを流量を制御して供給手段としての開閉・流量制御装置34、ブロック状の遷移金属32とそれを載置するためのステージ31を備える酸化物ガス発生室21、および遷移金属から昇華生成される酸化物ガスを基板上に供給する専用配管23を備える。なお、開閉・流量制御装置33と開閉・流量制御装置34は、後述の開閉・流量制御装置40に示すように、1つの開閉・流量制御装置とすることもできる。
第1の加熱手段による温度T1の設定範囲は、500℃以上1200℃以下が好ましい。この温度範囲により、遷移金属酸化物ガスを効率的に高い安定性で生成でき、その結果、均一で欠陥も少ない遷移金属カルコゲナイド層状膜を安定して形成することが可能になる。
専用配管の管壁に遷移金属酸化物が付着すると、試料38への遷移金属酸化物ガスの供給の制御性や安定性が低下する。上記構成にすることによって、この問題を解決することが可能になる。
なお、専用配管23の先端や試料38が置かれている場所の近傍にはシャワーヘッド36が設けられて、遷移金属酸化物のガスが試料38の面内に均一に供給されるようにしておくことが好ましい。
具体的には、本発明の遷移金属カルコゲナイド層状膜形成装置10の反応性ガス供給手段は、図2に示すように、カルコゲン原子を含む反応性ガスを流量を制御して供給する手段および第2の不活性ガスを流量を制御して供給手段としての開閉・流量制御装置40、および開閉・流量制御装置40からその反応性ガスを試料38近傍に供給する配管43を備える。ここで、開閉・流量制御装置40には反応性ガスを供給するポート(配管)41と第2の不活性ガスを供給するポート(配管)42が備えられている。また、図2では開閉・流量制御装置40は1つの装置としているが、反応性ガスを供給する開閉・流量制御装置と第2の不活性ガスを供給する開閉・流量制御装置の2つの開閉・流量制御装置としてもよい。
また、カルコゲン原子含む反応性ガスとしては、硫黄(S)、硫化水素(H2S)、ジメチル硫黄((CH3)2S)、ジエチル硫黄((C2H5)2S),ジターシャリブチル硫黄([(CH3)3C]2S)、ジイソプロピル硫黄((i-C3H7)2S)からなる群より選ばれる1以上を挙げることができる。この中で、SおよびH2Sは、入手が容易で、低コストであるため、好んで用いることができる。
なお、試料台37には回転機構が備えられているのが好ましい。このようにすると、試料38に遷移金属カルコゲナイド層状膜を形成する際、試料38を回転しながら成膜することにより膜形成の面内均一性を向上させることができる。
酸化物ガス発生室21で発生した酸化物ガスの流量やOn/Offを酸化物ガス発生室21より下流側で制御しようとすると、高温下でのOn/Offや流量制御が必要になり、装置コストのアップ、制御の精度低下と不安定化、故障の多発、メンテのしにくさといった問題が発生する。本発明の構成によりこのような問題を回避することが可能になる。
なお、図3は、反応室22に2つの開閉・流量制御装置40、44が繋がれている例を示している。このように複数の開閉・流量制御装置が反応室22に接続されていると、反応性ガスと第2の不活性ガスの導入のみならず、環境制御としての不活性キャリアガスに混じったO2ガスの供給などが行えて、より高度な制御が可能になる。なお、開閉・流量制御装置44には配管45,46および47が接続されている。
(2)遷移金属ブロックを載置する酸化物ガス発生室21には、N2のような不活性ガスと反応性をもつO2の両方を供給可能な構成となっており、バルブ動作により遷移金属ブロック32に接触するガスが切り替えられる。
(3)上記(2)の構成で、各ガスラインにはマスフローコントローラ等の流量制御機器が設置されており、これによりN2およびO2ガスの流量や濃度の制御が可能になっている。しかも、この流量制御は常温下で行えるので、安定性、制御性、メンテ性が高く、コストを抑えられて故障発生頻度も少ない。
(4)遷移金属ブロックを載置する酸化物ガス発生室21は試料38が置かれている領域とは独立になっており、発生した酸化物ガスを試料38が置かれている領域に導くことができる構成となっている。
