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JP7657744B2 - 高耐熱性コーティング組成物 - Google Patents
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JP7657744B2 - 高耐熱性コーティング組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高耐熱性コーティング組成物に関する。
近年、電子機器の高機能化に伴い、使用される電子部品の高性能化が顕著になっている。特に信頼性向上のために部品材料の物理的、化学的保護を目的とした表面コーティングが行われることが多くなってきている。従来は部品の機能性と経時安定性の両方を備えたものが使用されていたが、近年の電子機器の高機能化により求められる機能性のレベルが格段に高くなってきている。そのため、部品材料は高性能に特化させ、経時安定性については表面コーティング等により付与する方向へと変わってきている。しかし、電子部品では同じ特性を付与する場合においても部品の使用される環境や形状、製造方法によってそれぞれ異なった手法や材料によりコーティングする必要があり、様々な要求特性に対応したコーティング材や手法を用意する必要がある。しかしながら各部品の要求を満たす手法やコーティング材が十分に提案されていないのが現状である。
課題の残るコーティングとして高耐熱性が要求される厚膜コーティングが挙げられる。特に基材の凹凸を被覆し平坦化させる穴埋めコーティングであり、なおかつ、400℃程度の高温でも塗膜が劣化しないコーティング材が求められている。一般的に有機物系のコーティング材に比べて高耐熱性を有すると言われているシリコーン系コーティング材は耐熱温度が約250℃程度であるため、従来はシリコーン樹脂によるコーティングが耐熱性コーティングとして行われてきた(例えば、特許文献1)。しかし、近年の電子部品では、場合によっては300~400℃の高耐熱性が求められることがあり、従来のシリコーン樹脂系コーティング材ではこの要求を満たすことができない。
この課題を解決するために有機樹脂に比べて耐熱性のあるシリコーン樹脂を高温で焼成することでアクリル樹脂やメラミン樹脂などで用いられる焼付塗装のような処理を行う手法が提案されている(特許文献2)。この手法により400℃でのコーティング膜の耐熱性が向上することが報告されているが焼付時に塗膜の硬化収縮や塗膜成分の揮発による膜厚の減少が大きく、基材の凹凸を埋めるような穴埋め用コーティングとして使用することは難しい。穴埋め用途では硬化時や高温加熱時にも塗工した際の膜厚を保つ必要がある。
一方で、ゾルゲルガラスなどに代表される無機系コーティング材は1,000℃近くの高い耐熱性を有し、ウェットプロセスやCVDなどのドライプロセスにより製膜可能であるため基材によって製法を使い分けることが可能である(特許文献3)。しかし、無機系コーティング剤は硬化時の収縮が大きく、膜厚を厚くすると収縮応力により硬化時にクラックや剥離などが生じてしまうため、基本的には1μm以下の膜厚でしか使用することができない。表面の化学的保護などの場合は、1μm以下の薄膜コーティングでも十分効果が期待できるが、例えば、半導体トレンチのような部品表面の凹凸を埋めて平らにするための用途では使用できない。この課題を解決するために上記シリコーン樹脂の高耐熱化手法と同様に無機系コーティング材に無機フィラーを添加する手法が数多く報告されているが、膜厚は数μm程度までと薄く、凹凸の被覆には使用できない。
また、他の無機系コーティング材としてポリシラザンを用いた手法も提案されている(特許文献4)。ポリシラザンはゾルゲルガラスと同様にウェットコーティングでガラス膜を形成でき、ゾルゲルガラスと比較して膜密度が高く耐熱性に優れている。また、ゾルゲルガラスでは膜中に水やアルコールなどの成分が残存し易く、これらが高温下に膨張し、膜を破裂させるため高温に晒すことができない。一方、ポリシラザンは脱離成分の分子サイズが小さく膜内に残存しにくいため高温下でも膜の破裂などの懸念がない。しかしながら、硬化後にシリカガラスを形成する無機ポリシラザンはゾルゲルガラスと同様に厚膜化が困難であり、有機基を多量に含有した有機基変性ポリシラザンは硬化収縮が少なく厚膜化可能である反面、硬化後の結合強度が低く高温での耐久性が乏しい課題がある。
これらの課題から400℃程度の高温における耐久性があり、なおかつ、基材の凹凸を被覆できる厚膜を形成できるコーティング組成物の提供が求められている。
特開2005-206761号公報 特開平6-001847号公報 特開平11-043782号公報 特開2014-191841号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高温下で膜減りが少なく、なおかつ厚膜化可能な高耐熱性を有するコーティング組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、
下記(A)成分及び下記(B)成分を含むものである高耐熱性コーティング組成物を提供する。
(A)下記一般式(A-1)で示される構造及び/又は下記一般式(A-2)で示される構造を含むポリシラザン化合物であって、前記ポリシラザン化合物全体に対して、前記一般式(A-1)で示される構造及び前記一般式(A-2)で示される構造の合計が50~100質量%であるポリシラザン化合物
(B)融点および分解温度が400℃以上の無機フィラー
Figure 0007657744000001
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0007657744000002
