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JP7657690B2 - 培養方法及び培養装置 - Google Patents
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JP7657690B2 - 培養方法及び培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、培養方法及び培養装置に関する。
例えば、特許文献1に記載されるように、独立栄養と従属栄養との何れの栄養形式によっても生命活動を営むことが可能な微細藻を培養する培養方法が知られている。この培養方法では、先ず、微細藻に光合成を行わせる光独立栄養での培養により培養槽内の微細藻の密度を十分に高める。その後、微細藻内に有機物を供給して従属栄養で微細藻を培養する。この従属栄養の培養では、培養槽内に混入(コンタミネーション)した細菌等の培養対象外の生物ではなく、培養対象である微細藻によって有機物の大部分が消費される。このため、微細藻の生産量の向上が図られる。
特開2013-85534号公報
ところで、例えば、屋外に設置された培養槽を用いて微細藻を培養するような場合、培養者の意図によらず、微細藻の培養環境が変化することがある。このように変化する培養環境下において、光独立栄養での培養後に従属栄養での培養を行うのみでは、光独立栄養での培養及び従属栄養での培養を、各々に適した条件で行うことが困難である。このため、微細藻の生産量を十分に向上させることができない懸念がある。
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
本発明の一態様は、変化する培養環境下で微細藻を培養する培養方法であって、前記培養環境に合わせて、前記微細藻の栄養形式を設定する設定工程と、前記設定工程で設定した前記栄養形式で前記微細藻を培養する培養工程と、を有し、前記設定工程で光独立栄養を設定した場合、前記培養工程では、前記微細藻に二酸化炭素を含むガスと、光と、を供給し、前記設定工程で従属栄養を設定した場合、前記培養工程では、前記微細藻に有機物を供給する。
本発明の別の一態様は、変化する培養環境下で微細藻を培養する培養装置であって、前記微細藻及び培養液を収容する培養槽と、前記培養環境に合わせて、前記微細藻の栄養形式を設定する設定部と、前記設定部が光独立栄養を設定した場合、前記培養槽に二酸化炭素を含むガスを供給するガス供給部と、前記設定部が従属栄養を設定した場合、前記培養槽に有機物を供給する有機物供給部と、を備える。
この培養方法及び培養装置では、培養環境に合わせて微細藻の栄養形式を設定することができる。このため、例えば、培養環境が光独立栄養での培養に適した条件にあるとき、光独立栄養により微細藻を培養することができる。また、培養環境が従属栄養での培養に適した条件にあるとき、従属栄養により微細藻を培養することができる。このように、培養環境に合わせた栄養形式で微細藻を培養することにより、微細藻の生産量を良好に向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る培養装置の概略説明図である。 図2は、光独立栄養及び従属栄養の各々について、日射量と、微細藻の生産量との関係を示すグラフである。 図3は、本発明の実施形態に係る培養方法の一例を説明するフローチャートである。 図4Aは、培養槽へのガス供給を停止してからの経過時間と、培養液中の溶存無機炭素量との関係を示すグラフである。図4Bは、培養槽への有機物供給を停止してからの経過時間と、培養液中の有機物量との関係を示すグラフである。 図5は、変形例に係る培養方法を説明するフローチャートである。
図1に示す本実施形態に係る培養装置10は、培養液及び微細藻を収容可能な培養槽12を備えている。培養装置10では、培養槽12に収容した培養液中で、微細藻を培養する。培養液は、水と、微細藻の培養に必要な栄養分(例えば、窒素、リン、カリウム等)とを含むことが好ましい。
培養装置10により培養する微細藻は、光独立栄養と従属栄養との何れの栄養形式によっても生命活動を営むことが可能である。光独立栄養は、エネルギー源として光を利用し、炭素源として二酸化炭素を利用することにより(光合成を行うことにより)、自力で有機物を合成して増殖、生育する栄養の摂取法をいう。従属栄養は、外部から取り入れた有機物を炭素源として増殖、生育する栄養の摂取法をいう。
なお、例えば、培養した微細藻を用いてエタノール等のバイオ燃料を製造する場合には、培養装置10により、緑藻綱(例えば、クラミドモナス、クロレラ)、プラシノ藻綱、クリプト藻綱、藍藻綱(例えば、スピルリナ)に分類される微細藻類を培養することが好ましい。しかしながら、培養装置10で培養可能な微細藻は、上記の微細藻類には限定されない。