(5)試料38が置かれている領域に導かれた酸化物ガスは、シャワーヘッド方式などガス吹き出し部の形状加工により、試料38が置かれている場所でのガス濃度の均一化が図れる構造になっている。
(6)S原料等の反応性ガスが、(5)のようにして試料38が置かれている場所に導かれた酸化物ガスと試料38の近傍で混合されて反応する構成となっている。
本発明の方法を、フローチャート図である図5および5を参照しながら説明する。
本発明の方法では、遷移金属のブロックを酸化させて前記遷移金属の表面に前記遷移金属の酸化物層を形成すること(図5、工程S1)と、酸化物層から酸化物を昇華させ、専用配管を介して、第1の不活性キャリアガスとともに酸化物のガスを基板(試料)に供給すること(工程S2)と、カルコゲン原子を含む反応性ガスを第2の不活性キャリアガスとともに前記基板に供給すること(工程S3)と、前記酸化物のガスおよび前記反応性ガスの前記基板への供給時に前記基板を加熱して基板上に遷移金属カルコゲン層状膜を形成すること(工程S4)と、工程S4時を含めて酸化物のガス、反応性ガス、第1の不活性キャリアガスおよび第2の不活性キャリアガスを排気すること(工程S5)を行う。ここで、工程S2と工程S3は同時に行ってもよいし、工程S3が工程S2に先行して行われてもよい。
また、第2の温度T2は、300℃以上1200℃以下が好ましい。この温度範囲により、効率的に均一で欠陥も少ない遷移金属カルコゲナイド層状膜を安定して形成することが可能になる。
第2の不活性ガスのsccm流量S02に対するH2Sのsccm流量S2の比S2/S02は、0.01体積%以上100体積%以下が好ましい。
以上の条件により、遷移金属カルコゲナイド層状膜を安定して形成することが可能になる。
ここで、アルカリ金属元素としては、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)およびカリウム(K)からなる群より選ばれる1以上を挙げることができる。アルカリ金属を含む基板上にMoS2などのTMDCのCVDを行うと、アルカリ金属による触媒効果によって堆積速度が向上して成膜の生産効率が上がるとともに、単結晶ドメインのサイズも増大して成膜品質の改善にも寄与する。
この基板の具体例としては、アルカリ・アルミノ・シリケートガラスを挙げることができる。アルカリ・アルミノ・シリケートガラスは、スマートフォンなどの強化カバーガラス用に表面でのイオン交換反応を促進するために開発された素材であり、SiO2やAl2O3のほか、重量比で20%前後のNa2O成分を含んでいる。
本発明の重要な点は、独立して設けた酸化物ガス発生室21内に金属モリブデン(Mo)を置き、そこに酸素(O2)を含むガスを供給することによって、Moの原料ガスとなる酸化モリブデン(三酸化モリブデン(MoO3)が主)を発生させ、このMo原料ガスを試料(基板)38が置かれた成膜領域に導いて利用する点にある。
一般に、遷移金属元素であるMoは高融点金属に分類され、融点は約2600℃以上と非常に高く、金属原料自体を蒸発させるには極めて高い温度が必要である。
一方で、Moを酸化して得られる6価酸化物のMoO3は比較的蒸気圧が高く、500℃以上で急速に昇華が進行する。本発明では、金属Mo表面に希薄なO2ガスを供給した際に同時進行するMoO3の生成反応と昇華を積極的に利用している。
図7に、加熱された環境下でMo金属1にO2ガスを供給した際に考えられる酸化スケール形成と昇華の描像を示す。供給されたO2(4)はMo表面に吸着後、Moと反応して酸化スケール(2や3)が形成されるが、有限な厚さの酸化スケールが形成された後は、O2はMo金属と酸化スケールの界面まで拡散し、そこで新たな酸化スケールが形成されることになる。そして、MoO3がガスとなって昇華していく。ここで、図7(a)は後程説明するように、希薄なO2ガスが供給される場合を示し、図7(b)は十分なO2ガスが供給される場合を示す。
形成される酸化スケールの化学組成に関しては、充分なO2分圧下であれば表面層の大部分は蒸気圧(昇華性)の高いMoO3(3)であるが、Mo金属との界面付近には昇華性が低くごく薄い厚さをもつMoO2が存在する。また、MoO3からMoO2への遷移領域にMoOx(2<x<3)のようなサブオキサイドも存在する。図7では、MoO2およびサブオキサイドを2として表示している。