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
このようなものであれば、高温下で膜減りが少なく、厚膜化可能な高耐熱性コーティング組成物となる。
また、前記一般式(A-1)中のRがメチル基であることが好ましい。
このようなものであれば、上記ポリシラザン化合物の安定性や作業性が優れたものとなる。
また、前記一般式(A-2)中のRがメチル基であることが好ましい。
このようなものであれば、本発明の高耐熱性コーティング組成物の硬化速度や硬化後の膜特性が優れたものとなる。
また、前記(B)成分がシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタンから選ばれるものであることが好ましい。
このようなものであれば、上記ポリシラザン化合物との濡れ性や分散性に優れる。
また、前記(B)成分の平均粒径が5~100nmの範囲内であることが好ましい。
この範囲内であれば、上記ポリシラザン化合物に対する分散性が良く、塗膜の透明性も向上する。
また、前記(B)成分が前記(A)成分100質量部に対して50~500質量部であることが好ましい。
この範囲内であれば、コーティング組成物の耐クラック性や耐熱性が十分に発現し、また作業性が良く塗工しやすいコーティング組成物となる。
上記のように、本発明の高耐熱性コーティング組成物は、特定の構造を一定量以上含むポリシラザン化合物と無機フィラーを含んだ組成物であって、400℃程度の高温下で膜減りが少なく、なおかつ、厚膜塗工可能(厚膜化可能)な特徴を持つコーティング組成物を得ることが可能である。
上述のように、400℃程度の高温における耐久性があり、なおかつ、基材の凹凸を被覆できる厚膜を形成できるコーティング組成物の提供が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を一定量以上含むポリシラザン化合物を用いることで400℃程度の高温における耐久性が向上し、かつ基材の凹凸を被覆できる厚膜を形成できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、
下記(A)成分及び下記(B)成分を含むものである高耐熱性コーティング組成物である。
(A)下記一般式(A-1)で示される構造及び/又は下記一般式(A-2)で示される構造を含むポリシラザン化合物であって、前記ポリシラザン化合物全体に対して、前記一般式(A-1)で示される構造及び前記一般式(A-2)で示される構造の合計が50~100質量%であるポリシラザン化合物
(B)融点および分解温度が400℃以上の無機フィラー
Figure 0007657744000003
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0007657744000004
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[(A)ポリシラザン化合物]
本発明のコーティング組成物で用いるポリシラザン化合物は、下記一般式(A-1)及び/又は下記一般式(A-2)で示される特定の構造を上記ポリシラザン化合物全体に対して一定量以上含むことを特徴とする。
(ポリシラザン構造(A-1))
ポリシラザン構造(A-1)は、下記一般式(A-1)で示される構造である。
Figure 0007657744000005
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(A-1)中のRは例えばメチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられ、分子内で同一であっても異なっていても良い。その中でも、生成したポリマーの安定性や作業性などの観点からメチル基であることが好ましい。以下、(A)成分のうち上記ポリシラザン構造(A-1)からなる部分を(A-1)成分と呼ぶ。
(ポリシラザン構造(A-2))
ポリシラザン構造(A-2)は、下記一般式(A-2)で示される構造である。
Figure 0007657744000006
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(A-2)中のRは例えばメチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられ、分子内で同一であっても異なっていても良い。その中でも、硬化速度や硬化後の膜特性の観点からメチル基であることが好ましい。以下、(A)成分のうち上記ポリシラザン構造(A-2)からなる部分を(A-2)成分と呼ぶ。
(その他のポリシラザン構造)
また、(A)成分のポリシラザン化合物は、その他のポリシラザン構造として、上記(A-1)成分および上記(A-2)成分以外の下記一般式(A-3)で示される構造(ポリシラザン構造(A-3))からなる部分((A-3)成分)を含んでいても良い。
Figure 0007657744000007
(式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。Rは水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(A-3)中のRは例えばメチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられ、分子内で同一であっても異なっていても良い。その中でも、経時安定性や硬化後の膜特性の観点からメチル基であることが好ましい。また、上記一般式(A-3)中のRは例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、分子内で同一であっても異なっていても良い。その中でも硬化速度や硬化時の脱離成分の除去の観点から水素原子であることが好ましい。