培養槽12は、微細藻及び培養液を収容可能であればよい。このため、培養槽12の形状、材質、形態は、特に制限されない。培養槽12は、例えば、オープンポンド方式であってもよいし、フォトバイオリアクターであってもよい。培養槽12がフォトバイオリアクターである場合、培養槽12の材料としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のような可撓性及び透光性を有する材料から形成されてもよい。なお、ここでの透光性とは、微細藻の成長に必要な波長の光を透過可能であることをいう。
培養槽12は、微細藻の成長に必要な波長(例えば、340~700nm)の光として、例えば、太陽光を受光可能な屋外に設置される。なお、培養槽12は、太陽光を受光可能な室内に設置されてもよい。
培養槽12には、該培養槽12に収容される培養液の溶存無機炭素量を検出することが可能な不図示の溶存無機炭素量検出部が設けられていてもよい。また、培養槽12には、該培養槽12に収容される培養液に含まれる有機物量を検出することが可能な不図示の槽内有機物量検出部が設けられていてもよい。
培養装置10は、培養槽12の他に、制御部14と、ガス供給部16と、有機物供給部18と、分配部20と、を備えている。制御部14は、例えば、不図示のCPU等を備えるマイクロコンピュータとして構成され、制御プログラムに従って所定の演算を実行することで、培養装置10に関する種々の処理や制御を行う。制御部14は、設定部22と、予測値取得部24とを有している。
設定部22は、培養環境に合わせて、微細藻の栄養形式を設定する。本実施形態では、設定部22は、例えば、培養環境として、微細藻に照射される日射量(以下、単に日射量ともいう)に合わせて栄養形式を設定する。この場合、設定部22は、日射量と日射基準値Pとを比較して、日射量が日射基準値Pを超えるとき、光独立栄養を設定する。また、設定部22は、日射量が日射基準値P以下であるとき、従属栄養を設定する。
図2に示すように、光独立栄養で微細藻を培養する場合、日射量が多くなるほど、培養による微細藻の生産量(以下、単位生産量ともいう)が多くなる。換言すると、光独立栄養では、日射量が少なくなると生産量も少なくなる。一方、従属栄養で微細藻を培養する場合の生産量は、日射量の増減に関わらず一定である。このため、図2から、日射量が日射基準値Pを超えるとき、光独立栄養による生産量が従属栄養による生産量を超える。換言すると、日射量が日射基準値P以下であるとき、光独立栄養による生産量が従属栄養による生産量以下となる。つまり、日射基準値Pは、光独立栄養による生産量が、従属栄養による生産量以下になるときの日射量である。
本実施形態では、図1の設定部22は、予測値取得部24により取得された日射量予測値と、日射基準値Pとを比較して栄養形式を設定する。予測値取得部24は、例えば、外部から培養時の天気、培養時の時刻、培養時の季節のような日射量に関する情報を得る。予測値取得部24は、外部から得た上記の日射量に関する情報に基づいて、培養時の日射量を予測する。これにより、予測値取得部24は、日射量予測値を取得する。なお、予測値取得部24は、培養時の日射量を予測して日射量予測値を取得することに代えて、予め予測された日射量予測値を外部から取得してもよい。
具体的には、予測値取得部24は、例えば、培養開始時刻から48時間後までの期間を1時間ごとに区分した48個の時間T1~T48の各々について、日射量予測値D1~D48を得る。設定部22は、日射量予測値D1~D48の各々と日射基準値Pとを比較して、時間T1~T48の各々の栄養形式を設定する。これにより、設定部22は、培養開始時刻から48時間後までの栄養形式を1時間ごとに設定した培養計画を作成する。
なお、培養計画は、培養開始時刻から48時間後までの栄養形式を一時間ごとに設定したものには限定されない。設定部22は、例えば、培養する微細藻の種類、気象条件を含む培養条件等に応じた適切な期間を、適切な長さごとに区分して、各区分の栄養形式を設定することにより培養計画を作成することができる。
図1に示すように、ガス供給部16は、設定部22が光独立栄養を設定した場合に、分配部20を介して培養槽12に二酸化炭素ガスを含むガスを供給する。なお、ガスは、二酸化炭素ガスのみであってもよいし、例えば空気のように二酸化炭素ガスと他のガスとを含んでいてもよい。本実施形態では、ガス供給部16は、工場から排出される排ガスをガスとして培養槽12に供給する。