図7(a)は酸化スケールの形成速度よりも昇華速度が圧倒的に大きい、「酸化スケール形成速度<<昇華速度」の場合である。このような状況は、O2供給量が少ない、あるいは温度が高く昇華が極めて活発に起こるような場合に実現される。理想的な極限状況下では、形成された酸化スケールのうちMoO3成分は直ちにMoO3(5)となって昇華して表面には滞留せず、定常的に揮発性が低いMoOxやMoO2の薄膜が露出しているような描像となる。この場合、MoS2のCVDに重要な単位時間当たりのMoO3昇華量は、O2の供給流量で律速されると考えられる。そのため、O2の供給量を一定に保てばMoS2の成長速度は一定となり、MoS2の堆積量(成長時間内の積分量)は時間に比例する。
このような状況では、Mo金属の表面がMoO3(3)で常に覆われており、かつMoO3(3)の厚み(すなわち体積)が時間とともに増加する。このような状況でMoS2のCVDを行うと、O2ガスの供給量を一定にしたとしても、MoO3の昇華量は時間に対して一定にはならず、MoO3の厚みとともに時間に比例して増加すると考えられる。そのため、CVDにおけるMoS2の成長速度も時間に対して線形に増加し、積分量である総堆積量は時間に対して2次関数的に増えると予想される。また、このような状況下では、バルブ操作でO2供給を停止してもMo(1)表面に蓄積したMoO3(3)が昇華して無くなるまでは発生が続くことになるから、MoS2の成長を停止する場合、応答が悪くなる。
以上のように、金属Mo表面の酸化スケール形成とMoO3の昇華を使ったMoS2のCVDでは2つの状態が起こりうる。どちらの状況下でもMoS2の成膜は実現できるが、制御性や応答性の観点からは図7(a)の状況を達成するのが好ましい。
以上のことから、実施の形態1により、MoS2などの遷移金属ダイカルコゲナイド層状膜の成膜の安定性、制御性が高く、成膜面積の大面積化が図れ、かつコストの面でも優れる成膜方法を提供することが可能になる。
フォイル法との差異は、金属箔である必要が無くブロック状としたことによりMoなどの金属原料の形状や大きさを試料のサイズや枚数に依存せず選択できる自由度が得られること、金属フォイルを基板に対向させる必要が無く、酸化物ガス発生室で発生する金属酸化物ガスを配管やノズル、シャワーヘッド等で試料が置かれている反応室に導く自由度が高く、その結果成膜均一性を高めやすい構造であること、および使用する金属が変質せず繰り返し使用できることである。
複合法との差異は、MoO3などの金属酸化物は金属とO2の反応でその場で生成されるため金属酸化物の枯渇を回避できること、金属酸化物の昇華量(特に、低い過飽和度の実現)がO2流量で広範囲に制御可能でかつ成膜中に自由に変化できること、および金属酸化物の原料部でSなどのカルコゲン元素との直接反応が起こらず制御性が高まることである。
第2の実施の形態では、水素ガス添加により成膜効率を高めた遷移金属カルコゲナイド層状膜の成膜装置およびその装置を使った成膜方法について述べる。
例えば、W金属ブロックに酸素ガスと水素ガスを供給して第1の加熱処理を行ってW金属ブロックの表面にH2WO4を生成させ、その物質を昇華させる。この場合、昇華温度が下がり(WO3と比べて相対的に蒸気圧が高くなる)、700℃という温度でWS2層状膜を形成することが可能になる。
実施例1では、MoS2の成膜装置を作製し、その装置を用いて基板上にMoS2を形成してその膜を評価した。
実施例1で試作した装置13の要部構成を図8に示す。ここで、図8(a)は全体概要で、図8(b)に示す石英管部14は、石英管71内の主要部の構成を寸法を併記しながら示したものである。
装置13は、土台となる基体72の上に支持具73を介して石英管71が配置され、さらに、石英管71内に配置されたMoS2層状膜形成室部(反応室部)79とMo反応室(MoO3ガス発生室)81を含んだ領域を覆うように電気炉74が配置された構成になっている。また、石英管71内には石英で作られたAライン76とBライン77用の配管チューブが設置されており、石英管71にはCライン78用のチューブが取り付けられていて、Cライン用のガスは石英管71内に供給されるようになっている。