本発明では作業性、硬化速度および硬化物物性のバランス考慮し、(A-1)成分及び(A-2)成分の合計が上記ポリシラザン化合物100質量%に対して50~100質量%である必要がある。この範囲内であれば塗工時の作業性、硬化後の塗膜の耐クラック性、耐熱性が良好に発現するため好ましい。
また、(A-1)成分又は(A-2)成分は単独で用いてもよい。なお、(A-1)成分と(A-2)成分の比は任意である。
この比率よりも(A-1)成分及び(A-2)成分の合計が少ない場合はポリマーの安定性が高すぎ、もしくは低すぎることが原因で硬化速度が適切でなく綺麗な塗膜が得られないため不適切である。また、上記の構造は硬化後のコーティング膜の硬度に大きく寄与するため上記の範囲外では適切な硬度が得られない。
(A-1)成分及び(A-2)成分の合計が上記ポリシラザン化合物100質量%に対して50~100質量%であるため、(A-3)成分は上記ポリシラザン化合物100質量%に対して0~50質量%とすることができる。
また、(A)成分は本発明の高耐熱性コーティング組成物全体に対して、15質量%以上含まれることが好ましい。(A-1)成分及び(A-2)成分は硬化後に均一な硬い塗膜を形成できるが、同時に応力に対する柔軟性も併せ持つ。柔らかい塗膜は塗膜成分同士の結合が弱く、高温時に結合が切れて揮発するため塗膜の膜減りが発生しやすい。一方、硬い塗膜は高温時の基材及び塗膜成分の熱膨張に対して追随できずクラックや剥離が発生しやすい。本発明では塗膜硬さと柔軟性を併せ持つことで高温時の膜減りとクラック防止の相反する両方の特性を得ることができる。
上記ポリシラザン化合物の分子量は特に規定されないが、硬化速度や粘度などの作業性の観点から重量平均分子量が500~500,000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が500以上であれば硬化が速やかに進行し塗膜のタックがなくなるため好ましく、500,000以下であれば扱いやすい粘度で、かつ使用中に硬化してしまう恐れがないため好ましい。なお、重量平均分子量の測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置を用いて下記の方法で行った。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:UV検出器
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperMultipore HZ-M
(4.6mmI.D.×15cm×4)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
(B)無機フィラー
本発明で使用する無機フィラーは融点および分解温度が400℃以上であれば特に制限はない。本発明ではシリコーン樹脂で及ばない250~400℃の温度での耐熱性を満足するため、使用する無機フィラーもこの温度域で溶解もしくは分解反応が起こらない必要がある。
なお上記無機フィラーの融点及び分解温度は熱重量示差熱分析(TG-DTA)により重量変化及び熱量変化から測定できる。
これらの条件を満たす上記無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム、ケイ素、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、パラジウム、銀、タングステン等の金属、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ、シリカガラス)、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの金属窒化物などが挙げられる。その中でもポリシラザンとの濡れ性や分散性に優れるシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましく、屈折率の観点から塗膜外観が透明になりやすいナノシリカ(平均粒径100nm以下のシリカ)がさらに好ましい。
上記無機フィラーの平均粒径は小さいほうが好ましく、具体的には5~100nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、上記ポリシラザン化合物に対する分散性が良く、塗膜の透明性も向上する。
また、上記無機フィラー平均粒径は体積基準平均粒径であって、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定できる。
また、上記無機フィラー((B)成分)の添加量は上記ポリシラザン化合物((A)成分)100質量部に対して50~500質量部の範囲内であることが好ましい。50質量部以上であればコーティング組成物の耐クラック性や耐熱性が十分に発現し、500質量部以下であれば作業性が良く塗工しやすい。
[その他の添加物]
本発明のコーティング組成物には必要に応じて硬化触媒や希釈溶媒などを添加しても良い。
上記硬化触媒は上記ポリシラザン化合物の硬化反応を促進させる効果があれば特に制限はない。
上記硬化触媒の具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、シュウ酸などのカルボン酸や、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸等の有機酸、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛などの周期表第4周期に属するdブロック元素、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの白金族元素、アルミニウム、スズ、亜鉛などの両性元素の単体もしくはこれらの元素を有する化合物が挙げられる。その中でも少量の添加で硬化反応が進行し、溶媒に可溶なことから酢酸パラジウムやプロピオン酸パラジウムなどが好ましい。