有機物供給部18は、設定部22が従属栄養を設定した場合に、分配部20を介して培養槽12に有機物を供給する。ここでの有機物は、微細藻が該有機物を摂取して従属栄養を行うことが可能な物質である。本実施形態では、有機物供給部18は、排水設備から排出される排水に含まれる有機物を培養槽12に供給する。この場合、有機物供給部18は、排水設備から排出される排水に対して、有機物を濃縮する処理を行った上で、当該有機物を培養槽12に供給してもよい。また、有機物供給部18は、排水設備から排出される排水を培養槽12に直接供給してもよい。
分配部20は、ガス供給部16から供給されるガスと、有機物供給部18から供給される有機物との各々が培養槽12に供給される量を、制御部14の制御に基づき調整する。本実施形態では、分配部20は、ガス流路26を開閉するガス開閉弁28と、有機物流路30を開閉する有機物開閉弁32とを有する。ガス流路26は、ガス供給部16から培養槽12にガスを供給するための流路である。有機物流路30は、有機物供給部18から培養槽12に有機物を供給するための流路である。
ガス流路26には、排ガス中の二酸化炭素ガス濃度を検出することが可能な二酸化炭素ガス検出部34が設けられることが好ましい。また、有機物流路30には、排水中の有機物の量を検出することが可能な流路内有機物量検出部36が設けられることが好ましい。
ガス開閉弁28は、設定部22が光独立栄養を設定したときに開状態となる。また、ガス開閉弁28は、設定部22が従属栄養を設定したとき閉状態となる。なお、ガス開閉弁28は、ガス流路26の開度を調整可能に構成されてもよい。
有機物開閉弁32は、設定部22が光独立栄養を設定したときに閉状態となる。また、有機物開閉弁32は、設定部22が従属栄養を設定したときに開状態となる。なお、有機物開閉弁32は、有機物流路30の開度を調整可能に構成されてもよい。
制御部14は、設定部22により設定された栄養形式に基づいて、分配部20のガス開閉弁28及び有機物開閉弁32の開閉を制御する。これにより、培養槽12にガスを供給するか否かを設定することができる。また、培養槽12に有機物を供給するか否かを設定することができる。設定部22は、基本的には、光独立栄養及び従属栄養の何れか一方を選択して設定する。つまり、培養装置10では、基本的には、ガス及び有機物の何れか一方を選択的に培養槽12に供給する。しかしながら、設定部22は、光独立栄養及び従属栄養の両方を設定する場合があってもよい。つまり、培養装置10では、ガス及び有機物の両方を培養槽12に供給するタイミングが生じてもよい。また、設定部22は、光独立栄養及び従属栄養の何れも設定しない場合があってもよい。つまり、培養装置10では、ガス及び有機物の両方を培養槽12に供給しないタイミングが生じてもよい。
上記の通り、培養装置10では、光独立栄養で微細藻を培養する場合、太陽光(日射)と、工場から排出される排ガスとを利用する。また、培養装置10では、従属栄養で微細藻を培養する場合、排水設備から排出される排水に含まれる有機物を利用する。日射量は、例えば、時刻(太陽の位置)、天気、季節等に応じて変化する。また、例えば、工場から排出される排ガスの量、排ガスに含まれる二酸化炭素ガスの濃度は、工場の稼働状況に応じて変化する。さらに、例えば、排水設備から排出される排水の量、排水に含まれる有機物の量は、排水設備の稼動状況に応じて変化する。すなわち、培養装置10は、微細藻を培養する培養環境が変化する。
本実施形態に係る培養装置10は基本的には上記のように構成される。以下、図3のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る培養方法を、図1の培養装置10を用いて実施する場合を例に挙げて説明する。この培養方法では、上記の通り、変化する培養環境下で微細藻を培養する。また、この培養方法では、変化する培養環境に合わせて微細藻を培養する栄養形式を設定する。以下では、培養環境の変化として、日射量の変化に合わせて栄養形式を設定して、微細藻を培養する培養方法の例を説明する。
この培養方法では、先ず、予測値取得工程を行う。予測値取得工程では、日射量予測値を取得する。日射量予測値は、微細藻の培養時の日射量を予測した値である。具体的には、予測値取得工程では、予測値取得部24により、上記のようにして、日射量予測値D1~D48を得る(図3のステップS1)。
次に、設定工程を行う。設定工程では、培養環境(日射量)に合わせて、微細藻の栄養形式を設定する。具体的には、設定工程では、図1の設定部22により、上記のようにして、日射量予測値D1~D48の各々と日射基準値Pとを比較して、培養計画を作成する(図3のステップS2)。
次に、培養工程を行う。培養工程では、設定工程で設定した栄養形式で微細藻を培養する。具体的には、図3のステップS3に示すように、T1~T48の何れかに相当する現在の時間Tnが、培養計画において光独立栄養に設定されているか否かを確認する。