なお、石英管71の末端部には排気系が繋がれていて、排気80されるようになっている。ここで、排気設備としては空冷式の小型ドライポンプを用いた。また、ポンプの下流にはH2Sの乾式吸着を行うための除害装置を設置した。
装置13では、希釈O2ガスの供給ライン(A-2ライン)に設置した手動バルブ62aおよびエアバルブ64aの開閉動作により、Aライン76に繋がれているMo反応室81内でのMoO3ガスの発生と停止が行える。また、N2専用のA-1ラインおよび希釈O2ライン(A-2)には、それぞれマスフローコントローラ(MFC)53aおよび63aが設置されており、この2つのMFCの流量比により、Mo反応室内の実効的なO2濃度を精密に変えられる構成になっている。なお、A-1ラインおよびA-2ラインにはそれぞれ排気57aに繋がるエアバルブ56aおよび66aが配置されていて、排気動作により配管内の清浄度が十分保たれるようになっている。また、A-1ラインにはN2ラインガスを接続し、A-2ラインにはN2を用いて1%に希釈されたO2ガスのボンベを接続している。なお、装置13には、手動バルブ85が備えられていて手動バルブ85を開くことにより石英管71の排気80を行うことができるようになっている。また、装置13には、圧力表示器84が備えられていて石英管71内の圧力をモニターできるようになっている。
Bラインのガス供給系はAラインのガス供給系と同様の構成とした。そこでは、手動バルブ52b、MFC53b、エアバルブ54bを介して1%に希釈したH2Sガスのボンベから供給される反応性ガスがB-1ラインに供給され、手動バルブ62b、MFC63b、エアバルブ64bを介してラインのN2ガスがB-2ラインに供給される構成になっている。また、配管内のガス純度を高めるために、B-1ライン側にエアバルブ56bを、B-2ライン側にエアバルブ64bを配置して、両エアバルブの先から排気をとれる構成とした。
(1)金属Moを載置する反応室が、S原料ガスなど他の反応性ガスが意図せず侵入して反応しないように分離されていること。
(2)金属Moを載置する反応室には、N2のような不活性ガスと反応性をもつO2の両方を供給可能な構成となっており、バルブ動作によりMo金属に接触するガスを切り替えられること。
(3)上記(2)の構成で、各ガスラインにはマスフローコントローラ等の流量制御機器が設置されており、これによりN2およびO2ガスの流量や濃度の制御が可能なこと。
(4)金属Moを載置する反応室は基板領域と独立になっており、発生したMoO3ガスを基板領域に導くことができる構成となっていること。
(5)基板領域に導かれたMoO3ガスは、シャワーヘッド方式などガス吹き出し部の形状加工により、基板部でのガス濃度の均一化が図れる構造になっていること。
(6)S原料の原料ガスが、(5)のようにして基板部に導かれたMoO3と基板部領域で混合されて反応する構成となっていること。
酸化物ガス(MoO3ガス)発生室(Mo反応室)81内に設置する金属Moとして、純度99.97%の高純度のブロック(Pansee社製)を準備し、それを20mm×6mm×2mmの短冊状に切断した。そして、有機溶剤と純水でクリーニングした後、酸化物ガス発生室81にチャージした。
O2ガスとH2Sはどちらも高純度N2で1%に希釈されたボンベを用意した。代表的な成膜条件は下記のとおりである。
・石英反応室71内圧:20Torr
・成膜温度:700℃または750℃
・Aライン流量:100sccm(1%O2/N220sccm+N280sccm、またはN2100sccm)
・Bライン流量:50sccm(1%H2S/N210sccm+N240sccm、またはN250sccm)
・Cライン流量:250sccm(N2)
・成膜時間:3分以上15分以下
・基板:アルカリ・アルミノ・シリケートガラス(20mm×20mm×0.55mm)