上記ポリシラザン化合物との混合比は上記ポリシラザン化合物の組成や添加する上記硬化触媒の種類によって異なるため特に制限はないが、酢酸パラジウムの場合、上記ポリシラザン化合物100質量部に対して0.01~2質量部の範囲内であることが好ましい。この範囲内であればコーティング材として使用する際に硬化速度と作業性のバランスに優れている。
また、上記希釈溶媒は塗工時の作業性を改善するために使用しても良い。上記希釈溶媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-オクタン、n-ノナンなどのアルカン化合物、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどのアルケン化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどのシクロアルカン化合物、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチルなどのエステル化合物、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル化合物などが挙げられる。上記希釈溶媒として、エクソールDSP145/160等のナフテン系溶媒を使用することもできる。
上記希釈溶媒は組成物の粘度の調整や基材に対する濡れ性の改善のために使用することが考えられるが、上記ポリシラザン化合物の不揮発分が50質量%を下回らないようにすることが好ましい。不揮発分が50質量%以上であれば硬化物内に希釈溶媒が残存しにくく、高温に晒した際にボイドや変色が起こりにくくなるため好ましい。
本発明の組成物の調製においては、(B)成分の無機フィラーの分散液を用いることができる。また、本発明の組成物には、アニソール等の溶媒を加えてもよい。
本発明は、400℃程度の高温における耐久性があり、なおかつ、基材の凹凸を被覆できる厚膜を形成できるコーティング組成物である。
本発明の高耐熱性コーティング組成物を塗布する方法としては、例えば、チャンバードクターコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーターなどのロールコート法やスピンコート法、ディスペンス法、ディップ法、スプレー法、転写法、スリットコート法等が挙げられる。
塗布対象となる基材としては特に制限はないが、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、ビスマレイミド樹脂(BMI)などの高耐熱有機合成樹脂、アルミニウム、ケイ素、鉄、ニッケル、銅、銀、金などの金属、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛などの酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウムなどの窒化物が挙げられる。基材表面に凹凸を有してもよい。
塗膜の厚さは、基材との線膨張率差や晒される温度により異なるが、一般的には、硬化膜厚で、0.1~100μm、好ましくは0.5~50μmである。本発明の組成物は基材の凹凸を被覆できる厚膜を形成できる。
塗工方法としては、基材に対して任意の方法で塗布することにより未硬化の上記ポリシラザン化合物塗膜を形成した後、塗膜を加熱・乾燥処理することが好ましい。この工程は、塗膜中に含まれる溶媒や低分子成分の完全除去を目的とするものであるが、溶媒を含まない場合は必ずしも必要な処理ではない。
加熱・乾燥温度は通常室温(25℃)~300℃、好ましくは70℃~150℃の範囲である。加熱・乾燥工程の好ましい処理方法として、加熱処理やマイクロ波処理、赤外線処理などが挙げられる。硬化は室温でも進行するが、加熱を行うと更に早く硬化させることが可能である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例で部は質量部を示す。また、(A)成分の重量平均分子量、(B)成分の融点および分解温度、平均粒径は上記の方法で測定した。
[合成例A]
ピリジン4,000gにハロゲン化シラン原料としてメチルトリクロロシラン378gとジメチルジクロロシラン326gを加え、液中にアンモニアガスを1.0L/分で430分吹込み反応をさせた。この時、白色の塩化アンモニウム塩が生成したため濾過により取り除いた。この濾液を約800Paの減圧下100℃で加熱しピリジンを留去させポリシラザン化合物Aを得た。このポリシラザン化合物の重量平均分子量を測定したところ2,700であった。また、このポリシラザン100質量%において(A-1)成分は50質量%、(A-2)成分は0質量%、(A-3)成分は50質量%である。
[合成例B]
ピリジン4,000gにハロゲン化シラン原料としてメチルトリクロロシラン529gとジメチルジクロロシラン196gを加え、液中にアンモニアガスを1.0L/分で460分吹込み反応をさせた。この時、白色の塩化アンモニウム塩が生成したため濾過により取り除いた。この濾液を約800Paの減圧下100℃で加熱しピリジンを留去させポリシラザン化合物Bを得た。このポリシラザン化合物の重量平均分子量を測定したところ3,800であった。また、このポリシラザン100質量%において(A-1)成分は70質量%、(A-2)成分は0質量%、(A-3)成分は30質量%である。
[合成例C]