ステップS3で、現在の時間Tnが、光独立栄養に設定されていることを確認した場合(ステップS3:YES)には、図3のステップS4に進んで、ガス供給部16から分配部20を介して培養槽12にガスを供給する。なお、このとき、培養槽12内の微細藻には太陽光が照射されている。また、培養槽12への有機物供給は停止している。その結果、光独立栄養により微細藻が培養される。
培養計画において現在の時間Tnが光独立栄養に設定されている場合、微細藻への日射量は、日射基準値Pを超えている。このため、光独立栄養により微細藻を培養することで、従属栄養により微細藻を培養する場合に比べて微細藻の生産量を増やすことができる。
次に、図3のステップS5に進んで、現在の時間Tnの次の時間Tn+1が培養計画において従属栄養に設定されているか否かを確認する。ステップS5で、次の時間Tn+1が従属栄養に設定されていない(光独立栄養に設定されている)ことを確認した場合(ステップS5:NO)には、ステップS3に戻って培養工程を続ける。
ステップS5で、次の時間Tn+1が従属栄養に設定されていることを確認した場合(ステップS5:YES)には、図3のステップS6に進む。ステップS6では、現時刻から次の時間Tn+1に達するまでの残り時間Txを求める。
次に、図3のステップS7に進む、ステップS7では、残り時間Txがガス猶予時間Tc1に達しているか否かを判定する。ここで、図4Aに示すように、培養槽12へのガスの供給を停止した場合、ガスの供給を停止した状態での経過時間が長くなるほど、培養液に溶存しているガスの濃度(溶存無機炭素量)は減少する。これは、例えば、微細藻により溶存無機炭素が消費されるためである。ガス猶予時間Tc1は、培養槽12へのガスの供給を停止してから、溶存無機炭素量が、微細藻が光独立栄養を行うために必要な溶存無機炭素量の下限値に達するまでの時間である。
このため、培養工程では、例えば、光独立栄養から従属栄養へと栄養形式を切り替える場合、培養槽12へのガスの供給を停止してから、ガス猶予時間Tc1が経過する前に、培養槽12への有機物の供給を開始することが好ましい。これにより、微細藻が光独立栄養及び従属栄養の何れも行うことができない時間が生じることを回避できる。ひいては、微細藻の生産量を高めることができる。
また、残り時間Txが、ガス猶予時間Tc1に達した時点で、ガスの供給を停止し、且つ有機物の供給を開始する。これにより、その後、次の時間Tn+1に達したときに、速やかに従属栄養に移行することが可能になる。このように予めガス及び有機物の供給を切り替えておくことで、次の時間Tn+1に達したときに、培養液中のガスの量及び有機物の量の各々を従属栄養に適した値へと導き易い。一方、残り時間Txが、ガス猶予時間Tc1に達するまでは、ガス及び有機物の供給を切り替えずに維持することで、現在の時間Tnにおける光独立栄養による培養が妨げられることを回避できる。
そこで、図3のステップS7で、残り時間Txが、ガス猶予時間Tc1より長いと判定した場合(ステップS7:NO)には、残り時間Txが、ガス猶予時間Tc1に達するまで、ステップS6及びステップS7の処理を繰り返す。
ステップS7で、残り時間Txが、ガス猶予時間Tc1に達していると判定した場合(ステップS7:YES)には、図3のステップS8に進む。ステップS8では、ガス供給部16から分配部20を介した培養槽12へのガス供給を停止する。また、有機物供給部18から分配部20を介した培養槽12への有機物供給を開始する。その結果、従属栄養による培養に切り替えられる。
なお、従属栄養により微細藻を培養する場合、培養槽12に、日射を遮るための遮蔽部(不図示)を設けてもよい。これにより、微細藻に光が供給されることを回避できる。その結果、一層良好に従属栄養による微細藻の培養を行うことが可能になる。
培養計画において従属栄養に設定されている時間は、微細藻への日射量が日射基準値P以下となっている。このため、従属栄養により微細藻を培養することで、光独立栄養により微細藻を培養する場合に比べて微細藻の生産量を増やすことができる。ステップS8の処理の後は、ステップS3に戻って培養工程を続ける。
ステップS3で、現在の時間Tnが、光独立栄養に設定されていないこと(従属栄養に設定されていること)を確認した場合(ステップS3:NO)には、図3のステップS9に進む。ステップS9では、有機物供給部18から分配部20を介して培養槽12に有機物を供給する。なお、このとき、培養槽12へのガス供給は停止している。その結果、従属栄養により微細藻が培養される。
培養計画において現在の時間Tnが従属栄養に設定されている場合、微細藻への日射量は、日射基準値P以下である。このため、従属栄養により微細藻を培養することで、光独立栄養により微細藻を培養する場合に比べて微細藻の生産量を増やすことができる。