その後、石英管内を真空度約2Pa付近まで充分に真空引きしたのち、Aライン76からCライン78の各ラインに所定流量のN2ガスのみを流しながら、リアクタ内圧力が20Torrになるように排気側のニードルバルブを調整した。このN2フローの状態から、25℃/minの昇温速度で成膜温度700℃まで昇温し、700℃に到達後5分間安定化させた。
その後、切り替えバルブでBライン77にH2S混合ガスを流し、30秒待ってから切り替えバルブでAライン76にO2混合ガスを流して、酸化物ガス発生室で酸化モリブデンスケールの生成と昇華を開始した。
そして、Aライン76にO2を流し始めた時間を成膜開始時間と定義し、所定の成膜時間の経過後に切り替えバルブでO2をN2に切り替えることでMoO3の発生を停止し、成膜を終了した。
その後、Bライン77のH2Sは流したまま電気炉74を自然冷却し、室温付近になったのちに試料を取り出した。
図10から図13に、700℃、20Torrで成膜時間を3分、5分、10分、15分と変えて成膜したMoS2の光学顕微鏡写真を示す。ここで、各図の(a)、(b)および(c)はそれぞれ上流、中央、下流の場所(図8(b)の79で示された領域の左、中央および右側の場所)でのそれを示す。
本発明の方法により、光学顕微鏡で認識できるサイズをもったMoS2の三角形ドメインが形成できていることがわかるが、この事実はこの分野では画期的であり、従来法に比べて高い品質のTMDCになっている。
また、成膜時間の増加とともに三角形ドメインのサイズは数μm(成膜時間3分)から数十μm(成膜時間10分、15分)へと増大し、最終的には合体して連続膜が形成されていた。ここで、連続膜の例として、700℃、20Torrで成膜時間を15分として形成したときの膜で、上記図の(c)より更なる下流での光学顕微鏡写真を図14に示す。
なお、Mo金属原料を交換することなく、かつ再現性よく実現できることも確認している。
また、図16(b)は、同じ測定部から得られた室温でのフォトルミネッセンス(PL)・スペクトルの測定結果である。この図から、666nm付近に非常に強い発光が観測され、このMoS2が直接遷移型バンド構造を持つ単層膜であることが示唆された。
図18(a)と(b)は、各々15分成長したサンプルの連続膜の部分(図17参照)で測定したラマンとPLスペクトルである。この場合にも、得られた膜が極めて結晶性の良好なMoS2単層膜であることが示されている。
以上のように、本発明が結晶性の良好なMoS2の単層膜の成膜方法として有用なことが実験的に示された。
実施例2では、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)方式の成膜装置を用いて、MoS2成膜の基板依存性を調べた。
ここで、MoO2Cl2は室温では固体であるが、加熱による昇華でガスを発生させることができる。実施例2では、その封入容器を約20℃の恒温槽で保温して蒸気を発生させ、N2ガスをキャリアとして原料ガスの輸送を行った。
したがって、実施例2は、MOCVD装置を用いているが、厳密にはMOCVD成膜ではない。繰り返しになるが、実施例1と同様のカーボンレス(有機レス)成膜である。
・成長温度:700℃
・圧力:50Torr
・成長時間:1時間
・リアクタ内総流量:N2ガス 2.5slm
・MoO2Cl2供給条件:N2ガス 75sccm、充填容器18.0℃、内圧760Torrで制御
・10%H2S流量:10sccm
ここで、AはDragontrailTM(DT)(AGC製)、BはDragontrail ProTM(AGC製)、CはDinorexTM(NEG製)、DはGorilla-3TM(Corning製)、そしてEはEagle-XGTM(Corning製)である。A~Dがアルカリ・アルミノ・シリケート・ガラスであり、Eは無アルカリのアルミノ・シリケート・ガラスである。
図19から、ガラスの種類により、MoS2のドメインサイズや密度が大きく異なることがわかる。特に、Eの無アルカリガラスではMoS2の成膜が見られなかったことから、ガラス中のNaやKなどアルカリ金属元素の触媒効果が働いていると推察される。
最も大きな単結晶ドメインが得られたのは、AやBのガラスを用いたときであった。この再現性は極めて高かった。