ピリジン4,000gにハロゲン化シラン原料としてモノメチルジクロロシラン582gを加え、液中にアンモニアガスを1.0L/分で400分吹込み反応をさせた。この時、白色の塩化アンモニウム塩が生成したため濾過により取り除いた。この濾液を約800Paの減圧下100℃で加熱しピリジンを留去させポリシラザン化合物Cを得た。このポリシラザン化合物の重量平均分子量を測定したところ1,200であった。また、このポリシラザン100質量部において(A-1)成分及び(A-3)成分は0質量%、(A-2)成分は100質量%である。
[合成例D](比較用)
ピリジン4,000gにハロゲン化シラン原料としてメチルトリクロロシラン227gとジメチルジクロロシラン456gを加え、液中にアンモニアガスを1.0L/分で430分吹込み反応をさせた。この時、白色の塩化アンモニウム塩が生成したため濾過により取り除いた。この濾液を約800Paの減圧下100℃で加熱しピリジンを留去させポリシラザン化合物Dを得た。このポリシラザン化合物の重量平均分子量を測定したところ1,700であった。また、このポリシラザン100質量%において(A-1)成分は30質量%、(A-2)成分は0質量%、(A-3)成分は70質量%である。
[合成例E](比較用)
ピリジン4,000gにハロゲン化シラン原料としてジメチルジクロロシラン582gを加え、液中にアンモニアガスを1.0L/分で400分吹込み反応をさせた。この時、白色の塩化アンモニウム塩が生成したため濾過により取り除いた。この濾液を約800Paの減圧下100℃で加熱しピリジンを留去させポリシラザン化合物Eを得た。このポリシラザン化合物の重量平均分子量を測定したところ960であった。また、このポリシラザン100質量%において(A-1)成分及び(A-2)成分は0質量%、(A-3)成分は100質量%である。
[実施例1]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)525部を混合し、中間液aを得た。この中間液aをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液aを得た。このコーティング液aを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[実施例2]
合成例Bで得たポリシラザン化合物B70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)525部を混合し、中間液bを得た。この中間液bをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液bを得た。このコーティング液bを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[実施例3]
合成例Cで得たポリシラザン化合物C70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)525部を混合し、中間液cを得た。この中間液cをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液cを得た。このコーティング液cを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[実施例4]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、酸化亜鉛(パナテトラ:パナソニック株式会社製、粒子径20~40μm)70部を混合し、中間液dを得た。この中間液dをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が80質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液dを得た。このコーティング液dを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[実施例5]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)88部を混合し、中間液eを得た。この中間液eをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液eを得た。このコーティング液eを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[実施例6]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)875部を混合し、中間液fを得た。この中間液fをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液fを得た。このコーティング液fを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較して変化はなかった。
[比較例1]
合成例Dで得たポリシラザン化合物D70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)525部を混合し、中間液gを得た。この中間液gをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液gを得た。このコーティング液gを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ塗膜にクラックが発生していた。
[比較例2]