次に、図3のステップS10に進んで、現在の時間Tnの次の時間Tn+1が培養計画において光独立栄養に設定されているか否かを確認する。ステップS10で、次の時間Tn+1が光独立栄養に設定されていない(従属栄養に設定されている)ことを確認した場合(ステップS10:NO)には、ステップS3に戻って培養工程を続ける。
ステップS10で、次の時間Tn+1が光独立栄養に設定されていることを確認した場合(ステップS10:YES)には、図3のステップS11に進む。ステップS11では、現時刻から次の時間Tn+1に達するまでの残り時間Txを求める。
次に、図3のステップS12に進む。ステップS12では、残り時間Txが有機物猶予時間Tc2に達しているか否かを判定する。ここで、図4Bに示すように、培養槽12への有機物の供給を停止した場合、有機物の供給を停止した状態での経過時間が長くなるほど、培養液中の有機物の量は減少する。これは、例えば、微細藻により有機物が消費されるためである。有機物猶予時間Tc2は、培養槽12への有機物の供給を停止してから、培養液中の有機物の量が、微細藻が従属栄養を行うために必要な有機物量の下限値に達するまでの時間である。
このため、培養工程では、例えば、従属栄養から光独立栄養へと栄養形式を切り替える場合、培養槽12への有機物の供給を停止してから、有機物猶予時間Tc2が経過する前に、培養槽12へのガスの供給を開始することが好ましい。これにより、微細藻が従属栄養及び光独立栄養の何れも行うことができない時間が生じることを回避できる。ひいては、微細藻の生産量を高めることができる。
また、残り時間Txが、有機物猶予時間Tc2に達した時点で、有機物の供給を停止し、且つガスの供給を開始する。これにより、その後、次の時間Tn+1に達したときに、速やかに光独立栄養に移行することが可能になる。このように予めガス及び有機物の供給を切り替えておくことで、次の時間Tn+1に達したときに、培養液中のガスの量及び有機物の量の各々を光独立栄養に適した値へと導き易い。一方、残り時間Txが、有機物猶予時間Tc2に達するまでは、ガス及び有機物の供給を切り替えずに維持することで、現在の時間Tnにおける従属栄養による培養が妨げられることを回避できる。
そこで、図3のステップS12で、残り時間Txが、有機物猶予時間Tc2より長いと判定した場合(ステップS12:NO)には、残り時間Txが、有機物猶予時間Tc2に達するまで、ステップS11及びステップS12の処理を繰り返す。
ステップS12で、残り時間Txが、有機物猶予時間Tc2に達していると判定した場合(ステップS12:YES)には、図3のステップS13に進む。ステップS13では、有機物供給部18から分配部20を介した培養槽12への有機物供給を停止する。また、ガス供給部16から分配部20を介した培養槽12へのガス供給を開始する。その結果、光独立栄養による培養に切り替えられる。
培養計画において光独立栄養に設定されている時間は、微細藻への日射量が日射基準値Pを超えている。このため、光独立栄養により微細藻を培養することで、従属栄養により微細藻を培養する場合に比べて微細藻の生産量を増やすことができる。ステップS13の処理の後は、ステップS3以降の処理を繰り返す。
上記の培養工程において、培養計画により設定した時間T1~T48が経過するまで微細藻の培養を行った後、本実施形態に係るフローチャートは終了する。なお、時間T1~T48が経過するまで微細藻の培養を行った後、培養工程を終えて、培養槽12から培養液とともに微細藻を回収してもよい。この場合、微細藻と培養液とを分離することで培養した微細藻を得ることができる。
また、時間T1~T48が経過するまで微細藻の培養を行った後は、再び、ステップS1の予測値取得工程及びステップS2の設定工程を行ってもよい。この場合、新たに作成された培養計画に基づいて、培養工程を継続する。このようにして微細藻を培養することにより、培養槽12内で十分に微細藻を増殖させた後、培養槽12の内部から培養液とともに微細藻を回収する。そして、微細藻と培養液とを分離することで培養した微細藻を得ることができる。
以上から、本実施形態に係る培養装置10及び培養方法では、培養環境に合わせて微細藻の栄養形式を設定することができる。このため、例えば、培養環境が光独立栄養での培養に適した条件にあるとき、光独立栄養により微細藻を培養することができる。また、培養環境が従属栄養での培養に適した条件にあるとき、従属栄養により微細藻を培養することができる。このように、培養環境に合わせた栄養形式で微細藻を培養することにより、微細藻の生産量を良好に高めることができる。
上記の実施形態に係る培養方法において、設定工程では、培養環境として、微細藻に照射される日射量に合わせて栄養形式を設定し、日射量が日射基準値Pを超えるとき、光独立栄養を選択し、日射量が日射基準値P以下であるとき、従属栄養を選択する。