その一例として、AのDragontrailTM(DT)(AGC製)ガラス上にMOCVD方式の装置でWS2を成膜した結果(電子顕微鏡写真、ラマンスペクトル、PLスペクトル)を図20に示す。WS2の場合にも、AのDragontrailTM(DT)(AGC製)ガラス上に大きな単結晶ドメインが形成され、ラマンとPLのスペクトルは結晶性が良好であることを示している。ここで、WOCl4を用いる場合には、その封入容器を40~45℃の恒温槽で保温して蒸気を発生させ、N2ガスをキャリアとして、原料ガスの輸送を行った。
・成長温度:700℃
・圧力:50Torr
・成長時間:1時間
・リアクタ内総流量:N2ガス 2.5slm
・WOCl4供給条件:N2ガス 250sccm、充填容器45.0℃、内圧760Torrで制御
・10%H2S流量:5sccm
実施例3では、実施例2において少量の酸素ガス(O2ガス)を添加したときの効果を実施例2で述べた装置を用いて調べた。
・成長温度:700℃
・圧力:50Torr
・成長時間:1時間
・リアクタ内総流量:N2ガス 2.5slm
・MoO2Cl2供給条件:N2ガス 75sccm、充填容器18.0℃、内圧760Torrで制御
・10%H2S流量:10sccm
・0.1%O2流量:100sccm
したがって、0.1%O2の添加以外は実施例2と同じ条件である。ここで、0.1%のO2とは、N2ガスに対する体積比で0.1%のO2ガスのことである。
基板としては実施例2に示したA~Dの4種類のアルカリ・アルミノ・シリケートガラスを用いて評価した。
基板としてガラスAを用いた場合、単結晶ドメインは、約10μmと他のガラス基板を用いた場合より圧倒的に大きい。ガラス基板Bより数倍は大きく、ガラス基板C、Dとは桁違いの大きさである。
O2の添加効果は、実施例2との比較でわかるが、単結晶ドメインに有意の差があるのはガラス基板Aを用いた場合のみで、他のガラス基板を用いた場合はO2添加に対して優位の差は認められなかった。
ガラス基板Aは、特異に単結晶のMoS2成膜に効果のある基板であった。
第1の実施の形態および実施例1では、成膜時に自動的にO2が添加される。実施例1でも、ガラス基板Aを用いたときは、大きな単結晶ドメインのMoS2成膜に効果が認められた。
したがって、本発明は上記素子、デバイスを中心に革新的に産業に寄与するものと考えられる。
2:酸化スケール(MoOx層(2≦x<3)
3:酸化スケール(MoO3層)
4:O2
5:MoO3
6:酸化物ガス供給手段
7:反応性ガス供給手段
8:反応室部
9:排気手段
10:成膜装置
11:成膜装置
12:ガス供給系
13:装置
14:石英管部
21:酸化物ガス発生室
22:反応室
23:専用配管
25:ヒーター
31:ステージ(ヒーター付きステージ)
32:遷移金属ブロック
33:開閉・流量制御装置
34:開閉・流量制御装置
35:排気配管
36:ノズル
37:試料台(ヒーター付き試料台)
38:試料
40:開閉・流量制御装置
41:配管(ポート)
42:配管(ポート)
43:配管
44:開閉・流量制御装置
45:配管(ポート)
46:配管(ポート)
47:配管
51:配管
52、52a、52b、52c:バルブ(手動バルブ)
53、53a、53b、53c:マスフローコントローラ
54、54a、54b、54c:バルブ(エアバルブ)
55:配管
56、56a、56b:バルブ(エアバルブ)
57:排気配管
61:配管
62、62a、62b、62c:バルブ(手動バルブ)
63、63a、63b、63c:マスフローコントローラ
64、64a、64b、64c:バルブ(エアバルブ)
66、66a、66b:バルブ(エアバルブ)
71:石英管
72:基体(土台)
73:支持具
74:電気炉
75:試料台(基板用サセプタ)
76:Aライン
77:Bライン
78:Cライン
79:MoS2層状膜形成室部(反応室部)
80:排気
81:Mo反応室(MoO3ガス発生室)
82:上部ノズル
83:下部ノズル
84:圧力表示器
85:手動バルブ
Claims (25)
- 遷移金属のブロックを酸化させて前記遷移金属の表面に前記遷移金属の酸化物層を形成することと、