合成例Eで得たポリシラザン化合物E70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、シリカフィラートルエン分散液(TOL-ST:日産化学株式会社製、粒子径10~15nm、不揮発分40質量%)525部を混合し、中間液hを得た。この中間液hをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液hを得た。このコーティング液hを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させたが硬化しなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ塗膜の膜厚が著しく減少していた。
[比較例3]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部、炭酸亜鉛(関東化学株式会社製)210部を混合し、中間液iを得た。この中間液iをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液iを得た。このコーティング液iを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ塗膜前面にボイドが発生していた。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ試験前と比較してさらにボイドが多く発生していた。
[比較例4]
合成例Aで得たポリシラザン化合物A70部、アニソール30部、酢酸パラジウム0.2部を混合し、中間液jを得た。この中間液jをエバポレーターで減圧乾固させ溶媒を留去した後、不揮発分が70質量%となるようにエクソールDSP145/160(エクソンモービル社製)で希釈し、コーティング液jを得た。このコーティング液jを厚さ0.65mmのシリコンウエハに硬化後の塗膜厚みが20μmとなるようにスピンコーターで塗り、150℃で3時間加熱し硬化させた。硬化後の外観を確認したところ外観不良は発生していなかった。その後、400℃で3時間の耐熱試験を行い、耐熱試験後の外観を再び確認したところ塗膜にクラックが発生していた。
[耐熱試験]
実施例および比較例で作製した塗工サンプルに対し耐熱試験を行った。試験条件は室温から10℃/分で400℃まで昇温し、3時間保持後に自然冷却で室温まで冷却した。室温に戻ったところで外観を観察した。なお、耐熱試験後の膜厚Pと塗工後の膜厚Qの差(Q-P)/Qが5%以下である場合を変化なしとした。
実施例および比較例について下記の表1に記載した。フィラーの融点、分解温度については分解温度には「(分解)」と付して、融点については数値のみを示した。
Figure 0007657744000008
実施例1~6および比較例1、4では硬化後の外観不良は発生しなかった。一方、比較例2では150℃で加熱後も塗膜が硬化しなかった。これは使用したポリシラザン化合物が(A-1)成分および(A-2)成分を全く含まないため本発明で規定した構造に比べて立体的な結合が生成しにくいことが原因と推測される。また、比較例3では硬化後にボイドが発生していた。これは使用したフィラーの分解温度が低く、硬化処理の温度で分解し気泡を発生したためであると考えられる。さらに400℃の耐熱試験時にはより顕著にその影響が出ていた。
耐熱試験後の外観では実施例1~6では試験前と比べてほとんど変化が見られなかったのに対して、比較例1~4では外観の変化が発生していた。比較例1および2では本発明で規定した(A-1)成分および(A-2)成分がポリシラザン化合物全体の50質量%よりも少ないため十分な耐熱性が出なかったと考えられる。また、比較例4ではフィラーを添加していないことからポリシラザン樹脂の硬化収縮応力が大きくなっているところに、高温下で基材と塗膜の線膨張率差による応力が更に加わったことでクラックが発生したと考えられる。
これらのことから本発明の高耐熱性コーティング材は400℃の高温下でも安定でクラックや膜減りが発生しにくいコーティング材であると言える。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (5)

  1. 下記(A)成分及び下記(B)成分を含むものであることを特徴とする高耐熱性コーティング組成物。
    (A)下記一般式(A-1)で示される構造を含むポリシラザン化合物であって、前記ポリシラザン化合物全体に対して、前記一般式(A-1)で示される構造が50~100質量%であるポリシラザン化合物
    (B)融点および分解温度が400℃以上の無機フィラー
    Figure 0007657744000009
    (式中、Rは炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、ポリシラザン化合物中でRは同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(A-1)中のRがメチル基であることを特徴とする請求項1に記載の高耐熱性コーティング組成物。
  3. 前記(B)成分がシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタンから選ばれるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高耐熱性コーティング組成物。
  4. 前記(B)成分の平均粒径が5~100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の高耐熱性コーティング組成物。
  5. 前記(B)成分が前記(A)成分100質量部に対して50~500質量部であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の高耐熱性コーティング組成物。
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