上記の実施形態に係る培養装置10において、培養槽12は、太陽光を受光可能に設置され、設定部22は、培養環境として、微細藻に照射される日射量に合わせて栄養形式を設定し、設定部22は、日射量が日射基準値Pを超えるとき、光独立栄養を設定し、設定部22は、日射量が日射基準値P以下であるとき、従属栄養を設定する。
これらの場合、培養時の日射量に合わせて、微細藻の生産量がより高い栄養形式を設定することができる。このため、微細藻の生産量を良好に高めることができる。
上記の実施形態に係る培養方法において、設定工程の前に、微細藻の培養時の日射量を予測した日射量予測値を取得する予測値取得工程を有し、設定工程では、日射量予測値に基づいて栄養形式を設定する。
上記の実施形態に係る培養装置10において、微細藻の培養時の日射量を予測した日射量予測値を取得する予測値取得部24を備え、設定部22は、日射量予測値に基づいて栄養形式を設定する。
これらの場合、例えば、現在の時間Tnの次の時間Tn+1となる前に、次の時間Tn+1で設定されている栄養形式に移行する準備を行うことができる。このため、栄養形式の切り替を円滑に行うことが可能になる。その結果、微細藻の生産量を良好に高めることができる。
上記の実施形態に係る培養方法において、培養工程で微細藻に供給するガスは、工場から排出される排ガスであり、培養工程で微細藻に供給する有機物は、排水設備から排出される排水に含まれる。
上記の実施形態に係る培養装置10において、ガス供給部16は、工場から排出される排ガスをガスとして培養槽12に供給し、有機物供給部18は、排水設備から排出される排水に含まれる有機物を培養槽12に供給する。
工場の排ガスを培養槽12に供給し、排ガスに含まれる二酸化炭素ガスを微細藻の培養に利用する。これにより、排ガス中の二酸化炭素ガスが大気に直接排気されることを抑制できる。この場合、排ガス中の二酸化炭素ガスの処理が容易になる。ひいては、地球温暖化対策に貢献することが可能になる。
また、排水設備の排水に含まれる有機物を培養槽12に供給し、当該有機物を微細藻の培養に利用する。これにより、排水中の有機物の処理が容易になる。ひいては、水環境保全に貢献することが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
例えば、上記の実施形態に係る培養装置10は、予測値取得部24を備え、設定部22では、予測値取得部24で取得された日射量予測値に基づいて栄養形式を設定する。しかしながら、設定部22は、日射量予測値に代えて、例えば、日射量測定値Drと、日射基準値Pとを比較して栄養形式を設定してもよい。日射量測定値Drは、例えば、培養槽12に設けられた不図示の日射量センサ(日射量測定部)によってリアルタイムに測定された培養時の日射量である。
また、上記の実施形態に係る培養方法の設定工程では、日射量予測値に基づいて栄養形式を設定する。しかしながら、設定工程では、日射量測定値Drに基づいて栄養形式を設定してもよい。この場合、例えば、培養工程は、予測値取得工程に代えて、日射量測定工程を有してもよい。
つまり、変形例に係る培養方法では、例えば、図5のフローチャートに示すように、先ず、日射量測定工程を行う。日射量測定工程では、培養時の日射量を測定して、日射量測定値Drを取得する(図5のステップS20)。
次に、設定工程を行う。設定工程では、日射量測定値Drが日射基準値Pを超えているか否かを判定する(図5のステップS21)。ステップS21で、日射量測定値Drが日射基準値Pを超えていると判定した場合(ステップS21:YES)には、図5のステップS22に進んで光独立栄養を設定する。
次に、図5のステップS23に進んで培養工程を行う。培養工程では、ガス供給部16から分配部20を介して培養槽12にガスを供給する。なお、このとき、培養槽12への有機物供給は停止している。その結果、光独立栄養により微細藻が培養される。
ステップS21で、日射量測定値Drが日射基準値P以下であると判定した場合(ステップS21:NO)には、図5のステップS24に進んで従属栄養を設定する。
次に図5のステップS25に進んで培養工程を行う。培養工程では、有機物供給部18から分配部20を介して培養槽12に有機物を供給する。なお、このとき、培養槽12へのガス供給は停止している。その結果、従属栄養により微細藻が培養される。
ステップS23又はステップS25の処理が終わった後は、再びステップS20に戻って、日射量測定工程を行う。このようにして微細藻を培養することにより、培養槽12内で十分に微細藻を増殖させた後、培養槽12の内部から培養液とともに微細藻を回収する。そして、微細藻と培養液とを分離することで培養した微細藻を得ることができる。