前記遷移金属の酸化物層の形成と同時に前記酸化物層から前記酸化物を昇華させ、専用配管を介して、第1の不活性キャリアガスとともに前記酸化物のガスを基板に供給することと、
カルコゲン原子を含む反応性ガスを第2の不活性キャリアガスとともに前記基板に供給することと、
前記酸化物のガスおよび前記反応性ガスの前記基板への供給時に前記基板を加熱することと、
前記酸化物のガス、前記反応性ガス、前記第1の不活性キャリアガスおよび前記第2の不活性キャリアガスを排気すること、を含む遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。 - 前記遷移金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)およびレニウム(Re)からなる群より選ばれる1である、請求項1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- さらに、前記酸化物層を水素化された酸化物層とすることを含む、請求項1または2記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記水素化は、前記酸化を行う際に水素ガスを添加することによってなされる、請求項3記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 酸素を含むガスを供給しながらモリブデンからなるブロックを第1の温度T1で加熱して前記ブロックの表面に酸化モリブデン層を形成することと、
前記酸化モリブデン層の形成と同時に前記酸化モリブデン層から三酸化モリブデン(MoO3)を昇華させ、専用配管を介して、第1の不活性キャリアガスとともに前記MoO3のガスを基板に供給することと、
カルコゲン原子を含む反応性ガスを第2の不活性キャリアガスとともに前記基板に供給することと、
前記MoO3のガスおよび前記反応性ガスの前記基板への供給時に前記基板を第2の温度T2で加熱することと、
前記MoO3のガス、前記反応性ガス、前記第1の不活性キャリアガスおよび前記第2の不活性キャリアガスを排気すること、を含む遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。 - 前記第1の温度T1は、500℃以上1200℃以下である、請求項5記載のカルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記第2の温度T2は、300℃以上1200℃以下である、請求項5または6に記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記専用配管は、生成した前記MoO3の原料ガス成分が管内の途中で再堆積することを防止する温度で、少なくとも前記ブロックが配置されている場所から前記基板の直前の領域まで加熱されている、請求項5から7の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記カルコゲン原子は、硫黄(S)、セレン(Se)およびテルル(Te)からなる群より選ばれる1である、請求項1から8の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガス、ネオンガス、ヘリウムガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる1以上である、請求項1から9の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガスである、請求項1から9の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記基板は、アルカリ金属元素を組成として含有することを特徴とする、請求項1から11の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記アルカリ金属元素は、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)およびカリウム(K)からなる群より選ばれる1以上である、請求項12記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 前記基板は、アルカリ・アルミノ・シリケートガラスである、請求項1から12の何れか1記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜の形成方法。
- 酸化物のガスを基板に供給する酸化物ガス供給手段と、反応性ガスを前記基板に供給する反応性ガス供給手段と、前記基板上に遷移金属カルゴゲナイドを層状膜として形成する反応室部と、排気手段とを備え、
前記酸化物ガス供給手段は、ブロック状の遷移金属と、前記遷移金属を加熱する第1の加熱手段と、加熱した前記ブロック状の遷移金属に酸素を含むガスを流量を制御して供給する手段と、第1の不活性ガスを流量を制御して供給する手段と、前記遷移金属から昇華生成される酸化物のガスを前記基板上に供給する専用配管とを備え、
前記反応性ガス供給手段は、カルコゲン原子を含む反応性ガスを流量を制御して供給する手段と、第2の不活性ガスを流量を制御して供給する手段とを備え、
前記反応室部は、試料台と、前記試料台上に載置された前記基板を加熱する第2の加熱手段を備え、かつ前記遷移金属が載置されている場所とは別室になっており、
前記専用配管の管壁には、前記遷移金属の酸化物の昇華温度以上の温度に保たれる熱処理手段が備えられている、遷移金属カルコゲナイド層状膜を形成するための装置。 - 前記酸化物ガス供給手段は、さらに水素を含むガスを流量を制御して供給する手段を有する、請求項15記載の遷移金属カルコゲナイド層状膜を形成するための装置。
- MoO3のガスを基板に供給するMoO3ガス供給手段と、硫黄を含む反応性ガスを前記基板に供給する反応性ガス供給手段と、前記基板上にMoS2を層状膜として形成する反応室部と、排気手段とを備え、
前記MoO3ガス供給手段は、モリブデンからなるブロックと、前記ブロックを加熱する第1の加熱手段と、加熱した前記モリブデンからなるブロックに酸素を含むガスを流量を制御して供給する手段と、第1の不活性ガスを流量を制御して供給手段と、前記ブロックから昇華生成されるMoO3のガスを前記基板上に供給する専用配管とを備え、
前記反応性ガス供給手段は、前記反応性ガスを流量を制御して供給する手段と、第2の不活性ガスを流量を制御して供給手段とを備え、
前記反応室部は、試料台と、前記試料台上に載置された前記基板を加熱する第2の加熱手段を備え、かつ前記ブロックが載置されている場所とは別室になっており、
前記専用配管の管壁には、MoO3の昇華温度以上の温度に保たれる熱処理手段が備えられている、MoS2層状膜を形成するための装置。 - 前記反応性ガスは、硫黄(S)、硫化水素(H2S)、ジメチル硫黄((CH3)2S)、ジエチル硫黄((C2H5)2S),ジターシャリブチル硫黄([(CH3)3C]2S)、ジイソプロピル硫黄((i-C3H7)2S)からなる群より選ばれる1以上である、請求項17記載の装置。
- 前記第1の加熱手段および第2の加熱手段は、抵抗加熱、誘導加熱およびランプ加熱からなる群より選ばれる1以上の方式による、請求項15から18の何れか1記載の装置。
- 前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガス、ネオンガス、ヘリウムガスおよびキセノンガスからなる群より選ばれる1以上である、請求項15から19の何れか1記載の装置。
- 前記第1の不活性ガスおよび前記第2の不活性ガスは、窒素ガスである、請求項15から19の何れか1記載の装置。
- 前記専用配管は、石英ガラス、ガラス、ステンレスおよびセラミックスからなる群より選ばれる1からなる、請求項15から21の何れか1記載の装置。
- 前記セラミックスは、アルミナ、SiCからなる群より選ばれる、請求項22に記載の装置。
- 前記専用配管の前記基板近接部にはシャワーヘッドが備えられている、請求項15から23の何れか1記載の装置。
- 前記試料台には回転機構が備えられている、請求項15から24の何れか1記載の装置。
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