以上から、変形例に係る培養装置10及び培養方法では、実際の培養時の日射量である日射量測定値Drに合わせて、微細藻の生産量がより高い栄養形式を設定することができる。このため、微細藻の生産量を良好に高めることができる。
培養装置10は、予測値取得部24と、日射量センサ(日射量測定部)との両方を備えてもよい。この場合、設定部22は、上記のように培養計画を作成した上で、日射量測定値Drを用いて培養計画を修正することが好ましい。
上記の実施形態に係る培養装置10の設定部22は、培養環境として、日射量に合わせて栄養形式を設定した。また、上記の実施形態に係る培養方法の設定工程では、培養環境として、日射量に合わせて栄養形式を設定した。しかしながら、これらには限定されない。
培養装置10の設定部22は、培養環境として、工場から排出される排ガスの排出量と、排水設備から排出される排水の排水量との少なくとも何れか一方に合わせて栄養形式を設定してもよい。
培養方法の設定工程では、培養環境として、工場から排出される排ガスの排出量と、排水設備から排出される排水の排水量との少なくとも何れか一方に合わせて栄養形式を設定してもよい。
設定部22は、例えば、工場の稼働状況に応じて、排ガスの量と、排ガスに含まれる二酸化炭素ガスの濃度との少なくとも何れか一方が増大したとき、光独立栄養を設定する。具体的には、二酸化炭素ガス検出部34により検出された二酸化炭素ガスの濃度がガス基準値を超えた場合に、光独立栄養を設定する。これにより、排ガス中の二酸化炭素ガスを、微細藻の培養に積極的に利用することができる。その結果、微細藻の生産量を高めることができる。また、排ガス中の二酸化炭素ガスの処理を容易にして、地球温暖化対策に貢献することが可能になる。
設定部22は、例えば、排水設備の稼働状況に応じて、排水の量と、排水に含まれる有機物の量との少なくとも何れか一方が増大したとき、従属栄養を設定する。具体的には、流路内有機物量検出部36により検出された有機物量が有機物基準値を超えた場合に、従属栄養を設定する。これにより、排水中の有機物を、微細藻の培養に積極的に利用することができる。その結果、微細藻の生産量を高めることができる。また、排水中の有機物の処理を容易にして、水環境保全に貢献することが可能になる。
なお、設定部22は、日射量と、工場から排出される排ガスの排出量と、排水設備から排出される排水の排水量とから選択される2つ以上を組み合わせた培養環境に合わせて栄養形式を設定することも可能である。例えば、設定部22は、培養時の日射量予測値又は日射量測定値が日射基準値Pよりも大きく、且つ流路内有機物量検出部36により検出された有機物量が有機物基準値を超えるとき、光独立栄養と従属栄養との両方を設定してもよい。この場合、培養槽12には、ガス供給部16からガスが供給されるとともに、有機物供給部18から有機物が供給される。その結果、微細藻の生産量を良好に高めることができる。また、排ガス中の二酸化炭素ガスの処理を容易にすることができる。さらに、排水中の有機物の処理を容易にすることができる。
上記の実施形態では、培養槽12は、太陽光を受光可能に設置されることとした。しかしながら、上記の通り、培養環境として、工場から排出される排ガスの排出量と、排水設備から排出される排水の排水量との少なくとも何れか一方に合わせて栄養形式を設定する場合、培養槽12は太陽光を受光可能でなくてもよい。培養槽12は、太陽光に代えて、微細藻の成長に必要な波長(例えば、340~700nm)の人工光を受光可能に設置されてもよい。この場合、例えば、設定部22により、光独立栄養を設定した場合に、培養槽12に人工光を照射する。一方、設定部22により、従属栄養を設定した場合には、培養槽12への人工光の照射を停止する。
ガス供給部16は、工場から排出される排ガスを培養槽12に供給することには限定されない。ガス供給部16は、工場から排出される排ガス以外のガスを培養槽12に供給してもよい。有機物供給部18は、排水設備から排出される排水に含まれる有機物を培養槽12に供給することには限定されない。有機物供給部18は、排水設備から排出される排水に含まれる有機物以外の有機物を培養槽12に供給してもよい。
10…培養装置 12…培養槽
16…ガス供給部 18…有機物供給部
22…設定部 24…予測値取得部
P…日射基準値

Claims (4)

  1. 変化する培養環境下で微細藻を培養する培養方法であって、
    前記微細藻に照射される日射量に合わせて、前記微細藻の栄養形式を設定する設定工程と、
    前記設定工程で設定した前記栄養形式で前記微細藻を培養する培養工程と、
    前記設定工程の前に、前記微細藻の培養時の前記日射量を予測した日射量予測値を取得する予測値取得工程と、
    を有し、
    前記予測値取得工程では、前記微細藻を培養する所定期間を所定時間ごとに区分した区分時間の各々について前記日射量予測値を取得し、
    前記設定工程では、前記日射量予測値に基づいて、前記区分時間の各々について前記栄養形式を設定した培養計画を作成し、
    前記設定工程では、前記日射量予測値が日射基準値を超える前記区分時間については光独立栄養を設定し、前記日射量予測値が前記日射基準値以下である前記区分時間については従属栄養を設定し、
    前記設定工程で前記光独立栄養を設定した場合、前記培養工程では、培養液及び前記微細藻を収容した培養槽に二酸化炭素を含むガスと、光と、を供給し、
    前記設定工程で前記従属栄養を設定した場合、前記培養工程では、前記培養槽に有機物を供給
    前記培養工程では、
    前記光独立栄養から前記従属栄養へと前記栄養形式を切り替える場合、現時刻から前記培養計画における次の区分時間(Tn+1)に達するまでの残り時間(Tx)がガス猶予時間(Tc1)に達したときに、前記培養槽への前記ガスの供給を停止するとともに前記培養槽への前記有機物の供給を開始し、
    前記従属栄養から前記光独立栄養へと前記栄養形式を切り替える場合、現時刻から前記培養計画における次の区分時間に達するまでの残り時間が有機物猶予時間(Tc2)に達したときに、前記培養槽への前記有機物の供給を停止するとともに前記培養槽への前記ガスの供給を開始し、
    前記ガス猶予時間は、前記培養槽への前記ガスの供給を停止してから、前記培養液に溶存している前記ガスの濃度が、前記微細藻が前記光独立栄養を行うために必要な濃度下限値に達するまでの時間であり、
    前記有機物猶予時間は、前記培養槽への前記有機物の供給を停止してから、前記培養液中の前記有機物の量が、前記微細藻が前記従属栄養を行うために必要な有機物量下限値に達するまでの時間である、培養方法。
  2. 請求項1記載の培養方法において、
    前記培養工程で前記微細藻に供給する前記ガスは、工場から排出される排ガスであり、
    前記培養工程で前記微細藻に供給する前記有機物は、排水設備から排出される排水に含まれる、培養方法。
  3. 変化する培養環境下で微細藻を培養する培養装置であって、
    太陽光を受光可能に設置され、前記微細藻及び培養液を収容する培養槽と、
    前記微細藻に照射される日射量に合わせて、前記微細藻の栄養形式を設定する設定部と、
    前記設定部が光独立栄養を設定した場合、前記培養槽に二酸化炭素を含むガスを供給するガス供給部と、
    前記設定部が従属栄養を設定した場合、前記培養槽に有機物を供給する有機物供給部と、
    前記微細藻の培養時の前記日射量を予測した日射量予測値を取得する予測値取得部と、
    を備え、
    前記予測値取得部は、前記微細藻を培養する所定期間を所定時間ごとに区分した区分時間の各々について前記日射量予測値を取得し、
    前記設定部は、前記日射量予測値に基づいて、前記区分時間の各々について前記栄養形式を設定した培養計画を作成し、
    前記設定部は、前記日射量予測値が日射基準値を超える前記区分時間については前記光独立栄養を設定し、前記日射量予測値が日射基準値以下である前記区分時間については前記従属栄養を設定し、
    前記微細藻の培養中に前記光独立栄養から前記従属栄養へと前記栄養形式を切り替える場合、現時刻から前記培養計画における次の区分時間(Tn+1)に達するまでの残り時間(Tx)がガス猶予時間(Tc1)に達したときに、前記ガス供給部が前記培養槽への前記ガスの供給を停止するとともに、前記有機物供給部が前記培養槽への前記有機物の供給を開始し、
    前記微細藻の培養中に前記従属栄養から前記光独立栄養へと前記栄養形式を切り替える場合、現時刻から前記培養計画における次の区分時間に達するまでの残り時間が有機物猶予時間(Tc2)に達したときに、前記有機物供給部が前記培養槽への前記有機物の供給を停止するとともに、前記ガス供給部が前記培養槽への前記ガスの供給を開始し、
    前記ガス猶予時間は、前記培養槽への前記ガスの供給を停止してから、前記培養液に溶存している前記ガスの濃度が、前記微細藻が前記光独立栄養を行うために必要な濃度下限値に達するまでの時間であり、
    前記有機物猶予時間は、前記培養槽への前記有機物の供給を停止してから、前記培養液中の前記有機物の量が、前記微細藻が前記従属栄養を行うために必要な有機物量下限値に達するまでの時間である、培養装置。
  4. 請求項記載の培養装置において、
    前記ガス供給部は、工場から排出される排ガスを前記ガスとして前記培養槽に供給し、
    前記有機物供給部は、排水設備から排出される排水に含まれる前記有機物を前記培養槽に供給する、培養装置。
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